(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の方向に互いに離間するように配列され、上方へ突出して前記第1の方向と直交する水平方向である第2の方向に延びる複数の山部を有するデッキプレートに取り付けられる金物であって、
少なくとも一つの前記山部の上面に配置され、前記金物の上端部と前記山部の前記上面とを離間させるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材が配置される前記山部から前記第1の方向における一方側に離間する前記山部に係合する第1の係合部材と、
前記スペーサ部材が配置される前記山部から前記第1の方向における他方側に離間する前記山部に係合する第2の係合部材と、
前記第1の係合部材に係合される前記山部に対して、前記第1の係合部材から前記第2の方向における一方側に離間した位置にて係合する第3の係合部材と、
前記第2の係合部材に係合される前記山部に対して、前記第2の係合部材から前記第2の方向における一方側に離間した位置にて係合する第4の係合部材と、を備え、
前記第1の係合部材、前記第2の係合部材、前記第3の係合部材、及び前記第4の係合部材は、前記スペーサ部材に接続される、金物。
前記第1の係合部材、前記第2の係合部材、前記第3の係合部材、及び前記第4の係合部材は、それぞれの前記山部に対して前記第1の方向における外側から係合する、請求項1〜3の何れか一項に記載の金物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る金物がデッキプレートに取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す金物及びデッキプレートを示す正面図である。
図3は、
図1に示す金物の斜視図である。
図4は、デッキプレートを用いて構成されたコンクリートスラブの概略断面図である。本実施形態に係る金物100は、
図4に示すようなコンクリートスラブ50を構成するために用いられるものである。なお、以降の説明においては、XYZ座標を設定して説明を行う場合がある。水平方向における一の方向をX軸方向とし、水平方向においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。X軸方向における一方側を「正側」とし他方側を「負側」とする。Y軸方向における一方側を「正側」とし他方側を「負側」とする。Z軸方向における上側を「正側」とし下側を「負側」とする。
【0015】
まず、
図4を参照して、コンクリートスラブ50及びデッキプレート60の構成について説明する。
図4に示すように、コンクリートスラブ50は、デッキプレート60を型枠とし、当該デッキプレート60上にコンクリート52を打設することによって構成される。コンクリート52の内部には、ボイドVを形成するためのボイド型枠53と、上面付近に水平方向に配置される金網状の鉄筋54と、を備えている。デッキプレート60は、水平方向に広がる底面部61と、底面部61から上方へ突出する複数の山部62と、を備えている(
図1参照)。複数の山部62は、X軸方向に互いに離間するように配置される。また、複数の山部62は、それぞれY軸方向に延びている。また、山部62は、底面部61から上方へ向かって垂直に真っ直ぐ延びる垂直部63と、垂直部63の上端部に設けられる拡大部64と、を備える。拡大部64は、逆三角形状をなしており、垂直部63の厚みに比して、上面62aが拡大されている。なお、説明の便宜上、本実施形態において金物100の取り付けに関わる三つの山部62を、X軸方向における負側から正側へ向かって山部62A、山部62B、山部62Cと称する場合がある。
【0016】
ボイド型枠53は、コンクリート52内の上下方向における中途位置に配置されている。ボイド型枠53は、コンクリート52の打設前には、デッキプレート60の底面部61に配置されている。そして、コンクリート52が打設された場合、コンクリート52の硬化前に、ボイド型枠53は、浮力によってコンクリート52内を上昇する。ボイド型枠53は、隣合う山部62の拡大部64同士の間の隙間を抜けて上昇する。そして、ボイド型枠53は、金物100に保持された位置(
図2参照)にて停止し、コンクリート52の硬化に伴い、当該位置に固定される。鉄筋54は、コンクリート52内の上面付近に配置されている。鉄筋54は、コンクリート52の打設前には、金物100の上端部100aに載置される(
図2参照)。コンクリート52が打設されて硬化することで、鉄筋54は、当該位置にて固定される。
【0017】
図1〜
図3を参照して、金物100の構成について説明する。金物100は、複数の山部62を有するデッキプレート60に取り付けられる部材である。また、金物100は、デッキプレート60に取り付けられた状態にて、コンクリート52内を浮上するボイド型枠53を所定の位置で保持し、且つ、鉄筋54をコンクリート52内の所定の高さ位置に保持する機能を有する。
図1〜3に示すように、金物100は、スペーサ部材1と、支持部材2と、係合部材3と、規制部材4と、連結部材6と、受け部材7と、を備えている。
【0018】
