(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記懸架装置は、前記車輪が前記底面から第1突出量で突出する第1突出位置と前記第1突出量よりも大きい第2突出量で突出する第2突出位置との間で移動するように前記車輪を支持し、
前記調整機構は、前記第2突出量の前記車輪に与える付勢力を前記第1突出量の前記車輪に与える付勢力よりも大きくする、
請求項1に記載のロボット集塵機。
前記懸架装置は、前記車輪が前記底面から第1突出量で突出する第1突出位置と前記第1突出量よりも大きい第2突出量で突出する第2突出位置との間で移動するように前記車輪を支持し、
前記調整機構は、前記第1突出量の前記車輪に与える付勢力と前記第2突出量の前記車輪に与える付勢力との差を小さくする、
請求項1に記載のロボット集塵機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ロボット集塵機]
図1は、本実施形態に係る自走式機器1の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る自走式機器1の一例を示す底面図である。本実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、自走式機器1の中心部を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0011】
本実施形態においては、自走式機器1がロボット集塵機である例について説明する。ロボット集塵機は、作業対象面である清掃対象面FLを自走しながら清掃作業を実施する。以下の説明においては、自走式機器1を、ロボット集塵機1、と称する。
【0012】
ロボット集塵機1は、清掃対象面FLを自走する。ロボット集塵機1は、自走しながら清掃対象面FLの塵埃を吸い込む。
図1及び
図2に示すように、ロボット集塵機1は、本体部2と、本体部2に設けられバッテリ3が装着されるバッテリ装着部4と、本体部2に収容され塵埃を吸引する吸引力を発生するファンユニット5と、本体部2に収容され塵埃を貯蔵する貯蔵部6と、本体部2に回転可能に支持されるキャスタ7及びローラ8と、本体部2を移動可能に支持する車輪9と、車輪9を回転させる動力を発生する車輪モータ10と、車輪9を上下方向に移動可能に支持する懸架装置30とを備える。
【0013】
本体部2は、上面2Aと、清掃対象面FLと対向する底面2Bと、上面2Aの周縁部と底面2Bの周縁部とを結ぶ側面2Cとを有する。上面2Aと平行な面内において、本体部2の外形は、実質的に円形状である。
【0014】
本体部2は、内部空間を有するハウジング11を含む。ハウジング11は、上ハウジング11Aと、上ハウジング11Aに接続される下ハウジング11Bとを含む。上面2Aは、上ハウジング11Aに配置される。底面2Bは、下ハウジング11Bに配置される。
【0015】
本体部2は、障害物センサ12と、障害物センサ12の少なくとも一部を覆うセンサカバー13とを有する。障害物センサ12は、側面2Cの前部に配置される。障害物センサ12は、間隔をあけて複数設けられる。障害物センサ12は、ロボット集塵機1の前方の障害物を非接触で検出する。
【0016】
また、本体部2は、吸込口15が形成された底板14を有する。吸込口15は、清掃対象面FLの塵埃を吸い込む。底板14は、下ハウジング11Bに固定される。吸込口15は、清掃対象面FLと対向する。吸込口15は、底面2Bの前部に設けられる。吸込口15は、左右方向に長い矩形状である。
【0017】
また、本体部2は、吸込口15に配置されるメインブラシ16と、メインブラシ16を回転させる動力を発生するメインブラシモータ17とを有する。メインブラシ16は、清掃対象面FLと対向する。メインブラシ16は、左右方向に長い。メインブラシ16は、左右方向に延在するロッド部材16Rと、ロッド部材16Rの外面に螺旋状に接続された複数のブラシ16Bとを有する。ロッド部材16Rの左端部及び右端部のそれぞれは、本体部2に回転可能に支持される。ロッド部材16Rは、ブラシ16Bの少なくとも一部が底面2Bから下方に突出するように、本体部2に支持される。メインブラシモータ17は、ハウジング11の内部空間に配置される。メインブラシモータ17の作動により、メインブラシ16が回転する。
