特許第6908484号(P6908484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6908484
(24)【登録日】2021年7月5日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】オイルポンプの駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/00 20160101AFI20210715BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20210715BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20210715BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20210715BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20210715BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20210715BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20210715BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20210715BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20210715BHJP
   F01M 1/02 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   B60W20/00 900
   B60K6/36ZHV
   B60K6/442
   B60W10/08 900
   B60W10/10 900
   F16H1/06
   B60L50/16
   B60L15/20 S
   B60L9/18 P
   F01M1/02 E
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-184938(P2017-184938)
(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-59322(P2019-59322A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 諭
(72)【発明者】
【氏名】青木 光夫
(72)【発明者】
【氏名】篤 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 芳明
(72)【発明者】
【氏名】新沼 俊輝
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−095261(JP,A)
【文献】 特開2017−047790(JP,A)
【文献】 特開2016−168974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/00
B60K 6/36
B60K 6/442
B60L 9/18
B60L 15/20
B60L 50/16
B60W 10/08
B60W 10/10
F01M 1/02
F16H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、第1モータ・ジェネレータと、第2モータ・ジェネレータとを備えるハイブリッド車両のパワーユニットに用いられるオイルポンプの駆動装置において、
前記エンジンの出力軸とトルク伝達可能に接続された第1スプラインと、
前記第1モータ・ジェネレータの回転軸とトルク伝達可能に接続された第2スプラインと、
前記第2モータ・ジェネレータの回転軸、及び、駆動輪との間でトルクを伝達する車軸とトルク伝達可能に接続された第3スプラインと、
前記第1スプライン、前記第2スプライン、前記第3スプラインと嵌合可能に形成されたスプラインを有し、位置に応じて、前記第1スプライン、前記第2スプライン、前記第3スプラインの接続状態を切り替えるスリーブと、
前記スリーブを摺動させるアクチュエータと、
シリーズHEV走行モード時に前記第1スプラインと前記第2スプラインとを接続し、パラレルHEV走行モード時に前記第1スプライン、前記第2スプライン、及び前記第3スプラインを接続し、EV走行モード時に前記第2スプラインと前記第3スプラインとを接続するように、前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、
オイルを昇圧して吐出するオイルポンプと、
前記第1モータ・ジェネレータとトルク伝達可能に接続され、前記第1モータ・ジェネレータからのトルクを前記オイルポンプの駆動軸に一方向に伝達する第1のワンウェイ・クラッチと、
前記車軸とトルク伝達可能に接続され、前記車軸からのトルクを前記オイルポンプの駆動軸に一方向に伝達する第2のワンウェイ・クラッチと、
車両の運転状態に基づいて、前記オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足しているか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記制御手段は、EV走行モード時において、前記判断手段により、前記オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合に、前記第2スプラインを前記第1スプライン及び前記第3スプラインそれぞれから切り離す位置に前記スリーブを移動させるように、前記アクチュエータを制御することを特徴とするオイルポンプの駆動装置。
【請求項2】
前記制御手段は、EV走行モード時において、前記第2モータ・ジェネレータのみでEV走行しているときに、前記判断手段により前記オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断された場合には、前記第2スプラインを前記第1スプライン及び前記第3スプラインそれぞれから切り離す位置に前記スリーブを移動させるように、前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項3】
前記制御手段は、EV走行モード時において、前記判断手段により、前記オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合に、前記スリーブが前記第3スプラインのみと嵌合する位置に、前記スリーブを移動させるように、前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項4】
前記判断手段は、EV走行モード時において、車速が所定速度以下である場合に、前記オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項5】
前記判断手段は、EV走行モード時において、車速が所定速度以下であり、かつ、前記第2モータ・ジェネレータの負荷が所定値以上である場合に、前記オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項6】
前記判断手段は、EV走行モード時において、後進走行レンジが選択された場合に、前記オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第2スプラインを前記第1スプライン及び前記第3スプラインそれぞれから切り離す位置に前記スリーブを移動させるように、前記アクチュエータを制御したときに、前記第2モータ・ジェネレータの負荷に基づいて、前記第1モータ・ジェネレータの目標回転数を設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項8】
前記第1のワンウェイ・クラッチ及び前記第2のワンウェイ・クラッチは前記オイルポンプの駆動軸の軸線上に配設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項9】
前記第1スプライン、前記第2スプライン、前記第3スプライン、及び前記スリーブは、同軸上に配設されており、
前記スリーブは、前記第1スプライン、前記第2スプライン、前記第3スプラインの外周上を、軸方向に摺動自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項10】
前記第1スプライン、前記第2スプライン、前記第3スプラインそれぞれは、互いに相対回転可能な軸の外周に形成された外スプラインであり、
前記スリーブは、前記第1スプライン、前記第2スプライン、前記第3スプラインに外嵌可能な円筒状に形成され、内周面に沿って軸方向に延びる内スプラインが形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のオイルポンプの駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルポンプの駆動装置に関し、特に、駆動力源としてエンジンとモータ・ジェネレータ(電動モータ)とを備えるハイブリッド車両のパワーユニットに用いられるオイルポンプの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンとモータ・ジェネレータ(電動モータ)とを併用することで車両の燃料消費率(燃費)を効果的に向上させることができるハイブリッド自動車(HEV)が広く実用化されている。ところで、このようなハイブリッド自動車としては、従来から、例えば、モータ・ジェネレータの数、エンジンとモータ・ジェネレータとの組合せ方や切替え方などにより、シリーズHEVやパラレルHEV、ストロングHEVやマイルドHEVなど様々な形式のものが提案・開発されている。