スペーサ部材1は、少なくとも一つの山部62の上面62aに配置され、金物100の上端部100aと山部62の上面62aとを離間させる部材である。本実施形態では、スペーサ部材1は、山部62A,62B,62Cのうちの山部62Bの上面62aに配置される。ただし、スペーサ部材1は複数の山部62にまたがって配置されていてもよい。スペーサ部材1は、上下方向において一定の高さを有している。スペーサ部材1は、山部62の上面62aに配置される下端部において、X軸方向に延びていてよい。これにより、スペーサ部材1が山部62の上面62aから落下すること、及び上面62a上でのX軸方向における姿勢(例えば傾きなど)を維持することができる。ただし、スペーサ部材1の下端部は、上面62aに対してY軸方向に延びていてもよく、上面62aに対して実質的に点接触するような構成であってもよい。また、スペーサ部材1は、Y軸方向において1つだけ設けられていてもよいし、複数設けられてもよい。スペーサ部材1が複数設けられている場合は、金物100のY軸方向における姿勢を維持することができるため、後述の支持部材2としての機能も兼ねることができる場合がある。
【0019】
支持部材2は、山部62で支持され、金物100のY軸方向における姿勢を維持する部材である。支持部材2は、後述の係合部材3A,3B,3C,3Dに係合されない山部62Bに支持される。支持部材2は、Y軸方向に所定寸法延びる部分と、Y軸方向における正側で山部62Bの上面62aに支持される部分と、Y軸方向における負側で山部62Bの上面62aに支持される部分と、を備えている。なお、支持部材2の一部がスペーサ部材1によって構成される場合がある。よって、山部62B上に設けられ、スペーサ部材1及び支持部材2を含む部分を本体部10と称する場合がある。本体部10は、スペーサ部材1及び支持部材2として機能する部材とみなしてよい。よって、特段の説明がない場合は、「本体部10に接続」という表現は、「スペーサ部材1に直接的又は間接的に接続」「支持部材2に直接的又は間接的に接続」と同等の表現であるものとする。
【0020】
係合部材3は、山部62に係合する部材である。本実施形態では、金物100は、第1の係合部材3Aと、第2の係合部材3Bと、第3の係合部材3Cと、第4の係合部材3Dと、を備えている。第1の係合部材3Aは、スペーサ部材1が配置される山部62BからX軸方向における負側に離間する山部62Aに係合する部材である。第2の係合部材3Bは、スペーサ部材1が配置される山部62BからX軸方向における正側に離間する山部62Cに係合する部材である。第3の係合部材3Cは、第1の係合部材3Aに係合される山部62Aに対して、第1の係合部材3AからY軸方向における正側に離間した位置にて係合する部材である。第4の係合部材3Dは、第2の係合部材3Bに係合される山部62Cに対して、第2の係合部材3BからY軸方向における正側に離間した位置にて係合する部材である。第1の係合部材3A、第2の係合部材3B、第3の係合部材3C、及び第4の係合部材3Dは、スペーサ部材1に接続される。第1の係合部材3A、第2の係合部材3B、第3の係合部材3C、及び第4の係合部材3Dは、本体部10の上端側に接続される。第2の係合部材3Bは第1の係合部材3Aと連結される。第2の係合部材3Bは直接的に第1の係合部材3Aと連結されてよく、本体部10を介して間接的に第1の係合部材3Aと連結されてよい。第4の係合部材3Dは第3の係合部材3Cと連結される。第4の係合部材3Dは直接的に第3の係合部材3Cと連結されてよく、本体部10を介して間接的に第3の係合部材3Cと連結されてよい。
【0021】
第1の係合部材3Aは、本体部10の上端側からX軸方向の負側、且つ下方へ向けて延びており、下端側の部分にて山部62Aに係合される。第2の係合部材3Bは、本体部10の上端側からX軸方向の正側、且つ下方へ向けて延びており、下端側の部分にて山部62Cに係合される。第3の係合部材3Cは、本体部10の上端側からX軸方向の負側、且つ下方へ向けて延びており、下端側の部分にて山部62Aに係合される。第4の係合部材3Dは、本体部10の上端側からX軸方向の正側、且つ下方へ向けて延びており、下端側の部分にて山部62Cに係合される。
【0022】
第1の係合部材3A及び第3の係合部材3Cは、山部62Aに対してX軸方向における外側から係合する。第2の係合部材3B及び第4の係合部材3Dは、山部62Cに対してX軸方向における外側から係合する。なお、山部62A,62CがX軸方向に互いに対向する面が設けられる方を「X軸方向における内側」とし、それと反対側を「X軸方向における外側」とする。山部62AではX軸方向における負側が「外側」に該当し、正側が「内側」に該当する。山部62CではX軸方向における正側が「外側」に該当し、負側が「内側」に該当する。なお、第1の係合部材3A及び第3の係合部材3Cは、山部62Aに対してX軸方向における内側から係合してもよい。第2の係合部材3B及び第4の係合部材3Dは、山部62Cに対してX軸方向における内側から係合してよい。
【0023】
規制部材4は、前記デッキプレートにコンクリートが打設された際に、コンクリート内で浮上するボイド型枠53の移動を所定領域内に規制する部材である。規制部材4は、浮上するボイド型枠53に対して、X軸方向の正側に配置された部材と負側に配置された部材との間で挟むように支持することで、当該ボイド型枠53のX軸方向における移動を規制する。
【0024】
