特許第6963888号(P6963888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963888
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】揮散器
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/04 20060101AFI20211028BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20211028BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20211028BHJP
【FI】
   A61L9/04
   A01M1/20 D
   A01M29/12
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-192852(P2016-192852)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-51118(P2018-51118A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 慧記
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−012052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0217425(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102302794(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0308648(US,A1)
【文献】 特開2011−004867(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0022682(US,A1)
【文献】 実開昭56−101343(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00−9/22
A01M 1/00−99/00
B65D 83/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器と、
前記容器に収容された揮散液(但し、色素を含む場合を除く)と、
前記揮散液を吸液して揮散させる棒状に加工した籐とを備え、
前記棒状に加工した籐が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置されている揮散器であって、
使用開始時での前記棒状に加工した籐が揮散液に浸漬する深さ(a)と、
前記棒状に加工した籐の下端から上端までの高さ(b)との比率(a)/(b)が、0.2以下であり、
前記揮散液が、パラフィン系炭化水素を含む、揮散器。
【請求項2】
前記棒状に加工した籐が、円柱状である、請求項1に記載の揮散器。
【請求項3】
前記棒状に加工した籐が、直径5mm以下の円柱状である、請求項1又は2に記載の揮散器。
【請求項4】
前記(a)が15〜60mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の揮散器。
【請求項5】
前記(b)が120〜175mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の揮散器。
【請求項6】
前記揮散液が、香料を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の揮散器。
【請求項7】
前記棒状に加工した籐が、直径2.5〜3.5mmであり、且つ6〜10本含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載の揮散器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用開始時から使用終点まで安定して薬液を揮散できる揮散器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香消臭剤は、居室内の不快な臭気を取り除く、又は感じにくくすることを主たる目的としていることから、使用初期から使用終点に至るまで一定の速度で香料が揮散されることが理想である。しかしながら、薬液の減少に伴う組成比率変化や揮散部材の揮散能力の劣化により、デバイス等の電子機器制御を用いなければ、揮散能力を一定に保つことは困難である。デバイスを用いない芳香消臭剤においては、香料の揮散は、自然揮散に依存しており、使用初期に対して、使用後期に揮散速度が低下してしまうことに関しては、薬液組成や揮散部材の構造の設計以外には、これまで具体的な対策は取られていない。
【0003】
一方で、従来、芳香消臭剤は外観の美しさやインテリア性が求められる商品ではなかったが、建築技術の進歩や建築基準法による換気率規定等により、居室空間内の臭気強度が低減したことから、悪臭への対処の必要性が低減し、代わりに居室空間を彩るためのインテリア性が重視されるようになってきた。
【0004】
インテリア性を高めるために、例えば、特許文献1に示されるような、籐(ラタン)の木片を使用した意匠効果に優れた揮散部材を用いた製品が多く商品化されている。その中でも、特に棒状に加工した籐を揮散部材に用いることは、インテリア性を高めるために有効であることから、近年多くの商品が開発されている。例えば、特許文献2及び特許文献3には、開口部を有する容器に、揮散部材として複数の棒状の籐(ラタン)と揮散液とを収容してなる揮散器が開示されている。特許文献2の図2、又は特許文献3の図12もしくは図13に示されるように、これらの揮散器では、容器内で、前記棒状の籐の長さの約3〜5割が揮散液に浸漬する状態で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−24096号公報
【特許文献2】特開2015−8799号公報
