特許第6898883号(P6898883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6898883
(24)【登録日】2021年6月15日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】接続装置、接続方法及び接続プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20210628BHJP
   G06T 7/292 20170101ALI20210628BHJP
【FI】
   H04N7/18 K
   H04N7/18 D
   G06T7/292
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-78647(P2018-78647)
(22)【出願日】2018年4月16日
(65)【公開番号】特開2019-186859(P2019-186859A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】巻渕 有哉
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−55139(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0052739(US,A1)
【文献】 特開2014−153813(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0356840(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/127815(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0051624(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアを撮像する第1撮像装置により第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線としての一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により前記第1期間に撮像された複数の画像に対応する前記動線としての一以上の第2動線とを、前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである第1連結グラフを一以上含む第1追跡結果情報と、前記第1期間に隣接する第2期間に対応する前記連結グラフである第2連結グラフを一以上含む第2追跡結果情報とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、前記取得部が取得した前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択する選択部と、
前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して前記選択部が選択した前記第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、前記連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定されると、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続する接続部と、
を備える接続装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記第1連結グラフにおいて前記第1期間と前記第2期間との境界位置に対応する前記第1動線が含まれている場合には、当該第1動線と前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する前記第1動線とに基づいて、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択するとともに、前記第1連結グラフにおいて前記境界位置に対応する前記第2動線が含まれている場合には、当該第2動線と、前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する前記第2動線とに基づいて、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択する、
請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記第1連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線と、前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線との適合度を算出し、適合度が相対的に高い第2連結グラフを、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフとして選択する、
請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記第1連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線が示す前記所定エリアにおける位置と、前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線が示す前記所定エリアにおける位置とに基づいて、前記適合度を算出する、
請求項3に記載の接続装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記第1期間において前記境界位置に対応する前記画像に含まれる、前記第1連結グラフに対応する動線が示すオブジェクトを示す画像と、前記第2期間において前記境界位置に対応する前記画像に含まれる、前記第2連結グラフに対応する動線が示すオブジェクトを示す画像との類似度に基づいて、前記適合度を算出する、
請求項3又は4に記載の接続装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記第1連結グラフと、前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフのそれぞれとの適合する度合いを示す適合度を算出し、一以上の当該第2連結グラフのうち、他の第2連結グラフに対応する適合度との比率が所定の閾値を超える第2連結グラフを、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフとして選択する、