【0018】
また、本体部2は、底面2Bの前部に配置されるサイドブラシ18と、サイドブラシ18を回転させる動力を発生するサイドブラシモータ19とを有する。サイドブラシ18は、清掃対象面FLと対向する。サイドブラシ18は、2つ設けられる。一方のサイドブラシ18は、吸込口15よりも左方に設けられる。他方のサイドブラシ18は、吸込口15よりも右方に設けられる。サイドブラシ18は、円板部材18Dと、円板部材18Dに放射状に接続された複数のブラシ18Bとを有する。円板部材18Dは、本体部2に回転可能に支持される。円板部材18Dは、ブラシ18Bの少なくとも一部が側面2Cよりも外側に突出するように、本体部2に支持される。サイドブラシモータ19は、ハウジング11の内部空間に配置される。サイドブラシモータ19の作動により、サイドブラシ18が回転する。サイドブラシ18が回転することによって、清掃対象面FLの塵埃が吸込口15に送られる。
【0019】
また、本体部2は、清掃対象面FLの有無を検出する複数の落下防止センサ20と、清掃対象面FLに設けられた反射部材を検出する赤外線センサ21とを有する。落下防止センサ20及び赤外線センサ21は、底面2Bに設けられる。落下防止センサ20は、底面2Bと対向する位置に清掃対象面FLが存在するか否かを非接触で検出する。落下防止センサ20は、底面2Bと清掃対象面FLとの距離を検出する。底面2Bと清掃対象面FLとが規定距離以上離れている場合、ロボット集塵機1は、落下防止センサ20の検出データに基づいて、底面2Bと対向する位置に清掃対象面FLが存在しないと判定する。底面2Bと対向する位置に清掃対象面FLが存在しないと判定した場合、ロボット集塵機1は、自走を停止する。赤外線センサ21は、清掃対象面FLに設けられた反射部材を検出する。反射部材によって清掃対象範囲が規定される。反射部材は、例えばロボット集塵機1の使用者によって清掃対象面FLに設けられる。ロボット集塵機1は、赤外線センサ21の検出データに基づいて、反射部材を超えないように自走する。これにより、ロボット集塵機1が清掃対象範囲の外側に移動することが抑制され、ロボット集塵機1は、清掃対象範囲を清掃することができる。
【0020】
また、本体部2は、上ハウジング11Aに設けられたハンドル22を有する。使用者は、ハンドル22を持って、ロボット集塵機1を持ち運びすることができる。
【0021】
また、上ハウジング11Aの後部には、使用者に操作される操作部23が設けられる。操作部23は、電源ボタン23A、バッテリ3の残量表示部23B、及び運転モードの選択ボタン23Cを含む。また、上ハウジング11Aの前部には、例えば発光ダイオードを含む発光部24が設けられる。
【0022】
バッテリ装着部4は、上ハウジング11Aの後部に設けられる。上ハウジング11Aの後部に凹部が設けられる。バッテリ装着部4は、上ハウジング11Aの凹部の内側に設けられる。バッテリ装着部4は、2つ設けられる。一方のバッテリ装着部4は、ファンユニット5よりも左方に設けられる。他方のバッテリ装着部4は、ファンユニット5よりも右方に設けられる。
【0023】
バッテリ装着部4に装着されるバッテリ3は、電動工具の電源として使用されるリチウムイオンバッテリを含む。バッテリ装着部4は、電動工具のバッテリ装着部と同等の構造を有する。バッテリ装着部4は、装着されるバッテリ3をガイドするガイド部材と、バッテリ3の端子と接続される端子とを有する。バッテリ3は、ガイド部材にガイドされながらバッテリ装着部4に上方から挿入される。バッテリ3がバッテリ装着部4に装着されることにより、バッテリ3の端子とバッテリ装着部4の端子と電気的に接続される。バッテリ3は、ロボット集塵機1に搭載されている電気機器又は電子機器に電力を供給する。
【0024】
ファンユニット5は、貯蔵部6を介して吸込口15と接続され、塵埃を吸引するための吸引力を発生する。ファンユニット5は、ハウジング11の内部空間に配置される。本体部2は、ファンユニット5を収容する。ファンユニット5は、本体部2の後部において2つのバッテリ装着部4の間に配置される。
【0025】
