特許第6901343号(P6901343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6901343
(24)【登録日】2021年6月21日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】車両の空調ダクト取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20210701BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   B60H1/00 102R
   B60K37/00 Z
   B60K37/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-143615(P2017-143615)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-25933(P2019-25933A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉村 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】寄田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中村 由起子
(72)【発明者】
【氏名】信岡 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】落水 均
(72)【発明者】
【氏名】福野 秀一
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−355210(JP,A)
【文献】 特開2005−297914(JP,A)
【文献】 特開2006−298181(JP,A)
【文献】 特開2007−246034(JP,A)
【文献】 特開2015−044506(JP,A)
【文献】 特表2008−543649(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201784707(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びるクロスメンバ部材とこのクロスメンバ部材よりも前側に配設されたデフロスタダクト及びベントダクトと前記ダクトのデフロスタ吹出口及びベント吹出口とを備えたインパネモジュールを有し、前記インパネモジュールのクロスメンバ部材を車体に取り付けることにより、予め車体側に搭載された空調装置の空気送出口と前記ダクトのダクト上流端部とが接続される車両の空調ダクト取付構造において、
前記デフロスタダクト及びベントダクトのうち前記クロスメンバ部材から前方に離間して配設された前記デフロスタダクトの上流端部を支持するダクトパネルを設け、
前記ダクトパネルが、前記デフロスタダクトの上流端部を前記空気送出口の対応部分に位置決めする第1接続部と、前記第1接続部を前記クロスメンバ部材に支持する第1支持部と、前記第1接続部と第1支持部とを連結する連結部とを有し、
前記連結部が、前記デフロスタダクトよりも後方に配置されたベントダクトの上流端部を前記空気送出口の対応部分に位置決めする第2接続部を構成したことを特徴とする車両の空調ダクト取付構造。
【請求項2】
前記クロスメンバ部材が、左右1対のヒンジピラー間を車幅方向に連結するクロスカービームであることを特徴とする請求項1に記載の車両の空調ダクト取付構造。
【請求項3】
前記ダクトパネルが、前記第1接続部と第2接続部との間において第2支持部を介して前記クロスメンバ部材に支持されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の空調ダクト取付構造。
【請求項4】
前記第1接続部が、前記デフロスタ吹出口と側面視にて前後方向に重複するように配設されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の空調ダクト取付構造。
【請求項5】
後方上り傾斜状に延びるフロントウインドガラスを有し、
前記第1接続部の前端部が、前記デフロスタ吹出口の前端部よりも車体前方に配設されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の空調ダクト取付構造。
【請求項6】
前記インパネモジュールが空調風を車体側部に供給するデミスタダクトを備え、