【0003】
ここで、特許文献1には、エンジンとモータ及びジェネレータとを備え、エンジン出力軸の回転をジェネレータ及び駆動車軸にプラネタリギヤを介して分配して伝達すると共に、モータの回転を駆動車軸に伝達するハイブリッド車輌が開示されている。このハイブリッド車輌では、エンジン、ジェネレータ及びモータを適宜制御することにより、モータ出力のみにて、エンジン出力のみにて、又はエンジン出力にモータ出力をアシストして、駆動車軸を駆動すると共に、バッテリ残量及び走行負荷に応じて、エンジン2の出力にてジェネレータを駆動してバッテリを充電する。
【0004】
また、このハイブリッド車輌では、モータなどの冷却や潤滑に用いられるオイルを圧送するために、オイルポンプの駆動部材(駆動軸)に、それぞれワンウェイクラッチを介して複数の伝達経路から回転を伝達し、該オイルポンプを、回転数の高い伝達経路からの回転により駆動する構成を有している。より具体的には、オイルポンプの駆動軸が、第1のワンウェイクラッチを介してエンジン出力軸に連動する入力軸に連結されると共に、第2のワンウェイクラッチを介して駆動車軸に連動する走行回転軸に連結されている。そして、通常走行時にあっては、入力軸回転数より走行回転軸の回転数が高いため、オイルポンプは第2のワンウェイクラッチを介して駆動され、また車輌停止時にあっては、走行回転軸が停止状態にあってもエンジン出力軸(入力軸)はアイドリング回転しているので、オイルポンプが第1のワンウェイクラッチを介して駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−335263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した構成を有するため、特許文献1に記載のハイブリッド車両では、1個のオイルポンプにより、車輌走行中は車速に応じたポンプ吐出量を得ると共に、車輌停止中にあっても所定ポンプ吐出量を得ることができる。
【0007】
しかしながら、上述した構成では、エンジンが停止するEV走行時には走行回転軸(車軸)の回転によりオイルポンプが駆動されるため、例えば、低車速かつ高負荷のEV走行では、オイルポンプの駆動回転数が低く、モータなどの冷却や潤滑に必要なオイル流量に対して、オイルポンプの吐出量(流量)が不足するおそれがある。一方、そのような流量不足を解消するために、エンジンを始動してオイルポンプの駆動回転数を上げ、必要流量(吐出量)を確保しようとすると、エンジンを再始動(稼働)することによる燃料消費率(燃費)の悪化を招いてしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、駆動力源としてエンジンとモータ・ジェネレータ(電動モータ)とを備えるハイブリッド車両のパワーユニットに用いられるオイルポンプの駆動装置において、エンジンを再始動(稼働)することなく、要求吐出量を満足する回転数でオイルポンプを駆動することが可能なオイルポンプの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るハイブリッド車両のパワーユニットは、エンジンと、第1モータ・ジェネレータと、第2モータ・ジェネレータとを備えるハイブリッド車両のパワーユニットに用いられるオイルポンプの駆動装置において、エンジンの出力軸とトルク伝達可能に接続された第1スプラインと、第1モータ・ジェネレータの回転軸とトルク伝達可能に接続された第2スプラインと、第2モータ・ジェネレータの回転軸、及び、駆動輪との間でトルクを伝達する車軸とトルク伝達可能に接続された第3スプラインと、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインと嵌合可能に形成されたスプラインを有し、位置に応じて、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインの接続状態を切り替えるスリーブと、スリーブを摺動させるアクチュエータと、シリーズHEV走行モード時に第1スプラインと第2スプラインとを接続し、パラレルHEV走行モード時に第1スプライン、第2スプライン、及び第3スプラインを接続し、EV走行モード時に第2スプラインと第3スプラインとを接続するように、アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、オイルを昇圧して吐出するオイルポンプと、第1モータ・ジェネレータとトルク伝達可能に接続され、第1モータ・ジェネレータからのトルクをオイルポンプの駆動軸に一方向に伝達する第1のワンウェイ・クラッチと、車軸とトルク伝達可能に接続され、車軸からのトルクをオイルポンプの駆動軸に一方向に伝達する第2のワンウェイ・クラッチと、車両の運転状態に基づいて、オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足しているか否かを判断する判断手段と、を備え、制御手段が、EV走行モード時において、判断手段により、オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合に、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離す位置にスリーブを移動させるように、アクチュエータを制御することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置によれば、まず、第1モータ・ジェネレータとトルク伝達可能に接続され、第1モータ・ジェネレータからのトルクをオイルポンプの駆動軸に一方向に伝達する第1のワンウェイ・クラッチと、車軸とトルク伝達可能に接続され、車軸からのトルクをオイルポンプの駆動軸に一方向に伝達する第2のワンウェイ・クラッチとを備えているので、第1モータ・ジェネレータ及び車軸からの入力の内、いずれか回転数の高い方によってオイルポンプが駆動される。そして、EV走行モード時において、オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合に、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離す位置(第2EV走行モード)にスリーブを移動させるように、アクチュエータが制御される。すなわち、第1モータ・ジェネレータがエンジンや車軸から切り離される(解放される)ため、エンジンを停止して第2モータ・ジェネレータで車両(車軸)を駆動しつつ、第1モータ・ジェネレータによって任意の回転数でオイルポンプを駆動することができる。その結果、エンジンを再始動(稼働)することなく(すなわち燃費を悪化させることなく)、要求吐出量を満足する回転数でオイルポンプを駆動することが可能となる。
【0011】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、上記制御手段が、EV走行モード時において、第2モータ・ジェネレータのみでEV走行しているときに、オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合には、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離す位置にスリーブを移動させるように、アクチュエータを制御することが好ましい。
【0012】
この場合、EV走行モード時において、第2モータ・ジェネレータのみでEV走行しているときに、オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断された場合には、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離す位置にスリーブが移動される。そのため、第1モータ・ジェネレータを併用することなく、第2モータ・ジェネレータのみでEV走行可能ではあるが、オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していない場合、例えば、第2モータ・ジェネレータの冷却や潤滑用のオイル流量が不足するような状態であると判断された場合に、スリーブが移動されて、第2スプラインが第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離され(すなわち、第1モータ・ジェネレータがエンジン及び第2モータ・ジェネレータから切り離され)、第1モータ・ジェネレータによってオイルポンプが駆動される。よって、第2モータ・ジェネレータのみで走行可能ではあるが、該第2モータ・ジェネレータの冷却等が厳しいと推定される状況を判断して、第1モータ・ジェネレータによるオイルポンプの駆動を実行することが可能となる。
