(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。具体的には、ユーザから見て手前側である
図1の右側を「前」とし、ユーザから見て奥側である
図1の左側を「後」とし、
図1の紙面手前側を「左」、紙面奥側を「右」とする。また、
図1の上下方向を「上下」とする。
【0011】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0012】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0013】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
【0014】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下側に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0015】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0016】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0017】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0018】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後側に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0019】
定着装置100は、回転体の一例としての定着ベルト110と、加熱ユニット120と、ローラの一例としての加圧ローラ130と、定着フレーム200とを備えている。
【0020】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状のベルトである。この定着ベルト110の内側には、加熱ユニット120が配置されている。加熱ユニット120は、ヒータ121を備え、定着ベルト110を加熱するように構成されている。加熱ユニット120は、定着フレーム200に支持されている。加圧ローラ130は、定着ベルト110の下側に配置された左右方向に延びる軸線を中心に回転するローラである。つまり、本実施形態では、定着ベルト110と加圧ローラ130が並ぶ方向は、上下方向である。加圧ローラ130は、定着ベルト110との間で用紙Pを前から後へ向けて搬送するローラであり、定着ベルト110との間でニップを形成している。なお、以下の説明において、定着ベルト110と加圧ローラ130の間を通過する用紙Pの搬送方向である前後方向を、「搬送方向」とも言う。また、本実施形態において、定着ベルト110と加圧ローラ130の間を通過する用紙Pの搬送方向の上流側は、「前側」であり、搬送方向の下流側は、「後側」である。
【0021】
定着フレーム200は、
図2に示すように、第1樹脂フレーム210と、第2樹脂フレーム220と、金属フレーム300と、連結部材240とを備えて構成されている。
【0022】
第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220は、定着フレーム200の左右の側壁を構成するフレームであり、耐熱性を有する樹脂からなる。例えば、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の材料は、PET(polyethylene terephthalate)であってもよいし、LCP(Liquid Crystal Polymer)であってもよい。また、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220には、ガラス繊維やガラスビーズ等のフィラーが充填されていてもよい。第2樹脂フレーム220は、第1樹脂フレーム210から所定方向の一例としての左右方向に間隔をあけて配置され、第1樹脂フレーム210の右方に位置している。
【0023】
第1樹脂フレーム210は、第1後側部分211と、第1後側部分211の前側に第1後側部分211と間隔をあけて配置される第1前側部分212と、第1後側部分211と第1前側部分212の下端部同士を連結する第1下側部分213とを有し、略U字状に形成されている。第1樹脂フレーム210は、第1後側部分211に、左右方向外側へ突出する円筒状のボス219を有している。
【0024】
第2樹脂フレーム220は、第2後側部分221と、第2後側部分221の前側に第2後側部分221と間隔をあけて配置される第2前側部分222と、第2後側部分221と第2前側部分222の下端部同士を連結する第2下側部分223とを有し、略U字状に形成されている。
【0025】
