(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、例示的な一燃料電池システムは、その全体が本願明細書において参照により援用されている、米国特許出願第13/937,312号(特許文献2)に記載されているように、情報技術(「IT」)負荷装置(すなわち、コンピュータ(単数または複数)、サーバ(単数または複数)、モデム(単数または複数)、ルータ(単数または複数)、ラック(単数または複数)、電源接続部、およびデータセンター環境に見られる他の部品の1個以上を含むことができるITシステムにおいて動作する装置)などのDC負荷装置102、入出力モジュール(IOM)104、および1個以上の電力モジュール106を備える。
【0011】
IOM104は、1個以上の電力調節部品を含むことができる。電力調節部品として、DC/ACインバータ104A(例えば、その全体が本願明細書において参照により援用されている、米国特許第7,705,490号明細書(特許文献3)に記載されているDC/ACインバータ)などのDC電力をAC電力に変換する部品、配電網へのAC電力出力のための電気接続部、電気的過渡現象を管理する回路、システム制御装置(例えば、コンピュータまたは専用制御論理装置もしくは回路)などが挙げられる。電力調節部品は、燃料電池モジュールからのDC電力を様々なAC電圧および周波数に変換するように設計することができる。208V、60Hz;480V、60Hz;415V、50Hzおよび他の一般的な電圧と周波数の設計を行うことができる。
【0012】
各電力モジュール106のキャビネットは、1個以上のホットボックスを収容するように構成される。各ホットボックスは、伝導性相互接続プレートで分離されたセラミック酸化物電解質を有する固体酸化物燃料電池の1個以上のスタックまたはカラムなどの(一般に「セグメント」と称される)燃料電池106Aの1個以上のスタックまたはカラムを含む。PEM、溶融炭酸塩、リン酸などの別の燃料電池タイプを使用することもできる。
【0013】
燃料電池は、組み合わせて「スタック」と呼ばれるユニットにされることが多く、このようなスタックでは、燃料電池が直列で電気的に接続され、相互接続部として機能するガスセパレータプレートなどの導電性相互接続部によって分離される。燃料電池スタックは、その端部に伝導性端板を備えることができる。燃料電池スタックの一般的なものは、いわゆる燃料電池セグメントまたはカラムであり、これらは直列に接続された1個以上の燃料電池スタックを含むことができる(例えば、1個のスタックの端板は、次のスタックの端板に電気的に接続される)。燃料電池セグメントまたはカラムは、直流をセグメントまたはカラムから電力調節システムに出力する導線を含むことができる。燃料電池スタックセグメントは、1個以上の燃料電池スタックを含むセグメントである。燃料電池システムは、1個以上の燃料電池カラムを含むことができ、その各々は、固体酸化物燃料電池スタックなどの1個以上の燃料電池スタックを含むことができる。
【0014】
燃料電池スタックは、燃料のために内部で分岐することができ、また空気のために外部で分岐することができ、その全体が本願明細書において参照により援用されている、米国特許第7,713,649号明細書(特許文献4)に記載されているように、燃料吸入および排出立ち上がり管のみが燃料電池層の開口および/または燃料電池間の相互接続プレートの開口を通って延在する。燃料電池は、直交流(空気と燃料が各燃料電池における電解質の両側で互いにほぼ垂直に流れる)、向流平行(空気と燃料が各燃料電池における電解質の両側で互いにほぼ平行であるが反対方向に流れる)、または並行流平行(空気と燃料が各燃料電池における電解質の両側で互いにほぼ平行に同じ方向に流れる)の構成にすることができる。
電力モジュールは、太陽電池、風力タービン、地熱または水力発電機などの別の直流発生装置を備えることもできる。
【0015】
燃料電池のセグメント(単数または複数)106Aは、モジュール106中に配置された1個以上のDC/DC変換器106Bによって、分割DC母線などの1本以上のDC母線112に接続することができる。DC/DC変換器106Bは、燃料電池システムのどこに配置してもよく、例えば、電力モジュール106の代わりにIOM104中に配置してもよい。
【0016】
システムは、場合によっては、1列のスーパーキャパシタ、電池、フライホイールなどの貯蔵装置を含むエネルギー貯蔵モジュール108を備えることもできる。貯蔵装置は、
図1に示すように、1個以上のDC/DC変換器によってDC母線112に接続することもできる。あるいは、貯蔵装置を、電力モジュール106中に配置し、かつ/またはIT負荷装置102と一緒に配置することができる。IT負荷装置102は、DC母線112に接続されたAサイド(すなわち、一次サイド)と配電網114(例えば、480VのAC配電網)に接続されたBサイド(すなわち、バックアップサイド)とを有する電源102Aを備えることができる。IOM104を配電網114に接続して、配電網114に電力を供給することもできる。
【0017】
図2に、その全体が本願明細書において参照により援用されている、米国特許第8,440,362号明細書(特許文献5)に記載されている例示的なモジュール燃料電池システムを示す。このようなモジュラーシステムは、前述したようなモジュールおよび部品、並びにその全体が本願明細書において参照により援用されている、2007年1月22日に出願された「Modular Fuel Cell System」という米国特許出願第11/656,006号(特許文献6)に記載されているモジュールおよび部品を備えることができる。燃料電池システム封入体10のモジュラー設計は、柔軟なシステム設置および運転を提供するものである。
【0018】
モジュール燃料電池システム封入体10は、複数の電力モジュールハウジング12(燃料電池電力モジュール部品を含み、ハウジング12およびその部品は、
図1においてまとめて106と表示されている)、1個以上の燃料入力(すなわち、燃料処理)モジュールハウジング16、および1個以上の電力調節(すなわち、電気出力)モジュールハウジング18(ハウジングおよびその構成部品は、
図1において104と表示され、「IOM」と示されている)を備える。例えば、システム封入体は、2〜30個の電力モジュール(例えば、6〜12個の電力モジュール)などの任意の所望の数のモジュールを備えることができる。
図2に、6個の電力モジュール(1列の横方向に重ねられた6個のモジュール)、1個の燃料処理モジュール、および1個の電力調節モジュールを共通基部20上に含むシステム封入体10を示す。各モジュールは、それ自体のキャビネットまたはハウジングを備えることができる。あるいは、電力調節(すなわち、IOM)および燃料処理モジュールを組み合わせて、1個のキャビネットまたはハウジング14中に配置された単一の入出力モジュールとすることができる。簡略化するために、各ハウジング12、14、16、18を以下では「モジュール」と称する。
【0019】
1列の電力モジュール12を示したが、システムは、1列を超えるモジュール12を備えることができる。例えば、システムは、背中合わせに重ねられた2列の電力モジュールを備えることができる。
【0020】
各電力モジュール12は、1個以上のホットボックス13を収容するように構成される。各ホットボックスは、伝導性相互接続プレートで分離されたセラミック酸化物電解質を有する固体酸化物燃料電池の1個以上のスタックまたはカラムなどの(理解しやすくするために図示せず)燃料電池の1個以上のスタックまたはカラムを含む。PEM、溶融炭酸塩、リン酸などの別の燃料電池タイプを使用することもできる。
【0021】
モジュール燃料電池システム封入体10は、1個以上の入力または燃料処理モジュール16も備える。このモジュール16は、脱硫装置の床などの燃料の前処理に使用される部品を含むキャビネットを備える。燃料処理モジュール16は、異なるタイプの燃料を処理するように設計することができる。例えば、ディーゼル燃料処理モジュール、天然ガス燃料処理モジュールおよびエタノール燃料処理モジュールを、同じまたは別々のキャビネットに備えることができる。特定の燃料用に調整された異なる床組成物を各モジュールに供給することができる。処理モジュール(単数または複数)16は、パイプラインから供給される天然ガス、圧縮天然ガス、メタン、プロパン、液化石油ガス、ガソリン、ディーゼル、家庭用暖房油、灯油、JP−5、JP−8、航空燃料、水素、アンモニア、エタノール、メタノール、合成ガス、バイオガス、バイオディーゼルおよび他の適切な炭化水素または水素含有燃料から選択される燃料の少なくとも1種を処理することができる。所望であれば、改質装置17を燃料処理モジュール16内に配置することができる。あるいは、改質装置17を燃料電池スタック(単数または複数)と熱的に統合することが望ましい場合、分離した改質装置17をそれぞれの電力モジュール12の各ホットボックス13内に配置することができる。さらに、内部改質燃料電池を使用する場合、外部改質装置17を完全に省略することができる。
【0022】
モジュール燃料電池システム封入体10は、1個以上の電力調節モジュール18も備える。電力調節モジュール18は、燃料電池スタックによって生成されたDC電力をAC電力に変換する部品(例えば、その全体が本願明細書において参照により援用されている、米国特許第7,705,490号明細書(特許文献7)に記載されているDC/DCおよびDC/AC変換器)、配電網へのAC電力出力のための電気接続部、電気的過渡現象を管理する回路、システム制御装置(例えば、コンピュータまたは専用制御論理装置もしくは回路)を含むキャビネットを備える。電力調節モジュール18は、燃料電池モジュールからのDC電力を異なるAC電圧および周波数に変換するように設計することができる。208V、60Hz;480V、60Hz;415V、50Hzおよび他の一般的な電圧および周波数の設計を行うことができる。
【0023】
燃料処理モジュール16および電力調節モジュール18を1個の入出力キャビネット14に収容することができる。単一の入出力キャビネット14を設ける場合、モジュール16および18をキャビネット14内に垂直に(例えば、燃料処理モジュール16の脱硫装置容器/床の上の電力調節モジュール18の部品)または横に配置することができる。
【0024】
図2の例示的な一実施形態に示すように、入出力モジュール14の片側に横方向に直線的に配列された6個の電力モジュール12の1列に対して1個の入出力キャビネット14を設ける。モジュールの列は、例えば、システムが電力を供給する建物に隣接して位置付けすることができる(例えば、モジュールのキャビネットの背面が建物の壁に面する)。1列の電力モジュール12を示したが、システムは、1列を超えるモジュール12を備えることができる。例えば、前述したように、システムは、背中合わせに重ねられた2列の電力モジュールを備えることができる。
