特許第6948156号(P6948156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948156
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/249 20180101AFI20210930BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20210930BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20210930BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20210930BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20210930BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20210930BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210930BHJP
【FI】
   F21S43/249
   B60Q1/34 A
   B60Q1/34 B
   F21S43/237
   F21S43/245
   F21V8/00 310
   F21V8/00 320
   F21V8/00 330
   F21W103:20
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-101672(P2017-101672)
(22)【出願日】2017年5月23日
(65)【公開番号】特開2018-198127(P2018-198127A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】王 汎
(72)【発明者】
【氏名】中新井 将人
(72)【発明者】
【氏名】今 大輔
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/033820(WO,A1)
【文献】 特開2015−145224(JP,A)
【文献】 特表2015−533713(JP,A)
【文献】 特開2008−026854(JP,A)
【文献】 特開2014−229510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
F21S 43/245
F21S 43/249
F21V 8/00
B60Q 1/34
F21W 103/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の光源を順次点灯又は順次消灯させることでシーケンシャル表示する車両用灯具であって、
車両の前後方向に沿って配列された前記3以上の光源と、
前記光源からの光を導光して車両の前方又は後方に出射する導光体と、を備え、
前記導光体は、境界面において互いに接触する3以上の分割体から構成され、
前記導光体は、
それぞれの前記分割体において前記光源にそれぞれ対向して設けられ前記光源から出射された光を前記光源の配列方向と直交する方向に平行な一次平行光とする3以上の入射素子と、
前記3以上の分割体に跨って設けられ前記一次平行光を内面反射して二次平行光とする反射部と、
前記車両の左右方向に沿って延び前記二次平行光を出射する出射面と、を有し、
境界面は、前記一次平行光と平行に延びる第1の境界面を含み、
前記第1の境界面は、前記3以上の光源に対応する前記一次平行光の光路を区画し、
前記分割体同士の境界面は、前記一次平行光と直交し前記一次平行光の一部が透過する第2の境界面を含む、
車両用灯具。
【請求項2】
前記光源の光軸は、前記一次平行光と異なる方向を向き、
前記入射素子は、前記導光体の内部に入射した光を内面反射させる内面反射部を有する、
請求項に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記反射部には、段差状の複数の反射素子面が形成され、
前記反射素子面は、前記一次平行光を前記二次平行光として反射する、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
互いに隣り合う前記光源同士の間に、遮光部が設けられている、請求項1〜の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源の点灯および消灯を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記3以上の光源を配列方向に沿って順次点灯又は順次消灯させるシーケンシャル制御を実行する、
