特許第6882947号(P6882947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882947
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】アルミニウムの連続鋳造装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/08 20060101AFI20210524BHJP
   B22D 11/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B22D11/08 C
   B22D11/00 E
   B22D11/08 E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-131729(P2017-131729)
(22)【出願日】2017年7月5日
(65)【公開番号】特開2019-13941(P2019-13941A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】北原 正典
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−125342(JP,A)
【文献】 特開2013−091072(JP,A)
【文献】 特開2011−131279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00〜11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下型の頂面を鋳型の内部に配置した状態で、アルミニウム溶湯を前記鋳型内における前記頂面に連続的に注入して凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊を前記下型と共に降下させて棒状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしたアルミニウムの連続鋳造装置において、
前記下型の、軸心を含む正面断面形状を基にして、
前記頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも上方に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、
前記頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含み、
前記2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項2】
前記2つ以上の降下面部のうち少なくとも1つ以上の降下面部は、垂直面によって構成されている請求項1に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項3】
前記正面断面形状を基にして、
前記2つ以上の降下面部における水平寸法の総和が、前記頂面の水平寸法に対し30%以上に設定されている請求項1または2に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項4】
前記頂面に前記降下面部が3つ設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項5】
前記3つの降下面部における降下角度がそれぞれ異なっている請求項4に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項6】
前記降下面部は、内側から外側にかけて降下角度が次第に変化する湾曲面を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項7】
前記頂面は、平坦面によって構成される平坦面部を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【請求項8】
頂面を備え、その頂面を鋳型の内部に配置した状態で、アルミニウム溶湯を前記鋳型内における前記頂面に連続的に注入して凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊と共に降下させて棒状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしたアルミニウムの連続鋳造用下型であって、
軸心を含む正面断面形状を基にして、
前記頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも上方に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、
前記頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含み、
前記2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするアルミニウムの連続鋳造用下型。
【請求項9】
下型の頂面を鋳型の内部に配置した状態で、アルミニウム溶湯を前記鋳型内における前記頂面に連続的に注入して凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊を前記下型と共に降下させて棒状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしたアルミニウムの連続鋳造方法において、
前記下型の、軸心を含む正面断面形状を基にして、
前記頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも上方に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、
前記頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含み、
