特許第6960385号(P6960385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960385
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】クーラント供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20211025BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B23Q11/00 U
   B23Q11/10 E
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-202857(P2018-202857)
(22)【出願日】2018年10月29日
(65)【公開番号】特開2020-69540(P2020-69540A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2021年4月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】船越 元気
(72)【発明者】
【氏名】植松 元貴
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−028353(JP,A)
【文献】 実開昭51−163669(JP,U)
【文献】 特開平06−277657(JP,A)
【文献】 特開2014−034082(JP,A)
【文献】 特開2014−151318(JP,A)
【文献】 特開平10−015775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B23Q 11/10
B24B 55/03
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれクーラントが貯留される第1次槽、油分離槽及び第2次槽を有するクーラントタンクと、
濾過部を有し、前記第1次槽から汲み上げたクーラントを前記濾過部により濾過して前記第2次槽に移送する移送部と、
前記油分離槽に設けられ、前記油分離槽内のクーラントから油を回収する油回収部と、
前記第2次槽内のクーラントを汲み上げて対象装置に供給するクーラント供給部とを備え、
前記対象装置に供給されたクーラントが前記第1次槽に還流されるように構成されたクーラント供給装置であって、
前記第2次槽からオーバーフローしたクーラントが前記油分離槽に流入し、
前記油分離槽からオーバーフローしたクーラントが前記第1次槽に流入するように構成されると共に、
前記第1次槽内のクーラントを汲み上げて該第1次槽内に吐出し、吐出するクーラントによって該第1次槽内を攪拌する攪拌部と、
前記攪拌部の前記クーラントを吐出する流路に配設され、流通するクーラントに気泡を生じさせる気泡生成部とを更に備え
前記第1次槽内は、前記気泡生成部によって生成された気泡によって充満され、
前記移送部は、前記第1次槽内のクーラントを、前記気泡を含んだ状態で前記第2次槽に移送するように構成されていることを特徴とするクーラント供給装置。
【請求項2】
前記油分離槽は、前記第1次槽に前記クーラントをオーバーフローさせるオーバーフロー部と所定間隔をあけて対向するように、該油分離槽の底面から立設されて該油分離槽を2つの領域に分離する第1仕切板、及び前記オーバーフロー部と第1仕切板との間に設けられた第2仕切板を備え、
前記第1仕切板は、満水時にクーラント液中に浸漬し、
前記第2仕切板は、その上面が満水時のクーラント液面よりも上方に位置し、且つその下面が前記油分離槽の底面と所定の間隔を有するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のクーラント供給装置。
【請求項3】
前記気泡生成部は、流通するクーラントにキャビテーションを生じさせることによって、液中に気泡を生じさせるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のクーラント供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラントを所定の装置、例えば工作機械等に供給するクーラント供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工作機械の分野では、前記クーラント供給装置から当該工作機械の加工領域に水性のクーラントを供給することよって、工具刃先やワークを冷却するとともに、加工によって生じた切屑を効率良く加工領域外に排出するようにしている。
【0003】