請求項3から5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記第1追跡結果情報から一の第1連結グラフを選択し、選択した第1連結グラフに含まれる前記境界位置に対応する動線に対して適合度を算出した前記境界位置に対応する動線を含む一以上の第2連結グラフのうち、適合度が相対的に高い動線を含む第2連結グラフを、選択した第1連結グラフに対する接続対象候補として選択し、接続対象候補として選択した第2連結グラフに含まれる前記境界位置に対応する動線と、前記第1追跡結果情報に含まれる一以上の第1連結グラフのそれぞれに含まれる前記境界位置に対応する動線との適合度を算出し、前記一以上の第1連結グラフのうち、適合度が相対的に高い動線を含む第1連結グラフと、選択した第1連結グラフとが一致した場合に、接続対象候補として選択した第2連結グラフを、選択した第1連結グラフと接続させる第2連結グラフとして選択する、
請求項3から6のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフ又は前記第2追跡結果情報に含まれる第2連結グラフにおいて、前記第1期間と前記第2期間との境界位置に対応する動線である到達動線と接続されている動線が、前記境界位置まで到達していない動線である非到達動線である場合に、当該到達動線に対応する位置情報に基づいて、当該非到達動線を前記境界位置まで延長させる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記接続部は、前記判定部により前記連結グラフに前記矛盾が生じてないと判定された複数の前記第2連結グラフのうち、前記第1連結グラフに対して適合度が相対的に高い前記第2連結グラフと、前記第1連結グラフとを接続する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
所定エリアを撮像する第1撮像装置により第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線としての一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により前記第1期間に撮像された複数の画像に対応する前記動線としての一以上の第2動線とを、前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである第1連結グラフを一以上含む第1追跡結果情報と、前記第1期間に隣接する第2期間に対応する前記連結グラフである第2連結グラフを一以上含む第2追跡結果情報とを取得するステップと、
取得された前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、取得された前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択するステップと、
前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、前記連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定するステップと、
前記連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定されると、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続するステップと、
を備える接続方法。
【請求項11】
コンピュータを、
所定エリアを撮像する第1撮像装置により第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線としての一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により前記第1期間に撮像された複数の画像に対応する前記動線としての一以上の第2動線とを、前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである第1連結グラフを一以上含む第1追跡結果情報と、前記第1期間に隣接する第2期間に対応する前記連結グラフである第2連結グラフを一以上含む第2追跡結果情報とを取得する取得部、
前記取得部が取得した前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、前記取得部が取得した前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択する選択部、
前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して前記選択部が選択した前記第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、前記連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する判定部、及び、
前記判定部により前記連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定されると、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続する接続部、
として機能させる接続プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトの追跡結果を示す連結グラフを接続する接続装置、接続方法及び接続プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定エリアにおけるオブジェクトの移動軌跡を示す動線を生成するにあたり、複数の撮像装置から取得した複数の画像に基づいて、オブジェクトを追跡することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−139949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オブジェクトの追跡を高速に行うために、追跡対象の時区間を分割し、各分割区間におけるオブジェクトの追跡を並列に実行することが行われている。しかしながら、追跡対象の時区間を分割すると、各分割区間の間でオブジェクトの追跡結果が途切れてしまうという問題が発生する。