前記第1接続部が前記デミスタダクトの上流端部を位置決めすることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両の空調ダクト取付構造。
【請求項7】
少なくとも前記第1接続部に上方に延設されて前記デフロスタダクトの上流端部に嵌合する延設部が設けられたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両の空調ダクト取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の空調ダクト取付構造に関し、特に予め車体側に搭載された空調装置の空気送出口とデフロスタダクト及びベントダクトのダクト上流端部とが接続される車両の空調ダクト取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両には、送風機としてのブロアモータと、冷却用熱交換器と、加熱用熱交換器等を備えた空調装置が搭載され、この空調装置は車体前部に設けられたインスツルメントパネル(以下、インパネと略す。)内部に収容されている。
このインパネには、乗員に空調風を供給するベントエア吹出口と、フロントウインドガラスに空調風を供給するデフロスタ吹出口と、サイドガラスに空調風を供給するデミスタ吹出口等が形成され、これらの吹出口と空調装置の空気送出口とを接続する合成樹脂製の複数のダクトが設けられている。
【0003】
一般に、インパネは、サブアセンブリステーションで車幅方向に延びるクロスカービーム(ステアリングメンバとも言う)に対して各種部品と共に組み付けられてインパネモジュールに形成された後、このインパネモジュールが車体搬送ライン上を搬送されている車体に対して組み付けられる。
特許文献1の空調ダクト取付構造は、ブロー成形により一体化された空調ダクトにクロスカービームに固定するための第1取付座と、インパネを固定するための第2取付座とを形成し、空調ダクトが第1取付座においてクロスカービームに固定され、インパネが空調ダクトに載置された状態で第2取付座において空調ダクトに固定されている。
【0004】
車両組立工程において、インパネモジュールを車体のフロントドア開口部から車室内に搬入し、ダッシュパネルに対して正面上方から取り付け位置に向けて斜め下方に移動させて位置決めした後、クロスカービームの左右両端部に設置された取付ブラケットが左右のヒンジピラーに夫々締結される。
それ故、インパネモジュールを用いた組立方法では、空調装置の空気送出口と各空調ダクトの上流端部とはウレタン等の緩衝材を介して単に突き合わせ接続されている。
【0005】
また、空調装置の空気送出口と各空調ダクトの上流端部とをアダプタを介して接続する技術も提案されている。
特許文献2の車両の送風部構造は、空調装置の空気送出口とデフロスタダクトの上流端部との間にアダプタダクトを介在し、このアダプタダクトを軸心周りに設定角度回転させることにより左ハンドル仕様と右ハンドル仕様の何れの仕様のデフロスタダクトにも接続可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−136941号公報
【特許文献2】特開2011−218904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、デフロフタダクトやベントダクト等の空調ダクトは、コスト、重量及び成形性の観点から、合成樹脂材料をブロー成形或いは射出成形によって形成されている。
また、合成樹脂製の空調ダクトの剛性は然程高くなく、特に、ブロー成形で薄肉形成された空調ダクトの剛性は低く、形状保持性が低下する。
それ故、特許文献1の技術のように、クロスカービームに設けられた支持部材によって固定された第1取付座が形成されているダクト(例えば、ベントダクト)の上流端部は位置精度が確保されているものの、第1取付座から離間した位置に設けられたダクト(例えば、デフロスタダクト)の上流端部はベントダクトに比べて空調装置の空気送出口に対する位置ずれが大きくなり、空気送出口と各空調ダクトの上流端部との接続部分に隙間が形成された場合には、組付不良が生じる虞がある。
【0008】
クロスカービームを挟んで、前側にデフロスタダクトを配置すると共に後側にベントダクトを配置し、デフロスタダクトとベントダクトを夫々取付ブラケットを介してクロスカービームに支持することにより、各空調ダクトの上流端部の位置精度を確保することができ、組付不良を回避することができる。
