(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力によりレーザー発振して給電光を出力する半導体レーザーを含む給電装置と、前記給電装置による給電光を電力に変換する光電変換素子を含む受電装置と、前記給電装置から前記受電装置に前記給電光を伝送する光ファイバーケーブルを備えた光ファイバー給電システムであって、
前記給電装置内の温度を検出する温度センサーと、
前記給電装置を含む第1のデータ通信装置と、前記受電装置を含み前記第1のデータ通信装置と光通信する第2のデータ通信装置と、
前記温度センサーが検出した温度が所定の閾値以上である場合に前記半導体レーザーに入力する電力を下げる処理を実行し、前記温度が所定の閾値未満である場合に前記半導体レーザーに入力する電力を上げる処理を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1のデータ通信装置に含まれ、前記温度センサーが検出した温度情報に基づき前記半導体レーザーに入力する電力を切り替える処理と、前記温度情報に基づき前記半導体レーザーへ入力する電力の切り替えに伴い前記半導体レーザーが出力する前記給電光の出力レベルが切り替わることに関する給電光切替情報を光通信にて前記第2のデータ通信装置へ通知する処理を実行する給電側制御部と、前記第2のデータ通信装置に含まれ、通知された前記給電光切替情報に基づき当該第2のデータ通信装置の動作モードを切り替える処理を実行する受電側制御部と、を有する光ファイバー給電システム。
前記受電側制御部は、前記給電光切替情報に基づき前記第2のデータ通信装置の動作モードの切り替えを実施したことに関するレスポンス情報を光通信にて前記給電側制御部に通知する処理を実行し、
前記給電側制御部は、前記レスポンス情報が通知されたことに応じて、前記半導体レーザーに入力する電力を切り替える処理を実行する請求項1に記載の光ファイバー給電システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本開示の一実施形態につき図面を参照して説明する。
【0011】
(1)システム概要
〔第1実施形態〕
図1に示すように本実施形態の光ファイバー給電(PoF:Power over Fiber)システム1Aは、給電装置(PSE:Power Sourcing Equipment)110と、光ファイバーケーブル200Aと、受電装置(PD:Power Device)310を備える。
なお、本開示における給電装置は電力を光エネルギーに変換して供給する装置であり、受電装置は光エネルギーの供給を受け当該光エネルギーを電力に変換する装置である。
給電装置110は、給電用半導体レーザー111を含む。
光ファイバーケーブル200Aは、給電光の伝送路を形成する光ファイバー250Aを含む。
受電装置310は、光電変換素子311を含む。
【0012】
給電装置110は電源に接続され、給電用半導体レーザー111等が電気駆動される。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
【0013】
光ファイバーケーブル200Aは、一端201Aが給電装置110に接続可能とされ、他端202Aが受電装置310に接続可能とされ、給電光112を伝送する。
給電装置110からの給電光112が、光ファイバーケーブル200Aの一端201Aに入力され、給電光112は光ファイバー250A中を伝搬し、他端202Aから受電装置310に出力される。
【0014】
光電変換素子311は、光ファイバーケーブル200Aを通して伝送されてきた給電光112を電力に変換する。光電変換素子311により変換された電力が、受電装置310内で必要な駆動電力とされる。さらに受電装置310は光電変換素子311により変換された電力を外部機器用に出力可能とされる。
【0015】
給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311の光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が500nm以下の短波長のレーザー波長をもった半導体とされる。
短波長のレーザー波長をもった半導体は、バンドギャップが大きく光電変換効率が高いので、光給電の発電側及び受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
そのためには、同半導体材料として、例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、レーザー波長(基本波)が200〜500nmのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
また、同半導体材料として、2.4eV以上のバンドギャップを有した半導体が適用される。
例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、バンドギャップ2.4〜6.2eVのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
なお、レーザー光は長波長ほど伝送効率が良く、短波長ほど光電変換効率が良い傾向にある。したがって、長距離伝送の場合には、レーザー波長(基本波)が500nmより大きいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。また、光電変換効率を優先する場合には、レーザー波長(基本波)が200nmより小さいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
これらの半導体材料は、給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311のいずれか一方に適用してもよい。給電側又は受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
【0016】
〔第2実施形態〕
図2に示すように本実施形態の光ファイバー給電(PoF:Power over Fiber)システム1は、光ファイバーを介した給電システムと光通信システムとを含むものであり、給電装置(PSE:Power Sourcing Equipment)110を含む第1のデータ通信装置100と、光ファイバーケーブル200と、受電装置(PD:Power Device)310を含む第2のデータ通信装置300とを備える。