そこで、時区間の分割により途切れたオブジェクトの追跡結果を精度良く接続することが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、時区間の分割により途切れたオブジェクトの追跡結果を精度良く接続することができる接続装置、接続方法及び接続プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る接続装置は、所定エリアを撮像する第1撮像装置により第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線としての一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により前記第1期間に撮像された複数の画像に対応する前記動線としての一以上の第2動線とを、前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである第1連結グラフを一以上含む第1追跡結果情報と、前記第1期間に隣接する第2期間に対応する前記連結グラフである第2連結グラフを一以上含む第2追跡結果情報とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、前記取得部が取得した前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択する選択部と、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して前記選択部が選択した前記第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、前記連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定されると、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続する接続部と、を備える。
【0007】
前記選択部は、前記第1連結グラフにおいて前記第1期間と前記第2期間との境界位置に対応する前記第1動線が含まれている場合には、当該第1動線と前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する前記第1動線とに基づいて、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択するとともに、前記第1連結グラフにおいて前記境界位置に対応する前記第2動線が含まれている場合には、当該第2動線と、前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する前記第2動線とに基づいて、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択してもよい。
【0008】
前記選択部は、前記第1連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線と、前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線との適合度を算出し、適合度が相対的に高い第2連結グラフを、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフとして選択してもよい。
【0009】
前記選択部は、前記第1連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線が示す前記所定エリアにおける位置と、前記第2連結グラフにおいて前記境界位置に対応する動線が示す前記所定エリアにおける位置とに基づいて、前記適合度を算出してもよい。
【0010】
前記選択部は、前記第1期間において前記境界位置に対応する前記画像に含まれる、前記第1連結グラフに対応する動線が示すオブジェクトを示す画像と、前記第2期間において前記境界位置に対応する前記画像に含まれる、前記第2連結グラフに対応する動線が示すオブジェクトを示す画像との類似度に基づいて、前記適合度を算出してもよい。
【0011】
前記選択部は、前記第1連結グラフと、前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフのそれぞれとの適合する度合いを示す適合度を算出し、一以上の当該第2連結グラフのうち、他の第2連結グラフに対応する適合度との比率が所定の閾値を超える第2連結グラフを、前記第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフとして選択してもよい。
【0012】
前記選択部は、前記第1追跡結果情報から一の第1連結グラフを選択し、選択した第1連結グラフに含まれる前記境界位置に対応する動線に対して適合度を算出した前記境界位置に対応する動線を含む一以上の第2連結グラフのうち、適合度が相対的に高い動線を含む第2連結グラフを、選択した第1連結グラフに対する接続対象候補として選択し、接続対象候補として選択した第2連結グラフに含まれる前記境界位置に対応する動線と、前記第1追跡結果情報に含まれる一以上の第1連結グラフのそれぞれに含まれる前記境界位置に対応する動線との適合度を算出し、前記一以上の第1連結グラフのうち、適合度が相対的に高い動線を含む第1連結グラフと、選択した第1連結グラフとが一致した場合に、接続対象候補として選択した第2連結グラフを、選択した第1連結グラフと接続させる第2連結グラフとして選択してもよい。
【0013】
前記選択部は、前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフ又は前記第2追跡結果情報に含まれる第2連結グラフにおいて、前記第1期間と前記第2期間との境界位置に対応する動線である到達動線と接続されている動線が、前記境界位置まで到達していない動線である非到達動線である場合に、当該到達動線に対応する位置情報に基づいて、当該非到達動線を前記境界位置まで延長させてもよい。
【0014】
前記接続部は、前記判定部により前記連結グラフに前記矛盾が生じてないと判定された複数の前記第2連結グラフのうち、前記第1連結グラフに対して適合度が相対的に高い前記第2連結グラフと、前記第1連結グラフとを接続してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る接続方法は、コンピュータが実行する、所定エリアを撮像する第1撮像装置により第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線としての一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により前記第1期間に撮像された複数の画像に対応する前記動線としての一以上の第2動線とを、前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである第1連結グラフを一以上含む第1追跡結果情報と、前記第1期間に隣接する第2期間に対応する前記連結グラフである第2連結グラフを一以上含む第2追跡結果情報とを取得するステップと、取得された前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、取得された前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択するステップと、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、前記連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定するステップと、前記連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定されると、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続するステップと、を備える。