【特許文献3】特開2016−124603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、籐を棒状に加工したものを揮散部材として使用する場合、従来の不織布を用いた揮散部材と比較して体積が少ないことから、使用後期にかけて薬液成分が蓄積し、使用後期の揮散速度が使用初期と比較して低減しやすいという問題があった。このような使用後期の揮散速度の低下は、特に揮散部材として籐を用いる場合に顕著であった。本発明は、上記現状に鑑みて、使用後期においても安定して薬液が揮散される揮散器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、棒状に加工した籐(ラタン)を揮散部材とし、前記揮散部材を揮散液に浸漬させて薬液を揮散させる揮散器において、使用開始時での、前記棒状に加工した籐が揮散液に浸漬する深さと、前記棒状に加工した籐の下端から上端までの高さとの比率を特定範囲に設定することで、使用後期と使用初期との揮散速度の差が小さく、使用後期においても安定して薬液が揮散されることを見出した。本願発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.開口部を有する容器と、前記容器に収容された揮散液と、前記揮散液を吸液して揮散させる棒状に加工した籐とを備え、前記棒状に加工した籐が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置されている揮散器であって、使用開始時での前記棒状に加工した籐が揮散液に浸漬する深さ(a)と、前記棒状に加工した籐の下端から上端までの高さ(b)との比率(a)/(b)が、0.2以下である、揮散器。
項2.前記棒状に加工した籐が、円柱状である、項1に記載の揮散器。
項3.前記棒状に加工した籐が、直径5mm以下の円柱状である、項1又は2に記載の揮散器。
項4.前記(a)が15〜60mmである、項1〜3のいずれかに記載の揮散器。
項5.前記(b)が120〜175mmである、項1〜4のいずれかに記載の揮散器。
項6.前記揮散液が、香料を含む、項1〜5のいずれかに記載の揮散器。
項7.前記揮散液が、パラフィン系炭化水素を含む、項1〜6に記載の揮散器。
以下に、本発明について詳述する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用後期と使用初期との揮散速度の差が小さく、使用後期においても安定して薬液が揮散される揮散器を提供することができる。本発明の揮散器は、揮散部材として籐(ラタン)を用いるものであってインテリア性に優れ、かつ、使用後期においても安定して薬液を揮散することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の揮散器の一例の概略断面図を示す。
図2】本発明の揮散器の一例の概略断面図を示す。
図3】本発明の揮散器の一例の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
揮散器
本発明の揮散器は、開口部を有する容器と、前記容器に収容された揮散液と、前記揮散液を吸液して揮散させる棒状に加工した籐とを備え、前記棒状に加工した籐が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置されている揮散器であって、使用開始時での前記棒状に加工した籐が揮散液に浸漬する深さ(a)と、前記棒状に加工した籐の下端から上端までの高さ(b)との比率(a)/(b)が、0.2以下であることを特徴とする。
【0012】
本発明の揮散器は、開口部を有する容器と、前記容器に収容された揮散液と、前記揮散液を吸液して揮散させる棒状に加工した籐とを備え、前記棒状に加工した籐が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置される揮散器である。本発明の揮散器は、図1に示すように、棒状に加工した籐(ラタン)1を揮散部材とし、前記籐の一部(下端)が容器3内の揮散液2に浸漬され、前記籐の他の一部(上端)が容器外に露出するよう設置されることにより、揮散液2が、棒状に加工した籐(ラタン)を介して揮散するものである。揮散液2に浸漬させた籐(ラタン)1の下端から、揮散液2が毛細管現象により吸い上げられて、籐(ラタン)1の上端から揮散される。なお、本明細書では、棒状に加工した籐において、揮散液に浸漬される一端を「下端」とし、容器外に露出されるもう一端を「上端」と称する。
【0013】
本発明の揮散器は、使用開始時での前記棒状に加工した籐が揮散液に浸漬する深さ(a)と、前記棒状に加工した籐の下端から上端までの高さ(b)との比率(a)/(b)が、0.2以下であることを特徴とする。本発明の揮散器は、このような特定範囲の比率を満たすことにより、使用後期と使用初期との揮散速度の差が小さく、使用後期においても安定して薬液が揮散され得る。前記比率(a)/(b)は、0.15以下が好ましい。
【0014】
本発明において、「棒状に加工した籐が揮散液に浸漬する深さ(a)」とは、本発明の揮散器の使用態様である、前記籐と揮散液を容器内に収容した状態において、揮散液の液面から、揮散液に浸漬した前記籐の下端までの垂直方向の長さである。また、「棒状に加工した籐の下端から上端までの高さ(b)」とは、本発明の揮散器の使用態様である、前記籐と揮散液を容器内に収容した状態における、前記籐の下端から上端までの垂直方向の長さである。従って、(b)の値と前記籐の「長さ(c)」とは、前記籐が底面に対して垂直方向に設置された場合以外は異なる。揮散液は、毛細管現象によって、前記籐によって吸液される。そのため、本発明では、前記籐の「長さ(c)」よりも「下端から上端までの高さ」に注目して、前述の比率を採用した。なお、本発明の揮散器においては、後述するように前記籐は複数使用してもよいが、その場合であっても、少なくとも1本の前記籐が、前述の比率(a)/(b)の範囲を満たせばよく、それにより本発明の効果は奏される。
【0015】
図1及び図2に、本発明の揮散器の一例における(a)及び(b)を表した図を示す。図1中の(c)は、「棒状に加工した籐の長さ(c)」を表す。図2に示すように、同じ揮散部材(棒状に加工した籐)、容器、揮散液を用いた場合であっても、前記籐の設置の仕方によって、(a)及び(b)は変化する。本発明においては、前記籐の容器への設置は、前記籐が安定するように設置する。すなわち、棒状に加工された籐を容器の開口部に挿入した場合、前記籐の下端が容器の底部又はその近傍の壁面に接し、かつ、棒状の籐の下端と上端の間の一部が容器の開口部又はその近傍の壁面に接した状態で安定に固定されるようにする。図3にも、本発明の揮散器の一例の概略断面図を示す。
【0016】
本発明の揮散器において、(a)の値としては、本発明の揮散器の使用態様で適切に使用できる範囲であれば特に限定されないが、15〜60mm、好ましくは18〜50mm、より好ましくは20〜40mmが挙げられる。(b)の値としては、本発明の揮散器の使用態様で適切に使用できる範囲であれば特に限定されないが、120〜175mm、好ましくは125〜170mm、より好ましくは135〜165mmが挙げられる。