給電装置110は、給電用半導体レーザー111を含む。第1のデータ通信装置100は、給電装置110のほか、データ通信を行う発信部120と、受信部130とを含む。第1のデータ通信装置100は、データ端末装置(DTE(Date Terminal Equipment))、中継器(Repeater)等に相当する。発信部120は、信号用半導体レーザー121と、モジュレーター122とを含む。受信部130は、信号用フォトダイオード131を含む。
【0017】
光ファイバーケーブル200は、信号光の伝送路を形成するコア210と、コア210の外周に配置され、給電光の伝送路を形成するクラッド220と有する光ファイバー250を含む。
【0018】
受電装置310は、光電変換素子311を含む。第2のデータ通信装置300は、受電装置310のほか、発信部320と、受信部330と、データ処理ユニット340とを含む。第2のデータ通信装置300は、パワーエンドステーション(Power End Station)等に相当する。発信部320は、信号用半導体レーザー321と、モジュレーター322とを含む。受信部330は、信号用フォトダイオード331を含む。データ処理ユニット340は、受信した信号を処理するユニットである。また、第2のデータ通信装置300は、通信ネットワークにおけるノードである。または第2のデータ通信装置300は、他のノードと通信するノードでもよい。
【0019】
第1のデータ通信装置100は電源に接続され、給電用半導体レーザー111、信号用半導体レーザー121と、モジュレーター122、信号用フォトダイオード131等が電気駆動される。また、第1のデータ通信装置100は、通信ネットワークにおけるノードである。または第1のデータ通信装置100は、他のノードと通信するノードでもよい。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
【0020】
光電変換素子311は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた給電光112を電力に変換する。光電変換素子311により変換された電力は、発信部320、受信部330及びデータ処理ユニット340の駆動電力、その他の第2のデータ通信装置300内で必要となる駆動電力とされる。さらに第2のデータ通信装置300は、光電変換素子311により変換された電力を外部機器用に出力可能とされていてもよい。
【0021】
一方、発信部120のモジュレーター122は、信号用半導体レーザー121からのレーザー光123を送信データ124に基づき変調して信号光125として出力する。
受信部330の信号用フォトダイオード331は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光125を電気信号に復調し、データ処理ユニット340に出力する。データ処理ユニット340は、当該電気信号によるデータをノードに送信し、その一方で当該ノードからデータを受信し、送信データ324としてモジュレーター322に出力する。
発信部320のモジュレーター322は、信号用半導体レーザー321からのレーザー光323を送信データ324に基づき変調して信号光325として出力する。
受信部130の信号用フォトダイオード131は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光325を電気信号に復調し出力する。当該電気信号によるデータがノードに送信され、その一方で当該ノードからデータが送信データ124とされる。
【0022】
第1のデータ通信装置100からの給電光112及び信号光125が、光ファイバーケーブル200の一端201に入力され、給電光112はクラッド220を伝搬し、信号光125はコア210を伝搬し、他端202から第2のデータ通信装置300に出力される。
第2のデータ通信装置300からの信号光325が、光ファイバーケーブル200の他端202に入力され、コア210を伝搬し、一端201から第1のデータ通信装置100に出力される。
【0023】
なお、
図3に示すように第1のデータ通信装置100に光入出力部140とこれに付設された光コネクタ141が設けられる。また、第2のデータ通信装置300に光入出力部350とこれに付設された光コネクタ351が設けられる。光ファイバーケーブル200の一端201に設けられた光コネクタ230が光コネクタ141に接続する。光ファイバーケーブル200の他端202に設けられた光コネクタ240が光コネクタ351に接続する。光入出力部140は、給電光112をクラッド220に導光し、信号光125をコア210に導光し、信号光325を受信部130に導光する。光入出力部350は、給電光112を受電装置310に導光し、信号光125を受信部330に導光し、信号光325をコア210に導光する。
以上のように、光ファイバーケーブル200は、一端201が第1のデータ通信装置100に接続可能とされ、他端202が第2のデータ通信装置300に接続可能とされ、給電光112を伝送する。さらに本実施形態では、光ファイバーケーブル200は、信号光125,325を双方向伝送する。
【0024】
給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311の光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料としては上記第1実施形態と同様のものが適用され、高い光給電効率が実現される。
【0025】
なお、
図4に示す光ファイバー給電システム1Bの光ファイバーケーブル200Bように、信号光を伝送する光ファイバー260と、給電光を伝送する光ファイバー270とを別々に設けてもよい。光ファイバーケーブル200Bも複数本で構成してもよい。
【0026】
(2)給電用半導体レーザーに入力する電力の切り替えに伴う給電光の出力レベルの切り替えについて
次に、給電装置110内の温度変化に応じて、給電装置110の給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替え、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替える処理について説明する。
【0027】
[第1実施例]
図5に示す光ファイバー給電システム1は、給電装置110を含む第1のデータ通信装置100と、受電装置310を含む第2のデータ通信装置300と、第1のデータ通信装置100と第2のデータ通信装置300が光通信するための光ファイバーケーブル200とを備えている。
【0028】
