特許第6951081号(P6951081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951081
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】蒸気弁及び蒸気タービン設備
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/10 20060101AFI20211011BHJP
   F16K 1/32 20060101ALI20211011BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   F01D17/10 A
   F16K1/32 B
   F16K47/02 D
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-25743(P2017-25743)
(22)【出願日】2017年2月15日
(65)【公開番号】特開2018-131962(P2018-131962A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】梅原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】二橋 謙介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文之
(72)【発明者】
【氏名】深尾 伸次
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−158260(JP,A)
【文献】 特開2014−070513(JP,A)
【文献】 特開2012−202238(JP,A)
【文献】 特開2012−107566(JP,A)
【文献】 特開2009−174324(JP,A)
【文献】 特開平10−212905(JP,A)
【文献】 特開平06−193404(JP,A)
【文献】 実開昭60−156274(JP,U)
【文献】 実開昭60−077703(JP,U)
【文献】 特開昭57−122104(JP,A)
【文献】 実開昭56−076102(JP,U)
【文献】 特開昭54−071430(JP,A)
【文献】 西独国実用新案公開第1781425(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/10,25/00
F16K 1/00− 1/54,47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気弁であって、
弁座と、
前記弁座に対向する弁体と、
ケーシングに収容され、前記弁体が取付けられる弁棒と、
前記弁棒の外周側に設けられ、前記弁棒を案内可能に前記ケーシングに支持するためのガイドブシュと、を備え、
前記ガイドブシュは、前記弁体が前記弁座から離れる開弁方向への前記弁棒の最大移動量を規制する係止部を含み、
前記弁棒のうち、前記ガイドブシュによる係止状態にて前記ガイドブシュによって覆われずに露出した先端部の半径をrとし、
前記ガイドブシュのうち、前記係止部を挟んで前記弁体と反対側の基端部の最小厚さをtとしたとき、
前記ガイドブシュの前記基端部の前記最小厚さtに対する前記弁棒の前記先端部の前記半径rの比r/tが2.0以上3.0以下である
ことを特徴とする蒸気弁。
【請求項2】
前記ガイドブシュのうち前記係止部から前記弁体側への延長部の長さをlとしたとき、
前記弁棒の前記先端部の前記半径rに対する前記ガイドブシュの前記延長部の長さlの比l/rが1.25以下であることを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁。
【請求項3】
前記弁棒は、前記弁体に近づくほど縮径する第1縮径部を有し、
前記係止部は、前記蒸気弁の全開時において前記第1縮径部と係合するように前記ガイドブシュの内壁に形成されたテーパ面を含み、
前記弁棒の前記先端部は、前記弁棒のうち前記第1縮径部よりも前記弁体側の部位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気弁。
【請求項4】
前記弁棒は、前記蒸気弁の全開時において前記ガイドブシュによって覆われる、又は、前記ガイドブシュからみて前記開弁方向とは反対側に位置する基端部を含み、
前記弁棒の前記基端部は第2縮径部を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の蒸気弁。
【請求項5】
前記弁棒は、前記蒸気弁の全開時において前記ガイドブシュの前記係止部と係合するフランジ部を有することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載の蒸気弁。
【請求項6】
前記弁棒の前記先端部は、前記フランジ部を挟んで前記弁棒の前記先端部と反対側の前記弁棒の基端部よりも大径であることを特徴とする請求項5に記載の蒸気弁。
