特許第6885424号(P6885424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885424
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】販売支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20210603BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-128851(P2019-128851)
(22)【出願日】2019年7月11日
(62)【分割の表示】特願2014-202338(P2014-202338)の分割
【原出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2019-197573(P2019-197573A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2019年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】隈元 玄
【審査官】 衣川 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−048229(JP,A)
【文献】 特開2008−215705(JP,A)
【文献】 特開2008−310620(JP,A)
【文献】 特開2014−067225(JP,A)
【文献】 特開2009−258782(JP,A)
【文献】 特開2009−237924(JP,A)
【文献】 特開2001−249972(JP,A)
【文献】 特表2011−524568(JP,A)
【文献】 from NTT西日本 場所・日時・キーワードの3要素を一括で検索・表示する「TimescapeMap」,NTT技術ジャーナル,日本,一般社団法人電気通信協会,2014年 9月 1日,第26巻, 第9号,p.54-57,ISSN:0915-2318
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気調和装置(50)が設置され且つ複数のサービス提供エリアを施設内に有する商業施設への来場者に関する情報を提供するための処理部(65)を有する管理コンピュータ(60)と複数のアクセスポイント(70)とを備え、前記管理コンピュータと前記複数のアクセスポイントとがデータ伝送ライン(52)で接続されている販売支援システムであって、
前記複数のアクセスポイントは、前記データ伝送ラインを前記複数の空気調和装置と共通化しており、
前記処理部は、
前記商業施設の複数の来場者の動線データをそれぞれ検出する検出部(65a)と、
前記検出部が検出した前記動線データを受け取って前記動線データを分析する分析部(65b)と
を有し、
前記分析部は、複数の前記サービス提供エリアのうちの対象店舗に入った来場者である対象者が前記対象店舗に来る直前に入った少なくとも一つの第1サービス提供エリア及び/または、前記対象店舗から出て直後に入った少なくとも一つの第2サービス提供エリアを前記動線データから抽出し、分析結果として、前記第1サービス提供エリアに入った来場者に占める、前記第1サービス提供エリアから直接前記対象店舗に来た前記対象者の比率及び/または、前記第2サービス提供エリアに入った来場者に占める、前記対象店舗から直接前記第2サービス提供エリアに来た前記対象者の比率を算出する、販売支援システム。
【請求項2】
前記処理部の前記分析結果を記憶する記憶部(64)をさらに備える、
請求項1に記載の販売支援システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記分析部の前記分析結果を提示する提示部(65c)をさらに有する、
請求項1または請求項2に記載の販売支援システム。
【請求項4】
前記分析部は、前記分析結果として、前記第1サービス提供エリアから直接前記対象店舗に来た前記対象者の人数及び/または、前記対象店舗から直接前記第2サービス提供エリアに来た前記対象者の人数を算出する、
請求項3に記載の販売支援システム。
【請求項5】
前記分析部は、前記対象者が前記対象店舗の直前に入った前記第1サービス提供エリアに来る直前に入った少なくとも一つの第3サービス提供エリアを前記動線データから抽出し、前記分析結果として、前記第3サービス提供エリアから直接前記第1サービス提供エリアに入った直後に前記第1サービス提供エリアから前記対象店舗に来た前記対象者に関する統計データを生成する、
請求項4に記載の販売支援システム。
【請求項6】
前記分析部は、設定される分類条件に従って前記分析結果の分類を行なう機能を持つ、
請求項3から5のいずれか一項に記載の販売支援システム。
【請求項7】
前記分類条件及び/又は提示条件を入力する入力部(62)をさらに備え、
前記分析部及び/又は前記提示部は、前記入力部から入力される前記分類条件及び/又は前記提示条件に基づいて前記分析結果を生成して提示する、
請求項6に記載の販売支援システム。
【請求項8】
前記分析部は、前記商業施設の出入口エリアを前記第1サービス提供エリアとみなし、前記商業施設に入場後直接前記対象店舗に来た前記対象者に関する統計データを生成する
請求項1から7のいずれか一項に記載の販売支援システム。
【請求項9】
前記検出部は、来場者が持つ携帯無線端末の受信データを使って前記携帯無線端末の動線を検出することにより、前記商業施設の複数の来場者の前記動線データをそれぞれ検出する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の販売支援システム。
【請求項10】
前記複数のアクセスポイントは、来場者が持つ携帯無線端末と通信する機器であり、
前記検出部(65a)は、前記複数のアクセスポイントで受信した受信データから動線データを検出する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の販売支援システム。
【請求項11】