前記2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするアルミニウムの連続鋳造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばアルミニウムビレットやアルミニウムスラブ等のアルミニウムの塑性加工用の棒状ないし柱状鋳塊を鋳造する際に用いられるアルミニウムの連続鋳造装置およびその関連技術に関する。
【0002】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、アルミニウム(Al)という用語は、アルミニウム合金(Al合金)も含む意味で用いられる。
【背景技術】
【0003】
下記特許文献1,2に示すようにアルミニウムの連続鋳造装置は、筒状の鋳型と、鋳型に対して昇降自在な下型とを備え、下型を鋳型内に嵌合した状態で、アルミニウム溶湯を鋳型内における下型上に連続的に注入して、鋳型内で溶湯の熱を奪って溶湯を凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊を下型と共に降下させつつ、冷却水等の冷媒を連続的に供給して冷却することによって、棒状ないし柱状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしている。
【0004】
ところで、近年のアルミニウム関連技術においては、より一層生産性を向上させるために、多連化が進められている。例えば上記の連続鋳造装置による連続鋳造においては、棒状鋳塊を鋳造した後、次の鋳造を開始するまでの時間(準備時間)を短縮することによって、効率良く簡単に多連化を進めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−125342号公報
【特許文献2】特開2013−91072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に示す従来のアルミニウムの連続鋳造装置においては、鋳造が完了した後、再始動までの準備時間が長くなり、生産性を向上させることが困難であるという課題があった。すなわち上記従来の連続鋳造装置において、鋳造完了後に、下型に付着した冷却水の除去が不十分な状態で、鋳造を再開すると、爆散等の不具合が発生するおそれがあるため、下型の冷却水の除去を確実に行うために、準備時間(待機時間)が長くなり、生産性の向上を図ることが困難であるという課題があった。
【0007】
また上記従来の連続鋳造装置においては、凝固した鋳塊と下型とのかみ合いが不十分となる場合があり、そうすると鋳造中の鋳塊を下型によって安定した状態に保持することが困難になり、鋳造性の低下を来たし、ひいては鋳造トラブルが発生するおそれがあるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、準備時間を短縮できて生産性を向上できるとともに、下型によって鋳造中の鋳塊を安定した状態に保持できて、鋳造性を向上させることができるアルミニウムの連続鋳造装置およびその関連技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0010】
[1]下型の頂面を鋳型の内部に配置した状態で、アルミニウム溶湯を前記鋳型内における前記頂面に連続的に注入して凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊を前記下型と共に降下させて棒状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしたアルミニウムの連続鋳造装置において、
軸心を含む正面断面形状を基にして、
前記頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも上方に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、
前記頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含み、
前記2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするアルミニウムの連続鋳造装置。
【0011】
[2]前記2つ以上の降下面部のうち少なくとも1つ以上の降下面部は、垂直面によって構成されている前項1に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【0012】
[3]前記正面断面形状を基にして、
前記2つ以上の降下面部における水平寸法の総和が、前記頂面の水平寸法に対し30%以上に設定されている前項1または2に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【0013】
[4]前記頂面に前記降下面部が3つ設けられている前項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【0014】
[5]前記3つの降下面部における降下角度がそれぞれ異なっている前項4に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【0015】
[6]前記降下面部は、内側から外側にかけて降下角度が次第に変化する湾曲面を含む前項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【0016】
[7]前記頂面は、平坦面によって構成される平坦面部を含む前項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウムの連続鋳造装置。
【0017】
