(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931311
(24)【登録日】2021年8月17日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】異方性導電膜またはペーストを用いて高さの異なる複数のチップを可撓性基板上に同時に接着する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20210823BHJP
C09J 9/02 20060101ALI20210823BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20210823BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20210823BHJP
C09J 5/06 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L21/60 311T
C09J9/02
C09J11/04
C09J201/00
C09J5/06
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-193915(P2017-193915)
(22)【出願日】2017年10月4日
(65)【公開番号】特開2018-74148(P2018-74148A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2020年10月2日
(31)【優先権主張番号】15/332,326
(32)【優先日】2016年10月24日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・エス・クルソー
(72)【発明者】
【氏名】ピン・メイ
【審査官】
小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0282355(US,A1)
【文献】
特開2013−084790(JP,A)
【文献】
特開2002−110744(JP,A)
【文献】
特開2007−189100(JP,A)
【文献】
特開2003−077953(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/109718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
C09J 5/06
C09J 9/02
C09J 11/04
C09J 201/00
H01L 21/603
H01L 21/56
H01L 21/44
H05K 3/32
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる高さ断面を有する複数の半導体チップをほぼ同時に可撓性基板上に接着する方法であって、
プリント導電トレースを有する可撓性基板を設けるステップと、
前記可撓性基板の前記プリント導電トレースの少なくとも一部を覆って異方性導電接着剤(ACA)を塗布するステップであって、前記ACAには、熱硬化性接着剤と導電性球状要素が含まれる、ステップと、
加熱機構及び加圧機構を用いることによって、所定の時間、熱と圧力をかけることにより、前記ACAを所定の位置で留めるステップと、
配置機構及び方向付け機構を用いることによって、複数の半導体チップのそれぞれの第1の面を前記ACAの下の前記可撓性基板の前記プリント導電トレースの選択位置に合わせて配置し、方向付けをするステップであって、前記複数の半導体チップのうちの少なくとも1つは、複数の半導体チップの少なくとも1つのその他のものとは異なる高さ断面を有する、ステップと、
硬化機構を用いることによって、熱と圧力をかけることにより、前記ACAの前記熱硬化性接着剤を硬化させるステップであって、前記圧力は複数の半導体チップのそれぞれの第2の面にかけられ、前記圧力をかけることにより、前記ACAの前記導電性球状要素が押し込まれ変形し、前記半導体チップと前記プリント導電トレースの少なくとも一部との間で電気接触が確立される、ステップと、
を含み、
前記圧力をかけるステップには、(i)互いに間隔を開けて配置された複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)前記ピンの第1の端に隣接して配置される変形可能な弾性プラグであって、前記ピンの第2の端が複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される弾性プラグと、(iii)前記ピンを移動させて、前記複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に接触させる加圧器であって、前記ピンが前記半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が前記弾性プラグを変形させる加圧器と、を有する加圧装置を用いることが含まれる方法。
【請求項2】
