(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シャフトに固定され、給電ブラシに当接される複数のセグメントを有する整流子と、前記複数のセグメントの各々の径方向外側に配置され、前記複数のセグメントと同数個のスロットと、前記複数のセグメントと同数個のティースとを有する電機子コアと、前記複数のセグメントに接続され、前記ティースに分布巻により巻回されている複数の主巻コイル部と、前記スロットを回転軸方向に通過するとともに、前記シャフトを介して径方向に互いに対向する前記セグメント同士を接続する複数の短絡線とを備える、回転電機の製造方法であって、
前記複数の主巻コイル部のうちの後半に前記ティースに巻回される前記主巻コイル部である後半コイル部が接続される前記セグメントに接続される前記短絡線を、前記後半コイル部が配置される前記スロットを通過するように配置し、
その後、全ての前記複数の主巻コイル部を前記ティースに巻回する、回転電機の製造方法。
前記短絡線を前記スロットに配置することは、前記複数の主巻コイル部のうちの最終に前記ティースに巻回される前記主巻コイル部である最終コイル部が接続される前記セグメントに接続される前記短絡線を、前記最終コイル部が配置される前記スロットを通過するように配置することを含む、請求項1に記載の回転電機の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1〜
図12を参照して、本実施形態による回転電機100の構成について説明する。
【0030】
[回転電機の全体の構成]
図1に示すように、回転電機100は、たとえば、ブラシ付き直流モータとして構成されている。具体的には、回転電機100は、シャフト10と、整流子20と、コア30(電機子コアの一例)と、給電ブラシ40と、マグネット50と、コイル部60(主巻コイル部の一例)と、短絡線70とを備える。回転電機100は、たとえば、ブラシ付き直流モータとして構成されている。
【0031】
なお、本願明細書では、単に「回転軸方向」および「軸方向」と記載した場合は、回転電機100(シャフト10)の回転軸方向(
図1の回転軸C1に沿った方向)を意味し、
図1中のZ軸に平行な方向(矢印Z1方向または矢印Z2方向)を意味する。また、単に「径方向」と記載した場合には、回転電機100の径方向を意味し、
図1中の矢印R1方向または矢印R2方向を意味する。また、単に「径方向内側」と記載した場合には、回転電機100の径方向の内側を意味し、
図1中の矢印R1方向側を意味するものとして記載している。また、単に「径方向外側」と記載した場合には、回転電機100の径方向の外側を意味し、
図1中の矢印R2方向側を意味するものとして記載している。
【0032】
(回転電機の各部の構成)
図1に示すように、シャフト10は、回転軸C1に沿って設けられている。そして、整流子20は、
図2に示すように、シャフト10の外周面に固定されており、シャフト10と一体的に回転するように構成されている。
【0033】
整流子20は、複数(たとえば、12個)のセグメント21を含む。複数のセグメント21は、互いに隙間を有し、回転軸方向から見て、等角度間隔に配置されている。そして、
図1に示すように、セグメント21には、給電ブラシ40が摺動可能に当接されている。また、複数のセグメント21の各々は、フック部22を有する。フック部22は、コイル部60の巻き始め、または、巻き終わり、および、短絡線70の一端または他端が引っ掛けて取り付けられる(係止される)ように構成されている。そして、フック部22は、コイル部60および短絡線70が配置された状態で、ヒュージング溶接等の接合加工により、コイル部60および短絡線70と、セグメント21とを電気的に接続するように構成されている。
【0034】
コア30は、
図2に示すように、複数のセグメント21の各々の径方向外側で、かつ、整流子20の回転軸方向一方側(矢印Z2方向側)のシャフト10の外周面に固定されている。具体的には、たとえば、コア30は、複数の電磁鋼板が回転軸方向に積層されることにより、形成されている。そして、コア30は、複数のセグメント21と同数個(たとえば、12個)のティース31と、複数のセグメント21と同数個(たとえば、12個)のスロット32とを有する。また、回転電機100は、コア30の外側面を覆うように配置され、コイル部60および短絡線70とコア30との絶縁をするインシュレータ33を含む。
【0035】
給電ブラシ40は、図示しない電源部に接続されており、電源部から電力を取得するように構成されている。たとえば、給電ブラシ40は、