[8]頂面を備え、その頂面を鋳型の内部に配置した状態で、アルミニウム溶湯を前記鋳型内における前記頂面に連続的に注入して凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊と共に降下させて棒状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしたアルミニウムの連続鋳造用下型であって、
軸心を含む正面断面形状を基にして、
前記頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも上方に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、
前記頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含み、
前記2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするアルミニウムの連続鋳造用下型。
【0018】
[9]下型の頂面を鋳型の内部に配置した状態で、アルミニウム溶湯を前記鋳型内における前記頂面に連続的に注入して凝固させるとともに、凝固したアルミニウム鋳塊を前記下型と共に降下させて棒状のアルミニウム鋳塊を鋳造するようにしたアルミニウムの連続鋳造方法において、
軸心を含む正面断面形状を基にして、
前記頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも上方に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、
前記頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含み、
前記2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されていることを特徴とするアルミニウムの連続鋳造方法。
【発明の効果】
【0019】
発明[1]のアルミニウムの連続鋳造装置によれば、下型の頂面は下向きに凹むような凹部が存在せず略凸状に形成されるとともに、下型の頂面に2つ以上の降下面部が設けられているため、アルミニウム鋳塊の鋳造が完了した後において、下型に冷却水等の冷媒がほとんど溜まることがない。このため下型の冷却水等の除去を短時間で簡単に行うことができ、生産性の向上を図ることができる。さらに下型の頂面に、降下角度が異なる少なくとも2つの降下面部が設けられているため、アルミニウム鋳塊の熱収縮に伴い、下型頂面とアルミニウム鋳塊とのかみ合いが強固になり、鋳造中に下型によって鋳塊を安定した状態に保持できて、鋳造性を向上させることができる。
【0020】
発明[2]のアルミニウムの連続鋳造装置によれば、降下面部に垂直面が含まれているため、下型頂面とアルミニウム鋳塊とのかみ合いがより強固になり、鋳造中に下型によって鋳塊をより安定した状態に確実に保持できて、鋳造性をさらに向上させることができる。
【0021】
発明[3][4]のアルミニウムの連続鋳造装置によれば、下型頂面における降下面部の領域を十分に確保でき、下型に水溜まりが発生するのをより確実に防止でき、生産性をより一層向上させることができる。
【0022】
発明[5]のアルミニウムの連続鋳造装置によれば、下型の頂面に降下角度が異なる3つの降下面部が設けられているため、下型頂面とアルミニウム鋳塊とのかみ合いがより一層強固になり、鋳造中に下型によって鋳塊をより一層安定した状態に保持できて、鋳造性をより一層向上させることができる。
【0023】
発明[6]のアルミニウムの連続鋳造装置によれば、降下面部が湾曲面を含んでいるため、下型頂面に対するアルミニウム鋳塊とのかみ合いがさらに強固になり、鋳造中に下型によって鋳塊を一段と安定した状態に保持できて、鋳造性を一段と向上させることができる。
【0024】
発明[7]のアルミニウムの連続鋳造装置によれば、頂面は平坦面部を含んでいるため、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0025】
発明[8]によれば、上記発明の連続鋳造装置と同様の効果を奏するアルミニウムの連続鋳造用下型を提供することができる。
【0026】
発明[9]によれば、上記発明の連続鋳造装置と同様の効果を奏するアルミニウムの連続鋳造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A図1Aはこの発明の第1実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置において鋳造開始直後の状態を示す正面断面図である。
図1B図1Bは第1実施形態の連続鋳造装置において鋳造中の状態を示す正面断面図である。
図1C図1Cは第1実施形態の連続鋳造装置に適用された下型を示す斜視図である。
図2A図2Aはこの発明の第2実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図2B図2Bは第2実施形態の連続鋳造装置に適用された下型を示す斜視図である。
図3図3はこの発明の第3実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図4図4はこの発明の第4実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図5図5はこの発明の第5実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図6図6はこの発明の第6実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図7図7はこの発明の第7実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図8図8はこの発明の第8実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図9図9はこの発明の第9実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図10図10はこの発明の第10実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図11図11は第1参考例であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図12図12は第2参考例であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
