特許第6890499号(P6890499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890499
(24)【登録日】2021年5月27日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】着色式目打ち装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   D06H 1/02 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   D06H1/02
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-153737(P2017-153737)
(22)【出願日】2017年8月8日
(65)【公開番号】特開2019-31763(P2019-31763A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(72)【発明者】
【氏名】宇治田 良博
(72)【発明者】
【氏名】青谷 潤
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−171420(JP,A)
【文献】 特開平05−195421(JP,A)
【文献】 実開昭60−000325(JP,U)
【文献】 特公昭50−002679(JP,B1)
【文献】 特開昭61−160404(JP,A)
【文献】 特開平04−240478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H1/00−43/04
D05B1/00−97/12
D06B1/00−23/30
D06C3/00−29/00
D06G1/00−5/00
D06H1/00−7/24
D06J1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を載置するテーブルと、テーブル面に対して相対的に平面移動および昇降が可能に構成された着色用部材を有し、シート材の予め設定される目打ち位置に形成された孔に対して着色用部材を下降させて挿通し、続けて着色用部材を上昇させて孔から引き抜くことで、孔の内周面に着色剤を付与する着色式目打ち装置において、
孔に着色用部材を挿通させた状態で、孔の内周面に着色剤を付与するように、着色用部材とテーブルとを相対的に平面移動させる制御を行う移動制御部を備えることを特徴とする、着色式目打ち装置。
【請求項2】
前記孔の形状は円形であり、前記着色用部材と前記テーブルとの相対的な平面移動は、孔の内周面に沿った円運動であることを特徴とする請求項1に記載の着色式目打ち装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、前記着色用部材と前記テーブルとを相対的に平面移動させながら、前記着色用部材を孔から引き抜くように上昇させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の着色式目打ち装置。
【請求項4】
シート材を載置するテーブルと、テーブル面に対して相対的に平面移動および昇降が可能に構成された着色用部材を有し、シート材の予め設定される目打ち位置に形成された孔に対して着色用部材を下降させて挿通し、続けて着色用部材を上昇させて孔から引き抜くことで、孔の内周面に着色剤を付与する着色式目打ち装置において、
孔に着色用部材を挿通させた状態で、孔の内周面に着色剤を付与するように、着色用部材とテーブルとを相対的に平面移動させる制御を行うことを特徴とする、着色式目打ち装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、裁断すべきシート材に形成された孔の内周面に対して、インク等の着色剤を付与する着色式目打ち装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、布帛などのシート材を裁断機等で裁断してパーツを切り出すことが知られている。また、このようなパーツの切り出しに際して、後工程でパーツ同士を縫製する際の目印とするためにシート材を穿孔する目打ちと呼ばれる工程が行われることがある。しかし、シート材を穿孔するだけの目打ちでは、例えばレース生地のように布地本体に多数の孔が形成されている場合に、目打ちされた位置が識別しにくいという問題が生じていた。そのため、目打ち位置に着色剤を付与する各種の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、穿孔用部材で孔を形成して、その内部に着色用部材を挿通して内周面に着色を行う機構を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4467293号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