金属フレーム300は、金属板からなる。例えば、金属フレーム300は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属からなるフレームである。金属フレーム300は、表面に金属の酸化膜が形成されていてもよいし、表面が非金属の被膜でコーティングされていてもよい。この金属フレーム300は、第1樹脂フレーム210や第2樹脂フレーム220よりも剛性が高い。また、金属フレーム300は、第1樹脂フレーム210や第2樹脂フレーム220よりも線膨張率が小さい。そして、金属フレーム300は、第1樹脂フレーム210や第2樹脂フレーム220よりもヤング率が大きい。
【0026】
金属フレーム300は、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結している。金属フレーム300は、
図3に示すように、左右方向に長い矩形状の本体部310と、本体部310の前端部に設けられた第1補強部320、第2補強部330及び前側補強部340と、本体部310の後端部に設けられた後側補強部350とを一体に有している。
【0027】
第1補強部320は、本体部310の前端のうち左右方向の一端部である左端部から連続して、加圧ローラ130から定着ベルト110へ向かう方向、つまり、上方へ延びている。第1補強部320は、上下方向から見て、L字状に形成されている。具体的には、第1補強部320は、前後方向を向いて上下方向に長い第1補強板部321と、第1補強板部321の左端から後側へ向けて延出する第1固定板部322とを有している。
【0028】
第2補強部330は、本体部310の前端のうち左右方向の他端部である右端部から連続して、加圧ローラ130から定着ベルト110へ向かう方向、つまり、上方へ延びている。第2補強部330は、上下方向から見て、L字状に形成されている。具体的には、第2補強部330は、前後方向を向いて上下方向に長い第2補強板部331と、第2補強板部331の右端から後側へ向けて延出する第2固定板部332とを有している。
【0029】
前側補強部340は
、補強部の一例であり、本体部310の前端から連続して上方へ延びている。つまり、前側補強部340は、定着ベルト110と加圧ローラ130が並ぶ上下方向において、本体部310の前端から定着ベルト110側へ延びている 。前側補強部340は、第1補強部320及び第2補強部330よりも上下方向の寸法が小さく、第1補強部320と第2補強部330の下端部同士を繋ぐように左右方向に長く延びている。
【0030】
なお、第1補強部320と第2補強部330を補強するために、前側補強部340と第1補強部320の角部、及び、前側補強部340と第2補強部330の角部には、それぞれ、傾斜部341,342が設けられている。前側補強部340と第1補強部320の間の傾斜部341は、第1補強板部321の右端の下端部と前側補強部340の上端の左端部とを繋いでいる。前側補強部340と第2補強部330の間の傾斜部342は、第2補強板部331の左端の下端部と前側補強部340の上端の右端部とを繋いでいる。
【0031】
後側補強部350は
、本体部310の後端部から連続して上方へ延びている。つまり、
後側補強部350は、定着ベルト110と加圧ローラ130が並ぶ方向において、本体部310の搬送方向における端部から定着ベルト110側へ延びている 。後側補強部350は、本体部310の左端から右端にわたって設けられている。後側補強部350の上下方向の寸法は、前側補強部340の上下方向の寸法とほぼ同じになっている。
【0032】
本体部310は、左右方向の一端部である左端部に、金属フレーム300を第1樹脂フレーム210に固定するための第1縦固定部361、第2縦固定部362、第1横固定部371及び第2横固定部372を有している。また、本体部310は、左右方向の他端部である右端部に、金属フレーム300を第2樹脂フレーム220に固定するための第3縦固定部363、第4縦固定部364、第3横固定部373及び第4横固定部374を有している。
【0033】
第1縦固定部361と第2縦固定部362は、それぞれ、上下方向を向く板状に形成されており、本体部310の左端から左方へ向けて延出している。第2縦固定部362は、第1縦固定部361よりも搬送方向の上流側、つまり、前側に配置されている。本実施形態では、第1縦固定部361と第2縦固定部362は一体になっており、本体部310から延びる第1延出部360Aを形成している。
【0034】
第1横固定部371は
、第1縦固定部361の後側に設けられている。第1横固定部371は、左右方向を向く板状に形成されており、本体部310の左端の後端部から左右方向に直交する下へ向かう方向へ延出している。
【0035】
第2横固定部372は
、第2縦固定部362の前側に設けられている。第2横固定部372は、左右方向を向く板状に形成されており、本体部310の左端の前端部から左右方向に直交する下へ向かう方向へ延出している。この第2横固定部372は、第1横固定部371よりも搬送方向の上流側に配置されている。