【0025】
線形配列の電力モジュール12は、スケール変更が容易である。例えば、燃料電池システム10の供給を受ける建物または別の施設の電力需要に応じて、より多数またはより少数の電力モジュール12を設けることができる。電力モジュール12と入出力モジュール14を別の比で設けることもできる。例えば、別の例示的な実施形態において、より多数またはより少数の電力モジュール12を入出力モジュール14に隣接して設けることができる。さらに、支援機能を(例えば、分離した燃料処理モジュール16および電力調節モジュール18のキャビネットを有する)1個を超える入出力モジュール14によって果たすことができる。さらに、一実施形態において、入出力モジュール14は、電力モジュール12の列の最後にあるが、電力モジュール12の列の中央に配置することもできる。
【0026】
モジュール燃料電池システム封入体10は、システムの整備を容易にするように構成することができる。定期的または頻繁に点検される部品(消耗部品など)のすべてを単一モジュール内に配置して、点検者に必要な時間を短縮することができる。例えば、天然ガス燃料システム用のパージガスおよび脱硫装置材料を単一モジュール(例えば、燃料処理モジュール16または複合入出力モジュール14のキャビネット)内に配置することができる。これは、定期保守中に利用できる唯一のモジュールキャビネットであり得る。したがって、他のモジュールキャビネットを開けず、他のモジュールを点検せず、修理せず、または外しもせずに、各モジュール12、14、16および18を点検し、修理し、またはシステムから外すことができる。
【0027】
例えば、前述したように、封入体10は、複数の電力モジュール12を含むことができる。少なくとも1個の電力モジュール12をラインから外すときには(すなわち、ラインから外したモジュール12のホットボックス13内のスタックによって電力は生成されない)、残りの電力モジュール12、燃料処理モジュール16および電力調節モジュール18(または複合入出力モジュール14)をラインから外さない。さらに、燃料電池封入体10は、1個を超える各タイプのモジュール12、14、16または18を備えることができる。特定のタイプの少なくとも1個のモジュールをラインから外すときには、同じタイプの残りのモジュールをラインから外さない。
【0028】
したがって、複数のモジュールを含むシステムにおいて、モジュール12、14、16もしくは18の各々を、電気的に切り離し、燃料電池封入体10から外し、かつ/またはシステム内の他のモジュールの運転を停止せずに点検もしくは修理することができ、燃料電池システムが継続して電気を発生できるようにすることができる。1個のホットボックス13内の1個の燃料電池スタックが正しく作動しないか、または点検のためにラインから外される場合、燃料電池システム全体を停止する必要がない。
【0029】
電力モジュール12および入出力モジュール14の各々は、モジュールの内部部品に(例えば、維持、修理、交換などのために)接近できるようにする扉30(例えば、蓋、点検用パネルなど)を備える。一実施形態によれば、モジュール12および14は、各キャビネットの1面にのみ扉30を有する線形配列で並べられ、連続した列のシステムを端部が互いに接して設置することができる。このようにして、追加のモジュール12または14および基部20を用いて、既存のモジュール12および14並びに基部20に必要な再配列を最小限にして、燃料電池封入体10のサイズおよび容量を調節することができる。所望であれば、モジュール14の扉をキャビネットの前面ではなく側面にすることができる。
【0030】
扉30は、実質的に垂直、次いで実質的に水平に振る(例えば、「ガルウイング」方式)のに合わせて開くことができる。換言すれば、扉30は、上に動かし、次いで少なくとも部分的に封入体10の最上部の上に実質的に水平方向に動かすことによって開く。この実施形態の実質的に垂直および実質的に水平という用語は、それぞれ、正確な垂直および水平方向から0〜10度などの0〜30度のずれを含む。
【0031】
扉30は、モジュール12または14の封入体またはキャビネット10の壁に複数の独立した機械的アームを用いて搭載される。開いた位置では、扉30の上部が封入体またはキャビネット10の上に位置し、扉の下部が封入体10の開口の上に突き出る場合もある。この構造では、扉の下部が燃料電池システム封入体10から突き出るので、扉30は、開いたときに使用者を雨および雪から保護する。あるいは、扉30全体は、開いた位置で封入体10の上に位置することができる。
【0032】
図3は、その全体が本願明細書において参照により援用されている、2013年10月22日に登録された米国特許第8,563,180号明細書(特許文献8)に記載されているように、部品を通る様々な流れを示す、モジュール12および(
図2では13と示された)ホットボックス31の部品の模式的工程系統図を示すものである。
【0033】
ホットボックス31は、固体酸化物燃料電池スタックなどの複数の燃料電池スタック39を含む(スタックの1個の固体酸化物燃料電池は、イットリア安定化ジルコニア、またはスカンジア安定化ジルコニア(SSZ)などのセラミック電解質、ニッケル−YSZまたはNi−SSZサーメットなどのアノード電極、およびランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などのカソード電極を含む)。スタック39は、複数のカラムまたはセグメント内で積層することができる。
【0034】
ホットボックス31は、蒸気発生装置3103も備える。蒸気発生装置3103は、水槽または送水管などの水源3104から導管330Aを通って水が供給され(すなわち、連続水供給)、水を蒸気にする。蒸気は、発生装置3103から混合機3105に導管330Bを通って供給され、混合機3105においてスタックアノード(燃料)再循環流と混合される。混合機3105は、ホットボックス31の内側または外側に配置することができる。好ましくは、加湿されたアノード排出流は、
図3に模式的に示したように、混合機3105の下流の燃料吸入ラインまたは導管329において燃料吸入流と混ざる。あるいは、所望であれば、燃料吸入流を混合機3105に直接供給することもでき、または蒸気を燃料吸入流に直接供給することができ、かつ/またはアノード排出流を燃料吸入流に直接供給し、続いて複合燃料流を加湿することができる。蒸気発生装置3103は、導管3119において蒸気発生装置3103と熱交換関係で通過する高温アノードテールガス酸化装置(「ATO」)310の排出流によって加熱される。
【0035】
システムは、以下のように作動する。炭化水素流(例えば、天然ガスなど)の燃料吸入流は、燃料吸入導管329に供給され、ホットボックスの外側に配置された接触部分酸化(CPOx)反応器3111を通る。システム始動中、空気もCPOx空気吸入導管3113を通ってCPOx反応器3111に供給され、燃料吸入流を接触部分酸化する。空気は、CPOx空気ブロワ3114によってCPOx空気吸入導管3113を通ってCPOx反応器3111に送ることができる。CPOx空気ブロワ3114は、始動中にのみ作動することができる。定常状態システム運転中、空気流は(例えば、CPOx空気ブロワ3114の電源を切ることによって)遮断され、CPOx反応器は、燃料が部分酸化されない燃料通路として働く。したがって、ホットボックス31は、始動モードと定常状態モードの両方でCPOx反応器3111を通って燃料を供給する1個の燃料吸入導管のみを備えることができる。したがって、定常状態システム運転中にCPOx反応器を迂回する別の燃料吸入導管は不要である。
【0036】
燃料吸入流は、燃料熱交換器(アノード復熱装置)/予備改質器3137に供給され、その温度は、スタック39のアノード(燃料)排出流との熱交換によって上昇する。燃料吸入流は、熱交換器3137の予備改質器セクションでSMR反応によって予備改質され、改質された燃料吸入流(水素、一酸化炭素、水蒸気および非改質メタンを含む)は、燃料吸入導管(単数または複数)321を通ってスタック39に供給される。燃料吸入流は、スタック39の燃料吸入立ち上がり管を通ってスタックを上方に移動し、電気発生中にスタック39内で酸化される。酸化された燃料(すなわち、アノードまたは燃料排出流)は、燃料排出立ち上がり管を通ってスタック39を下方に移動し、次いで燃料排出導管323Aを通ってスタックから排出されて燃料熱交換器3137に入る。
【0037】
燃料熱交換器3137において、アノード排出流は、燃料吸入流を熱交換によって加熱する。アノード排出流は、次いで、燃料排出導管323Bを介して、分割器3107に供給される。アノード排出流の第1の部分は、分割器3107からATO310へ導管(例えば、スリット)3133を介して供給される。
【0038】
アノード排出流の第2の部分は、分割器3107からアノード冷却器3100、次いで燃料吸入流に再循環される。例えば、アノード排出流の第2の部分は、導管331を通ってアノード冷却器(すなわち、空気予熱器熱交換器)に再循環され、そこで、アノード排出流は、導管333からの空気吸入流を予熱する。アノード排出流は、次いで、アノード再循環ブロワ3123によって混合機3105に供給される。アノード排出流は、混合機3105において、蒸気発生装置3103から供給される蒸気との混合によって加湿される。加湿されたアノード排出流は、次いで、混合機3105から加湿アノード排出流導管3121を介して燃料吸入導管329に供給され、そこで燃料吸入流と混ざる。
【0039】
空気吸入流は、主空気ブロワ3125によって空気吸入導管333からアノード冷却器3100の熱交換器に供給される。主空気ブロワ3125は、前述したように、全システム用の単一の空気流制御装置を備えることができる。アノード冷却器3100の熱交換器において、空気吸入流がアノード排出流によって熱交換により加熱される。加熱された空気吸入流は、次いで、空気熱交換器(カソード復熱装置)3200に導管3314を介して供給される。加熱空気吸入流は、空気熱交換器3200からスタック(単数または複数)39に空気吸入導管および/または多岐管325を介して供給される。
【0040】