【0013】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、上記制御手段が、EV走行モード時において、判断手段によりオイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断された場合に、スリーブが第3スプラインのみと嵌合する位置に、スリーブを移動させるように、アクチュエータを制御することが好ましい。
【0014】
この場合、EV走行モード時において、オイルポンプの吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合に、スリーブが第3スプラインのみと嵌合する位置に移動される。そのため、EV走行モードから直接(すなわち、パラレルHEVモード、シリーズHEVモードを経由することなく)、モードを切替えることができる。よって、モード切替時のスリーブの移動距離(移動時間)を短縮することができる。
【0015】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、判断手段が、EV走行モード時において、車速が所定速度以下である場合に、オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断することが好ましい。
【0016】
このようにすれば、車速が所定速度以下に低下した場合、すなわち、オイルポンプの回転数が所定回転数以下に低下して、オイルの吐出量が減少した場合に、要求吐出量を満足していないと判断することができる。
【0017】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、判断手段が、EV走行モード時において、車速が所定速度以下であり、かつ、第2モータ・ジェネレータの負荷が所定値以上である場合に、オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断することが好ましい。
【0018】
このようにすれば、オイルポンプの回転数が所定回転数以下に低下して、オイルの吐出量が減少する一方、第2モータ・ジェネレータの負荷が所定値以上であり、第2モータ・ジェネレータの冷却に要するオイル量などが増大する場合に、要求吐出量を満足していないと判断することができる。
【0019】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、判断手段が、EV走行モード時において、後進走行レンジが選択された場合に、オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断することが好ましい。
【0020】
ところで、EV走行モード時において、後進走行(リバース)レンジが選択された場合(後進走行する場合)、第2モータ・ジェネレータ(車軸)が逆転される。ここで、上述したように、車軸とオイルポンプの駆動軸との間に第2のワンウェイ・クラッチが介装されているため、後進走行時にはオイルポンプを駆動することができない。よって、この場合、EV走行モード時において、リバースレンジが選択されたときに、オイルポンプの吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断し、第1モータ・ジェネレータによってオイルポンプを駆動することができる。
【0021】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、上記制御手段が、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離す位置にスリーブを移動させるようにアクチュエータを制御したときに、第2モータ・ジェネレータの負荷に基づいて、第1モータ・ジェネレータの目標回転数を設定することが好ましい。
【0022】
この場合、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離す位置にスリーブが移動されたときに(第2EV走行モード時に)、第2モータ・ジェネレータの負荷に基づいて、第1モータ・ジェネレータの目標回転数が設定される。そのため、例えば、要求駆動力等から算出される第2モータ・ジェネレータ22の負荷(発熱量)と相関を有する第2モータ・ジェネレータ22の冷却等に必要なオイル流量を満足するように、第1モータ・ジェネレータ21の目標回転数を設定することが可能となる。
【0023】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、第1のワンウェイ・クラッチ及び第2のワンウェイ・クラッチがオイルポンプの駆動軸の軸線上に配設されていることが好ましい。
【0024】
この場合、第1のワンウェイ・クラッチ及び第2のワンウェイ・クラッチがオイルポンプの駆動軸の軸線上(すなわち同軸上)に配設されている。そのため、オイルポンプの駆動装置のサイズをコンパクトにすることが可能となる。
【0025】
本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、第1スプライン、第2スプライン、第3スプライン、及びスリーブが同軸上に配設されており、スリーブが、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインの外周上を、軸方向に摺動自在に構成されていることが好ましい。
【0026】
この場合、第1スプライン、第2スプライン、第3スプライン、及びスリーブが同軸上に配設されており、スリーブが、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインの外周上を、軸方向に摺動自在に構成されている。すなわち、スリーブに形成されたスプラインと、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインとによりドグクラッチが構成され、スリーブを軸方向に動かすことにより、ドグクラッチの締結・解放状態(すなわち、スリーブに形成されたスプラインと、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインとの嵌合状態)を切替えること、すなわち、シリーズHEV走行モード、パラレルHEV走行モード、EV走行モード、及び第2EV走行モードを切替えることが可能となる。
【0027】
また、本発明に係るオイルポンプの駆動装置では、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインそれぞれが、互いに相対回転可能な軸の外周に形成された外スプラインであり、スリーブが、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインに外嵌可能な円筒状に形成され、内周面に沿って軸方向に延びる内スプラインが形成されていることが好ましい。
【0028】
特に、この場合、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインそれぞれが、互いに相対回転可能な軸の外周に形成された外スプラインであり、スリーブが、第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインに外嵌可能な円筒状に形成され、その内周面に軸方向に延びる内スプラインが形成されている。そのため、円筒状のスリーブに形成された内スプラインと、外スプラインからなる第1スプライン、第2スプライン、第3スプラインとによって(すなわち比較的シンプル構成によって)3要素を断続可能なドグクラッチを構成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、駆動力源としてエンジンとモータ・ジェネレータ(電動モータ)とを備えるハイブリッド車両のパワーユニットに用いられるオイルポンプの駆動装置において、エンジンを再始動(稼働)することなく(すなわち燃費を悪化させることなく)、要求吐出量を満足する回転数でオイルポンプを駆動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係るオイルポンプの駆動装置、並びに該オイルポンプの駆動装置が適用されたハイブリッド車両のパワーユニットの構成を示すスケルトン図、及び、その制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】シリーズHEV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータと接続されたトルク伝達経路(太線)を示す図である。
図3】パラレルHEV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータと接続されたトルク伝達経路(太線)を示す図である。
図4】EV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータと接続されたトルク伝達経路(太線)を示す図である。
図5】第2EV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータと接続されたトルク伝達経路(太線)を示す図である。
図6】実施形態に係るオイルポンプの駆動装置による、第2EV走行モード切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0032】