ところで、工作機械など、運動機構を備えた装置の場合には、当該運動機構を構成する摺動部等の摩擦を軽減するために潤滑油が供給されており、前記加工領域に供給されたクーラントは、当該運動機構に供給された潤滑油が混入した状態でクーラントタンクに回収される。また、加工対象物(ワーク)が鋳物やセラミックである場合には、このワークを除去加工すると微細な粉末状の切屑を生じ、このため、クーラントはこのような粉末状の切屑が混入し、分散した状態でクーラントタンクに回収される。
【0004】
斯くして、このように潤滑油や微細な切屑が混入すると、クーラントの性能が低下するという問題を生じ、また、タンク中のクーラント表層に油膜が形成されることにより、嫌気性の細菌が繁殖して腐敗臭が発生するという問題を生じる。
【0005】
そこで、従来、下記特許文献1に開示されるような切削液腐敗防止装置が提案されている。この切削液腐敗防止装置は、工作機械の切削液タンクに設けられるもので、オイルスキマーと羽根付車とを備えて構成される。オイルスキマーは、その支持軸が、前記切削液タンク上に載置されたチップコンベアの駆動モータに接続され、更に、この支持軸には前記羽根付車が同軸に連結されており、チップコンベアの駆動モータによってオイルスキマー及び羽根付車が回転する。
【0006】
また、前記切削液タンクは、一部に切欠き部が形成された仕切板によって2つの槽に分離されており、当該2つの槽は前記切欠き部を通して、相互に連通した状態となっている。そして、切削液タンクの一方の槽には前記オイルスキマーが配設され、他方の槽には羽根付車が配設されている。
【0007】
この切削液腐敗防止装置によれば、切削液タンクの前記一方の槽の切削液に含まれる油が当該一方の槽に配設されたオイルスキマーによって除去される。また、前記他方の槽の切削液は当該他方の槽に配設された羽根付車の回転によって内部に気泡が含まれるように攪拌され、これにより、腐敗菌の成長が抑制されるとのことである。また、羽根付車が設けられる槽と、オイルスキマーが設けられる槽とが前記仕切板によって仕切られているので、前記羽根付車の回転によって前記他方の槽の切削液に生じた波動が前記一方の槽の切削液に伝播するのが抑制されるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−114222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、水性のクーラント中に含まれる油分は疎水性であって、クーラントと油分とは相溶性を持たないため、単に混入した状態では、油分は分離した状態でクーラント中に混在するが、工作機械の分野では、クーラントをポンプによって汲み上げて、適宜吐出ノズルから加工領域内に供給するようにしているため、その過程で油分とクーラントとが攪拌され、このため、油分はエマルション化(乳化)してクーラントに混入することになる。
【0010】
また、上述したように、クーラントには微細な切屑が混入しているが、通常、この切屑はフィルタなどを用いて濾過され、クーラント中から除去される。その際、切削液タンク内のクーラントはポンプなどを用いてフィルタに供給され、当該フィルタによって濾過された後、再び、切削液タンクに戻される。そして、このような濾過過程においても、油分とクーラントとが攪拌され、当該油分がエマルション化(乳化)してクーラントに混入することになる。
【0011】
ところが、エマルション化(乳化)した油分は、容易には、クーラントから分離しないため、当該油分はクーラントの表層で膜を形成するような態様をとらない。このため、上述した従来の切削液腐敗防止装置では、このようなエマルション化(乳化)した油分を除去することができなかった。
【0012】
しかしながら、エマルション化した油分がクーラントに含まれ、その濃度が高まると、当該クーラントの性能が低下するという問題を生じ、また、クーラント中に嫌気性の細菌が繁殖して腐敗臭が発生するという問題を生じる。
【0013】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、クーラント中にエマルション化して混入した油分を効率的に除去することが可能なクーラント供給装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、それぞれクーラントが貯留される第1次槽、油分離槽及び第2次槽を有するクーラントタンクと、
濾過部を有し、前記第1次槽から汲み上げたクーラントを前記濾過部により濾過して前記第2次槽に移送する移送部と、
前記油分離槽に設けられ、前記油分離槽内のクーラントから油を回収する油回収部と、
前記第2次槽内のクーラントを汲み上げて対象装置に供給するクーラント供給部とを備え、
前記対象装置に供給されたクーラントが前記第1次槽に還流されるように構成されたクーラント供給装置であって、
前記第2次槽からオーバーフローしたクーラントが前記油分離槽に流入し、前記油分離槽からオーバーフローしたクーラントが前記第1次槽に流入するように構成されると共に、