【請求項7】
前記ガイドブシュは、
前記係止部を含む第1部分と、
前記第1部分に対して着脱可能に設けられ、前記ガイドブシュの前記基端部の少なくとも一部を形成する第2部分と、
を含
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の蒸気弁。
【請求項8】
前記第1部分及び前記第2部分は、互いに螺合可能な螺子溝を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の蒸気弁。
【請求項9】
蒸気弁であって、
弁座を含むケーシングと、
前記弁座に対向する弁体と、
前記弁体が取付けられ、前記ケーシングを貫通する弁棒と、
前記弁棒の外周側に設けられ、前記弁棒を案内するためのブシュと、を備え、
前記ケーシングは、前記弁棒が貫通する前記ケーシングの貫通孔の内壁面に設けられ、前記弁体が前記弁座から離れる開弁方向への前記ブシュの最大移動量を規制する第1係止部を含み、
前記ブシュは、前記蒸気弁の全開時における第1位置と、前記蒸気弁の全閉時における第2位置との間で、前記弁棒の延在方向に沿って前記ケーシングに対して移動可能であり、
前記第2位置は、前記第1位置よりも前記弁体の閉弁方向の下流側に位置し
前記ブシュは、前記ブシュの内壁面に設けられ、前記弁棒からの前記ブシュの抜け落ちを防止するように前記弁棒と係合する第2係止部を含み、
前記蒸気弁の全開時に、前記第2係止部は、前記弁棒の軸方向にて前記第1係止部よりも開弁方向側に位置する
ことを特徴とする蒸気弁。
【請求項10】
請求項1乃至の何れか一項に記載の蒸気弁と、
前記蒸気弁の下流側に設けられる蒸気タービンと、
を備えることを特徴とする蒸気タービン設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気弁及び蒸気タービン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン等において、蒸気の流れを制御するための蒸気弁が用いられている。
例えば、特許文献1には、タービンを駆動するための蒸気を該タービンに導くための蒸気配管に、蒸気を止めるための蒸気弁、及び、蒸気の流量を調節するための蒸気弁が設けられた発電設備が開示されている。これらの蒸気弁において、ケーシング内に設けられた弁体は、ケーシングを貫通する弁棒に支持されており、該弁棒は、ケーシングに装着されたガイドブッシュに案内されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5502792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者の鋭意検討の結果、典型的な蒸気弁において、全開状態において蒸気流れの影響により弁棒が振動し、この弁棒の振動が蒸気弁の弁体周辺部の不具合(摩耗等)の原因となる場合があることがわかった。
この点、特許文献1には、弁棒の振動を抑制することについて何ら記載されていない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、蒸気弁の全開時における弁棒の振動を抑制可能な蒸気弁及び蒸気タービン設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気弁は、
弁座と、
前記弁座に対向する弁体と、
前記弁体が取付けられる弁棒と、
前記弁棒の外周側に設けられ、前記弁棒を案内するためのガイドブシュと、を備え、
前記ガイドブシュは、前記弁体が前記弁座から離れる開弁方向への前記弁棒の最大移動量を規制する係止部を含み、
前記弁棒のうち、前記ガイドブシュによる係止状態にて前記ガイドブシュによって覆われずに露出した先端部の半径をrとし、
前記ガイドブシュのうち、前記係止部を挟んで前記弁体と反対側の基端部の最小厚さをtとしたとき、
前記ガイドブシュの前記基端部の前記最小厚さtに対する前記弁棒の前記先端部の前記半径rの比r/tが1.5以上4.0以下である。
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、典型的な蒸気弁において、全開状態において蒸気流れの影響により弁棒が振動し、この弁棒の振動が蒸気弁の弁体周辺部の不具合(摩耗等)の原因となり得ることを見出した。
上記(1)の蒸気弁は、本発明者らによる上記知見を踏まえたものであり、ガイドブシュの基端部の最小厚さtに対する弁棒の先端部の半径rの比r/tを上記範囲内に設定することで、弁棒およびガイドブシュの剛性をバランス良く向上させ、蒸気弁の全開時における弁棒の振動を抑制することができる。すなわち、r/tを1.5以上とすることで、ガイドブシュの外径が過度に大きくなる事態を防ぎつつ、蒸気弁の全開時にガイドブシュから露出する弁棒先端部の半径を十分に大きく確保し、弁棒の剛性を高めて振動を抑制できる。一方、r/tを4.0以下とすることで、ガイドブシュの適度な厚さを確保して、ガイドブシュの変形を抑制し、ガイドブシュの変形に伴う弁棒の振動を抑制可能である。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記比r/tが2.0以上3.0以下である。
