特許第6987452号(P6987452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987452
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】底蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 8/00 20060101AFI20211220BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B65D8/00 Z
   B65D25/20 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-250200(P2017-250200)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-116287(P2019-116287A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
(72)【発明者】
【氏名】春山 寛之
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−155626(JP,A)
【文献】 特開2017−197274(JP,A)
【文献】 特開2003−112775(JP,A)
【文献】 特開平08−268460(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1807190(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 8/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、容器本体上部を覆うキャップと、容器本体の下部に装着する底蓋とを備える底蓋付き容器であって、
容器本体は、内壁部と、内壁部の下部に配設される底壁部と、内壁部の外側に設けられる外壁部とからなり、
底蓋は、基板部と、基板部の上面に立設される内筒部と、内筒部の外側に立設される外筒部とからなり、
容器本体は、内壁部の下部の外周側に第1溝部と、外壁部の下部の内周側に第2溝部とを設け、底蓋は、内筒部の内周側に第1突起部と、外筒部の外周側に第2突起部とを設け、第1溝部と第1突起部とによる第1嵌合および第2溝部と第2突起部とによる第2嵌合の2箇所で嵌合させることによって、底蓋を容器本体に装着することを特徴とする底蓋付き容器。
【請求項2】
外筒部は、基板部の縁端部に設けられ、底蓋が容器本体に装着されたときに、外壁部の内周側に設けられた縦リブの下端面が外筒部の上端面に当接することを特徴とする請求項1に記載の底蓋付き容器。
【請求項3】
容器本体の内壁部の下端または底壁部に装着筒部を垂設し、第1溝部が装着筒部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の底蓋付き容器。
【請求項4】
第1嵌合と第2嵌合の高さ方向の位置が、上下にずれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の底蓋付き容器。
【請求項5】
外筒部と基板部との間に補強リブが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の底蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器の内壁部の外側に外壁部を設け、底蓋を内壁部と外壁部の2箇所の嵌合で装着する底蓋付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品などの収納容器の場合、装飾性やデザイン性に優れていることが要望されているため、内容物が収納された容器本体の内壁の外側に装飾性に優れた外壁を有する容器が知られている。
また、容器本体の外壁の外側にさらに外装体を設け、外壁と外装体を固定するために、容器用抜け止め部材を容器本体の下部に装着した容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−155626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の容器は、容器本体5に被装着部57を設け、容器用抜け止め部材6に設けられた装着爪部62と嵌合させるとともに、装着爪部62の外側に設けられた押さえ筒部61で、容器用外装体4を下側から押さえて、外装体4を固定するものであり、押さえ筒部61は単なる押さえに過ぎず、嵌合部分が装着爪部62による一箇所であるため、容器用抜け止め部材6に横方向の外力が加わった場合、嵌合が外れやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