しかし、クロスカービームの後側にベントダクトが配設されるため、インパネの後端部分が後方の車室内に大きく張り出し、乗員の室内スペースが狭くなることから、カップホルダーやセンターコンソール等内装品のレイアウトに影響を与える虞がある。
【0009】
本発明の目的は、室内スペースを確保しつつインパネモジュールの組付不良を回避可能な車両の空調ダクト取付構造等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の車両の空調ダクト取付構造は、車幅方向に延びるクロスメンバ部材とこのクロスメンバ部材よりも前側に配設されたデフロスタダクト及びベントダクトと前記ダクトのデフロスタ吹出口及びベント吹出口とを備えたインパネモジュールを有し、前記インパネモジュールのクロスメンバ部材を車体に取り付けることにより、予め車体側に搭載された空調装置の空気送出口と前記ダクトのダクト上流端部とが接続される車両の空調ダクト取付構造において、前記デフロスタダクト及びベントダクトのうち前記クロスメンバ部材から前方に離間して配設された前記デフロスタダクトの上流端部を支持するダクトパネルを設け、前記ダクトパネルが、前記デフロスタダクトの上流端部を前記空気送出口の対応部分に位置決めする第1接続部と、前記第1接続部を前記クロスメンバ部材に支持する第1支持部と、前記第1接続部と第1支持部とを連結する連結部とを有し、前記連結部が、前記デフロスタダクトよりも後方に配置されたベントダクトの上流端部を前記空気送出口の対応部分に位置決めする第2接続部を構成したことを特徴としている。
【0011】
この車両の空調ダクト取付構造では、デフロスタダクトの上流端部を支持するダクトパネルが、前記デフロスタダクトの上流端部を前記空気送出口の対応部分に位置決めする第1接続部と、前記第1接続部を前記クロスメンバ部材に支持する第1支持部と、前記第1接続部と第1支持部とを連結する連結部とを有するため、クロスメンバ部材から前方に離間して配設されたデフロスタダクトの上流端部をダクトパネルを介して車体に対して精度良く支持することができる。第1接続部と第1支持部とを連結する連結部が、前記デフロスタダクトよりも後方に配置されたベントダクトの上流端部を前記空気送出口の対応部分に位置決めする第2接続部を構成するため、クロスメンバ部材よりも前方に配設されたベントダクトの上流端部を専用の取付ブラケットを介することなく車体に対して精度良く支持することができる。
これにより、インパネの後端部分が後方の車室内に大きく張り出すことを防止しつつ、空調装置の空気送出口と各空調ダクトの上流端部との接続部分との組付精度を向上することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記クロスメンバ部材が、左右1対のヒンジピラー間を車幅方向に連結するクロスカービームであることを特徴としている。
この構成によれば、クロスカービームよりも前方に配設された各空調ダクトの上流端部をダクトパネルを介して車体に対して精度良く支持することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ダクトパネルが、前記第1接続部と第2接続部との間において第2支持部を介して前記クロスメンバ部材に支持されたことを特徴としている。
この構成によれば、各空調ダクトの上流端部の支持剛性を高くすることができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記第1接続部が、前記デフロスタ吹出口と側面視にて前後方向に重複するように配設されたことを特徴としている。
この構成によれば、デフロスタダクトの前後方向に対する湾曲を抑制することができ、構造の簡単化を図ることができる。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、後方上り傾斜状に延びるフロントウインドガラスを有し、前記第1接続部の前端部が、前記デフロスタ吹出口の前端部よりも車体前方に配設されたことを特徴としている。
この構成によれば、デフロスタダクトの吹出速度を増すことができ、デフロスタ性能を向上することができる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1項の発明において、前記インパネモジュールが空調風を車体側部に供給するデミスタダクトを備え、前記第1接続部が前記デミスタダクトの上流端部を位置決めすることを特徴としている。