【0009】
上記(2)の構成によれば、ガイドブシュの基端部の最小厚さtに対する弁棒の先端部の半径rの比r/tを上記範囲内に設定することで、弁棒およびガイドブシュの剛性をバランス良く向上させ、蒸気弁の全開時における弁棒の振動をより効果的に抑制することができる。すなわち、r/tを2.0以上とすることで、ガイドブシュの外径が過度に大きくなる事態を防ぎつつ、蒸気弁の全開時にガイドブシュから露出する弁棒先端部の半径を十分に大きく確保しやすくなり、弁棒の剛性を高めて振動をより効果的に抑制できる。一方、r/tを3.0以下とすることで、ガイドブシュの適度な厚さを確保して、ガイドブシュの変形を抑制しやすくなり、ガイドブシュの変形に伴う弁棒の振動をより効果的に抑制可能である。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記ガイドブシュのうち前記係止部から前記弁体側への延長部の長さをlとしたとき、
前記弁棒の前記先端部の前記半径rに対する前記ガイドブシュの前記延長部の長さlの比l/rが1.25以下である。
【0011】
上記(3)の構成によれば、ガイドブシュの延長部を比較的短くしたので、蒸気弁の全閉時におけるガイドブシュと弁体との干渉を回避しながら、蒸気弁の全開時において弁棒の支点として働くガイドブシュの係止部を弁体に近づけることができる。これにより、蒸気弁の全開時における弁棒が拘束される支点(即ち、ガイドブシュの係止部)を基準とした弁棒の長さ(ガイドブシュの拘束を受けずに自由に振動し得る弁棒の部位の長さ)を短くし、弁棒の振動を効果的に抑制できる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記弁棒は、前記弁体に近づくほど縮径する第1縮径部を有し、
前記係止部は、前記蒸気弁の全開時において前記第1縮径部と係合するように前記ガイドブシュの内壁に形成されたテーパ面を含み、
前記弁棒の前記先端部は、前記弁棒のうち前記第1縮径部よりも前記弁体側の部位である。
【0013】
上記(4)の構成によれば、ガイドブシュのテーパ面と弁棒の第1縮径部が係合することで、開弁方向への弁棒の最大移動量を確実に規制することができる。また、上記(1)のように、ガイドブシュの係止部(テーパ面)と係合する弁棒の第1縮径部よりも弁体側の部位の半径rを、ガイドブシュの基端部の最小厚さtとの関係で上記範囲内の大きさに設定することで、蒸気弁の全開時における弁棒の振動を抑制可能である。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記弁棒は、前記蒸気弁の全開時において前記ガイドブシュによって覆われる、又は、前記ガイドブシュからみて前記開弁方向とは反対側に位置する基端部を含み、
前記弁棒の前記基端部は第2縮径部を含む。
【0015】
上記(1)で述べたように、弁棒の先端部を比較的大径(r/t≧1.5)とすると、弁棒の基端部も大径になってしまい、弁棒の材料費が嵩んだり、弁棒を駆動するためのアクチュエータが大型化してしまうといった問題が生じ得る。
この点、上記(5)のように弁棒の基端部に第2縮径部を設ける場合、蒸気弁の全開時にガイドブシュから露出する弁棒の先端部の剛性を高めつつ、弁棒の基端部を相対的に小径化して、弁棒の材料費を削減するとともにアクチュエータの大型化を抑制することができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記弁棒は、前記蒸気弁の全開時において前記ガイドブシュの前記係止部と係合するフランジ部を有する。
【0017】
上記(6)の構成によれば、ガイドブシュの係止部と弁棒のフランジ部とが係合することで、開弁方向への弁棒の最大移動量を確実に規制することができる。
また、上記(1)で述べたように、弁棒の先端部を比較的大径(r/t≧1.5)とすると、弁棒の基端部も大径になってしまい、弁棒の材料費が嵩んだり、弁棒を駆動するためのアクチュエータが大型化してしまうといった問題が生じかねない。この点、上記(6)のように、フランジ部を有する弁棒を採用することで、ガイドブシュの係止部との係合可能な構造を実現しつつ、弁棒の基端部を小径にすることが可能となり、上述の問題を解消することができる。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記弁棒の前記先端部は、前記フランジ部を挟んで前記弁棒の前記先端部と反対側の前記弁棒の基端部よりも大径である。
【0019】
上記(7)の構成によれば、弁棒の先端部を弁棒の基端部よりも大径にすることで、蒸気弁の全開時にガイドブシュから露出する弁棒の先端部の剛性を高めつつ、弁棒の基端部を相対的に小径化して、弁棒の材料費を削減するとともにアクチュエータの大型化を抑制することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)の構成において、