ファンユニット5は、ハウジング11の内部空間に配置されたケーシングと、ケーシングの内側に設けられた吸引ファンと、吸引ファンを回転させる動力を発生する吸引モータとを有する。ケーシングは、貯蔵部6を介して吸込口15と接続される吸気口と、吸引ファンの作動により吸引された気体の少なくとも一部を排出する排気口とを有する。
【0026】
ファンユニット5は、貯蔵部6を介して吸込口15から清掃対象面FLの塵埃を吸引する。貯蔵部6は、吸込口15から吸い込まれた塵埃を回収して貯蔵する。貯蔵部6は、ハウジング11の内部空間に配置される。本体部2は、貯蔵部6を収容する。貯蔵部6は、吸込口15とファンユニット5との間に配置される。
【0027】
キャスタ7及びローラ8のそれぞれは、本体部2を移動可能に支持する。キャスタ7及びローラ8のそれぞれは、本体部2に回転可能に支持される。キャスタ7は、底面2Bの後部に2つ設けられている。一方のキャスタ7は、本体部2の左部に設けられる。他方のキャスタ7は、本体部2の右部に設けられる。ローラ8は、底面2Bの前部に1つ設けられる。
【0028】
車輪9は、本体部2を移動可能に支持する。車輪9は、車輪モータ10の作動により回転する。車輪9が回転することにより、ロボット集塵機1は自走する。車輪9は、2つ設けられる。一方の車輪9は、本体部2の左部に設けられる。他方の車輪9は、本体部2の右部に設けられる。
【0029】
車輪モータ10は、車輪9を回転させる動力を発生する。車輪モータ10は、バッテリ3から供給される電力により作動する。車輪モータ10は、ハウジング11の内部空間に設けられる。車輪モータ10は、2つ設けられる。一方の車輪モータ10は、本体部2の左部に設けられている車輪9を回転させる動力を発生する。他方の車輪モータ10は、本体部2の右部に設けられている車輪9を回転させる動力を発生する。車輪モータ10の作動により、車輪9が回転する。車輪モータ10は、車輪9の回転方向を変更可能である。車輪9が一方向に回転することにより、ロボット集塵機1は前進する。車輪9が他方向に回転することにより、ロボット集塵機1は後進する。2つの車輪モータ10は、異なる作動量で作動可能である。2つの車輪モータ10が異なる作動量で作動することにより、ロボット集塵機1は旋回する。
【0030】
懸架装置30は、車輪9を上下方向に移動可能に支持する。また、懸架装置30は、中心軸AXを中心に車輪9を回転可能に支持する。中心軸AXは、左右方向に延在する。
【0031】
懸架装置30は、本体部2に連結される。懸架装置30の少なくとも一部は、ハウジング11の内部空間に配置される。車輪9は、懸架装置30を介して本体部2に支持される。懸架装置30は、車輪9の少なくとも一部が底面2Bから下方に突出するように、車輪9を支持する。車輪9が清掃対象面FLに設置された状態において、本体部2の底面2Bと清掃対象面FLとは、間隙を介して対向する。
【0032】
[懸架装置]
図3は、本実施形態に係る車輪9を支持する懸架装置30の一例を示す図である。
図3に示すように、懸架装置30は、中心軸AXを中心に車輪9を回転可能に支持する支持部材31と、車輪9を本体部2の底面2Bから突出させる付勢力Mを発生するために支持部材31に原動力Fを与える原動力発生機構32と、底面2Bからの車輪9の突出量Sに基づいて付勢力Mを調整する調整機構33とを有する。懸架装置30は、調整機構33で調整された付勢力Mを車輪9に与える。
【0033】
本実施形態において、原動力発生機構32は、ばね34を含む。ばね34は、コイルばねである。ばね34の一端部34Aは、本体部2に連結される。
図3に示す例では、ばね34の一端部34Aは、本体部2に設けられたフック部材2Pに連結される。
【0034】
懸架装置30は、中心軸AXと直交する面内において中心軸AXとは異なる位置に規定された回動軸PXを中心に支持部材31を回動可能に支持する支持部36を有する。中心軸AXは、左右方向に延在する。回動軸PXは、中心軸AXよりも前方に規定される。支持部36は、本体部2に固定されたピン部材を含む。支持部材31は、ピン部材を介して回動軸PXを中心に回動可能に本体部2に支持される。
【0035】
調整機構33は、ばね34の他端部34Bを移動可能にガイドするガイド部35を含む。ガイド部35は、支持部材31に設けられる。ばね34の他端部34Bは、支持部材31の回動により、ガイド部35を移動する。