空気は、スタック39を通ってカソード排出導管324に入り、カソード排出導管324および混合機3801を通ってATO310に入る。ATO310において、空気排出流は、導管3133からのアノード排出流の分割された第1の部分を酸化して、ATO排出流を生成する。ATO排出流は、ATO排出導管327を通って空気熱交換器3200中に排出される。ATO排出流は、空気熱交換器3200において空気吸入流を熱交換によって加熱する。ATO排出流(まだ室温よりも高い)は、次いで、空気熱交換器3200から蒸気発生装置3103に導管3119を介して供給される。ATO排出流からの熱を使用して、蒸気発生装置3103における熱交換によって水を蒸気にする。ATO排出流は、次いで、システムから排出導管335を介して除去される。したがって、空気吸入ブロワ出力(すなわち、動力または速度)を制御することによって、システムに導入される空気の規模(すなわち、体積、圧力、速度など)を制御することができる。カソード(空気)およびアノード(燃料)排出流をそれぞれATO空気および燃料吸入流として使用し、したがって別々のATO空気および燃料吸入制御装置/ブロワが不要になる。さらに、ATO排出流を使用して空気吸入流を加熱するので、ブロワ3125による導管333内の単一空気吸入流の速度制御を利用して、スタック39およびATO310の温度を制御することができる。
【0041】
したがって、前述したように、導管333内の主空気流を可変速ブロワ3125および/または制御弁を用いて変更することによって、スタック39の温度および/またはATO310の温度を維持する。この場合、可変速ブロワ3125または弁を介した主空気流量制御は、主システム温度制御装置として働く。さらに、ATO310の温度は、燃料利用率(例えば、スタック(単数または複数)39によって生成される電流とスタック(単数または複数)39に供給される燃料吸入流の比)を変更することによって制御することができる。最後に、導管331および117内のアノード再循環流は、可変速アノード再循環ブロワ3123によって、および/またはATO310へのアノード排出と混合機3105および燃料吸入導管329へのアノード再循環のためのアノード排出の分割を制御する制御弁によって、制御することができる。
【0042】
図3に示した構成において、ATO310への燃料および空気入力がなくてもよい。外部天然ガスや別の外部燃料をATO310に供給しなくともよい。代わりに、燃料電池スタック(単数または複数)39からの高温燃料(アノード)排出流をATO燃料吸入流としてATOに部分的に再循環させる。同様に、ATOへの外部空気入力もない。代わりに、燃料電池スタック(単数または複数)39からの熱風(カソード)排出流をATO空気吸入流としてATOに供給する。
【0043】
さらに、燃料排出流は、ホットボックス31内に置かれた分割器3107において分割される。分割器3107は、アノード復熱装置(例えば、燃料熱交換器)3137の燃料排出出口とアノード冷却器3100(例えば、空気予熱器熱交換器)の燃料排出入口の間に配置する。したがって、燃料排出流は、混合機3105とATO310との間でアノード冷却器3100に入る前に分割される。これによって、燃料排出流がアノード冷却器3100において空気吸入流とまだ熱交換していないので、先行技術のものよりも高温の燃料排出流をATOに供給することができる。例えば、分割器3107からATO310に供給される燃料排出流の温度を350〜500℃などの350℃以上(例えば、390〜410℃などの375〜425℃)とすることができる。さらに、より少量の燃料排出がアノード冷却器3100に供給されるので(例えば、分割器3107におけるアノード排出の分割のために、アノード排出の100%がアノード冷却器に供給されることはない)、アノード冷却器3100の熱交換面積を削減することができる。
【0044】
種々の実施形態のシステム、方法および装置は、電気化学インピーダンス分光法(「EIS」)を燃料電池などの複数の電気化学装置上で電気化学装置との人的相互作用なしに同時に実施可能にする、ハードウェアおよびソフトウェアアーキテクチャを提供する。一実施形態において、マトリックススイッチは、燃料電池スタックの各サブセットの電池(例えば、個々の電池または複数の電池のグループ)を個々にEIS分析計に接続し、燃料電池スタックにおける任意の燃料電池上でEISを実施可能にする。好ましくは、サブセットの電池は、単一の燃料電池である。しかし、サブセットの電池は、2個以上の電池、所与のスタックにおける電池のすべてのうちのこうした一部、または所与のスタックにおける電池のすべてを含むことができる。さらなる一実施形態において、EIS分析計をマルチチャネルEIS分析計とすることができ、マトリックススイッチとマルチチャネルEIS分析計の組み合わせによってEISを複数の燃料電池(すなわち、複数のサブセットの電池)上で同時に実施することができる。EISを複数の燃料電池上で同時に実施すると、EIS実行時間を削減することができ、個々の電池を同時に同一システム条件下で試験し、比較することができる。
【0045】
EISは、電気化学装置全体の電圧または電流を異なるサンプリング周波数で測定することによって、電気化学装置の総インピーダンスを求めることができる。約1Hzの振動の波形などの異なるサンプリング周波数が得られるように選択された試験波形を、電気化学装置に接続されたライン上で生成し、それによって試験波形を電気化学装置に送ることができる。試験波形は、所望のサンプリング周波数が得られるように選択された正弦波または別のタイプの波とすることができる。電気化学装置の電圧または電流および生じる位相角をサンプリング周波数の各々において求めることができ、EISによってインピーダンスに変換することができる。EISによって、燃料電池などの電気化学電源における電極、電解質および/または電流担体の分極挙動および伝導特性を調べることができる。
【0046】
EISによって、電気化学装置の操作者は、使用される電気化学装置の劣化パターン、調子(例えば、修理が必要かどうか)、および/または電気化学組成(例えば、燃料電池へのガス流、または電極組成)を理解することができる。EIS手順の結果(例えば、異なる周波数におけるインピーダンス)は、ナイキスト線図またはボード線図によってグラフ化することができ、電気化学装置の特性を電気化学装置のインピーダンス応答に基づいて求めることができる。測定される電気化学装置のインピーダンス応答を、特性が既知の電気化学装置のインピーダンス応答の既知の特徴と比較することによって、測定された装置の特性を明らかにすることができる。インピーダンス応答に少なくとも部分的に基づいて求めることができる電気化学装置の特性として、燃料の状態(例えば、燃料利用率)、空気の状態(例えば、空気利用率)、触媒の状態(例えば、アノード電極触媒の亀裂、および/またはアノード電極触媒の炭素もしくは硫黄被毒)、および水の状態(例えば、PEM燃料電池膜の溢水)などが挙げられる。電気化学装置の特性に基づいて、電気化学装置の設定を調節することができる。例えば、燃料利用率および/または水流量に基づいて、電気化学装置に供給される燃料について燃料吸入流への燃料流および/または水流の設定を調節することができる。さらに、求められた電気化学装置の特性を故障しきい値と比較することができ、特性が故障しきい値を超えるときには、燃料欠乏状態、触媒被毒状態、溢水状態などの電気化学装置の故障モードを示している可能性がある。故障しきい値を超える装置を含むモジュール12を遮断し(すなわち、ラインから外し)、点検または交換することができる。
【0047】
特定の一実施形態において、電気化学装置は、1個の燃料電池、2個の燃料電池、25個の燃料電池などの直列に接続された1個以上の燃料電池を含む1個以上の燃料電池スタックセグメントとすることができる。燃料電池スタックセグメントは、固体酸化物燃料電池、プロトン交換膜燃料電池、リン酸燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池、または別のタイプの燃料電池のセグメントとすることができる。例えば、燃料電池スタックセグメントを燃料電池106Aの燃料電池スタックセグメントとすることができる。
【0048】
図4は、一実施形態に係るシステム400のブロック図である。システム400は、EIS分析計404、マトリックススイッチ402、燃料電池スタック106Aなどの電気化学装置、および負荷バンク408を備えることができる。燃料電池スタック106Aは、(
図1において106Bと示された)DC/DC変換器などの1個以上のパワーエレクトロニクス413を介して(
図1において112と示された)DC母線414に電気的に接続されたスタックのより大きいセグメントの一部とすることができる。運転中、燃料電池スタック106Aは、DC電圧をDC母線414に出力することができるパワーエレクトロニクス413にDC電圧を出力することができる。一実施形態において、DC母線414は、正のライン、中性ラインおよび負のラインで構成される3相母線とすることができる。
【0049】
図4は、部品間のデータ転送接続部などのいくつかの電気接続部を示す。これらの接続部は、有線(例えば、ワイヤ、ケーブル、バスなど)でも無線でもよい。マトリックススイッチ402は、電気接続部(単数または複数)403Aによって燃料電池スタック106Aの個々の燃料電池に電気的に接続することができる。燃料電池スタック106Aは8個の電池を含むように示されているが、これらの8個の電池は単なる例示であり、燃料電池スタック106Aは、10〜100個の電池(例えば、25〜50個の電池)などの8個を超える電池または8個未満の電池を含むことができる。(例えば、負荷バンク408を介して燃料電池スタック106Aに試験波形を送ることによって)EIS分析計404が電気接続部421を介して燃料電池スタック106Aに試験波形を送ることができるように、EIS分析計404は、電気接続部421によって燃料電池スタック106Aへの電気接続部に電気的に接続することができる(例えば、負荷バンク408を介した燃料電池スタック106Aへの1つ以上の接続によって)。電気接続部421によって燃料電池スタック106Aに送られた試験波形(例えば、負荷バンク408を介して電気接続部421から燃料電池スタック106Aに送られた試験波形)に起因する波形を燃料電池スタック106Aの個々の燃料電池からマトリックススイッチ402を介してEIS分析計404が採取できるように、EIS分析計404を電気接続部(単数または複数)403Bによってマトリックススイッチ402に接続することもできる。一例として、EIS分析計404は、周波数を調節する試験波形を時間の関数として送ることができる。EIS分析計404は、単一のEIS分析計404として示されているが、親装置と子装置の構成で接続された複数のEIS分析計で構成して、燃料電池スタック106Aの個々の燃料電池からの波形応答の任意の数の独立したチャネルを監視することができ、マトリックススイッチ402を選択された数の独立したチャネルを支援するサイズにすることができる。