まず、図1を用いて、実施形態に係るオイルポンプの駆動装置1、及び該オイルポンプの駆動装置1が適用されたハイブリッド車両のパワーユニットの構成について説明する。図1は、オイルポンプの駆動装置1、並びに該オイルポンプの駆動装置1が適用されたハイブリッド車両のパワーユニットの構成を示すスケルトン図、及び、その制御システムの構成を示すブロック図である。
【0033】
ハイブリッド車両は、車両の駆動力源として、エンジン10と、第1モータ・ジェネレータ21と、第2モータ・ジェネレータ22とを備えている。エンジン10は、どのような形式のものでもよいが、例えば、高膨張比サイクルによって圧縮比を高めることにより、熱効率の向上を図ったエンジンなどが好適に用いられる。エンジン10は、エンジン・コントロールユニット(以下「ECU」という)81によって制御される。
【0034】
ECU81には、クランクシャフトの回転位置(エンジン回転数)を検出するクランク角センサ96等の各種センサが接続されている。ECU81は、取得したこれらの各種情報、及び後述するハイブリッド車・コントロールユニット(以下「HEV−CU」という)80からの制御情報に基づいて、燃料噴射量や点火時期、並びに電子制御式スロットルバルブ等の各種デバイスを制御することによりエンジン10を制御する。また、ECU81は、CAN(Controller Area Network)100を介して、エンジン回転数などの各種情報をHEV−CU80に送信する。
【0035】
エンジン10のクランクシャフト10aには、エンジン10の回転変動を吸収するフライホイールダンパ11を介して、出力軸12が接続されている。出力軸12には、その端部の外周面に第1スプライン31が形成されている。すなわち、エンジン10のクランクシャフト10aは、フライホイールダンパ11及び出力軸12を介して第1スプライン31とトルク伝達可能に接続されている。
【0036】
第1モータ・ジェネレータ21及び第2モータ・ジェネレータ22は、供給された電力を機械的動力に変換するモータとしての機能と、入力された機械的動力を電力に変換するジェネレータとしての機能とを兼ね備えた同期発電電動機として構成されている。すなわち、第1モータ・ジェネレータ21及び第2モータ・ジェネレータ22それぞれは、車両駆動時には駆動トルクを発生するモータとして動作し、回生時にはジェネレータとして動作する。なお、第1モータ・ジェネレータ21は、主にジェネレータとして動作し、第2モータ・ジェネレータ22は、主にモータとして動作する。
【0037】
第1モータ・ジェネレータ21の回転軸(入出力軸)21aは、一対のギヤ23(ドライブギヤ23a及びドリブンギヤ23b)を介して、出力軸24に接続されている。出力軸24には、その端部の外周面に第2スプライン32が形成されている。すなわち、第1モータ・ジェネレータ21の回転軸21aは、ギヤ23及び出力軸24を介して第2スプライン32とトルク伝達可能に接続されている。
【0038】
第2モータ・ジェネレータ22の回転軸(入出力軸)22aは、一対のギヤ25(ドライブギヤ25a及びドリブンギヤ25b)を介して、フロントドライブシャフト40(前輪出力軸)に接続されている。フロントドライブシャフト40は、一対のギヤ26(ドライブギヤ26a及びドリブンギヤ26b)を介して、中空に形成された出力軸27に接続されている。出力軸27には、その端部の外周面に第3スプライン33が形成されている。なお、出力軸27の中空部(内部空間)には、上述した出力軸24が回転可能に配設されている。すなわち、第2モータ・ジェネレータ22の回転軸22aは、ギヤ25、フロントドライブシャフト40、ギヤ26、及び出力軸27を介して第3スプライン33とトルク伝達可能に接続されている。
【0039】
フロントドライブシャフト40は、前輪と接続されるフロントデファレンシャル(フロントデフ)42との間でトルクを伝達する。すなわち、前輪は、フロントドライブシャフト40、及びギヤ25を介して第2モータ・ジェネレータ22とトルク伝達可能に接続されるとともに、フロントドライブシャフト40、ギヤ26、及び出力軸27を介して第3スプライン33とトルク伝達可能に接続されている。
【0040】
よって、フロントドライブシャフト40に伝達された第2モータ・ジェネレータ22などのトルクは、フロントデファレンシャル(フロントデフ)42に伝達される。フロントデフ42は、例えば、ベベルギヤ式の差動装置である。フロントデフ42からのトルクは、左前輪ドライブシャフトを介して左前輪(図示省略)に伝達されるとともに、右前輪ドライブシャフトを介して右前輪(図示省略)に伝達される。
【0041】
また、フロントドライブシャフト40には、一対のギヤ28(ドライブギヤ28a及びドリブンギヤ28b)を介して、プロペラシャフト(後輪出力軸)60が接続されている。プロペラシャフト60は、後輪(駆動輪に相当)と接続されるリヤデファレンシャル(リヤデフ)62との間でトルクを伝達する。
【0042】
プロペラシャフト60には、後輪側に伝達されるトルクを調節するトランスファクラッチ61が介装されている。トランスファクラッチ61は、4輪の駆動状態(例えば前輪のスリップ状態等)や駆動トルクなどに応じて締結力(すなわち後輪へのトルク分配率)を制御する。よって、プロペラシャフト60に伝達された第2モータ・ジェネレータ22などのトルクは、トランスファクラッチ61の締結力に応じて分配され、後輪側にも伝達される。
【0043】
プロペラシャフト60に伝達され、トランスファクラッチ61によって調節(分配)されたトルクは、リヤデファレンシャル(リヤデフ)62に伝達される。リヤデフ62には左後輪ドライブシャフト及び右後輪ドライブシャフト(図示省略)が接続されている。リヤデフ62からの駆動力は、左後輪ドライブシャフトを介して左後輪(図示省略)に伝達されるとともに、右後輪ドライブシャフトを介して右後輪(図示省略)に伝達される。
【0044】
このハイブリッド車両のパワーユニットには、第1モータ・ジェネレータ21及び第2モータ・ジェネレータ22などの冷却や、各ギヤやシャフトなどの潤滑に用いられるオイルを圧送するためにオイルポンプ50が設けられている。オイルポンプ50は、オイルパン(図示省略)に貯留されているオイルを吸入し、昇圧して、第1モータ・ジェネレータ21や第2モータ・ジェネレータ22などに圧送する。オイルポンプ50としては、例えば、トロコイドポンプやベーンポンプなどが用いられる。
【0045】
オイルポンプ50の駆動軸は、第1のワンウェイ・クラッチ51及び第2のワンウェイ・クラッチ52それぞれを介して、第1モータ・ジェネレータ21及び車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)とトルク伝達可能に接続されている。
【0046】
より具体的には、第1のワンウェイ・クラッチ51は、第1モータ・ジェネレータ21の回転軸21aに接続されたドライブギヤ23aと一体となって回転するように、該ドライブギヤ23aに取り付けられている。すなわち、第1のワンウェイ・クラッチ51は、第1モータ・ジェネレータ21とトルク伝達可能に接続されている。この第1のワンウェイ・クラッチ51は、第1モータ・ジェネレータ21からのトルクをオイルポンプ50の駆動軸に一方向に伝達する。すなわち、第1のワンウェイ・クラッチ51は、第1モータ・ジェネレータ21からのトルクをオイルポンプ50の駆動軸に伝達する一方、オイルポンプ50の駆動軸からのトルクを第1モータ・ジェネレータ21側には伝達することなく遮断する。
【0047】
一方、第2のワンウェイ・クラッチ52は、車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)とトルク伝達可能に接続されたドリブンギヤ28bと噛み合うように設けられたギヤ29と一体となって回転するように、該ギヤ29に取り付けられている。すなわち、第2のワンウェイ・クラッチ52は、車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)とトルク伝達可能に接続されている。
【0048】
この第2のワンウェイ・クラッチ52は、車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)からのトルクをオイルポンプ50の駆動軸に一方向に伝達する。すなわち、第2のワンウェイ・クラッチ52は、車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)からのトルクをオイルポンプ50の駆動軸に伝達する一方、オイルポンプ50の駆動軸からのトルクを車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)側には伝達することなく遮断する。
【0049】
第1のワンウェイ・クラッチ51及び第2のワンウェイ・クラッチ52はオイルポンプ50の駆動軸の軸線上に配設されている。そのため、オイルポンプ50は、第1モータ・ジェネレータ21及び車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)からの入力の内、いずれか回転数の高い方によって駆動される。詳細は後述する。
【0050】
