特許第6967686号(P6967686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000002
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000003
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000004
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000005
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000006
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000007
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000008
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000009
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000010
  • 特許6967686-工作機械および工作機械の運転方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6967686
(24)【登録日】2021年10月27日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】工作機械および工作機械の運転方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 15/00 20060101AFI20211108BHJP
   B23B 3/30 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   B23B15/00 N
   B23B3/30
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-106931(P2021-106931)
(22)【出願日】2021年6月28日
【審査請求日】2021年6月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗谷 龍彦
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−263909(JP,A)
【文献】 特開2003−200302(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/100693(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/00−11/00,13/04,15/00,
19/00−19/02,23/00−23/04,
B23Q 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸心を有する第1部分と、前記第1軸心から偏心した第2軸心を有する第2部分とを含むワークを旋削加工できる工作機械であって、
前記ワークを前記第1部分で把持して前記第1軸心回りに回転させる第1ワーク主軸と、
前記第1ワーク主軸と同軸状に設けられ、前記ワークを前記第2部分で把持して前記第2軸心回りに回転させる第2ワーク主軸と、
前記第1および第2ワーク主軸の回転軸が延びる方向および該回転軸と交差する方向に移動可能に設けられ、前記ワークを旋削加工するための工具を保持する工具主軸と、
前記工具主軸に着脱可能に設けられ、前記工具主軸に取り付けられた状態で前記ワークを保持するワーク保持体と、
を備え
前記ワーク保持体は、前記ワークが挿通される筒状部材である、工作機械。
【請求項2】
第1軸心を有する第1部分と、前記第1軸心から偏心した第2軸心を有する第2部分とを含むワークを旋削加工できる工作機械であって、
前記ワークを前記第1部分で把持して前記第1軸心回りに回転させる第1ワーク主軸と、
前記第1ワーク主軸と同軸状に設けられ、前記ワークを前記第2部分で把持して前記第2軸心回りに回転させる第2ワーク主軸と、
前記第1および第2ワーク主軸の回転軸が延びる方向および該回転軸と交差する方向に移動可能に設けられ、前記ワークを旋削加工するための工具を保持する工具主軸と、
前記工具主軸に着脱可能に設けられ、前記工具主軸に取り付けられた状態で前記ワークを保持するワーク保持体と、
を備え
前記ワーク保持体は、所定軸心に沿って延びかつ横断面がフック状の部材である、工作機械。
【請求項3】
前記ワーク保持体は、前記工具主軸のうち工具を保持する部分に着脱可能である、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記工具主軸は、工具を保持する部分と別に設けられ、前記ワーク保持体が着脱可能な着脱部を有する、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項5】
前記ワークの旋削加工中に前記ワークを支持して振れ止めする振止機構をさらに備え、前記振止機構は、前記ワークを支持した状態で、前記第1および第2ワーク主軸の回転軸と交差する方向に移動可能である、請求項1〜のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の工作機械の運転方法であって、
前記ワークの第1部分を、前記第1ワーク主軸の回転軸と前記第1軸心とが一致した状態で、前記第1ワーク主軸で保持する第1保持工程と、
前記ワークを前記第1軸心回りに回転させながら、前記工具主軸に保持された工具で前記第1部分を旋削加工する第1旋削工程と、
前記ワークを、前記工具主軸に取り付けられた前記ワーク保持体で保持する第2保持工程と、
前記第1ワーク主軸から前記ワークを解放する解放工程と、
前記第2ワーク主軸の回転軸と前記第2軸心とが一致するように前記工具主軸を移動させる移動工程と、
前記ワークの第2部分を、前記第2ワーク主軸の回転軸と前記第2軸心とが一致した状態で、前記第2ワーク主軸で保持する第3保持工程と、
前記ワークを前記第2軸心回りに回転させながら、前記工具主軸に保持された工具で前記第2部分を旋削加工する第2旋削工程と、
を備える、工作機械の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械および工作機械の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを旋削加工できる工作機械が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の工作機械は、ワークを把持して回転させる第1ワーク主軸と、第1ワーク主軸と同軸状に設けられ、ワークを把持して回転させる第2ワーク主軸と、第1および第2ワーク主軸の回転軸が延びる方向および当該回転軸と交差する方向に移動可能に設けられ、ワークを旋削加工するための工具を保持する工具主軸と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−263861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、互いに偏心した複数の部分を有するワークを旋削加工したい場合がある。そのような場合、例えば、一の部分を第1ワーク主軸で把持して旋削加工した後に、他の部分を第2ワーク主軸で把持して旋削加工する。しかし、当該一の部分と当該他の部分とが互いに偏心しているので、前者の旋削加工から後者の旋削加工に移る際に、ワークをその軸心と交差する方向に移動させる必要がある。そのような移動は、従来、工作機械とは別個の吊上げ装置などを用いて行っているが、さらに簡便な方法を実現することが望まれる。このような状況において、本開示は、互いに偏心した複数の部分を有するワークを簡便に旋削加工することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一局面は、工作機械に関する。当該工作機械は、第1軸心を有する第1部分と、前記第1軸心から偏心した第2軸心を有する第2部分とを含むワークを旋削加工できる工作機械であって、前記ワークを前記第1部分で把持して前記第1軸心回りに回転させる第1ワーク主軸と、前記第1ワーク主軸と同軸状に設けられ、前記ワークを前記第2部分で把持して前記第2軸心回りに回転させる第2ワーク主軸と、前記第1および第2ワーク主軸の回転軸が延びる方向および該回転軸と交差する方向に移動可能に設けられ、前記ワークを旋削加工するための工具を保持する工具主軸と、前記工具主軸に着脱可能に設けられ、前記工具主軸に取り付けられた状態で前記ワークを保持するワーク保持体と、を備える。
【0006】
本開示に係る別の一局面は、上述の工作機械の運転方法に関する。当該運転方法は前記ワークの第1部分を、前記第1ワーク主軸の回転軸と前記第1軸心とが一致した状態で、前記第1ワーク主軸で保持する第1保持工程と、前記ワークを前記第1軸心回りに回転させながら、前記工具主軸に保持された工具で前記第1部分を旋削加工する第1旋削工程と、前記ワークを、前記工具主軸に取り付けられた前記ワーク保持体で保持する第2保持工程と、前記第1ワーク主軸から前記ワークを解放する解放工程と、前記第2ワーク主軸の回転軸と前記第2軸心とが一致するように前記工具主軸を移動させる移動工程と、前記ワークの第2部分を、前記第2ワーク主軸の回転軸と前記第2軸心とが一致した状態で、前記第2ワーク主軸で保持する第3保持工程と、前記ワークを前記第2軸心回りに回転させながら、前記工具主軸に保持された工具で前記第2部分を旋削加工する第2旋削工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、互いに偏心した複数の部分を有するワークを簡便に旋削加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る工作機械の一例を模式的に示す正面図である。