この構成によれば、クロスメンバ部材から前方に離間して配設されたデミスタダクトの上流端部をダクトパネルを介して車体に対して精度良く支持することができる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか1項の発明において、少なくとも前記第1接続部に上方に延設されて前記デフロスタダクトの上流端部に嵌合する延設部が設けられたことを特徴としている。
この構成によれば、デフロスタダクトの上流端部とダクトパネルとの連結強度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車両の空調ダクト取付構造によれば、ダクトパネルをクロスメンバ部材に支持させることにより、室内スペースを確保しつつインパネモジュールの組付不良を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る車両の車室前部の斜視図である。
図2図1のII−II 線断面図である。
図3】インパネモジュールを省略した車室前部の斜視図である。
図4】インパネモジュールの斜視図である。
図5】インパネモジュールの分解斜視図である。
図6】ダクトパネルの斜視図である。
図7】クロスカービームとダッシュカウルとダクトパネルを示す斜視図である。
図8】車両組立ラインを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
尚、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を限定することを意図するものではない。また、以下の図において、矢印F方向を前方、矢印L方向を左方、矢印U方向を上方として説明する。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1について図1図8に基づいて説明する。
まず、実施例1に係る車両Vの概略構成について説明する。
図1に示すように、この車両Vは、車体の左側にステアリングホイール(図示略)が配置された左ハンドル車両である。
車両Vは、エンジンルームと車室とを前後に仕切る後方下がり傾斜状のダッシュパネル1と、このダッシュパネル1の後端に連なるフロアパネル2と、ダッシュパネル1の左右両側に連結されると共に鉛直状に延びる左右1対のヒンジピラー3と、これら1対のヒンジピラー3の上端部から上方に夫々延びる左右1対のフロントピラー4と、ダッシュパネル1の後側に配設された合成樹脂製のインスツルメントパネル(以下、インパネと略す。)5と、車幅方向に延びるクロスカービーム6等を備えている。
【0021】
上下に延びる1対のヒンジピラー3は、ドア開口を開閉可能な左右1対のフロントドア(図示略)が回動自在に夫々支持されている。
クロスカービーム6は、左右両端部が左右1対の取付ブラケット6aを介して1対のヒンジピラー3に夫々固定され、左側途中部が上下に延びるステー8を介して車体、例えばフロアパネル2に形成されたトンネル部、に固定されている。
このクロスカービーム6の左側途中部には、ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムが固定されている(何れも図示略)。
ダッシュパネル1の上部には、後方上り傾斜状に延びるフロントウインドガラス7aの下端部を支持するカウルボックスの後部を構成する縦壁状のダッシュカウル7が設置されている。このダッシュカウル7の車幅方向途中部は、前後に延びるカウルブラケット9を介してクロスカービーム6の途中部と連結されている(図7参照)。
【0022】
図2図3に示すように、ダッシュパネル1の後側壁部には、空調装置10(HVAC(Heating Ventilating Air-Conditioning))が支持されている。
空調装置10は、上端部分に空調風を上方に向けて送り出す空気送出口11が形成され、ブロアモータと、エアミックスドア(何れも図示略)と、冷媒により空調風を冷却する蒸発器であるエバポレータ12と、エンジン冷却後の温水により空調風を加熱するヒータコア13等を備えている。この空気送出口11は、平面視にて略矩形状に形成され、空調風の供給部位毎に前後2列の開口を複数に区分している。具体的には、左右1対のセンタベント送出口11aが、後側中央部分、左右1対のサイドベント送出口11bが、1対のセンタベント送出口11aの左右両側部分、デフロスタ送出口11cが、前側中央部分、左右1対のデミスタ送出口11dが、デフロスタ送出口11cの左右両側部分に夫々割り当てられている。