予め孔を中空にくり抜く場合、同じ穿孔用部材を用いたとしてもレース生地のように多数の孔がある素材では、くり抜かれた被穿孔物は形状を保ち難く、穿孔用部材の内部から脱落するなどして孔内に残ることがある。このような場合は、被穿孔物が形状を保てるよう、より大きな穿孔用部材などに切替える必要が生じる。孔の大きさが変わると、孔の内周面に対する着色性能が低下してしまうため、着色用部材も大きなものに変更しなければならないという問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、単一の着色用部材を用いて、シート材に形成された孔の内周面に対して、確実に着色を施すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート材を載置するテーブルと、テーブル面に対して相対的に平面移動および昇降が可能に構成された着色用部材を有し、シート材の予め設定される目打ち位置に形成された孔に対して着色用部材を下降させて挿通し、続けて着色用部材を上昇させて孔から引き抜くことで、孔の内周面に着色剤を付与する着色式目打ち装置において、
孔に着色用部材を挿通させた状態で、孔の内周面に着色剤を付与するように、着色用部材とテーブルとを相対的に平面移動させる制御を行う移動制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記孔の形状は円形であり、前記着色用部材と前記テーブルとの相対的な平面移動は、孔の内周面に沿った円運動であることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記移動制御部は、前記着色用部材と前記テーブルとを相対的に平面移動させながら、前記着色用部材を孔から引き抜くように上昇させることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、シート材を載置するテーブルと、テーブル面に対して相対的に平面移動および昇降が可能に構成された着色用部材を有し、シート材の予め設定される目打ち位置に形成された孔に対して着色用部材を下降させて挿通し、続けて着色用部材を上昇させて孔から引き抜くことで、孔の内周面に着色剤を付与する着色式目打ち装置において、
孔に着色用部材を挿通させた状態で、孔の内周面に着色剤を付与するように、着色用部材とテーブルとを相対的に平面移動させる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明では、シート材の予め設定される目打ち位置で、孔に着色用部材を下降させて挿通した状態で、孔の内周面に着色剤を付与するように、着色用部材とテーブルとを相対的に平面移動させる制御を行うので、孔の内周面に確実に着色を施すことができる。
【0011】
また本発明では、円形の孔に対して、着色用部材とテーブルとの相対的な平面移動を、孔の内周面に沿った円運動となるように行うので、効率よく孔の内周面を着色することができる。
【0012】
また本発明では、着色用部材とテーブルとを相対的に平面移動させながら、着色用部材を孔から上昇させるので、着色しながら着色用部材をシート材から引き抜くことができ、作業時間を短縮できる。また、着色剤を付与する部分の高さ寸法が孔の深さより短い場合でも、孔の下部開口部から上部開口部まで上昇しながら内周面に着色剤を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の着色式目打ち装置を備えた裁断機の概略上面図
図2】実施例の着色式目打ち装置を備えた裁断機の制御系のブロック図
図3】実施例での着色式目打ちの制御を示すフローチャート
図4】実施例での着色用部材の外観を示した図
図5】実施例での孔の内部において、着色用部材が平面移動するときの軌跡を上面から示した図
図6】実施例での着色用部材を孔に挿通させた状態と、着色用部材を平面移動させながら孔から引き抜く軌跡を示す側方断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、発明を実施するための実施例を示す。
