特許第6946851号(P6946851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6946851
(24)【登録日】2021年9月21日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20210930BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   B60C11/13 C
   B60C11/03 300C
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-158165(P2017-158165)
(22)【出願日】2017年8月18日
(65)【公開番号】特開2019-34672(P2019-34672A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】星野 隆文
(72)【発明者】
【氏名】目黒 佑弥
【審査官】 橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260395(JP,A)
【文献】 特開2006−192959(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0053146(KR,A)
【文献】 特開2007−112421(JP,A)
【文献】 米国特許第05361815(US,A)
【文献】 特開2015−016853(JP,A)
【文献】 特開2013−032068(JP,A)
【文献】 特開2002−234313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/13
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、タイヤ軸方向に延びる横溝と、前記横溝を介してタイヤ周方向で隣合う一対のブロックとが設けられたタイヤであって、
前記横溝には、溝底が隆起した第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、前記一対のブロック同士を連結する少なくとも一つのタイバー部と、前記各ブロックと接することなく前記タイバー部から前記横溝の長手方向に延びる細リブ部とを含み、
前記横溝は、タイヤ軸方向にのびる軸方向部と、前記軸方向部よりもタイヤ軸方向に対して大きな角度αでのびる傾斜部とを含み、
前記傾斜部は、前記第2傾斜部を含み、
前記軸方向部は、前記第2傾斜部のタイヤ軸方向の両側に繋がる第2軸方向部と第3軸方向部とを含み、
前記第1突起部は、二つの前記タイバー部を含み、
前記二つのタイバー部は、前記第2軸方向部と前記第3軸方向部とに設けられる、
タイヤ。
【請求項2】
前記タイバー部の前記横溝の長手方向に沿った幅は、前記細リブ部の前記長手方向と直交する向きのリブ幅よりも大きい請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記細リブ部は、前記タイバー部のタイヤ周方向の中央部に連結されている請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1突起部は、二つの前記タイバー部と、前記タイバー部間を連結する一つの前記細リブ部とを含む請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
前記細リブ部は、ジグザグ状に延びる請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1突起部の前記溝底からの高さは、前記横溝の前記溝底からの最大深さの20%〜50%である請求項1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項7】
前記タイバー部の体積と前記細リブ部の体積との和は、前記タイバー部の体積と前記細リブ部の体積と前記横溝の溝容積との和の10%〜25%である請求項1ないし6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
前記細リブ部の前記長手方向と直角な断面において、前記細リブ部は、前記溝底からタイヤ半径方向外側へテーパ状に延びる一対の壁面部を有する請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項9】
前記横溝には、前記第1突起部から離れた位置に、前記溝底が隆起した第2突起部が設けられており、
前記第2突起部は、前記一対のブロック同士を連結する一つのタイバー部のみで構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項10】