【0016】
本発明の第3の態様に係る接続プログラムは、コンピュータを、所定エリアを撮像する第1撮像装置により第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線としての一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により前記第1期間に撮像された複数の画像に対応する前記動線としての一以上の第2動線とを、前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである第1連結グラフを一以上含む第1追跡結果情報と、前記第1期間に隣接する第2期間に対応する前記連結グラフである第2連結グラフを一以上含む第2追跡結果情報とを取得する取得部、前記取得部が取得した前記第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、前記取得部が取得した前記第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択する選択部、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して前記選択部が選択した前記第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、前記連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する判定部、及び、前記判定部により前記連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定されると、前記第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された前記第2連結グラフとを接続する接続部、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、時区間の分割により途切れたオブジェクトの追跡結果を精度良く接続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係るオブジェクト追跡システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る第1撮像装置及び第2撮像装置の設置位置と、撮像範囲とを示す図である。
図3】第1撮像装置と第2撮像装置とが撮像した動画に基づくオブジェクトの追跡結果の例を示す図である。
図4図3に示す追跡結果に対応する動画を、第1期間に対応する動画と、第2期間に対応する動画に分けたときのオブジェクトの追跡結果の例を示す図である。
図5】本実施形態に係る接続装置の構成を示す図である。
図6】本実施形態に係る接続装置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図7】第1連結グラフに対して第2連結グラフが選択されたときの選択パターンを示す図である。
図8】非到達動線を境界位置まで延長させた例を示す図である。
図9】複数の期間のそれぞれに対して連結グラフの接続を繰り返した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[オブジェクト追跡システムSの概要]
図1は、本実施形態に係るオブジェクト追跡システムSの構成を示す図である。オブジェクト追跡システムSは、第1撮像装置1Aと、第2撮像装置1Bと、オブジェクト追跡装置2と、接続装置3とを備える。
【0020】
第1撮像装置1Aと、第2撮像装置1Bとは、所定エリアを撮像することにより動画を生成する撮像装置である。ここで、所定エリアは、例えば店舗のフロアである。所定エリアには、オブジェクト追跡システムSにおいて移動の軌跡を追跡する対象のオブジェクトとして、店員等の人物が存在する。第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bのそれぞれは、所定エリアの少なくとも一部を含む全方位画像を撮像することにより、複数の画像を含む動画を生成する。複数の画像のそれぞれには、画像が撮像された撮像時刻が関連付けられているものとする。
【0021】
ここで、第1撮像装置1Aが撮像可能な範囲と第2撮像装置1Bが撮像可能な範囲とは、少なくとも一部で重複しているものとする。図2は、本実施形態に係る第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bの設置位置と、撮像範囲とを示す図である。図2に示すように、所定エリアAには、第1撮像装置1Aと第2撮像装置1Bとが設置されている。また、図2には、第1撮像装置1Aの撮像範囲R1と、第2撮像装置1Bの撮像範囲R2とが示されている。図2に示すように、撮像範囲R1と撮像範囲R2とは、一部が重複していることが確認できる。なお、本実施形態において、第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bのそれぞれは、全方位画像を撮像するものとしたが、これに限らず、全方位画像ではない画像を撮像してもよい。
【0022】
オブジェクト追跡装置2は、第1撮像装置1Aから複数の画像を含む動画を取得するとともに、第2撮像装置1Bから複数の画像を含む動画を取得する。オブジェクト追跡装置2は、取得した動画を解析することにより、所定エリアを移動するオブジェクトを追跡し、オブジェクトの移動軌跡としての動線を生成する。図3は、第1撮像装置1Aと第2撮像装置1Bとが撮像した動画に基づくオブジェクトの追跡結果の例を示す図である。
【0023】
図3に示す例では、第1撮像装置1Aにより撮像された複数の画像に基づくオブジェクトの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す動線として、動線LA1、LA2、LA3が特定されていることが確認できる。また、図3に示す例では、第2撮像装置1Bにより撮像された複数の画像に基づくオブジェクトの追跡結果を示す動線として、動線LB1、LB2、LB3が特定されていることが確認できる。以下の説明では、第1撮像装置1Aが撮像した画像に基づいて特定される動線を第1動線、第2撮像装置1Bが撮像した画像に基づいて特定される動線を第2動線という。
【0024】
オブジェクト追跡装置2は、第1動線が示すオブジェクトと第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて、第1動線と第2動線とを接続する。オブジェクト追跡装置2は、第1動線と第2動線とが接続されていることを示す追跡接続情報を生成することにより、第1動線と第2動線とを接続する。図3に示す例では、第1動線LA3と、第2動線LB3とが、追跡接続情報Cによって接続されていることが確認できる。
【0025】