前記第1サービス提供エリアが、店舗、イベント会場、子供向けの遊び場または前記商業施設の出入口であり、
前記第2サービス提供エリアが、店舗、イベント会場、子供向けの遊び場または前記商業施設の出入口である、
請求項1から10のいずれか一項に記載の販売支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサービス提供エリアを施設内に有する商業施設への来場者に関する情報を提供する販売支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ショッピングモール、アウトレットモール、高層ビル内のデパート或いは地下街のように多数の店舗が入っている商業施設では、施設内に入った来場者の位置を携帯電話機などの無線発信機によって特定し、来場者の移動状況を情報として収集分析することが行われている。例えば特許文献1(特開2002−288793号公報)に記載されている情報収集システムでは、位置検知データから顧客が通過した経路の経路データを算出する。この情報収集システムは、例えば顧客が通過した経路から競合店などに立ち寄ったなどの情報を得ることのできるシステムである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の特許文献1に記載されている情報収集システムが提供する情報以外にも、来場者の移動経路に関する情報つまり動線データを異なる角度から分析することによって効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提供することのできる余地が残されている。
【0004】
本発明の課題は、対象店舗に来店した来場者の動線データを分析して対象店舗の効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提示できる販売支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点に係る販売支援システムは、管理コンピュータと複数のアクセスポイントとを備えている。管理コンピュータは、複数の空気調和装置が設置され且つ複数のサービス提供エリアを施設内に有する商業施設への来場者に関する情報を提供するための処理部を有する。管理コンピュータと複数のアクセスポイントとがデータ伝送ラインで接続されている。複数のアクセスポイントは、データ伝送ラインを複数の空気調和装置と共通化している。
【0006】
処理部は、商業施設の複数の来場者の動線データをそれぞれ検出する検出部と、検出部が検出した動線データを受け取って動線データを分析する分析部とを有する。
【0007】
分析部は、複数のサービス提供エリアのうちの対象店舗に入った来場者である対象者が対象店舗に来る直前に入った少なくとも一つの第1サービス提供エリア及び/または、対象店舗から出て直後に入った少なくとも一つの第2サービス提供エリアを動線データから抽出し、分析結果として、第1サービス提供エリアに入った来場者に占める、第1サービス提供エリアから直接対象店舗に来た対象者の比率及び/または、第2サービス提供エリアに入った来場者に占める、対象店舗から直接第2サービス提供エリアに来た対象者の比率を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】屋内空間の一例を説明するためのレイアウト図。
図2】一実施形態に係る販売支援システム及び販売支援システムの構成の概要を説明するためのブロック図。
図3】販売支援システム及び販売支援システムの構成の概要を説明するためのブロック図。
図4】時系列位置データを説明するための概念図。
図5】エリアIDとアクセスポイントIDとを紐付けするための紐付けデータを説明するための図。
図6】滞在エリア順序データを説明するための概念図。
図7】来場者の動線の一例を説明するためのレイアウト図。
図8】分析部が統合したデータの一例を説明するための概念図。
図9】分析部により分析された分析結果の一例を示す図。
図10】来店比率の順に並べて表示された分析結果の一例を示す図。
図11】来店者数の順に並べて表示された分析結果の一例を示す図。
図12】受信データから分析結果の報告データを作成するまでの手順の一例を示すフローチャート。
図13】時系列位置データから滞在エリア順序データを作成する手順の一例を示すフローチャート。
図14】販売支援システムの活用の一例を説明するための概念図。
図15】2つ前に滞在したサービス提供エリアの来店比率の計算方法を説明するための概念図。
図16】2つ前に滞在したサービス提供エリアについての分析を説明するためのブロック図。
図17】2つ前に滞在したサービス提供エリアについての分析結果を説明するための図。
図18】直後に滞在したサービス提供エリアについての分析を説明するためのブロック図。
図19】直後に滞在したサービス提供エリアについての分析結果を説明するための図。
図20】変形例1Cを説明するための概念図。
図21】変形例1Dを説明するための概念図。
図22】変形例1Eを説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る販売支援システムについて図面を用いて説明する。図1は、販売支援システムを使って情報を提供する商業施設の一例であるショッピングモールの1階の平面図である。ショッピングモール500には、サービス提供エリアとして、複数の店舗501と、イベント会場502と、子供向けの遊び場503と、通路504と、出入口505とを備えている。一つの店舗501は、破線で仕切られた一つの区画である。通路504は、斜線で示された領域である。なお、トイレなどの他の領域は、この実施形態の説明には必要ないため記載を省いている。図1に示されているように、ショッピングモール500には、複数の空調室内ユニット20が施設の全体にわたって配置されている。
【0010】