【0036】
支持部材31は、左右方向に貫くガイド孔35Hを有する。ガイド部35は、ガイド孔35Hの内面を含む。ガイド部35は、平坦である。ガイド部35は、実質的に上下方向に長い。
【0037】
ばね34の他端部34Bは、連結部材38を介してローラ39と連結される。ばね34の一端部34Aは、他端部34Bよりも後方に配置される。ローラ39は、ガイド部35にガイドされる。ガイド部35とローラ39とは相対移動可能である。ローラ39は、ガイド部35を滑るように移動可能である。ローラ39がガイド部35にガイドされることによって、ばね34の他端部34Bがガイド部35にガイドされる。
【0038】
ローラ39は、ガイド孔35Hに配置される。ローラ39の右端部及び左端部のそれぞれにフランジが設けられる。フランジは、ガイド孔35Hの外側に配置され、支持部材31の側面と対向する。フランジと支持部材31の側面とが接触することにより、ローラ39がガイド孔35Hから外れてしまうことが抑制される。ガイド孔35Hの一部に凹部35Uが設けられる。凹部35Uの内径は、ローラ39のフランジの外径よりも大きい。ローラ39をガイド孔35Hに配置するとき、凹部35Uを介してローラ39がガイド孔35Hに配置される。連結部材38は、ローラ39の右端部及び左端部のそれぞれに連結される。
【0039】
ローラ39は、ガイド部35にガイドされながら、ガイド部35の下端部E1と上端部E2との間を移動可能である。ガイド部35は、下端部E1と上端部E2との間に設けられる。ローラ39がガイド部35の下端部E1と上端部E2との間を移動することにより、ばね34の他端部34Bが上下方向に移動する。ばね34の他端部34Bは、本体部2に対して上下方向に移動する。一方、ばね34の一端部34Aは、本体部2に固定される。ばね34の他端部34Bは、ガイド部35を移動する移動端であり、ばね34の一端部34Aは、固定端である。
【0040】
車輪モータ10は、支持部材31に支持される。支持部材31は、ガイド部35が設けられる第1部分31Aと、車輪モータ10を支持する第2部分31Bと、車輪9の周囲の一部に配置される第3部分31Cとを含む。ガイド部35は、回動軸PXよりも上方に設けられる。上下方向において、車輪モータ10は、ガイド部35と回動軸PXとの間に設けられる。車輪モータ10は、車輪9よりも前方に配置される。車輪モータ10で発生した動力は、動力伝達機構37を介して伝達される。動力伝達機構37は、車輪モータ10の出力シャフトと車輪9とを連結する複数のギアを含む。
【0041】
支持部材31は、回動軸PXを中心に回転可能に本体部2に支持される。回動軸PXは、ガイド部35よりも下方に配置される。回動軸PXを中心に支持部材31が回動することにより、本体部2に対して車輪9が上下方向に移動する。本体部2に対して車輪9が上下方向に移動することにより、底面2Bからの車輪9の突出量Sが変化する。
【0042】
懸架装置30は、車輪9が底面2Bから第1突出量S1で突出する第1突出位置P1と、第1突出量S1よりも大きい第2突出量S2で突出する第2突出位置P2との間で移動するように車輪9を支持する。第1突出位置P1は、車輪9の上下方向の可動範囲において底面2Bからの車輪9の突出量Sが最も小さくなる位置である。第2突出位置P2は、車輪9の上下方向の可動範囲において底面2Bからの車輪9の突出量Sが最も大きくなる位置である。
【0043】
車輪9と清掃対象面FLとが接触した状態で、車輪9が第1突出位置P1に配置されたとき、底面2Bと清掃対象面FLとの距離Gは最も短くなる。車輪9と清掃対象面FLとが接触した状態で、車輪9が第2突出位置P2に配置されたとき、底面2Bと清掃対象面FLとの距離Gは最も長くなる。
【0044】
支持部材31が回動軸PXを中心に回動すると、ローラ39とガイド部35とが相対移動する。ローラ39とガイド部35とが相対移動することにより、連結部材38を介してローラ39に連結されているばね34の他端部34Bは、ガイド部35と相対移動する。ばね34の他端部34Bの移動により、ばね34の他端部34Bと回動軸PXとの距離Lが変化する。
【0045】
回動軸PXと直交する面内において、回動軸PXとガイド部35の下端部E1との距離L1は、回動軸PXとガイド部35の上端部E2との距離L2よりも短い。すなわち、距離L2は、距離L1よりも長い。