本実施形態において、オブジェクト追跡装置2は、オブジェクトの追跡を高速に行うために、追跡対象の時区間を分割し、各分割区間におけるオブジェクトの追跡を並列に実行する。すなわち、オブジェクト追跡装置2は、第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bが生成した動画を、動画の再生時間を、複数の期間に分割し、それぞれの動画に基づいてオブジェクトの追跡を並列に実行する。
【0026】
図4は、図3に示す追跡結果に対応する動画を、第1期間に対応する動画と、第2期間に対応する動画に分割したときのオブジェクトの追跡結果の例を示す図である。ここで、第2期間は、第1期間に隣接する期間であるものとする。図4では、第1期間に対応する追跡結果として、第1動線LA1−1、LA1−2及びLA1−3と、第2動線LB1−1、LB1−2及びLB1−3とが特定されていることが確認できる。また、図4では、第2期間に対応する追跡結果として、第1動線LA2−1及びLA2−2と、第2動線LB2−1及びLB2−2とが特定されていることが確認できる。また、図4では、第1動線LA1−3と、第2動線LB1−3とが、追跡接続情報Cによって接続されていることが確認できる。
【0027】
複数の期間に分割してオブジェクトを追跡する場合には、図4に示すように、追跡結果が途切れてしまう。そこで、接続装置3は、対応する可能性が高い2つの追跡結果を接続する。この場合において、接続装置3は、接続した後の追跡結果に矛盾が生じているか否かを判定し、矛盾が生じていないと判定すると、これらの追跡結果を接続する。このようにすることで、接続装置3は、時区間の分割により途切れたオブジェクトの追跡結果を精度良く接続することができる。
【0028】
[接続装置3の構成]
続いて、接続装置3の構成を説明する。図5は、本実施形態に係る接続装置3の構成を示す図である。図5に示すように、接続装置3は、記憶部31と、制御部32とを備える。
【0029】
記憶部31は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部31は、制御部32が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部31は、接続装置3を、取得部321、選択部322、判定部323、及び接続部324として機能させる接続プログラムを記憶している。
【0030】
制御部32は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)である。制御部32は、記憶部31に記憶された接続プログラムを実行することにより、取得部321、選択部322、判定部323、及び接続部324として機能する。
【0031】
以下、接続装置3における処理の流れを参照しながら、取得部321、選択部322、判定部323、及び接続部324の詳細について説明する。図6は、本実施形態に係る接続装置3に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
まず、取得部321は、オブジェクト追跡装置2から、オブジェクトの追跡結果を示す追跡結果情報を取得する(S1)。具体的には、取得部321は、第1期間における一以上のオブジェクトの追跡結果を示す第1追跡結果情報と、第2期間における一以上のオブジェクトの追跡結果を示す第2追跡結果情報とを取得する。
【0033】
第1追跡結果情報は、一以上の第1連結グラフを含んでいる。第1連結グラフは、第1撮像装置1Aにより第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示す一以上の第1動線と、第2撮像装置1Bにより第1期間に撮像された複数の画像に基づく一以上のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示す一以上の第2動線とを、第1動線が示すオブジェクトと第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである。
【0034】
ここで、動線は、各時刻と、各時刻におけるオブジェクトの位置を示す位置情報とを関連付けた動線情報により示される。例えば、オブジェクトの位置情報は、所定エリアにおけるオブジェクトの位置を示す位置座標、又は撮像装置が撮像した画像におけるオブジェクトの位置を示す位置座標である。また、第1動線と、第2動線とは、同一性判定の結果に対応し、第1動線と第2動線とが接続されていることを示す追跡接続情報により接続される。このため、連結グラフは、一以上の第1動線と、一以上の第2動線と、一以上の追跡接続情報を含んでいる。なお、本実施形態では、第1動線単体又は第2動線単体についても、連結グラフの一形態であるものとする。
【0035】
第2追跡結果情報は、一以上の第2連結グラフを含んでいる。第2連結グラフは、第1撮像装置1Aにより第2期間に撮像された複数の画像に基づく一以上の第1動線と、第2撮像装置1Bにより第2期間に撮像された複数の画像に基づく一以上の第2動線とを、第1動線が示すオブジェクトと第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて接続した連結グラフである。
【0036】
続いて、選択部322は、取得部321が取得した第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する第2連結グラフを、取得部321が取得した第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択する(S2〜S4)。
【0037】
具体的には、選択部322は、複数の第1連結グラフのうち、未選択の第1連結グラフを選択する(S2)。
選択部322は、選択した第1連結グラフにおいて第1期間と第2期間との境界位置に対応する第1動線が含まれている場合には、当該第1動線と、第2連結グラフにおいて当該境界位置に対応する第1動線とに基づいて、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択する。なお、選択部322は、境界位置に到達していない動線についても、カルマンフィルタ等を用いて、過去フレームの動線情報をもとに境界位置に到達するまでの動線を補完し、境界位置に到達したものとして扱ってもよい。
【0038】
また、選択部322は、選択した第1連結グラフにおいて第1期間と第2期間との境界位置に対応する第2動線が含まれている場合には、当該第2動線と、第2連結グラフにおいて当該境界位置に対応する第2動線とに基づいて、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択する。また、選択部322は、選択した第1連結グラフにおいて第1期間と第2期間との境界位置に対応する第1動線及び第2動線が含まれている場合には、当該第1動線と、第2連結グラフにおいて当該境界位置に対応する第1動線とに基づいて、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択するとともに、当該第2動線と、第2連結グラフにおいて当該境界位置に対応する第2動線とに基づいて、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択する。以下の説明において、第1期間と第2期間との境界位置を、単に境界位置という。