前記ガイドブシュは、
前記係止部を含む第1部分と、
前記第1部分に対して着脱可能に設けられ、前記ガイドブシュの前記基端部の少なくとも一部を形成する第2部分と、
を含む。
【0021】
上記(8)の構成によれば、ガイドブシュの基端部の少なくとも一部を形成する第2部分がガイドブシュの係止部を含む第1部分に対して着脱可能であるので、フランジ部を有する弁棒のガイドブシュへの組み付けが容易になる。
【0022】
(9)本発明の少なくとも一実施形態にかかる蒸気弁は、
弁座を含むケーシングと、
前記弁座に対向する弁体と、
前記弁体が取付けられ、前記ケーシングを貫通する弁棒と、
前記弁棒の外周側に設けられるブシュと、を備え、
前記ブシュは、前記蒸気弁の全開時における第1位置と、前記蒸気弁の全閉時における第2位置との間で、前記弁棒の延在方向に沿って前記ケーシングに対して移動可能であり、
前記第2位置は、前記第1位置よりも前記弁体の閉弁方向の下流側に位置する。
【0023】
上記(9)の構成によれば、第1位置と該第1位置よりも閉弁方向下流側の第2位置との間でブシュをケーシングに対して移動可能にしたので、蒸気弁の全閉時において弁体とブシュとの干渉を回避しながら、蒸気弁の全開時にブシュから露出する弁棒の部位を短縮して弁棒の振動を抑制することができる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、前記弁棒と前記ブシュは一体的に設けられている。
【0025】
上記(10)の構成によれば、弁棒とブシュとを一体化することで、第1位置と第2位置との間でブシュがケーシングに対して移動可能な構成を容易に実現することができる。
【0026】
(11)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記ブシュは、前記弁棒と別体として設けられ、
前記ブシュは、前記弁棒からの前記ブシュの抜け落ちを防止するように前記弁棒と係合する係止部を含む。
【0027】
上記(11)の構成によれば、弁棒とブシュを別体として設けたので、ブシュは弁棒から独立して移動可能である。このため、蒸気弁の急激な閉弁時において、移動体(弁棒及び弁体)の慣性を小さくし、弁体から弁座に伝わる衝撃を緩和することができる。
【0028】
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気タービン設備は、
上記(1)乃至(11)の何れか一項に記載の蒸気弁と、
前記蒸気弁の下流側に設けられる蒸気タービンと、
を備える。
【0029】
蒸気弁が上記(1)の構成を有する場合、ガイドブシュの基端部の最小厚さtに対する弁棒の先端部の半径rの比r/tを上記範囲内に設定することで、弁棒およびガイドブシュの剛性をバランス良く向上させ、蒸気弁の全開時における弁棒の振動を抑制することができる。すなわち、r/tを1.5以上とすることで、ガイドブシュの外径が過度に大きくなる事態を防ぎつつ、蒸気弁の全開時にガイドブシュから露出する弁棒先端部の半径を十分に大きく確保し、弁棒の剛性を高めて振動を抑制できる。一方、r/tを4.0以下とすることで、ガイドブシュの適度な厚さを確保して、ガイドブシュの変形を抑制し、ガイドブシュの変形に伴う弁棒の振動を抑制可能である。
あるいは、蒸気弁が上記(9)の構成を有する場合、第1位置と該第1位置よりも閉弁方向下流側の第2位置との間でブシュをケーシングに対して移動可能にしたので、蒸気弁の全閉時において弁体とブシュとの干渉を回避しながら、蒸気弁の全開時にブシュから露出する弁棒の部位を短縮して弁棒の振動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
蒸気弁の全開時における弁棒の振動を抑制可能な蒸気弁及び蒸気タービン設備が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態に係る蒸気タービン設備の概略構成図である。
図2】幾つかの実施形態に係る蒸気弁の全体を示す概略構成図である。
図3】一実施形態に係る蒸気弁の要部を示す構成図である。
図4】一実施形態に係る蒸気弁の要部を示す構成図である。
図5】一実施形態に係る蒸気弁の要部を示す構成図である。
図6】一実施形態に係る蒸気弁の要部を示す構成図である。
図7】一実施形態に係る蒸気弁の要部を示す構成図である。
図8】弁棒及びガイドブシュの寸法と弁棒の先端剛性との相関関係を示すグラフである。
図9】弁棒及びガイドブシュの寸法と弁棒の固有振動数との相関関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0033】
まず、幾つかの実施形態に係る蒸気弁が適用される蒸気タービン設備について説明する。図1は、一実施形態に係る蒸気弁が適用される蒸気タービン設備の概略構成図である。
図1に示すように、蒸気タービン設備1は、蒸気を生成するためのボイラ2と、ボイラ2からの蒸気の圧力を回転エネルギーに変換する蒸気タービン4と、蒸気タービン4の回転により駆動される発電機8と、を含む。