前記第1次槽内のクーラントを汲み上げて該第1次槽内に吐出し、吐出するクーラントによって該第1次槽内を攪拌する攪拌部と、
前記攪拌部の前記クーラントを吐出する流路に配設され、流通するクーラントに気泡を生じさせる気泡生成部とを、更に備えたクーラント供給装置に係る。
【0015】
このクーラント供給装置によれば、第2次槽内のクーラントがクーラント供給部により汲み上げられて対象装置に供給され、対象装置に供給されたクーラントは適宜経路を経て第1次槽に還流される。
【0016】
また、第1次槽内のクーラントは、攪拌部により汲み上げられた後、当該第1次槽内に吐出され、その吐出過程において、攪拌部の流路に配設された気泡生成部によって液中に気泡が生成される。そして、このような作用によって第1次槽内のクーラントが攪拌され、気泡が第1次槽内で隈なく行き渡ると共に、当該クーラントが気泡によって充満された状態となる。このような気泡は極めて微細な気泡であり、マイナスの電荷を帯びている。一方、対象装置から第1次槽に還流されるクーラントに混入した切屑や、エマルション化して混入した油分はプラスに帯電しており、このような電気的な関係から、切屑やエマルション化した油分が当該微細気泡に凝集される。
【0017】
また、第1次槽内のクーラントは、移送部により第1次槽から汲み上げられ、当該クーラント中に混入した切屑が濾過部により除去された後、第2次槽に移送される。このように、クーラントは、第2次槽→対象装置→第1次槽→第2次槽という経路で循環する。
【0018】
そして、第2次槽内では、エマルション油分を凝集した微細気泡、及び凝集されていないエマルション油分がクーラント中に混在した状態となっているが、この第2次槽内では、微細気泡へのエマルション油分の凝集が進み、クーラントとの比重差から、凝集した油分がクーラントの表層に浮上することになる。
【0019】
そして、第2次槽のクーラントは、当該第2次槽から油分離槽にオーバーフローするように構成されており、クーラントの表層に浮上して油分離槽に流入した油分は、当該油分離槽に設けられた油回収部によって回収される。斯くして、クーラントは、第2次槽→油分離槽→第1次槽→第2次槽という経路で循環する。また、第2次槽のクーラントは、上述したように、クーラント供給部により汲み上げられて対象装置に供給される。尚、第1次槽には、第2次槽及び油分離槽を経ることによって、濾過部により切屑が除去されると共に、油回収部により油分が除去された清浄なクーラントが還流されるので、当該第1次槽内のクーラントは、全体的にはある程度清浄な状態となっている。
【0020】
以上のように本発明に係るクーラント供給装置によれば、移送部により第1次槽から第2次槽にクーラントを移送する間に、濾過部によってクーラント中の切屑を除去するようにしているので、クーラント中に混入した切屑を効率良く、確実に除去することができ、切屑の混入による当該クーラントの性能低下を効果的に抑制することができる。
【0021】
また、第1次槽でクーラント中に微細気泡を充満させ、このように微細気泡を充満させたクーラントを第2次槽に移送し、第2次槽内において、エマルション化した油分を微細気泡に十分に凝集させて、凝集した油分をクーラントの表層に浮上させた後、この第2次槽から油分離槽にオーバーフローした油分を油回収部によって回収するようにしているので、クーラント中に混入したエマルション化された油分を効率良く、確実に除去することができ、油分の混入による当該クーラントの性能低下をより効果的に抑制することができる。また、このように油分を除去することで、クーラント中に嫌気性細菌が繁殖するのをより効果的に抑制することができる。
【0022】
本発明において、前記気泡生成部は、流通するクーラントにキャビテーションを生じさせることによって、液中に気泡を生じさせるものであることが好ましい。このような構成によれば、クーラント中の溶存気体等から気泡を生成するので、新たな酸素を液中に持ち込むことなく気泡を生成することができる。そして、この気泡は液中で破裂して再度クーラント中に溶け込む態様をとるが、その破裂時に圧力波等によって殺菌、消毒効果を発現する。以上の面からしても、クーラント中で細菌が繁殖するのをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明に係るクーラント供給装置によれば、移送部により第2次槽から第1次槽にクーラントを移送する間に、濾過部によってクーラント中の切屑を除去するようにしているので、クーラント中に混入した切屑を効率良く、確実に除去することができ、切屑の混入による当該クーラントの性能低下を効果的に抑制することができる。
【0024】