連結部材6は、係合部材3同士を連結する部材である。本実施形態では、金物100は、第1の連結部材6Aと、第2の連結部材6Bと、を備える。第1の連結部材6Aは、第1の係合部材3Aと第3の係合部材3Cとの間を連結する。第2の連結部材6Bは、第2の係合部材3Bと第4の係合部材3Dとの間を連結する。第1の連結部材6Aは、第1の係合部材3Aの下端側の部分と、第3の係合部材3Cの下端側の部分との間でY軸方向に延び、当該部分で第1の係合部材3A及び第3の係合部材3Cとを連結することが好ましい。第2の連結部材6Bは、第2の係合部材3Bの下端側の部分と、第4の係合部材3Dの下端側の部分との間でY軸方向に延び、当該部分で第2の係合部材3B及び第4の係合部材3Dとを連結することが好ましい。
【0025】
受け部材7は、係合部材3との間で山部をX軸方向に挟むように配置される部材である。受け部材7は、係合部材3の下端側の部分から、当該係合部材3から分岐するように設けられてよい。また、受け部材7は、係合部材3が山部62に係合されている状態のときは、山部62から離間した位置に配置されている。すなわち、金物100に力が作用し、係合部材3が変形したときに、山部62と接触して支持することで、係合部材3の係合が維持されるように機能する。また、受け部材7は、係合部材3が山部62に対してX軸方向における外側から係合する場合は、当該山部62に対してX軸方向における内側に配置される。なお、受け部材7は、係合部材3が山部62に対してX軸方向における負側から係合する場合は、当該山部62に対してX軸方向における正側に配置される。本実施形態では、金物100は、第1の受け部材7Aと、第2の受け部材7Bと、第3の受け部材7Cと、第4の受け部材7Dと、を備えている。第1の受け部材7Aは、第1の係合部材3Aとの間で山部62AをX軸方向に挟むように配置される部材である。第2の受け部材7Bは、第2の係合部材3Bとの間で山部62CをX軸方向に挟むように配置される。第3の受け部材7Cは、第3の係合部材3Cとの間で山部62AをX軸方向に挟むように配置される。第4の受け部材7Dは、第4の係合部材3Dとの間で山部62CをX軸方向に挟むように配置される。
【0026】
次に、本実施形態に係る金物100の更に具体的な構成について説明する。金物100は、複数の線材を組み合わせることによって構成されている。また、金物100は、組み合わされた複数の線材の各部分が上述の各種部材として機能する。
【0027】
図3に示すように、金物100は、第1のボイド型枠受け部材20Aと、第2のボイド型枠受け部材20Bと、第1の枠状部材21Aと、第2の枠状部材21Bと、上部繋ぎ部材22と、下部繋ぎ部材23と、第1の側部繋ぎ部材24Aと、第2の側部繋ぎ部材24Bと、を備えている。これらの部材は、真っ直ぐな線材、又は屈曲・湾曲させた線材によって構成される。なお、金物100に対して上下方向に延びる中心軸線CLを設定した場合、金物100は、Y軸方向から見たとき(
図2に示す状態)、中心軸線CLを基準として線対称な構成を有している。また、金物100は、X軸方向から見たとき、中心軸線CLを基準として線対称な構成を有している。
【0028】
第1のボイド型枠受け部材20Aは、山部62Aと山部62Cとの間でX軸方向に延びると共に、両端側で山部62A及び山部62Cに係合することにより、コンクリート52内を浮上するボイド型枠を受ける部材である。第1のボイド型枠受け部材20Aは、水平部31と、傾斜部32A,32Bと、水平部33A,33Bと、フック部34A,34Bと、を備えている。水平部31は、中心軸線CLからX軸方向における正側及び負側へ水平に延びる部分である。傾斜部32Aは、水平部31のX軸方向の負側の端部から、当該X軸方向の負側へ向かって斜め下方へ延びる部分である。水平部33Aは、傾斜部32Aの下端部からX軸方向の負側へ向かって水平に延びる部分である。フック部34Aは、水平部33AのX軸方向の負側の端部から、下方へ向かって延びる略J字状をなしている部分である。傾斜部32Bは、水平部31のX軸方向の正側の端部から、当該X軸方向の正側へ向かって斜め下方へ延びる部分である。水平部33Bは、傾斜部32Bの下端部からX軸方向の正側へ向かって水平に延びる部分である。フック部34Bは、水平部33BのX軸方向の正側の端部から、下方へ向かって延びる略J字状をなしている部分である。
【0029】
特に
図2に示すように、水平部33Aは、山部62Aの上面62aに配置される。フック部34Aは、山部62Aの上面62aをX軸方向の負側の端部から周りこんで、拡大部64のX軸方向の負側の側面64aと対向するように配置される。フック部34Aは、山部62Aの上面62aをX軸方向の負側の端部から下方へ延びる第1の部分34Aaと、第1の部分34Aaの下端部から下方へ湾曲するように、拡大部64の側面64aへ向かって延びる第2の部分34Abと、を備える。第2の部分34Abが拡大部64の側面64aと接触する。水平部33Bは、山部62Cの上面62aに配置される。フック部34Bは、山部62Cの上面62aをX軸方向の正側の端部から周りこんで、拡大部64のX軸方向の正側の側面64bと対向するように配置される。フック部34Bは、山部62Cの上面62aをX軸方向の正側の端部から下方へ延びる第1の部分34Baと、第1の部分34Baの下端部から下方へ湾曲するように、拡大部64の側面64bへ向かって延びる第2の部分34Bbと、を備える。第2の部分34Bbが拡大部64の側面64bと接触する。
【0030】