複数の半導体チップのそれぞれの前記第1の面の反対側の複数の半導体チップのそれぞれの前記第2の面に圧力をかける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の半導体チップを接着する半導体チップ接着装置であって、前記半導体チップのうちの少なくとも1つが、複数の半導体チップのうちの少なくとも1つのその他のものとは異なる高さ断面を有する、半導体チップ接着装置であって、
プリント導電トレースを有する可撓性基板を保持するよう構成される加熱要素であって、前記プリント導電トレースが、異方性導電接着剤に少なくとも部分的に覆われる、加熱要素と、
複数の半導体チップのそれぞれの第1の面を前記可撓性基板の選択される部分に配置するよう構成される半導体チップ・ピックアンドプレイス装置であって、前記プリント導電トレースと関連する所望のやり方で前記半導体チップを配置するようようさらに構成される半導体チップ・ピックアンドプレイス装置と、
半導体チップ係合機構を含む加圧機構であって、前記加圧機構は、前記半導体チップ係合機構が前記可撓性基板に位置する前記半導体チップのそれぞれの第2の面と十分に係合可能な動作位置に配置され、前記半導体チップのうちの少なくとも1つが、複数の半導体チップのうちの少なくとも1つのその他のものとは異なる高さ断面を有する、加圧機構と、
を含み、
前記半導体チップ係合機構が、(i)互いに間隔を開けて配置された複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)前記ピンの第1の端に隣接して配置される拡張可能な弾性薄膜であって、前記ピンの第2の端が複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される弾性薄膜と、(iii)前記ピンを、前記複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に向けて、あるいは、接触させるように、移動させる加圧器であって、前記ピンが前記半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が前記拡張可能な弾性薄膜を拡張させるよう、前記拡張可能な弾性薄膜が構成される加圧器とを含む半導体チップ接着装置。
【請求項4】
前記半導体チップ係合機構は、変形可能接着ヘッドであり、異なる高さの前記半導体チップにより、異なる圧縮量だけ、前記変形可能接着ヘッドが変形する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記変形可能接着ヘッドと前記可撓性基板との間には平行関係が存在する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記加圧機構が、ガスシリンダ機構と油圧機構のうちの少なくとも一方を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
異なる高さの複数の半導体チップを可撓性基板上に接着するシステムであって、
プリント導電トレースを有する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記プリント導電トレースの少なくとも一部を覆って塗布される異方性導電接着剤(ACA)であって、前記ACAは、熱硬化性接着剤および導電性球状要素を含む、異方性導電接着剤(ACA)と、
加熱機構と、
加圧機構であって、所定の時間の前記加熱機構による加熱と前記加圧機構による加圧とを行うことにより、前記ACAが所定の位置で留まる、加圧機構と、
複数の半導体チップのそれぞれの少なくとも1つの第1の面を保持して、前記保持された半導体チップを下に位置する前記可撓性基板のプリント導電トレースの選択位置に合わせて配置する配置および方向付け機構と、
熱と圧力をかけることにより、前記ACAの前記熱硬化性接着剤を硬化させる硬化機構であって、前記圧力が、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面にかけられ、前記圧力をかけることにより、前記ACAの前記導電性球状要素がほぼ同時に押し込まれ変形し、前記半導体チップと前記プリント導電トレースの少なくとも一部との間に電気接触が確立される、硬化機構と、
を含み、
前記硬化機構が、(i)互いに間隔を開けて配置された複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)前記ピンの第1の端に隣接して配置される変形可能な弾性プラグであって、前記ピンの第2の端が複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される弾性プラグとを含み、
前記加圧機構が、前記ピンを、前記複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に接触させるように移動させるよう構成され、