前記第2突起部は、前記第1突起部よりもタイヤ赤道側に配される請求項9記載のタイヤ。
【請求項11】
前記第2傾斜部、前記第2軸方向部及び前記第3軸方向部は、タイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜している請求項1ないし10のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関し、詳しくは、トレッド部に、横溝とブロックとが設けられたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのトレッド部には、通常、周方向溝、横溝、及び、これらの溝によって区分されたブロックが設けられている。このようなタイヤで舗装されていない砂利道を走行した場合、小石が溝の中に挟まりそのまま残るいわゆる石噛みが生じることがある。石噛みが生じたままタイヤを走行させると、挟まった石が、溝を反復的に押し広げる。また、溝に挟まった石がさらに押し込まれ、溝底へ到達する場合がある。これらの作用により、石噛みは、溝底でのクラックを引き起こすという問題があった。
【0003】
従来、石噛みを防止するために、溝内に、溝底の一部を隆起させた小幅の突起物を設けることが、例えば、下記特許文献1ないし2で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29218号公報
【特許文献2】特開2008−87628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような突起物は、溝幅方向に倒れやすく構成されていたため、小石が、突起物と溝壁面との間に挟み込まれるという新たな問題があった。そして、そのような状態でタイヤが走行し続けると、突起物がトレッド部から欠け、ひいては、石噛みを防止することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出されたもので、石噛みを長期に亘って防止することが可能なタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トレッド部に、タイヤ軸方向に延びる横溝と、前記横溝を介してタイヤ周方向で隣合う一対のブロックとが設けられたタイヤであって、前記横溝には、溝底が隆起した第1突起部が設けられており、前記第1突起部は、前記一対のブロック同士を連結する少なくとも一つのタイバー部と、前記各ブロックと接することなく前記タイバー部から前記横溝の長手方向に延びる細リブ部とを含む、タイヤである。
【0008】
本発明に係るタイヤは、前記タイバー部の前記横溝の長手方向に沿った幅が、前記細リブ部の前記長手方向と直交する向きのリブ幅よりも大きいのが望ましい。
【0009】
本発明に係るタイヤは、前記細リブ部が、前記タイバー部のタイヤ周方向の中央部に連結されているのが望ましい。
【0010】
本発明に係るタイヤは、前記第1突起部が、二つの前記タイバー部と、前記タイバー部間を連結する一つの前記細リブ部とを含むのが望ましい。
【0011】
本発明に係るタイヤは、前記細リブ部が、ジグザグ状に延びるのが望ましい。
【0012】
本発明に係るタイヤは、前記第1突起部の前記溝底からの高さが、前記横溝の前記溝底からの最大深さの20%〜50%であるのが望ましい。
【0013】
本発明に係るタイヤは、前記タイバー部の体積と前記細リブ部の体積との和が、前記タイバー部の体積と前記細リブ部の体積と前記横溝の溝容積との和の10%〜25%であるのが望ましい。
【0014】
本発明に係るタイヤは、前記細リブ部の前記長手方向と直角な断面において、前記細リブ部は、前記溝底からタイヤ半径方向外側へテーパ状に延びる一対の壁面部を有するのが望ましい。
【0015】
本発明に係るタイヤは、前記横溝には、前記第1突起部から離れた位置に、前記溝底が隆起した第2突起部が設けられており、前記第2突起部は、前記一対のブロック同士を連結する一つのタイバー部のみで構成されているのが望ましい。
【0016】
本発明に係るタイヤは、前記第2突起部が、前記第1突起部よりもタイヤ赤道側に配されるのが望ましい。
【0017】
本発明に係るタイヤは、前記横溝が、ジグザグ状に延び、前記細リブ部は、前記横溝に沿ってのびるのが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のタイヤは、横溝に、溝底が隆起した第1突起部が設けられている。第1突起部は、一対のブロック同士を連結する少なくとも一つのタイバー部と、各ブロックと接することなく前記タイバー部から前記横溝の長手方向に延びる細リブ部とを含んでいる。