請求項1〜の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光を反射する光照射部が設けられた複数の導光部と、各導光部にそれぞれ光を入射させる複数の発光チップとを備えた車両用灯具が記載されている。この車両用灯具において、それぞれの導光部の光照射部は、正面視で互いに重ならないように一方向に並んで配置されており、複数の発光チップを順次点灯あるいは消灯させることにより点灯部分が移動しているように見せることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−4679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構造では、光照射部が正面から見て奥行方向に並んで配置された構成となるため、視覚方向によっては光照射部が重なり合い、発光部分内に明暗が生じて見栄えに影響するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みて提案されたものであり、視覚性に優れた車両用灯具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様としての車両用灯具は、3以上の光源を順次点灯又は順次消灯させることでシーケンシャル表示する車両用灯具であって、車両の前後方向に沿って配列された前記3以上の光源と、前記光源からの光を導光して車両の前方又は後方に出射する導光体と、を備え、前記導光体は、境界面において互いに接触する3以上の分割体から構成され、前記導光体は、それぞれの前記分割体において前記光源にそれぞれ対向して設けられ前記光源から出射された光を前記光源の配列方向と直交する方向に平行な一次平行光とする3以上の入射素子と、前記3以上の分割体に跨って設けられ前記一次平行光を内面反射して二次平行光とする反射部と、前記車両の左右方向に沿って延び前記二次平行光を出射する出射面と、を有し、境界面は、前記一次平行光と平行に延びる第1の境界面を含み、前記第1の境界面は、前記3以上の光源に対応する前記一次平行光の光路を区画する。
【0007】
上記の車両用灯具によれば、光源から照射された光(一次平行光)を出射方向に向けて反射させる反射部が、複数の分割体に跨って設けられている。したがって、複数の分割体における反射領域が、連続的に並んで配置されるため、何れの方向から見た場合であっても、互いの反射領域が重なり合うことがなく、視覚性に優れた車両用灯具を提供できる。
また、上記の実施形態によれば、導光体は、光源から照射された光を反射部において反射させて出射面から出射させる。したがって、反射部における反射角度を適切に設定することで光を出射する出射面の面積を十分に広くすることができる。これにより、光源の個数が少ない場合であっても、シーケンシャル制御を行う場合に光が自然に流れるように視認させることができる。
また、上記の実施形態によれば、導光体が複数の分割体から構成される。複数の導光体は、入射素子において平行光とされた一次平行光に沿って延びる第1の境界面において互いに接触する。一次平行光に含まれる非平行な光は、第1の境界面において内面反射されるため、3以上の光源から出射した一次平行光が混ざり合うことを抑制できる。これにより、1つの光源から出射した光が、この光源と対応する出射面の出射領域以外の領域から出射することを抑制でき、明確なシーケンシャル表示が可能となる。
【0008】
また、前記車両用灯具において、前記分割体同士の境界面は、前記一次平行光と直交し前記一次平行光の一部が透過する第2の境界面を含む構成としてもよい。
【0009】
上記の車両用灯具によれば、ある分割体を通過する一次平行が第2の境界面において他の分割体に入光する。この一次平行光は、他の分割体内の反射部で反射して二次平行光となる。このように構成することで、1つの分割体に入光した光を隣接する2つの分割体内の反射部で二次平行光とすることができ、分割体同士の境界面における光の明暗を曖昧にすることができる。加えて、本実施形態によれば、第2の境界面が、一次平行光と直交する為に、第2の境界面を透過する一次平行光の反射を抑制して光の利用効率を高めることができる。
【0010】
また、前記車両用灯具において、前記光源の光軸は、前記一次平行光と異なる方向を向き、前記入射素子は、前記導光体の内部に入射した光を内面反射させる内面反射部を有する構成としてもよい。
【0011】
上記の車両用灯具によれば、導光体が車両幅方向に延びる場合に導光体の上側又は下側に光源を配置することができ、車両幅方向の寸法をコンパクト化した車両用灯具を実現できる。
【0012】
また、前記車両用灯具において、前記反射部には、段差状の複数の反射素子面が形成され、前記反射素子面は、前記一次平行光を前記二次平行光として反射する構成としてもよい。
【0013】
上記の車両用灯具によれば、反射部には、一次平行光を二次平行光として反射する複数の(無数の)反射素子面が形成されている。これにより一次平行光の進行方向に対する二次平行光の進行方向を任意の方向とすることができる。加えて、一次平行光に対して二次平行光の照射面積を容易に広くすることができる。
【0014】
また、前記車両用灯具において、互いに隣り合う前記光源同士の間に、遮光部が設けられている構成としてもよい。
【0015】
上記の車両用灯具によれば、遮光部が、光源から出射した光のうち対向する入射素子に入射しなかった光が隣接する入射素子に入射することを抑制する。これにより、1つの光源から出射された光により対応する出射領域以外の領域が発光することを抑制でき、明確なシーケンシャル表示が可能となる。
【0016】