これらの送出口11a〜11dの枠部上面には、気密性を確保するため、弾性体14(例えば、ウレタン)が枠形状に沿って配置されている。
【0023】
次に、インパネモジュールMについて説明する。
車両組立工程では、別のアセンブリステーションで組み立てられたインパネモジュールMが車体搬送ラインによって搬送されている車体に対して搭載されている。
図4図5に示すように、インパネモジュールMは、インパネ5と、クロスカービーム6と、左右1対のセンタベントダクト21と、左右1対のサイドベントダクト22と、デフロスタダクト23と、左右1対のデミスタダクト24と、ダクトパネル30等を備えている。
【0024】
まず、インパネ5について説明する。
インパネ5の上端部分には、後部中央部分に左右1対のセンタベント吹出口5aと、後部左右端側部分に左右1対のサイドベント吹出口5bと、前部中央部分にデフロスタ吹出口5cと、前部左右両端部に左右1対のデミスタ吹出口5dとが夫々連通状に形成されている。
これら吹出口5a,5b,5dは略同じ高さ位置に形成され、吹出口5cは、吹出口5a,5b,5dよりも僅かに高い高さ位置に形成されている。
【0025】
次に、ダクト21〜24について説明する。
各空調ダクト21〜24は、合成樹脂を主材料とされ、デフロスタダクト23が射出成形で断面略矩形状に形成され、それ以外のダクト21,22,24がブロー成形で断面略矩形状に形成されている。これらのダクト21〜24の上流端部分は、上下に延びるように夫々構成され、各上流端部は同一平面上において下方に向けて開口している。
【0026】
1対のセンタベントダクト21は、下流端部が1対のセンタベント吹出口5aに夫々連結するように略水平方向に緩湾曲状に夫々延設されている。これら1対のセンタベントダクト21は、1対のセンタベント送出口11aから流出された空調風を1対のセンタベント吹出口5aから車室内に夫々供給している。
1対のサイドベントダクト22は、下流端部が1対のサイドベント吹出口5bに夫々連結するように略水平方向に略L字状に夫々延設されている。これら1対のサイドベントダクト22は、1対のサイドベント送出口11bから流出された空調風を1対のサイドベント吹出口5bから車室内に夫々供給している。
【0027】
図2図5に示すように、デフロスタダクト23は、下流端部がデフロスタ吹出口5cに連結するように略鉛直状に形成され、デフロスタ吹出口5cに接近する程前後寸法が小さく且つ左右寸法が大きくなると共にその横断面積が小さくなるように形成されている。
このデフロスタダクト23は、デフロスタ送出口11cから流出された空調風をデフロスタ送出口11cと側面視にて前後に重複するデフロスタ吹出口5cからフロントウインドガラス7aに供給している。
1対のデミスタダクト24は、下流端部が1対のデミスタ吹出口5dに夫々連結すると共にサイドベントダクト22の上方空間をサイドベントダクト22に夫々沿うように形成されている。これら1対のデミスタダクト24は、1対のデミスタ送出口11dから流出された空調風を1対のデミスタ吹出口5dから左右のフロントドアガラス(図示略)に夫々供給している。
【0028】
次に、ダクトパネル30について説明する。
合成樹脂製のダクトパネル30は、インパネモジュールMの状態(組付前状態)のとき、各空調ダクト21〜24の上流端部を位置決めしつつ下方からダクト21〜24を支持するダクト支持機能と、インパネモジュールMが車体に組み付けられた状態(組付後状態)のとき、空調装置10の空気送出口11から流出された空調風を各空調ダクト21〜24の上流端部に流入させるために空気送出口11と各空調ダクト21〜24の上流端部とを連通するエア通路連通機能とを備えている。
【0029】
図5図7に示すように、ダクトパネル30は、空調装置10の空気送出口11に対して上方から重畳可能に平面視にて略矩形パネル状に形成されている。
ダクトパネル30は、第1接続部31と、この第1接続部31の後側に連なる第2接続部32と、この第2接続部32の左右中央部分から後側に連なる第1支持部33と、第1接続部31と第2接続部32との間において左右両端部に夫々形成された第2支持部34,35等を備えている。ここで、第2接続部32が、第1接続部31と第1支持部33とを連結する連結部に相当している。
【0030】
第1接続部31は、デフロスタ吹出口5cと側面視にて前後に重複すると共にその前端部がデフロスタ吹出口5cの前端部よりも前方に位置するように配設されている。