【0019】
タイバー部は、一対のブロック同士を繋ぐことにより、ブロック剛性を高める。剛性が高められた一対のブロックは、横溝に石が挟まれた初期の段階で、石を外部へと押し出す優れた排出作用をもたらす。
【0020】
細リブ部は、石が横溝内へ侵入するのを妨げる。また、細リブ部は、その一端が剛性の高いタイバー部に連結されているため、細リブ部自体の倒れ込みが抑制される。これにより、細リブ部と溝壁面との間に小石が挟まることが効果的に防止され、ひいては、細リブ部の欠損が長期に亘って防止される。
【0021】
以上のように、本発明のタイヤは、石噛みを長期に亘って防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。
図2】本発明の一実施形態の横溝及びブロックの平面図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4図2のB−B線断面図である。
図5】(a)は、比較例を示すショルダー横溝の拡大図、(b)は、さらに他の比較例を示すショルダー横溝の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態では、好ましい態様として、乗用車用の空気入りタイヤが示される。但し、本発明は、例えば、重荷重用等、他のカテゴリーのタイヤ1にも適用しうるのは、言うまでもない。
【0024】
図1に示されるように、本実施形態のトレッド部2には、タイヤ周方向に延びる主溝3と、主溝3からタイヤ軸方向に延びる複数の横溝4とが設けられている。
【0025】
本実施形態の主溝3は、タイヤ周方向に連続して延びている。主溝3は、本実施形態では、最もトレッド端Te側に配された一対のショルダー主溝3A、3Aと、ショルダー主溝3Aとタイヤ赤道Cとの間に配された一対のクラウン主溝3B、3Bとを含んでいる。なお、主溝3は、このような態様に限定されるものではなく、種々の態様を取り得る。
【0026】
前記「トレッド端」Teは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧が充填された無負荷である正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させた正規荷重負荷状態での最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。正規状態において、トレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWとして定められる。特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。
【0027】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム" 、TRAであれば"Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0028】
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE" である。
【0029】
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば"LOAD CAPACITY" である。
【0030】
横溝4は、本実施形態では、それぞれ複数のショルダー横溝4Aとミドル横溝4Bとクラウン横溝4Cとを含んでいる。ショルダー横溝4Aは、ショルダー主溝3Aとトレッド端Teとの間を継いでいる。ミドル横溝4Bは、ショルダー主溝3Aとクラウン主溝3Bとの間を継いでいる。クラウン横溝4Cは、1対のクラウン主溝3B、3B間を継いでいる。なお、横溝4は、このような態様に限定されるものではなく、種々の態様を取り得る。
【0031】
本実施形態のトレッド部2は、主溝3と横溝4で区分された複数のブロック5が形成されている。ブロック5は、本実施形態では、タイヤ周方向に隔設されたショルダーブロック5A、ミドルブロック5B、及び、クラウンブロック5Cを含んでいる。ショルダーブロック5Aは、トレッド端Teとショルダー主溝3Aとショルダー横溝4Aとで区分されている。ミドルブロック5Bは、ショルダー主溝3Aとクラウン主溝3Bとミドル横溝4Bとで区分されている。クラウンブロック5Cは、一対のクラウン主溝3Bとクラウン横溝4Cとで区分されている。
【0032】