また、前記車両用灯具において、前記光源の点灯および消灯を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記3以上の光源を配列方向に沿って順次点灯又は順次消灯させるシーケンシャル制御を実行する構成としてもよい。
【0017】
上記の車両用灯具によれば、導光体が車両幅方向に延びる場合に導光体の上側又は下側に光源を配置することができ、車両幅方向の寸法をコンパクト化した車両用灯具を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シーケンシャル表示させることができる安価な車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施形態の車両用灯具を搭載する車体の平面図である。
図2図2は、一実施形態の車両用灯具の斜視図である。
図3図3は、一実施形態の車両用灯具の平面図である。
図4図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図5は、図3のV−V線に沿う断面図である。
図6図6は、図3の領域VIの拡大図である。
図7図7は、シーケンシャル制御の一例を示す各光源の経時的な発光状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態の車両用灯具1について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
図1は、一実施形態の車両用灯具1を搭載する車両100の平面図である。車両100は、例えば4つの車両用灯具1(1a、1b、1c、1d)を有する。本実施形態の車両用灯具1は、ターンランプである。車両用灯具1は、車両100の前部100bおよび後部100cの左右両側にそれぞれ左右対称に設けられている。本明細書では、車両100の前部左方に位置する車両用灯具1aに着目して説明を行う。
なお、本明細書において、「前後方向」とは、車両用灯具1が搭載される車両100の前後方向を意味し、「左右方向」とは、車両100の幅方向(すなわち車両幅方向)を意味する。
【0022】
図2は、本実施形態の車両用灯具1の斜視図である。図3は、本実施形態の車両用灯具1の平面図である。なお、図3において、導光体20の一部を省略する。
車両用灯具1は、3以上(本実施形態では7つ)のLED光源(光源)15を順次点灯又は順次消灯させることでシーケンシャル表示するターンランプである。車両用灯具1は、7つのLED光源15が実装された光源ユニット10と、LED光源15から照射された光を前方(又は後方)に出射する導光体20と、を備える。
【0023】
<光源ユニット>
光源ユニット10は、回路基板11と、回路基板11上に実装された7つのLED光源15および制御チップ(制御部)13と、を有する。LED光源15は、車両の前後方向に沿って配列されている。制御チップ13は、回路基板11上で7つのLED光源15と接続されている。なお、本実施形態において、7つのLED光源15は、左右方向に若干ずれて、前後方向に沿って配列されている。
本実施形態において、回路基板11の板面が延びる方向は、水平面方向と略一致するが、この構成に限定されない。例えば、回路基板11が上下方向および前後方向に沿って配置され、7つのLED光源15が左右方向であって導光体20に対向する方向を光軸として配置されていてもよい。
以下の説明において、7つのLED光源15を区別する場合、車両前方側から後方側に向かって(すなわち出射側に向かって)順番に第1のLED光源15A、第2のLED光源15B、第3のLED光源15C、第4のLED光源15D、第5のLED光源15E、第6のLED光源15Fおよび第7のLED光源15Gと呼ぶ。
【0024】
制御チップ13は、7つのLED光源15の点灯および消灯を制御する。なお、本実施形態のLED光源15は、LED光源15と同一の回路基板11上に実装された制御チップ13により制御されているが、基板外に設けられた制御部とケーブルハーネスを介して接続されて制御されていてもよい。
【0025】
<導光体>
導光体20は、複数の分割体30から構成される。それぞれの分割体30は、例えばアクリルなどの透明樹脂材料からなる。導光体20は、複数の分割体30が組み合わされることで、水平面内に延びる平面視で略三角形状の板状に構成される。導光体20は、略三角形状の各辺にそれぞれ位置する入射部21と、反射部26と、出射面29と、を有する。入射部21は、前後方向に沿って延び、反射部26と出射面29は、それぞれ左右方向に沿って延びる。導光体20において、反射部26および出射面29は、入射部21から離れるに従い互いに近づくように延びる。
【0026】
入射部21には、車両100の前後方向に沿って配列された3以上(本実施形態では7つ)の入射素子22が形成されている。7つの入射素子22は、導光体20の7つの分割体30にそれぞれ設けられている。7つの入射素子22は、7つのLED光源15にそれぞれ対向して配置されている。7つの入射素子22は、対向するLED光源から出射された光をLED光源15の配列方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に平行な一次平行光L1とする。7つの入射素子22は、導光体20の表面に一体的に形成されている。