図3に示すように、正極ブラシ41および負極ブラシ42を含み、正極ブラシ41と負極ブラシ42との間には電位差が生じさせられている。そして、給電ブラシ40は、給電ブラシ40が当接されているセグメント21に電源部からの電力を供給するように構成されている。そして、整流子20は、給電ブラシ40が当接されている一のセグメント21と、一のセグメント21と短絡線70により短絡されており、給電ブラシ40が当接されていない他のセグメント21とを介して、コイル部60に電力を伝達するように構成されている。そして、コイル部60は、伝達された電力により磁界を発生させるように構成されている。
【0036】
マグネット50は、
図1に示すように、コア30の径方向外側に配置されており、磁界を発生させるように構成されている。たとえば、マグネット50は、回転電機100の図示しないケースの内側面に固定されている。そして、回転電機100は、マグネット50の磁界とコイル部60の磁界とが相互作用することにより、シャフト10とシャフト10に固定された整流子20、コア30、および、コイル部60等が一体となって、回転するように構成されている。
【0037】
コイル部60は、
図3に示すように、複数個(たとえば、12個)設けられており、コア30のティース31に分布巻により巻回されている。
【0038】
短絡線70は、
図2に示すように、スロット32を回転軸方向に通過するとともに、シャフト10を介して径方向に互いに対向するセグメント21同士を接続するように構成されている。
【0039】
(コイル部の構成)
複数のコイル部60は、導線により構成されている。そして、
図3に示すように、複数のコイル部60は、それぞれ、複数(たとえば、3つ)のティース31に跨って巻回されている。具体的には、本実施形態では、複数のコイル部60は、各々、一対ずつ設けられている第1コイル部61、第2コイル部62、第3コイル部63、第4コイル部64、第5コイル部65および第6コイル部66を含む。すなわち、回転電機100は、12個のコイル部60を含む。なお、第1コイル部61〜第3コイル部63は、「内側コイル部」の一例である。また、第4コイル部64〜第6コイル部66は、「外側コイル部」の一例である。また、第6コイル部66は、「最外周コイル部」および「最終コイル部」の一例である。
【0040】
そして、一対の第1コイル部61は、シャフト10を介して径方向に対向するティース31(1番〜3番のティース31および7番〜9番のティース31)に、それぞれ巻回されている。また、一対の第2コイル部62〜第6コイル部66は、一対の第1コイル部61と同様に、シャフト10を介して径方向に対向するティース31に、それぞれ巻回されている。なお、
図3では、説明のため、整流子20の12個のセグメント21に、それぞれ、1番〜12番の番号を付している。また、コア30の12個のティース31に、それぞれ、1番〜12番の番号を付している。
【0041】
そして、
図4および
図5に示すように、複数のコイル部60は、径方向内側から径方向外側に向かって順に配置されている。具体的には、第1コイル部61〜第6コイル部66は、この順に、径方向内側から径方向外側に向かって配置されている。また、第2コイル部62は、
図5のP4およびP5に示すように、第1コイル部61が巻回されたティース31に対して矢印A1方向側に1つのティース31分ずれるように、径方向外側から第1コイル部61の一部に重なるようにティース31に巻回されている。
【0042】
そして、
図5のP6〜P9に示すように、第3コイル部63〜第6コイル部66は、この順に、第2コイル部62と同様に、それぞれ、矢印A1方向側に1つのティース31分ずれながら、径方向外側からティース31に巻回されている。すなわち、第4、第5、および、第6コイル部66は、ティース31に後半に巻回され、外側コイル部として構成されている。なお、本願明細書では、「外側コイル部」を、単に複数のコイル部60のうちの径方向外側に配置されるコイル部60を意味する場合に限らず、本実施形態のように、径方向外側からティース31に複数のコイル部60が順に巻回される際の後半に巻回されるコイル部60を意味する広い概念として記載している。すなわち、外側コイル部は、後半に巻回されるコイル部60(後半コイル部)であればよい。
【0043】
また、本実施形態では、
図3に示すように、第4コイル部64〜第6コイル部66は、連続した導線により互いに直接接続されている。すなわち、第4コイル部64〜第6コイル部66は、1つの連続した導線により構成されている。
【0044】
複数のコイル部60は、それぞれ、配置されたコイル部60の径方向内側に配置された整流子20の互いに隣り合う2つのフック部22(セグメント21)に接続されている。そして、第4コイル部64〜第6コイル部66は、フック部22を介して、連続して接続されている。
【0045】
詳細には、