図5に示すように、第1のデータ通信装置100に含まれている給電装置110には、給電装置110内の温度を検出する温度センサー160が設けられている。
また、第1のデータ通信装置100は、温度センサー160が検出した温度(温度情報)に基づき給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替える処理と、温度センサー160が検出した温度(温度情報)に基づき給電用半導体レーザー111へ入力する電力の切り替えに伴いその給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替わることに関する給電光切替情報を光通信にて第2のデータ通信装置300へ通知する処理とを実行する給電側制御部150を備えている。
また、第2のデータ通信装置300は、給電側制御部150から通知された給電光切替情報に基づき当該第2のデータ通信装置300の動作モードを切り替える処理を実行する受電側制御部360を備えている。
この給電側制御部150と受電側制御部360が協働することで、温度センサー160が検出した温度が所定の閾値以上である場合に給電用半導体レーザー111に入力する電力を下げ、温度センサー160が検出した温度が所定の閾値未満である場合に給電用半導体レーザー111に入力する電力を上げる処理を実行し、その給電用半導体レーザー111に入力される電力の切り替えに伴い給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替わることに対応させて、第2のデータ通信装置300の動作モードを切り替える処理を実行する制御部として機能する。
なお、閾値とする温度には、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に効率よく変換するのに適した温度や、給電用半導体レーザー111がオーバーヒートせずに電力を給電光112に変換できる温度が設定されるものとする。
【0029】
例えば、給電側制御部150は、温度センサー160が検出した温度情報を取得し、その取得した温度情報に基づき給電用半導体レーザー111に入力する電力を下げるか上げるか判断して、その給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替え、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替える処理を実行する。
また、給電側制御部150は、取得した温度情報に基づき、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替わることに関する給電光切替情報を光通信にて第2のデータ通信装置300へ通知する処理を実行し、受電側制御部360は、通知された給電光切替情報に基づき第2のデータ通信装置300の動作モードを切り替える処理を実行する。
【0030】
具体的には、給電側制御部150は、温度センサー160が検出した温度が所定の閾値以上である場合に給電用半導体レーザー111に入力する電力を下げて、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを下げる処理を実行し、また温度センサー160が検出した温度が所定の閾値未満である場合に給電用半導体レーザー111に入力する電力を上げて、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを上げる処理を実行する。
また、その給電側制御部150は、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替わることに関する給電光切替情報(ここでは、給電光112の出力レベルが下がることに関する給電光切替情報または給電光112の出力レベルが上がることに関する給電光切替情報)を第2のデータ通信装置300へ通知する処理を実行し、受電側制御部360は、通知された給電光切替情報に基づき、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが下がる場合には、第2のデータ通信装置300を比較的低電力で動作させる低電力モード(エコモード)に切り替え、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが上がる場合には、第2のデータ通信装置300を比較的高電力で動作させる高電力モード(通常モード)に切り替える処理を実行する。
【0031】
例えば、給電側制御部150の制御のもと、給電用半導体レーザー111に所定の高電力(例えば400W)が入力された場合、その高電力に応じた高い出力レベルの給電光112を給電用半導体レーザー111が出力し、また、給電用半導体レーザー111に所定の低電力(例えば200W)が入力された場合、その低電力に応じた低い出力レベルの給電光112を給電用半導体レーザー111が出力するものとする。
また、受電装置310の光電変換素子311に高い出力レベルの給電光112が入力された場合、光電変換素子311はその給電光112を比較的高い電力に変換し、また、受電装置310の光電変換素子311に低い出力レベルの給電光112が入力された場合、光電変換素子311はその給電光112を比較的低い電力に変換するものとする。
【0032】
そして、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が所定の閾値以上である場合、給電側制御部150は給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の低電力に切り替え、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを下げる。
こうすることで、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱を抑え、給電装置110内の温度が上昇するのを抑えることができる。
このとき、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが下がるという給電光切替情報に基づき、第2のデータ通信装置300は比較的低い電力(例えば100W)で動作する低電力モード(エコモード)に切り替えられており、低い電力に応じた動作を行うようになっている。
【0033】
一方、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が所定の閾値未満である場合、給電側制御部150は給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の高電力に切り替え、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを上げる。