【0027】
図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。また、図5は、図3のV−V線に沿う断面図である。図4に示す様に、入射素子22は、入射面23と、入射面23を囲む外周反射面24と、内面反射部25と、を有する。
【0028】
入射面23および外周反射面24は、LED光源15の中心を通過する光軸J15を中心とする回転対称形状を有する。
入射面23は、LED光源15から出射する光を導光体20の内部に入射させる。図5に示すように、入射面23は、第1の入射面23aおよび第2の入射面23bを含む。
【0029】
第1の入射面23aは、LED光源15と対向する。第1の入射面23aは、光軸J22を中心に放物線を回転させることにより得られる回転放物面の一部によって構成される。第2の入射面23bは、第1の入射面23aを囲むように形成されている。第2の入射面23bは、光軸J22を中心に、光軸J22に対して傾斜した直線を回転させることにより得られる円環面によって構成される。
【0030】
第1の入射面23aには、LED光源15から出射する光のうち比較的出射角の小さい光が入射する。第1の入射面23aの焦点は、LED光源15の中心と略一致する。第1の入射面23aは、入射した光を略平行光となるように屈折させる。
一方、第2の入射面23bには、LED光源15から出射する光のうち比較的出射角の大きな光が入射する。第2の入射面23bからレンズ内に入射した光は、入射面23を囲むように位置する外周反射面24に入射する。
外周反射面24は、光軸J22を中心に放物線を回転させることにより得られる回転放物面の一部によって構成されている。外周反射面24は、第2の入射面23bからの光を略平行光となるよう内面反射(好ましくは全反射)する。
このように、入射面23および外周反射面24は、LED光源15から出射した光を導光体20の内部に入射させて平行光とする。
【0031】
内面反射部25は、LED光源15の光軸J15に対して傾斜する平面である。内面反射部25には、LED光源15の光軸J15が通過する。内面反射部25は、入射面23および外周反射面24において平行光とされた光を内面反射させて、左右方向に平行な一次平行光L1とする。したがって、本実施形態において、LED光源15の光軸J15と、一次平行光L1とは、互いに異なる方向を向く。
【0032】
図5に示すように、互いに隣り合うLED光源15の間には、遮光部19が設けられていてもよい。この場合、遮光部19は、回路基板11に固定されている。遮光部19は、導光体20の厚さ方向(すなわち上下方向)に断面三角形状で延びる。遮光部19の頂点は、隣り合う入射素子22が構成する谷部分に入り込んでおり、遮光部19の側面が入射素子22の外周反射面24と対向する。遮光部19の表面は、例えば光を吸収しやすい黒色塗装されるなどして反射が抑制されている。遮光部19は、LED光源15から出射した光のうち対向する入射素子22に入射しなかった光を遮光して隣接する入射素子に入射することを抑制する。これにより、1つのLED光源15から出射された光により対応する出射領域以外の領域が発光することを抑制できる。
【0033】
図3に示す反射部26は、一次平行光L1を内面反射(好ましくは全反射)して二次平行光L2として出射面29に向けて出射する。本実施形態において、一次平行光L1と二次平行光L2は、互いに直交する。反射部26は、7つの分割体30に跨って設けられている。
【0034】
図6は、反射部26を示し、図3の領域VIの拡大図である。
反射部26には、導光体20の厚さ方向(すなわち上下方向)に沿って平行に延びる段差状の複数の反射素子面27aが形成されている。複数の(無数の)反射素子面27aは、一次平行光L1を、出射面29に向けて内面反射(好ましくは全反射)させて二次平行光L2とする。反射素子面27aには、反射膜が形成されていてもよい。本実施形態の二次平行光L2は一次平行光L1と直交する。したがって、反射素子面27aは、一次平行光L1の入射角を45°とするように配置されている。反射素子面27a同士の間には、段差側面27bが設けられている。段差側面27bは、一次平行光L1が入射しない方向を向いている。
【0035】
なお、二次平行光L2は、反射素子面27aからのみ出射され、段差側面27bから出射されない。したがって、反射部26の近傍で、二次平行光L2は縞模様となる。反射素子面27aに入射する一次平行光L1には、平行成分に対してわずかに傾いた光を含む。このため、反射部26から十分に離れることで、二次平行光L2は徐々に均一かつ一様な光となる。
【0036】
反射部26は、第1〜第7のLED光源15A〜15Gからそれぞれ照射された一次平行光L1を反射する7つの反射領域26aに区分される。それぞれの反射領域26aは、平面視における表面長さが等しい。
【0037】
図6に示すように、反射素子面27aと段差側面27bと間には、頂点Pが設けられている。本明細書において、反射部26の複数の頂点Pを繋ぐ線を基準線P26とする。本実施形態において反射部26は、直線状の基準線P26に沿って形成されている。反射部26は、一次平行光L1を基準線P26の法線方向に対して鋭角となるように入射させる向きに配置されている。このため、反射部26で反射した二次平行光L2の光の幅H2は、一次平行光L1の光の幅H1より広くなる。なお、ここで光の幅とは、平面視で光の進行方向と直交する方向の平行光の光路の幅である。