また、第1次槽でクーラント中に微細気泡を充満させ、このように微細気泡を充満させたクーラントを第2次槽に移送し、第2次槽内において、エマルション化した油分を微細気泡に十分に凝集させて、凝集した油分をクーラントの表層に浮上させた後、この第2次槽から油分離槽にオーバーフローした油分を油回収部によって回収するようにしているので、クーラント中に混入したエマルション化された油分を効率良く、確実に除去することができ、油分の混入による当該クーラントの性能低下をより効果的に抑制することができる。また、このように油分を除去することで、クーラント中に嫌気性細菌が繁殖するのをより効果的に抑制することができる。
【0025】
また、前記気泡生成部を、流通するクーラントにキャビテーションを生じさせることによって、液中に気泡を生じさせる構成のものを採用すれば、新たな酸素を液中に持ち込むことなく気泡を生成することができ、また、気泡が破裂して再度溶け込む際に、圧力波等によって殺菌、消毒効果を発現するので、この面においても、クーラント中で細菌が繁殖するのをより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るクーラント供給装置の概略構成を、クーラントの流通経路を理解し易いように展開して示した説明図である。
図2】本実施形態に係るクーラント供給装置のクーラントタンクを示した平面図である。
図3】本実施形態の攪拌部を構成する配管及び気泡生成器を示した断面図である。
図4】本実施形態において、エマルション化された油分が微細気泡に凝集される作用を説明するための説明図である。
図5】本実施形態において、エマルション化された油分が微細気泡に凝集される作用を説明するための説明図である。
図6】本実施形態において、エマルション化された油分が微細気泡に凝集される作用を説明するための説明図である。
図7】本実施形態において、エマルション化された油分が微細気泡に凝集される作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本例のクーラント供給装置1は、工作機械75に付設されて、当該工作機械75にクーラントCを供給する装置であり、クーラントタンク2、移送部10、攪拌部20、循環部30、第1供給部40、第2供給部45、第3供給部50、還流部55、オイルスキマー60、熱交換器65及び制御装置70などから構成される。
【0028】
前記クーラントタンク2は、第1タンク3及び第2タンク5から構成され、図2に示すように、第1タンク3と第2タンク5とは相互に隣接するように配置され、全体として平面視矩形状を呈するように形成されている。
【0029】
前記第1タンク3は単一の槽である第1次槽4を形成しており、前記工作機械75に供給されたクーラントCがこの第1次槽4に還流される。また、この第1次槽4には、クーラントCの液面高さの上限値及び下限値を設定するための液面センサ4aが設けられている。
【0030】
前記第2タンク5には、隔壁5cによって仕切られた第2次槽7及び油分離槽6の2つの槽が形成されている。また、第2次槽7内のクーラントCは隔壁5cを越えて油分離槽6にオーバーフローするようになっている(図1及び図2における実線の矢印を参照)。
【0031】
また、油分離槽6を形成する前記第1次槽4側の側壁5aには、前記隔壁5cの上辺より低い位置に開口5bが形成されており、油分離槽6内のクーラントCがこの開口5bを通して第1次槽4にオーバーフローするようになっている(図1及び図2における実線の矢印を参照)。尚、第2次槽7には、クーラントCの液面高さの下限値を設定するための液面センサ7dが設けられている。
【0032】
また第2次槽7は、クーラントCが満水状態となったときに、当該クーラントC中に浸漬するように設けられた仕切板7aを備えており、第2槽7内は、この仕切板7aによって、油分離槽6側のB領域7cとこれ以外のA領域7bとの2つの領域に仕切られている。
【0033】
また、前記油分離槽6は、前記側壁5aに近い方から順に当該側壁5aと平行に設けられた仕切板6a,6bを備えている。仕切板6bは、油分離槽6を2つの領域に分離するように設けられるとともに、クーラントCが満水状態となったときに、当該クーラントC中に浸漬するように設けられている。一方、仕切板6aは、その下面が油分離槽6の底面と適宜間隔を有するように設けられ、また、その上面が満水のクーラントCの液面よりも上方に位置するように、即ち、前記開口5bよりも上方に位置するように設けられている。
【0034】
斯くして、この油分離槽6では、仕切板6bと隔壁5cとの間のクーラントCが仕切板6bの上辺を越えて仕切板6a側に流入する。また、仕切板6aと隔壁5cとの間のクーラントCと、仕切板6aと側壁5aとの間のクーラントCとは、その表層部が仕切板6aによって分離されており、これにより、仕切板6aと隔壁5cとの間の表層部に位置する油分が仕切板6aと側壁5aとの間に流入するのが防止される。一方、仕切板6aと仕切板6bとの間のクーラントCと、仕切板6aと側壁5aとの間のクーラントCとは、仕切板6aと油分離槽6の底面との間の隙間を通じて相互に連通した状態となっており、このような態様の下で、上述した如く、油分離槽6内のクーラントCが前記開口5bを通じて第1次槽4にオーバーフローする。