【0039】
以下、選択した第1連結グラフにおいて境界位置に対応する第1動線が含まれている場合において、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択するときの処理の詳細を説明する。
【0040】
具体的には、選択部322は、選択した第1連結グラフにおいて境界位置に対応する動線と、一以上の第2連結グラフのそれぞれにおいて境界位置に対応する動線との適合度を算出する(S3)。
【0041】
ここで、選択部322は、第1連結グラフにおいて境界位置に対応する動線が示す所定エリアにおける位置と、一以上の第2連結グラフのそれぞれにおいて境界位置に対応する動線が示す所定エリアにおける位置とに基づいて適合度を算出する。例えば、選択部322は、選択した第1連結グラフにおいて境界位置に対応する動線を示す動線情報に含まれる、境界位置に対応する位置情報が示す位置と、一以上の第2連結グラフのそれぞれにおいて境界位置に対応する動線を示す動線情報に含まれる、境界位置に対応する位置情報が示す位置との距離を算出し、当該距離に基づいて適合度を算出する。適合度は、境界位置に対応する動線間の距離が近ければ近いほど高くなるものとする。分割位置において対応する動線間の距離は近くなることから、接続装置3は、境界位置に対応する動線間の距離により適合度を算出することにより、精度良く対応する連結グラフを選択することができる。距離の算出は、所定エリアにおける座標系である世界座標系であっても、全方位画像における座標系である画像座標系であってもよい。
【0042】
また、選択部322は、境界位置に対応する動線が示す位置に基づいて適合度を算出したが、これに限らない。選択部322は、第1期間において境界位置に対応する画像に含まれる、第1連結グラフに対応する動線が示すオブジェクトを示す画像と、第2期間において境界位置に対応する画像に含まれる、一以上の第2連結グラフのそれぞれに対応する動線が示すオブジェクトを示す画像との類似度に基づいて適合度を算出してもよい。
【0043】
この場合において、選択部322は、第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bが撮像した第1期間に対応する複数の画像のうち、撮像時刻が最も新しい画像を選択する。そして、選択部322は、選択した第1連結グラフに対応する動線に含まれる、当該撮像時刻に関連付けられている位置情報を特定し、選択した画像から、特定した位置情報が示す位置に対応する画像を、オブジェクトを示す画像として抽出する。
【0044】
また、選択部322は、第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bが撮像した第2期間に対応する複数の画像のうち、撮像時刻が最も古い画像を選択する。選択部322は、当該撮像時刻を含む動線に対応する一以上の第2連結グラフを特定する。そして、選択部322は、特定した一以上の当該第2連結グラフに対応する動線に含まれる、当該撮像時刻に関連付けられている位置情報を特定し、選択した画像から、特定した位置情報が示す位置に対応する画像を、オブジェクトを示す画像として抽出する。
【0045】
選択部322は、選択した第1連結グラフに対応する動線から抽出したオブジェクトを示す画像と、一以上の第2連結グラフに対応する動線から抽出した複数のオブジェクトを示す画像のそれぞれとの類似度を算出し、当該類似度に基づいて適合度を算出する。適合度は、類似度が高ければ高いほど高くなるものとする。分割位置において対応する動線に対応するオブジェクトの画像は類似することから、接続装置3は、境界位置に対応するオブジェクトの画像に基づいて適合度を算出することにより、精度良く対応する連結グラフを選択することができる。なお、選択部322は、第1期間において最も新しい画像と、第2期間において最も古い画像との比較を行ったが、比較に使用する画像はこれに限定されない。選択部322は、比較する画像間の時間的間隔が閾値以内の第1期間に対応する画像と、第2期間に対応する画像との比較を行ってもよい。
【0046】
選択部322は、選択した第1連結グラフに含まれる境界位置に対応する動線に対する、一以上の第2連結グラフのそれぞれに対応する境界位置に対応する動線の適合度を算出すると、当該一以上の第2連結グラフのうち、適合度が相対的に高い動線を含む第2連結グラフを、当該第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフとして選択する(S4)。例えば、選択部322は、一以上の当該第2連結グラフのうち、最も適合度が高い動線を含む第2連結グラフと、適合度が2番目に高い動線を含む第2連結グラフとを特定する。そして、選択部322は、最も高い適合度と、他の第2連結グラフに対応し、2番目に高い適合度との比率が所定の閾値を超える場合、最も適合度が高い動線を含む第2連結グラフを、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフとして選択してもよい。
【0047】
選択部322は、一以上の第2連結グラフのうち、適合度が相対的に高い動線を含む第2連結グラフを、接続対象候補として選択してもよい。そして、選択部322は、接続対象候補として選択した第2連結グラフに含まれる境界位置に対応する動線と、第1追跡結果情報に含まれる複数の第1連結グラフのうち、境界位置に対応する動線を含む一以上の第1連結グラフに含まれる当該動線との適合度を算出してもよい。そして、選択部322は、当該一以上の第1連結グラフのうち、接続対象候補として選択した第2連結グラフに含まれる動線との適合度が相対的に高い動線を含む第1連結グラフと、選択した第1連結グラフとが一致した場合に、接続対象候補として選択した第2連結グラフを、選択した第1連結グラフと接続させる第2連結グラフとして選択してもよい。このようにすることで、接続装置3は、選択された第1グラフに対応する可能性が高い第2連結グラフを選択することができる。
【0048】
なお、選択した第1連結グラフにおいて境界位置に対応する第2動線が含まれている場合において、第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを選択するときの処理は、第1動線が含まれている場合に第2連結グラフを選択するときの処理と同様の処理であるので詳細な説明を省略する。
【0049】
続いて、選択部322は、境界位置に対応する動線が含まれている全ての第1連結グラフを選択したか否かを判定する(S5)。選択部322は、全ての第1連結グラフを選択したと判定すると、S6に処理を移し、全ての第1連結グラフを選択していないと判定すると、S2に処理を移す。