図13図13は第3参考例であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1Aおよび図1Bはこの発明の第1実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図、図1Cはその連続鋳造装置に適用された下型2を示す斜視図である。これらの図に示すように本第1実施形態の連続鋳造装置は、鋳型1と、下型2とを基本的な構成要素として備えている。なお、本実施形態において連続鋳造装置(鋳型1および下型2)の軸心Oは、上下方向Zに対し平行に配置されている。
【0029】
本第1実施形態の連続鋳造装置は、アルミニウムビレット等の丸棒状(円柱状)のアルミニウム鋳塊W2を鋳造するためのものであり、鋳型1は、円筒状に形成されている。
【0030】
下型2は、略円柱状の形状を有している。さらに下型2は、鋳型1の内部に適合状態に嵌合できるように平面視状態での外周形状が鋳型1の内周形状に対応して形成されている。
【0031】
下型2の頂面(上面)20は、全体として見ると中心部が外側縁部よりも上方に配置されるような略凸状に形成されている。さらに頂面20は、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在せず、頂面20には下向きに凹むような形状の凹部が存在しない。
【0032】
図1Aに示すように下型2は、図示しない昇降駆動手段によって昇降自在に支持されており、図1Aに示すように下型2が鋳型1の内部に適合状態に嵌合された状態(初期状態)から図1Bに示すように鋳型1に対し降下できるように構成されている。
【0033】
そして本実施形態においては、図1Aに示すように下型2を鋳型1内に配置した状態で、アルミニウム溶湯W1を上方より鋳型1内における下型2の頂面20上に連続的に注入して、鋳型1で溶湯W1の熱を奪って溶湯W1の外殻を凝固させるとともに、図1Bに示すように凝固したアルミニウム鋳塊W2を下型2と共に降下させつつ、図示しないスプレー装置から鋳型直下において鋳塊W2に冷却水等の冷媒を供給することによって鋳塊W2の内部まで凝固させる。こうして下型2を所定位置まで降下させて、所定長さの棒状ないし柱状のアルミニウム鋳塊W2、本実施形態ではアルミニウムビレットを鋳造するものである。
【0034】
こうして鋳造された所定長さのアルミニウム鋳塊W2を排出した後、下型2を上昇させて図1Aに示す初期状態に復帰させて、次のアルミニウム鋳塊W2を上記と同様にして鋳造するものである。
【0035】
ここで本実施形態の連続鋳造装置の下型2において、図3に示すように軸心Oを含み、かつ前後方向Xに直交する垂直面によって切断された断面形状を正面断面形状とし、軸心Oを含み、かつ左右方向Yに直交する垂直面によって切断された断面形状を側面断面形状としている。本第1実施形態の下型2は、断面円形のアルミニウムビレットを製造するものであるため、下型2の正面断面形状は、側面断面形状と同じ形状となっている。
【0036】
なお後に説明するように、第2実施形態の下型2は、矩形断面のアルミニウムスラブを製造するものであるため、正面断面形状と、側面断面形状とは異なる形状となっている。
【0037】
次に本第1実施形態において、下型2の頂面20の構成を詳細に説明する。図1A図1Cに示すように、下型2の頂面20には、3つの降下面部31〜33と、2つの平坦面部41,42が設けられている。本実施形態において、複数の降下面部31〜33および複数の平坦面部41,42に対し、上側から順番に参照符号を付している。すなわち降下面部31は、1番上(1番目)の降下面部、降下面部32は2番目の降下面部、降下面部33は3番目の降下面部であり、平坦面部41は、1番上(1番目)の平坦面部、平坦面部42は2番目の平坦面部である(後述する第2〜第10実施形態においても同じ)。
【0038】
本実施形態において、平坦面部41,42は、軸心Oに対し直交する平坦面によって構成されている。また降下面部31〜33は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心Oに対し平行な垂直面によって構成されている。なお後述するが、降下面部としての傾斜面には、湾曲面も含まれる。
【0039】
本実施形態の下型2においては、中心部の最上端の位置に1番目の平坦面部41が配置され、その外側に1番目の降下面部31が配置され、その外側に2番目の降下面部32が配置され、その外側に3番目の降下面部33が配置され、その外側(最外部)に2番目の平坦面部42が配置されている。
【0040】
ここで本実施形態においては、各降下面部31〜33における平坦面に対する角度を降下角度θと規定している。3番目の降下面部33は降下角度θが90°の垂直面であり、降下角度θが最大となっている。1番目および2番目の降下面部31,32は、降下角度θが90°よりも小さく、1番目の降下面部31の降下角度θが2番目の降下面部32よりも大きくなっている。換言すると、本実施形態では、3つの降下面部31〜33は降下角度θがそれぞれ異なるように設定されている。
【0041】
また本実施形態では、正面断面形状において、下型2の頂面20における水平寸法(直径)2rに対する、降下面部31〜33の水平寸法の総和(2r1+2r2)の比率(%)=2×(r1+r2)/2r×100が30%以上に設定されている。なお、降下面部33は垂直面であるため、水平寸法は0である。本実施形態においてはこの比率が30%以上に設定されているため、後述するように生産性を向上できるとともに、安定した鋳造性を得ることができる。