図2は、横溝4、及び、横溝4を介してタイヤ周方向で隣合うブロック5、5の一実施形態を示す平面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図4は、図2のB−B線断面図である。図3に示されるように、横溝4は、長手方向と直角な断面において、両側のブロック5の踏面5aからタイヤ半径方向内側にのびる一対の溝壁面4h、4hと、溝壁面4hに連なって溝の最深部4aを含む溝底4sとを有する。本明細書では、溝底4sは、前記断面において、最深部4aからタイヤ半径方向外側へ横溝4の溝深さdの10%以内の範囲の底面である。
【0033】
図2乃至図4に示されるように、横溝4は、溝底4sの一部を隆起させた第1突起部7が設けられている。このような第1突起部7は、石が横溝4内へ侵入するのを妨げる。図2は、便宜上、第1突起部7及び後述する第2突起部15がハッチ模様で示される。
【0034】
第1突起部7は、本実施形態では、一対のブロック5、5同士を連結するタイバー部8、及び、各ブロック5と接することなくタイバー部8から横溝4の長手方向に延びる細リブ部9を有している。タイバー部8は、一対のブロック5、5同士を繋ぐことにより、ブロック剛性を高める。剛性が高められた一対のブロック5、5は、横溝4に石が挟まれた初期の段階で、石を外部へと押し出す優れた排出作用をもたらす。細リブ部9は、石が横溝4内へ侵入するのを妨げる。また、細リブ部9は、その一端が剛性の高いタイバー部8に連結されているため、細リブ部9自体の倒れ込みが抑制される。これにより、細リブ部9と溝壁面4hとの間に小石が挟まることが効果的に防止され、ひいては、細リブ部9の欠損が長期に亘って防止される。従って、本実施形態のタイヤ1は、石噛みを長期に亘って防止することができる。また、本実施形態のタイバー部8は、ブロック剛性を高め得る。このため、例えば、横溝4の溝容積を大きくした場合でも、タイバー部8は十分なブロック剛性を維持させることができる。従って、この場合、横溝4は、大きな雪柱を形成できるので、雪路性能を高め得る。
【0035】
第1突起部7が設けられる横溝4は、本実施形態では、ジグザグ状に延びている。このような横溝4は、接地時、ブロック5に作用する荷重を多方向に分散させるので、ブロック剛性を高く維持するため、前記排出作用を、さらに高める。
【0036】
横溝4は、本実施形態では、タイヤ軸方向にのびる軸方向部10と、軸方向部10よりもタイヤ軸方向に対して大きな角度αでのびる傾斜部11とを含んでいる。軸方向部10は、本実施形態では、第1軸方向部10a、第2軸方向部10b、及び、第3軸方向部10cを含んでいる。傾斜部11は、本実施形態では、第1傾斜部11a、及び、第1傾斜部11aとはタイヤ軸方向に対して逆向きに傾斜する第2傾斜部11bを含んでいる。第2傾斜部11b、第2軸方向部10b、及び、第3軸方向部10cは、本実施形態では、タイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜しているので、これら溝内の雪の移動がスムーズとなるので、排雪性が向上する。なお、第1突起部7が設けられる横溝4は、このような態様に限定されるものではない。
【0037】
横溝4は、本実施形態では、溝幅W1が等幅に形成されている。これにより、ブロック剛性が高く維持されるので、高い前記排出作用が発揮される。なお、本明細書では、「等幅」とは、横溝4の溝幅W1の最大値と最小値との比が100%である態様は勿論、前記比が90%以上の態様を含んでいる。
【0038】
特に限定されるものではないが、傾斜部11のタイヤ軸方向の長さLbは、軸方向部10のタイヤ軸方向の長さLaの5%〜35%であるのが望ましい。これにより、横溝4内の雪が主溝3やトレッド端Teへスムーズに排出されるので、雪路性能が高められる。また、石噛み抑制効果が大きく維持される。
【0039】
第1突起部7は、本実施形態では、二つのタイバー部8、8と、タイバー部8、8間を連結する一つの細リブ部9とを含んでいる。このような第1突起部7は、細リブ部9自体の倒れ込みをさらに抑制する。従って、細リブ部9の欠損がさらに防止される。
【0040】
タイバー部8は、例えば、平面視、直線状にのびている。タイバー部8は、本実施形態では、横溝4の長手方向に対して直角にのびている。このようなタイバー部8は、さらにブロック剛性を高める。なお、タイバー部8は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、平面視、円弧状や波状にのびるものでも良い。
【0041】
本実施形態のタイバー部8は、軸方向部10に設けられている。これにより、さらに、ブロック剛性が高められる。タイバー部8は、本実施形態では、第2軸方向部10bと、第3軸方向部10cとに設けられている。
【0042】
タイバー部8の横溝4の長手方向に沿った幅Wtは、細リブ部9の長手方向と直交する向きのリブ幅Wrよりも大きいのが望ましい。これにより、ブロック剛性を高める効果と、横溝4の溝容積の低下を抑制する効果とが、バランス良く発揮される。このような作用を効果的に発揮させるため、タイバー部8の幅Wtは、細リブ部9のリブ幅Wrの2倍以上が望ましく、6倍以下が望ましい。