図3に示すように、第1コイル部61は、1番〜3番のティース31に巻回されているとともに、1番および2番のセグメント21に接続されているコイル部60と、7番〜9番のティース31に巻回されているとともに、7番および8番のセグメント21に接続されているコイル部60とを含む。そして、第2コイル部62は、2番〜4番のティース31に巻回されているとともに、2番および3番のセグメント21に接続されているコイル部60と、8番〜10番のティース31に巻回されているとともに、8番および9番のセグメント21に接続されているコイル部60とを含む。
【0046】
そして、第3コイル部63は、3番〜5番のティース31に巻回されているとともに、3番および4番のセグメント21に接続されているコイル部60と、9番〜11番のティース31に巻回されているとともに、9番および10番のセグメント21に接続されているコイル部60とを含む。そして、第4コイル部64は、4番〜6番のティース31に巻回されているとともに、4番および5番のセグメント21に接続されているコイル部60と、10番〜12番のティース31に巻回されているとともに、10番および11番のセグメント21に接続されているコイル部60とを含む。
【0047】
そして、第5コイル部65は、5番〜7番のティース31に巻回されているとともに、5番および6番のセグメント21に接続されているコイル部60と、11番、12番、および、1番のティース31に巻回されているとともに、11番および12番のセグメント21に接続されているコイル部60とを含む。そして、第6コイル部66は、12番、1番、および、2番のティース31に巻回されているとともに、12番および1番のセグメント21に接続されているコイル部60と、6番〜8番のティース31に巻回されているとともに、6番および7番のセグメント21に接続されているコイル部60とを含む。
【0048】
(短絡線の構成)
図4に示すように、短絡線70は、導線により構成されており、12本設けられている。なお、
図4および
図5では、説明のために、短絡線70を接続されるセグメント21同士を繋ぐ線分として図示している。
【0049】
具体的には、
図4および
図5に示すように、第1コイル部61に対応する第1短絡線71と、第2コイル部62に対応する第2短絡線72と、第3コイル部63に対応する第3短絡線73と、第4コイル部64に対応する第4短絡線74と、第5コイル部65に対応する第5短絡線75と、第6コイル部66に対応する第6短絡線76とを含む。なお、第1短絡線71〜第3短絡線73は、「内側コイル対応短絡線」の一例である。また、第4短絡線74〜第6短絡線76は、「外側コイル対応短絡線」の一例である。
【0050】
そして、第4短絡線74は、一対の第4コイル部64同士を短絡するように構成されている。ここで、上記した「対応する」とは、対応するコイル部60同士を短絡することを意味している。詳細には、第4短絡線74は、2本設けられており、4番のセグメント21と10番のセグメント21とを接続するように構成されている。これにより、一対の第4コイル部64のうちの一の第4コイル部64は、4番のセグメント21に接続されており、他の第4コイル部64は、10番のセグメント21に接続されている(
図3参照)ので、一対の第4コイル部64同士が第4短絡線74により短絡される。
【0051】
詳細には、
図6および
図7に示すように、2本の第4短絡線74のうちの一の第4短絡線74aは、4番のセグメント21から矢印A1方向側に延びるように配置され、他の第4短絡線74bは、10番のセグメント21から矢印A1方向側に延びるように配置されている。
【0052】
図6に示すように、第4短絡線74aは、4番のセグメント21から5番のスロット32の矢印Z1方向側から矢印Z2方向に向かって、通過されるように配置されている。そして、第4短絡線74aは、6番のティース31の矢印Z2方向側の面に当接して渡るように配置されて、6番のスロット32を通過するように配置されている。そして、第4短絡線74aは、7番および8番のティース31に渡って配置され、8番のスロット32を通過するように配置されている。また、第4短絡線74aは、9番のティース31に渡るように配置されて、9番のスロット32を通過して、10番のセグメント21に接続されている。第4短絡線74bは、第4短絡線74aと同様に、複数のティース31に渡るように配置されるとともに、複数のスロット32を通過するように配置されている。
【0053】
第5短絡線75は、
図9に示すように、5番および11番のセグメント21に接続され、一対の第5コイル部65同士(
図3参照)を短絡するように構成されている。また、第6短絡線76は、6番および12番のセグメント21に接続され、一対の第6コイル部66同士(
図3参照)を短絡するように構成されている。
【0054】
ここで、本実施形態では、
図9および