図2に示されている各アクセスポイント70は、商業施設の天井に設けられている各空調室内ユニット20に配置されている。1台の空調室内ユニット20には、1台のアクセスポイント70とともに1台の室内機30が設置されている。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態に係る販売支援システムの構成の概要を説明するためのブロック図である。図2に示されている販売支援システム10は、空気調和装置50と兼用する部分を備えることで、低コストであるにもかかわらず高い性能を有している。そこで、以下の一実施形態の説明では、空気調和装置50を簡単に説明した後に販売支援システムについて説明する。
【0012】
(1)全体構成
図2に示されている販売支援システム10は、ショッピングモール500に設置されている空気調和装置50を使って構成されている。複数台の室外機40のそれぞれに複数台の室内機30が接続されて、ショッピングモール500内の空気調和を行うための空気調和装置50が構成されている。図2の全ての室内機30と全ての室外機40は、空調制御装置51によって制御されている。室内機30と室外機40はデータ伝送ライン52で接続されている。また、空調制御装置51と室外機40及び室内機30との間は、データ伝送ライン52、ゲートウェイ53及びネットワーク伝送ライン54で繋がれている。また、室内機30を含む各空調室内ユニット20は、空調用電源線90に接続されている。この空調室内ユニット20のアクセスポイント70も空調用電源線90から電力を供給される。空気調和装置50は、各室外機40に複数台の室内機30が並列に接続されているマルチタイプの空気調和装置である。
【0013】
(2)販売支援システム10の構成
図3に示されているように、販売支援システム10は、データ伝送ライン52で接続されている管理コンピュータ60と複数台のアクセスポイント70とで構成されている。管理コンピュータ60と複数台のアクセスポイント70とを接続するデータ伝送ライン52は、空気調和装置50のデータ伝送ライン52と共通化されている。
【0014】
(2−1)アクセスポイント70
各アクセスポイント70は、例えばWi-Fiなどの規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)などの規格に準拠した無線PAN(Personal Area Network)に用いられ、例えば無線通信機能を有する携帯電話やスマートフォンなどの携帯無線端末100との間で通信を行なうことができる。そして、各アクセスポイント70は、受信データに含まれる伝達内容の他に、受信データを受信した受信時刻、及び携帯無線端末100を識別するための携帯ID(identification)を検知することができる。各アクセスポイント70は、データ伝送ライン52を通じて、内部に保持している自身のアクセスポイントIDとともに、伝達内容、受信時刻及び携帯IDを管理コンピュータ60の通信部61に送信することができる。
【0015】
(2−2)管理コンピュータ60
管理コンピュータ60は、データ伝送ライン52を通じて、各アクセスポイント70との間でデータの送受信を行なう通信部61と、例えばキーボードの文字信号などの管理コンピュータ60の内部で処理可能な入力信号を管理コンピュータ60の外部から内部に入力するための入力部62と、管理コンピュータ60の外部に対して情報を出力するための出力部63と、管理コンピュータ60に対して例えばデータ伝送ライン52及び入力部62から与えられたデータ及び各種プログラムを記憶する記憶部64と、例えばデータ伝送ライン52及び入力部62から与えられたデータ並びに記憶部64に記憶されているデータを処理する処理部65を備えている。
【0016】
(2−2−1)記憶部64
記憶部64は、複数のアクセスポイント70が配置されている屋内空間のマップデータを記憶するマップデータ記憶領域64aと、携帯無線端末100の受信データを記憶するための受信データ記憶領域64bと、検出された動線に関する動線データを記憶するための動線データ記憶領域64cと、処理部65における処理作業中の作業データを記憶するための作業データ記憶領域64dと、分析結果を記憶する分析結果記憶領域65eとを有する。
【0017】
(2−2−2)処理部65
処理部65は、CPUを含んで構成されている。処理部65のCPUは、記憶部64に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、動線検出部65a、分析部65b及び提示部65cとして機能する。
【0018】
(2−2−2−1)動線検出部65a
動線検出部65aは、複数のアクセスポイント70で受信される各携帯無線端末100の受信データ使って、携帯無線端末100の動線を検出し、ショッピングモール500の複数の来場者の動線データをそれぞれ取得する。具体的には、動線検出部65aは、例えば、受信データ記憶領域64bに記憶されている1日分の受信データから、図4に示されているような時系列位置データを生成する。図4の「年月日」は、管理コンピュータ60の記憶部64に記憶されているカレンダーから付与される。受信時刻及びアクセスポイントID(図4にはAP IDと記す)は、動線検出部65aによって、受信データ記憶領域64bから読み出された同一の携帯IDを含む受信データより抽出されたものである。図4には、アドレスMRT1〜MRTnが付されたn台の携帯無線端末100の時系列位置データが示されている。動線検出部65aは、抽出した同一の携帯IDを含むデータを時系列に並べる。
【0019】
図5には、サービス提供エリアを識別するためのエリアIDとアクセスポイントIDとを紐付けするための紐付けデータが示されている。この紐付けデータは、マップデータ記憶領域64aに記憶されているマップデータに含まれている。次に、動線検出部65aは、マップデータ記憶領域64aに記憶されている紐付けデータを参照して、図6に示されているように携帯ID毎に分類されている滞在エリア順序データを作成する。図6の滞在エリア順序データからは、アドレスMRT1が付された携帯無線端末100を持っている来場者は、「東側出入口」(エリアID=Ar001)から来場し、「映画館」(エリアID=Ar101)、「店A」(エリアID=Ar104)、そして「E広場」(エリアID=Ar130)の順に滞在したことが読み取れる。この読み取れた経路を結ぶことによって、図6のアドレスMRT1の携帯無線端末100を持っている来場者の動線が、図7に示されている動線ML1であることが分かる。図6に示されている滞在エリア順序データは、動線検出部65aが記憶部64に命じて、動線データ記憶領域64cに記憶される。