【0050】
選択した第1連結グラフに対して第2連結グラフを選択した結果は、以下の5種類の選択パターンに分けられることとなる。図7は、第1連結グラフに対して第2連結グラフが選択されたときの選択パターンを示す図である。
【0051】
第1のパターンは、第1連結グラフに含まれる動線に対して、同じ撮像装置に対応する動線であって、追跡接続情報により他の撮像装置に対応する動線が接続されていない動線により接続される第2連結グラフが選択されたパターンである。第1のパターンの一例として、図7に示すように、第1動線LA1−1のみ含む第1連結グラフG1−1に対して、第2動線LA2−1のみ含む第2連結グラフG2−1が選択された例が挙げられる。ここで、図7に示す双方向の矢印ASは、接続される動線同士を示しているものとする。
【0052】
第2のパターンは、第1連結グラフに含まれる動線に対して、同じ撮像装置に対応するとともに、追跡接続情報により他の撮像装置に対応する動線が接続されている動線により接続される第2連結グラフが選択されたパターンである。第2のパターンの一例として、図7に示すように、第1動線LA1−1のみ含む第1連結グラフG1−1に対して、第2動線LA2−1と、第2動線LB2−1とが追跡接続情報により接続された第2連結グラフG2−2が選択された例が挙げられる。
【0053】
第3のパターンは、第1連結グラフに含まれる2つの動線のそれぞれに対して、追跡接続情報により接続された2つの動線により接続される第2連結グラフが選択されたパターンである。第3のパターンの一例として、図7に示すように、第1動線LA1−1のみ含む第1連結グラフG1−1と、第2動線LB1−1のみ含む第1連結グラフG1−2とに対して、追跡接続情報により接続されている第1動線LA2−1と第2動線LB2−1とを含む第2連結グラフG2−2が選択された例が挙げられる。
【0054】
第4のパターンは、第3パターンにおける一方の第1連結グラフに、追跡接続情報により2つの動線が接続されているパターンである。第4のパターンの一例として、図7に示すように、第1動線LA1−1と、第2動線LB1−2とが追跡接続情報により接続された第1連結グラフG1−3と、第2動線LB1−1のみ含む第1連結グラフG1−2とに対して、追跡接続情報により接続されている第1動線LA2−1と第2動線LB2−1とを含む第2連結グラフG2−2が選択された例が挙げられる。この場合、それぞれ異なるオブジェクトを示す第2動線LB1−1と、第2動線LB1−2とが同じ時刻に対応する位置を含んでいると、これらの連結グラフを接続した連結グラフには矛盾が生じていることとなる。
【0055】
すなわち、矛盾とは、連結グラフに異なるオブジェクトに対応する複数の動線が含まれていることをいう。連結グラフに、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれている場合、当該連結グラフには矛盾が生じている。
【0056】
第4のパターンに示す例では、第1連結グラフG1−3における第2動線LB1−2と第1動線LA1−1とが追跡接続情報により同一のオブジェクトと判定された動線であり、第1動線LA1−1と第1動線LA2−1とが連結グラフの接続により同一のオブジェクトの動線とされた動線である。
【0057】
また、第2連結グラフG2−2における第1動線LA2−1と第2動線LB2−1とが追跡接続情報により同一のオブジェクトと判定された動線であり、第2動線LB2−1と第2動線LB1−1とが連結グラフの接続により同一のオブジェクトとされた動線である。したがって、第2動線LB1−2と第2動線LB1−1とについて、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複し、同一のオブジェクトの動線であることが導き出されてしまう。よって、第4パターンに示す連結グラフの接続の結果、同じ撮像装置の同じ時刻の画像に対応して、同一のオブジェクトの動線が2つ存在してしまうという矛盾が発生することとなる。
【0058】
第5のパターンは、第4パターンにおける他方の第1連結グラフにも、追跡接続情報により2つの動線が接続されているパターンである。第5のパターンの一例として、図7に示すように、第1動線LA1−1と、第2動線LB1−2とが追跡接続情報により接続された第1連結グラフG1−3と、第1動線LA1−2と、第2動線LB1−1とが追跡接続情報により接続された第1連結グラフG1−4とに対して、追跡接続情報により接続されている第1動線LA2−1と第2動線LB2−1とを含む第2連結グラフG2−2が選択された例が挙げられる。この場合、それぞれ異なるオブジェクトを示す第1動線LA1−1と、第1動線LA1−2とが同じ時刻に対応する位置を含んでいるか、それぞれ異なるオブジェクトを示す第2動線LB1−1と、第2動線LB1−2とが同じ時刻に対応する位置を含んでいると、これらの連結グラフを接続した連結グラフには矛盾が含まれることとなる。
【0059】
なお、図7の各パターンにおいて、第1期間の連結グラフの構成と第2期間の連結グラフの構成を入れ替えたパターンについても同様に考えられる。第1期間の連結グラフの構成と第2期間の連結グラフの構成を入れ替えたパターンについては説明を省略する。
【0060】
判定部323は、選択部322により選択された結果に基づいて、接続される第1連結グラフと第2連結グラフの組み合わせのうち、未選択の組み合わせを選択する(S6)。
続いて、判定部323は、S6において選択した組み合わせに基づいて、第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択部322が選択した第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、当該連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する(S7)。
【0061】
例えば、第1撮像装置1Aにより撮像された画像に基づいて特定された第1動線が同一の時刻に複数存在する場合、これらの第1動線は、それぞれ異なるオブジェクトを示しており、同一のオブジェクトを示すものではない。同様に、第2撮像装置1Bにより撮像された画像に基づいて特定された第2動線が同一の時刻に複数存在する場合、これらの第2動線は、それぞれ異なるオブジェクトを示しており、同一のオブジェクトを示すものではない。
【0062】
したがって、判定部323は、S6において選択した組み合わせに基づいて、連結グラフを生成した場合に、当該連結グラフに、同じ時刻に対応する第1動線が複数含まれている場合、又は同じ時刻に対応する第2動線が含まれている場合、当該連結グラフに矛盾が生じていると判定する。
【0063】
判定部323は、連結グラフに矛盾が生じていると判定すると、S9に処理を移し、連結グラフに矛盾が生じていないと判定すると、S8に処理を移す。
【0064】