【0042】
以上のように構成された本実施形態の連続鋳造装置においては、下型2の頂面20が全体として中心が外側よりも突出した凸状の形状を有し、中心から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在しないため、下向きに凹むような形状の凹部が形成されることはない。このため、アルミニウム鋳塊W2の鋳造が完了した後、下型2の頂面20に、鋳造時に供給された冷却水がほとんど溜まることがない。このため下型2に付着した冷却水を短時間で簡単に除去できて、冷却水の残留による不具合、例えば鋳造再開時の爆散を防止することができる。従って何ら不具合なく準備時間(待機時間)を短縮できて、生産性の向上を図ることができる。
【0043】
さらに本実施形態の連続鋳造装置においては、下型2の頂面20に3つの降下面部31〜33を形成しているため、水はけが一層良くなり、冷却水の除去時間を一層短縮できて、生産性を一層向上させることができる。
【0044】
特に本実施形態の下型2においては、既述した通り降下面部31〜33の割合を30%以上に設定しているため、換言すれば、平坦面部41,42の割合を所定以下に抑制しているため、下型2の頂面20上における降下面部31〜33の領域を十分に確保することができる。このため下型2に水溜まりが発生するのをより確実に防止でき、生産性の向上をより確実に図ることができる。
【0045】
また本実施形態の下型2においては、複数の降下面部31〜33における降下角度θをそれぞれ異なるように設定しているため、鋳造開始後にアルミニウム鋳塊W2の熱収縮による下型頂面20とアルミニウム鋳塊W2とのかみ合いが良好となり、鋳造中に下型2によって鋳塊W2を安定した状態に保持できて、鋳造性を向上させることができる。
【0046】
その上さらに本実施形態の下型2においては、3番目の降下面部33を垂直面によって構成しているため、下型頂面20とアルミニウム鋳塊W2とのかみ合いがより強固となり、鋳造中に下型2によって鋳塊W2をより一層安定した状態に保持できて、鋳造性を一段と向上させることができる。
【0047】
このように本実施形態の連続鋳造装置においては、待機時間を短縮できて、迅速かつ安全に鋳造を再開できるとともに、鋳造性も向上できて鋳造トラブルも低減でき、高い品質の連続鋳造棒を鋳造することができる。
【0048】
なお上記第1実施形態においては、下型2における外周縁部に設けられたつば部5の上面によって、2番目の平坦面部42が形成されているが、このつば部5の外周上端縁に面取り部51が形成されている。本発明においては、C面やR面等の面取り部51は、降下面部として捉えるものではない。具体的には、下型頂面20の直径(スラブの場合には全幅寸法)2rに対する面取り寸法の比率が2.5%未満、または面取り寸法が3mm未満の面取り部51は、降下面部には含まれない。換言すると、下型頂面20の直径(スラブの場合には全幅寸法)に対する面取り寸法の比率が2.5%以上、または面取り寸法が3mm以上の面取り部は、降下面部として構成されるものである。
【0049】
また上記実施形態においては、降下面部31〜33を3つ形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明において降下面部の数は限定されることはなく、2つまたは4つ以上形成するようにしても良い。
【0050】
さらに上記実施形態においては、降下面部31〜33がそれぞれ異なる降下角度θに設定する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、いずれか2つの降下面部が異なる降下角度に設定されていれば良く、当該いずれか2つの降下面部以外の降下面部が、他の降下面部に対し降下角度が同じに設定されていても良い。もっとも本発明においては、降下角度がそれぞれ異なる3つの降下面部を備える場合には、より一層アルミニウム鋳塊とのかみ合いが強固となり、より一層鋳造性を向上させることができる。
【0051】
また上記第1実施形態においては、軸心Oを含み、かつ前後方向Xに直交する垂直面によって切断された正面断面形状と、軸心Oを含み、かつ左右方向Yに直交する垂直面によって切断された断面形状(側面断面形状)とが同じ形状のビレット等を製造する連続鋳造装置を対象としているが、本発明においては、正面断面形状が図1Aに示す第1実施形態の正面断面形状と同じ形状で、側面断面形状が図1Aに示す第1実施形態の正面断面形状と異なるスラブ等を製造する連続鋳造装置にも同様に適用することができる。
【0052】
また上記実施形態の連続鋳造装置においては、軸心Oを上下方向Xに一致させる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限れず、本発明においては、軸心方向を上下方向に必ずしも一致させる必要はない。換言すると、本発明において上下方向は重力方向を基準に設定するものではなく、連続鋳造装置の鋳造方向を基準に設定するものである。つまり本発明において「下方向」は「鋳造方向」または「下流側方向」という意味で用いられ、「上方向」は「反鋳造方向」または「上流側方向」という意味で用いられている(以下の第2〜第10実施形態においても同じ)。
【0053】
<第2実施形態>
図2Aはこの発明の第2実施形態であるアルミニウムの連続鋳造装置を示す正面断面図、図2Bはその連続鋳造装置に適用された下型2を示す斜視図である。
【0054】
両図に示すように第2実施形態の連続鋳造装置は、アルミニウムスラブ等の断面矩形状のアルミニウム鋳塊W2を製造するためのものであり、鋳型1は、角筒状に形成されている。
【0055】
下型2は、略角柱状の形状を有している。この下型2は、鋳型1の内部に適合状態に嵌合できるように平面視状態での外周形状が鋳型1の内周形状に対応して形成されている。
【0056】
下型2は、前後方向Xに直交する断面が一定であり、左右方向Yに直交する断面が一定ではない。つまり下型2は、つば部5を除いた構造において、前後方向Xに対し直交する垂直面で切断した断面形状が、前後方向Xのいずれの位置においても同じ形状となっているのに対し、左右方向Yに対し直交する垂直面で切断した断面形状が、左右方向Yの位置によって異なる形状となっている。
【0057】
本第2実施形態の下型2においては、軸心Oを含み、かつ前後方向Xに直交する垂直面によって切断された断面形状が正面断面形状となる。
【0058】
そして正面断面形状において下型2の頂面20は、全体として見ると中心部が外側縁部よりも高位に配置されるような略凸状に形成されている。
【0059】
下型2の頂面20において、中間部の最上端位置に1番目の平坦面部41が配置され、その外側に1番目の降下面部31が配置され、その外側に2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に2番目の平坦面部42が配置されている。
【0060】
2番目の降下面部32は降下角度θが90°で垂直面によって構成されている。1番目の降下面部31は降下角度θが90°よりも小さく緩やかに形成されている。
【0061】
第2実施形態において他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0062】
この第2実施形態の連続鋳造装置においても、上記第1実施形態と同様に、下型2の頂面20の水はけが良好であるとともに、下型2とアルミニウム鋳塊W2とのかみ合いも良好であるため、鋳造性を向上できて鋳造トラブルを防止しつつ、準備時間を短縮できて生産性の向上を図ることができる。
【0063】
なおこの第2実施形態においては、正面断面形状と、側面断面形状とが異なるスラブ等を鋳造する連続鋳造装置を対象としているが、本発明においては、正面断面形状および側面断面形状が共に、図2Aに示す第2実施形態の正面断面形状と同じ形状となるビレット等を製造する連続鋳造装置にも同様に適用することができる。
【0064】
<第3〜第10実施形態>
図3はこの発明の第3実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すように、この第3実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に後述の1番目の降下面部31が配置され、その両側に後述の2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に平坦な平坦面部41が配置されている。
【0065】
ここで本実施形態において、降下面部31,32は傾斜角度θが次第に変化する湾曲面によって構成されている。つまり本発明において、内側から外側に向けて下り傾斜する面であれば湾曲面であっても、傾斜面として構成されるものである。なお傾斜角度θが次第に大きく湾曲面であっても、次第に小さくなる湾曲面であっても本発明の降下面部に含まれるものである。さらに本発明において、降下面部が湾曲面によって構成される場合、その連続する湾曲面の全体を1つの降下面部とするものである。
【0066】
また本発明において、湾曲面によって構成される2つの降下面部を比較した場合に、互いの正面断面形状が一致しない場合には、これらの2つの降下面部は傾斜角度θが異なるものとして捉えている。例えば曲率半径が異なる湾曲面からなる2つの降下面部は、傾斜角度θが異なるものとする。従ってこの第3実施形態において、湾曲面からなる2つの降下面部31,32は互いに傾斜角度θが異なっている。
【0067】
なおこの第3実施形態の連続鋳造装置は、正面断面形状と、側面断面形状とが同じ形状のビレット等を製造する連続鋳造装置であっても、正面断面形状と、側面断面形状とが異なる形状のスラブ等を製造する連続鋳造装置であっても共に適用することができる(以下の第4実施形態〜第10実施形態においても同じ)。
【0068】
図4はこの発明の第4実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第4実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部の広い範囲に1番目の降下面部31が配置され、その外側に降下角度θが90°で垂直な2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に平坦な平坦面部41が配置されている。
【0069】
図5はこの発明の第5実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第5実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その外側に降下角度θがきつい(急な)1番目の降下面部31が配置され、その外側に降下角度θが90°で垂直な2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に降下角度θが緩やかな3番目の降下面部33が配置されている。
【0070】
図6はこの発明の第6実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第6実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その外側に降下角度θが90°で垂直な1番目の降下面部31が配置され、その外側に降下角度θが緩やかな2番目の降下面部32が配置され、その外側に降下角度θが90°で垂直な3番目の降下面部33が配置され、その外側(最外部)に平坦な2番目の平坦面部42が配置されている。
【0071】