【0035】
前記移送部10は、移送ポンプ11及び配管12,13、並びに濾過部を形成する第1フィルタ17及び第2フィルタ18などから構成される。配管12はその一方端が前記第1次槽4内のクーラントC中に没し、他方端が第2次槽7のA領域7b内のクーラントC中に没している。そして、この配管12には、これに介在するように前記移送ポンプ11が設けられ、この移送ポンプ11により配管12を通して第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられる。
【0036】
配管12は、その前記他方端と移送ポンプ11との間において配管13が分岐し、更に、配管13の分岐部と前記他方端との間に前記第1フィルタ17が設けられ、この第1フィルタ17より上流側近傍の配管12に圧力計12aが設けられている。また、第1フィルタ17には、仕切弁17a及び切屑捕集容器17bが接続されており、仕切弁17aが開のとき、第1フィルタ17によりクーラントCから分離された切屑がこの切屑捕集容器17bに捕集される。
【0037】
前記配管13は、その端部との間に前記第2フィルタ18が設けられ、当該端部は前記第2次槽7のA領域7b内のクーラントC中に没している。また、この第1フィルタ18より上流側近傍の配管13には圧力計13aが設けられ、更に、この第2フィルタ18には、仕切弁18a及び切屑捕集容器18bが接続されており、仕切弁18aが開のとき、第2フィルタ18によりクーラントCから分離された切屑がこの切屑捕集容器18bに捕集される。
【0038】
この移送部10によれば、前記移送ポンプ11により配管12を通して第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられ、汲み上げられたクーラントCは配管12内を流通して第1フィルタ17により濾過された後、当該配管12を通じて第2次槽7のA領域7b内に供給される(図2の点線で示した矢印を参照)。また、移送ポンプ11によって汲み上げられたクーラントCは配管13内を流通して第2フィルタ18により濾過された後、当該配管14を通じて第2次槽7のA領域7b内に供給される(図2の点線で示した矢印を参照)。
【0039】
また、この移送部10では、仕切弁17a及び18aを閉じた状態にすることで、移送ポンプ11を停止することなく、切屑捕集器17b,18bに捕集された切屑を回収することができる。
【0040】
前記攪拌部20は、攪拌ポンプ21、配管22,切換弁23、配管24、気泡生成器25及び配管26などから構成される。配管22はその一方端が前記第1次槽4内のクーラントC中に没し、他方端が前記切換弁23に接続され、この配管22に前記攪拌ポンプ21が設けられている。切換弁23には配管24及び配管26のそれぞれ一方端が接続され、配管24の他方端は第1次槽4内のクーラントC中に没しており、配管26の他方端は工作機械75に付設された手動用クーラントノズル(ガン)に接続されている。また、配管24には、気泡生成器25が介在するように配設されている。
【0041】
前記気泡生成器25は、図3に示すように、配管24の中間部分に配設されるもので、その両端部が、上流側の配管24及び下流側の配管24に嵌挿され、当該嵌挿部がOリング24a,24aによって液密状にシールされている。また、気泡生成器25は、上流側に開口し、上流側の配管24の流路と連通する縮径流路25a、下流側に開口し、下流側の配管24の流路と連通する拡径流路25c、及び縮径流路25aと拡径流路25cとを連通させる絞り流路25bを備えている。尚、縮径流路25aはクーラントCの流通方向(図3における矢示方向)に沿って縮径しており、逆に、拡径流路25cは前記流通方向に沿って拡径している。また、絞り流路25bは、それぞれ縮径流路25a及び拡径流路25cの最小径と同径になっている。
【0042】
この攪拌部20によれば、攪拌ポンプ21により配管22を通して第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられる。そして、切換弁23の切り換え動作によって、攪拌ポンプ21によって汲み上げられたクーラントCは配管24又は配管26に選択的に供給される。クーラントCが配管24に供給される場合、クーラントCは当該配管24を通じて第1次槽4内に吐出され、これにより第1次槽4内のクーラントCが攪拌される。その際、クーラントCは気泡生成器25内を流通し、その縮径流路25aを流通する過程で増圧され、絞り流路25bを経て拡径流路25cに流入する際に急に減圧される。そして、この拡径流路25cを流通する過程の減圧作用によって、クーラントCにキャビテーション現象が生じ、このキャビテーション現象によって、溶存気体に由来する微細な気泡がクーラントC中に生成される。斯くして、第1次槽4内は、配管24から吐出されるクーラントCによって攪拌されると共に、当該クーラントC中に含まれる微細な気泡で充満される。