こうすることで、給電装置110内の温度が所定の閾値未満である場合には、より高い出力レベルの給電光112を第2のデータ通信装置300の受電装置310に伝送するようにする。
このとき、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが上がるという給電光切替情報に基づき、第2のデータ通信装置300は比較的高い電力(例えば200W)で動作する高電力モード(通常モード)に切り替えられており、高い電力に応じた動作を行うようになっている。
【0034】
こうして、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が所定の閾値以上である場合には給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の低電力に切り替えるようにして、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱を抑えて給電装置110内の温度が上昇するのを抑える。
また、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が所定の閾値未満である場合には給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の高電力に切り替え、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを上げるようにして、より高い出力レベルの給電光112を第2のデータ通信装置300の受電装置310に伝送する。
【0035】
つまり、給電装置110内の温度が所定の閾値以上である場合には給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の低電力に切り替えるようにして、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱を抑えて給電装置110内の温度が上昇するのを抑えて給電装置110内の温度を下げるようにする。
そして、所定時間後などに、給電装置110内の温度が所定の閾値未満となれば、給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の高電力に切り替えるようにして、より高い出力レベルの給電光112を受電装置310に伝送して第2のデータ通信装置300を好適に動作させるようにする。
【0036】
このように、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度に応じて給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替えて、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替えることで、給電装置110内の温度上昇を抑えるとともに、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルに応じた動作モードで第2のデータ通信装置300を動作させることができる。
【0037】
特に、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱によって給電装置110内の温度が所定の閾値以上に上昇することがあっても、給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の低電力に切り替え、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱を抑えるようにすることで、給電装置110内の温度上昇を抑えることができる。
そして、給電用半導体レーザー111は、温度が高くなるに連れて給電光112の光出力が低下してしまう素子であるので、給電装置110内の温度上昇を抑えることで、給電用半導体レーザー111の光出力を安定させることができる。
また、給電用半導体レーザー111は、高温環境下で使用されるのに不向きな素子であるので、給電装置110内の温度上昇を抑えることで、給電用半導体レーザー111の劣化を抑えるなどして、給電用半導体レーザー111の光出力を長期に亘って安定させることができる。
【0038】
なお、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱によって給電装置110内の温度が上昇することがあるが、給電装置110(第1のデータ通信装置100)を含む光ファイバー給電システム1が設置されている環境の外気温が高い場合にも給電装置110内の温度が上昇することがある。
外気温によって給電装置110内の温度が所定の閾値以上に上昇した場合であっても、給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の低電力に切り替え、給電用半導体レーザー111が電力を給電光112に変換する際の発熱を抑えるようにすることで、給電装置110内の温度上昇を抑えることができる。
【0039】
[第2実施例]
上記実施形態(第1実施例)では、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度に基づき給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替えて、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替えるとともに、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替わることに対応させて、第2のデータ通信装置300の動作モードを切り替える態様について説明したが、本発明はそれに限られるものではない。
【0040】
例えば、第2のデータ通信装置300の受電側制御部360は、給電側制御部150から通知された給電光切替情報に基づき第2のデータ通信装置300の動作モードを切り替える処理を実行するとともに、動作モードの切り替えを実施したことに関するレスポンス情報を光通信にて給電側制御部150に通知する処理を実行する。
そして、第1のデータ通信装置100の給電側制御部150は、受電側制御部360からレスポンス情報が通知されたことに応じて、給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替える処理を実行する。