図1に示す蒸気タービン4は、高圧蒸気タービン5と、中圧蒸気タービン6と、低圧蒸気タービン7と、を含み、高圧蒸気タービン5と中圧蒸気タービン6との間には、再熱器9が設けられる。高圧蒸気タービン5から排出された蒸気は、再熱器9により再加熱されて、中圧蒸気タービン6に供給されるようになっている。また、中圧蒸気タービン6から排出された蒸気は、低圧蒸気タービン7に供給されるようになっている。
【0034】
ボイラ2と高圧蒸気タービン5とは、主蒸気供給配管3を介して接続されており、主蒸気供給配管3には、止め弁11と加減弁12とを含む蒸気弁10が設けられている。すなわち、高圧蒸気タービン5は、止め弁11及び加減弁12の下流側に設けられている。止め弁11を閉じることにより、ボイラ2から高圧蒸気タービン5に供給される蒸気の流れを遮断することが可能となっている。また、加減弁12の開度を調節することにより、ボイラ2から高圧蒸気タービン5に供給される蒸気の流量を調節可能となっている。
また、再熱器9と中圧蒸気タービン6とを接続する配管には止め弁13及び加減弁14が設けられている。すなわち、中圧蒸気タービン6は、止め弁13及び加減弁14の下流側に設けられている。止め弁13及び加減弁14によって、中圧蒸気タービン6に供給される蒸気の流れを遮断し、あるいは蒸気の流量を調節することが可能となっている。
幾つかの実施形態において、止め弁11、加減弁12、止め弁13、加減弁14の少なくとも1つは、以下に説明する蒸気弁10である。
【0035】
次に、図2図7を参照して、幾つかの実施形態に係る蒸気弁10について説明する。
【0036】
図2は、幾つかの実施形態に係る蒸気弁10の全体を示す概略構成図である。図2に示すように、幾つかの実施形態に係る蒸気弁10は、ケーシング20に形成される弁座22と、ケーシング20に収容される弁体24及び弁棒26と、ガイドブシュ28と、を備える。
【0037】
弁体24は、弁棒26の端部に取付けられるとともに、弁座22に対向して、該弁座22に着座可能に設けられている。
弁棒26はアクチュエータ50に接続されており、該アクチュエータ50を作動させることによって、弁棒26を介して弁体24が駆動されるようになっている。なお、図2には、アクチュエータ50の一例として油圧アクチュエータが示されている。
ガイドブシュ28は、弁棒26の外周側に設けられており、該弁棒26を弁開閉方向に案内するように構成されている。
【0038】
なお、図2には、蒸気弁10が全開状態であるときの弁体24及び弁棒26が実線で示されるとともに、蒸気弁10が全閉状態であるときの弁体24及び弁棒26が一点鎖線で示されている。
【0039】
ケーシング20の内部には、蒸気入口16から蒸気出口18につながる蒸気流路15、及び、弁体24及び弁棒26を収容する弁収容室(17,19)が形成されている。該弁収容室(17,19)は、蒸気入口16に連通する第1収容室17と、弁座22を挟んで第1収容室17よりも蒸気流れの下流側に設けられ、蒸気出口18に連通する第2収容室19と、により構成される。
【0040】
幾つかの実施形態では、図2に示すように、蒸気弁10の弁体24は、蒸気入口16に連通する第1収容室17に収容され、該第1収容室17内にて弁開閉方向に移動可能になっている。この場合、蒸気入口16から流入した蒸気は、弁体24が収容される第1収容室17、弁座22、第2収容室19及び蒸気出口18をこの順に流れるようになっている。
【0041】
蒸気弁10を開くときは、アクチュエータ50を作動させて(例えば油圧アクチュエータの場合、油圧室に油を供給して)、開弁方向の駆動力を弁棒26に対して与える。これにより、弁体24が弁座22から離れる方向(すなわち開弁方向)に移動する。幾つかの実施形態では、ガイドブシュ28に設けられる係止部30(より具体的は後述する)により弁棒26が係止されるまで弁体24が開弁方向に移動したとき、蒸気弁10は全開状態となる。
【0042】
蒸気弁10を閉じるときは、アクチュエータ50を作動させて(例えば油圧アクチュエータの場合、油圧室から油を排出して)、弁棒26に与える開弁方向の駆動力を減少させる。これにより、弁体24及び弁棒26は、自重等により弁座22に向かって(すなわち閉弁方向に)移動する。そして、弁体24が弁座22に着座したとき蒸気弁10は全閉状態となる。
【0043】
図3図7は、それぞれ、一実施形態に係る蒸気弁10の要部を示す概略構成図である。なお、図3図6は、全開状態における蒸気弁10を示す図であり、図7は、全閉状態における蒸気弁10を示す図である。また、図3図5では、ケーシング20及びケーシング20に形成される弁座22の図示を省略している。
【0044】
図3図5に示す蒸気弁10は、上述した特徴に加えて、以下の特徴を有する。