図10に示すように、第6コイル部66が配置されているスロット32である8番および2番のスロット32において、第6コイル部66が接続されているセグメント21である6番および12番のセグメント21に接続されている短絡線70である第6短絡線76は、全ての複数のコイル部60よりも径方向内側に配置されている。具体的には、2番および8番のスロット32には、第1コイル部61〜第3コイル部63、および、第6コイル部66が配置されている。
【0055】
ここで、
図10に示すように、スロット32にコイル部60が配置されているとは、矢印Z1方向側からみて、スロット32とコイル部60の一部とがオーバーラップしている状態を意味し、スロット32を回転軸方向に通過することのみを意味するものではない。また、「第6短絡線76が、全ての複数のコイル部60よりも径方向内側に配置されている」とは、第6短絡線76の全体がコイル部60よりも径方向内側に配置されている必要はない。すなわち、第6短絡線76が、たとえば、第1コイル部61〜第3コイル部63の径方向外側の端面61a〜63a、および、第6コイル部66の径方向外側の端面66aよりも径方向内側に配置されていればよい。
【0056】
詳細には、第6短絡線76は、第1コイル部61〜第3コイル部63、および、第6コイル部66よりも先に、2番および8番のスロット32に径方向外側から径方向内側に向かって配置されることにより、2番および8番のスロット32において、第1コイル部61〜第3コイル部63、および、第6コイル部66よりも径方向内側に配置されている。
【0057】
また、本実施形態では、
図10に示すように、第6短絡線76に加えて、第4短絡線74および第5短絡線75も、2番および8番のスロット32において、全ての複数のコイル部60(第1コイル部61〜第3コイル部63、および、第6コイル部66)よりも径方向内側に配置されている。すなわち、第4短絡線74〜第6短絡線76は、第1コイル部61〜第3コイル部63、および、第6コイル部66よりも先に、2番および8番のスロット32に径方向外側から径方向内側に向かって配置されることにより、2番および8番のスロット32において、第1コイル部61〜第3コイル部63、および、第6コイル部66よりも径方向内側に配置されている。
【0058】
ここで、「第4短絡線74〜第6短絡線76が、全ての複数のコイル部60よりも径方向内側に配置されている」とは、第4短絡線74〜第6短絡線76の全体がコイル部60よりも径方向内側に配置されている必要はなく、第4短絡線74〜第6短絡線76が、たとえば、第1コイル部61〜第3コイル部63の径方向外側の端面61a〜63a、および、第6コイル部66の径方向外側の端面66aよりも径方向内側に配置されていればよい。
【0059】
また、
図7〜
図9に示すように、第4短絡線74〜第6短絡線76は、それぞれ、導線が切断されることにより形成されている端部77を含む。すなわち、本実施形態では、第4短絡線74〜第6短絡線76は、それぞれ、互いに連続していない別個の導線により形成されている。そして、第4短絡線74〜第6短絡線76の端部77は、それぞれ、セグメント21の近傍(
図6参照)に設けられている。
【0060】
また、第1短絡線71〜第3短絡線73は、第1コイル部61〜第3コイル部63の各々に対応するように構成されている。すなわち、第1短絡線71は、一対の第1コイル部61同士を短絡するように構成されている。また、第2短絡線72は、一対の第2コイル部62同士を短絡するように構成されている。また、第3短絡線73は、一対の第3コイル部63同士を短絡するように構成されている。
【0061】
ここで、本実施形態では、
図11および
図12に示すように、第1短絡線71〜第3短絡線73と、第1コイル部61〜第3コイル部63とは、連続した導線により形成されている。具体的には、第1短絡線71、第1コイル部61、第2短絡線72、第2コイル部62、第3短絡線73、および、第3コイル部63は、この順に、連続した導線により形成されている。すなわち、第1短絡線71〜第3短絡線73と、第1コイル部61〜第3コイル部63とは、1つの連続した導線により、一筆書き状に形成されている。
【0062】
[本実施形態による回転電機の製造方法]
図2、
図5〜
図12を参照して、回転電機100の製造方法を説明する。
【0063】
まず、本実施形態では、
図2に示すように、シャフト10に固定され、給電ブラシ40に当接される複数のセグメント21を有する整流子20と、複数のセグメント21の各々の径方向外側に配置され、複数のセグメント21と同数個のスロット32と、複数のセグメント21と同数個のティース31とを有するコア30と、複数のコイル部60および複数の短絡線70を形成するための導線とが準備される。
【0064】
そして、
図5および