【0043】
一方、切換弁23を介してクーラントCが配管26に供給される場合には、前記手動用クーラントノズルを操作することによって、工作機械75にクーラントCが供給される。尚、切換弁23は、手動用クーラントノズルにクーラントCを供給する要求がある場合にのみ、配管26にクーラントCを供給するように切り換えられ、通常の状態では、配管24にクーラントCを供給するように切り換えられている。
【0044】
前記循環部30は、循環ポンプ31、配管32,配管33及び第3フィルタ34などから構成される。配管32はその一方端が前記第1次槽4内のクーラントC中に没し、他方端も同様に第1次槽4内のクーラントC中に没している。配管32には前記循環ポンプ31が設けられ、この循環ポンプ31により配管32を通して第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられる。また、配管32には第3フィルタ34が設けられ、更に、この第3フィルタ34には、仕切弁34a及び切屑捕集容器34bが接続されており、仕切弁34aが開のとき、第3フィルタ34によりクーラントCから分離された切屑がこの切屑捕集容器34bに捕集される。また、循環ポンプ31と第3フィルタ34との間の配管32から、仕切弁33aを有する配管33が分岐し、その端部が第1次槽4内のクーラントC中に没している。また、第3フィルタ34と配管33の分岐部との間の配管32に圧力計32aが設けられている。
【0045】
この循環部30によれば、循環ポンプ31により配管32を通じて第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられ、汲み上げられたクーラントCは第3フィルタ34により濾過された後、配管32を通じて第1次槽4内に吐出され、これにより第1次槽4内のクーラントCが攪拌される。また、仕切弁33aが開のときには、配管32から分岐した配管33を通じてクーラントCが第1次槽4内に吐出され、このクーラントCによって第1次槽4内のクーラントCが攪拌される。また、仕切弁33aの開度を調整することにより、配管32を通じて第3フィルタ34に供給されるクーラントCの圧力が調整される。また、仕切弁34aを閉じた状態にすることで、循環ポンプ31を停止することなく、切屑捕集器34bに捕集された切屑を回収することができる。
【0046】
前記第1供給部40は、一方端が第2次槽7のA領域7b内のクーラントC中に没し、他方端が工作機械75の加工領域内に接続された供給管42と、この供給管42に介在するように設けられた第1供給ポンプ41などから構成される。この第1供給部40では、第1供給ポンプ41により配管42を通じて第2次槽7内のクーラントCが汲み上げられ、汲み上げられたクーラントCが配管42を通じて工作機械75の加工領域内に供給される。
【0047】
前記第2供給部45は、同様に、一方端が第2次槽7のA領域7b内のクーラントC中に没し、他方端が工作機械75の加工領域内に接続された供給管47と、この供給管47に介在するように設けられた第2供給ポンプ46などから構成される。この第2供給部45では、第2供給ポンプ46により配管47を通じて第2次槽7内のクーラントCが汲み上げられ、汲み上げられたクーラントCが配管47を通じて工作機械75の加工領域内に供給される。
【0048】
前記第3供給部50は、一方端が第1次槽4内のクーラントC中に没し、他方端が工作機械75のオイルパンなどの被洗浄部に接続された供給管52と、この供給管52に介在するように設けられた第3供給ポンプ51などから構成される。この第3供給部50では、第3供給ポンプ51により配管52を通じて第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられ、汲み上げられたクーラントCが配管52を通じて工作機械75の被洗浄部に供給される。
【0049】
前記還流部55は、前記第1次槽4上に設けられたフィルタ57と、一方端が前記工作機械75のクーラント回収部に接続され、他方端が前記フィルタ57に接続された還流管56などから構成される。工作機械75のクーラント回収部に回収されたクーラントCは還流管56を介してフィルタ57に還流され、このフィルタ57によって濾過された後、第1次槽4内に流入する。尚、還流されるクーラントCはフィルタ57によって比較的大きな切屑が除去される。
【0050】
前記オイルスキマー60は、ポンプ61を備えて構成され、このポンプ61により、油分離槽6内のクーラントCの表層にある油分を吸引して、当該クーラントCから当該油分を除去し、回収する。即ち、このオイルスキマー60は、油回収部として機能する。