【0050】
負荷バンク408が燃料電池スタック106Aの電流および/または電圧出力を監視できるように、燃料電池スタック106Aを電気接続部415によって負荷バンク408に電気的に接続することができる。負荷バンクは、電気負荷を発生し、電源に負荷をかけ、得られる電源の出力を変換または散逸させる装置である。負荷バンクの目的は、実際の適用において電源が遭遇する運転上または「実際の」負荷を正確に模倣することである。しかし、値が分散し、予測不可能であり、無秩序である可能性がある「実際の」負荷とは異なり、負荷バンクは、抑制され、秩序立てられ、十分制御可能な負荷を提供する。マトリックススイッチ402およびEIS分析計404は、各々、マトリックススイッチ402およびEIS分析計404に電力を供給することができる電源406に接続することができる。一例として、電源を240ボルトAC電源とすることができる。負荷バンク408は、EIS分析計404に電気的に接続することができる。場合によっては、ホール効果電流変換器などの電流変換器を負荷バンク408と燃料電池スタック106Aの間に接続して、電流を感知し、電流を表すアナログ信号をEIS分析計404に出力することができる。電流変換器は、任意であり、負荷バンクが燃料電池スタック106Aの電流出力の高周波領域に応答できないときに必要となり得る。
【0051】
マトリックススイッチ402、EIS分析計404および負荷バンク408は、制御装置412に接続することができる。例えば、負荷バンク408を汎用インタフェースバス(「GPIB」)接続部405によって制御装置412に接続することができ、EIS分析計404およびマトリックススイッチ402をそれぞれのユニバーサルシリアルバス(「USB」)接続部407A、407Bによって制御装置412に接続することができる。一実施形態において、制御装置412は、プロセッサ実行可能な命令によって、マトリックススイッチ402、EIS分析計404、負荷バンク408および補助システム(燃料ブロワ3123、空気ブロワ3114、3125など)を制御する操作を行い、燃料および/または空気を燃料電池スタック106Aに供給するように構成されたプロセッサとすることができる。一実施形態において、制御装置412は、燃料電池システムの維持および監視に使用されるラップトップコンピュータなどのパーソナルコンピュータ411との有線および/または無線接続部409を構築することができる。パーソナルコンピュータ411は、燃料電池操作および維持者が燃料電池スタック106Aの選択された電池の応答曲線の特定の領域を選択し、分析して、選択された電池のインピーダンス応答を監視できるように構成することができる。
【0052】
運転中、制御装置412は、EIS監視を同時に行う燃料電池スタック106Aの1個以上の燃料電池を選択することができる。例えば、制御装置は、EIS監視を同時に行う1、2、3、4、5個以上のサブセットの燃料電池を選択することができる。制御装置412は、マトリックススイッチ402を制御して、EIS分析計404の1つの入力を1個以上の選択された燃料電池の各々と整合させることができ、EIS分析計404を制御して、試験波形を接続部421を介して燃料電池スタック106Aに(例えば、接続部421を介して負荷バンク408を通り、燃料電池スタック106Aに)送ることができる。制御装置412は、EIS分析計404を制御して、燃料電池スタック106Aのそれぞれの選択された燃料電池からの出力をマトリックススイッチ402を介して受け取ることができる。一実施形態において、試験波形を全周波数掃引波形とすることができる。別の一実施形態において、試験波形を、重ね合わせ周波数、または10KHz、8KHz、6KHz、4KHz、3KHz、2KHz、1KHzなどの特定の周波数領域のみを試験することができる標準周波数範囲とすることができる。負荷バンク408は、EIS分析計404からの出力シグナルを接続部417を介して受け取ることができ、それに応じて、燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池の生成電流および/または電圧出力を測定し、測定結果を制御装置412に出力することができる。一実施形態において、EIS分析計404は、電気接続部415上の任意選択の電流変換器410を介して結果を監視し、結果を接続部419を介して制御装置412に出力することもできる。様々な試験波形を燃料電池スタック106Aに送ることによって、燃料電池スタック106Aの燃料電池の様々な応答を監視することができる。燃料電池スタック106Aの異なる燃料電池の応答を個別にマトリックススイッチ402を介して監視することによって、1個を超える電池のEIS監視を同時に行うことができる。燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池の最初のセットのEIS監視が終了すると、制御装置412は、燃料電池スタックの1個以上の燃料電池の次のセットを選択し、マトリックススイッチ402を制御して、EIS分析計404の1つの入力を次のセットの選択された1個以上の燃料電池の各々の出力と整合させることができる。このようにして、EIS監視を燃料電池スタックの燃料電池の連続的なセットに対して行うことができる。このようにして、燃料電池スタックの複数の燃料電池を連続的に一緒に試験することによって、燃料電池スタック106Aの個々の電池のEIS監視を、燃料電池スタック106Aの各燃料電池を個々に順次試験しなければならない場合よりも早く終了することができる。
【0053】
制御装置412は、負荷バンク408および/またはEIS分析計404から受け取った燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池のEIS監視によって求められたインピーダンス応答を使用して、各選択された燃料電池の特性を求め、求めた特性に基づいてシステム400の設定を調節することができる。制御装置412は、インピーダンス応答および/または保存インピーダンス値のプロットなどの燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池のEIS監視によって求められたインピーダンス応答を、既知の特性と相関する類似の燃料電池のインピーダンス応答および/または保存インピーダンス値の保存プロットなどのメモリに保存されたインピーダンス応答と比較することができる。制御装置412は、燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池のEIS監視によって求められたインピーダンス応答を保存インピーダンス応答と任意の方法で比較して、燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池のEIS監視によって求められたインピーダンス応答と保存インピーダンス応答の一致を確認することができる。
【0054】
制御装置412が燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池のEIS監視によって求められたインピーダンス応答と保存インピーダンス応答の(例えば、同一またはある所定の変動値内の)一致を判定するときには、制御装置412は、保存インピーダンス応答と相関する特性が、燃料電池スタック106Aのそれぞれの選択された燃料電池の特性であると判定することができる。例えば、制御装置412は、燃料利用率および/または燃料電池の燃料吸入流における蒸気と炭素の比をEIS監視に基づいて求めることができ、ブロワ3123、または燃料入力ライン329、またはライン3104から蒸気発生装置3103への水流を調節することによって、求められた燃料利用率に基づいてシステム400の燃料流設定および/または燃料吸入流への水入力設定を調節することができる。別の一例として、制御装置412は、燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池の空気利用率をEIS監視に基づいて求めることができ、
図3に示した空気ブロワ3125を調節することによって、求めた空気利用率に基づいてシステム400の空気流設定を調節することができる。別の例として、EIS監視によって、燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池の求められた特性を故障しきい値と比較することができ、特性が故障しきい値を超えるときには、調節されるシステムへの燃料および/または水流をもたらし得るか、またはシステムの停止をもたらし得るか、燃料欠乏状態(例えば、アノードにおける不十分な燃料)、(例えば、アノード上に堆積した炭素および/または硫黄、アノード触媒クラッキングなどによる)アノード触媒損傷または被毒状態、(例えば、PEM燃料電池における)溢水状態などの燃料電池スタック106Aの選択された燃料電池の故障モードを示している可能性がある。
【0055】
図5は、マルチチャネルEIS分析計404と、マトリックススイッチ402と、一実施形態に係る燃料電池スタック106Aなどの燃料電池スタックの個々の燃料電池との接続を示すブロック図である。燃料電池スタック106Aは、25個の電池1A、1B、1C、1D、1E、1F・・・1Yなどの複数の燃料電池と、複数の相互接続部501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525および526とを備える。末端の相互接続部501および526は、スタック106Aの端板である。スタック中のそれぞれの燃料電池は、2個の隣接する相互接続部の間に位置する。したがって、電池1Aは端板501と相互接続部502との間に位置し、電池1Bは相互接続部502と503との間に位置し、電池1Cは相互接続部503と504との間に位置する(以下、同様)。最後の電池1Yは、相互接続部525と端板526との間に位置する。
【0056】