【0038】
図3に示すように、出射面29は、車両100の左右方向に延びる。本実施形態の出射面29は、車両100の左右方向に沿って延び出射方向に凸となる湾曲面である。出射面29は、反射部26で反射され一次平行光L1から二次平行光L2とされた光を、車両100の前方(又は後方)に向けて出射する。
なお、出射面29が二次平行光L2に対して直交する方向に延びる平坦面であってもよい。さらに、出射面29には、出射方向を所定の方向に向けるための微細なプリズムが形成されていてもよい。
【0039】
出射面29は、7つの反射領域26aで反射された二次平行光L2を出射する7つの出射領域29aに区分される。7つの出射領域29aは、平面視における表面長さが等しい。
【0040】
本実施形態の車両用灯具1は、導光体20の内部を通過する一次平行光L1の光の進行方向と直交する幅H1に対して二次平行光L2の光の進行方向と直交する幅H2が広くなる。このため、少ない数のLED光源15であっても、十分な表面長さの出射面29を形成することができる。すなわち、少ない数のLED光源15を有する安価な車両用灯具1において、光が自然に流れるように視認させるシーケンシャル表示を実現できる。
【0041】
なお、本実施形態において、反射部26は平面視で直線状の基準線P26に沿って形成されている。しかしながら、反射部の構成は平面視で湾曲した基準線に沿って形成されていてもよい。またこの場合、基準線の曲率半径が、基準線の長さ方向に沿って変化していてもよい。このような構造を採用することで、複数の反射領域で反射された二次平行光の進行方向と直交する幅が、対応する反射領域の曲率半径によって変化する。すなわち、それぞれに光源からの光に対応する出射面の出射領域の表面長さを異ならせることができる。これにより、3以上の光源の点灯又は消灯のタイミングを一様とした場合でも、光の流れる速さが変化したように認識させることができる。すなわち、この車両用灯具によれば、多様なシーケンシャル表示を可能とする。
【0042】
本実施形態の車両用灯具1は、入射部21の入射素子22においてLED光源15から出射された光を一次平行光L1としている。これにより、7つのLED光源(第1〜第7のLED光源15A〜15G)の発光に応じて、7つの出射領域29aを個別に発光させることができる。
【0043】
本実施形態によれば、LED光源15から照射された光は、反射部26を介して前方(又は後方)に照射される。LED光源15は、前方(又は後方)から直接的に観察されることがないため、導光体20全体が発光している意匠性の高い車両用灯具1を提供できる。さらに、本実施形態によれば、導光体20の下面などにドット上の微小なプリズムを形成するなどして、発光パターンをさらに加飾できる。
【0044】
本実施形態の導光体20は、車両100の前後方向に沿って並ぶ3以上(本実施形態では7つ)の分割体30から構成される。上述したように、それぞれの分割体30には、1つの入射素子22が設けられている。また、分割体30は、入射素子22から車両100の左右方向に沿って延びる。さらに、それぞれの分割体30には、それぞれ反射部26の一部が設けられており、複数の分割体30が組み合わされることで、車両幅方向に延びる1つの反射部26が構成される。複数の分割体30のうち、最も車両前方側(すなわち光の出射側)に配置される分割体30には、出射面29が設けられている。
【0045】
それぞれの分割体30は、境界面35において互いに接触する。それぞれの分割体30は、車両100の幅方向に沿って延びる。複数の分割体30同士の境界面35は、第1の境界面31と、第2の境界面32と、を有する。
【0046】
第1の境界面31は、入射素子22と第2の境界面32の間において、車両100の幅方向に沿って延びる。第1の境界面31は、一次平行光L1と平行に延びる。第1の境界面31は、7つのLED光源15に対応する一次平行光L1の光路を区画する。第1の境界面31は、一次平行光L1の平行成分に対して傾いた光を全反射させるため、それぞれのLED光源15から出射した一次平行光L1が混ざり合うことを抑制する。また、第1の境界面31には、二次平行光L2が通過する。第1の境界面31は、二次平行光L2と直交するため、第1の境界面31における二次平行光L2の反射は抑制される。
【0047】
第2の境界面32は、車両100の左右方向において入射素子22の反対側の端部に位置する。第2の境界面32は、一次平行光L1と直交し一次平行光L1の一部が透過する。第2の境界面32には、一次平行光L1の一部が通過する。第2の境界面32を通過した一次平行光L1は、隣接する分割体30に入光して当該分割体30において反射部26において反射される。すなわち本実施形態によれば、第2の境界面32が設けられていることによって、一つの分割体30に入光した光を隣接する2つの分割体30内の反射部26で反射して二次平行光L2とすることができる。言い換えると、それぞれのLED光源15に対応する反射領域26aは、隣接する一対の分割体30に跨って構成される。これにより、隣接するLED光源15から光を照射させた場合に、隣接する分割体30同士の境界面35における光の明暗を曖昧とすることができる。