【0036】
第3縦固定部363と第4縦固定部364は、それぞれ、上下方向を向く板状に形成されており、本体部310の右端から右方へ向けて延出している。第4縦固定部364は、第3縦固定部363よりも搬送方向の上流側、つまり、前側に設けられている。本実施形態では、第3縦固定部363と第4縦固定部364は一体になっており、本体部310から延びる第2延出部360Bを形成している。
【0037】
第3横固定部373は
、第3縦固定部363の後側に設けられている。第3横固定部373は、左右方向を向く板状に形成されており、本体部310の右端の後端部から左右方向に直交する下へ向かう方向へ延出している。
【0038】
第4横固定部374は
、第4縦固定部364の前側に設けられている。第4横固定部374は、左右方向を向く板状に形成されており、本体部310の右端の前端部から左右方向に直交する下へ向かう方向へ延出している。この第4横固定部374は、第3横固定部373よりも搬送方向の上流側に配置されている。
【0039】
第1縦固定部361と第4縦固定部364とを結ぶ線分L1と、第2縦固定部362と第3縦固定部363とを結ぶ線分L2とは、上下方向から見て交差している。また、第1横固定部371と第4横固定部374を結ぶ線分L3と、第2横固定部372と第3横固定部373とを結ぶ線分L4とは、上下方向から見て交差している。
【0040】
連結部材240は、左右方向に長い金属製の部材である。例えば、連結部材240は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属からなる。連結部材240は、表面に金属の酸化膜が形成されていてもよいし、表面が非金属の被膜でコーティングされていてもよい。この連結部材240は、第1樹脂フレーム210や第2樹脂フレーム220よりも剛性が高い。また、連結部材240は、第1樹脂フレーム210や第2樹脂フレーム220よりも線膨張率が小さい。そして、連結部材240は、第1樹脂フレーム210や第2樹脂フレーム220よりもヤング率が大きい。
【0041】
本実施形態において、連結部材240は、左右方向に長い棒である。そして、連結部材240は、屈曲した金属板からなり、左右方向から見て、L字状になっている。この連結部材240は、前後方向を向いて左右方向に延びる第1板状部241と、第1板状部241の上端から後側に向けて延出し、第1板状部241とは異なる上下方向を向く第2板状部242とを有している。
【0042】
この連結部材240は、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の間に設けられる梁であり、金属フレーム300の第1補強部320及び第2補強部330に固定されている。具体的に、連結部材240は、第1板状部241の左端部が、第1補強板部321の上端部にネジBにより固定されている。また、連結部材240は、第1板状部241の右端部が、第2補強板部331の上端部にネジBにより固定されている。このように連結部材240が金属フレーム300に固定されているので、第1補強部320は、本体部310の左端部と連結部材240の左端部を接続している。また、第2補強部330は、本体部310の右端部と連結部材240の右端部を接続している。
【0043】
このように構成された金属フレーム300は、
図2に示すように、第1補強部320、第2補強部330、連結部材240及び本体部310により囲まれた空間A1、本実施形態では、第1補強部320、第2補強部330、連結部材240及び前側補強部340により囲まれた空間A1が、定着ベルト110と加圧ローラ130を通過する用紙Pが通過可能な空間として形成されている。このような空間A1を設けることで、金属フレーム300や連結部材240が、用紙Pの搬送の邪魔をしないようになっている。
【0044】
そして、金属フレーム300と連結部材240は、
図2及び
図4に示すように、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220に固定され、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結している。
【0045】
図4に示すように、第1樹脂フレーム210は、下部に、第1金属フレーム固定部214と第2金属フレーム固定部215を有している。第1金属フレーム固定部214は、第1後側部分211から定着ベルト110から加圧ローラ130へ向かう方向、つまり、下方に突出し、左右方向を向く板状に形成されている。第2金属フレーム固定部215は、第1前側部分212から下方に突出し、左右方向を向く板状に形成されている。
【0046】
第2樹脂フレーム220は、下部に、第3金属フレーム固定部224と第4金属フレーム固定部225を有している。第3金属フレーム固定部224は、第2後側部分221から下方に突出し、左右方向を向く板状に形成されている。第4金属フレーム固定部225は、第2前側部分222から下方に突出し、左右方向を向く板状に形成されている。