図3図5に示す例示的な実施形態では、ガイドブシュ28は、ケーシング20内部において該ケーシング20に固定されている(図1参照)。そして、ガイドブシュ28は、弁体24が弁座22から離れる開弁方向への弁棒26の最大移動量を規制する係止部30を有する。すなわち、ガイドブシュ28に設けられた係止部30に係止されることによって弁棒26の開弁方向への移動量が最大となる状態(図3図5に図示される状態)が蒸気弁10の全開状態である。
【0045】
図3及び図4に示す例示的な実施形態では、ガイドブシュ28に設けられる係止部30は、ガイドブシュ28の内壁に形成されたテーパ面34を含む。弁棒26は、弁体24に近づくほど縮径する第1縮径部32を有し、蒸気弁10の全開時において、ガイドブシュ28のテーパ面34が弁棒26の第1縮径部32に係合するようになっている。これにより、弁棒26がガイドブシュ28により係止された状態となる。
【0046】
図5に示す例示的な実施形態では、ガイドブシュ28の内部に、弁棒26の外周側において弁棒26の軸方向に沿って延在する内部空間42が設けられている。ガイドブシュ28の内部空間42は、弁棒26の軸方向においてガイドブシュ28が延在する領域のうち一部に設けられており、上述の係止部30は、内部空間42の上端を規定するガイドブシュ28の壁面38を含む。
弁棒26は、弁棒26の径方向外方に突出するフランジ部40を有し、フランジ部40は、ガイドブシュ28の内部空間42内を弁棒26の軸方向に沿って移動可能になっている。そして、蒸気弁10の全開時において、フランジ部40は、ガイドブシュ28の壁面38(係止部30)と係合するようになっている。これにより、弁棒26がガイドブシュ28により係止された状態となる。
【0047】
図3図5に示す実施形態を含む幾つかの実施形態において、ガイドブシュ28の基端部29の最小厚さtに対する弁棒26の先端部27の半径rの比r/tは、1.5以上4.0以下である。あるいは、幾つかの実施形態では、前記比r/tは、2.0以上3.0以下であってもよい。
【0048】
弁棒26の先端部27は、弁棒26のうち、ガイドブシュ28による係止状態においてガイドブシュ28によって覆われずに露出した部分である。また、ガイドブシュ28の基端部29は、ガイドブシュ28のうち、係止部30を挟んで弁体24と反対側の部分である。
図3及び図4に示す実施形態では、弁棒26の先端部27は、弁棒26のうち第1縮径部32よりも弁体24側の部位である。
また、図5に示す実施形態では、弁棒26の先端部27は、弁棒26のうちフランジ部40よりも弁体24側の部位である。
【0049】
ここで、図8は、ガイドブシュ28の基端部29の最小厚さt(図3図5参照)に対する弁棒26の先端部27の半径r(図3図5参照)の比r/tと、弁棒26の先端剛性との相関関係を示すグラフであり、図9は、上述の比r/tと、弁棒26の固有振動数との相関関係を示すグラフである。なお、弁棒26の先端剛性とは、弁棒26の先端部(弁体24が取付けられている付近)に、弁棒26の径方向に1Nの荷重を加えたときの弁棒26の変形量から算出される値である。なお、固有振動数は剛性の指標であり、固有振動数が大きいほど、剛性が大きくなる傾向がある。
【0050】
図8及び図9のグラフは、本発明者らの知見により得られたグラフであるが、これらのグラフに示されるように、ガイドブシュ28の基端部29の最小厚さtに対する弁棒26の先端部27の半径rの比r/tが1.5以上4.0以下であるときに、比較的大きな先端剛性が得られるとともに、比較的大きな固有振動数が得られる。よって、上述の比r/tを1.5以上4.0以下又は2.0以上3.0以下の範囲内に設定することにより、弁棒26およびガイドブシュ28の剛性をバランス良く向上させ、蒸気弁10の全開時における弁棒26の振動を抑制することができる。
【0051】
すなわち、上述の比r/tを1.5以上とすることで、ガイドブシュ28の外径が過度に大きくなる事態を防ぎつつ、蒸気弁10の全開時にガイドブシュ28から露出する弁棒26の先端部27の半径rを十分に大きく確保し、弁棒26の剛性を高めて振動を抑制できる。一方、上述の比r/tを4.0以下とすることで、ガイドブシュ28の適度な厚さtを確保して、ガイドブシュ28の変形を抑制し、ガイドブシュ28の変形に伴う弁棒26の振動を抑制可能である。よって、弁棒26の振動によって生じ得る蒸気弁10の弁体24周辺部の不具合(摩耗等)を抑制することができる。
【0052】
また、上述の比r/tを2.0以上とすることで、ガイドブシュ28の外径が過度に大きくなる事態を防ぎつつ、蒸気弁10の全開時にガイドブシュ28から露出する弁棒26の先端部27の半径rを十分に大きく確保しやすくなり、弁棒26の剛性を高めて振動をより効果的に抑制できる。一方、上述の比r/tを3.0以下とすることで、ガイドブシュ28の適度な厚さtを確保して、ガイドブシュ28の変形を抑制しやすくなり、ガイドブシュ28の変形に伴う弁棒26の振動をより効果的に抑制することができる。
【0053】
また、図3又は図4に示す実施形態のように、ガイドブシュ28の係止部30(テーパ面34)と係合する弁棒26の第1縮径部32よりも弁体24側の部位の半径rを、ガイドブシュ28の基端部29の最小厚さtとの関係で上記範囲内の大きさ(r/tが1.5以上4.0以下又は2.0以上3.0以下となる大きさ)に設定することで、蒸気弁10の全開時における弁棒26の振動を抑制可能である。