図7〜
図12に示すように、本実施形態では、第4短絡線74〜第6短絡線76が、第1コイル部61〜第6コイル部66および第1短絡線71〜第3短絡線73よりも先に、コア30に配置される。
【0065】
具体的には、回転電機100の製造装置には、2つのフライヤ(巻線装置)が設けられている。そして、
図6に示すように、2つのフライヤのうちの一のフライヤである第1フライヤにより、第4短絡線74a(導線)が4番のセグメント21に、他のフライヤである第2フライヤにより、第4短絡線74b(導線)が10番のセグメント21のフック部22に、略同時に配置される。
【0066】
そして、第1フライヤにより、第4短絡線74aが、5番のスロット32を回転軸方向に通過され、6番のティース31に渡るように配置され、6番のスロット32を回転軸方向に通過され、7番および8番のティース31に渡るように配置され、8番のスロット32を回転軸方向に通過され、9番のティース31に渡るように配置され、9番のスロット32を回転軸方向に通過され、10番のセグメント21のフック部22に配置される。また、第2フライヤは、矢印Z1方向側から見て、第1フライヤとシャフト10の中心点C2を中心に略点対称に移動され、第2フライヤにより、第4短絡線74bが、コア30に第4短絡線74aと略点対称に配置される。
【0067】
その後、4番および10番のセグメント21のそれぞれのフック部22近傍において、切断装置により、導線が切断され、第4短絡線74の端部77が形成される。
【0068】
そして、
図5のP1およびP2に示すように、第4短絡線74の端部77が形成された後、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第5短絡線75(導線)が5番および11番のセグメント21のフック部22に配置され、その後、第5短絡線75がコア30に配置される。その後、切断装置により、導線が切断され、
図8に示すように、第5短絡線75に端部77が形成される。
【0069】
そして、本実施形態では、
図5のP3〜P9および
図9〜
図12に示すように、複数のコイル部60のうちの最終にティース31に巻回されるコイル部60である第6コイル部66が接続される6番のセグメント21に接続される第6短絡線76が、第6コイル部66が配置される2番および8番のスロット32を通過するように配置され、その後、全ての複数のコイル部60がティース31に巻回される。
【0070】
詳細には、
図9に示すように、第1フライヤにより、導線が6番のセグメント21のフック部22に配置され、7番のスロット32を回転軸方向に通過され、8番のティース31に渡るように配置され、8番のスロット32を回転軸方向に通過され、9番および10番のティース31に渡るように配置され、10番のスロット32を回転軸方向に通過され、11番のティース31に渡るように配置され、11番のスロット32を回転軸方向に通過され、12番のセグメント21に接続されている。
【0071】
また、この時、第2フライヤにより、導線が12番のセグメント21のフック部22に配置され、1番のスロット32を回転軸方向に通過され、2番のティース31に渡るように配置され、2番のスロット32を回転軸方向に通過され、3番および4番のティース31に渡るように配置され、4番のスロット32を回転軸方向に通過され、5番のスロット32を回転軸方向に通過され、5番のスロット32を回転軸方向に通過され、6番のセグメント21に接続されている。
【0072】
その後、切断装置により、導線が切断され、第6短絡線76に端部77が形成される。
【0073】
その後、本実施形態では、
図12に示すように、第1短絡線71、第1コイル部61、第2短絡線72、第2コイル部62、第3短絡線73、および、第3コイル部63が、この順に、連続した導線により形成される。
【0074】
詳細には、
図5のP4に示すように、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第1短絡線71が7番および1番のセグメント21のフック部22に配置され、第1短絡線71がコア30に配置される。その後、第1コイル部61がコア30に配置される。
【0075】
そして、第1短絡線71が、コア30に配置された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤにより、導線が7番〜9番のティース31に跨って巻回されて第1コイル部61が形成され、第2フライヤにより、導線が1番〜3番のティース31に跨って巻回されて第1コイル部61が形成される。
【0076】
そして、