また、本実施形態によれば、第2の境界面32は、一次平行光L1と直交するため、第2の境界面32における一次平行光L1の反射は抑制される。
【0048】
本実施形態によれば、入射素子22に内面反射部25が設けられているため、LED光源15の光軸J15を一次平行光L1と異なる方向とすることができる。すなわち、本実施形態によれば、LED光源15の光軸J15の方向を自由に設定できる。したがって、本実施形態に示すように導光体20が車両幅方向に延びる場合においては、LED光源15を導光体20の下側(又は上側)に配置するなどして、車両用灯具1の車両幅方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0049】
本実施形態の車両用灯具1によれば、LED光源15から照射された一次平行光L1を出射方向に向けて反射させる反射部26が、複数の分割体30に跨って設けられている。したがって、複数の分割体30における反射領域26aが、連続的に並んで配置されるため、何れの方向から見た場合であっても、互いの反射領域26aが重なり合うことがなく、視覚性に優れた車両用灯具1を提供できる。
【0050】
<シーケンシャル制御>
光源ユニット10の制御チップ13は、7つLED光源15を配列方向に沿って順次点灯又は順次消灯させるシーケンシャル制御を実行する。より具体的には、制御チップ13は、以下の第1〜第3のシーケンシャル制御のうち、いずれかの制御を実行する。
【0051】
第1のシーケンシャル制御は、第1〜第7のLED光源15A〜15Gを同時に点灯させた後に、第1〜第7のLED光源15A〜15Gをこの順で順次消灯する制御である。制御チップ13が、第1のシーケンシャル制御を行うと、出射面29は、全体が同時に発光した後に、複数の出射領域29aが一方向に沿って順番に暗くなる。すなわち、車両用灯具1において、車両100の中央側から側部100aに向かって徐々に暗くなる発光パターンを実現できる。
【0052】
第2のシーケンシャル制御は、第1〜第7のLED光源15A〜15Gをこの順で順次点灯させた後に、第1〜第7のLED光源15A〜15Gを同時に消灯させる制御である。制御チップ13が、第2のシーケンシャル制御を行うと、出射面29は、複数の出射領域29aが一方向に沿って順番に発光した後に、全体が同時に消灯する。すなわち、車両用灯具1において、車両100の中央側から側部100aに向かって徐々に明るくなった後に同時に暗くなる発光パターンを実現できる。
図7は、第2のシーケンシャル制御における第1〜第7のLED光源15A〜15Gの発光状態の経時的な変化を示すグラフである。第1〜第7のLED光源15A〜15Gのグラフにおいて、縦軸は発光量であり、横軸は時間である。
【0053】
第3のシーケンシャル制御は、第1〜第7のLED光源15A〜15Gをこの順で順次点灯させるとともに、遅れて第1〜第7のLED光源15A〜15Gをこの順で順次消灯させる制御である。制御チップ13が、第2のシーケンシャル制御を行うと、出射面29は、複数の出射領域29aが一方向に沿って順番に発光するとともに、追いかけるように複数の出射領域29aが一方向に沿って順番に暗くなる。すなわち、車両用灯具1において、車両100の中央側から側部100aに向かって順番に明るくなるとともに順番に暗くなる発光パターンを実現できる。
【0054】
第1〜第3のシーケンシャル制御において、7つのLED光源15のうち何れかを点灯させる点灯状態と、全てのLED光源15を消灯させる消灯状態と、を順に行う1つのサイクルCを連続して行う(図7参照)。このサイクルCにおいて、点灯状態の時間(点灯時間LS)は、消灯状態の時間(消灯時間OS)と比較して短くすることが好ましい。これにより、シーケンシャルの発光パターンを強調することができる。
【0055】
以上に、本発明の様々な実施形態およびその変形例を説明したが、それぞれの実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、上述の各実施形態では、光源の数が7つ又は7つの場合を例示したが、3以上であればよい。
また、上述の実施形態の車両用灯具では、導光体に対して光源が車両の中央側に配置された例を示したが、これらの位置関係は反対であってもよい。この場合、3以上の光源の点灯又は消灯の順序を反対側から行うことで、車両の中央側から側部側に光が流れるシーケンシャル表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b,1c,1d…車両用灯具、13…制御チップ(制御部)、15…LED光源(光源)、19…遮光部、20…導光体、22…入射素子、25…内面反射部、26…反射部、27a…反射素子面、29…出射面、30…分割体、31…第1の境界面、32…第2の境界面、35…境界面、100…車両、J15,J22…光軸、L1…一次平行光、L2…二次平行光、P26…基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7