【0017】
本発明の揮散器は、少なくとも、揮散部材として棒状に加工した籐(ラタン)、揮散液、及び容器を備える。本発明の揮散器の各部材について、以下に説明する。
【0018】
棒状に加工した籐
本発明の揮散器においては、棒状に加工した籐(ラタン)を揮散部材として使用する。棒状に加工した籐としては、特に限定されず、一般に公知の方法で籐を加工して棒状にしたものが挙げられる。
【0019】
棒状に加工した籐の形状としては、棒状であれば特に限定されず、例えば、円柱状や、三角柱状、四角柱状、六角柱状等の多角柱状が挙げられる。なかでも、棒状に加工した籐の形状としては、円柱状が好ましい。棒状に加工した籐は、複数使用する場合、全てが同じ形状であってもよいし、一部の形状が異なるものであってもよいが、同じ形状であることが好ましい。
【0020】
棒状に加工した籐の形状が円柱状である場合、その直径としては、特に限定されず、揮散器の外観や薬液の揮散速度等の観点から適宜設定すればよいが、具体的には5mm以下、好ましくは2〜4mm、より好ましくは2.5〜3.5mmが挙げられる。
【0021】
棒状に加工した籐を長さ方向に対して垂直に切断した場合の当該籐の断面積としては、特に限定されず、揮散液の外観や薬液の揮散速度等の観点から適宜設定すればよいが、具体的には、1.5〜25mm2、好ましくは3〜16mm2、より好ましくは4.5〜10mm2が挙げられる。
【0022】
本発明において、棒状に加工した籐は、単数用いてもよいし、複数用いてもよく、揮散器の外観、揮散部材の形状や薬液の揮散速度等に応じて適宜設定すればよいが、薬液が揮散されやすい点で、複数用いることが好ましい。本発明において、棒状に加工した籐の数は、特に限定されないが、例えば、直径2.5〜3.5mm程度の籐を使用する場合、6〜10本程度、好ましくは7〜9本程度使用するとよい。
【0023】
棒状に加工した籐の長さとしては、特に限定されず、使用する容器や薬液の量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、160〜200mm、好ましくは170〜190mmが挙げられる。
【0024】
揮散液
本発明において使用される揮散液は、容器に収容され、前述の棒状に加工した籐を介して揮散される揮散液であって、揮散性薬剤と溶剤を含むことが好ましい。
【0025】
(揮散性薬剤)
揮散性薬剤は、揮散液に、揮散させる空間に所望の機能を付与し得る成分である。
本発明で使用される揮散性薬剤の種類については、室温で揮散可能であることを限度として特に制限されず、揮散された空間に備えさせるべき機能に応じて適宜選定すればよい。揮散性薬剤は、油性成分であり、具体的には、香料、害虫忌避剤成分、消臭剤成分、殺虫剤成分、抗菌剤成分等が挙げられる。
【0026】
香料としては、天然香料、天然香料から分離された単品香料、合成された単品香料、及びこれらの調合香料のいずれであってもよく、従来公知の香料を使用することができる。具体的には、単品香料として、リモネン、カリオフィレン、ピネン、ミルセン、ターピノレン、オシメン、ターピネン、フェランドレン、p−サイメン、カリオフィレン、ファルネセン、1,3,5−ウンデカトリエン、ジフェニルメタン等の炭化水素系香料;シス−3−ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、トランス−2−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、2、6−ジメチル−2−ヘプタノール、9−デセノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、10−ウンデセノール、トランス−2−シス−6−ノナジエタノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、ラバンジュロール、テオラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、アロオキシメノール、ターピネオール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、パチュリアルコール、ベチベロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサンメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)−エタノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、アンブリノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、アニスアルコール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、チモール、カルバクロール、オルシノールモノメチルエーテル、オイゲノール、イソオイゲノール、プロペニルグアエトール、サンタロール、イソボルニルシクロヘキサノール、サンダロア、バグダノール、サンダルマイソルコア、ブラマノール、エバノール、ポリサントール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール等のアルコール系香料;ジフェニルオキシド、p−クレジルエチルエーテル、dl−ローズオキシド、(ネロールオキサイド、ミロキサイド、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リメトール、メントフラン、リナロールオキサイド、ブチルジメチルジヒドロキシピラン、アセトキシアミルテトラヒドロピラン、セドリルメチルエーテル、メトキシシクロドデカン、1−メチル−1−メトキシシクロドデカン、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、トリクロデセニルメチルエーテル、ルボフィックス、セドロキサイド、アンブロキサン、グリサルバ、ボワジリス、アニソール、ジメチルハイドロキノン、パラクレジルメチルエーテル、アセトアニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、エストラゴール、ジフェニルオキサイド、メチルオイゲノール、フェニルエチルイソアミルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルイソブチルエーテル)等のエーテル系香料;ヘキサナール、シトラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、メチルオクチルアセチルアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、シス−4−ヘプテナール、2,6−ノナジエナール、シス−4−デセナール、トランス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、トランス−2−ドデセナール、トリメチルウンデセナール、2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ペリラルデヒド、メトキシジヒドロシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、イソシクロシトラール、センテナール、マイラックアルデヒド、リラール、ベルンアルデヒド、デュピカール、マセアール、ボロナール、セトナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドロトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、3−(p−t−ブチルフェニル)−プロピルアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−プロピルアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン等のアルデヒド系香料;オクチルアルデヒドグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルシス−3−ヘキセニルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドヒドグリセリルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルアセタール、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、フェニルプロピルアルデヒドプロピレングリコールアセタール、4,4,6−トリメチル−2−ベンジル−1,3−ジオキサン、2,4,6−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、テトラヒドロインデノ−m−ジオキシン、ジメチルテトラヒドロインデノ−m−ジオキシン、カラナール等のアセタール系香料;エチルブチレート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロへキシルアセテート、蟻酸エチル、蟻酸シス−3−ヘキセニル、蟻酸リナリル、蟻酸シトロネリル、蟻酸ゲラニル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、シクロペンチリデン酢酸メチル、酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−3−ヘキセニル、酢酸イソノニル、酢酸シトロネリル、酢酸ラバンジュリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ミルセニル、酢酸ターピニル、酢酸メンチル、酢酸メンタニル、酢酸ノピル、酢酸n−ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸スチラリル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、酢酸ヘリオトロピル、アセチルオイゲノール、アセチルイソオイゲノール、酢酸グアイル、酢酸セドリル、酢酸ベチベリル、酢酸デカヒドロβナフチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸シロネリル、プロピオン酸シロネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ターピニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸シンアミル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸リナリル、酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、酪酸ベンジル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ酪酸シトロネリル、イソ酪酸ゲラニル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ベンジル、イソ酪酸フェニルエチル、イソ酪酸フェノキシエチル、イソ酪酸トリシクロデセニル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸シトロネリル、イソ吉草酸ゲラニル、イソ吉草酸シンアミル、イソ吉草酸ベンジル、イソ吉草酸フェニルエチル、カプロン酸エチル、カプロン酸アリル、エナント酸エチル、エナント酸アリル、カプリン酸エチル、チグリン酸シトロネリル、オクチンカルンボン酸メチル、2−ペンチロキシグリコール酸アリル、シス−3−ヘキセニルメチルカーボネート、ケト酸エチル、ピルビン酸イソアミル、アセト酸エチル、レブリン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニルエチル、安息香酸フェニルエチル、ジヒドロキシメチル安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、フェニル酢酸p−クレジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンアミル、桂皮酸フェニルエチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、メチルアンスラニル酸メチル、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルフェミルグリシド酸エチル、フェニルグリシド酸エチル、グリコメル、フラクトン、フレイストン、フルテート、ジベスコン、エチル2−メチル−6−ペンチル−4−オキサ−2−シクロヘキセンカーボネート等のエステル系香料;2−オクタノン、δ−ダマスコン、アセトイン、ジアセチル、ミチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メチルヘプテノン、コアボン、カンファー、カルボン、メントン、d−プレゴン、ピペリトン、フェンチョン、ゲラニルアセトン、セドリルメチルケトン、ヌートカトン、イオノン、α−イオノン、β−イオノン、メチルイオノン、α−n−メチルイオノン、β−n−メチルイオノン、α−イソイオノン、β−イソイオノン、アリルイオノン、イロン、α−イロン、β−イロン、γ−イロン、ダマスコン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、ダマセノン、ダイナスコン、α−ダイナスコン、β−ダイナスコン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフランノン、