図2】第1保持工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図3】第1旋削工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図4】第2保持工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図5】解放工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図6】移動工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図7】第3保持工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図8】解除工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図9】第2旋削工程における工作機械の要部を模式的に示す正面図である。
図10】実施形態2のワーク保持体を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る工作機械および工作機械の運転方法の実施形態について例を挙げて以下に説明する。しかしながら、本開示は以下に説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0010】
(工作機械)
本開示に係る工作機械は、第1軸心を有する第1部分と、第1軸心から偏心した第2軸心を有する第2部分とを含むワークを旋削加工できる工作機械であって、第1ワーク主軸と、第2ワーク主軸と、工具主軸と、ワーク保持体とを備える。工作機械は、例えば、ターニングセンタとマシニングセンタの機能を併せ持つ複合加工機であってもよいが、これに限られるものではない。
【0011】
第1ワーク主軸は、ワークを第1部分で把持して第1軸心回りに回転させる。第1ワーク主軸は、固定式のワーク主軸であってもよい。第1ワーク主軸は、ワークを把持するためのチャック機構を有してもよい。第1ワーク主軸は、ワークを回転させるためのサーボモータを有してもよい。
【0012】
第2ワーク主軸は、第1ワーク主軸と同軸状に設けられる。第2ワーク主軸は、ワークを第2部分で把持して第2軸心回りに回転させる。第2ワーク主軸は、移動式のワーク主軸であってもよい。第2ワーク主軸は、自身と第1ワーク主軸との対向方向において移動可能であってもよい。第2ワーク主軸は、ワークを把持するためのチャック機構を有してもよい。第2ワーク主軸は、ワークを回転させるためのサーボモータを有してもよい。
【0013】
第1ワーク主軸と第2ワーク主軸とは、水平方向において互いに対向していてもよい。第1ワーク主軸と第2ワーク主軸とは、対向方向において互いに相対移動可能であってもよい。この場合において、第1ワーク主軸および第2ワーク主軸の少なくとも一方が、両者の対向方向において移動可能であればよい。
【0014】
工具主軸は、第1および第2ワーク主軸の回転軸が延びる方向(例えば、第1ワーク主軸と第2ワーク主軸との対向方向。以下、Z軸方向ともいう。)および当該回転軸と交差する方向(例えば、Z軸方向と直交する一の方向、ならびに両方向と交差する他の方向。以下、X軸方向およびY軸方向ともいう。)に移動可能に設けられる。工具主軸は、ワークを旋削加工するための工具を保持する。工具主軸は、第1ワーク主軸または第2ワーク主軸によって回転されるワークに対して、自身が保持する工具を当接させながら移動してもよい。これにより、ワークが旋削加工され得る。
【0015】
ワーク保持体は、工具主軸に着脱可能に設けられる。ワーク保持体は、工具主軸に取り付けられた状態でワークを保持する。このようなワーク保持体により、第1部分の旋削加工と第2部分の旋削加工との間においてワークを保持して移動させることが可能となる。ワーク保持体は、X〜Z軸方向に移動可能な工具主軸に取り付けられるので、これに保持されるワークもX〜Z軸方向に(つまり、三次元的に)移動可能である。例えば、ワークの第1軸心と各ワーク主軸の回転軸とが一致した状態(第1部分の旋削加工に適した状態)から、第1部分と第2部分との間の偏心方向に沿ってワークを移動させることで、ワークの第2軸心と各ワーク主軸の回転軸とが一致した状態(第2部分の旋削加工に適した状態)に移行することができる。よって、第1部分の旋削加工と第2部分の旋削加工とを、工作機械が備える構成要素のみを用いて簡便に行うことができる。
【0016】
ワーク保持体は、ワークが挿通される筒状部材であってもよい。この構成によると、ワーク保持体の剛性を高めることができ、ワーク保持体によるワークの移動を精度良く行うことが容易である。
【0017】