【0046】
以下の説明においては、下端部E1の位置を適宜、第1ガイド位置E1、と称し、上端部E2の位置を適宜、第2ガイド位置E2、と称する。ばね34の他端部34Bは、回動軸PXと距離E1(第1距離)だけ離れた第1ガイド位置E1と、距離L1よりも長い距離L2(第2距離)だけ離れた第2ガイド位置E2との間を移動する。
【0047】
本実施形態において、原動力発生機構32が支持部材31に与える原動力Fは、ばね34が支持部材31を引っ張る弾性力である。ばね34は、回動軸PXを中心とする円の接線方向に支持部材31を引っ張る弾性力を発生する。以下の説明においては、原動力Fを適宜、弾性力F、と称する。
【0048】
ばね34の他端部34Bが第1ガイド位置E1に配置されている場合、ばね34は、弾性力F1を発生する。ばね34の他端部34Bが第2ガイド位置E2に配置されている場合、ばね34は、弾性力F2を発生する。弾性力F(F1,F2)は、ばね34の伸び量に比例する。
【0049】
本実施形態においては、ばね34の他端部34Bが第1ガイド位置E1に配置されているときのばね34の伸び量は、ばね34の他端部34Bが第2ガイド位置E2に配置されているときのばね34の伸び量よりも大きい。なお、ばね34の他端部34Bが第1ガイド位置E1に配置されているときのばね34の伸び量と、ばね34の他端部34Bが第2ガイド位置E2に配置されているときのばね34の伸び量とが等しくてもよい。
【0050】
図4及び
図5のそれぞれは、本実施形態に係る懸架装置30の動作の一例を示す図である。
図4は、車輪9が第1突出位置P1に配置されている状態を示す。
図5は、車輪9が第2突出位置P2に配置されている状態を示す。また、
図4(A)及び
図5(A)は、本体部2を含む図である。
図4(A)及び
図5(A)に示す本体部2は、本体部2の一部の部材を示す。
図4(B)及び
図5(B)は、本体部2が除かれた図である。
【0051】
図4に示すように、例えばロボット集塵機1が平坦な清掃対象面FLを自走するとき、本体部2の自重により支持部材31が回動軸PXを中心に回動してローラ39がガイド部35の第1ガイド位置E1に移動する。ローラ39が第1ガイド位置E1に移動したとき、上下方向における車輪9の可動範囲において、車輪9は第1突出位置P1に配置される。第1突出位置P1は、底面2Bからの車輪9の突出量Sが最も小さくなる車輪9の位置である。
【0052】
一方、
図5に示すように、例えばロボット集塵機1が清掃対象面Fの段差を乗り上げるとき、支持部材31が回動軸PXを中心に回動してローラ39が第2ガイド位置E2に移動する。ローラ39が第2ガイド位置E2に移動したとき、上下方向における車輪9の可動範囲において、車輪9は第2突出位置P2に配置される。第2突出位置P2は、底面2Bからの車輪9の突出量Sが最も大きくなる車輪9の位置である。
【0053】
ロボット集塵機1は、車輪9と清掃対象面FLとが接触した状態で車輪モータ10の作動により車輪9を回転させることによって、清掃対象面FLを自走する。ロボット集塵機1が平坦な清掃対象面FLを自走する場合、
図4に示すように、車輪9は第1突出位置P1に配置され、ローラ39は第1ガイド位置E1に配置され、底面2Bと清掃対象面FLとは距離G1だけ離れる。清掃対象面FLに段差があり、ロボット集塵機1が段差を乗り上げようとする場合、
図5に示すように、車輪9は第2突出位置P2に配置され、ローラ39は第2ガイド位置E2に配置され、底面2Bと清掃対象面FLとは距離G1よりも長い距離G2だけ離れる。すなわち、本体部2は清掃対象面FLから浮き上がる。
【0054】
ばね34は、車輪9を底面2Bから突出させる付勢力Mを発生するために支持部材31に弾性力Fを与える。弾性力Fは、車輪9を清掃対象面FLに押し付ける力である。
【0055】
ばね34は、回動軸PXを中心とする円の接線方向に支持部材31を引っ張るように弾性力Fを発生する。ばね34の他端部34Bが第1ガイド位置E1に配置されている場合、ばね34は、ばね34の伸び量に基づいて弾性力F1を発生する。ばね34の他端部34Bが第2ガイド位置E2に配置されている場合、ばね34は、ばね34の伸び量に基づいて弾性力F2を発生する。