図7はこの発明の第7実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第7実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に降下角度θが緩やかな1番目の降下面部31が配置され、その外側に降下角度θが90°で垂直な2番目の降下面部32が配置され、その外側に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その外側に降下角度θが急な3番目の降下面部33が配置され、その外側(最外部)に平坦な2番目の平坦面部42が配置されている。
【0072】
図8はこの発明の第8実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第8実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その両側に降下角度θが急な1番目の降下面部31が配置され、その外側に降下角度θが緩やかな2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に平坦な2番目の平坦面部42が配置されている。
【0073】
図9はこの発明の第9実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第9実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に湾曲面からなる1番目の降下面部31が配置され、その外側に降下角度θが緩やかな2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に平坦な平坦面部41が配置されている。
【0074】
図10はこの発明の第10実施形態である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの第10実施形態の連続鋳造装置において、下型2の頂面20には、中間部最上端位置に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その外側に降下角度θが急な1番目の降下面部31が配置され、その外側に湾曲面からなる2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に平坦な2番目の平坦面部42が配置されている。
【0075】
以上の構成を備えた第3〜第10実施形態の連続鋳造装置においても、上記第1および第2実施形態と同様に、下型2の頂面20の水はけが良好であるとともに、下型2とアルミニウム鋳塊W2とのかみ合いも良好であるため、鋳造性を向上できて鋳造トラブルを防止しつつ、準備時間を短縮できて生産性の向上を図ることができる。
【0076】
<参考例>
本発明の連続鋳造装置は、請求項1に記載される通り以下の必須要件P1〜P3を含んでいる。
【0077】
P1:頂面は、全体として中心部が外側縁部よりも高位に配置された略凸状に形成されるとともに、中心部から外側縁部にかけて上り傾斜する部分が存在しない。
【0078】
P2:頂面は、内側から外側に向けて下り傾斜する傾斜面または軸心に対し平行な垂直面によって構成される2つ以上の降下面部を含む。
【0079】
P3:2つ以上の降下面部のうちいずれか2つの降下面部は、軸心に直交する平坦面に対する角度である降下角度が互いに異なるように設定されている。
【0080】
この参考例においては、本発明の技術的範囲をより明確にするため、本発明の技術的範囲に含まれない連続鋳造装置を例示するものである。
【0081】
図11は第1参考例である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの連続鋳造装置においては、下型2の頂面20には、中間部に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その外側に降下面部31が配置され、その外側(最外部)に平坦な2番目の平坦面部42が配置されている。
【0082】
この第1参考例の連続鋳造装置は、降下面部31が1つだけであり、上記必須要件P2,P3を含んでいないため、本発明の連続鋳造装置とは異なるものである。
【0083】
図12は第2参考例である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの連続鋳造装置においては、下型2の頂面20が、山型の1つの傾斜面部31によって構成されている。
【0084】
この第2参考例の連続鋳造装置は、傾斜面部31が1つだけであり、上記必須要件P2,P3を含んでいないため、本発明の連続鋳造装置とは異なるものである。
【0085】
図13は第3参考例である連続鋳造装置を示す正面断面図である。同図に示すようにこの連続鋳造装置においては、下型2の頂面20が、中間部に平坦な1番目の平坦面部41が配置され、その外側に降下角度が90°で垂直な1番目の降下面部31が配置され、その外側に平坦な2番目の平坦面部42が配置され、その外側に降下角度が90°で垂直な2番目の降下面部32が配置され、その外側(最外部)に平坦な3番目の平坦面部43が配置されている。
【0086】
この第3参考例の連続鋳造装置は、2つの降下面部31,32の降下角度が共に90°で同じであり、必須要件P3を含んでいないため、本発明の連続鋳造装置とは異なるものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
この発明のアルミニウムの連続鋳造装置は、アルミニウムの塑性加工用の棒状ないし柱状鋳塊を製造する際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0088】
1:鋳型
2:下型
20:頂面
31〜33:降下面部
41〜43:平坦面部
2r:頂面の水平寸法
2r1,2r2:降下面部の水平寸法
O:軸心
W1:アルミニウム溶湯
W2:アルミニウム鋳塊
X:前後方向
Y:左右方向
Z:上下方向
θ:降下面部の降下角度
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13