【0047】
金属フレーム300の第1横固定部371は、第1樹脂フレーム210の第1金属フレーム固定部214の右を向く面に重なり、第1金属フレーム固定部214にネジBで固定されている。第2横固定部372は、第2金属フレーム固定部215の右を向く面に重なり、第2金属フレーム固定部215にネジBで固定されている。つまり、第1横固定部371と第2横固定部372は、左右方向に、第1樹脂フレーム210にネジ止めされている。
【0048】
第3横固定部373は、第2樹脂フレーム220の第3金属フレーム固定部224の左を向く面に重なり、第3金属フレーム固定部224にネジBで固定されている。第4横固定部374は、第4金属フレーム固定部225の左を向く面に重なり、第4金属フレーム固定部225にネジBで固定されている。つまり、第3横固定部373と第4横固定部374は、左右方向に、第2樹脂フレーム220にネジ止めされている。
【0049】
金属フレーム300の第1縦固定部361と第2縦固定部362は、それぞれ、第1樹脂フレーム210の第1下側部分213の下面に重なり、第1下側部分213にネジBで固定されている。つまり、第1縦固定部361と第2縦固定部362は、上下方向、具体的には、加圧ローラ130から定着ベルト110へ向かう方向に、第1樹脂フレーム210にネジ止めされている。このネジ止めされる位置は、できる限り前後方向外側の位置がよい。
【0050】
第3縦固定部363と第4縦固定部364は、それぞれ、第2樹脂フレーム220の第2下側部分223の下面に重なり、第2下側部分223にネジBで固定されている。つまり、第3縦固定部363と第4縦固定部364は、上下方向、具体的には、加圧ローラ130から定着ベルト110へ向かう方向に、第2樹脂フレーム220にネジ止めされている。このネジ止めされる位置は、できる限り前後方向外側の位置がよい。
【0051】
なお、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の上下方向の位置を調整するために、第1縦固定部361及び第2縦固定部362と第1樹脂フレーム210の第1下側部分213の間、または、第3縦固定部363及び第4縦固定部364と第2樹脂フレーム220の第2下側部分223の間に、スペーサを設けてもよい。
【0052】
このように、本体部310が第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220に固定されることで、本体部310は、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結している。
【0053】
図5に示すように、金属フレーム300の第1補強部320は、第1樹脂フレーム210に固定されている。具体的に、第1補強部320は、第1固定板部322が、第1樹脂フレーム210の第1前側部分212の右を向く面に重なり、第1前側部分212にネジBで固定されている。また、金属フレーム300の第2補強部330は、第2樹脂フレーム220に固定されている。具体的に、第2補強部330は、第2固定板部332が、第2樹脂フレーム220の第2前側部分222の左を向く面に重なり、第2前側部分222にネジBで固定されている。これにより、連結部材240は、第1補強部320及び第2補強部330を介して、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の上端部同士を連結している。
【0054】
次に、金属フレーム300の各部分と定着装置100の各部分との位置関係について詳しく説明する。
【0055】
第1樹脂フレーム210のボス219には、第1ギヤG2が回転可能に支持されている。第1ギヤG2は、加圧ローラ130の軸131の左端部に設けられた軸131と一体に回転可能な第2ギヤG1と噛み合っている。これにより、第1ギヤG2に外部から駆動力が伝達されると、第2ギヤG1が回転するので、これに伴って、加圧ローラ130も回転するようになっている。
【0056】
第1樹脂フレーム210は、第1後側部分211と第1前側部分212の間に、加圧ローラ130の軸受132を支持する第1軸受支持部H1を有している。また、第2樹脂フレーム220は、第2後側部分221と第2前側部分222の間に、加圧ローラ130の軸受132を支持する第2軸受支持部H2を有している。第1軸受支持部H1に支持される軸受132は、加圧ローラ130の軸131の左端部を回転可能に支持している。また、第2軸受支持部H2に支持されている軸受132は、加圧ローラ130の軸131の右端部を回転可能に支持している。なお、軸受132は、転がり軸受であってもよいし、滑り軸受であってもよい。
【0057】