この第1接続部31は、デフロスタダクト23の上流端部を空気送出口11のデフロスタ送出口11cに位置決めするフランジ部31c(延設部)と、1対のデミスタダクト24の上流端部を空気送出口11の1対のデミスタ送出口11dに夫々位置決めする左右1対のフランジ部31dとを備えている。
フランジ部31cは、基準面から上方に立ち上がるように形成され、前辺右側及び後辺左側に1対の楔状爪部、前辺左側及び後辺右側にねじ穴を備えた1対のボス部31sが設けられている。デフロスタダクト23の上流端部は、フランジ部31cに嵌合されたとき、1対の爪部によって係止されると共に締結部材(図示略)を介して1対のボス部31sに固定されている。1対のフランジ部31dは、フランジ部31cの左右両側の基準面から上方に立ち上がるように形成され、車幅方向外側辺と車幅方向内側辺に1対の楔状爪部が設けられている。1対のデミスタダクト24の上流端部は、1対のフランジ部31dに夫々嵌合されたとき、1対の爪部によって夫々係止されている。
【0031】
第2接続部32は、1対のセンタベントダクト21の上流端部を空気送出口11の1対のセンタベント送出口11aに夫々位置決めする左右1対のフランジ部32aと、1対のサイドベントダクト22の上流端部を空気送出口11の1対のサイドベント送出口11bに夫々位置決めする左右1対のフランジ部32bとを備えている。
1対のフランジ部32aは、基準面から上方に立ち上がるように形成され、前辺中央及び後辺中央に1対の楔状爪部が設けられている。1対のセンタベントダクト21の上流端部は、1対のフランジ部32aに夫々嵌合されたとき、1対の爪部によって夫々係止されている。1対のフランジ部32bは、1対のフランジ部32aの左右両側の基準面から上方に立ち上がるように形成され、前辺中央及び後辺中央に1対の楔状爪部が設けられている。1対のサイドベントダクト22の上流端部は、1対のフランジ部32bに夫々嵌合されたとき、1対の爪部によって夫々係止されている。
【0032】
第1支持部33は、ダクトパネル30を締結部材を介してクロスカービーム6の左右中央部分に固定している。この第1支持部33は、左右後端部分に締結部材が挿通可能な1対のボルト穴が形成されている。
図6に示すように、第2支持部34,35は、上方に突出すると共に締結部材が挿通可能なボルト穴が夫々形成されている。
図5図7に示すように、第2支持部34は、クロスカービーム6の途中部に一端部が固定されたブラケット36の他端部に締結固定されている。第2支持部35は、ダッシュブラケット9の途中部に一端部が固定されたブラケット37の他端部に締結固定されている。
【0033】
次に、組立工程について説明する。
図8に示すように、車両の駆動機構等が搭載された車体は、車体搬送ラインL上を搬送されている。サブアセンブリステーションSa,Sbは、車体搬送ラインLの両側に交互配置された各種モジュールの組立セクションである。例えば、サブアセンブリステーションSaが、インパネモジュールMの組立セクションであり、サブアセンブリステーションSbが、ドアモジュールの組立セクションである。サブアセンブリステーションSbでは、ドアインナパネルにドアガラスやガラス昇降装置等が組み付けられた後、ドアインナパネルにドアアウタパネルを組み付けてドアモジュールが形成される。
【0034】
サブアセンブリステーションSaでは、前述したように、インパネ5と、クロスカービーム6と、各空調ダクト21〜24と、ダクトパネル30等を組み立ててインパネモジュールMを形成する。そして、前工程において空調装置10が搭載された車体がサブアセンブリステーションSaに対応した位置に搬送されてきたとき、インパネモジュールMをフロントドア開口部から車室内に搬入し、ダッシュパネル1に対して正面上方から取り付け位置に向けて斜め下方に移動させて位置決めした後、クロスカービーム6の取付ブラケット6aをヒンジピラー3に締結する。このとき、車体基準で位置決めされた空調装置10の空気送出口11と車体基準で位置決めされたクロスカービーム6に固定されたダクトパネル30との位置精度が確保されているため、空気送出口11の各吹出口5a〜5dと各空調ダクト21〜24の各上流端部との位置精度が確保される。また、空気送出口11の弾性体14がダクトパネル30によって所定量圧縮変形しているため、空気送出口11とダクトパネル30とが突き合わせ接続であっても、気密性も確保されている。
インパネモジュールMが組み付けられた車体は、更に下流側に進行し、サブアセンブリステーションSbに対応した位置に搬送されてきたとき、ドアモジュールが組み付けられる。
【0035】