上述したように、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33それぞれは、互いに相対回転可能な軸(出力軸12、出力軸24、出力軸27)の外周面に形成された外スプラインである。第1スプライン31(出力軸12)、第2スプライン32(出力軸24)、第3スプライン33(出力軸27)は、同軸上に並べて配設されている。
【0051】
そして、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33の外周上(外側)には、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33と嵌合可能に形成されたスプライン34aを有し、当該スプライン34aの位置に応じて、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33の接続状態を切り替えるスリーブ34が設けられている。すなわち、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33、及びスリーブ34によりドグクラッチ30が構成される。
【0052】
ここで、スリーブ34は、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33に外嵌可能な円筒状に形成され、内周面に沿って軸方向に延びる内スプライン34aが形成されている。すなわち、スリーブ34は、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33の外周上を、軸方向に摺動自在(移動可能)に設けられている。
【0053】
スリーブ34は、アクチュエータ75によって摺動される。アクチュエータ75は、スリーブ34を動かして、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33の接続状態を切り替えることにより、シリーズHEV走行モードと、パラレルHEV走行モードと、EV走行モードと、第2EV走行モード(詳細は後述する)とを切替える。
【0054】
アクチュエータ75は、スリーブ34を動かして、シリーズHEV走行モードのときには第1スプライン31と第2スプライン32とを接続し、パラレルHEV走行モードのときには第1スプライン31と第2スプライン32と第3スプライン33とを接続し、EV走行モードのときには第2スプライン32と第3スプライン33とを接続する。また、アクチュエータ75は、第2モータ・ジェネレータ22で車両を駆動し、第1モータ・ジェネレータ21でオイルポンプ50を駆動する第2EV走行モードのときには、スリーブ34を第3スプライン33のみと嵌合する。すなわち、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33は互いに分離される。
【0055】
より詳細には、スリーブ34はシフトフォーク36に把持されており、シフトフォーク36の移動に伴って軸方向に移動する。このシフトフォーク36に上記アクチュエータ75が連結されており、アクチュエータ75によってシフトフォーク36(すなわちスリーブ34)が軸方向に動かされ、上述したように走行モードが切替えられる。なお、アクチュエータ75としては、例えば電動モータなどが好適に用いられる。アクチュエータ75は、後述するHEV−CU80によって駆動制御される。
【0056】
ここで、第2モータ・ジェネレータ22から前輪(フロントデフ42)又は後輪(リヤデフ62)へ伝達されるトルクの伝達経路の総ギヤ比は、第1スプライン31、スリーブ34、第3スプライン33を介して、エンジン10から前輪(フロントデフ42)又は後輪(リヤデフ62)へ伝達されるトルクの伝達経路の総ギヤ比よりもローギヤに設定されている。
【0057】
また、フェイル・セーフ対応として、ドグクラッチ30(又はアクチュエータ75)には、スリーブ34を駆動するアクチュエータ75に異常(フェイル)が発生したときに、EV走行モード状態又は第2EV走行モードから、第1スプライン31と第2スプライ32とが接続されるシリーズHEV走行モード状態となる方向に、スリーブ34を付勢する(すなわち、スリーブ34を戻す)リターンスプリング35が設けられている。
【0058】
よって、アクチュエータ75に異常(フェイル)が発生したときには、スリーブ34が、自動的に、第1スプライン31と第2スプライ32とが接続されるシリーズHEV走行モード状態(デフォルトの位置)に戻される。なお、ここで、アクチュエータ75の異常とは、アクチュエータ75が駆動力を出せない状態であり、例えば、断線、ショート、駆動回路故障などが挙げられる。また、アクチュエータ75の異常は、例えば、指示値(制御値)と実値(実電流値や実動作量など)との偏差に基づいて判断することができる。
【0059】
また、アクチュエータ75に電力を供給する電源系は、2重系とされている。より具体的には、上記電源系は、第1モータ・ジェネレータ21及び第2モータ・ジェネレータ22に電力を供給する数百V程度の高電圧バッテリ70からDC/DCコンバータ71を介して12Vに降圧された電力を供給する第1電力供給経路73と、高電圧バッテリ70よりも出力端子電圧が低い(例えば12V)低電圧バッテリ72から電力を供給する第2電力供給経路74とを有する2重系とされている。そして、第1電力供給経路73及び第2電力供給経路74のうちいずれか一方の電力供給経路(例えば第2電力供給経路74)に異常(フェイル)が発生した場合(例えば断線などが生じた場合)に、他方の電力供給経路(例えば第1電力供給経路73)から電力が供給されるように(すなわち、電力供給経路が切替えられるように)構成されている。
【0060】
車両の駆動力源であるエンジン10、第2モータ・ジェネレータ22、及び第1モータ・ジェネレータ21は、HEV−CU80によって総合的に制御される。また、HEV−CU80は、アクチュエータ75(スリーブ34)の駆動も制御する。
【0061】
HEV−CU80は、演算を行うマイクロプロセッサ、該マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、その記憶内容が保持されるバックアップRAM、及び入出力I/F等を有して構成されている。
【0062】
HEV−CU80には、例えば、シフトレバーの選択位置を検出するレンジスイッチ90、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ91、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ92、車両の前後・左右の加速度を検出するGセンサ(加速度センサ)93、車輪の速度を検出する車速センサ94、フロントドライブシャフト40の回転数を検出する回転数センサ95、第1モータ・ジェネレータ21の回転位置(回転数)を検出するレゾルバ97、第2モータ・ジェネレータ22の回転位置(回転数)を検出するレゾルバ98、及び、第1,第2モータ・ジェネレータ21,22の温度を検出する温度センサ99などを含む各種センサが接続されている。また、HEV−CU80は、CAN100を介して、エンジン10を制御するECU81や、車両の横滑りなどを抑制して走行安定性を向上させるビークルダイナミック・コントロールユニット(以下「VDCU」という)85等と相互に通信可能に接続されている。HEV−CU80は、CAN100を介して、ECU81やVDCU85から、例えば、エンジン回転数やブレーキ操作量等の各種情報を受信する。なお、運転者によるシフト操作を受付けるシフトレバー(図示省略)では、例えば、駐車レンジ(パーキング(P)レンジ)、後進走行レンジ(リバース(R)レンジ)、中立レンジ(ニュートラル(N)レンジ)、及び、前進走行レンジ(ドライブ(D)レンジなどを選択的に切り換えることができる。
【0063】
HEV−CU80は、取得したこれらの各種情報に基づいて、エンジン10、第2モータ・ジェネレータ22、及び第1モータ・ジェネレータ21の駆動を総合的に制御するとともに、アクチュエータ75(スリーブ34)を駆動して、走行モードを、シリーズHEV走行モード、パラレルHEV走行モード、EV走行モード、第2EV走行モードの間で切替える。HEV−CU80は、例えば、シフトレンジ、アクセルペダル開度(運転者の要求駆動力)、車両の運転状態(車速など)、高電圧バッテリ70の充電状態(SOC)、エンジン10のBSFC、及び、第2モータ・ジェネレータ22(第1モータ・ジェネレータ21)の温度などに基づいて、エンジン10の要求出力、及び第2モータ・ジェネレータ22、第1モータ・ジェネレータ21のトルク指令値を求めて出力するとともに、アクチュエータ75の駆動指令値(制御目標値)を出力する。
【0064】
ECU81は、上記要求出力に基づいて、例えば、電子制御式スロットルバルブの開度を調節する。また、パワーコントロールユニット(以下「PCU」という)82は、上記トルク指令値に基づいて、インバータ82aを介して、第2モータ・ジェネレータ22、第1モータ・ジェネレータ21を駆動する。ここで、インバータ82aは、高電圧バッテリ70の直流電力を三相交流の電力に変換して第2モータ・ジェネレータ22、第1モータ・ジェネレータ21に供給する。一方、インバータ82aは、回生時などに、第2モータ・ジェネレータ22(及び/又は第1モータ・ジェネレータ21)で発電した交流電圧を直流電圧に変換して高電圧バッテリ70を充電する。
【0065】