【0020】
なお、図5に示されているように、基準となる基準滞在時間を予め設定しておくことができる。基準滞在時間を超えない場合には直前に居たとは判断しないようにして、サービス提供エリアでサービスを受けずに単に素通りした場合を直前の滞在エリアから除くように設定することができる。この基準滞在時間は、エリアごとに設定時間を異ならせることもできる。以下の説明では、基準滞在時間を満たした動線データの解析について説明する。
【0021】
(2−2−2−2)分析部65b
分析部65bは、動線検出部65aが検出した動線データを受け取って動線データを分析する。例えば、販売支援システム10の操作者が入力部62から年月、平日・休日、時間帯などの条件を入力すると、分析部65bが、動線データ記憶領域64cより読み出した滞在エリア順序データから入力された条件に合致するデータを抽出して統合する。このように、分析部65bが統合したデータの一例が図8に示されている。図8に示されているデータを抽出するために入力された条件は、「7月」の「平日」であって、受信時刻が「15:00から16:00」にショッピングモール500を利用したというものである。分析部65bが統合したデータは、作業データ記憶領域64dに記憶される。
【0022】
さらに、分析部65bには、前述の条件の下で、「店A」について分析するように、入力部62から分析対象の情報が入力される。その分析対象の情報を入力部62から受け取った分析部65bは、図8に示されているデータを作業データ記憶領域64dから読み出し、「店A」の直前の滞在エリアのエリアIDが同じ値を示す携帯無線端末100の数をカウントする。図8に示されているアドレスMRT1の携帯無線端末100を持った来場者は、「店A」に入場する前に「映画館」(エリアIDがAr101)に居た。この「店A」に入場する前に「映画館」に居たという情報により、直前の滞在エリアが「映画館」というデータの滞在者の総数が1つ増加する。携帯IDとエリアIDを使ってこのような計算を繰り返し、「7月」の「平日」の「15:00から16:00」に「店A」の前に「映画館」を訪れた来場者の総数をカウントする。このとき、分析部65bは、同じ携帯IDとエリアIDを持つものが複数回認識されても、複数回をまとめて1回とカウントする。
【0023】
また、分析部65bは、「7月」の「平日」の「15:00から16:00」に「映画館」を訪れた来場者の直前滞在エリアの滞在者総数をカウントする。分析部65bは、前述の「店A」の前に「映画館」を訪れた来場者の総数を「映画館」の直前滞在エリアの滞在者総数で割って「店A」に来店した来店比率を算出する。このようにして分析部65bにより分析された分析結果の一例が図9に示されている。図9に示されているような分析結果は、分析部65bが記憶部64に命じて、分析結果記憶領域64eに記憶される。
【0024】
(2−2−2−3)提示部65c
提示部65cは、図9に示されているような分析部65bの分析結果を提示する。提示部65cは、出力部63に命じて、出力部63の例えば表示画面に図9のデータを表の形式で表示させる。
【0025】
表示方法は任意に設定できるが、例えば、図10に示されているように、来店比率の順に並べて表示させる形式や、図11に示されているように、「店A」に来店した来店客数の従に並べて表示させる形式を設定することができる。
【0026】
(3)販売支援システム10の動作
(3−1)分析の手順
上述の販売支援システム10の受信データ記憶領域64bに記憶されている受信データから分析結果の報告データを作成するまでの手順の一例をまとめると図12及び図13のようになる。先ず、動線検出部65aが、受信データ記憶領域64bに記憶されている受信データから、図4に示されているような時系列位置データを生成する(ステップS1)。次に、動線検出部65aが、時系列位置データから滞在エリア順序データを作成する(ステップS2)。
【0027】
ステップS2の詳細な例が図13に示されている。まず、ステップS11で、滞在エリア順序データを作成するための携帯無線端末100の時系列位置データ(図13には「携帯データ」と記す)の有無を判断する。携帯無線端末100の時系列位置データが残っていなければ、動線検出部65aは作業を終了する。時系列位置データが有れば、動線検出部65aは、一つの携帯無線端末100に対応する時系列位置データを一つ抽出する(ステップS12).次のステップS13では,滞在時間をカウントするためのパラメータ「滞在」に「未」という値を代入する。なお、このパラメータ「滞在」に代入される値は、「未」又は「中」である。
【0028】
次にステップS14に進み、動線検出部65aは、処理を行なっていない時系列位置データのうちの最も早い受信時刻のデータを一つ抽出する。そして、動線検出部65aは、アクセスポイントIDが記憶部64(図13にはDBと記す)に登録されているエリアIDがあるか否かを検索する(ステップS15)。アクセスポイントIDに紐付けされているエリアIDがあれば、次のステップS16に進み、動線検出部65aは、パラメータ「滞在」の値が「中」であるか否かを判断する。このステップS16の判断に用いられるパラメータ「滞在」は、その値が「未」ならば、未だ何処にも滞在していないことを表し、その値が「中」ならば、いずれかのエリアに滞在中であることを表す。
【0029】
ステップS16でパラメータ「滞在」の値が「中」であれば、次のステップS17に進み、動線検出部65aは、エリアIDが一つ前の受信時刻のデータと同じか否かを判断する。ステップS17でエリアIDが一つ前の受信時刻のデータと同じと判断されるということは、依然として同じエリアに留まっているということである。そこで、動線検出部65aは、次のステップS18に進み、そのエリアでの滞在時間を更新して次のステップS19に進む。滞在時間の更新は、ステップS18に進むまでのそのエリアの滞在時間に受信データの受信間隔ΔTを加算することである。