【0056】
車輪9を底面2Bから突出させる付勢力Mは、支持部材31に与えられるばね34の弾性力Fと、ばね34の弾性力Fが支持部材31に作用する作用点と回動軸PXとの距離Lとの積によって規定される。すなわち、車輪9を底面2Bから突出させる付勢力Mは、ばね34の弾性力Fに基づいて回動軸PXを中心に支持部材31を回動させる力であるモーメントである。本実施形態において、ばね34の弾性力Fが支持部材31に作用する作用点は、ローラ39の位置である。
【0057】
ローラ39が第1ガイド位置E1に位置し、ローラ39と回動軸PXとが距離L1だけ離れている場合、付勢力M1は、距離L1と弾性力F1との積によって規定される。ローラ39が第2ガイド位置E2に位置し、ローラ39と回動軸PXとが距離L2だけ離れている場合、付勢力M2は、距離L2と弾性力F2との積によって規定される。
【0058】
すなわち、ロボット集塵機1が平坦な清掃対象面FLを自走する場合、車輪9に付勢力M1が与えられる。ロボット集塵機1が段差を乗り上げようとする場合、車輪9に付勢力M2が与えられる。このように、本実施形態においては、清掃対象面FLの状態に応じて付勢力Mが調整される。
【0059】
図6は、本実施形態に係る突出量Sに対する付勢力Mの変化特性の一例を示す図である。
図6に示すグラフにおいて、横軸は突出量Sを示し、縦軸は付勢力Mを示す。
図6のラインALで示すように、本実施形態において、調整機構33は、第2突出位置P2に配置されている第2突出量S2の車輪9に与える付勢力M2を、第1突出位置P1に配置されている第1突出量S1の車輪9に与える付勢力M1よりも大きくする。
【0060】
ロボット集塵機1が平坦な清掃対象面FLを自走する場合、車輪9に小さい付勢力M1が与えられる。付勢力M1が小さいため、底面2Bと清掃対象面FLとの距離G1は短くなる。これにより、本体部2が清掃対象面FLから浮き上がることが抑制され、ロボット集塵機1は安定して走行することができる。また、吸込口15と清掃対象面FLとの距離が短くなるため、メインブラシ16及びサイドブラシ18のそれぞれは、清掃対象面FLと十分に接触することができる。したがって、ロボット集塵機1は、清掃対象面FLを良好に清掃することができる。
【0061】
ロボット集塵機1が清掃対象面FLの段差を乗り上げる場合、車輪9に大きい付勢力M2が与えられる。付勢力Mは、車輪9を清掃対象面FLに押し付ける力である。車輪9に大きい付勢力M2が与えられることにより、車輪9は清掃対象面FLを十分にグリップすることができる。そのため、車輪9のスリップの発生が抑制される。
【0062】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、車輪9を支持する懸架装置30は、中心軸AXを中心に車輪9を回転可能に支持する支持部材31と、車輪9を本体部2の底面2Bから突出させる付勢力Mを発生するために支持部材31に原動力F(弾性力F)を与える原動力発生機構32と、底面2Bからの車輪9の突出量Sに基づいて付勢力Mを調整する調整機構33とを有する。これにより、清掃対象面FLの状態に応じて底面2Bからの車輪9の突出量Sが変化しても、底面2Bからの車輪9の突出量Sに基づいて付勢力Mが調整されることにより、懸架装置30は、車輪9に適正な付勢力を与えることができる。本実施形態においては、ロボット集塵機1が平坦な清掃対象面FLを自走する場合、車輪9に小さい付勢力M1が与えられる。そのため、ロボット集塵機1の本体部2が清掃対象面FLから浮き上がることが抑制され、ロボット集塵機1は安定して自走することができる。ロボット集塵機1が清掃対象面FLの段差を乗り上げる場合、車輪9に大きい付勢力M2が与えられる。そのため、車輪9は清掃対象面FLをしっかりとグリップすることができる。これにより、車輪9のスリップの発生が抑制される。
【0063】
また、本実施形態においては、原動力発生機構32は、一端部34Aが本体部2に連結され他端部34Bがガイド部35にガイドされるばね34を含む。底面2Bからの車輪9の突出量Sは支持部材31の回動により変化し、ばね34の他端部34Bは支持部材31の回動によりガイド部35を移動する。これにより、ばね34の他端部34Bと回動軸PXとの距離Lが変化する。距離Lが変化することにより、ばね34の弾性力Fと距離Lとの積によって規定される付勢力Mが調整される。