図5のP5に示すように、第1コイル部61が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第2短絡線72が形成される。そして、第2短絡線72が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第2コイル部62が形成される。
【0077】
そして、
図5のP6に示すように、第2コイル部62が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第3短絡線73が形成される。そして、第3短絡線73が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第3コイル部63が形成される。その後、導線が切断装置により切断される。
【0078】
そして、
図5のP7に示すように、第3コイル部63が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第4コイル部64が形成される。そして、
図5のP8に示すように、第4コイル部64が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第5コイル部65が形成される。そして、
図5のP9に示すように、第5コイル部65が形成された後、導線が切断装置により切断されずに、第1フライヤおよび第2フライヤにより、第6コイル部66が形成される。
【0079】
上記の順に、第1コイル部61〜第6コイル部66および第4短絡線74〜第3短絡線73が、配置されることにより、第4短絡線74〜第6短絡線76が、第1コイル部61〜第6コイル部66よりも径方向内側に配置される。また、第6コイル部66が最も径方向外側に配置(
図10参照)される。
【0080】
[本実施形態と比較例との比較結果]
図13を参照して、本実施形態による回転電機100と、比較例による回転電機との比較結果について説明する。
【0081】
この比較結果では、本実施形態による回転電機100を、上記の製造方法により製造した。また、比較例による回転電機を、第1コイル部に対応する短絡線、第1コイル部、第2コイル部に対応する短絡線、第2コイル部、第3コイル部に対応する短絡線、第3コイル部、第4コイル部に対応する短絡線、第4コイル部、第5コイル部に対応する短絡線、第5コイル部、第6コイル部に対応する短絡線、および、第6コイル部(最外周コイル部)のこの順に、コアに配置することにより、製造した。
【0082】
そして、最外周コイル部(第6コイル部66)が配置されているスロット(8番のスロット32)において、最外周コイル部(第6コイル部66)の配置位置を実測した。
【0083】
図13に示す測定結果より、本実施形態による回転電機100では、隣り合うティース31同士の径方向外側の突出部分31aの隙間として形成されるスロット導入部32aと、スロット32との境界線を規定線L1とした場合、第6コイル部66は、規定線L1よりも径方向内側に配置されることが判明した。
【0084】
一方、
図13に示す測定結果より、比較例による回転電機では、最外周コイル部の一部が規定線L1よりも径方向外側のスロット導入部32aに配置されることが判明した。すなわち、第4短絡線74〜第6短絡線76を、第1コイル部61〜第6コイル部66よりも先に形成することにより、第6コイル部66(最外周コイル部)が、規定線L1よりも径方向内側に配置されることが判明した。
【0085】
このことから、第4短絡線74〜第6短絡線76が先に形成される分、8番のスロット32において、第4短絡線74〜第6短絡線76が比較的径方向内側に配置されることにより、第6コイル部66の巻回が阻害されるのが抑制され、第6コイル部66(最外周コイル部)が、規定線L1よりも径方向内側に配置される結果になったと考えられる。
【0086】
なお、上記比較結果は、本実施形態による回転電機100が、第6コイル部66が、必ず規定線L1よりも径方向内側に配置されていることを意味するものではない。すなわち、上記比較結果は、本実施形態による回転電機100では、第6コイル部66が規定線L1よりもはみ出す可能性が低減されていることを示すものである。
【0087】
同様に、上記比較結果は、本実施形態による回転電機100では、第4コイル部64、第5コイル部65、および、第6コイル部66(後半コイル部:外側コイル部)が配置されているスロット32において、必ず後半コイル部がスロット32よりもはみ出さないことを意味するものではない。
【0088】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0089】
本実施形態では、第4コイル部64、第5コイル部65、および、第6コイル部66が配置されているスロット32において、第4短絡線74、第5短絡線75、および、第6短絡線76のうちの少なくとも1つが、第4コイル部64、第5コイル部65、および、第6コイル部66のいずれかが巻回されるのを阻害しないので、たとえば、