ワーク保持体は、所定軸心に沿って延びかつ横断面がフック状の部材であってもよい。この構成によると、ワーク保持体は所定軸心に沿って延びる開口を有する。その開口を介してワークを抜き差しすることが可能となり、ワーク保持体によるワークの保持およびその解除が容易である。
【0018】
ワーク保持体は、工具主軸のうち工具を保持する部分(以下、工具保持部ともいう。)に着脱可能であってもよい。この場合、ワーク保持体は、工具保持部に対して工具を着脱するためのインタフェースと同じインタフェースを有してもよい。この構成によると、ワーク保持体を取り付けるための特別な機構を工具主軸に設ける必要がない。
【0019】
工具主軸は、工具を保持する部分(工具保持部)と別に設けられ、ワーク保持体が着脱可能な着脱部を有してもよい。この構成によると、ワーク保持体に保持されるワークの重量負荷が工具保持部にはかからないので、当該重量負荷によって工具保持部がダメージを受けるおそれがない。
【0020】
工作機械は、ワークの旋削加工中にワークを支持して振れ止めする振止機構をさらに備えてもよい。振止機構は、ワークを支持した状態で、第1および第2ワーク主軸の回転軸と交差する方向(例えば、X軸方向)に移動可能であってもよい。この構成によると、ワーク保持体および振止機構によってワークを保持しながら、当該ワークをX軸方向に移動させることが可能となる。例えば、ワーク保持体と振止機構とをワークの延びる方向(Z軸方向)において離間して配置することで、両者の間にワークの重心を位置させ、これを安定して保持することが可能となる。
【0021】
ワーク保持体は、不使用時に、工作機械の加工空間の内部に配置されてもよいし、当該加工空間の外部に配置されてもよい。
【0022】
(工作機械の運転方法)
本開示に係る工作機械の運転方法は、上述の工作機械の運転方法であって、第1保持工程と、第1旋削工程と、第2保持工程と、解放工程と、移動工程と、第3保持工程と、第2旋削工程とを備える。
【0023】
第1保持工程では、ワークの第1部分を、第1ワーク主軸の回転軸と第1軸心とが一致した状態で、第1ワーク主軸で保持する。この状態では、第1ワーク主軸の回転軸(第2ワーク主軸の回転軸)と第2軸心とは互いに一致しない。
【0024】
第1旋削工程では、ワークを第1軸心回りに回転させながら、工具主軸に保持された工具で第1部分を旋削加工する。ワークの回転は、第1ワーク主軸のチャック機構を回転させることで実行されてもよい。工具主軸は、旋削加工において、工具を第1部分に当接させながらX〜Z軸方向に移動してもよい。
【0025】
第2保持工程では、ワークを、工具主軸に取り付けられたワーク保持体で保持する。第2保持工程では、ワークが、第1ワーク主軸によっても保持されている。つまり、第2保持工程では、ワークが、ワーク保持体と第1ワーク主軸によって保持される。
【0026】
解放工程では、第1ワーク主軸からワークを解放する。これにより、第1ワーク主軸によるワークの保持が解除される。この解除は、第1ワーク主軸のチャック機構を開状態にすることでなされてもよい。
【0027】
移動工程では、第2ワーク主軸の回転軸と第2軸心とが一致するように工具主軸を移動させる。このような工具主軸の移動により、ワーク保持体に保持されたワークが、第2ワーク主軸による第2部分の把持に適した位置に移動される。
【0028】
第3保持工程では、ワークの第2部分を、第2ワーク主軸の回転軸と第2軸心とが一致した状態で、第2ワーク主軸で保持する。この状態では、第2ワーク主軸の回転軸(第1ワーク主軸の回転軸)と第1軸心とは互いに一致しない。
【0029】
第2旋削工程では、ワークを第2軸心回りに回転させながら、工具主軸に保持された工具で第2部分を旋削加工する。ワークの回転は、第2ワーク主軸のチャック機構を回転させることで実行されてもよい。工具主軸は、旋削加工において、工具を第2部分に当接させながらX〜Z軸方向に移動してもよい。
【0030】
工作機械の運転方法は、第1旋削工程と第2保持工程との間に、ワーク保持体を工具主軸に取り付ける取付工程をさらに備えてもよい。取付工程では、工具をワーク保持体に付け替えてもよいし、工具主軸に工具を取り付けたままでワーク保持体を取り付けてもよい。
【0031】
工作機械の運転方法は、第3保持工程と第2旋削工程との間に、ワーク保持体によるワークの保持を解除する解除工程と、ワーク保持体を工具主軸から取り外す取外し工程とをさらに備えてもよい。ワーク保持体によるワーク保持の解除は、工具主軸をX〜Z軸方向へ移動させることでなされてもよい。取外し工程では、ワーク保持体を工具に付け替えてもよいし、ワーク保持体を単に取り外してもよい。
【0032】
以上のように、本開示によれば、互いに偏心した複数の部分(第1部分および第2部分)を有するワークを簡便に旋削加工することができる。
【0033】