シュガーラクトン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、アミルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、ジヒドロジャスモン、シスージャスモン、フロレックス、プリカトン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、p−メンテン−6−イルプロパノン、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン、エトキシビニルテトラシクロヘキサノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、イソ・イー・スーパー、トリモフィックス、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カローン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ブタノン、メチルナフチルケトン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、ベンゾフェノン等のケトン系香料;ゲラニル酸、シトロネリル酸、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、2−メチル−2−ペンテノ酸等のカルボン酸系香料;γ−オクタラクトン、γーノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−デカラクトン、クマリン、ジヒドロクマリン、ジャスモラクトン、ジャスミンラクトン等のラクトン系香料;ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−ヘキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、ムスクケトン、ムスクキシロール、ムスクアンブレット、ムスクチベテン、ムスクモスケン、6−アセチルヘキサメチルインダン、4−アセチルジメチル−t−ブチルインダン、5−アセチルテトラメチルイソプロプルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタンベンゾピラン等のムスク系香料;アセチルピロール、インドール、スカトール、インドレン、2−アセチルピリジン、マリティマ、6−メチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、イソブチルキノリン、2−アセチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−セカンダリーブチル−3−メトキシピラジン、トリメチルピラジン、5−メチル−3−ヘプタンオキシム等の窒素含有香料;ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、5−フェニル−2,6−ノナジエンニトリル、シナモンニトリル、クミンニトリル、ドデカンニトリル、トリデセン−2−ニトリルと等のニトリル系香料;ジメチルスルフィド、2−メチル−4−プロピル−1,3−オキサチアン、イソオシアン酸アリル、p−メンタン−8−チオール−3−オン、p−メンテン−8−チオール、p−メンチルチオプロピオン酸メチル等の硫黄含有香料等が例示される。また、天然香料としては、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、シナモン油、レモンユーカリ油、ホワイトタイム油、樟脳油等が挙げられる。これらの香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて調香して使用することもできる。
【0027】
害虫忌避剤成分としては、飛翔昆虫(蚊、ユスリカ、蚋、ハエ等)、ゴキブリ、ダニ等の害虫を忌避できるものであればよいが、例えば、前述する忌避作用を有する香料の他、ピレスロイド系化合物、ナフタレン系化合物、パラジクロロベンゼン系化合物、樟脳、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、p−メンタン−3,8−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル−2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシレート、イソチオシアン酸アリル、植物抽出物(カラシ、ワサビ等)、木酢液等が挙げられる。これらの害虫忌避剤成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0028】
消臭剤成分としては、例えば、安定化二酸化塩素;アルデヒド化合物;グリコールエーテル化合物;フィトンチッド系香料;低級脂肪族アルデヒド系香料等が挙げられる。
これらの消臭剤成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0029】
殺虫剤成分としては、例えば、ヒノキチオール、ヒバ油、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、プロパノール、1,8―シネオール等が挙げられる。これらの防虫剤成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0030】
抗菌剤成分としては、例えば、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。これらの抗菌剤成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0031】