図3に戻り、第2のボイド型枠受け部材20Bは、第1のボイド型枠受け部材20AからY軸方向の正側へ所定寸法だけ離間した位置に配置される。第2のボイド型枠受け部材20Bは、水平部31と、傾斜部32A,32Bと、水平部33A,33Bと、フック部34A,34Bと、を備えている。第2のボイド型枠受け部材20Bは、第1のボイド型枠受け部材20Aと同様な構成を有するため、説明を省略する。
【0031】
第1の枠状部材21Aは、山部62Bに支持されて上下方向に延び、第1のボイド型枠受け部材20Aと連結される部材である。第1の枠状部材21Aは、Y軸方向において第1のボイド型枠受け部材20Aと略同一に配置されている。第1の枠状部材21Aは、底辺部36と、側辺部37A,37Bと、上辺部38A,38Bと、を備えている。底辺部36は、底側で中心軸線CLからX軸方向における正側及び負側の両方へ水平方向に延びる部分である。底辺部36は、山部62Bの上面62aに配置される(
図2参照)。側辺部37Aは、底辺部36のX軸方向の負側の端部から上方へ延びる部分である。側辺部37Bは、底辺部36のX軸方向の正側の端部から上方へ延びる部分である。上辺部38Aは、側辺部37Aの上端部から中央側へ向かって延びている。上辺部38Bは、側辺部37Bの上端部から中央側へ向かって延びている。上辺部38A及び上辺部38Bは、中央側の端部で互いに連結される。当該連結部39は、Y軸方向から見たときに中心軸線CL上に位置する(
図2参照)。側辺部37A,37Bの上端部の高さ位置は、第1のボイド型枠受け部材20Aの水平部31の高さ位置と一致している。従って、側辺部37A,37Bの上端部(すなわち、側辺部37A,37Bと上辺部38A,38Bとの連結部)は、第1のボイド型枠受け部材20Aの水平部31と固定されている。
【0032】
第2の枠状部材21Bは、第1の枠状部材21AからY軸方向の正側へ所定寸法だけ離間した位置に配置される。第2の枠状部材21Bは、底辺部36と、側辺部37A,37Bと、上辺部38A,38Bと、を備えている。第2の枠状部材21Bは、第1の枠状部材21Aと同様な構成を有するため、説明を省略する。
【0033】
上部繋ぎ部材22は、第1の枠状部材21A及び第2の枠状部材21Bの上端部の位置にて、Y軸方向にまっすぐに延びる部材である。上部繋ぎ部材22は、第1の枠状部材21Aの連結部39と、第2の枠状部材21Bの連結部39とに固定されている。下部繋ぎ部材23は、第1の枠状部材21A及び第2の枠状部材21Bの下端部の位置にて、Y軸方向にまっすぐに延びる部材である。下部繋ぎ部材23は、第1の枠状部材21Aの底辺部36の中央位置と、第2の枠状部材21Bの底辺部36の中央位置とに固定されている。これにより、上部繋ぎ部材22及び下部繋ぎ部材23は、第1の枠状部材21Aと第2の枠状部材21Bとを互いに連結することができる。
【0034】
第1の側部繋ぎ部材24Aは、第1のボイド型枠受け部材20Aと第2のボイド型枠受け部材20BとをX軸方向の負側の端部付近で互いに連結するための部材である。第1の側部繋ぎ部材24Aは、水平部41と、受け部42Aと、受け部42Bと、を備えている。水平部41は、第1のボイド型枠受け部材20Aの傾斜部32Aの下端部側の位置と、第2のボイド型枠受け部材20Bの傾斜部32Aの下端部側の位置との間でY軸方向にまっすぐに延びる部分であり、当該部分に固定されている。受け部42Aは、水平部41のY軸方向の負側の端部から下方へ向かって延びる部分である。受け部42Aは、第1のボイド型枠受け部材20Aのフック部34AとX軸方向における内側(正側)に対向するように配置されている。受け部42Bは、水平部41のY軸方向の正側の端部から下方へ向かって延びる部分である。受け部42Bは、第2のボイド型枠受け部材20Bのフック部34AとX軸方向における内側(正側)に対向するように配置されている。受け部42A,42Bは、山部62Aの拡大部64のX軸方向の内側の端部から離間して対向する位置に配置される(
図2参照)。
【0035】
第2の側部繋ぎ部材24Bは、第1のボイド型枠受け部材20Aと第2のボイド型枠受け部材20BとをX軸方向の正側の端部付近で互いに連結するための部材である。第2の側部繋ぎ部材24Bは、水平部41と、受け部42Aと、受け部42Bと、を備えている。第2の側部繋ぎ部材24Bは、第1の側部繋ぎ部材24Aと同趣旨の構成を有しているため、説明を省略する。
【0036】
次に、上述のように線材を組み合わせることによる構成が、スペーサ部材1、支持部材2、係合部材3、規制部材4、連結部材6、受け部材7のどの部分に機能的に対応するかについて説明する。
【0037】
本実施形態では、スペーサ部材1は、第1の枠状部材21A及び第2の枠状部材21Bによって構成される。すなわち、本実施形態では、スペーサ部材1は、底辺部36と、側辺部37A,37Bと、上辺部38A,38Bと、を備えているとみなしてよい。
【0038】
支持部材2は、第1の枠状部材21A、第2の枠状部材21B、上部繋ぎ部材22、及び下部繋ぎ部材23によって構成される。すなわち、第1の枠状部材21A、第2の枠状部材21B、上部繋ぎ部材22、及び下部繋ぎ部材23の構造は、Y軸方向において所定の長さを有し、且つ、Y軸方向における両端側で山部62Bの上面62aに支持されている。例えば、金物100に対してY軸方向の正側に倒れるような力がかかったとしても、第2の枠状部材21Bの底辺部36が山部62Bの上面62aに支持される。また、金物100に対してY軸方向の負側に倒れるような力がかかったとしても、第1の枠状部材21Aの底辺部36が山部62Bの上面62aに支持される。