以下では、本開示に係る工作機械および工作機械の運転方法の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の工作機械および工作機械の運転方法の構成要素および工程には、上述した構成要素および工程を適用できる。以下で説明する一例の工作機械および工作機械の運転方法の構成要素および工程は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。以下で説明する一例の工作機械および工作機械の運転方法の構成要素および工程のうち、本開示に係る工作機械および工作機械の運転方法に必須ではない構成要素および工程は省略してもよい。なお、以下で示す図は模式的なものであり、実際の部材の形状や数を正確に反映するものではない。
【0034】
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。本実施形態の工作機械10は、ターニングセンタとマシニングセンタの機能を併せ持つ複合加工機であるが、これに限定されるものではない。工作機械10は、第1軸心O1を有する第1部分21と、第1軸心O1から偏心した第2軸心O2を有する第2部分22とを含むワーク20を旋削加工できる。工作機械10は、図1図9に示すように、第1ワーク主軸11と、第2ワーク主軸12と、工具主軸13と、刃物台14と、ワーク保持体15とを備える。
【0035】
なお、以下の説明では、「上」、「下」、「左」、「右」などの方向を指す語を使用するが、これらは便宜上のものであって、本開示について何ら限定するものではない。このことは、「X軸方向」、「Y軸方向」、および「Z軸方向」の各語についても同様である。
【0036】
第1ワーク主軸11は、工作機械10が具備するベッド(図示せず)上に固定して設けられる。第1ワーク主軸11は、ワーク20を第1部分21で把持するための第1チャック11aを有する。第1ワーク主軸11は、第1チャック11aを回転させることで、ワーク20を第1軸心O1回りに回転させる。
【0037】
第2ワーク主軸12は、ベッド上に移動可能に設けられる。第2ワーク主軸12は、第1ワーク主軸11と同軸状に設けられる。第2ワーク主軸12は、第1ワーク主軸11との対向方向(図1における左右方向)に移動可能である。第2ワーク主軸12は、不図示の移動機構によって移動される。第2ワーク主軸12は、ワーク20の第2部分22を把持するための第2チャック12aを有する。第2ワーク主軸12は、第2チャック12aを回転させることで、ワーク20を第2軸心O2回りに回転させる。
【0038】
第1ワーク主軸11の回転軸と第2ワーク主軸12の回転軸とは、互いに一致している。第1ワーク主軸11および第2ワーク主軸12の回転軸は、Z軸方向(図1における左右方向)に延びている。
【0039】
工具主軸13は、X軸方向(図1における上下方向)、Y軸方向(図1における紙面直交方向)、およびZ軸方向に移動可能に設けられる。工具主軸13は、不図示の移動機構によって移動される。工具主軸13は、ワーク20を旋削加工するための工具30を保持する。工具主軸13は、第1ワーク主軸11または第2ワーク主軸12によって回転されるワーク20に対して、自身が保持する工具30を当接させながらX〜Z軸方向に移動する。
【0040】
刃物台14は、第1ワーク主軸11と第2ワーク主軸12との間において、ベッド上に移動可能に設けられる。刃物台14は、X軸方向およびZ軸方向に移動可能である。刃物台14は、不図示の移動機構によって移動される。刃物台14は、複数の工具(図示せず)を周方向(Z軸周りの方向)に並べて取り付け可能である。また、刃物台14は、振止機構40(例えば、図2を参照)を取り付け可能である。振止機構40は、ワーク20の旋削加工中に、ワーク20の回転を許容しながら当該ワーク20の振動を抑制する。
【0041】
ワーク保持体15は、工具主軸13に着脱可能に設けられる。ワーク保持体15は、工具主軸13に取り付けられた状態でワーク20を保持する(例えば、図4を参照)。ワーク保持体15は、工具主軸13と共にX〜Z軸方向に、つまり三次元的に移動可能である。本実施形態のワーク保持体15は、ワーク20が挿通される筒状部材で構成される。ワーク保持体15は、例えば円筒状であってもよいが、これに限られるものではない。
【0042】
ワーク保持体15は、工具主軸13の工具保持部(図示せず)に着脱可能である。ワーク保持体15は、当該着脱のために、工具保持部に対して工具30を着脱するためのインタフェースと同じインタフェース(例えば、シャンク)を有する。ワーク保持体15は、工具保持部から取り外されている間、つまり不使用時には、工作機械10の加工空間の外部に配置される。
【0043】
−工作機械の運転方法−
次に、図2図9を参照して、上述の工作機械の運転方法について説明する。工作機械の運転方法は、第1保持工程と、第1旋削工程と、第2保持工程と、解放工程と、移動工程と、第3保持工程と、解除工程と、第2旋削工程とを備える。
【0044】
第1保持工程では、図2に示すように、ワーク20の第1部分21を、第1ワーク主軸11の回転軸と第1軸心O1とが一致した状態で、第1ワーク主軸11で保持する。これに加えて、刃物台14に取り付けられた振止機構40により、ワーク20を支持してもよい。
【0045】