前記硬化機構が、前記ピンが前記半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が前記弾性プラグを変形させるよう構成されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品のパッケージングに関し、より具体的には、半導体チップを可撓性基板上に接着することに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性ハイブリッド電子機器は、高い精度のデジタル印刷技術を用いて低コストの可撓性基板にパッケージング電子部品を統合し、費用効率の良い、大領域の製造技術を提供する一方で、従来の集積回路と同様の複雑な機能と処理能力が提供されている。可撓性基板上に半導体チップを取り付けるために様々な技術が開発されている。この処理では、半導体チップは基板上の導電トレースに別々に取り付けられる、あるいは、接着される。接着装置はメタルサーモードやホットバーから構成され、これらが熱と圧力を加えて単一の半導体チップを接着する。しかし、この技術では、一回の取付け動作または接着動作で、あらゆる高さの複数のチップを密集させて取り付ける、すなわち、接着させることはできない。すなわち、取付け動作または接着動作は、ほぼ同時には行われない。このような制約により、半導体チップの取付けステップまたは接着ステップに関する処理能力が抑えられている。さらに、隣接する半導体チップを次に取付ける、あるいは、接着するとき、使用されている熱に敏感なポリマー基板が変形してしまう恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、高さが異なる半導体チップをほぼ同時に密集させて取り付けることが容易にできる方法、システム、および装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願では、可撓性基板上に異なる高さ断面の複数の半導体チップを同時に接着する方法およびシステムが提供される。この方法では、プリント導電トレースを有する可撓性基板を設ける。熱硬化性接着剤と導電性球状要素を含む異方性導電接着剤(ACA)を可撓性基板上のプリント導電トレースの少なくとも一部を覆って配置する。次に、所定の時間、熱と圧力をかけることにより、ACAを所定の位置で留める。その後、複数の半導体チップのそれぞれの第1の面をACAの下の可撓性基板のプリント導電トレースの選択位置に合わせて配置する。複数の半導体チップのうちの少なくとも1つは、複数の半導体チップのうちの少なくとも1つその他のものとは異なる高さ断面を有する。次に、熱と圧力を加えることにより、ACAの熱硬化性接着剤を硬化させる。複数の半導体チップのそれぞれの第2の面にも圧力をかけ、圧力をかけることで、ACAの導電性球状要素が押し込まれ変形し、半導体チップとプリント導電トレースの少なくとも一部との間で電気接触が確立される。
【0005】
別の様態では、複数の半導体チップのそれぞれの第1の面の反対側の複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に圧力をかける。
【0006】
別の様態では、圧力をかけるステップには、変形可能接着ヘッドを有する加圧装置を用いて、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に圧力をかけることが含まれ、加圧装置の変形可能接着ヘッドが、異なる高さの半導体チップにより、異なる圧縮量だけ変形する。
【0007】
別の様態では、この変形可能接着ヘッドは、要求される接着温度に耐えることができ、半導体チップの断面形状と一致するための硬度を有するゴムまたはその他の適合材料である。
【0008】
別の様態では、この変形可能接着ヘッドは、ガスシリンダ機構と油圧機構のうちの少なくとも一方により動く。
【0009】
別の様態では、圧力をかけるステップには、拡張可能な弾性薄膜を有する加圧装置を用いて、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に圧力をかけることが含まれ、拡張可能な弾性薄膜が、接着された高さの異なる半導体チップの断面形状と一致する。
【0010】
別の様態では、圧力をかけるステップには、(i)互いに間隔を開けて配置される複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)これらのピンの第1の端に隣接して配置される変形可能弾性材料であって、これらのピンの第2の端が複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される弾性材料と、(iii)それらのピンを移動させて複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に接触させる加圧器であって、これらのピンが半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が弾性プラグを変形させる加圧器と、を有する加圧装置を用いることが含まれる。
【0011】
別の様態では、圧力をかけるステップには、(i)互いに間隔を開けて配置された複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)これらのピンの第1の端に隣接して配置される変形可能な弾性薄膜であって、これらのピンの第2の端が複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される弾性薄膜と、(iii)それらのピンを移動させて、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に接触させる加圧器であって、これらのピンが半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が拡張可能な弾性薄膜を変形させる加圧器と、を有する加圧装置を用いることが含まれる。