マトリックススイッチ402は、接続部531、532、533などの電気接続部403Aによってスタック106Aに接続される。各接続部は、スタック中の1個の相互接続部をスイッチ402に接続するワイヤ、ケーブルまたはバスを含むことができる。例えば、接続部531、532および533は、それぞれの相互接続部501、502および503に接続される。各燃料電池は、スタック中の隣接相互接続部への2個の接続部によって、マトリックススイッチ402に電気的に接続される。すなわち、燃料電池1Aは、隣接相互接続部501および502との接続部531および532によって、マトリックススイッチ402に電気的に接続される。これは、燃料電池1Aを介して相互接続部501と502との間に閉じた電気ループを形成する。同様に、燃料電池1Bは、隣接相互接続部502および503との接続部532および533によって、マトリックススイッチ402に電気的に接続される。この構成において、各燃料電池は、マトリックススイッチ402に個別に電気的に接続され、燃料電池の各サブセットは1個の電池を含む。別の一実施形態において、相互接続部502との接続部532を省略するか、または作動しなくすることができる(すなわち、電流も電圧も印加されず、収集もされない)。この実施形態において、燃料電池の1サブセットは、相互接続部501と503との間に配置された2個の燃料電池1Aおよび1Bを含み、相互接続部501および503とそれぞれの接続部531および533を介して、電気信号が監視される。別の実施形態において、燃料電池のサブセットは、3〜25個の電池などの2個を超える電池を含むことができる。
【0057】
一実施形態において、マルチチャネルEIS分析計404は、5通りのEIS監視を互いに関連して行うことができる5チャネルEIS分析計とすることができる。マルチチャネルEIS分析計404は、5個の物理的接続部を介してマトリックススイッチ402に接続することができる。マトリックススイッチは、EIS分析計404の5個の物理的接続部のいずれかが25個の個々の燃料電池1A〜1Yのいずれか一つと整合できるように構成された一連の内部スイッチを備えることができる。一実施形態において、5個の相互接続部501、502、503、504および505の試験出力部の各々は、燃料電池スタック106Aに送られたマルチチャネルEIS分析計404からの試験波形(例えば、前述した接続部421を介して送られた試験波形など)に応じて、波形を出力することができる。マトリックススイッチ402を制御して、5個の相互接続部501、502、503、504および505の出力をマルチチャネルEIS分析計404のそれぞれの入力部に接続して、5個の相互接続部501、502、503、504および505からの5個の独立した波形をEIS分析計404の5個の異なる入力部に向けることができる。次いで、マトリックススイッチ402を制御して、5個の相互接続部501、502、503、504および505の試験出力部をマルチチャネルEIS分析計404のそれぞれの入力部から切り離し、5個の異なる相互接続部506、507、508、509および510の試験出力部をマルチチャネルEIS分析計404の入力部に接続して、5個の異なる相互接続部506、507、508、509および510からの5個の追加の波形をマルチチャネルEIS分析計404の5個の入力部に向けることができる。同様に、マトリックススイッチ402を制御して、送られた試験波形に応じて発生する残りの相互接続部511〜525の波形をEIS分析計404に連続的なグループとしてさらに送ることができる。分析計404は、5チャネル超または5チャネル未満(例えば、2〜4チャネル、または8〜10チャネルなどの6〜25チャネルなど)を、親装置と子装置の構成などで含むことができる。
【0058】
図6は、マルチチャネルEIS分析計404を燃料電池の複数のサブセットに接続するマトリックススイッチ402内の接続例を示すブロック図である。
図6は、燃料電池スタック要素606、608および610を示す。各要素606、608および610は、単一の燃料電池などの燃料電池のサブセット、または相互接続部とすることができる。各要素が燃料電池である場合、
図5に示すように、燃料電池との電気接続は、燃料電池の両側に隣接する2個の相互接続部との2個の電気接続部を介して成されることを理解すべきである。各要素が相互接続部である場合、相互接続部の両側の2個の隣接する燃料電池に電気的に接続する。
【0059】
例えば、マルチチャネルEIS分析計404は、マトリックススイッチ402からの3個の物理的入力部611、612および613を有する3チャネルEIS分析計とすることができる。要素606、608および610の各々は、それぞれ、試験出力部614、615および616によってマトリックススイッチ402に接続することができる。要素606、608および610が相互接続部である場合には、出力部614、615および616は単一の電気接続部(例えば、ワイヤ)であり、要素606、608および610がそれぞれの相互接続部間にある燃料電池である場合には、出力部614、615および616は、スタック中の2個の異なる相互接続部に接続された二重の単一電気接続部(例えば、2本のワイヤ)である。
【0060】
内部スイッチ617、618および619は、試験出力部614を3個の物理的入力部611、612および613に接続することができる。内部スイッチ620、621および622は、試験出力部615を3個の物理的入力部611、612および613に接続することができる。内部スイッチ623、624および625は、試験出力部616を3個の物理的入力部611、612および613に接続することができる。マトリックススイッチ402の制御装置626を各スイッチ617〜625に接続して、各スイッチ617〜625を制御することができる。このようにして、スイッチ617〜625を開き、かつ/または閉じることによって、制御装置626は、燃料電池606、608および610から物理的入力部611、612および613に波形を送ることができる。3個の入力部と3個の出力部のマトリックススイッチ402並びに3個の燃料電池606、608および610に接続された3チャネルマルチチャネルEIS分析計404は、3個の入力部と3個の出力部のマトリックススイッチ402並びに3個の燃料電池606、608および610に接続された3チャネルマルチチャネルEIS分析計404として示されているが、マトリックススイッチおよび個々の燃料電池に接続されたマルチチャネルEIS分析計の作動原理を説明するのに単に示したにすぎない。EIS分析計のより多いまたはより少ないチャネルを、個々の燃料電池を各EIS分析計入力部に接続するより大きいまたはより小さい一連の内部スイッチを適宜有するマトリックススイッチを介して、より多いまたはより少ない個々の燃料電池に接続することができる。
【0061】
図7は、燃料電池スタックからの複数の燃料電池を同時に選択し、試験する一実施形態の方法700を示す工程系統図である。一実施形態において、方法700の操作は、
図4を参照して前に考察した燃料電池システム400の制御装置412などの燃料電池システムの制御装置によって行うことができる。ブロック702において、制御装置は、燃料電池を複数の燃料電池からインピーダンス試験のために選択することができる。制御装置は、複数の燃料電池から任意の燃料電池を選択することができる。一例として、制御装置は、次のグループの燃料電池を燃料電池スタックからインピーダンス試験のために選択することができる(例えば、次の5個の燃料電池)。ブロック704において、制御装置は、各選択された燃料電池用のチャネルを選択することができる。例えば、制御装置は、各選択された燃料電池から波形を受け取るマルチチャネルEIS分析計404などのマルチチャネルEIS分析計のチャネルを選択することができる。このようにして、各燃料電池を制御装置によって選択して、燃料電池スタックに送られた試験波形に起因するその波形をマルチチャネルEIS分析計に出力することができる。
【0062】
ブロック706において、制御装置は、マトリックススイッチを制御して、各選択された燃料電池をEIS分析計のそのそれぞれの選択されたチャネルと整合させることができる。一例として、制御装置は、マトリックススイッチ402などのマトリックススイッチを制御装置626によって制御して、EIS分析計の各チャネル入力部を選択された燃料電池のうちの1個の試験出力部に接続することができる。
【0063】
ブロック707において、制御装置は、マルチチャネルEIS分析計を制御して、試験波形を燃料電池スタックに送ることができる。一例として、制御装置は、EIS分析計404などのマルチチャネルEIS分析計を制御して、試験波形を燃料電池スタック106Aなどの燃料電池スタックに接続部421および/または負荷バンク408などの燃料電池スタックとの接続部を介して送ることができる。
【0064】
ブロック708において、制御装置は、マルチチャネルEIS分析計を制御して、選択されたチャネル上の各々の波形をそれぞれの選択されたサブセットの燃料電池(例えば、単一の選択された燃料電池)からマトリックススイッチを介して受け取り、送られた試験波形に応じて各選択されたサブセットの燃料電池のインピーダンス応答を監視することができる。このようにして、選択された燃料電池の電気化学的性質を、同じ運転環境下で、燃料電池スタック全体に送られた同じ1個の試験波形に応じて、比較し、検討することができる。一実施形態において、試験波形を全周波数掃引波形とすることができる。別の一実施形態において、試験波形を、重ね合わせ周波数、または10KHz、8KHz、6KHz、4KHz、3KHz、2KHz、1KHzなどの特定の周波数領域のみを試験することができる標準周波数範囲とすることができる。特定の周波数領域の試験に焦点を合わせた試験波形の使用によって、特定の周波数および燃料流環境などの異なる環境における経時的な電気化学的パラメータの動的変化を監視することができる。
【0065】
ブロック710において、制御装置は、選択されたサブセットの燃料電池の各々の特性をその燃料電池のインピーダンス応答に少なくとも部分的に基づいて求めることができる。前述したように、制御装置は、EIS監視によって、送られた試験波形に起因する測定インピーダンスの実数部および虚数部をプロットし、プロットされたインピーダンスを特性が既知の燃料電池のインピーダンス応答の既知の特徴と比較することができる。特性が既知の燃料電池のインピーダンス応答の既知の特徴は、制御装置に利用可能なメモリに保存することができる。特性が既知の燃料電池のインピーダンス応答の保存された既知の特徴は、正常な(すなわち、損傷/劣化のない)燃料電池、並びに様々な形の損傷(例えば、アノードクラッキング)および/または劣化(例えば、燃料欠乏モードで作動する電池)を有する損傷/劣化燃料電池の試験から誘導される、正常な燃料電池および損傷/劣化燃料電池の測定インピーダンスの実数部および虚数部のプロットとすることができる。既知の特性は、メモリに保存された測定インピーダンスの実数部および虚数部のプロットと相関し得る。測定インピーダンスをインピーダンス応答の既知の特徴と照合することによって、燃料電池の電流特性または状態を、インピーダンス応答の適合する既知の特徴と相関する特性として求めることができる。
【0066】