金属フレーム300の第1横固定部371と第3横固定部373は、加圧ローラ130の回転軸線131Aよりも搬送方向の下流側、つまり、後側に配置されている。また、第2横固定部372と第4横固定部374は、加圧ローラ130の回転軸線131Aよりも搬送方向の上流側、つまり、前側に配置されている。
【0058】
本実施形態では、第1横固定部371は、第1軸受支持部H1よりも後側に配置され、第2横固定部372は、第1軸受支持部H1よりも前側に配置されている。第3横固定部373は、第2軸受支持部H2よりも後側に配置され、第4横固定部374は、第2軸受支持部H2よりも前側に配置されている。
【0059】
図6に示すように、金属フレーム300の第1縦固定部361と第3縦固定部363は、加圧ローラ130の回転軸線131Aよりも後側に配置されている。また、第2縦固定部362と第4縦固定部364は、加圧ローラ130の回転軸線131Aよりも前側に配置されている。
【0060】
そして、金属フレーム300の本体部310は、加圧ローラ130に対して定着ベルト110とは反対側、つまり、加圧ローラ130の下側に配置されている。
【0061】
定着装置100は、加熱ユニット120を支持する保持部材122と、アーム部材250と、バネ260とをさらに備えている。
【0062】
保持部材122は、加熱ユニット120の左右方向における両端部に設けられている。左右の保持部材122は、それぞれ、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220に上下にスライド移動可能に支持されている。なお、
図6では、右側の保持部材122のみを図示しているが、保持部材122と保持部材122を支持する樹脂フレーム210,220の構成はほぼ同一である。
【0063】
具体的に、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220とは、加圧ローラ130の回転軸線131Aよりも前側に配置され、上下方向に延びる第1ガイド部226と、加圧ローラ130の回転軸線131Aよりも後側に配置され、上下方向に延びる第2ガイド部227とを有している。そして、保持部材122は、第1ガイド部226と第2ガイド部227にガイドされることにより、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220に対し上下方向に移動可能となっている。
【0064】
アーム部材250は、
図5に示すように、第1樹脂フレーム210に回動可能に支持される第1アーム部材250Aと、第2樹脂フレーム220に回動可能に支持される第2アーム部材250Bとを含む。また、バネ260は、第1アーム部材250Aを付勢する第1バネ260Aと、第2アーム部材250Bを付勢する第2バネ260Bとを有する。
図6では、右側のアーム部材250とバネ260のみを図示しているが、左右のアーム部材250(第1アーム部材250Aと第2アーム部材250B)及び左右のバネ260(第1バネ260Aと第2バネ260B)は、左右対称に形成され、構成はほぼ同一である。
【0065】
図6に示すように、アーム部材250は、保持部材122の上側で前後方向に延びている。そして、アーム部材250は、前端部が、樹脂フレーム210,220に回動可能に支持されている。具体的に、
図2に示すように、第1樹脂フレーム210は、第1前側部分212の上部に、左右方向に延び、第1アーム部材250Aの前端部が係合する第1軸部212Aを有している。また、第2樹脂フレーム220は、第2前側部分222の上部に、左右方向に延び、第2アーム部材250Bの前端部が係合する第2軸部222Aを有している。
【0066】
そして、第1樹脂フレーム210は、第1後側部分211の第1軸部212Aと対向する部分に、第1後側部分211の上端から下方へ延びるスリット状の第1溝211Aを有している。また、第2樹脂フレーム220は、第2後側部分221の第2軸部222Aと対向する部分に、第2後側部分221の上端から下方へ延びるスリット状の第2溝221Aを有している。第1アーム部材250Aの後端部は、第1溝211Aの間に、第2アーム部材250Bの後端部は、第2溝221Aの間に配置され、各アーム部材250の後端部は、溝211A,211Bに沿って上下動するようになっている。
【0067】
図6に戻り、アーム部材250は、後端部に、バネ260の一端が係合するフック部252を有している。
【0068】
バネ260は、一端がアーム部材250のフック部252に係合し、もう一端が樹脂フレーム210,220に係合している。具体的に、第1樹脂フレーム210は、
図4に示すように、第1後側部分211に、上下方向に延びる筒状の第1バネ収容部S1を有している。また、第2樹脂フレーム220は、第2後側部分221に、上下方向に延びる筒状の第2バネ収容部S2を有している。そして、