【0012】
本出願では、複数の半導体チップを接着する半導体チップ接着装置も開示され、接着される複数の半導体チップのうちの少なくとも1つは、複数の半導体チップの少なくとも1つのその他のものとは異なる高さ断面を有する。この装置は、プリント導電トレースを有する可撓性基板を保持するよう構成される加熱要素を含み、このプリント導電トレースが異方性導電接着剤に少なくとも部分的に覆われる。半導体チップ・ピックアンドプレイス装置を用いて、複数の半導体チップのそれぞれの第1の面を可撓性基板の選択部分に配置し、この半導体チップ・ピックアンドプレイス装置が、プリント導電トレースと関連して所望のやり方で半導体チップを配置するようさらに構成される。加圧機構は半導体チップ係合機構を含み、この加圧機構が、半導体チップ係合機構が可撓性基板上に位置する半導体チップのそれぞれの第2の面と十分に係合可能な動作位置に配置され、これらの半導体チップのうちの少なくとも1つが、複数の半導体チップの少なくとも1つのその他のものとは異なる高さ断面を有する。
【0013】
別の様態では、半導体チップ係合要素は、変形可能接着ヘッドであり、この変形可能接着ヘッドは、異なる高さの半導体チップにより、異なる圧縮量だけ、変形する。
【0014】
別の様態では、変形可能接着ヘッドと可撓性基板の間には平行関係が存在する(すなわち、互いに平行である)。
【0015】
別の様態では、この加圧機構は、ガスシリンダ機構と油圧機構のうちの少なくとも一方を含む。
【0016】
別の様態では、半導体チップ係合要素は拡張可能な弾性薄膜であり、この薄膜にガスの圧力がかけられて、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に圧力が加わり、拡張可能な弾性薄膜が、異なる高さの半導体チップの断面形状と一致する。
【0017】
別の様態では、この半導体チップ係合要素は、(i)互いに間隔を開けて配置された複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)これらのピンの第1の端に隣接して配置される変形可能な接着ヘッドであって、これらのピンの第2の端が、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される接着ヘッドと、(iii)それらのピンを移動させて、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に接触させる加圧器であって、これらのピンが半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が接着ヘッドを変形させる、加圧器と、を含む。
【0018】
別の様態では、この半導体チップ係合要素が、(i)互いに間隔を開けて配置された複数の移動可能ピンであって、それぞれが第1の端と第2の端を有するピンを有するピンスクリーンと、(ii)これらのピンの第1の端に隣接して配置される変形可能な弾性薄膜であって、これらのピンの第2の端が複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に隣接して、あるいは、接触して配置される弾性薄膜と、(iii)それらのピンを移動させて、複数の半導体チップのそれぞれの第2の面に接触させる加圧器であって、これらのピンが半導体チップのそれぞれの第2の面に接触すると、対応するピンの第1の端が拡張可能な弾性薄膜を変形させる加圧器と、を含む。
【0019】
別の様態では、半導体チップ係合機構の表面にフッ化ポリマー膜を塗布して、接着ヘッドが半導体チップに張り付くことを防ぐ。
【0020】
別の様態では、複数の半導体チップのうちの少なくとも2つの間の断面形状の最小の高さ差は0.5mmである。
【0021】
別の様態では、複数の半導体チップのうちの少なくとも2つの間の断面形状の最小の高さ差は1.0mmである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1Aは、プリント導電トレースを有する可撓性基板の側面図および上面図である。
【
図1B】
図1Bは、少なくともその上に覆って異方性導電接着剤が塗られた導電トレースを有する基板の側面図および上面図である。
【
図1C】
図1Cは、可撓性基板にかけられる、加圧および加熱要素の側面図および上面図である。
【
図1D】
図1Dは、導電トレースの経路がACAに取り付けられた、可撓性基板の側面図および上面図である。
【
図1E】
図1Eは、本出願の可撓性基板上に半導体チップを配置する様子を示す側面図および上面図である。
【
図2】
図2は、本出願に従った、取付けまたは接着装置の第1の実施形態を示す図である。
【
図3】
図3は、複数のチップの取付けまたは接着装置の別の設計を示す図である。