【0039】
また、本実施形態では、第1のボイド型枠受け部材20Aと、第2のボイド型枠受け部材20Bとは、Y軸方向に互いに離間した状態で本体部10に接続されている。また、第1のボイド型枠受け部材20A及び第2のボイド型枠受け部材20BのX軸方向における両端では、それぞれ山部62A及び山部62Cに支持されている。例えば、金物100に対してY軸方向の正側に倒れるような力がかかったとしても、第2のボイド型枠受け部材20Bの水平部33A,33Bが山部62A,62Cの上面62aに支持される。また、金物100に対してY軸方向の負側に倒れるような力がかかったとしても、第1のボイド型枠受け部材20Aの水平部33A,33Bが山部62A,62Cの上面62aに支持される。また、金物100に対してY軸方向の正側に倒れるような力がかかった場合は、第1のボイド型枠受け部材20Aのフック部34A,34Bが山部62A,62Cの拡大部64に引っ掛かり支持されることで浮き上がりに抵抗する。金物100に対してY軸方向の負側に倒れるような力がかかった場合は、第2のボイド型枠受け部材20Bのフック部34A,34Bが山部62A,62Cの拡大部64に引っ掛かり支持されることで浮き上がりに抵抗する。以上より、本実施形態では、第1のボイド型枠受け部材20A及び第2のボイド型枠受け部材20Bも支持部材2として機能するものとみなしてよい。
【0040】
第1の係合部材3Aは、第1のボイド型枠受け部材20Aの中心軸線CLよりX軸方向の負側の部分によって構成される。第2の係合部材3Bは、第1のボイド型枠受け部材20Aの中心軸線CLよりX軸方向の正側の部分によって構成される。また、第1の係合部材3Aと第2の係合部材3Bとは、水平部31の部分にて互いに連結されている。第3の係合部材3Cは、第2のボイド型枠受け部材20Bの中心軸線CLよりX軸方向の負側の部分によって構成される。第4の係合部材3Dは、第2のボイド型枠受け部材20Bの中心軸線CLよりX軸方向の正側の部分によって構成される。また、第3の係合部材3Cと第4の係合部材3Dとは、水平部31の部分にて互いに連結されている。
【0041】
規制部材4は、第1のボイド型枠受け部材20Aの傾斜部32A,32Bと、第1の枠状部材21Aと、によって構成される。また、規制部材4は、第2のボイド型枠受け部材20Bの傾斜部32A,32Bと、第2の枠状部材21Bと、によって構成されている。例えば、
図2に示すように、コンクリート52内を浮上して第1のボイド型枠受け部材20Aの水平部31で受けられた一方のボイド型枠53は、傾斜部32Aと側辺部37Aとの間に配置されることで、X軸方向への移動が規制される。他方のボイド型枠53は、傾斜部32Bと側辺部37Bとの間に配置されることで、X軸方向への移動が規制される。
【0042】
第1の連結部材6Aは、第1の側部繋ぎ部材24Aの水平部41によって構成される。第2の連結部材6Bは、第2の側部繋ぎ部材24Bの水平部41によって構成される。第1の受け部材7Aは、第1の側部繋ぎ部材24Aの受け部42Aによって構成される。第2の受け部材7Bは、第2の側部繋ぎ部材24Bの受け部42Aによって構成される。第3の受け部材7Cは、第1の側部繋ぎ部材24Aの受け部42Bによって構成される。第4の受け部材7Dは、第2の側部繋ぎ部材24Bの受け部42Bによって構成される。
【0043】
次に、本実施形態に係る金物100の作用・効果について説明する。
【0044】
本実施形態に係る金物100は、山部62Aに係合する第1の係合部材3Aと、第1の係合部材3Aとは異なる山部62Cに係合する第2の係合部材3Bと、を備えている。また、第2の係合部材3Bは第1の係合部材3Aと連結されている。このような構造により、一の山部62Aに対して第1の係合部材3Aが係合され、他の山部62Cに対して第2の係合部材3Bが係合され、それらの山部62A,62C間では互いに連結された第1の係合部材3A及び第2の係合部材3Bが架け渡された状態となる。従って、コンクリート52を打設する前に山部62A,62Cに係合部材3A,3Bを係合させて予め設置しておくことで、打設時には、山部62A,62C間に架け渡された部分にて、浮上して来たボイド型枠53を支持することができる(
図2参照)。また、金物100は、山部62Bで支持され、金物100のY軸方向における姿勢を維持する支持部材2を備えている。従って、支持部材2は、山部62A,62Cに係合部材3A,3Bを係合させた状態で、山部62Bを利用して金物100の姿勢を維持することができる。このように、溶接等を行わなくとも、山部62A,62Cに対して係合部材3A,3Bを係合させて、支持部材2で支持するだけで金物100をデッキプレート60に設置することができる。また、このように簡易な構造でありながら、コンクリート52の打設時には、第1の係合部材3A及び第2の係合部材3Bによる山部62A,62Cへの係合力によって、浮上するボイド型枠53を十分に支持することができる。以上により、設置に手間がかからない簡易な構造でありながら、十分にボイド型枠53の浮上を防止できる。
【0045】