【0051】
前記熱交換器65は、前記第2次槽7のB領域7cに設けられ、B領域7c内のクーラントCの温度を、本例では冷却して適温に調整する。
【0052】
前記制御装置70は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、移送ポンプ11、攪拌ポンプ21、切換弁23、循環ポンプ31、第1供給ポンプ41、第2供給ポンプ46、第3供給ポンプ51、オイルスキマー60のポンプ61及び熱交換器65の作動を制御する。
【0053】
以上の構成を備えた本例のクーラント供給装置1によれば、前記第1供給部40及び第2供給部45により、第2次槽7内のクーラントCが汲み上げられて、工作機械75の加工領域に供給される。これにより、当該加工領域内のワークや工具が冷却される。また、第3供給部50により、第1次槽4内のクーラントCが汲み上げられて工作機械75の被洗浄部に供給され、当該クーラントCによって、工作機械75の被洗浄部が洗浄される。また、攪拌部20の切換弁23によって配管26にクーラントCが供給されている場合には、前記手動用ノズルを介して工作機械75にクーラントCが供給される。そして、工作機械75に供給されたクーラントCは、前記クーラント回収部に回収された後、還流管56を介してフィルタ57に還流され、このフィルタ57によって濾過された後、第1次槽4内に流入する。
【0054】
そして、このクーラント供給装置1では、移送部10、攪拌部20、循環部30及びオイルスキマー60における各処理が平行して行われる。
【0055】
即ち、まず、攪拌部20では、上述したように、通常、攪拌ポンプ21により第1次槽4から汲み上げられたクーラントCが切換部23を介して配管24に供給される態様となっており、汲み上げられたクーラントCは配管24を通じて第1次槽4内に吐出される。これにより第1次槽4内が攪拌される。また、クーラントCが配管24に介装された気泡生成器25内を流通する過程で、当該クーラントC中に微細な気泡が生成され、攪拌作用と相俟って、気泡が第1次槽4内で隈なく行き渡ると共に、当該第1次槽4内は気泡によって充満された状態となる。
【0056】
このような気泡は極めて微細な気泡であり、マイナスの電荷を帯びている。一方、工作機械75から第1次槽4に還流されるクーラントCには、加工によって生じた切屑や、エマルション化した油分が混入しているが、このような切屑やエマルション化した油分はプラスに帯電しており、このような電気的な関係から、切屑及びエマルション化した油分が当該微細気泡に凝集される。
【0057】
尚、図4図6に、エマルション化した油分が微細気泡に凝集される、その過程の概念的な図を示している。図4には、クーラントC中にエマルション化した油分Yが混入した状態を示している。また、図5には、エマルション化した油分Yが混入した状態のクーラントC中に、微細気泡Kが生成された状態を示しており、図6には、クーラントC中のエマルション化した油分Yが微細気泡Kに凝集された状態を示している。
【0058】
また、循環部30では、循環ポンプ31により汲み上げられたクーラントCが第3フィルタ34により濾過された後、配管32を通じて第1次槽4内に吐出される。これにより第1次槽4内のクーラントCが攪拌されると共に、第1次槽4内のクーラントCに含まれる切屑が第3フィルタ34によって除去され、当該切屑が第1次槽4内に堆積するのが防止される。
【0059】
一方、前記移送部10では、第1次槽4のクーラントCが第2次槽7内に移送され、その過程で第1フィルタ17及び第2フィルタ18によって切屑が除去され、第2次槽7内には清浄となったクーラントCが移送される。尚、微細気泡K及びこの微細気泡に凝集された状態の油分Yは、その殆どが第1フィルタ17及び第2フィルタ18によって除去されることなく、第2次槽7に移送される。
【0060】
第2次槽7は、第1次槽4とは異なり、攪拌作用を生じていないので、クーラントCは静かな流れの中で当該第2次槽7から前記油分離槽6にオーバーフローする。そして、第2次槽7内では、微細気泡Kへのエマルション油分Yの凝集が更に進み、クーラントCとの比重差から、凝集された油分Yが微細気泡と共にクーラントCの表層に浮上する(図7参照)。同様に、エマルション化していない油分Yも、クーラントCとの比重差からクーラントCの表層に浮上する。斯くして、このようにしてクーラントCの表層に浮上した油分YがクーラントCと共に油分離槽6にオーバーフローする。
【0061】
そして、油分離槽6に移動した油分Yは、オイルスキマー60によって当該クーラントCから除去され、回収される。
【0062】