【
図4】
図4は、取付けまたは接着装置の別の実施形態を示す図である。
【
図5】
図5は、取付けまたは接着装置の別の実施形態を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、本出願の同時接着動作により接着された個別の高さの構成部品を有する異なる2つの半導体チップを示す図である。
【
図6B】
図6Bは、本出願に従って、非常に密集して並んで取り付けられた2つの抵抗を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示では、複数の異なる高さの半導体チップを非常に密集させて取付ける、あるいは、接着することを容易にする方法、システム、および装置が提供され、取付けまたは接着はほぼ同時に行われる。
【0024】
熱的な理由と力学的な理由から、はんだ接着やワイヤ接着などの従来のシリコンによる取付け方法は、ハイブリッド電子機器を可撓性基板にパッキングするのに適しているとは考えられない。こういった事情から、異方性導電接着剤(ACA:Anisotropic Conductive Adhesive)を用いて可撓性基板上にチップを取り付けるために様々なパッケージング技術が開発されており、このACAは、異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などの複数の形態で具体化することができるが、これらには限定されない。ACA(ACFおよび/またはACPなどの形態で)を用いて、取付けまたは接着がほぼ同時に完了するよう、複数の異なる高さを有する半導体チップを、一度の取付け動作または接着動作で密集させて、取り付ける、あるいは、接着することは、現在に至るまで実現できないと考えられてきた。
【0025】
次に、本開示の取付け動作または接着動作をより詳細に説明する。まず、
図1Aには、可撓性基板100の上面図と側面図が示されており、この可撓性基板は、上面100Aと底面100Bを有し、プリント技術を用いて塗布される導電トレース102を含む。導電トレースを得るためにこれ以外の技術を用いることも可能であることは理解されよう。さらに、議論の都合上、この
図1A可撓性基板と導電トレースは簡易的に示されているが、当技術分野では既知のより複雑な設計およびレイアウトも適用可能であることは理解されよう。
【0026】
続いて、
図1Bの上面図と側面図に示される通り、異方性導電接着剤(ACA)104が設けられ、プリント導電トレース102の少なくともいくつかが覆われる。特定の実施形態では、異方性導電接着剤(ACA)は、異方性導電膜(ACF)または異方性導電ペースト(ACP)の形態をとる。ACAの塗付は、その形態に関わらず、接着剤ディスペンサ106により行われるが、この接着剤ディスペンサは膜ディスペンサ、ペーストディスペンサ、またはその他の好適な供給構成であると理解されたい。
【0027】
次に、
図1Cの上面図と側面図を参照すると、加熱/圧力要素108で圧力と熱を加えることにより、ACA(例えば、ある実施形態ではテープ)が所定の場所に取り付けられる。特定の実施形態では、要素108はサーモードまたはホットバーである。
図1Cでは、要素108は矢印110の方向に移動するよう構成され、可撓性基板100の面100Aまで下がり、その面上の材料に接触することができる。例えば、数秒(ある実施形態では1〜3秒、3〜5秒が一般的)の所定の時間だけ熱と圧力を加えて、異方性導電接着剤を取付け状態にする。要素108の下方からの図である
図1Cの底面図には、要素102、104が点線で示されている。
【0028】
異方性導電接着剤が異方性導電テープ(ACT)の形態をとる場合、その外側の面には、通常、接着しないライナが用いられる。接着動作が終了した後、このライナを取り除くことができる。
【0029】
次に、
図1Dの上面図と側面図を参照すると、導電トレース102が粘着状態104Aの異方性導電接着剤(ACA)104により覆われた状態の可撓性基板100が示されている。
【0030】
次に、
図1Eの上面図と側面図に注目すると、半導体チップ・ピックアンドプレイス装置112が、複数の半導体チップ116Aおよび116Bを有する半導体チップ保持領域114と協力して動作する様子が示されている。このピックアンドプレイス装置112は、1つ以上の半導体チップ116を選択し、次いで、選択されたチップを可撓性基板100まで移動させる。これらの半導体チップ116Aおよび116Bは、ピックアンドプレイス装置112により、位置を合わせて配置され、方向付けされる、すなわち、導電プリントトレース102の選択領域に適切に配置され、これらのトレースは粘着性の異方性導電接着剤104Aに覆われる。
【0031】
より具体的には、
図1Eに関連すると、運搬要素112Aが2つの半導体チップ116Aおよび116Bを運んでいる状態のピックアンドプレイス装置112が示されており、これらの半導体チップ116A、116Bは、粘着状態のACAに覆われた導電トレースのブリッジ領域(図示せず)に配置されるよう位置決めされる。
図1Eには、異なる高さ断面を有する半導体チップ116Aおよび116Bが示されている。
【0032】
なお、