また、本実施形態に係る金物100において、第1の係合部材3A及び第2の係合部材3Bは、それぞれの山部62A,62Cに対してX軸方向における外側から係合している。金物100が浮上するボイド型枠53を支持している時は、第1の係合部材3A及び第2の係合部材3Bに対して上向きの力が作用する。この場合、第1の係合部材3A及び第2の係合部材3Bは全体的に上側へ凸となるように変形する。その結果、係合部材3A,3Bにおいて外側から山部62A,62Cに係合している部分は、X軸方向における内側、すなわち山部62A,62Cへ向かう方向へ力が作用する。これにより、係合部材3A,3Bの山部62A,62Cに対する係合力が向上する。
【0046】
また、本実施形態に係る金物100において、第1の係合部材3Aに係合される山部62Aと、第2の係合部材3Bに係合される山部62Cとの間には、山部62Bが設けられ、支持部材2は、第1の係合部材3A及び第2の係合部材3Bに係合されない山部62Bに支持される。これにより、支持部材2は、第1の係合部材3Aと第2の係合部材3Bとの間に配置され、且つ、係合部材3A,3Bの係合対象に係る山部62A,62Cの間に配置される山部62Bにて支持される。このような構造とすることで、金物100をデッキプレート60に設置した場合の安定性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る金物100は、デッキプレート60にコンクリート52が打設された際に、コンクリート52内で浮上するボイド型枠53の移動を所定領域内に規制する規制部材4を更に備える。これにより、金物100に支持されている状態のボイド型枠53の姿勢を安定させることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る金物100は、第1の係合部材3Aに係合される山部62Aに対して、第1の係合部材3AからY軸方向における正側に離間した位置にて係合する第3の係合部材3Cと、第3の係合部材3Cと連結され、第2の係合部材3Bに係合される山部62Cに対して、第2の係合部材3BからY軸方向における正側に離間した位置にて係合する第4の係合部材3Dと、を備えている。これにより、金物100は、山部62A,62Cに対して四つの方向にて係合された係合部材3A,3B,3C,3Dを介して、山部62A,62Cで四点支持された状態となる。従って、金物100をデッキプレート60に設置した場合の安定性を向上することができる。なお、四つの方向とは、中心軸線CLを基準として、「X軸方向の負側、Y軸方向の負側(第1の係合部材3A)」、「X軸方向の正側、Y軸方向の負側(第2の係合部材3B)」、「X軸方向の負側、Y軸方向の正側(第3の係合部材3C)」、「X軸方向の正側、Y軸方向の正側(第4の係合部材3D)」である。
【0049】
また、本実施形態に係る金物100は、山部62Bの上面62aに配置され、金物100の上端部100aと山部62Bの上面62aとを離間させるスペーサ部材1を更に備え、第1の係合部材3A、第2の係合部材3B、第3の係合部材3C、及び第4の係合部材3Dは、スペーサ部材1の上端側に接続される。このようなスペーサ部材1を山部62の上面62aに配置することで、金物100の上端部を山部62Bの上面62aから高い位置に配置することができる。これにより、金物100の上方に設けられるコンクリート52内の鉄筋54を山部62Bに対して高い位置に配置することができる。更に、係合部材3A,3B,3C,3Dがスペーサ部材1の上端側に接続されているため、金物100の高さが高くなっても、当該金物100の上端側が係合部材3A,3B,3C,3Dを介して山部62A,62Cで四点支持された状態となる。これにより、金物100をデッキプレート60に設置した場合の安定性を向上することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る金物100は、山部62Bの上面62aに配置され、金物100の上端部100aと山部62Bの上面62aとを離間させるスペーサ部材1を更に備え、スペーサ部材1は、底側でX軸方向に延びる底辺部36と、底辺部36の両端側から上方へそれぞれ延びる一対の側辺部37A,37Bと、一対の側辺部37A,37Bの上端部から中央側へ向かってそれぞれ延びて、中央側の端部で互いに連結される一対の上辺部38A,38Bと、を備える。このようなスペーサ部材1(枠状部材21A,21B)を山部62Bの上面62aに配置することで、金物100の上端部100aが山部62Bの上面62aから高い位置に配置することができる。これにより、金物100の上方に設けられるコンクリート52内の鉄筋54を山部62Bに対して高い位置に配置することができる。また、スペーサ部材1は、底側でX軸方向に延びる底辺部36を有しているため、山部62Bの上面62aへ配置したときの安定性を向上できる。更に、スペーサ部材1は、当該底辺部36の両端側から上方へ延びる側辺部37A,37B及び上辺部38A,38Bを備えているため、例えば底辺部36の中央位置から一本の部材のみが延びているような構成に比して、山部62Bの上面62aに配置されたときの安定性を向上できる。
【0051】