【0054】
また、弁棒26の先端部27を比較的大径(r/t≧1.5)とすると、弁棒26の基端部35(弁棒26のうち、弁棒26の軸方向において係止部30に係合する部位(例えば第1縮径部32又はフランジ部40等)を挟んで先端部27と反対側に位置する部位であり、蒸気弁10の全開時においてガイドブシュ28によって覆われる、又は、ガイドブシュ28からみて開弁方向とは反対側に位置する部位)も大径になってしまい、弁棒26の材料費が嵩んだり、弁棒26を駆動するためのアクチュエータ50が大型化してしまうといった問題が生じかねない。この点、図5に示す実施形態のように、フランジ部40を有する弁棒26を採用することで、ガイドブシュ28の係止部30との係合可能な構造を実現しつつ、弁棒26の基端部を小径にすることが可能となり、上述の問題を解消することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、ガイドブシュ28うち係止部30から弁体24側への延長部の長さlとしたとき、弁棒26の先端部27の半径rに対するガイドブシュ28の前記延長部の長さlの比l/rは、1.25以下である。
【0056】
このように、ガイドブシュ28の延長部の長さlを、弁棒26の先端部27の半径rとの関係で比較的短くすることにより、蒸気弁10の全閉時におけるガイドブシュ28と弁体24との干渉を回避しながら、蒸気弁10の全開時において弁棒26の支点として働くガイドブシュ28の係止部30を弁体24に近づけることができる。これにより、蒸気弁10の全開時における弁棒26が拘束される支点(即ち、ガイドブシュ28の係止部30)を基準とした弁棒26の長さ(ガイドブシュ28の拘束を受けずに自由に振動し得る弁棒26の部位の長さ)を短くし、弁棒26の振動を効果的に抑制できる。
【0057】
幾つかの実施形態では、例えば図4に示すように、弁棒26の基端部35は、蒸気弁10の全開時においてガイドブシュ28によって覆われているか、あるいは、ガイドブシュ28からみて開弁方向とは反対側に位置するとともに、弁棒26の基端部35は、弁棒26の他の部位よりも縮径された第2縮径部36を含む。
なお、図4に示す例示的な実施形態では、弁棒26の基端部35は、蒸気弁10の全開時においてガイドブシュ28によって覆われている部分、及び、ガイドブシュ28からみて開弁方向とは反対側に位置する部分を含み、弁棒26の基端部35は、弁棒26の他の部位よりも縮径された第2縮径部36を含む。
【0058】
上述したように、弁棒26の先端部27を比較的大径(r/t≧1.5)とすると、弁棒26の基端部35も大径になってしまい、弁棒26の材料費が嵩んだり、弁棒26を駆動するためのアクチュエータ50が大型化してしまうといった問題が生じ得る。
この点、図4に示す実施形態のように、弁棒26の基端部35に第2縮径部36を設ける場合、蒸気弁10の全開時にガイドブシュ28から露出する弁棒26の先端部27の剛性を高めつつ、弁棒26の基端部35を相対的に小径化して、弁棒26の材料費を削減するとともにアクチュエータ50の大型化を抑制することができる。
【0059】
図5に示す例示的な実施形態において、弁棒26の先端部27は、フランジ部40を挟んで弁棒26の先端部27と反対側の弁棒26の基端部35よりも大径である。すなわち、弁棒26の先端部27の半径rは、弁棒26の基端部35の半径rよりも大きい。
このように、弁棒26の先端部27を弁棒26の基端部35よりも大径にすることで、蒸気弁10の全開時にガイドブシュ28から露出する弁棒26の先端部27の剛性を高めつつ、弁棒26の基端部35を相対的に小径化して、弁棒26の材料費を削減するとともにアクチュエータ50の大型化を抑制することができる。
【0060】
また、図5に示す例示的な実施形態では、ガイドブシュ28は、係止部30を含む第1部分28Aと、第1部分28Aに対して着脱可能に設けられた第2部分28Bと、を含む。ガイドブシュ28の第2部分28Bは、ガイドブシュ28の基端部29の少なくとも一部を形成している。
【0061】
このように、ガイドブシュ28の基端部29の少なくとも一部を形成する第2部分28Bがガイドブシュ28の係止部30を含む第1部分28Aに対して着脱可能であるので、フランジ部40を有する弁棒26のガイドブシュ28への組み付けが容易になる。
【0062】
なお、第1部分28A及び第2部分28Bは、互いに螺合可能な螺子溝を有し、該螺子溝において螺合することによって、組み立てられるようになっていてもよい。
【0063】
図6及び図7に示す蒸気弁10は、ケーシング20、弁座22及び弁体24については基本的に図2に示す蒸気弁10と同様の構成を有するが、弁体24が取付けられる弁棒26及び弁棒26の外周側に設けられるブシュ52について、図2図5に示した実施形態とは異なる特徴を有する。
【0064】