【実施例】
【0015】
図1図6に、実施例の着色式目打ち装置とその制御方法とを示す。
図1は、着色式目打ち装置1の構成を備えた裁断機40の概略上面図であり、紙面の左右方向がX方向、上下方向がY方向である。裁断機40は、積層したシート材10を載置および図示しない吸引機構により吸引固定可能な裁断テーブル3と、その上方をX−Y平面で移動可能な裁断ヘッド2と、各部の機構を制御するコントローラ4とを備える。裁断ヘッド2には、パーツの裁断を行う裁断刃7、シート材の予め定められる目打ち位置に対して目打ちの孔11を形成するための穿孔用部材6、孔11に挿通して内周面34に着色剤を付与する着色用部材5、そして各部を駆動するための機構を備える。また、裁断ヘッド2は、裁断テーブル3上でY方向に懸架されるYビーム9に沿って、Y方向駆動機構14により移動可能に取り付けられている。Yビーム9の両端は、X方向駆動機構13によりX方向へ移動可能な移動部8と連結しており、以上の組み合わせにより裁断ヘッド2は裁断テーブル3の上方をX−Y平面で移動可能に構成される。
【0016】
図2は、着色式目打ち装置1の構成を備えた裁断機40の概略的なシステム構成を示した図である。27は各種データ処理を行うCPUで、28は各種プログラムを記憶したROM、29は読み出しと書き込みが可能な作業用メモリを備えたRAM、30は目打ち位置を含む裁断データ等を保存するハードディスクである。穿孔用部材6により形成される孔11の大きさは、裁断データと共にハードディスク30に保存しても良いし、作業時の一時的な情報としてRAM29に格納しても良い。31はバスで、データバスとそれ以外の命令バス等を区別せずに、1つのバスとして示している。また、図示しない入出力インターフェースを有し、各種メディアやネットワークを介して外部機器等とデータの受け渡しが可能である。
【0017】
移動制御部12は、前述のX方向駆動機構13,Y方向駆動機構14の他、穿孔用部材6と着色用部材5、そして裁断刃をそれぞれ裁断テーブル3に対して昇降させるための穿孔用部材昇降機構16、着色用部材昇降機構15および裁断刃昇降機構17を備える。穿孔制御部18は、穿孔用部材回転駆動機構19と、被穿孔物排出機構20を備え、着色制御部21は、着色用部材回転駆動機構22を備える。なお、穿孔用部材6および着色用部材5が回転駆動しない場合は、各駆動機構(19,22)は省略可能である。そして、裁断刃制御部23は、シート材を裁断するためにレシプロナイフや丸刃などを駆動する裁断刃駆動機構24と、裁断刃の向きを可変させる裁断刃回転駆動機構25を備える。26は操作部で、作業者による裁断機40(着色式目打ち装置1)への指示を受け付ける。
【0018】
図3は、実施例における着色式目打ちの制御を示したフローチャートである。穿孔用部材6で積層したシート材10に孔11を形成するところまでは公知技術と同様であるため省略しており、本フローチャートでは着色用部材5の断面形状よりも大きい孔11を形成した後の流れを説明する。
【0019】
まずステップ1で処理を開始する。予め穿孔用部材6で中空にくり抜かれた孔11の大きさや裁断ヘッド2の移動速度などが設定される。ステップ2で、穿孔用部材6により形成した孔11の位置へ着色用部材5を位置合わせする。ステップ3で、着色用部材5を下降させて、孔11の内部に挿通させる。図6(A)がこのときの状態を示す側方断面図である。ここで、着色用部材5の形状について図4を参照しながら説明する。図4(A),(B)はいずれも着色用部材5の外観を示すもので、中空の円筒状に形成された部材の内部にインクなどの着色剤を浸透させた吸収体34を内包している。着色剤は、着色用部材5の上方に位置する図示しないタンクから吸収体34へ供給され、図4(A)の構成では円筒状の部材に設けた切欠き部32を介して、図4(B)の構成では円筒状の部材の周囲に複数設けられた放出部33を介して、孔11の内周面35へ付与される。図4(A)の切欠きの無い部分が内周面35に当接しても、着色剤を付与できないので、この構成では着色用部材回転駆動機構22により着色用部材5を軸周りに回転させる必要があるが、図4(B)の構成よりも製造が容易であり、回転することで内周面35への着色性も向上する。なお、図4におけるLは、着色剤を付与する部分の高さ寸法である。
【0020】