図6に示すように、第1樹脂フレーム210は、第1バネ収容部S1の内側に、第1バネ260Aの一端が係合する第1バネ係合部228Aを有している。また、第2樹脂フレーム220は、第2バネ収容部S2の内側に、第2バネ260Bの一端が係合する第2バネ係合部228Bを有している。この第1バネ係合部228Aと第2バネ係合部228Bは、上下方向において、金属フレーム300の本体部310よりも定着ベルト110側、つまり、上側の位置に設けられている。
【0069】
バネ260は、アーム部材250の後端部を下側へ引っ張っている。これにより、アーム部材250は、バネ260により
図6の反時計回りの方向へ付勢され、保持部材122を下側へ向けて押している。つまり、バネ260は、定着ベルト110を加圧ローラ130に向けて付勢している。
【0070】
連結部材240は、上下方向において、金属フレーム300の本体部310よりも定着ベルト110側、つまり、上側に配置されている。
【0071】
より詳細に、連結部材240は、上下方向において、第1バネ係合部228A及び第2バネ係合部228Bよりも、金属フレーム300の本体部310から遠い位置、つまり、上側の位置に配置されている。
【0072】
また、連結部材240は、上下方向において、第1アーム部材250Aの回動軸線251A及び第2アーム部材250Bの回動軸線251Bと同じ位置に設けられている。つまり、連結部材240は、前後方向から見て、第1アーム部材250Aの回動軸線251A及び第2アーム部材250Bの回動軸線251Bと重なっている。
【0073】
以上のように構成された定着装置100の作用及び効果について説明する。
定着フレーム200は、加圧ローラ130の左右両側に配置される部分が、第1軸受支持部H1と第2軸受支持部H2を有する等、様々な機能を有しているので複雑な形状になる。本実施形態では、第1軸受支持部H1を有する第1樹脂フレーム210と、第2軸受支持部H2を有する第2樹脂フレーム220とが、樹脂から形成されているので、第1軸受支持部H1と第2軸受支持部H2を有するフレームを金属で形成する場合に比べて、第1軸受支持部H1や第軸受支持部H2周りの複雑な形状を作りやすい。また、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を、金属フレーム300で連結しているので、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220のねじれ等の定着フレーム200の変形を抑えることができる。また、定着フレーム200全体を樹脂で形成する場合に比べ、樹脂製の部品が小さいので、成形の際に生じる破損を抑えたり、寸法誤差が大きくなるのを抑えたりすることができる。
【0074】
そして、金属フレーム300の第1補強部320と第2補強部330を第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220に固定することで、金属フレーム300により、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の左右方向の間隔を規定することができる。また、第1補強部320と第2補強部330は、本体部310と一体に形成され、金属フレーム300の一部であるので、第1補強部320と第2補強部330を金属フレーム300と別部品として設ける場合に比べ、部品点数を少なくするとともに、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の左右方向の間隔の誤差を小さくすることができる。
【0075】
また、金属フレーム300は、本体部310の前端部に前側補強部340を有し、後端部に後側補強部350を有しているので、曲がりにくくなっている。そのため第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220のねじれ等の定着フレーム200の変形をより抑えることができる。
【0076】
そして、定着フレーム200は、上下方向において、本体部310よりも定着ベルト110側に配置され、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結する金属製の連結部材240を備えているので、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220が左右方向内側または外側へ倒れるのを抑えることができる。
【0077】
また、連結部材240は、上下方向において、第1バネ係合部228Aと第2バネ係合部228Bよりも、本体部310から遠い位置に配置され、本体部310から離れた位置で第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結しているので、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220が左右方向の内側へ倒れるのをより抑えることができる。