【0030】
ステップS19では、動線検出部65aは、一つの携帯無線端末100に対応する時系列位置データが全て終了したか否かを判断する。例えば、アドレスMRT1の携帯無線端末100に対して、時系列位置データについての滞在エリア順序データの作成が終了したか否かのような判断をする。一つの携帯無線端末100に対応する時系列位置データが全て終了すれば、ステップS11に戻って、次の携帯無線端末100に対応する時系列位置データの処理を開始するか否かを判断する。一つの携帯無線端末100に対応する時系列位置データが全て終了しているのでなければ、ステップS14に戻って、次の動線検出部65aは、処理を行なっていない時系列位置データのうちの最も早い受信時刻のデータ、つまり次の受信時刻のデータを一つ抽出して、上述の処理を継続する。
【0031】
ところで、ステップS15でアクセスポイントIDに対応するエリアIDが存在しなかったときは、ステップS20に進み、動線検出部65aは、パラメータ「滞在」の値が「中」であるか否かを判断する。パラメータ「滞在」の値が「中」であれば、それまでにあるエリアに滞在していたと判断できるので、ステップS21に進み、動線検出部65aは、例えば一つ前の受信時刻のエリアID、そのエリアIDが示すエリアでの滞在の開始時間と終了時間を書き出す。終了時間は、一つ前の受信時刻であり、開始時間は終了時間から滞在時間を差し引いて求められる。そして、動線検出部65aは、滞在時間をリセットし、パラメータ「滞在」の値を「未」に変更する。もし、ステップS20でパラメータ「滞在」の値が「中」でないと判断されれば、動線検出部65aは、ステップS22に進み、滞在時間をリセットして、パラメータ「滞在」の値を「未」に維持したまま次のステップに進む。ステップS21でも、ステップS22でも、いずれの場合も次に行われる処理は同じステップS19の処理である。
【0032】
また、ステップS16でパラメータ「滞在」の値が「中」でないと判断されたときは、ステップS23に進み、動線検出部65aは、エリアIDが一つ前の受信時刻のデータと同じか否かを判断する。ステップS23でエリアIDが一つ前の受信時刻のデータと同じと判断されるということは、同じエリアに留まっているということである。そこで、動線検出部65aは、次のステップS24に進み、そのエリアでの滞在時間を更新するとともにパラメータ「滞在」の値を「中」に変更して次のステップS19に進む。もし、ステップS23でエリアIDが一つ前の受信時刻のデータと異なると判断されれば、動線検出部65aは、ステップS25に進み、滞在時間をリセットして、パラメータ「滞在」の値を「未」に維持したまま次のステップに進む。ステップS24でも、ステップS25でも、いずれの場合も次に行われる処理は同じステップS19の処理である。
【0033】
さらに、ステップS17でエリアIDが一つ前の受信時刻のデータと同じでないと判断されれば、それはそのエリアから他のエリアに移動したということであるから、ステップS26に進み、動線検出部65aは、例えば一つ前の受信時刻のエリアID、そのエリアIDが示すエリアでの滞在の開始時間と終了時間を書き出す。そして、動線検出部65aは、滞在時間をリセットし、パラメータ「滞在」の値を「未」に変更して、次のステップS19に進む。
【0034】
以上のようにして、図12のステップS2を終了してステップS3に進むと、分析部65bが、動線データ記憶領域64cより読み出した滞在エリア順序データから入力された条件に合致するデータを抽出して統合する。また、分析部65bは、入力部62から入力されたエリアについて、その直前の各エリアIDを特定して、特定した各エリアIDを持つエリアの滞在者の総数を算出する(ステップS4)。さらに、分析部65bは、入力部62から入力されたエリアについて、入力されたエリアへその直前の各エリアIDから来店した来店比率を算出する(ステップS5)。来店比率は、直前のエリアからの来店者数を直前のエリアの滞在者総数で除して得られる。次のステップS6では、提示部65cは、出力部63に命じて、図9図10図11に示されているような分析部65bの分析結果を提示する。
【0035】
例えば、図11の来店者数の順に並んだデータを見ると、来店者数が最も多いグルメモールにいる滞在者に集客のための宣伝や広告などを行うことをすぐに思いつくかもしれない。しかし、来店比率の順に並んだ図10を見ると、玩具売場、喫茶店及び映画館に入場して滞在した後に「店A」に来店する確率が高いことが分かるので、「店A」の経営者は、玩具売場、喫茶店及び映画館に滞在している滞在者に対して宣伝や広告を行い、効率良く来店者を増やすことができる。
【0036】
(4)販売支援システム10の他の活用例
図14は、販売支援システム10の活用の一例を説明するための概念図である。図14には、ショッピングモール500以外の施設500A,500B,500Cが記載されている。そして、それぞれの施設500A,500B,500Cにも、ショッピングモール500に設置された販売支援システム10と同様の販売支援システム10A,10B,10Cが設けられている。例えばショッピングモール500の販売支援システム10の管理コンピュータ60は、ルータ13で接続している通信網12を介してセンター11の分析サーバに接続されている。同様に、各施設500A,500B,500Cの販売支援システム10A,10B,10Cも、各管理コンピュータ60A,60B,60Cがセンター11の分析サーバに接続されている。センター11の分析サーバは、ショッピングモール500だけでなく、近隣の施設500A,500B,500Cのデータも入手できるように構成されている。例えば、「店A」の経営者が近隣の施設500A,500B,500Cにも「店A」と同種の店舗を所有していれば、「店A」の経営者は、上述の販売支援システム10を使った販売支援を近隣の施設500A,500B,500Cでも行い、全体のデータを統合して「店A」の販売支援に活用することができる。
【0037】