【0043】
上述の作用を効果的に発揮させるため、タイバー部8の幅Wtは、ブロック5の最大幅WB(図1に示す)の5%以上が望ましく、15%以下が望ましい。
【0044】
図3に示されるように、細リブ部9は、タイバー部8のタイヤ周方向の中央部8Cに連結されている。これにより、細リブ部9のリブ幅方向の両側において、細リブ部9と横溝4の溝壁面4hとの間の距離Lc、Lcが均等化されるので、細リブ部9と横溝4の溝壁面4hとの間で小石の挟み込みが、より効果的に抑制される。前記「中央部8C」は、タイバー部8の横溝4の幅方向に沿った長さLdの中間位置8cを含むのは勿論、中間位置8cからリブ幅方向の両側に向かってタイバー部8の長さLdの15%以内の領域に細リブ部9が設けられる態様を含む。
【0045】
図2に示されるように、細リブ部9は、本実施形態では、ジグザグ状に延びている。このような細リブ部9は、石が横溝4内へ侵入するのを効果的に抑制する。
【0046】
細リブ部9は、本実施形態では、横溝4に沿ってのびている。これにより、細リブ部9と横溝4の溝壁面4hとの間の距離Lcが、細リブ部9の長さ方向に亘って維持されるので、石噛みが一層効果的に防止される。本明細書では、「沿ってのびる」とは、横溝4のタイヤ軸方向に対する角度αと細リブ部9のタイヤ軸方向に対する角度θとの差の絶対値が5度以下の態様をいう。
【0047】
細リブ部9は、本実施形態では、第2軸方向部10bに沿ってのびる第1部分9aと、第2傾斜部11bに沿ってのびる第2部分9bと、第3軸方向部10cに沿ってのびる第3部分9cとを含んでいる。このように、細リブ部9は、長手方向の中央領域に、その両側とは異なる角度で傾斜する第2部分9bが設けられる。このため、この領域において、石噛みが生じた場合でも、石からの荷重が細リブ部9によって分散されるので、クラックの発生が効果的に抑制される。なお、細リブ部9は、このような態様に限定されるものではない。
【0048】
細リブ部9のタイヤ軸方向の長さLe(図1に示す)は、ブロック5のタイヤ軸方向の最大幅WBの好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。細リブ部9の長さLeがブロック5の最大幅WBの20%未満の場合、石噛みを効果的に抑制できないおそれがある。細リブ部9の長さLeがブロック5の最大幅WBの50%を超える場合、横溝4の溝容積が小さくなり、雪路性能が低下するおそれがある。
【0049】
図3に示されるように、細リブ部9の長手方向と直角な断面において、細リブ部9は、溝底4sからタイヤ半径方向外側へテーパ状に延びる一対の壁面部9A、9A、及び、一対の壁面部9A、9A間を継ぎ、タイヤ半径方向外側を向く外向き面9Bを有する。このような壁面部9Aは、横溝4の溝容積を大きく確保しうる他、細リブ部9と溝底4sとの間の剛性を高めて、溝底4sでのクラックを抑制する。
【0050】
壁面部9Aのタイヤ半径方向線に対する角度γは、5〜20度が望ましい。壁面部9Aの角度γが20度を超える場合、横溝4の溝容積が小さくなるおそれがある。壁面部9Aの角度γが5度未満の場合、細リブ部9が座屈しやすくなり、クラックが生じるおそれがある。
【0051】
図4に示されるように、第1突起部7の溝底4sからの高さh1は、横溝4の溝底4sからの最大深さd1の20%〜50%が望ましい。第1突起部7の高さh1が横溝4の最大深さd1の20%未満の場合、石噛みを防止する効果が低下するおそれがある。第1突起部7の高さh1が横溝4の最大深さd1の50%を超える場合、横溝4の溝容積が小さくなり、雪路性能が悪化するおそれがある。
【0052】
上述の作用を効果的に発揮させるため、タイバー部8の体積と細リブ部9の体積との和S1は、タイバー部8の体積と細リブ部9の体積と横溝4の溝容積との和S2の10%〜25%が望ましい。
【0053】
また、横溝4には、本実施形態では、第1突起部7から離れた位置に、溝底4sが隆起した第2突起部15が設けられている。
【0054】
図2に示されるように、本実施形態の第2突起部15は、一対のブロック5、5同士を連結する一つのタイバー部8のみで構成されている。第2突起部15は、ブロック剛性をさらに高めて石の排出作用を向上する。なお、第2突起部15は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、タイバー部8と、タイバー部8から延びる細リブ部9とを有する態様でも良い(図示省略)。
【0055】