【0078】
また、第1樹脂フレーム210の第1アーム部材250Aを支持している第1前側部分212では、第1アーム部材250Aから力が加わり、第2樹脂フレーム220の第2アーム部材250Bを支持している第2前側部分222では、第2アーム部材250Bから力が加わる。本実施形態では、連結部材240が、上下方向において、第1アーム部材250Aの回動軸線251A及び第2アーム部材250Bの回動軸線251Bと同じ位置に設けられ、第1前側部分212と第2前側部分222を連結しているので、第1前側部分212と第2前側部分222の変形を抑えることができる。
【0079】
そして、連結部材240は、第1板状部241と、第1板状部241とは異なる上下方向を向く第2板状部242とを有するL字状に形成されているので、連結部材240自体が曲がりにくくなっている。そのため、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220が左右方向内側へ倒れようとしたときに、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結部材240でしっかりと支えることができるので、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220が左右方向内側へ倒れるのをより抑えることができる。
【0080】
そして、金属フレーム300の本体部310と連結部材240を接続する第1補強部320及び第2補強部330が設けられているので、この第1補強部320と第2補強部330で、本体部310と連結部材240を補強することができる。これにより、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220がねじれ等の定着フレーム200の変形や、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220が左右方向内側へ倒れるのをより抑えることができる。
【0081】
そして、金属フレーム300は、第1横固定部371と第2横固定部372が、左右方向に、第1樹脂フレーム210にネジ止めされているので、第1樹脂フレーム210が、上下方向に延びる軸を中心に回転するのを、金属フレーム300で抑えることができる。また、金属フレーム300は、第3横固定部373と第4横固定部374が、左右方向に、第2樹脂フレーム220にネジ止めされているので、第2樹脂フレーム220が、上下方向に延びる軸を中心に回転するのを、金属フレーム300で抑えることができる。
【0082】
そして、金属フレーム300は、第1縦固定部361と第2縦固定部362が、上下方向に、第1樹脂フレーム210にネジ止めされているので、第1樹脂フレーム210が、左右方向に延びる軸を中心に回転したり、上下方向へ移動したりしてしまうのを、金属フレーム300で抑えることができる。また、金属フレーム300は、第3縦固定部363と第4縦固定部364が、上下方向に、第2樹脂フレーム220にネジ止めされているので、第2樹脂フレーム220が、左右方向に延びる軸を中心に回転したり、上下方向へ移動したりしてしまうのを、金属フレーム300で抑えることができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、前記実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0084】
前記実施形態では、第1補強部320、第2補強部330及び連結部材240が第1樹脂フレーム210及び第2樹脂フレーム220の搬送方向上流側のみに設けられていたが、第1補強部、第2補強部及び連結部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、
図7に示すように、第1樹脂フレーム210及び第2樹脂フレーム220の搬送方向下流側にも、第1補強部380、第2補強部390及び連結部材270を設けてもよい。
【0085】
具体的に、下流側の連結部材270は、第1樹脂フレーム210の第1後側部分211と第2樹脂フレーム220の第2後側部分221の上端部同士を連結している。連結部材270は、前後方向を向いて左右方向に延びる第1板状部271と、第1板状部271と異なる上下方向を向き、第1板状部271の上端から前側へ延出する第2板状部272とを有している。そして、連結部材270は、第1板状部271の左端部が、第1後側部分211にネジ止めされ、第1板状部271の右端部が、第2後側部分221にネジ止めされている。つまり、連結部材270は、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220に直接固定されて、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220を連結している。これにより、この変形例では、連結部材270により、第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の左右方向の間隔を規定することが可能となっている。