また、同じ系列のショッピングモールでも、レイアウトやテナントが違う場合もあり、異なる場所に立地している商業施設には地域性、顧客層等の差がある場合がある。このような場合には、データを統合せずに、差異が顕著化すると考えられる遠方にある施設500A,500B,500Cの傾向とショッピングモール500の傾向とを比較評価することで、センター11で収集される全体のデータを対象店舗「店A」の販売支援に活用してもよい。
【0038】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、分析部65bが直前の滞在エリアから直接来店した来店者についての分析を行なう場合について説明したが、分析部65bは、2つ前の滞在エリアから直前の滞在エリアを経由して直接来店した来店者についての分析を行なうように構成されてもよい。
【0039】
図15に示されているように、「A店」に来店する直前に「B店」に滞在し、「B店」に来店する前に「C店」に滞在した場合の来店比率の計算方法について考える。この「C店」が2つ前の滞在エリアになる。このような場合、「C店」の滞在者が取り得るパターンは、次の5つのパターンになる。つまり、(a)「C店」から「B店」を経由して「A店」に来店する場合(この人数をn1とする)、(b)「C店」から「B店」を経由して「A店以外のエリア」に行く場合(この人数をn2とする)、(c)「C店」から「B店」に行くが、その後どのエリアにも寄らずにショッピングモール500から退場する場合(この人数をn3とする)、(d)「C店」から「B店以外のエリア」に行く場合(この人数をn4とする)、(e)「C店」を出て、その後どのエリアにも寄らずにショッピングモール500から退場する場合(この人数をn5とする)の5つのパターンが考えられる。このような場合には、来店比率は、n1/(n1+n2+n3+n4+n5)で与えられる。
【0040】
分析部65bは、上記実施形態で「店A」の直前滞在エリアの分析を行なったときと同様に、「店A」の替わりに図16に示されている「グルメモール」の直前滞在エリアの分析を行なう。この場合には、「グルメモール」を経由して直接「店A」に来店した51人のデータが特定されているので、この51人のデータを用いて店X、店Y及び店Zから直接「グルメモール」に来た来店者数が算出される。また、図17に示されている店X、店Y及び店Zから直接「グルメモール」に来た後に「店A」に来店した来店比率を求めるために、分析部65bは、動線データ記憶領域64cに記憶されている滞在エリア順序データを用いて、店X、店Y及び店Zに滞在した直前滞在エリアの滞在者総数を算出する。例えば、限られた枚数のポスターで広告をする場合に「グルメモール」から店X、店Y及び店Zに繋がる経路のうち、店Xに繋がる経路に広告をするのが効果的であることが分析できる。
【0041】
なお、上述のように2つ前だけに限らずにたどれるだけ辿るように構成することも可能である。直前、2つ前に限らずに辿れるだけ辿ってデータを作成すれば、さらに来店可能性のある顧客の詳細な分析が可能になる。
【0042】
(5−2)変形例1B
上記変形例1Aでは、2つ前の滞在エリアから直前の滞在エリアを経由して直接来店した来店者についての分析を行ったが、来店直後の滞在店の来店者の分析を行ってもよい。図18及び図19に、「店A」を出た直後に来店者の取った行動(行き先)が示されている。図18及び図19から分かるように、「店A」に滞在した51名のうち、6名が「店α」に直行し、23名が「店β」に直行し、残りの22名が帰宅した。このような分析は、上記実施形態の販売支援システム10を使って行うことができ、例えば「グルメモール」(直前の滞在エリア)から「店A」(対象店舗)への来店者の分析と同様の手法で、来店者51名の動線を分析することにより、分析部65bによって行える。そして、分析部65bは、指定時間帯の「店α」の滞在客が24人であったとすると、「店α」の滞在者に占める「店A」から「店α」への来訪者の割合を、6人/24人×100=25%のように計算する。
【0043】
例えば、販売支援システム10からこのようなデータを提示された「店A」の経営者は、「店α」においてリピーターを増やすための販売促進活動を行うことで、効率良く顧客の獲得ができる。また、「当店からの来訪者数」を見ると、来店者のうちの多くが「店β」に流れていることが分かるので、「店β」で販売促進活動を行うことが考えられる。さらには、「店A」に立ち寄った直後に帰宅する者が多いことが分かれば、帰宅する来場者に対して販売促進活動を行うとも考えられる。
【0044】
なお、上記変形例1Aの場合に2つ前だけに限らずにたどれるだけ辿るように構成することも可能であったが、変形例1Bの場合には、直前、直後、2つ前に限らずに前後方向に辿れるだけ辿ってデータを作成すれば、さらに来店可能性のある顧客の詳細な分析が可能になる。
【0045】
また、変形例1Bでは、直前、直後、2つ前の滞在エリアを分析したが、例えば「店A」の直後の滞在エリアのみを分析することも可能である。
【0046】
(5−3)変形例1C
例えば、図20に示されているように、温度及び/又は湿度のように空調センサで記録可能なデータを紐付けして記録していてもよい。そして、上述のように、曜日や時間帯をキーとして分析部65bに分析させるのに代えて、又は曜日や時間帯に加えて温度及び/又は湿度のような空調センサで記録可能なデータをキーとして分析部65bに分析させるように構成することもできる。さらには、空調センサで記録可能なデータ以外に、例えば天気情報及びイベント・キャンペーン開催日を併せて記録しておくこともできる。
【0047】
(5−4)変形例1D
サービス提供エリアの定義を、入力部62からの入力によって変更できるように構成することもできる。例えば、図21に示されているように、アクセスポイントIDがP4のサービス提供エリアをエリアIDがAr102の「モール内店A」、アクセスポイントIDがP5のサービス提供エリアをエリアIDがAr103の「モール内店B」、そしてアクセスポイントIDがP5のサービス提供エリアをエリアIDがAr103の「モール内店C」のように分類していたものを、アクセスポイントIDがP4,P5,P6のサービス提供エリアをひとまとめにしてエリアIDがAr102の「グルメモール」というように変更でき、また逆の変更も可能に構成することもできる。
【0048】