第1旋削工程では、図3に示すように、ワーク20を第1軸心O1回りに回転させながら、工具主軸13に保持された工具30で第1部分21を旋削加工する。ワーク20の回転は、第1ワーク主軸11の第1チャック11aを回転させることで実行される。
【0046】
第2保持工程では、図4に示すように、ワーク20を、工具主軸13に取り付けられたワーク保持体15で保持する。第2保持工程では、ワーク20が、第1ワーク主軸11および振止機構40によっても保持されている。
【0047】
解放工程では、図5に示すように、第1ワーク主軸11からワーク20を解放する。この解放は、第1ワーク主軸11の第1チャック11aを開状態にすることで実行される。これにより、ワーク20は、ワーク保持体15と振止機構40によって保持された状態になる。
【0048】
移動工程では、図6に示すように、第2ワーク主軸12の回転軸と第2軸心O2とが一致するように工具主軸13(ワーク保持体15)を移動させる。この例では、ワーク保持体15を上方に移動させる(図6の白抜き矢印)。この移動に際して、刃物台14(振止機構40)も一緒に上方に移動させてもよい。これにより、ワーク保持体15と振止機構40に保持されたワーク20が、第2ワーク主軸12による第2部分22の把持に適した位置に移動される。
【0049】
第3保持工程では、図7に示すように、ワーク20の第2部分22を、第2ワーク主軸12の回転軸と第2軸心O2とが一致した状態で、第2ワーク主軸12で保持する。これにより、ワーク20は、第2ワーク主軸12、ワーク保持体15、および振止機構40によって保持された状態になる。
【0050】
解除工程では、図8に示すように、ワーク保持体15によるワーク20の保持を解除する。解除工程では、振止機構40を下方に移動させた後、ワーク保持体15を第2ワーク主軸12から遠ざかる方向(図8における左方)へ移動させる。これにより、ワーク20が相対的にワーク保持体15から引き抜かれ、ワーク保持体15によるワーク20の保持が解除される。当該解除の後、振止機構40を上方に移動させて、振止機構40によってワーク20を支持してもよい。
【0051】
第2旋削工程では、図9に示すように、ワーク20を第2軸心O2回りに回転させながら、工具主軸13に保持された工具30で第2部分22を旋削加工する。ワーク20の回転は、第2ワーク主軸12の第2チャック12aを回転させることで実行される。以上により、第1部分21および第2部分22を有するワーク20を旋削加工することができる。
【0052】
《実施形態2》
本開示の実施形態2について説明する。本実施形態は、ワーク保持体15の保持機構などが上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0053】
図10に示すように、工具主軸13は、工具保持部と別に設けられ、ワーク保持体15が着脱可能な着脱部13aを有する。着脱部13aは、工具主軸13の筐体部分に設けられてもよい。着脱部13aは、ワーク保持体15が具備する被係合部(例えば、リング状部材)に係合する係合部(例えば、フック状部材)を有する(共に図示せず)。
【0054】
本実施形態のワーク保持体15は、図10の紙面直交方向に延びる軸心に沿って延びかつ横断面がフック状の部材で構成される。ワーク保持体15は、当該軸心に沿って延びる開口15aを有する。この開口15aを介して、ワーク保持体15によるワーク20の保持を実行および解除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、工作機械および工作機械の運転方法に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
10:工作機械
11:第1ワーク主軸
11a:第1チャック
12:第2ワーク主軸
12a:第2チャック
13:工具主軸
13a:着脱部
14:刃物台
15:ワーク保持体
15a:開口
20:ワーク
21:第1部分
22:第2部分
O1:第1軸心
O2:第2軸心
30:工具
40:振止機構
【要約】
【課題】互いに偏心した複数の部分を有するワークを簡便に旋削加工する。
【解決手段】開示される工作機械10は、第1軸心O1を有する第1部分21と、第1軸心O1から偏心した第2軸心O2を有する第2部分22とを含むワーク20を旋削加工できる工作機械10であって、ワーク20を第1部分21で把持して第1軸心O1回りに回転させる第1ワーク主軸11と、第1ワーク主軸11と同軸状に設けられ、ワーク20を第2部分22で把持して第2軸心O2回りに回転させる第2ワーク主軸12と、第1および第2ワーク主軸11,12の回転軸が延びる方向および該回転軸と交差する方向に移動可能に設けられ、前記ワーク20を旋削加工するための工具30を保持する工具主軸13と、工具主軸13に着脱可能に設けられ、工具主軸13に取り付けられた状態でワーク20を保持するワーク保持体15と、を備える。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10