【0086】
このように、連結部材270を第1樹脂フレーム210と第2樹脂フレーム220の搬送方向下流側にも設けることで、定着フレーム200の変形をより抑えることができる。
【0087】
また、第1後側部分211には、第1バネ係合部228Aが、第2後側部分221には、第2バネ係合部228Bが設けられていて、それぞれ、バネ260から力が加わるので、連結部材270を第1後側部分211と第2後側部分221に設けることで、第1後側部分211と第2後側部分221の変形を抑えることができる。
【0088】
そして、下流側の第1補強部380は、本体部310の左端部と連結部材270の左端部とを接続している。具体的に、第1補強部380は、後側補強部350の左端部から連続して上方へ延び、上端部が、カシメ、溶接またはネジ止めにより、連結部材270の第1板状部271の左端部に固定されている。
【0089】
下流側の第2補強部390は、本体部310の右端部と連結部材270の右端部とを接続している。具体的に、第2補強部390は、後側補強部350の右端部から連続して上方へ延び、
上端部が、カシメ、溶接またはネジ止めにより、連結部材270の第1板状部271の右端部に固定されている。
【0090】
そして、下流側の第1補強部380、第2補強部390、連結部材270及び本体部310(より詳細には、後側補強部350)により、下流側の第1補強部380、第2補強部390、連結部材270及び本体部310に囲まれた定着ベルト110と加圧ローラ130の間を通過する用紙Pが通過可能な空間A2が形成されている。
【0091】
前記実施形態では、連結部材240が、上下方向において、第1アーム部材250Aの回動軸線251A及び第2アーム部材250Bの回動軸線251Bと同じ位置に設けられていたが、連結部材240を設ける位置はこれに限定されるものではない。例えば、連結部材240は、上下方向において、第1アーム部材250Aの回動軸線251A及び第2アーム部材250Bの回動軸線251Bよりも本体部310から遠い位置、つまり、上側の位置に配置されていてもよい。
【0092】
前記実施形態では、金属フレーム300が
、4つの縦固定部361,362,363,364と4つの横固定部371,372,373,374とを有していたが、第1固定部、第2固定部、第3固定部及び第4固定部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、金属フレーム300は、第1固定部、第2固定部、第3固定部及び第4固定部として、4つの縦固定部361,362,363,364のみを有していてもよいし、4つの横固定部371,372,373,374のみを有していてもよい。
【0093】
前記実施形態では、金属フレーム300の4つの縦固定部361,362,363,364と4つの横固定部371,372,373,374が、ネジ止めにより樹脂フレーム210,220に固定されていたが、金属フレームの固定方法はこれに限定されるものではない。例えば、金属フレーム300の4つの縦固定部361,362,363,364と4つの横固定部371,372,373,374は、樹脂フレーム210,220に、カシメによって固定されていてもよいし、爪部を引っ掛けて固定されていてもよい。
【0094】
前記実施形態では、金属フレーム300が、第1補強部320と第2補強部330を含み、第1補強部320と第2補強部330が、本体部310から連続して延びていたが、第1補強部と第2補強部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1補強部と第2補強部は、金属フレーム300と別個に設けられた金属製の部品であり、金属フレーム300と連結部材240とにカシメやネジ止め等によって固定されていてもよい。
【0095】
前記実施形態では、連結部材240が、金属フレーム300と別個の部品として形成されていたが、連結部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、連結部材は、金属フレームと一体に設けられていてもよい。
【0096】
前記実施形態では、定着装置100が、回転体として定着ベルト110を備え、ローラとして加圧ローラ130を備えていたが、定着装置の構成はこれに限定されるものではない。例えば、定着装置は、回転体としてエンドレスベルトからなる加圧ベルトを備え、ローラとしてヒータによって加熱される加熱ローラを備えていてもよいし、回転体として加圧ローラを備え、ローラとして、ヒータによって加熱される加熱ローラを備えていてもよい。
【0097】
また、前記した各実施形態及び各変形例の各要素は、任意に組み合わせて実施することが可能である。