決することを課題とし、容器本体との嵌合部分を2箇所とする底蓋を設けて、嵌合を強化するとともに、容器に外力が加わった場合にも嵌合が外れにくい底蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、底蓋付き容器として、容器本体と、容器本体上部を覆うキャップと、容器本体の下部に装着する底蓋とを備える底蓋付き容器であって、容器本体は、内壁部と、内壁部の下部に配設される底壁部と、内壁部の外側に設けられる外壁部とからなり、底蓋は、基板部と、基板部の上面に立設される内筒部と、内筒部の外側に立設される外筒部とからなり、容器本体は、内壁部の下部の外周側に第1溝部と、外壁部の下部の内周側に第2溝部とを設け、底蓋は、内筒部の内周側に第1突起部と、外筒部の外周側に第2突起部とを設け、第1溝部と第1突起部とによる第1嵌合および第2溝部と第2突起部とによる第2嵌合の2箇所で嵌合させることによって、底蓋を容器本体に装着することを特徴とする構成を採用する。
【0007】
底蓋付き容器の具体的実施形態として、外筒部は、基板部の縁端部に設けられ、底蓋が容器本体に装着されたときに、外壁部の内周側に設けられた縦リブの下端面が外筒部の上端面に当接することを特徴とする構成、容器本体の内壁部の下端または底壁部に装着筒部を垂設し、第1溝部が装着筒部に設けられていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
さらなる底蓋付き容器の具体的実施形態として、第1嵌合と第2嵌合の高さ方向の位置が、上下にずれていることを特徴とする構成、外筒部と基板部との間に補強リブが設けられていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の底蓋付き容器は、嵌合部分が第1嵌合と第2嵌合の2箇所となって、嵌合が強化されるとともに、容器に横方向から外力がかかった場合に、片方のアンダーカットが外れる方向に変形しても、もう片方のアンダーカットはより強く嵌合する方向に変形して、嵌合部分が外れにくい容器とすることができる。
【0010】
また、内壁部の外側に外壁部を設けることによって、内壁部による容器本来の収納容器としての役割とともに外壁部により装飾性を持たせることが可能となり、使用性と装飾性の兼ね備えた容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の底蓋付き容器で、底蓋と容器本体が2箇所で嵌合した状態を示す半断面図である。
図2】本発明の実施例の底蓋付き容器において、容器本体に底蓋を装着する前の状態を示す図であり、(a)は容器本体の半断面図であり、(b)は底壁の半断面図である。
図3】本発明の実施例の底蓋付き容器の図1の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の底蓋付き容器について、クリーム等の内容物を収容する容器とした場合の実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例】
【0013】
図1〜3において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに嵌合して装着される底蓋、Cはキャップである。
容器本体Aは、筒状の内壁部2と、内壁部2の下端から底壁部3が配設されている。
容器本体Aの内壁部2は、上部において開口し、その開口部の上面を覆うシール部1が設けられ、内容物を密封するとともに、内壁部2の上部の外周面にねじ部4が設けられている。
【0014】
本実施例では、内壁部2の外側に突出するフランジ部5を設け、フランジ部5を介して外壁部6が設けられている。
また、本実施例では、内壁部2の下端から底壁部3とは別に装着筒部7が垂設されている。
外壁部6は、下部に向けて縮径するとともに、内周側に縦リブ8が設けられ、底蓋Bが嵌合する際には、縦リブ8の下端面は、後述する底蓋Bの外筒部12の上端面に当接している。
また、本実施例においては、底壁部3は内容物を取り出しやすくするために丸い曲面を有している。
【0015】
キャップCは、天板30と、天板30の周縁から垂設される側壁31とからなり、側壁31の内周にねじ部32を設け、螺合により容器本体Aに装着されている。
なお、キャップCの形状はどのようなものでもよく、ヒンジキャップ等を採用することも可能である。また、容器本体Aとの装着も螺合でなくどのようなものでもよく、アンダーカット嵌合等の係合方法を含め、本発明においては問わない。
【0016】
底蓋Bは、円盤状の基板部10と、基板部10の上面に立設される内筒部11と、内筒部11の外側の外筒部12とからなり、内筒部11は、装着筒部7の外側に、外筒部12は外壁部6の内側になるように設けられている。