任意選択のブロック712において、制御装置は、求められた特性に基づいて燃料電池システムの設定を調節することができる。例えば、制御装置は、燃料流、空気流、燃料電池から引き出される電流、および/または燃料吸入流に流入する水を変更する(例えば、増加または減少させる)か、あるいは燃料電池システム全体または求められた特性に基づく点検もしくは交換の故障しきい値を超える電池を含むシステムのモジュール12を停止することができる。したがって、ステップ712は、燃料電池システムへの燃料流量の変更、燃料電池システムへの空気流量の変更、燃料電池システムから引き出される電流量の変更、燃料吸入流に供給される水量の変更、または点検もしくは交換のための燃料電池システムの少なくとも一部の停止のいずれか1つ以上を含むことができる。このようにして、EIS監視などのインピーダンス試験を燃料電池システムに使用して、燃料電池システムの運転を個々の燃料電池の電流特性に基づいて調節することができる。
【0067】
本発明の実施形態のシステムおよび方法によって、インピーダンス分析をより速く、より効率的に、人の介在なしに行うことができ、同時に自動化を促進し、燃料電池選択、アップグレードおよび実行をさらに容易にすることができる。該システムおよび方法によって、システム操作者は、システム劣化パターンおよび集団環境における集団運転中の燃料電池スタック部品の調子をより速く理解することもできる。このシステムおよび方法によって、システム操作者は、集団における燃料電池の急停止中の燃料電池の電気化学的パラメータを理解することもできる。
【0068】
EIS監視を使用して、燃料電池システムにおける1個以上の燃料電池に関する種々のパラメータおよびデータを得ることができる。特に、EISを使用して、燃料電池システムにおける電圧損失または分極の原因を特定することができ、損失を最小限にすることができる。分極にはオーム分極、活性化分極および濃度分極の3つの主要なタイプがある。オーム分極は、電解質を介して伝導するイオンのオーム抵抗に起因する。活性化分極は、アノードおよびカソードにおける電気化学的活性化障壁に起因する。濃度分極は、ガスがアノードおよびカソードを通って高速で拡散できないことに起因する。濃度分極の程度は、燃料電池の3相境界(すなわち、燃料が利用される領域)における反応物の利用能に主に基づく。
【0069】
EIS分析計を使用して、燃料電池システムの電圧損失に対する様々な分極の寄与を明らかにすることができる。例えば、EIS分析計は、1個以上の燃料電池のオーム抵抗、したがってオーム分極を求めることができる。別の一例において、EIS分析計は、1個以上の燃料電池の燃料利用率、したがって濃度分極を求めることができる。しかし、これらのパラメータを得るには、通常、EIS分析計を用いて広範な周波数掃引を行う必要がある(例えば、10kHz〜100MHz)。収集データを使用して、電気化学的回路モデルを構築し、分極の各々の推定値を回路モデルから計算する。しかし、このプロセスは、複雑であり、終了するのにやや時間がかかることもある。オームおよび濃度分極を含めた分極値は、単一周波数EIS測定または限定周波数範囲EIS測定によって得られることが好ましい。これによって、測定を迅速に終了することができ、これを使用して、燃料電池システムにおける動的調節をオームまたは濃度分極の値に基づいて実行することができる。これによって、燃料電池システムの効率の最適化が可能になり、燃料電池システムに生じる問題の臨時的な補正が可能になる。
【0070】
本願明細書に記載した種々の実施形態では、燃料電池システムにおける1個以上の燃料電池の燃料利用率、したがって濃度分極を単一周波数EIS測定のみによって測定する方法を開示する。燃料電池システムの燃料利用率は、燃料電池から引き出される電流、燃料電池のインピーダンスの虚数部、燃料電池の温度、空気利用率、および様々な他の運転パラメータを含めて、いくつかの変数に依存し得る。したがって、燃料電池の
虚数インピーダンスは、EIS分析計によって燃料電池に適用される周波数を変えることによって変動し得るが、燃料利用率に対するインピーダンスの効果を、燃料利用率にやはり影響する他のパラメータから分離するのは困難な場合がある。
【0071】
図8は、燃料電池セット(例えば、燃料電池モジュール、カラムまたはセグメント)にEIS分析計によって適用された周波数と、EIS分析計によって測定された
虚数インピーダンスの対応する値をプロットした対数グラフ800である。グラフ800は、3つのプロット802a〜802cを含み、各プロットは既知の燃料利用率に対応する。例えば、プロット802aの燃料利用率を90%とすることができ、プロット802bの燃料利用率を86%とすることができ、プロット802cの燃料利用率を83%とすることができる。高い周波数値(例えば、10Hzを超える周波数)では、グラフ800は、プロット802a〜802cの
虚数インピーダンス値がほとんど変化せず、
虚数インピーダンス値が燃料利用率値に強く依存しないことを意味する。しかし、低周波数(例えば、1Hz〜10Hzの周波数範囲804)では、プロット802a〜802cの
虚数インピーダンス値が異なる。これは、
虚数インピーダンス値が低周波数において燃料利用率値に強く依存することを意味する。したがって、例えば周波数806における、単一低周波数EIS測定によって、燃料利用率が異なる燃料電池セットを区別することができ、やはり燃料利用率に影響する別のパラメータから相関性を分離することができる。例えば、周波数806において、
虚数インピーダンスは、燃料利用率および燃料電池セットから引き出される電流のみに依存し、温度、空気利用率などのパラメータに依存しない可能性がある。
【0072】
グラフ800は、ある範囲の周波数、例えば全周波数掃引をEIS分析計によって1つ以上の既知の燃料利用率値において燃料電池セット(例えば、燃料電池モジュール、カラムまたはセグメント)に適用することによって得ることができる。燃料利用率値は、単一パス燃料利用率値とすることができる。単一パス燃料利用率値は、燃料電池セットを通る燃料の単一サイクル中の燃料利用率である(すなわち、燃料電池セットが、流入燃料および再循環燃料に局部的に基づいて経験するもの)。単一パス燃料利用率は、燃料電池セットの入口に(例えば、
図3の加湿アノード排出流導管3121を通して)ポンプで戻される再循環燃料と組み合わせた、燃料電池セットに入る新しい燃料(例えば、
図3において燃料吸入ライン329を通って入る燃料)の利用量を含み得る。EIS分析計は、同じ燃
料利用率の複数の掃引にわたって、温度、空気利用率などの運転パラメータを変えることができ、運転パラメータを変更しながら燃料電池セットの
虚数インピーダンスを測定することができる。次いで、EIS分析計または制御装置は、燃料利用率が
虚数インピーダンスに高度に依存するが、他の運転パラメータには依存しない単一周波数806を求めることができる。この単一周波数806をEIS分析計によって単一周波数測定に使用して、燃料利用率の値を得ることができる。例えば、単一周波数を1Hz〜2Hzとすることができる。
【0073】
回帰モデルを作成して、EIS分析計によって得られたデータを用いて
虚数インピーダンスと燃料利用率の関係を求めることができる。例えば、モデルは、燃料電池セットから引き出される電流、および単一の特定の振動数における燃料電池セットの
虚数インピーダンスデータを入力として採用することができる。この周波数において、燃料電池セットの燃料利用率は、
虚数インピーダンスおよび電流に高度に依存するが、別の運転パラメータには依存しない。回帰モデルの出力は、百分率として表される単一パス燃料利用率とすることができる。回帰モデルから誘導される式の一例を以下に示す。
この式中、SPUは燃料電池セットの単一パス燃料利用率であり、Iは燃料電池セットから引き出されるアンペア単位の電流であり、Ziはオームcm2単位の
虚数インピーダンスであり、Nは燃料電池セットの燃料電池の数であり、a1、b1、c1、a2、b2およびc2は、特定の燃料電池システムに依存する定数である。導出される燃料電池セットの燃料利用率を燃料電池システム全体または燃料電池システム内の燃料電池サブセットに乗法係数を用いて外挿することができる。
【0074】
回帰モデルおよび式を求めた後、
虚数インピーダンスと燃料利用率の関係を参照表、グラフまたは別のタイプのデータとして燃料電池システムの制御装置のメモリに保存することができる。したがって、特定の周波数において
虚数インピーダンスを燃料利用率に関係づける回帰モデルを、それぞれの特定のタイプの燃料電池システムについて作成し、保存することができる。その後、データを使用して、燃料電池システムの単一周波数EIS測定によって、現在の燃料利用率値を得ることができる。これによって、燃料電池システムは、燃料電池システムの現在の燃料電池利用率を動的に推定し、それに応じて作動することができる。
【0075】
図9は、燃料電池システムを監視する方法900を示す。方法900は、燃料電池システムを制御する制御装置、例えば、
図4の制御装置412および/またはコンピュータ411によって実施することができる。燃料電池システムは、
図4のEIS分析計404を備えたシステム400などのEIS分析計を備える。EIS分析計は、燃料電池セットの燃料電池モジュール、カラム、セグメントなどの燃料電池上でEIS測定を行うように構成することができる。求めた燃料利用率は、燃料電池セットの単一パス燃料利用率であり得る。燃料電池システムは、マトリックススイッチ402を含むこともできる。しかし、マトリックススイッチを用いても用いなくても、任意の適切なEIS分析計を方法900に関連して使用することができる。
【0076】
ブロック902において、制御装置は、燃料電池セットに適用する単一周波数を決定することができ、燃料電池セットの燃料利用率は、単一周波数における
虚数インピーダンスに高度に依存する。単一周波数は、
図8を参照して前述したように決定することができる。例えば、EIS分析計は、ある範囲の周波数をいくつかの既知の燃料利用率値で燃料電池セットに適用することができる。燃料電池システムのEIS分析計および制御装置は、周波数範囲の各周波数において、燃料電池セットの運転パラメータを変えることができ、
周波数範囲の各周波数において、複数の既知の燃料利用率値の各々に対して、運転パラメータを変更しながら燃料電池セットの
虚数インピーダンスを測定することができる。次いで、EIS分析計または制御装置は、複数の既知の燃料利用率値が
虚数インピーダンスに高度に依存し、運転パラメータにあまり依存しない周波数範囲の周波数として単一周波数を決定することができる。単一周波数は、1Hz〜2Hzとすることができる。あるいは、単一周波数を前もって決定して、メモリに保存することができ、制御装置は、ブロック902においてメモリにアクセスして単一周波数を得ることができる。