HEV−CU80は、アクチュエータ75(スリーブ34)を駆動して、走行モードを、シリーズHEV走行モード、パラレルHEV走行モード、EV走行モード、第2EV走行モードの間で切替えるために、切替制御部80a及び吐出量判断部80bを機能的に有している。HEV−CU80では、ROMなどに記憶されているプログラムがマイクロプロセッサによって実行されることにより、切替制御部80a及び吐出量判断部80bの機能が実現される。切替制御部80aは、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。吐出量判断部80bは、特許請求の範囲に記載の判断手段として機能する。
【0066】
切替制御部80aは、主として要求駆動力及び車速に基づいて、走行モードの切替え制御を行う。より具体的には、切替制御部80aは、例えば、発進時などでは、エンジンを停止して第1モータ・ジェネレータ21及び/又は第2モータ・ジェネレータ22の駆動力で走行するEV走行モードを選択する。また、切替制御部80aは、低速走行時(低負荷走行時)や高電圧バッテリ70のSOCが低下している場合などでは、第1モータ・ジェネレータ21で発電した電力を用いて第2モータ・ジェネレータ22を駆動して走行するシリーズHEV走行モードを選択する。さらに、切替制御部80aは、車速が所定車速以上の高速走行時などでは、第1モータ・ジェネレータ21及び/又は第2モータ・ジェネレータ22の駆動力とエンジン10の駆動力とにより走行するパラレルHEV走行モードを選択する。
【0067】
また、切替制御部80aは、EV走行モード時において(特に第2モータ・ジェネレータ22のみでEV走行しているときに)、吐出量判断部80bにより、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足していないと判断された場合(詳細は後述する)には、第2モータ・ジェネレータ22で車両を駆動し、第1モータ・ジェネレータ21でオイルポンプ50を駆動する第2EV走行モードを選択する。第2EV走行モードでは、第1モータ・ジェネレータ21がエンジン10や車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)から切り離される(解放される)ため、第2モータ・ジェネレータ22で車両を駆動しつつ、第1モータ・ジェネレータ21によって任意の回転数(例えば第2モータ・ジェネレータ22の負荷や温度に応じた回転数)でオイルポンプ50を駆動することができる。
【0068】
吐出量判断部80bは、オイルポンプ50の吐出量が、要求吐出量を満足しているか否かを判断する。より具体的には、吐出量判断部80bは、EV走行モード時において、車速が所定速度以下であり、かつ、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上である場合、すなわち低車速高負荷状態である場合に、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足していないと判断する。すなわち、オイルポンプ50の回転数が所定回転数以下に低下して、オイルの吐出量が減少する一方、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上であり、第2モータ・ジェネレータ22の冷却に要するオイル量などが増大する場合に、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足していないと判断する。なお、吐出量判断部80bは、車速条件のみに基づいて、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足しているか否かを判断してもよい。ここで、EV走行モード時におけるオイルポンプ50の吐出量は、例えば、車軸(フロントドライブシャフト40)の回転数などから求められる。また、要求吐出量は、例えば、第2モータ・ジェネレータ22の負荷(例えば要求駆動力又はトルク指令値などから求められる)や温度などから求められる。
【0069】
ところで、EV走行モード時において、後進走行(リバース)レンジが選択された場合、第2モータ・ジェネレータ22(車軸)が逆転される。ここで、上述したように、車軸(フロントドライブシャフト40)とオイルポンプ50の駆動軸との間に第2のワンウェイ・クラッチ52が介装されているため、後進走行時にはオイルポンプ50を駆動することができない。よって、吐出量判断部80bは、EV走行モード時において、後進走行(リバース)レンジが選択されたときに、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足していないと判断する。オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足しているか否かの判断結果は、切替制御部80aに出力される。
【0070】
切替制御部80aは、シリーズHEV走行モードを選択するときには、第1スプライン31と第2スプライン32とを接続するようにアクチュエータ75(スリーブ34)を制御(駆動)する。また、切替制御部80aは、パラレルHEV走行モードを選択するときには、第1スプライン31、第2スプライン32、及び第3スプライン33を接続するようにアクチュエータ75(スリーブ34)を制御(駆動)する。さらに、切替制御部80aは、EV走行モードを選択するときには、第2スプライン32と第3スプライン33とを接続するようにアクチュエータ75(スリーブ34)を制御(駆動)する。
【0071】
また、切替制御部80aは、第2EV走行モードを選択するときには、第2スプラインを第1スプライン及び第3スプラインそれぞれから切り離すように、すなわち、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33それぞれが互いに分離され自由に回転可能となるように(第2スプライン32(第1モータ・ジェネレータ21)が自由に回転できるように)アクチュエータ75(スリーブ34)を制御(駆動)する。なお、本実施形態では、スリーブ34が第3スプライン33のみと嵌合するようにアクチュエータ75を制御(スリーブ34を駆動)する構成とした。
【0072】
上述したように構成されることにより、本実施形態に係るハイブリッド車両のパワーユニット1は、エンジンを停止して第1モータ・ジェネレータ21及び/又は第2モータ・ジェネレータ22の駆動力で走行するEV走行機能、第1モータ・ジェネレータ21で発電した電力を用いて第2モータ・ジェネレータ22を駆動して走行するシリーズHEV走行機能、第1モータ・ジェネレータ21及び/又は第2モータ・ジェネレータ22の駆動力とエンジン10の駆動力とにより走行するパラレルHEV走行機能を発揮する。また、第2モータ・ジェネレータ22で車両を駆動(EV走行)し、第1モータ・ジェネレータ21でオイルポンプ50を駆動する第2EV走行機能を発揮する。
【0073】
ここで、シリーズHEV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータ21と接続されたトルク伝達経路(太線で表示)を図2に示す。同様に、パラレルHEV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータ21と接続されたトルク伝達経路(太線で表示)を図3に示す。また、EV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータ21と接続されたトルク伝達経路(太線で表示)を図4に示す。さらに、第2EV走行モードにおいて第1モータ・ジェネレータ21と接続されたトルク伝達経路(太線で表示)を図5示す。
【0074】
図2に示されるように、シリーズHEV走行モードでは、スリーブ34が(中央の位置から)図面左側方向に摺動されて、第1スプライン31と第2スプライン32とが接続される。すなわち、第1スプライン31、スリーブ34、第2スプライン32を介して、エンジン10と第1モータ・ジェネレータ21が接続される。一方、第2モータ・ジェネレータ22は、車軸(フロントドライブシャフト40及びプロペラシャフト60)に接続されている。よって、エンジン10によって第1モータ・ジェネレータ21が駆動されて発電機として稼働し、その第1モータ・ジェネレータ21によって発電された電力によって第2モータ・ジェネレータ22が駆動されて、駆動輪(車両)が駆動される。なお、この場合、油圧クラッチを用いることなく車軸(フロントドライブシャフト40及びプロペラシャフト60)を遮断しているため、クラッチの引きずりロスが発生しない。シリーズHEV走行モードでは、オイルポンプ50は、エンジン10(第1モータ・ジェネレータ21)及び車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)からの入力の内、いずれか回転数の高い方によって駆動される(太線参照)。
【0075】