接続部324は、判定部323により判定対象の連結グラフに矛盾が生じていないと判定されると、S6において選択した組み合わせに対応する第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択した第2連結グラフとを接続して連結グラフを生成する(S8)。
【0065】
また、接続部324は、判定部323により判定対象の連結グラフに矛盾が生じていると判定された場合には、S2において選択した第1連結グラフが示すオブジェクトと、S4において当該第1連結グラフに対して選択した第2連結グラフが示すオブジェクトが異なるオブジェクトであるものと判定し、当該第1連結グラフと当該第2連結グラフとを接続させないように制御する。
【0066】
続いて、判定部323は、接続される第1連結グラフと第2連結グラフの全ての組み合わせを選択したか否かを判定する(S9)。選択部322は、全ての組み合わせを選択したと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了し、全ての組み合わせを選択していないと判定すると、S6に処理を移す。
【0067】
なお、本フローチャートにおける処理では、選択部322は、適合度が相対的に高い動線を含む第2連結グラフとして、1つの第2連結グラフを選択したが、これに限らず、適合度が相対的に高い動線を含む複数の第2連結グラフを選択してもよい。この場合において、判定部323は、選択部322により選択された複数の第2連結グラフのそれぞれについて、選択された第1連結グラフと接続して連結グラフを生成した場合に、当該連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定してもよい。
【0068】
そして、接続部324は、判定部323により生成した連結グラフに矛盾が生じてないと判定された複数の第2連結グラフのうち、選択された第1連結グラフに含まれる動線に対して適合度が相対的に高い動線を含む第2連結グラフを、当該第1連結グラフと接続してもよい。このようにすることで、接続装置3は、選択した第1連結グラフと接続する対象の第2連結グラフを精度良く特定し、当該第1連結グラフと、当該第2連結グラフとを接続させることができる。
【0069】
また、本フローチャートにおける処理では、選択部322は、境界位置に対応する動線を含む連結グラフにおいて、動線の編集を行う処理を行わなかったが、これに限らず、動線の編集を行うようにしてもよい。
【0070】
選択部322は、追跡結果情報に含まれる第1連結グラフ、又は第2追跡結果情報に含まれる第2連結グラフにおいて、第1期間と第2期間との境界位置に対応する動線である到達動線と、追跡接続情報によって接続されている動線が、境界位置まで到達していない動線である非到達動線である場合に、当該到達動線に対応する位置情報に基づいて、当該非到達動線を前記境界位置まで延長させてもよい。
【0071】
図8は、非到達動線を境界位置まで延長させた例を示す図である。図8に示すように、第1期間における第1動線LA1−3は非到達動線であり、追跡接続情報Cにより接続された第2動線LB1−3は到達動線である。この場合、選択部322は、図8に示すように、非到達動線に対応する時刻のうち、最も遅い時刻T1を特定する。選択部322は、到達動線において、特定した時刻T1に対応する位置と、当該時刻T1の次の時刻T2に対応する位置とに基づいて、位置の変化量を算出する。そして、選択部322は、非到達動線において、時刻T1に対応する位置に対して、算出した変化量を加算することにより、時刻T2に対応する位置を特定する。選択部322は、非到達動線において、境界位置に対応する時刻に対応する位置が特定されるまで、上述の処理を繰り返す。このようにすることで、非到達動線を到達動線として扱い、連結グラフを接続することができる。
【0072】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る接続装置3は、第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する対象となる第2連結グラフを、第2追跡結果情報に含まれる一以上の第2連結グラフから選択し、当該第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択した第2連結グラフとを接続した連結グラフを生成した場合に、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が含まれているか否かを判定することにより、連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する。そして、接続装置3は、連結グラフに前記矛盾が生じていないと判定すると、第1連結グラフと、当該第1連結グラフに対して選択された第2連結グラフとを接続する。このようにすることで、接続装置3は、時区間の分割により、各区間に対して並列で追跡処理を実施することで高速化を実現できるとともに、途切れたオブジェクトの追跡結果に対応する第1連結グラフと、第2連結グラフとを精度良く接続することができる。
【0073】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。
【0074】
上記実施形態では、第1期間に対応する第1追跡結果情報に含まれる第1連結グラフと接続する第2連結グラフを第2追跡結果情報から選択したが、これに限らず、3つ以上の期間のそれぞれに対応する追跡結果に含まれる連結グラフを接続するようにしてもよい。
【0075】
図9は、複数の期間のそれぞれに対して連結グラフの接続を繰り返した例を示す図である。接続装置3の制御部32は、図9に示すように、第1期間に対応する追跡結果情報に含まれる連結グラフと、第2期間に対応する追跡結果情報に含まれる連結グラフとを接続させることにより、矛盾のない連結グラフを生成する。そして、制御部32は、生成した矛盾のない連結グラフと、第3期間に対応する追跡結果情報に含まれる連結グラフとを接続させることにより、矛盾のない連結グラフをさらに生成する。このようにすることで、接続装置3は、複数期間に対応する連結グラフを接続することにより、矛盾のない連結グラフを生成することができる。
【0076】
また、特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0077】
例えば、上記実施形態では、接続装置3と、オブジェクト追跡装置2とは異なる装置であるものとしたが、これに限らない。接続装置3と、オブジェクト追跡装置2とは、一つの装置により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1A・・・第1撮像装置、1B・・・第2撮像装置、2・・・オブジェクト追跡装置、3・・・接続装置、31・・・記憶部、32・・・制御部、321・・取得部、322・・・選択部、323・・・判定部、324・・・接続部、S・・・オブジェクト追跡システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9