これらの揮散性薬剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、揮散性薬剤としては、好ましくは香料が挙げられる。
【0032】
本発明において使用する揮散液における揮散性薬剤の含有量については、揮散性薬剤の種類、揮散させる空間に備えさせるべき効果の程度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、2.5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは7.5〜20重量%が挙げられる。
【0033】
(溶剤)
本発明において使用する揮散液は、前述の揮散性薬剤を溶解又は分散させるための有機溶剤を含む。
【0034】
本発明に使用される有機溶剤の種類については、特に制限されず、芳香剤の溶剤として従来使用されているものから適宜選択して用いることができるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールものブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。また、イソパラフィン、ノルマルパラフィン等のパラフィン系炭化水素を使用することもできる。イソパラフィンとして好ましくは沸点が100〜300℃、好ましくは150〜250℃のものを挙げることができる。
【0035】
これらの有機溶剤の中でも、好ましくは1価アルコール、多価アルコール、イソパラフィン、グリコールエーテル、更に好ましくはイソパラフィンが挙げられる。
【0036】
これらの有機溶剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
本発明において使用する揮散液において、有機溶剤の含有量については、特に限定されないが、例えば97.5重量%以下、好ましくは70〜95重量%、更に好ましくは80〜92.5重量%が挙げられる。
【0038】
(その他の成分)
本発明で使用する揮散液には、前述した揮散性薬剤と溶剤以外に、本発明の効果を妨げないことを限度として、他の添加剤を含有してもよい。このような他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、溶解剤、防腐剤、増粘剤、pH調製剤、消臭剤、キレート剤等が挙げられる。
【0039】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸塩、イソフラボン、α−トコフェロール等が挙げられる。
【0040】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系(2−(3,5−di−てrt−pentyl−2−hydroxyphenyl)−2H−benzotriazole)、ベンゾフェノン系(2,2 4,4 tetrahydroxybenzophenone)等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0041】
溶解剤としては、例えば、エタノール、3−メトキシ−3−1−ブタノール(商品名 ソルフィット、株式会社クラレ製)等が挙げられる。
【0042】
容器
本発明において使用する容器については、前述の棒状に加工した籐と揮散液を収容するための開口部を有し、前記籐を揮散液に浸漬させ、前記籐を介して揮散液を揮散させることのできる態様で使用できるものであれば、特に限定されず、インテリア性などを考慮して適宜設定することができる。
【0043】
また、前記容器の素材についても特に制限されず、プラスチック製、ガラス製、陶器製等のいずれであってもよく、また、透明、不透明、半透明等のいずれであってもよく、芳香器に備えさせるべきインテリア性等を考慮して適宜設定される。
【実施例】
【0044】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0045】
(実験例1)
試験方法
揮散部材として棒状に加工された籐(円柱状、直径約3mm)8本と、表1に示す処方の揮散液と、開口部を有する約94mL容のガラス製透明容器を準備した。
前記籐の下端が薬液に浸漬する深さをa(mm)とし、ラタンの下端から上端までの高さをb(mm)とし、bが145の場合に、a/bの比率がそれぞれ0.15、0.20、0.30、又は0.35となるように、前記籐と揮散液をガラス製透明容器に挿入した。この場合、籐の下端が容器内の底面に接して籐が安定した状態となるよう籐を設置した。この揮散器を27℃下に静置し、揮散器全体の重量変化を観察した。揮散液の残存率が30重量%未満になった時点で、式(1)の計算式に基づいて、揮散速度の変化率を算出し、下記の評価基準で評価した。
【0046】
【表1】
【0047】
【数1】
【0048】
(評価基準)
◎:揮散速度の変化率の値が0.50以上である。
○:揮散速度の変化率の値が0.40以上、0.50未満である。
△:揮散速度の変化率の値が0.30以上、0.40未満である。
×:揮散速度の変化率の値が0.30未満である。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に、ラタンの下端から先端までの高さ(b)が145mmで、比率a/bが0.15、0.20、0.30、及び0.35の場合の、揮散速度の変化率の評価結果を示す。表2によれば、比率a/bが0.2以下の場合、揮散速度の変化率は0.40以上となり、使用後期の揮散速度の減量が比較的小さいが、比率a/bが0.3以上の場合、揮散速度の変化率は0.40未満となり、使用後期の揮散速度の減量が比較的大きいことが示された。
【0051】
(実験例2)
実験例1において、ラタンの下端から先端までの高さ(b)を125mm、135mm、155mm、又は165mmとし、a/bの比率がそれぞれ0.15、0.20、又は0.30(bが155の場合は、0.15又は0.20、bが165の場合は、0.20又は0.30)となるように、前記籐と揮散液をガラス製透明容器に挿入したこと以外は実験例1と同様の方法で、揮散器の揮散速度の変化率を求め、評価した。結果を表3に、高さ(b)が145mmの場合の結果と併せて示す。
【0052】
【表3】
【0053】
表3によれば、bの値が変更しても、比率a/bが0.2以下の場合、揮散速度の変化率は0.40以上となり、実験例1と同様の傾向が示された。
【符号の説明】
【0054】
1 棒状に加工した籐
2 揮散液
3 容器
図1
図2
図3