パラレルHEV走行モードでは、図3に示されるように、スリーブ34が中央の位置に摺動されて、第1スプライン31と第2スプライン32と第3スプライン33とが接続される。すなわち、エンジン10、第1モータ・ジェネレータ21、及び第2モータ・ジェネレータ22と車軸(フロントドライブシャフト40及びプロペラシャフト60)とが接続される。よって、エンジン10と第2モータ・ジェネレータ22及び/又は第1モータ・ジェネレータ21によって駆動輪(車両)が駆動される。なお、この場合、油圧クラッチを用いることなく3要素(第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33)を締結しているため、油圧によるロス(オイルポンプ・ロスやシーリング・フリクションなど)が発生しない。パラレルHEV走行モードでは、オイルポンプ50は、エンジン10(第1モータ・ジェネレータ21)及び車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)からの入力の内、いずれか回転数の高い方によって駆動される(太線参照)。
【0076】
EV走行モードでは、図4に示されるように、スリーブ34が(中央の位置から)図面右側方向に摺動されて、第2スプライン32と第3スプライン33とが接続される。すなわち、第1モータ・ジェネレータ21と第2モータ・ジェネレータ22と車軸(フロントドライブシャフト40及びプロペラシャフト60)が接続される。よって、第2モータ・ジェネレータ22及び/又は第1モータ・ジェネレータ21によって駆動輪(車両)が駆動される。なお、この場合、油圧クラッチを用いることなくエンジン10を遮断しているため、クラッチの引きずりロスが発生しない。また、第2モータ・ジェネレータ22に加えて、第1モータ・ジェネレータ21もEV駆動に使用することができるため、力強いEV走行が可能となる。EV走行モードでは、オイルポンプ50は、エンジン10(第1モータ・ジェネレータ21)及び車軸(フロントドライブシャフト40、プロペラシャフト60)からの入力の内、いずれか回転数の高い方によって駆動される(太線参照)。
【0077】
第2EV走行モードでは、図5に示されるように、スリーブ34が(中央の位置から)図面右端に摺動されて、スリーブ34が第3スプライン33のみと嵌合される。そのため、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33それぞれが分離され互いに自由に回転可能となる。すなわち、第1モータ・ジェネレータ21が自由に回転できるようになる。よって、第2モータ・ジェネレータ22により駆動輪(車両)が駆動され、第1モータ・ジェネレータ21によりオイルポンプ50が駆動される(太線参照)。なお、この場合、第1モータ・ジェネレータ21がエンジン10や車軸(フロントドライブシャフト40及びプロペラシャフト60)から切り離される(解放される)ため、例えば、第2モータ・ジェネレータ22の負荷(例えば要求駆動力やトルク指令値等から算出される)や温度等に基づいて、第2モータ・ジェネレータ22の冷却等に必要なオイル流量が求められ、該必要流量に応じて、第1モータ・ジェネレータ21の回転数、すなわちオイルポンプ50の回転数が任意に調整される。
【0078】
次に、図6を参照しつつ、オイルポンプの駆動装置1の動作について説明する。ここで、図6は、オイルポンプの駆動装置1による、第2EV走行モード切替処理の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、主としてHEV−CU80Bにおいて、所定のタイミングで繰り返して実行される。
【0079】
まず、ステップS100では、第2モータ・ジェネレータ22のみの駆動によるEV走行中であるか否かについての判断が行われる。すなわち、EV走行モードであり、かつ第1モータ・ジェネレータ21が駆動されていない状態であるか否かについての判断が行われる。ここで、EV走行モードでない場合、又はEV走行モードではあるが第1モータ・ジェネレータ21が駆動されている場合には、本処理から一旦抜ける。一方、EV走行モードであり、かつ第1モータ・ジェネレータ21が駆動されていないときには、ステップS102に処理が移行する。
【0080】
ステップS102では、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足しているか否かについての判断が行われる。より具体的には、まず、シフトレバーの選択位置が後進走行レンジ(リバース(R)レンジ)であるか否かについての判断が行われる。ここで、後進走行レンジが選択されている場合には、ステップS106に処理が移行する。一方、後進走行レンジが選択されていないとき、すなわち、前進走行レンジ(ドライブ(D)レンジ)が選択されているときには、ステップS104に処理が移行する。
【0081】
ステップS104では、車両の速度(車速)が所定速度以下であり、かつ、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、車速が所定速度よりも高い場合、又は、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値未満の場合には、本処理から一旦抜ける。一方、車速が所定速度以下であり、かつ、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上であるときには、ステップS106に処理が移行する。なお、負荷に加えて第2モータ・ジェネレータ22の温度が所定値以上であるか否かといった条件を加えてもよい。
【0082】
ステップS102又はステップS104が肯定された場合、ステップS106では、アクチュエータ75が駆動されて、スリーブ34が軸方向(第3スプライン33方向)に摺動され、EV走行モード(第2スプライン32と第3スプライン33とが接続された状態)から、第2EV走行モード(スリーブ34が第3スプライン33のみと嵌合された状態)に切替えられる。
【0083】
次に、ステップS108では、例えば、要求駆動力等から算出される第2モータ・ジェネレータ22の負荷(トルク指令値)や温度などに基づいて、第2モータ・ジェネレータ22の冷却等に必要なオイル流量を満足する第1モータ・ジェネレータ21の目標回転数が求められる。
【0084】
そして、続くステップS110において、第1モータ・ジェネレータ21の実回転数が、ステップS108で求められた目標回転数と一致するように、インバータ82aの出力が制御される。その後、本処理から一旦抜ける
【0085】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、まず、第1モータ・ジェネレータ21とトルク伝達可能に接続され、第1モータ・ジェネレータ21からのトルクをオイルポンプ50の駆動軸に一方向に伝達する第1のワンウェイ・クラッチ51と、車軸(フロントドライブシャフト40及びプロペラシャフト60)とトルク伝達可能に接続され、車軸からのトルクをオイルポンプ50の駆動軸に一方向に伝達する第2のワンウェイ・クラッチ52とを備えているので、第1モータ・ジェネレータ21及び車軸からの入力の内、いずれか回転数の高い方によってオイルポンプ50が駆動される。そして、EV走行モード時において、オイルポンプ50の吐出量が、要求吐出量を満足していないと判断される場合、例えば、後進走行レンジが選択されている場合、及び、低車速高負荷EV走行状態である場合(車速が所定速度以下、かつ、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上である場合)には、第2スプライン32を第1スプライン31及び第3スプライン33それぞれから切り離す位置にスリーブ34を移動させるようにアクチュエータ75が制御される。すなわち、第1モータ・ジェネレータ21がエンジン10や車軸から切り離される(解放される)ため、エンジ10を停止して第2モータ・ジェネレータ22で車両(車軸)を駆動しつつ、第1モータ・ジェネレータ21によって任意の回転数でオイルポンプ50を駆動することができる。その結果、低車速高負荷EV走行時においてエンジン10を再始動(稼働)することなく(すなわち燃費を悪化させることなく)、要求吐出量を満足する回転数でオイルポンプ50を駆動することが可能となる。
【0086】
本実施形態によれば、EV走行モード時において、後進走行レンジが選択されている場合、及び、低車速高負荷EV走行状態である場合(車速が所定速度以下であり、かつ、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上である場合)に、スリーブ34が第3スプライン33のみと嵌合する位置に移動される。そのため、EV走行モードから直接(すなわち、パラレルHEVモード、シリーズHEVモードを経由することなく)、モードを切替えることができる。よって、第2EV走行モード切替時のスリーブの移動距離(移動時間)を短縮にすることができる。
【0087】
本実施形態によれば、EV走行モード時において、第2モータ・ジェネレータ22のみでEV走行しているときに、後進走行レンジが選択されている場合、及び、低車速高負荷EV走行状態である場合(車速が所定速度以下であり、かつ、第2モータ・ジェネレータ22の負荷が所定値以上である場合)には、第2スプライン32を第1スプライン31及び第3スプライン33それぞれから切り離す位置にスリーブ34が移動される。そのため、第1モータ・ジェネレータ21を併用することなく、第2モータ・ジェネレータ22のみでEV走行可能ではあるが、第2モータ・ジェネレータ22の冷却や潤滑用オイルの流量が不足するような状態(例えば後進走行時や低車速高負荷EV走行状態)であると判断された場合に、スリーブ34が移動されて、第2スプライン32が第1スプライン31及び第3スプライン33それぞれから切り離され(すなわち、第1モータ・ジェネレータ21がエンジン10及び第2モータ・ジェネレータ22から切り離され)、第1モータ・ジェネレータ21によってオイルポンプ50が駆動される。よって、第2モータ・ジェネレータ22のみで走行可能ではあるが、該第2モータ・ジェネレータ22の冷却等が厳しいと推定される状況を判断して、第1モータ・ジェネレータ21によるオイルポンプ50の駆動を実行することが可能となる。