【0077】
ブロック904において、制御装置は、単一周波数において燃料電池セットから引き出される電流を求めることができる。ブロック906において、制御装置は、
虚数インピーダンスをEIS分析計で測定することによって、単一周波数における燃料電池セットの
虚数インピーダンスを求めることができる。EIS分析計は、全インピーダンスを測定し、インピーダンスの虚数部を分離することによって、
虚数インピーダンス測定を行うことができる。
【0078】
ブロック908において、制御装置は、単一周波数における測定された
虚数インピーダンスおよび電流から燃料電池セットの燃料利用率または濃度分極を求めることができる。制御装置は、
虚数インピーダンスと燃料利用率の関係を定義する回帰モデル、またはグラフ、参照表などの回帰モデルから誘導される任意の形のデータを利用することができる。求めた燃料利用率は、燃料電池セットの単一パス燃料利用率であり得る。あるいは、制御装置は、燃料電池セットの燃料利用率または濃度分極を求めず、代わりに、測定された
虚数インピーダンスを使用して、補正処置が必要であるかどうかを判定することができる(すなわち、ブロック908の操作を省略する)。
【0079】
判定ブロック910において、制御装置は、導出された燃料利用率または濃度分極がしきい値と交差するかどうかを判定することができる。しきい値は、望ましくない濃度分極または電圧損失レベルとすることができる。あるいは、制御装置は、測定された
虚数インピーダンスがしきい値と交差するかどうかを判定ブロック910において判定することができる(すなわち、
虚数インピーダンスから燃料利用率または濃度分極への変換を省略する)。導出された燃料利用率、濃度分極または
虚数インピーダンスがしきい値と交差しない(すなわち、判定ブロック910=「No」)という判定に応答して、制御装置は、燃料電池セットの出力電流(すなわち、燃料電池セットから引き出される電流)および
虚数インピーダンスをブロック904および906において引き続き測定することができる。換言すれば、制御装置は、燃料利用率値がしきい値よりも低くなるまでそれを監視し続けることができる。
【0080】
導出された燃料利用率、濃度分極または
虚数インピーダンスがしきい値と交差する(すなわち、判定ブロック910=「Yes」)という判定に応答して、制御装置はブロック912において補正処置を開始することができる。補正処置として、スタック回復シークエンスを開始すること、燃料電池システムに供給される燃料を変えること(例えば、
図3のアノード再循環ブロワ3123の出力を増加させることによって、燃料電池セットに供給される燃料の量および/または再循環燃料の量を増加させること)、燃料電池セットからの出力電流を変えること、燃料電池システム中の様々な部品を調節すること(例えば、空気ブロワの速度を変えて入力空気の量を変更することなど、
図3に示した部品)、および/または操作者が処置を取るように警告を発することなどが挙げられる。このようにして、方法900は、燃料電池セットの燃料利用率を動的に推定し、必要に応じて補正処置をとって、濃度分極による過剰な電圧損失を相殺する方法を提供する。
【0081】
EIS測定を使用して、燃料電池システムのオーム抵抗、したがってオーム分極による電圧損失を推定することもできる。本願明細書に記載した種々の実施形態では、燃料電池システムにおける1個以上の燃料電池のオーム抵抗を、限定周波数範囲EIS測定のみによって測定する方法を開示する。燃料電池システムのオーム抵抗は、燃料電池のインピーダンスの実数部、燃料電池の温度、空気利用率、および様々な別の運転パラメータを含めて、いくつかの変数に依存し得る。したがって、燃料電池のインピーダンスは、EIS分析計によって燃料電池に適用される周波数を変えることによって変動し得るが、オーム抵抗に対するインピーダンスの効果を、オーム抵抗にやはり影響する他のパラメータから分離するのは困難な場合がある。
【0082】
図10は、燃料電池セット(例えば、燃料電池モジュール、カラムまたはセグメント)にEIS分析計によって適用された周波数と、各燃料電池の作用面積を掛けたEIS分析計によって測定された
実数インピーダンスの対応する値とをプロットした対数グラフ1000である。限定周波数範囲1002(例えば、10Hz〜1kHz)において、
実数インピーダンス対周波数のプロットは、ある傾きを有する。しかし、異なる周波数範囲1004(例えば、1kHz〜100kHz)を燃料電池システムの定常状態運転中の目的周波数範囲とすることができる。目的周波数範囲1004において、
実数インピーダンス対周波数の傾きは、限定周波数範囲1002における傾きと類似し得る。より低い周波数におけるEISインピーダンス測定値を得ることはより容易であり得るので、限定周波数範囲1002におけるプロットの傾きを利用して、目的周波数範囲1004における
実数インピーダンスについての情報を、例えば対数適合式の外挿によって、得ることができる。例えば、燃料電池が配置された領域に置かれたDC/DC変換器において燃料電池セットに対してのみEIS測定を行うことができる。EIS分析計は、DC/DC変換器における限定周波数範囲1002でのみ測定可能とすることができ、したがって、目的周波数範囲1004をその領域で測定することができない。
【0083】
限定周波数範囲1002は、広範な周波数掃引にわたってEIS分析計で燃料電池セットの
実数インピーダンスをプロットすることによって得ることができる。限定周波数範囲は、
実数インピーダンス対周波数の傾きが、
実数インピーダンス対目的周波数範囲の周波数の傾きと実質的に同じである周波数範囲とすることができる。限定周波数範囲1002において、燃料電池セットの
実数インピーダンスは、燃料利用率、空気利用率などの燃料電池システムの運転パラメータにあまり依存しない可能性がある。燃料電池システムの制御装置は、限定周波数範囲1002にわたる
実数インピーダンス測定を利用して、目的周波数範囲1004の周波数に対する
実数インピーダンス、したがってオーム抵抗を求めることができる。
【0084】
制御装置は、EIS分析計によって特定の周波数範囲で測定された
実数インピーダンスと、特定の周波数範囲外の周波数における
実数インピーダンスとの関係を求めることができる。制御装置は、限定周波数範囲1002の周波数と
実数インピーダンスの関係を記述する対数または線形適合式を導き出すことができる。特定の傾きを有するこの式を使用して、目的周波数範囲1004の周波数における
実数インピーダンスを推定することができる。対数適合式の一例を以下に示す。
Zr=s*ln(f)+b
式中、Znは
実数インピーダンスであり、fはHz単位の周波数であり、sおよびbは特定の燃料電池システムに依存する定数である。定数sは、限定周波数範囲1002における周波数と
実数インピーダンスのプロットの傾きである。限定周波数範囲1002における傾きは、目的周波数範囲1004における傾きと実質的に類似し得るので、前述した式を使用して、目的周波数範囲1004におけるEIS測定を行わずに、目的周波数範囲1004の周波数の
実数インピーダンスを求めることができる。
【0085】
図11は、燃料電池システムを監視する方法1100を示す。方法1100は、燃料電池システムを制御する制御装置、例えば、
図4の制御装置412および/またはコンピュータ411によって実施することができる。燃料電池システムは、
図4のEIS分析計404を備えたシステム400などのEIS分析計404を備える。EIS分析計は、燃料電池セットの燃料電池モジュール、カラム、セグメントなどの燃料電池上でEIS測定を行うように構成することができる。燃料電池システムは、マトリックススイッチ402を含むこともできる。しかし、マトリックススイッチを用いても用いなくても、任意の適切なEIS分析計を方法1100に関連して使用することができる。
【0086】
ブロック1102において、制御装置は、燃料電池セットに適用する第1の周波数範囲を決定することができる。燃料電池セットの
実数インピーダンス対第1の周波数範囲の周波数の傾きは、燃料電池セットの
実数インピーダンス対第1の周波数範囲の外側の第2の周波数範囲の周波数の傾きと実質的に同じであり得る。第1の周波数範囲は、限定的な低周波数範囲(例えば、10Hz〜1000Hz)とすることができる。第2の周波数範囲は、より高い周波数範囲(例えば、1,000Hz〜100,000Hz)とすることができる。第1の周波数範囲は、
図10を参照して前述したように求めることができる。すなわち、第1の周波数範囲は、広範な周波数掃引にわたってEIS分析計で燃料電池セットの
実数インピーダンスをプロットし、次いでより高い周波数範囲に実質的に類似した
実数インピーダンス傾きを有する低周波数範囲を選択することによって得ることができる。あるいは、第1の周波数範囲を前もって決定して、メモリに保存することができ、制御装置は、ブロック1102においてメモリにアクセスして第1の周波数範囲を得ることができる。
【0087】
ブロック1104において、制御装置は、
実数インピーダンスをEIS分析計で測定することによって、第1の周波数範囲にわたる燃料電池セットの
実数インピーダンスを求めることができる。EIS分析計は、全インピーダンスを測定し、インピーダンスの実数部を分離することによって、
実数インピーダンス測定を行うことができる。
【0088】
ブロック1106において、制御装置は、第1の周波数範囲の外側の目的周波数における燃料電池セットのオーム抵抗またはオーム分極を第1の周波数範囲にわたる測定された
実数インピーダンスから求めることができる。制御装置は、前述したように対数または線形適合式を利用して、燃料電池セットのオーム抵抗と周波数との関係を求めることができる。例えば、第1の周波数範囲にわたる測定された
実数インピーダンスを使用して、対数適合式を導き出すことができ、式の傾きは、
実数インピーダンスと第1の周波数範囲の外側の周波数、特に目的周波数との関係の傾きと実質的に類似している。目的周波数は、第2の周波数範囲内とすることができる。第1の周波数範囲は、その領域でEIS分析計によって測定することができる周波数範囲であり、第2の周波数範囲は、オーム分極を求めることができる周波数範囲とすることができる。制御装置は、グラフ、参照表などの対数適合式から誘導される任意の形のデータを利用して、測定された
実数インピーダンスから燃料電池セットのオーム抵抗を求めることもできる。あるいは、制御装置は、燃料電池セットのオーム抵抗またはオーム分極を求めず、代わりに、測定された
実数インピーダンスを使用して、補正処置が必要であるかどうかを判定することができる(すなわち、ブロック1106の操作を省略する)。