このような処理を実行する光ファイバー給電システム1であってもよい。
【0041】
具体的には、まず、給電側制御部150が、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度(温度情報)に基づき給電用半導体レーザー111に入力する電力を下げるか上げるか判断し、給電用半導体レーザー111へ入力する電力の切り替えに伴いその給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替わることに関する給電光切替情報(ここでは、給電光112の出力レベルが下がることに関する給電光切替情報または給電光112の出力レベルが上がることに関する給電光切替情報)を光通信にて第2のデータ通信装置300へ通知する処理を実行する。
次いで、受電側制御部360は、給電側制御部150から通知された給電光切替情報に基づき、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが下がる場合には、第2のデータ通信装置300を比較的低い電力で動作させる低電力モード(エコモード)に切り替え、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが上がる場合には、第2のデータ通信装置300を比較的高い電力で動作させる高電力モード(通常モード)に切り替える処理を実行する。
その動作モード(エコモード/通常モード)の切り替え処理後、受電側制御部360は、第2のデータ通信装置300の動作モードの切り替えを実施したことに関するレスポンス情報を光通信にて給電側制御部150に通知する処理を実行する。
次いで、給電側制御部150は、受電側制御部360からレスポンス情報が通知されたことに応じて、給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替える処理を実行し、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを下げる処理または出力レベルを上げる処理を実行する。
【0042】
このような処理手順を踏むようにすることで、第2のデータ通信装置300が第1のデータ通信装置100(給電装置110)から供給される給電光112の出力レベルに応じた動作モードに切り替えられた後、第2のデータ通信装置300(受電装置310)に給電用半導体レーザー111が出力した給電光112が伝送されるようになるので、第2のデータ通信装置300は給電光112の出力レベルにあわせた動作を行うことができる。
【0043】
例えば、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度に基づき、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルが切り替えられた後に、第2のデータ通信装置300の動作モードの切り替えが行われる場合、一時的に給電光112の出力レベルに対応していない動作モード(エコモード/通常モード)で第2のデータ通信装置300が動作するタイミングが生じることがある。
それに対し、第2実施例のような処理手順を踏むようにすれば、第2のデータ通信装置300は給電光112の出力レベルにあわせた動作を行うことができるので好ましい。
【0044】
このような第2実施例の態様であっても、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度に応じて給電用半導体レーザー111に入力する電力を切り替えて、その給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを切り替えることで、給電装置110内の温度上昇を抑えるとともに、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルに応じた動作モードで第2のデータ通信装置300を動作させることができる。
【0045】
なお、上述した給電光112の出力レベルの切り替え処理(給電用半導体レーザーに入力する電力の切り替え処理)では、所定の閾値で1つの境界を定め、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度がその閾値を超えたか否かによって給電光の出力レベルを下げたり上げたり切り替えるようにしたが、所定の閾値は1つの境界を定めるものでなく、上限の閾値と下限の閾値とで2つの境界を定めるものでもよい。
その場合、例えば、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が上限の閾値以上である場合には、給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の低電力に切り替え、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを低レベルにする。このとき、第2のデータ通信装置300は、比較的低い電力(例えば100W)で動作する低電力モード(エコモード)に切り替えられるようになっている。
また、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が上限の閾値未満で下限の閾値以上である場合には、給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の中電力に切り替え、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを中レベルにする。このとき、第2のデータ通信装置300は、比較的中位の電力(例えば150W)で動作する中電力モード(準エコモード)に切り替えられるようになっている。
また、温度センサー160が検出した給電装置110内の温度が下限の閾値未満である場合には、給電用半導体レーザー111に入力する電力を所定の高電力に切り替え、給電用半導体レーザー111が出力する給電光112の出力レベルを高レベルにする。このとき、第2のデータ通信装置300は、比較的高い電力(例えば200W)で動作する高電力モード(通常モード)に切り替えられるようになっている。
【0046】
以上本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、この他の様々な形態で実施が可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。