第2突起部15は、本実施形態では、第1突起部7よりもタイヤ赤道C側に配されている。これにより、大きな接地圧の作用するタイヤ赤道C側において、ブロック剛性、とりわけタイヤ周方向のブロック剛性が高められるので、さらに石の排出作用が向上する。
【0056】
第2突起部15のタイバー部8は、第1軸方向部10aに配されている。このように、本実施形態では、各軸方向部10a乃至10cにタイバー部8が配されているので、ブロック5のブロック剛性がより高められ、石噛みを長期に亘って抑制することができる。
【0057】
第2突起部15のタイバー部8の横溝4の長手方向に沿った幅Wsは、本実施形態では、第1突起部7のタイバー部8の前記幅Wtよりも大きく形成されている。これにより、タイヤ赤道C側のブロック剛性がより高められるので、一層、石の排出作用が向上する。
【0058】
上述の作用と雪路性能とをバランス良く高めるため、第2突起部15のタイバー部8の幅Wsは、第1突起部7のタイバー部8の幅Wtの1.3倍以上が望ましく、また、2倍以下が望ましい。
【0059】
図4に示されるように、第2突起部15の溝底4sからの高さh2は、第1突起部7の前記高さh1の、好ましくは60%以上であり、また、好ましくは140%以下である。
【0060】
図1に示されるように、本実施形態の第1突起部7は、ショルダー横溝4Aのみに設けられている。ショルダー横溝4Aは、ミドル横溝4Bやクラウン横溝4Cに比して、その溝内の雪をトレッド端Teから外側に容易に排出し得る。このため、ショルダー横溝4Aに第1突起部7及び第2突起部15を設けた場合、排雪性能が相対的に小さくなるが、雪路性能の大きな低下は抑制される。なお、相対的に大きな接地圧の作用するクラウン横溝4Cやミドル横溝4Bは、石噛みの機会が多いので、第1突起部7や第2突起部15を設けることにより、高い石噛み防止効果が期待できる。このため、第1突起部7や第2突起部15は、ショルダー横溝4Aに設けられる態様に限定されるものではなく、例えば、ミドル横溝4B、又は、クラウン横溝4Cのいずれか、又は、いずれに設けられても良い(図示省略)。
【0061】
以上、本発明の実施形態について、詳述したが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変形して実施し得るのは言うまでもない。
【実施例】
【0062】
図1の基本パターンを有するサイズ265/70R17のタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの雪路性能、耐石噛み性能及び耐久性能がテストされた。各試供タイヤの主な共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。なお、図5(a)及び(b)は、それぞれ比較例のショルダー横溝を示し、トレッド部の全てのショルダー横溝に適用される。
細リブ部のタイヤ軸方向の長さLe/ショルダーブロックの最大幅WB:37%
第2突起部のタイバー部の高さh2/第1突起部の高さh1:95%
第2突起部のタイバー部の幅Wt/ショルダーブロックの最大幅WB:12%
【0063】
<雪路性能>
各試供タイヤが、下記の条件で、排気量3600ccの四輪駆動車の全輪に装着された。そして、テストドライバーが、雪路面のテストコースを走行させ、このときのトラクション、制動性、及び、走行安定性に関する走行特性が、テストドライバーの官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
リム:17×8.0J
内圧:240kPa(全輪)
【0064】
<耐石噛み性能・耐久性能>
テストドライバーが上記車輌を、非舗装の砂利路面のテストコースを走行させ、走行後の石噛みの発生状態(耐石噛み性能)、及び、各突起部のクラックの発生状態(耐久性能)がテストドライバーの目視によって評価された。結果は、比較例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
走行距離:15000km
テストの結果などが表1に示される。
【0065】
【表1】
【0066】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、耐久性能や耐石噛み性能が向上していることが確認できた。また、雪路性能の低下も抑制されていることが確認できた。クラウン横溝やミドル横溝に各突起部を設けてテストを行ったが、結果は、表1と同様の傾向を示した。また、第1突起部や第2突起部の形状のパラメータを好ましい範囲内で変更してタイヤについてもテストを行ったが、結果は、表1と同様の傾向を示した。
【符号の説明】
【0067】
1 タイヤ
2 トレッド部
4 横溝
4s 溝底
5 ブロック
7 第1突起部
8 タイバー部
9 細リブ部
図1
図2
図3
図4
図5