特許第6894611号(P6894611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894611
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】膜式ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   G01F3/22 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-110993(P2017-110993)
(22)【出願日】2017年6月5日
(65)【公開番号】特開2018-205129(P2018-205129A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150109
【氏名又は名称】株式会社竹中製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067091
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100198797
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】能登 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 多佳子
(72)【発明者】
【氏名】花木 克久
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 孝紘
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6373885(JP,B2)
【文献】 特許第6436642(JP,B2)
【文献】 特許第4384924(JP,B2)
【文献】 国際公開第2009/044068(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータ本体の下ケース内に形成された計量室内に一対の計量膜を組み込み、この計量膜の往復運動により一定角度回転するスピンドルの回転運動を上ケース内の大ひじ金と小ひじ金を介してクランクに伝達し、このクランクの回転により永久磁石を回転すると共にこの永久磁石の回転を磁気センサにより検出して流量信号を出力する膜式ガスメータにおいて、
前記上ケース内を仕切板により上段を電子室、下段を機械室に区画して、この機械室内に下ケース側から略中空円柱状のクランク台受け軸を突設し、このクランク台受け軸の上口にクランク台の下端を嵌合してクランク台を垂直に組み付けたこと、
前記クランクのクランク軸の下端に弾性を有する開閉自在の二又形状の係合爪を設け、このクランク軸を前記クランク台に形成したクランク軸穴に嵌入して前記係合爪がクランク軸穴の下口から突出する位置まで移動すると当該位置で係合爪の係合部がクランク台下端部にスナップフィット係合し、クランクをクランク台に対して着脱自在に取り付けたこと、
前記クランク機構の最上段には、このクランク機構のクランク軸の回転と同軸で回転する永久磁石を上面に取り付けた永久磁石取付板を取り付けたこと、
前記永久磁石と対向する前記電子室内に磁気センサを設け、この磁気センサにより前記永久磁石の回転を検出して流量信号を出力すること、
を特徴とする膜式ガスメータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量膜の往復運動に基づいてスピンドルからヒンジを経由してクランクを回転させ、このクランクに永久磁石を取り付け、この永久磁石と対向する位置に取り付けた磁気センサによって永久磁石の回転を検出して流量信号を出力する膜式ガスメータに関し、更に詳しくは前記クランクをガスメータ本体に組み付けられたクランク台に取り付けるためのクランク軸の形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスメータ本体の下ケース内に形成された計量室内の計量膜の往復運動により一定角度回転する翼軸の回転運動を上ケース内の大ひじ金と小ひじ金を介してクランク機構に伝達し、このクランク機構の回転運動を計量室のバルブに伝達して前記計量室内に出入りするガスを制御する膜式ガスメータにおいて、前記クランク機構は下ケース側から上ケース側へ突設したクランク台受け軸の上口と下端を嵌合したクランク台に形成したクランク軸穴とクランク軸とが凸条リングと凹リング溝にて嵌合するスナップフィットリング方式でクランク台の下端部において係合するように取り付けられている。
【0003】
しかし、上記した従来の膜式ガスメータにおいては、次のような問題があった。
【0004】
1.メータが外部から衝撃を受けた時、凹凸嵌合するスナップフィットリング方式では嵌合力が小さいため、クランク機構がクランク台から抜け易く、誤動作、故障の原因となってしまう。
【0005】
2.凹凸嵌合するスナップフィットリング方式では、凸条リング、凹リング溝ともに精密な寸法の管理が求められるため、微細な寸法の差であっても組立時に嵌合がきつい、又は組立後に抜け易い等の問題が発生してガスメータの製造が滞り、生産性が低下してしまう。
また、手間・時間を掛けて精密な寸法管理を行おうとすれば、その分製造コストが上昇してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−075712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、クランク機構を採用したガスメータにおいて、外部から衝撃を受けても故障しにくく、製造部品の寸法管理が容易なガスメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明はガスメータ本体の下ケース内に形成された計量室内に一対の計量膜を組み込み、この計量膜の往復運動により一定角度回転するスピンドルの回転運動を上ケース内の大ひじ金と小ひじ金を介してクランクに伝達し、このクランクの回転により永久磁石を回転すると共にこの永久磁石の回転を磁気センサにより検出して流量信号を出力する膜式ガスメータにおいて、前記上ケース内を仕切板により上段を電子室、下段を機械室に区画して、この機械室内に下ケース側から略中空円柱状のクランク台受け軸を突設し、このクランク台受け軸の上口にクランク台の下端を嵌合してクランク台を垂直に組み付けたこと、前記クランクのクランク軸の下端に弾性を有する開閉自在の二又形状の係合爪を設け、このクランク軸を前記クランク台に形成したクランク軸穴に嵌入して前記係合爪がクランク軸穴の下口から突出する位置まで移動すると当該位置で係合爪の係合部がクランク台下端部にスナップフィット係合し、クランクをクランク台に対して着脱自在に取り付けたこと、前記クランク機構の最上段には、このクランク機構のクランク軸の回転と同軸で回転する永久磁石を上面に取り付けた永久磁石取付板を取り付けたこと、前記永久磁石と対向する前記電子室内に磁気センサを設け、この磁気センサにより前記永久磁石の回転を検出して流量信号を出力すること、を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明によると、クランクとクランク台の固定手段として係合爪によるスナップフィット嵌合を用いることにより、衝撃に対する耐性を高め、ガスメータの故障を防ぐことができる。
【0010】
また、組立部品の寸法の管理が容易なため、製品の生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】膜式ガスメータの縦断面図である。
図2】A−A´断面図である。
図3】膜式ガスメータの内部構造を示す説明図である。
図4】クランクの説明図であり、(a)はクランクの正面図、(b)はクランクの側面図、(c)はクランクの平面図である。
図5】クランク台の説明図であり、(a)はクランク台の正面図、(b)はクランク台の側面図、(c)はクランク台の平面図である。
図6】(a)はクランク軸をクランク台に取り付けた状態を示す説明図である。(b)はクランク軸をクランク台にスナップフィット係合させた部分の拡大図である。
図7】クランク台受け軸にクランク台及びクランクを取り付けた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図面中、符号の1はガスメータ本体、3はこのガスメータ本体1の下ケース2内に形成された計量室であって、この計量室3内の2枚の計量膜4がガス圧により往復運動することによりガスの流量を計測するものである。
【0014】
符号の6は前記計量膜4の往復運動をレバー5を介して一定の角度回転する縦方向に取り付けられたスピンドルであって、このスピンドル6は前記計量室3から機械室7にその上端側6aが突出し、前記計量膜4の往復運動はこの突出した部分に大ひじ金8と小ひじ金9を介してクランク10に伝達され、このクランク10を回転運動に変換する。
【0015】
このクランク10の回転運動をバルブ駆動レバー25によりバルブ11、12に伝達してバルブ11、12を開閉し、ガス流入口26から前記計量室3内に入るガスと計量済ガス流出口27へ出るガスを制御する。
【0016】
上ケース13内には仕切板により電子室14と機械室7と分配室15とに区画されていて、機械室7内には下ケース2側から略中空円柱状のクランク台受け軸16が突設されており、このクランク台受け軸16の上口16aにはクランク台17の下端部17aが嵌合し、クランク台17は分配室15の上面15aにビス18で固定されている。
【0017】
また、前記クランク台17にはクランク軸穴19が形成されていて、このクランク軸穴19の上口19aから下端に弾性を有する開閉自在の二又形状の係合爪21を設けたクランク軸20を嵌入し、前記係合爪21の係合部21aがクランク軸穴19の下口19bから突出する位置まで移動すると、クランク軸穴19内でクランク軸20の半径方向内方に撓んでいた係合爪21がクランク軸20の半径方向外方に撓み、当該位置で係合爪21の係合部21aがクランク台17の下端部17bに着脱自在にスナップフィット係合する。
【0018】
この係合爪21によるスナップフィットは、係合部21aがクランク台17の下端部17bに接する面積が大きく、また係合爪21がクランク軸20の半径方向内方に撓まない限りクランク軸20がその軸方向へ移動することはないため、特に上方向への引き抜き力に対する抵抗力が十分に確保される。
【0019】
本発明は、この抵抗力によりガスメータが外部から衝撃を受けた時にもクランクがクランク台から離脱することを防ぐことができる。
【0020】
なお、係合爪の形状は二又に限定されず、三又以上であってもよい。
【0021】
前記クランク10は、図4に示すように、クランク軸20に取り付けられた下段クランク板10a、ピン10b、中段クランク板10c、ひじ金係合ピン10d、永久磁石取付板10eからなり、前記計量膜4の往復運動で回転するスピンドル6の回転運動により大ひじ金8と小ひじ金9を介してクランク軸20を中心として回転する。
【0022】
前記永久磁石取付板9eには永久磁石22を固定するための爪片23が設けられており、永久磁石22はその二辺を爪片23で固定することにより永久磁石取付板10eに取り付けられていると共に永久磁石22は前記クランク軸20の垂直線上に位置し、この垂直線を中心としてクランク10の回転と一致して回転するように設定されている。
【0023】
前記電子室14内には永久磁石22に対向する位置に流量パルス信号を出力する磁気センサ24と電源28が設置されており、前記永久磁石23が回転すると、この回転運動を磁気センサ24が検出して流量信号を出力し、流量演算回路(図示せず。)を駆動してガスの流量を計測する。
【符号の説明】
【0024】
1 ガスメータ本体
2 下ケース
3 計量室
4 計量膜
5 レバー
6 スピンドル
7 機械室
8 大ひじ金
9 小ひじ金
10 クランク
10a 下段クランク板
10b ピン
10c 中段クランク板
10d ひじ金係合ピン
10e 永久磁石取付板
11 バルブ
12 バルブ
13 上ケース
14 電子室
15 分配室
16 クランク台受け軸
16a クランク台受け軸上口
17 クランク台
17a クランク台下端部
17b クランク台下端部
18 ビス
19 クランク軸穴
19a クランク軸穴上口
19b クランク軸穴下口
20 クランク軸
21 係合爪
21a 係合爪係合部
22 永久磁石
23 爪片
24 磁気センサ
25 バルブ駆動レバー
26 ガス流入口
27 計量済ガス流出口
28 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7