(5−5)変形例1E
上記実施形態では、アクセスポイント70によって携帯無線端末100の位置を特定したが、図22に示されているように、3点測位によって携帯無線端末100の位置を特定してもよい。図22に示されている例では、XY座標のXの範囲(Xmin〜Xmax)とYの範囲(Ymin〜Ymax)でサービス提供エリアが区画されている。例えば、No.101〜106までのデータが映画館に滞在したことを示すデータとなっている。しかし、サービス提供英リアの区画の仕方はこのような方法に限られるものではなく、例えば多角形で区画されてもよい。
【0049】
(6)特徴
(6−1)
以上説明したように、分析部65bは、動線検出部65a(検出部の例)が検出した動線データを受け取って、図10に示されているように、例えば「玩具」、「喫茶店」及び「映画館」など(第1サービス提供エリアの例)から直接対象店舗である「店A」に来た対象者の「玩具」、「喫茶店」及び「映画館」などに入った来場者に占める来店比率(比率の例)を算出している。このような来店比率より「玩具」、「喫茶店」及び「映画館」などの来場者から対象店舗への来店傾向を評価し易くなり、対象店舗である「店A」に来店した来場者の動線データを分析して対象店舗の効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提示でき、対象店舗の効率の良い販売促進活動の支援ができる。
【0050】
また、分析部65bは、動線検出部65a(検出部の例)が検出した動線データを受け取って、図19に示されているように、例えば対象店舗である「店A」から直接「店α」及び「β店」(第2サービス提供エリアの例)に行った来訪者が「店α」及び「店β」の滞在者に占める割合(比率の例)を算出している。このような来訪者の割合より「店α」及び「店β」の来場者より対象店舗から後の顧客の流れを評価し易くなり、対象店舗である「店A」に来店した来場者の動線データを分析して対象店舗の効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提示でき、対象店舗の効率の良い販売促進活動の支援ができる。
【0051】
(6−2)
図11に示されているように、分析部65bが直前滞在エリア(第1サービス提供エリアの例)から直接対象店舗である「店A」に入った対象者の人数を算出し、その分析結果を提示部65cが提示するので、直前滞在エリアが販売促進の対象として適切か否かを判断し易くなる。
【0052】
また、図19に示されているように、分析部65bが対象店舗である「店A」から直接直後滞在エリア(第2サービス提供エリアの例)に入った対象者の人数を算出し、その分析結果を提示部65cが提示するので、直前滞在エリアが販売促進の対象として適切か否かを判断し易くなる。
【0053】
(6−3)
分析部65bが、図16を用いて説明したように、2つ前のエリア(第3サービス提供エリアの例)から直前滞在エリア(第1サービス提供エリアの例)に直接来てさらに直前滞在エリアから直接対象店舗である「店A」に来た対象者に関する統計データを生成するので、統計データとして例えば図17に示されているような2つ前のエリアから直前滞在エリアを経由して直接対象店舗である「店A」に来店した対象者の人数及び/又は対象者の比較データを提示部65cによって対象店舗の関係者に提示できる。その結果、販売支援システム10は、2つ前のエリアの情報を用いて、対象店舗である「店A」の効率の良い販売促進活動が行えるように支援することができる。
【0054】
(6−4)
分析部65bが、設定された条件に従って分析結果を分類する機能を持つので、例えば月日、曜日、時間帯、天気、温湿度などの条件に従って分析結果を分類することで、提示部65cにより条件別の分析結果を提示することができる。その結果、種々の条件に沿った分析結果が提出でき、対象店舗の効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提示し易くなる。
【0055】
(6−5)
上記実施形態では、入力部62から分類条件及び/又は提示条件を入力することができるように構成されている。そして、分析部65b及び/又は提示部65cは、入力部62から入力される分類条件及び/又は提示条件に基づいて分析結果を生成して提示することができるように構成されている。その結果、入力部62から入力する分類条件及び/又は提示条件によって分析結果を様々に提示することができ、販売支援システムの使用者の利便性が向上する。
【0056】
(6−6)
分析部65bは、ショッピングモール500の出入口505(商業施設の出入口エリアの例)を直前滞在エリア(第1サービス提供エリアとみなす例)として、ショッピングモール500に入場後直接対象店舗である「店A」に来た対象者に関する統計データを生成することができるように構成されている。そのために、例えば、出入口505のように瞬間的に通り過ぎるエリアでは、基準滞在時間を極めて短く、あるいは基準滞在時間を0に設定してそのポイントを通り過ぎればよいように構成されている。このように、分析部65bがショッピングモール500に入場後直接対象店舗である「店A」に来た対象者に関する統計データも生成できるので、対象店舗である「店A」を第1目標に商業施設に来場する顧客のデータを得ることができ、販売促進の支援内容を拡張することができる。
【0057】
このようにして得られる出入口505から直接対象店舗である「店A」に来店する顧客についてのデータは、事前に実施した販売促進活動(例えば、広報活動した場所はショッピングモール500の施設外(例えば、別施設、放送媒体を使ったコマーシャル、折込みチラシ、又は電子メール)であっても、施設内の別な場所でもあってもよい。)の宣伝効果を分析・検証することに用いることもできる。商業施設の出入口エリアから直接来店する顧客のデータを使って、事前に広告や宣伝をした時としなかった時の比較や、事前に実施した宣伝内容を変更した場合の来客数の増減変化等を比較評価することで、より有効な販促手段を評価・判断する支援につなげることができる。
【0058】
(7)発明の他の観点