本実施形態に係る金物100は、山部62Bの上面62aに配置され、金物100の上端部100aと山部62Bの上面62aとを離間させるスペーサ部材1を備えている。このようなスペーサ部材1を山部62Bの上面62aに配置することで、金物100の上端部100aを山部62Bの上面62aから高い位置に配置することができる。これにより、金物100の上方に設けられるコンクリート52内の鉄筋54を山部62Bに対して高い位置に配置することができる。また、金物100は、スペーサ部材1が配置される山部62BからX軸方向における負側に離間する山部62Aに係合する第1の係合部材3Aと、山部62BからX軸方向における正側に離間する山部62Cに係合する第2の係合部材3Bと、第1の係合部材3Aに係合される山部62Aに対して、第1の係合部材3AからY軸方向における正側に離間した位置にて係合する第3の係合部材3Cと、第2の係合部材3Bに係合される山部62Cに対して、第2の係合部材3BからY軸方向における正側に離間した位置にて係合する第4の係合部材3Dと、を備えている。また、第1の係合部材3A、第2の係合部材3B、第3の係合部材3C、及び第4の係合部材3Dは、スペーサ部材1に接続される。このような構成により、スペーサ部材1は、山部62A,62Cに対して四つの方向にて係合された係合部材3A,3B,3C,3Dを介して、山部62A,62Cで四点支持された状態となる。このように、高さを有するスペーサ部材1が四点支持されているため、X軸方向及びY軸方向(及びX軸方向とY軸方向の間の斜め方向)のいずれの方向から荷重が加わった場合も、当該荷重に抵抗して、スペーサ部材1を支えることができる。また、金物100を取り付ける際も、係合部材3A,3B,3C,3Dを山部62A,62Cに係合させればよいので、溶接等とは異なり、容易に設置することができる。以上により、コンクリート52内で型枠(ここではデッキプレート60)から高い位置に鉄筋54を配置するための金物100において、設置に手間がかからない簡易な構造でありながら、設置時の姿勢の安定性を向上できる。
【0052】
また、本実施形態に係る金物100は、第1の係合部材3Aと第3の係合部材3Cとの間を連結する第1の連結部材6Aと、第2の係合部材3Bと第4の係合部材3Dとの間を連結する第2の連結部材6Bと、を更に備える。これにより、第1の係合部材3Aと第3の係合部材3Cとが、第1の連結部材6Aによって連結されることで、荷重が作用した場合の第1の係合部材3A及び第3の係合部材3Cの変形を抑制できる。また、第2の係合部材3Bと第4の係合部材3Dとが、第2の連結部材6Bによって連結されることで、荷重が作用した場合の第2の係合部材3B及び第4の係合部材3Dの変形を抑制できる。
【0053】
また、本実施形態に係る金物100は、第1の係合部材3Aとの間で山部62AをX軸方向に挟むように配置される第1の受け部材7Aと、第2の係合部材3Bとの間で山部62CをX軸方向に挟むように配置される第2の受け部材7Bと、第3の係合部材3Cとの間で山部62AをX軸方向に挟むように配置される第3の受け部材7Cと、第4の係合部材3Dとの間で山部62CをX軸方向に挟むように配置される第4の受け部材7Dと、を備える。これにより、係合部材3A,3B,3C,3Dが山部62A,62Cから外れそうになった場合に、受け部材7A,7B,7C,7Dが山部62A,62Cを受けることができるため、係合部材3A,3B,3C,3Dの外れを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る金物100において、第1の係合部材3A、第2の係合部材3B、第3の係合部材3C、及び第4の係合部材3Dは、それぞれの山部62A,62Cに対してX軸方向における外側から係合している。金物100をデッキプレート60に設置した後は、(例えば、作業者や資材が金物をすくい上げるように引っかかる場合など)作業環境によって金物100に対して上向きの力が作用する場合がある。この場合、係合部材3A,3B,3C,3Dは全体的に上側へ凸となるように変形する。その結果、係合部材3A,3B,3C,3Dにおいて外側から山部62A,62Cに係合している部分(フック部)は、X軸方向における内側、すなわち山部62A,62Cへ向かう方向へ力が作用する。これにより、係合部材3A,3B,3C,3Dの山部62A,62Bに対する係合力が向上する。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る金物200について、
図5を参照して説明する。第2実施形態に係る金物200は、第1の枠状部材21A、及び第2の枠状部材21Bに代えて、一つの第3の枠状部材21Cを備えている点で、第1実施形態に係る金物100と主に相違する。第3の枠状部材21Cは、上部繋ぎ部材22のY軸方向における中央位置に固定されている。第3の枠状部材21Cの形状は、枠状部材21A,21Bと同様であるため、説明を省略する。また、それに伴い、第1のボイド型枠受け部材20Aは、繋ぎ部材70Aを介して上部繋ぎ部材22に固定されている。第2のボイド型枠受け部材20Bは、繋ぎ部材70Bを介して上部繋ぎ部材22に固定されている。繋ぎ部材70Aは、X軸方向における中央位置に頂部を有するように三角形状に屈曲されており、当該頂部で上部繋ぎ部材22のY軸方向の負側の端部に固定され、X軸方向における両端で第1のボイド型枠受け部材20Aに固定されている。繋ぎ部材70Bは、X軸方向における中央位置に頂部を有するように三角形状に屈曲されており、当該頂部で上部繋ぎ部材22のY軸方向の正側の端部に固定され、X軸方向における両端で第2のボイド型枠受け部材20Aに固定されている。
【0056】