幾つかの実施形態では、例えば図6及び図7に示すように、弁座22を含むケーシング20と、弁座22に対向する弁体24と、弁体24が取付けられる弁棒26と、弁棒26の外周側に設けられるブシュ52と、を備える。弁棒26は、ケーシング20を貫通するように設けられている。ブシュ52は、蒸気弁10の全開時における第1位置(図6参照)と、蒸気弁10の全閉時における第2位置(図7参照)との間で、弁棒26の延在方向に沿ってケーシング20に対して移動可能になっている。また、蒸気弁10の第2位置は、第1位置よりも弁体24の閉弁方向の下流側に位置する。
【0065】
ブシュ52、弁棒26及び弁体24の開弁方向への最大移動量は、ケーシング20に設けられた係止部46によって規制されるようになっている。
すなわち、図6及び図7に示す実施形態において、ケーシング20の貫通孔21の内壁面には、係止部46としてテーパ面が形成されているとともに、ブシュ52には、弁体24に近づくほど縮径する第3縮径部44が設けられている。そして、蒸気弁10の全開時において、ケーシング20のテーパ面(係止部46)がブシュ52の第3縮径部44に係合し、これによりブシュ52がケーシング20に係止された状態となる。
【0066】
図6及び図7に示す実施形態において、蒸気弁10を開くときは、アクチュエータ50(図2参照)を作動させて(例えば油圧アクチュエータの場合、油圧室に油を供給して)、開弁方向の駆動力を弁棒26に対して与える。これにより、弁体24、弁棒26及びブシュ52は、開弁方向に移動する。そして、ケーシング20に設けられる係止部46によりブシュ52が係止されるまで弁体24が弁棒26及びブシュ52とともに開弁方向に移動したとき、蒸気弁10は全開状態となる(即ち、ブシュ52は第1位置に位置する)。
【0067】
図6及び図7に示す実施形態において、蒸気弁10を閉じるときは、アクチュエータ50(図2参照)を作動させて(例えば油圧アクチュエータの場合、油圧室から油を排出して)、弁棒26に与える開弁方向の駆動力を減少させる。これにより、ブシュ52の第3縮径部44はケーシング20のテーパ面(係止部46)から離れて、弁体24、弁棒26及びブシュ52は、自重等により閉弁方向に移動する。そして、弁体24が弁座22に着座したとき蒸気弁10は全閉状態となる(即ち、ブシュ52は第2位置に位置する)。
【0068】
このように、第1位置と第1よりも閉弁方向下流側の第2位置との間でブシュ52をケーシング20に対して移動可能にすることにより、蒸気弁10の全閉時において弁体24とブシュ52との干渉を回避しながら、蒸気弁10の全開時にブシュ52から露出する弁棒26の部位54を短縮して弁棒26の振動を抑制することができる。
【0069】
図6に示す例示的な実施形態では、弁棒26とブシュ52は一体的に設けられている。よって、蒸気弁10の開弁時及び閉弁時には、弁棒26とブシュ52とは、一体的に弁開閉方向に移動する。
このように、弁棒26とブシュ52とを一体化することで、第1位置(全開時の位置)と第2位置(全閉時の位置)との間でブシュ52がケーシング20に対して移動可能な構成を容易に実現することができる。
【0070】
図7に示す例示的な実施形態では、ブシュ52は、弁棒26とは別体として設けられている。そして、ブシュ52は、弁棒26からのブシュ52の抜け落ちを防止するように弁棒26と係合する係止部56を含む。なお、図7に示す実施形態では、弁棒26には弁体24に向かうにつれて徐々に縮径する第4縮径部58が設けられるとともに、ブシュ52の内壁面には、弁棒26の第4縮径部58に係合するテーパ面が係止部56として設けられている。
【0071】
このように、弁棒26とブシュ52を別体として設けることにより、ブシュ52は弁棒26から独立して移動可能である。このため、蒸気弁10の急激な閉弁時において、移動体(弁棒26及び弁体24)の慣性を小さくし、弁体24から弁座22に伝わる衝撃を緩和することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0073】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0074】
1 蒸気タービン設備
2 ボイラ
3 主蒸気供給配管
4 蒸気タービン
5 高圧蒸気タービン
6 中圧蒸気タービン
7 低圧蒸気タービン
8 発電機
9 再熱器
10 蒸気弁
11 止め弁
12 加減弁
13 止め弁
14 加減弁
15 蒸気流路
16 蒸気入口
17 第1収容室
18 蒸気出口
19 第2収容室
20 ケーシング
21 貫通孔
22 弁座
24 弁体
26 弁棒
27 先端部
28 ガイドブシュ
28A 第1部分
28B 第2部分
29 基端部
30 係止部
32 第1縮径部
34 テーパ面
35 基端部
36 第2縮径部
38 壁面
40 フランジ部
42 内部空間
44 第3縮径部
46 係止部
50 アクチュエータ
52 ブシュ
54 部位
56 係止部
58 第4縮径部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9