図1Eの図では、ピックアンドプレイス装置が2つの半導体チップを同時に配置する様子が示されているが、特定の実施形態では、1度に単一の半導体チップしか選択し配置しないものもある。その一方で、他実施形態では、複数の半導体チップを同時に選択し配置する。可撓性基板に取り付けるために複数のピックアンドプレイス装置を用いることも一般的であることは理解されよう。
【0033】
この時点で、明確に異なる高さ断面を有する半導体チップ116A、116Bが、可撓性基板100の上面100A上に配置される様子が示されている。従来の処理およびシステムでは、こういった半導体チップの取付け、および/または、接着は、高さが違うために1度に1回ずつしか行われず、したがって、取付け動作または接着動作は、ほぼ同時には行われず、パッキング動作は遅かった。
【0034】
図2を参照すると、高さが異なる複数のチップを密集させて接着するよう設計された取付けまたは接着装置200の側面図が示されている。この装置200は先に示された機構と伴に使用されている様子が示されており、この機構が、(粘着状態104Aの)ACA104(例えば、特定の実施形態では、ACFおよび/またはACPである)に覆われる導電トレース102を有する可撓性基板100を含み、異なる高さの半導体チップ116A、116Bを運ぶ。装置200に注目すると、この機構の動作では、可撓性基板100の底面100Bに隣接して配置されるヒータ(例えば、加熱プラテン)202を用いる。この取付けまたは接着装置200は、支持部材204をさらに含み、この支持部材に、接着ヘッド206(本明細書では、ゴムまたはその他のポリマーの適合プラグとも呼ばれる)が取り付けられる。移動要素208(ガス(例えば、空気)シリンダ機構、油圧機構、またはその他の好適な移動機構の形態でよい)が、支持部材204、および、それに伴い接着ヘッド206を動かして、半導体チップ116Aの上面116A(I)を半導体チップ116Bの上面116B(I)に係合させるための動作位置に配置されている。移動要素208が起動し、支持部材204と接着ヘッド206を動かして、この接着ヘッドを半導体チップ116A、116Bと接触させると、加熱プラテン202からの熱と、取付けまたは接着装置200の上部からの圧力により熱と圧力が加えられ、これにより、ACAの熱硬化性接着剤が硬化され、それと同時に、球状要素(導電ボール)に圧力をかけて変形させ、ほぼ同じ時間で熱硬化性接着剤の硬化が行われる。
【0035】
これらのほぼ同時に行われる、すなわち、重なって行われる動作により、球状要素に圧力をかけ変形させ、Z方向(すなわち、導電トレース102と半導体チップ116Aおよび116Bの間)に電気接触を実現することができる。
図2で見られる通り、可撓性基板100と接着ヘッド206の間には、強い平行関係が存在する。半導体チップに均等な量の圧力をかけるために、このことが重要である。
【0036】
移動要素208(すなわち、空気シリンダまたは油圧シリンダの形態)に関する好適な力係数により、半導体チップにかける非常に大きな力を実現するための標準レベルの空気圧および/または油圧を使用することができる。この力係数は、接着される半導体チップの全領域にかけられる必要のある圧力に依存し、その半導体チップの全領域に比例する。通常の上段レベルで有用な空気圧は、約80psiである。実験では、3の力係数(240psiの最大圧力をかけることができる)を有する空気シリンダが使用された。大量のチップを接着させる場合、この力係数は増加し得る。
【0037】
特定の実施形態では、接着ヘッド206の表面にフッ化ポリマー膜210を塗布して、圧力が取り除かれる際に、半導体チップ116A、116Bが接着ヘッド206にくっ付いてしまうのを抑える、あるいは防ぐ。
【0038】
図2の粘着性ACA104Aが、トレース102間の隙間を横切って延在して示されていることは理解されよう。これにより、厚さが十分な剛性を有しているどうかが問題となる。他の実施形態では、半導体チップが粘着性ACAにより包含されるが、隙間の領域は包含されない(同様のコンセプトは
図3、
図4、および
図5でも好適である)。
【0039】
引き続き
図2を参照すると、取付けまたは接着装置200の特定様態では、接着ヘッド206が適合可能で、下降圧力がかけられると、変形し上面116A、116Bと一致可能である。
図2でこれを見ることができ、半導体チップ116Aが、半導体チップ116Aより低い高さ断面を有する半導体チップ116Bよりも大きな度合で接着ヘッドを変形させる。
【0040】
任意の特定の材料には限定されないが、一実施形態では、接着ヘッド206(すなわち、適合プラグ)としてネオプレンのゴムを使用することができる。ネオプレンのゴムに関連して、特定の実施形態では、40Aの硬度の材料が現状の動作に適していることが分かった。接着される半導体チップの高さの差が大きい場合、より柔らかいゴムの方がより適している傾向にある。高さの差が十分に大きな場合、各チップを覆うゴムの圧縮量が異なるため、異なる高さのチップにかけられる圧縮力に著しい差が生じる。
【0041】
図3を参照すると、別の複数の半導体チップの取付けまたは接着装置300が示されている。可撓性基板100上の材料は、