【0089】
判定ブロック1108において、制御装置は、導出されたオーム抵抗またはオーム分極がしきい値と交差するかどうかを判定することができる。しきい値は、望ましくないオーム分極または電圧損失レベルとすることができる。あるいは、制御装置は、測定された
実数インピーダンスがしきい値と交差するかどうかを判定ブロック1108において判定することができる(すなわち、
実数インピーダンスからオーム抵抗またはオーム分極への変換を省略する)。導出されたオーム抵抗、オーム分極または
実数インピーダンスが
しきい値と交差しない(すなわち、判定ブロック1108=「No」)という判定に応答して、制御装置は、燃料電池セットの
実数インピーダンスをブロック1104において引き続き測定することができる。換言すれば、制御装置は、オーム抵抗値がしきい値と交差するまでそれを監視し続けることができる。
【0090】
導出されたオーム抵抗、オーム分極、または
実数インピーダンスがしきい値と交差する(すなわち、判定ブロック1108=「Yes」)という判定に応答して、制御装置はブロック1110において補正処置を開始することができる。補正処置として、スタック回復シークエンスを開始すること、燃料電池システムに供給される燃料を変えること、燃料電池セットからの出力電流を変えること、燃料電池システム中の様々な部品を調節すること(例えば、空気ブロワの速度を変えて入力空気の量を変更することなど、
図3に示した部品)、および/または操作者が処置を取るように警告を発することなどが挙げられる。このようにして、方法1100は、燃料電池セットのオーム抵抗を動的に推定し、必要に応じて補正処置をとって、オーム分極による過剰な電圧損失を相殺する方法を提供する。一部の実施形態において、方法1100と方法900を同時に実施することができる(すなわち、燃料利用率とオーム抵抗の両方をEISインピーダンス測定から求めることができる)。
【0091】
図12は、燃料電池システムを監視する方法1200を示す。方法1200は、燃料電池システムを制御する制御装置、例えば、
図4の制御装置412および/またはコンピュータ411によって実施することができる。燃料電池システムは、
図4のEIS分析計404を備えたシステム400などのEIS分析計404を備える。EIS分析計は、燃料電池セットの燃料電池モジュール、カラム、セグメントなどの燃料電池上でEIS測定を行うように構成することができる。燃料電池システムは、マトリックススイッチ402を含むこともできる。しかし、マトリックススイッチを用いても用いなくても、任意の適切なEIS分析計を方法1200に関連して使用することができる。
【0092】
ブロック1202において、制御装置は、燃料電池セットのインピーダンスを電気化学インピーダンス分光法によって求めることができる。測定は、単一周波数および/または周波数の部分的範囲において行うことができる。燃料電池セットの濃度分極は、単一周波数における
虚数インピーダンスに依存し得るが、燃料電池セットのオーム分極は、インピーダンスの実数部と周波数の部分的範囲との関係から求められる。
【0093】
ブロック1204において、制御装置は、求められたインピーダンスから燃料電池セットのオーム分極および濃度分極を求めることができる。濃度分極は、単一周波数において求めたインピーダンスの虚数部から求めることができる。例えば、制御装置は、
虚数インピーダンスと濃度分極との関係を定義する回帰モデルを利用するか、またはグラフ、参照表などの回帰モデルから誘導される任意の形のデータを利用することができる。オーム分極は、周波数の部分的範囲において求めたインピーダンスの実数部から求めることができる。例えば、制御装置は、対数適合式を利用して、燃料電池セットのオーム分極と周波数との関係を求めるか、またはグラフ、参照表などの対数適合式から誘導される任意の形のデータを利用することができる。
【0094】
判定ブロック1206において、制御装置は、オーム分極を第1のしきい値と比較し、濃度分極を第2のしきい値と比較して、どちらかのパラメータがそれぞれのしきい値と交差するかどうかを判定することができる。第1のしきい値を望ましくないオーム分極または電圧損失レベルとすることができ、第2のしきい値を望ましくない濃度分極または電圧損失レベルとすることができる。オーム分極も濃度分極もそれぞれのしきい値と交差しない(すなわち、判定ブロック1206=「No」)という判定に応答して、制御装置は、燃料電池セットのインピーダンスを引き続き求めることができる。換言すれば、制御装置は、オーム分極と濃度分極のどちらか一方がそれぞれのしきい値と交差するまで、オーム分極および濃度分極を監視し続けることができる。
【0095】
オーム分極もしくは濃度分極またはその両方がそれぞれのしきい値と交差する(すなわち、判定ブロック1206=「Yes」)という判定に応答して、制御装置はブロック1208において補正処置を開始することができる。補正処置として、スタック回復シークエンスを開始すること、燃料電池システムに供給される燃料を変えること(例えば、
図3のアノード再循環ブロワ3123の出力を増加させることによって、燃料電池セットに供給される燃料の量および/または再循環燃料の量を増加させること)、燃料電池セットからの出力電流を変えること、燃料電池システム中の様々な部品を調節すること(例えば、空気ブロワの速度を変えて入力空気の量を変更することなど、
図3に示した部品)、および/または操作者が処置を取るように警告を発することなどが挙げられる。このようにして、方法1200は、燃料電池セットのオームおよび濃度分極を動的に推定し、必要に応じて補正処置をとって、オームまたは濃度分極による過剰な電圧損失を相殺する方法を提供する。
【0096】
前述した方法の記述および図は、単に説明のための例として提供するものであり、種々の実施形態のステップを示した順序で実施しなければならないことを必要とすることや、あるいは意味することを意図したものではない。当業者であれば理解できるように、前述した実施形態におけるステップの順序は、任意の順序で実施することができる。さらに、「その後」、「次いで」、「次に」などの語は、ステップの順序を限定することを意図したものではなく、これらの語は、単に方法の記述を通して読者を導くために使用される。
【0097】
1つ以上の図を使用して、例示的な実施形態を記述した。図の使用は、実施した操作の順序に関して限定することを意味するものではない。例示的な実施形態の前の記述は、説明および記述のためのものである。それは、網羅的であることを意図したものではなく、開示した正確な形態に関して限定することを意図したものでもなく、改変および変更が、前述したような教示に照らして可能であり、開示した実施形態の実施から得られる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されるものとする。
【0098】
制御要素は、プロセッサ、メモリおよび特定の機能を実施する命令をプログラムされた別の部品を備える計算装置(コンピュータなど)を用いて実行することができ、特定の機能を実施するように設計されたプロセッサで実行することができる。プロセッサは、本願明細書に記載した種々の実施形態の機能を含めて、多様な機能を果たすようにソフトウェア命令(アプリケーション)によって設定することができる、任意のプログラム可能なマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータまたはマルチプロセッサチップ(単数または複数)とすることができる。一部の計算装置において、複数のプロセッサを備えることができる。一般に、ソフトウェアアプリケーションは、アクセスして、プロセッサにロードする前に、内部メモリに保存することができる。一部の計算装置において、プロセッサは、アプリケーションソフトウェア命令を保存するのに十分な内部メモリを備えることができる。
【0099】
本願明細書に開示した実施形態に関連して記述した種々の説明のための論理ブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはその両方の組み合わせとして実行することができる。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明瞭に説明するために、種々の説明のための部品、ブロック、モジュール、回路およびステップをそれらの機能性に関して全般的に前述した。こうした機能性がハードウェアまたはソフトウェアとして実行されるかどうかは、システム全体に課される特定のアプリケーションおよび設計上の制約に依存する。当業者であれば、記述した機能性を各特定のアプリケーションのための種々の方法で実行することができるが、こうした実行の決定が本発明の範囲から逸脱すると解釈すべきではない。
【0100】
本願明細書に開示した態様に関連して記述した種々の説明のための論理、論理ブロック、モジュールおよび回路の実行に使用されるハードウェアは、本願明細書に記載した機能を果たすように設計された、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは別のプログラム可能な論理装置、分離したゲートもしくはトランジスタ論理、分離したハードウェア部品、またはそれらの任意の組み合わせで実行または実施することができる。汎用プロセッサをマイクロプロセッサとすることができ、あるいはプロセッサを任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたは状態機械とすることができる。プロセッサは、計算装置の組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連結された1個以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のこうした構成として実行することもできる。あるいは、一部のブロックまたは方法は、所与の機能向けの回路網によって実施することができる。
【0101】
開示した実施形態の前の記述は、当業者が前述した実施形態を成すか、または使用できるようにするものである。これらの実施形態の種々の改変が当業者であれば容易に理解できるはずであり、本願明細書に定義された一般的な原理を本願明細書に開示した範囲から逸脱することなく別の実施形態にも適用することができる。したがって、本発明は、本願明細書に示した実施形態に限定されることを意図したものではなく、添付の特許請求の範囲並びに本願明細書に開示した原理および新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲が付与されるべきである。