【0064】
例えば、支持部材31にガイド部35が設けられなく、支持部材31に対するばね34の他端部34Bの位置が固定されている場合、支持部材31が回動軸PXを中心に回動しても、ばね34の他端部34Bと回動軸PXとの距離Lは変化しない。支持部材31が回動して車輪9が第2突出位置P2に配置された場合、ばね34が縮んで弾性力F2が小さくなるものの、距離Lは長くならないので、付勢力Mは過度に小さくなる。その結果、ロボット集塵機1が清掃対象面FLの段差を乗り上げるとき、車輪9は清掃対象面FLをしっかりとグリップすることができず、スリップする可能性が高くなる。一方、弾性力Fが大きいばね34を採用した場合、車輪9に与えられる付勢力Mが大きくなるので、ロボット集塵機1が平坦な清掃対象面FLを自走する場合、本体部2が清掃対象面FLから浮き上がった状態で自走することとなる。この場合、ロボット集塵機1は安定して自走することが困難となる。
【0065】
本実施形態においては、底面2Bからの車輪9の突出量Sに基づいて、付勢力Mが適正に調整される。そのため、ロボット集塵機1は安定して自走することができる。
【0066】
また、本実施形態においては、ロボット集塵機1の電源として電動工具用のバッテリ3が使用される。そのため、作業現場で使用される装置毎に異なるバッテリ3を用意する必要がなくなり、コスト面及び管理の容易さにおいて有利である。
【0067】
また、本実施形態においては、ばね34の他端部34Bは、第1ガイド位置E1と第2ガイド位置E2との間を移動する。これにより、ばね34の他端部34Bの可動範囲が定められ、他端部34Bの可動範囲において適正な付勢力Mを得ることができる。
【0068】
なお、
図6のラインBLで示すように、調整機構33は、第1突出量S1の車輪9に与える付勢力M1と第2突出量S2の車輪9に与える付勢力M2との差を小さくしてもよい。すなわち、調整機構33は、付勢力M1と付勢力M2とが等しくなるように付勢力Mを調整してもよい。上述のように、付勢力Mは、弾性力Fと距離Lとの積によって規定される。付勢力M1(F1×L1)と付勢力M2(F2×L2)の差が小さくなるように、距離L1及び距離L2が定められたり、ばね34の伸び量に基づいて変化する弾性力F1及び弾性力F2が定められたりしてもよい。距離L(L1,L2)及び弾性力F(F1,F2)は、例えばガイド部35の傾斜角度又は長さを含むガイド部35の構造を調整することにより調整可能である。
【0069】
すなわち、ガイド部35の構造などを調整することによって、底面2Bからの車輪9の突出量Sに対する付勢力Mの変化特性を任意に設定することができる。例えば、ロボット集塵機1に装着されるバッテリ3の数又は重量に基づいて、適正な付勢力Mが得られるように、ガイド部35の構造などが調整されてもよい。
【0070】
なお、上述の実施形態においては、支持部材31の回動によりばね34の他端部34Bがガイド部35を移動することによって付勢力Mが調整されることとした。調整機構33がアクチュエータを有し、アクチュエータの作動により底面2Bからの車輪9の突出量Sに対して適正な変化特性の付勢力Mを車輪9に与えてもよい。例えば、本体部2に支持されているアクチュエータが支持部材31に原動力を与えてもよい。アクチュエータが発生する原動力が調整されることにより、付勢力Mの変化特性が調整される。
【0071】
なお、上述の実施形態においては、自走式機器1がロボット集塵機であることとしたが、ロボット集塵機に限定されない。自走式機器1として、例えば、ロボット芝刈り機、ロボットゴミ掻き取り機、及びロボット運搬車の少なくとも一つが例示される。これらの自走式機器1も、作業対象面を走行しながら所定の作業を実施することができる。ロボット芝刈り機は、作業対象面である芝生を自走しながら芝刈り作業を実施する。ロボットゴミ掻き取り機は、作業対象面を自走しながらゴミ掻き取り作業を実施する。ロボット運搬車は、作業対象面である走行面を自走しながら運搬作業を実施する。これらの自走式機器1に上述の懸架装置30が設けられることにより、自走式機器1は、作業対象面を安定して自走することができる。