次に、上記車両の空調ダクト取付構造の作用・効果について説明する。
この車両の空調ダクト取付構造によれば、デフロスタダクト23の上流端部を支持するダクトパネル30が、デフロスタダクト23の上流端部を空気送出口11のデフロスタ送出口11cに位置決めする第1接続部31と、第1接続部31をクロスカービーム6に支持する第1支持部33と、第1接続部31と第1支持部33とを連結する連結部(第2接続部32)とを有するため、クロスカービーム6から前方に離間して配設されたデフロスタダクト23の上流端部をダクトパネル30を介して車体に対して精度良く支持することができる。
第1接続部31と第1支持部33とを連結する連結部が、デフロスタダクト23よりも後方に配置されたベントダクト21,22の上流端部を空気送出口11の送出口11a,11bに位置決めする第2接続部32を構成するため、クロスカービーム6よりも前方に配設されたベントダクト21,22の上流端部を専用の取付ブラケットを介することなく車体に対して精度良く支持することができる。
これにより、インパネ5の後端部分が後方の車室内に大きく張り出すことを防止しつつ、空調装置10の空気送出口11と各空調ダクト21〜24の上流端部との接続部分との組付精度を向上することができる。
【0036】
クロスメンバ部材が、左右1対のヒンジピラー3間を車幅方向に連結するクロスカービーム6であるため、クロスカービーム6よりも前方に配設された各空調ダクト21〜24の上流端部をダクトパネル30を介して車体に対して精度良く支持することができる。
【0037】
ダクトパネル30が、第1接続部31と第2接続部32との間において第2支持部34,35を介してクロスカービーム6に支持されたため、各空調ダクト21〜24の上流端部の支持剛性を高くすることができる。
【0038】
第1接続部31が、デフロスタ吹出口5cと側面視にて前後方向に重複するように配設されているため、デフロスタダクト23の前後方向に対する湾曲を抑制することができ、構造の簡単化を図ることができる。
後方上り傾斜状に延びるフロントウインドガラス7aを有し、第1接続部31の前端部が、デフロスタ吹出口5cの前端部よりも前方に配設されているため、デフロスタダクト23の吹出速度を増すことができ、デフロスタ性能を向上することができる。
【0039】
インパネモジュールMが空調風を車体側部に供給するデミスタダクト24を備え、第1接続部31がデミスタダクト24の上流端部を位置決めするため、クロスカービーム6から前方に離間して配設されたデミスタダクト24の上流端部をダクトパネル30を介して車体に対して精度良く支持することができる。
【0040】
少なくとも第1接続部31に上方に延設されてデフロスタダクト23の上流端部に嵌合するフランジ部31cが設けられたため、デフロスタダクト23の上流端部とダクトパネル30との連結強度を高くすることができる。
【0041】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、デフロスタ送出口とデミスタ送出口との間に仕切壁を形成しない空気送出口の例を説明したが、ダクトパネルと同様にデフロスタ送出口とデミスタ送出口との間に仕切壁を形成した空気送出口を採用しても良い。
また、デミスタ機能がない車両の場合、第1接続部がデフロスタダクトの上流端部のみを支持しても良い。
【0042】
2〕前記実施例においては、ダクトパネルが合成樹脂製の例を説明したが、少なくとも空調ダクトの上流端部を支持できれば良く、金属製や繊維強化樹脂等仕様に合わせて任意に設定することができる。
【0043】
3〕前記実施例においては、デフロスタダクトが射出成形、他のダクトがブロー成形で形成された例を説明したが、全てのダクトを射出成形しても良く、また、全てのダクトをブロー成形しても良い。また、複数種類のダクトを一体成形することも可能である。
【0044】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0045】
5a センタベント吹出口
5b サイドベント吹出口
5c デフロスタ吹出口
10 空調装置
11 空気送出口
21 センタベントダクト
22 サイドベントダクト
23 デフロスタダクト
24 デミスタダクト
30 ダクトパネル
31 第1接続部
31c,31d フランジ部
32 第2接続部
33 第1支持部
34,35 第2支持部
V 車両
M インパネモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8