ステップ4で、着色用部材5を孔11の内部で平面移動させて、孔11の内周面35に着色剤を付与する。ここで、図5(A)は、シート材10に形成した孔11とその内部に挿通した着色用部材5の位置関係を上方から示した図である。孔11の直径D1は着色用部材5の直径D2よりも大きいため、着色用部材5を孔11に対して昇降させるだけでは吸収体34が内周面35に触れ難く、着色剤を十分に付与することができない。そこで、本発明では着色用部材5を孔11に挿通させた状態で平面移動させることで、吸収体34を内周面35に直接触れさせて確実に着色剤を付与する。平面移動は、例えば図5(B)に示すように孔11内で前後左右、さらに斜め方向に往復させてもよいが、図5(C)に示すように内周面35に沿って円運動をさせることが好ましい。図5(D)は着色用部材5を円運動させるときの軌跡を示したもので、孔11の中心に挿通させた着色用部材5を、矢印(1)の軌跡で示す半周分の円運動をさせながら内周面35に当接させ、これに続けて矢印(2)の軌跡の円運動に切り替える。所望の回数の円運動を行った後、矢印(3)で示す半周分の円運動の軌跡で再び孔11の中心に戻す。このように大きさの異なる円運動を組み合わせることで、着色用部材5を止めることなく連続的に動かすことができ、着色に要する時間を短縮できる。なお、孔11の形状および大きさについては、予め裁断データに含ませても良いし、操作部26からユーザーが指定しても良い。移動制御部12は、入力された孔11の形状に基づいてその内周面に当接するように着色用部材5を平面移動させる。なお、着色用部材5の内周面35に対する当接は、着色剤が十分に付着するよう、圧接させることが好ましい。
【0021】
ステップ5で、着色用部材5を上昇させて孔11の内部から引き抜き、ステップ6で1つの孔11に対する着色式目打ちの処理を終了する。ここで、図6(A)は図5(C)の状態の断面図である。裁断刃7が侵入可能なブラシ面で形成された裁断テーブル3上に、積層されたシート材10が載置されており、着色用部材5が孔11の上部開口部36から下部開口部37までを貫通しながら先端がブラシ面に侵入している。図6(A)において、着色剤を付与する部分の高さ寸法(L)よりも孔11の深さの方が大きく、着色用部材5を軸周りに回転させながら平面移動(円運動)させるだけでは孔11の上部開口部36周辺に対して着色を行うことができない。そこで、着色用部材5を平面運動させながら着色用部材昇降機構15で上昇させることで、図6(B)に示される螺旋状の軌跡により内周面35への着色が可能となる。
【0022】
以上、実施例では、穿孔用部材6と着色用部材5を共通の裁断ヘッド2に設けた例を示したが、それぞれ個別の駆動源を備えてもよい。また、実施例では裁断テーブル3に対して着色用部材5を平面移動および昇降移動させたが、固定の着色用部材5に対して、裁断テーブル3を平面移動および昇降移動するように構成してもよく、各部を移動させるための機構も任意である。
【0023】
また、実施例では円形の孔11を用いたが、回転駆動しない例えば中空で矩形のポンチ刃などをシート材に対して押し込み、矩形の孔を形成してもよく、孔の形状は任意である。これらの孔の内周面に沿うように着色用部材5を平面移動させて着色を行うことも可能である。
【0024】
シート材10からパーツを切り出した後で孔11を形成すると、積層されたパーツは裁断テーブル上で十分に固定されないため、穿孔時にずれが生じる可能性がある。このため、孔11の形成は、シート材10を裁断テーブル3に吸引固定した状態で、パーツを切り出す前に行うことが好ましい。ただし、個別のシート材が十分な重さや硬さを有してずれにくい場合では、裁断機に搬入する前段階やパーツの切り出し後に穿孔を行ってもよい。なお、実施例では積層したシート材10に目印を付与することを説明したが、1枚のシート材に対して実施してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 着色式目打ち装置
2 裁断ヘッド
3 裁断テーブル
4 コントローラ
5 着色用部材
6 穿孔用部材
7 裁断刃
8 移動部
9 Yビーム
10 シート材
11 孔
12 移動制御部
13 X方向駆動機構
14 Y方向駆動機構
15 着色用部材昇降機構
16 穿孔用部材昇降機構
17 裁断刃昇降機構
18 穿孔制御部
19 穿孔用部材回転駆動機構
20 被穿孔物排出機構
21 着色制御部
22 着色用部材回転駆動機構
23 裁断刃制御部
24 裁断刃駆動機構
25 裁断刃回転駆動機構
26 操作部
27 CPU
28 ROM
29 RAM
30 ハードディスク
31 バス
32 切欠き部
33 放出部
34 吸収体
35 内周面
36 上部開口部
37 下部開口部
40 裁断機

図1
図2
図3
図4
図5
図6