図2に関連して議論した材料、および動作的に加熱プラテン202に関連する可撓性基板100と同様であるが、半導体チップ116Aおよび116Bの上部に関する圧力供給機構異なる方式で実装される。より具体的には、支持部材302A、302Bが、拡張可能な弾性薄膜304を保持し、特定の実施形態では、この弾性薄膜は、約1/8インチの厚さでよいが、これには限定されない。
【0042】
取付けまたは接着装置300には、
図2に関連して議論されたものと同様の移動要素306も示されている。しかし、圧力は非可撓性支持部材または担体(例えば、
図2の204)よりもむしろ拡張可能な弾性薄膜304にかけられるため、実際の実装形態では若干異なる可能性がある。
【0043】
拡張可能な弾性薄膜304を動かすための機構は、ガス(例えば、空気)シリンダ機構、油圧機構、またはその他の好適な駆動機構でよい。より具体的には、この駆動力(ガス圧力または流体圧力)を拡張可能な弾性薄膜304に直接かけ、この駆動力により、薄膜が下に押し込まれ、取り付けられる、あるいは、接着される半導体チップの断面形状と一致する。
図2のコンセプトと同様に、半導体チップ106Aがより高いと、拡張可能な弾性薄膜304の下方への移動がより妨げられる。しかし、各半導体チップは拡張可能な弾性薄膜304と係合する。この機構により、可撓性基板100に熱と圧力が加えられ、それにより、可撓性基板100が半導体チップ116Aおよび116Bを取付ける、あるいは、接着する。
【0044】
図4を参照すると、取付けまたは接着装置400のさらに別の実施形態が示されている。この実施形態では、可撓性基板100および先に議論された関連要素(例えば、導電トレース102、粘着性ACA104A、半導体チップ116A、116B)は、先の議論の通り設けられる。同様に、先の実施形態の加熱プラテンなどの加熱プラテン202も設けられる。取付けまたは接着装置400の際立った特徴は、複数のピン使用していることであり、これらのピンは、特に、ピン402の端402Aに圧力がかけられると、前後に横切って移動できるよう、支持構造体(例えば、ピンスクリーン)404内に保持される。すなわち、ピンの端402Aに圧力がかけられると、それらのピンがその圧力の反対側に移動する。これらのピンは、ほぼ等間隔で配置されるが、特定の実施形態では、所望した場合、異なる構成でピンを集めることも可能である。ピン402の反対側の端402Bでは、弾性プラグ406が設けられる(特定の実施形態では、ゴムまたはその他のポリマーで作られた)。
【0045】
これらの構成要素は、移動可能な運搬機構408内で構成される。運搬機構408が半導体チップ116A、116Bの上面に向かって下方に移動すると、ピンの端402Aが半導体チップ116A、116Bの上面に接触する。これにより、ピン402は弾性プラグ406へ押し戻される。ヒータ(例えば、加熱プラテン)202により加熱されると、半導体チップ116Aおよび116Bの高さ断面が異なったとしても、これらのチップの接着がほぼ同時に行われるのに十分な圧力が半導体チップ116A、116Bの上面にかかるよう、弾性プラグ406の変形性および強度は選択される。
【0046】
図5を参照すると、ピンスクリーンタイプの構造を用いた、さらに別の実施形態が示されている。再度、取付けまたは接着装置500は、先に議論した撓性基板100、導電トレース102、粘着性ACA104A、および半導体チップ116A、116Bと伴に動作するよう同様に構成される。再度、加熱プラテン202が、可撓性基板100の底面上に設けられる。この設計では、
図4の弾性プラグすなわち接着ヘッド406に代わり、端504A、504Bで固定された弾性薄膜502が設けられる。再度、ピン506が、保持領域508内で固定的に移動可能になるよう構成されており、ピン506の先端506Aにかけられる圧力による動きを変換することができる。この実施形態では、ガス(例えば、空気)、油圧またはその他の好適な圧力510の供給源が薄膜502の一方の面に設けられる。圧力(例えば、先の実施形態に関連して同様に議論されたように)をかけて、薄膜を下方向に移動させ(例えば、矢印512により)、これらのピンが半導体チップ116A、116Bの上面と接触し、取付け処理または接着処理が同時に行うのに十分な圧力と熱が供給されるよう、薄膜502により半導体チップ116A、116Bに圧力がかけられる。
【0047】
図6Aを参照すると、例えば、1.75mmの半導体チップ602と0.6mmの半導体チップ604の2つの異なる高さの構成要素を有する2つの半導体チップ(例えば、抵抗)が示されている。これらのチップは、先の例で議論した通りにACFを使用して導電トレースに接着されたものである。すなわち、これらのチップは、著しく異なる高さ構成要素を有しているが、同時接着動作で接着されたものである。
【0048】
図6Bには、本出願のコンセプトを用いて、非常に密集して極めて接近した構成で隣どうしに接着された2つの抵抗610、612が示されている。故意に異なる明確な高さ断面を有する半導体チップを取り付けるためにほぼ同時に接着を可能にする方法および処理ならびにシステムおよび装置を本出願は教示していることは理解されよう。これは可撓性基板上にハイブリッド電子機器をパッキングするのに特に適した様態である。