第2実施形態に係る金物200では、第3の枠状部材21Cの一か所のみで山部62Bの上面62aに支持されるため、第3の枠状部材21Cは金物200のY軸方向の姿勢を維持することはできない。よって、第3の枠状部材21Cは、スペーサ部材1として機能するが、支持部材2としては機能しない。よって、第1のボイド型枠受け部材20A、及び第2のボイド型枠受け部材20Bが支持部材2として機能する。
【0057】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る金物500について
図6を参照して説明する。第3実施形態に係る金物500は、係合部材3の構成が第1実施形態に係る金物100と主に相違している。第3実施形態に係る金物500は、第1のボイド型枠受け部材20A、及び第2のボイド型枠受け部材20Bに代えて、一つの第3のボイド型枠受け部材20Cを有する。金物500は、第3のボイド型枠受け部材20Cと、繋ぎ部材73と、受け部材90A,90Bと、を備える。第3のボイド型枠受け部材20Cは、金物500のY軸方向における中央位置に配置されている点以外、ボイド型枠受け部材20A,20Bと同趣旨の構成を有する。なお、枠状部材21A,21Bの形状も第1実施形態の金物100とは異なっており、側辺部37A,37Bが上方に向かってX軸方向における内側へ傾斜し、上端部において互いに連結されている。
【0058】
繋ぎ部材73は、上部繋ぎ部材22からX軸方向における外側へ向かって斜め下方へ延びる傾斜部76A,76Bと、傾斜部76A,76Bの下端部から、X軸方向における内側へ向かって斜め下方へ延びる受け部77A,77Bと、を備えている。傾斜部76A,76Bと受け部77A,77Bとの結合位置にて、第3のボイド型枠受け部材20Cの水平部31に固定されている。受け部77A,77Bは、傾斜部32A,32Bとの間で、浮上するボイド型枠53のX軸方向の移動を規制する。すなわち、傾斜部32A,32Bは、規制部材4として機能する。
【0059】
受け部材90Aは、傾斜部91A、傾斜部91B、押さえ部92A、及び押さえ部92Bを備えている。傾斜部91Aは、第3のボイド型枠受け部材20Cの傾斜部32Aの下端付近から、Y軸方向の負側でX軸方向の内側(正側)へ向かって下方へ延びる。押さえ部92Aは、傾斜部91Aの下端から下方へ延びる。押さえ部92Aは、山部62の拡大部64のX軸方向の内側(正側)に対向するように配置される。傾斜部91Bは、第3のボイド型枠受け部材20Cの傾斜部32Aの下端付近から、Y軸方向の正側でX軸方向の内側(正側)へ向かって下方へ延びる。押さえ部92Bは、傾斜部91Bの下端から下方へ延びる。押さえ部92Bは、山部62の拡大部64のX軸方向の内側(正側)に対向するように配置される。このような構成により、山部62Aは、フック部34Aと、押さえ部92A,92Bで挟まれるような状態となる。すなわち、押さえ部92Aとフック部34Aによって第1の係合部材3Aが構成され、押さえ部92Bとフック部34Aによって第3の係合部材3Cが構成される。
【0060】
受け部材90Bは、傾斜部91A、傾斜部91B、押さえ部92A、及び押さえ部92Bを備えている。受け部材90Bは、第3のボイド型枠受け部材20Cの傾斜部32Bの下端付近に設けられている点以外は受け部材90Aと同趣旨の構成を有しているので、説明を省略する。受け部材90Bの押さえ部92Aとフック部34Bによって第2の係合部材3Bが構成され、押さえ部92Bとフック部34Bによって第4の係合部材3Dが構成される。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、線材の組み合わせや各線材の形状は適宜変更してもよい。
【0062】
例えば、係合部材3のうち、山部と係合する部分を構成するフック部は、どのような形状であってもよい。また、上述の実施形態では、係合部材3は山部に対してX軸方向における外側から係合していたが、
図7(a)に示すように内側から係合してもよい。
図7(a)は第1の係合部材に対応する部分の拡大図である。このフック部150は、山部62Aの上面62aをX軸方向における内側へ延びる水平部149の先端から、下方へ延びて、拡大部64のX軸方向における内側の側面64bに係合する。例えば、金物100に対して上方から下方へ向かって押し付けるような力が作用した場合、ボイド型枠受け部材の全体が下方へ押し付けられることとなる。この場合、ボイド型枠受け部材はX軸方向の外側へ向かって全体的に広がるように変形する。従って、山部62に対してX軸方向の内側から係合している係合部材は、より強固に山部62に係合される。
【0063】
更に、
図7(b)に示すように、L字状のフック部151を採用してよい。また、
図7(c)に示すように、鈍角に屈曲するフック部152を採用してよい。また、山部の形状は特に限定されず、当該山部の形状に合わせて係合部材のフック部の形状を設定してよい。例えば、
図7(d)に示すように、山部164の側面164aが傾斜し、当該側面164aの下端に凸部164bが形成されているものであった場合、フック部153は、側面164aに沿って傾斜し、下端部が凸部164bに引っかかるように屈曲していてよい。
【0064】
上述の実施形態では、規制部材4によって、ボイド型枠53のX軸方向における移動が規制されていた。しかし、規制部材4に該当する構成は省略されてもよい。すなわち、少なくともボイド型枠53の浮上が防止できればよい。また、受け部材7も省略してよい。