【0088】
本実施形態によれば、第2スプライン32を第1スプライン31及び第3スプライン33それぞれから切り離す位置にスリーブ34が移動されたときに、第2モータ・ジェネレータ22の負荷や温度などに基づいて、第1モータ・ジェネレータ21の目標回転数が設定される。そのため、例えば、要求駆動力等から算出される第2モータ・ジェネレータ22の負荷(発熱量)と相関を有する、第2モータ・ジェネレータ22の冷却等に必要なオイル流量を満足するように、第1モータ・ジェネレータ21の目標回転数を設定することが可能となる。
【0089】
本実施形態によれば、第1のワンウェイ・クラッチ51及び第2のワンウェイ・クラッチ52がオイルポンプ50の駆動軸の軸線上(すなわち同軸上)に配設されている。そのため、オイルポンプの駆動装置1のサイズをコンパクトにすることが可能となる。
【0090】
本実施形態によれば、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33、及びスリーブ34が、同軸上に配設されており、スリーブ34が、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33の外周上を、軸方向に摺動自在に構成されている。すなわち、スリーブ34に形成されたスプライン34aと、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33とによりドグクラッチ30が構成され、スリーブ34を軸方向に動かすことにより、ドグクラッチ30の締結・解放状態(すなわち、スリーブ34に形成されたスプライン34aと、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33との嵌合状態)を切替えること、すなわち、シリーズHEV走行モード、パラレルHEV走行モード、EV走行モード、及び第2EV走行モードを切替えることが可能となる。
【0091】
また、本実施形態によれば、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33それぞれが、互いに相対回転可能な軸(出力軸12、出力軸24、出力軸27)の外周に形成された外スプラインであり、スリーブ34が、第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33に外嵌可能な円筒状に形成され、内周面に軸方向に沿って内スプライン34aが形成されている。そのため、円筒状のスリーブ34に形成された内スプライン34aと、外スプラインからなる第1スプライン31、第2スプライン32、第3スプライン33とによって(すなわち比較的シンプルな構成によって)3要素を断続可能なドグクラッチ30を構成することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、スリーブ34を駆動するアクチュエータ75の異常(フェイル)発生時に、リターンスプリング35によって、EV走行モード状態又は第2EV走行モード状態から、第1スプライン31と第2スプライン32とが接続されるシリーズHEV走行モード状態となる方向に、スリーブ34が付勢される。そのため、スリーブ34を動かしてエンジン10を再始動し、当該エンジン10、及び/又は、当該エンジン10により駆動される第1モータ・ジェネレータ21で発電された電力で駆動される第2モータ・ジェネレータ22の駆動力を用いて車両を走行させることが可能となる。よって、EV走行時にアクチュエータ75に異常(フェイル)が発生した際の走行可能距離を延ばすことが可能となる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1モータ・ジェネレータ21でエンジン10を始動する構成としたが、エンジン10を始動するためのスタータ(又はスタータ・ジェネレータ)を別に備える構成としてもよい。また、複数のギヤやシャフトから構成される駆動系の構成は、上記実施形態には限られない。
【0094】
上記実施形態では、スリーブ34を動かすアクチュエータ75として電動式のアクチュエータを用いたが、電動式のものに代えて、例えば油圧式のアクチュエータを用いてもよい。また、アクチュエータ75(スリーブ34)の駆動制御を、HEV−CU80(80B)ではなく、他のECUで行う構成としてもよい。
【0095】
上記実施形態では、本発明をAWD車(全輪駆動車)に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、例えば2WD車(FF車やFR車)にも適用することもできる。
【0096】
なお、上述した構成に加えて、ギヤ26を構成するドライブギヤ26a、すなわち、駆動輪と第3スプライン33との間に配設され、第3スプライン33からのトルクを駆動輪に伝達する一方、駆動輪からのトルクを第3スプライン33(すなわちエンジン10、第1モータ・ジェネレータ21側)には伝達することなく遮断するワンウェイ・クラッチをさらに備える構成としてもよい。このようにすれば、第3スプライン33と第2スプライン32とが接続された状態(EV走行モード)であっても、駆動輪から入力されるトルクは第1モータ・ジェネレータ21側に伝達されないため、駆動輪から入力されるトルクによって第1モータ・ジェネレータ21が強制的に回されることがない。よって、第1モータ・ジェネレータ21の回転数を車軸の回転数よりも低い任意の回転数に調節(制御)することができる。すなわち、第1スプライン31(エンジン10)の回転数と第2スプライン32(第1モータ・ジェネレータ21)の回転数とを合わせることができる。その結果、スリーブ34を動かして第1スプライン31と第2スプライン32とを接続することにより、EV走行モード中であってもエンジン10の再始動を行うことが可能となる。なお、第2モータ・ジェネレータ22には駆動輪からのトルクが伝達されるため、回生動作は第2モータ・ジェネレータ22によって行うことができる。
【0097】
またこの場合、ワンウェイ・クラッチに加えて第1スプライン31と第2スプライン32との間に、第1スプライン31とスリーブ34との回転を同期させるシンクロ機構37を設ける構成とすることが好ましい。このようにすれば、第2スプライン32と嵌合されているスリーブ34を第1スプライン31と嵌合させるときに、スリーブ34と第1スプライン31の回転速度が異なっている場合であっても、よりスムーズにスリーブ34と第1スプライン31とを接続することができる。
【0098】
さらにこの場合、HEV−CU80(切替制御部80a)が、車両がEV走行しているときに、停止しているエンジン10を再始動する場合、第1モータ・ジェネレータ21(第2スプライン32)の回転数を、スリーブ34と第1スプライン31とを嵌合可能な回転数まで低下させた後、アクチュエータ75を駆動して、第1スプライン31と第2スプライン32とが接続されるようにスリーブ34を動かす構成とすることが好ましい。この場合、第1スプライン31(エンジン10)と第2スプライン32及びスリーブ34(第1モータ・ジェネレータ21)との回転数合わせが行われた後(回転偏差が低減された後)、第1スプライン31と第2スプライン32とが接続されるようにスリーブ34が動かされる。よって、ショックを抑制しつつ走行モードを切替えてエンジン10を再始動することができる。
【0099】
上記実施形態では、オイルポンプ50の吐出量が要求吐出量を満足しているか否かの判断を、車速や第2モータ・ジェネレータ22の負荷等に基づいて行ったが、当該判断の方法は上記実施形態に限られることなく、例えば、オイルポンプ50の吐出口に流量計等のセンサを設け、その検出値と要求吐出量とを比較する等の方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 オイルポンプの駆動装置
10 エンジン
21 第1モータ・ジェネレータ
22 第2モータ・ジェネレータ
30 ドグクラッチ
31 第1スプライン
32 第2スプライン
33 第3スプライン
34 スリーブ
34a スプライン
35 リターンスプリング(リターン機構)
40 フロントドライブシャフト(前輪出力軸)
42 フロントデファレンシャル
50 オイルポンプ
51 第1のワンウェイ・クラッチ
52 第2のワンウェイ・クラッチ
60 プロペラシャフト(後輪出力軸)
61 トランスファクラッチ
70 高電圧バッテリ
71 DC−DCコンバータ
72 低電圧バッテリ
73 第1電力供給経路
74 第2電力供給経路
75 アクチュエータ
80 HEV−CU
80a 切替制御部
80b 吐出量判断部
81 ECU
82 PCU
85 VDCU
90 レンジスイッチ
91 アクセルペダルセンサ
92 スロットル開度センサ
93 Gセンサ(加速度センサ)
94 車速センサ(車輪速センサ)
95 回転数センサ
100 CAN
図1
図2
図3
図4
図5
図6