本発明の第1観点に係る販売支援システムは、複数のサービス提供エリアを施設内に有する商業施設への来場者に関する情報を提供する販売支援システムであって、商業施設の複数の来場者の動線データをそれぞれ検出する検出部と、検出部が検出した動線データを受け取って動線データを分析する分析部と、分析部の分析結果を提示する提示部とを備え、分析部は、複数のサービス提供エリアのうちの対象店舗に入った来場者である対象者が対象店舗に来る直前に入った少なくとも一つの第1サービス提供エリア及び/または、対象店舗から出て直後に入った少なくとも一つの第2サービス提供エリアを動線データから抽出し、分析結果として、第1サービス提供エリアに入った来場者に占める、第1サービス提供エリアから直接対象店舗に来た対象者の比率及び/または、第2サービス提供エリアに入った来場者に占める、対象店舗から直接第2サービス提供エリアに来た対象者の比率を算出する。
【0059】
第1観点の販売支援システムでは、分析部が第1サービス提供エリアから直接対象店舗に来た対象者の第1サービス提供エリアに入った来場者に占める比率及び/または、第2サービス提供エリアに入った来場者に占める、対象店舗から直接第2サービス提供エリアに来た対象者の比率を算出するので、その比率から第1サービス提供エリアの来場者から対象店舗への来店傾向を評価し易くなり、あるいは対象店舗から第2サービス提供エリアへの来店傾向を評価し易くなり、対象店舗の効率の良い販売促進活動の支援ができる。
【0060】
本発明の第2観点に係る販売支援システムは、第1観点の販売支援システムであって、分析部は、分析結果として、第1サービス提供エリアから直接対象店舗に来た対象者の人数を算出する、ものである。
【0061】
第2観点の販売支援システムでは、分析部が第1サービス提供エリアから直接対象店舗に入った対象者の人数及び/または、前記対象店舗から直接第2サービス提供エリアに来た対象者の人数を算出し、その分析結果を提示部が提示するので、第1サービス提供エリアや第2サービス提供エリアが販売促進の対象にとって適切か否かを判断し易くなる。
【0062】
本発明の第3観点に係る販売支援システムは、第2観点の販売支援システムであって、分析部は、対象者が対象店舗の直前に入った第1サービス提供エリアに来る直前に入った少なくとも一つの第3サービス提供エリアを動線データから抽出し、分析結果として、第3サービス提供エリアから直接第1サービス提供エリアに入った直後に第1サービス提供エリアから対象店舗に来た対象者に関する統計データを生成する、ものである。
【0063】
第3観点の販売支援システムでは、分析部が第3サービス提供エリアから直接第1サービス提供エリアに来てさらに第1サービス提供エリアから直接対象店舗に来た対象者に関する統計データを生成するので、統計データとして例えば第3サービス提供エリアから第1サービス提供エリアを経由して直接対象店舗に来店した対象者の人数及び/又は対象者の比較データを提示部によって対象店舗の関係者に提示でき、対象店舗の効率の良い販売促進活動を行えるように支援できる。
【0064】
本発明の第4観点に係る販売支援システムは、第1観点から第3観点のいずれかの販売支援システムであって、分析部は、設定される分類条件に従って分析結果の分類を行なう機能を持つ、ものである。
【0065】
第4観点の販売支援システムでは、分析部が、設定された条件に従って分析結果を分類する機能を持つので、例えば月日、曜日、時間帯、天気、温湿度などの条件に従って分析結果を分類することで、提示部により条件別の分析結果を提示することができる。
【0066】
本発明の第5観点に係る販売支援システムは、第4観点の販売支援システムであって、分類条件及び/又は提示条件を入力する入力部をさらに備え、分析部及び/又は提示部は、入力部から入力される分類条件及び/又は提示条件に基づいて分析結果を生成して提示する、ものである。
【0067】
第5観点の販売支援システムでは、入力部から入力する分類条件及び/又は提示条件によって分析結果を様々に提示することができ、販売支援システムの使用者の利便性が向上する。
【0068】
本発明の第6観点に係る販売支援システムは、第1観点から第5観点のいずれかの販売支援システムであって、分析部は、商業施設の出入口エリアを第1サービス提供エリアとみなし、商業施設に入場後直接対象店舗に来た対象者に関する統計データを生成する、ものである。
【0069】
第6観点の販売支援システムでは、分析部が商業施設に入場後直接対象店舗に来た対象者に関する統計データを生成するので、対象店舗を目的に商業施設に来場する顧客のデータを得ることができる。
【0070】
本発明の第1観点に係る販売支援システムでは、対象店舗に来店した来場者の動線データを分析して対象店舗の効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提示できる。
【0071】
本発明の第2観点に係る販売支援システムでは、第1サービス提供エリアや第2サービス提供エリアの販売促進の対象としての適否が判断し易くなり、効率の良い販売促進活動ができる。
【0072】
本発明の第3観点に係る販売支援システムでは、第3サービス提供エリアに関する情報を用いて対象店舗の効率の良い販売促進活動を行えるように支援できる。
【0073】
本発明の第4観点に係る販売支援システムでは、対象店舗の効率の良い販売促進活動に役立つ情報を提示し易くなる。
【0074】
本発明の第5観点に係る販売支援システムでは、販売支援システムの使用者の利便性が向上する。
【0075】
本発明の第6観点に係る販売支援システムでは、販売促進の支援内容を拡張することができる。
【符号の説明】
【0076】
10,10A,10B,10C 販売支援システム
60,60A,60B,60C 管理コンピュータ
65 処理部
65a 動線検出部
65b 分析部
65c 提示部
70 アクセスポイント
100 携帯無線端末
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2002−288793号公報
図1
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