以上のように本例のクーラント供給装置1によれば、移送部10によって第1次槽4から第2次槽7にクーラントを移送する間に、第1フィルタ17及び第2フィルタ18によりクーラントC中の切屑を除去すると共に、循環部30の第3フィルタ34によって第1次槽4内のクーラントC中の切屑を除去するようにしているので、クーラントC中に混入した切屑を効率良く、確実に除去することができ、切屑の混入による当該クーラントの性能低下を効果的に抑制することができる。
【0063】
また、第1次槽4でクーラントC中に微細気泡を充満させ、このように微細気泡を充満させたクーラントCを第2次槽7に移送し、第2次槽7内において、エマルション化された油分を微細気泡に十分に凝集させ、凝集させた油分をクーラントCの表層に浮上させた後、この第2次槽7から油分離槽6にオーバーフローさせて、オイルスキマー60により当該油分Yを回収するようにしているので、クーラントC中に混入したエマルション化された油分Yを効率良く、しかも確実に除去することができ、油分Yの混入による当該クーラントCの性能低下をより効果的に抑制することができる。また、このように油分Yを除去することで、クーラントC中に嫌気性細菌が繁殖するのをより効果的に抑制することができる。
【0064】
また、第1次槽4には、第2次槽7及び油分離槽6を経ることによって、第1フィルタ17及び第2フィルタ18により切屑が除去されると共に、オイルスキマー60により油分Yが除去された清浄なクーラントCが還流されるので、当該第1次槽4内のクーラントCは、全体的にはある程度清浄な状態となっている。また、第1次槽4内のクーラントCは、循環部30の第3フィルタ34により切屑が除去されるようになっており、このような作用によっても、第1次槽4内のクーラントCは清浄な状態となっている。上述した気泡生成器25は、キャビテーションによって気泡を生成させるものであるため、クーラントC中に多量の異物が混在していると、十分な量の微細気泡を生成させることができないという特性を有するが、本例のクーラント供給装置1では、第1次槽4内のクーラントCがある程度清浄な状態にあるので、目的とする十分な量の微細気泡Kを生じさせることができる。
【0065】
また、気泡生成器25は、クーラントC中の溶存気体等から気泡を生成するので、新たな酸素を液中に持ち込むことなく微細気泡Kを生成することができる。そして、この微細気泡KはクーラントC中で破裂して再度クーラントC中に溶け込む態様をとるが、その破裂時に圧力波等によって殺菌、消毒効果を発現するので、クーラントC中で細菌が繁殖するのをより効果的に抑制することができる。
【0066】
尚、油分Yの良好な凝集作用及び殺菌作用を考慮すると、前記気泡は、その直径が100μm以下であるのが好ましい。
【0067】
また、工作機械75が加工装置である場合には、加工時に生じる熱によってクーラントCが昇温され、このように昇温したクーラントCを工作機械75に供給すると、このクーラントCの熱によって当該工作機械75が熱変形を来たし、これによって工作機械75の加工精度が悪化することになる。本例のクーラント供給装置1では、第2次槽7のB領域7cにおいて、熱交換器65によりクーラントCを冷却するようにしているので、工作機械75がクーラントCの昇温によって熱変形するのを防止することができ、このような熱変形によって加工精度が悪化するのを防止することができる。
【0068】
また、第1次槽4内のクーラントCは、循環部30の配管32,33及び攪拌部20の配管24から吐出されるクーラントCによって攪拌され、このような攪拌作用によって、第1次槽4内において切屑が堆積されるのが防止される。
【0069】
また、本例のクーラントタンク2は、第1タンク3及び第2タンク5から構成され、図2に示すように、第1タンク3と第2タンク5とは相互に隣接するように配置され、全体として平面視矩形状を呈するように形成されているので、前記第1次槽4、第2次槽7及び油分離槽6の配置をコンパクトにすることができるとともに、移送部10等の配管構造物の配置をコンパクトにすることができ、ひいては当該クーラント供給装置1の全体的なコンパクト化を図ることができる。
【0070】
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 クーラント供給装置
2 クーラントタンク
3 第1タンク
4 第1次槽
5 第2タンク
6 油分離槽
7 第2次槽
10 移送部
11 移送ポンプ
17 第1フィルタ
18 第2フィルタ
20 攪拌部
21 攪拌ポンプ
23 切換弁
25 気泡生成器
30 循環部
31 循環ポンプ
34 第3フィルタ
40 第1供給部
41 第1供給ポンプ
45 第2供給部
46 第2供給ポンプ
50 第3供給部
51 第3供給ポンプ
55 還流部
60 オイルスキマー
61 ポンプ
65 熱交換器
70 制御装置
75 工作機械
C クーラント


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7