図13に示すように、第6コイル部66の一部がスロット32(規定線L1)よりも径方向外側に配置されるのを抑制することができる。また、第1短絡線71〜第6短絡線76を、それぞれ、スロット32を回転軸方向に通過するように配置することにより、第1短絡線71〜第6短絡線76をシャフト10の外周面に沿って配置(首巻き配置)する場合に比べて、回転電機100が回転軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、2番および8番のスロット32において、第6短絡線76を含む第4短絡線74〜第6短絡線76が、比較的はみ出しやすい第6コイル部66が巻回されるのを阻害しないので、第6コイル部66の一部がスロット32(規定線L1)よりも径方向外側に配置されるのを、効果的に抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、複数のコイル部60を巻回する前に、第4短絡線74〜第6短絡線76を、それぞれ個別に、スロット32に配置することができる。その結果、第6コイル部66が配置されている2番および8番のスロット32において、第4短絡線74〜第6短絡線76を、容易に、全ての複数のコイル部60よりも径方向内側に配置することができる。
【0092】
また、本実施形態では、第1コイル部61〜第3コイル部63をティース31に巻回してセグメント21に接続する作業と、第1短絡線71〜第3短絡線73をスロット32に配置してセグメント21に接続する作業とを連続して行うことができるので、回転電機100の巻線工程の作業時間の増大を抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、第4コイル部64〜第6コイル部66をティース31に巻回してセグメント21に接続する作業を連続して行うことができるので、回転電機100の巻線工程の作業時間の増大をさらに抑制することができる。
【0094】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0095】
たとえば、上記実施形態では、回転電機100をモータとして構成する例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、回転電機100を発電機として構成してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、セグメント21、ティース31、コイル部60、および、短絡線70を、それぞれ、12個ずつ設ける例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、セグメント21、ティース31、コイル部60、および、短絡線70を、それぞれ、12個の2倍の24個設けてよい。
【0097】
また、上記実施形態では、第1短絡線71〜第3短絡線73を、連続した導線により形成する例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、第1短絡線71〜第3短絡線73を、第4短絡線74〜第6短絡線76と同様に、それぞれ、別個の導線より形成してもよい。この場合、それぞれ別個の導線から形成した第1短絡線71〜第3短絡線73を、第1コイル部61〜第6コイル部66よりも先にコア30に配置することにより、コイル部60の巻回を阻害することをより抑制することが可能となる。
【0098】
また、上記実施形態では、第4コイル部64〜第6コイル部66を、連続した導線により形成する例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、第4コイル部64〜第6コイル部66を、それぞれ、別個の導線より形成してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、
図13に示すように、第6コイル部66が、規定線L1よりも径方向内側に配置されている例を示したが、本発明は、これに限られない。すなわち、第4短絡線74〜第6短絡線76のいずれかが、第4コイル部64〜第6コイル部66のいずれかが配置されているスロット32において、コイル部60よりも径方向内側に配置されて(先に配置されて)いればよく、第6コイル部66が、規定線L1からはみ出していてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、第4短絡線74〜第6短絡線76の全てを、全てのコイル部60よりも先にスロット32に配置する例を示したが、本発明は、これに限られない。すなわち、第4短絡線74〜第6短絡線76の少なくとも1つが、全てのコイル部60よりも先にスロット32に配置していればよい。