本実施例では、外筒部12は基板部10の縁端部に設けられ、底蓋Bが容器本体Aに装着されたとき、縦リブ8の下端面が外筒部の12の上端面に当接するとともに、外壁部6の下端部が基板部10の縁端の下部に達するように設けられている。
外筒部12の内面側には、基板部10に下端部で結合する三角板状の補強リブ13が設けられている。
本実施例においては、補強リブ13は8〜12個設けられている。
【0017】
図3に示すように、容器本体Aと底蓋Bとの嵌合が第1嵌合aおよび第2嵌合bの2箇所設けられている。
装着筒部7の下部の外周側には、滑らかな凹条の第1溝部14が、外壁部6の下部の内周側には同じく滑らかな凹条の第2溝部15がそれぞれ全周にわたって設けられ、また、底蓋Bの内筒部11の内周側には第1突起部16が設けられ、外筒部12の外周側には第2突起部17が設けられ、底蓋Bが容器本体Aに装着されるときに、第1溝部14と第1突起部16とによる第1嵌合aおよび第2溝部15と第2突起部17による第2嵌合bの2箇所でアンダーカット嵌合する。
本実施例では、第1嵌合aと第2嵌合bのそれぞれの嵌合部分の位置には高低差があり、第1嵌合aのほうが第2嵌合bより高い位置に設けられており、外力がかかった場合にも、同時に同じ強い力がかからないようになっている。
本実施例の第1突起部16と第2突起部17は、第1溝部14と第2溝部15にそれぞれ係合しあう第1斜面部18と第2斜面部19と、第1溝部14と第2溝部15に対してそれぞれ係止するための第1係止部20と第2係止部21とからなっている。
第1突起部16および第2突起部17は、全周でなくてもよく、間欠的に設けられており、本実施例では第2突起部17は第1突起部16より多く間欠的に設けられている。
【0018】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について図面を参照しながら説明する。
本実施例の容器本体Aおよび底蓋Bは、ポリプロピレン樹脂のような可撓性の合成樹脂を使用し、それぞれ金型によって一体成形で製造することができる。
容器本体Aの製造においては、金型離型時に、装着筒部7および外壁部6の第1溝部14および第2溝部15に基づくアンダーカットに対して、アンダーカットの反対側のキャビティおよびコアを先に抜いて、空間を設けることができるので、アンダーカットの反対側に装着筒部7および外壁部6が変形しやすくなり、アンダーカット無理抜き成型が可能となる。
また、容器本体Aの第1溝部14と第2溝部15のアンダーカットと同様に、底蓋Bの第1突起部16と第2突起部17のアンダーカットに対しても無理抜き成型したり、底蓋Bの第1突起部16と第2突起部17のアンダーカットの一方側のみを無理抜き成型した場合でも、2箇所で嵌合させるので、嵌合部分が外れにくい。
【0019】
次に、図2に示す状態から図3に示すように、底蓋Bを容器本体Aに装着する。
底蓋Bの外筒部12の外端面を外壁部6の内端面に宛い、底蓋Bを押し上げていくと、それぞれ第1溝部14と第2溝部15に、第1突起部16の第1斜面部18と第2突起部17の第2斜面部19が滑り込み、さらに、第1係止部20と第2係止部21によって係止されるとともに、外筒部12の上端面が縦リブ8の下端面に当接して、底蓋Bと容器本体Aとの第1嵌合aと第2嵌合bの2箇所の嵌合が終了する。
【0020】
本実施例では、2箇所の嵌合部分を有しているので、嵌合部分が1箇所の場合より、底蓋Bと容器本体Aとの嵌合が強められる。
さらに、容器本体Aに横方向に外力が働いたときにも、嵌合部分の溝方向がそれぞれ逆に設けられているため、一方が外れる方向に変形しても、もう一方がより強く嵌合する方向に変形するため、底蓋Bと容器本体Aとの嵌合が外れることがない。
【0021】
もう1箇所を嵌合でなく、超音波接着やメルト接着などによる接着とした場合には、付帯設備が必要となるとともに強度不足となるおそれがあり、それに対し本発明のように嵌合を2箇所設けることによって簡便で嵌合強度も増し、また容器本体と底蓋とを破壊することなく分別分離することも可能である。
【0022】
本実施例では、容器本体Aの底壁部3が曲面なため、内壁部2に装着筒部7が垂設されているが、装着筒部7は必須ではなく、内壁部2に直接第1溝部14を設けることも可能である。
また、装着筒部7を底壁部3の下部に垂設することも可能である。
なお、本実施例では、内壁部2にフランジ部5を介して外壁部6が設けられているが、外壁部6が内壁部2の外側になるように設けることができれば、フランジ部5はなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の底蓋付き容器は、底蓋が容器本体に2箇所で嵌合するため、嵌合が1箇所の場合より嵌合が強まり、さらに、嵌合部分の溝方向がそれぞれ逆に設けられているので、横方向の外力に対しても嵌合が外れることがない。
また、容器本体の内壁部の外側に外壁部を設けることにより内壁部による使用性と外壁部による装飾性とを兼ね備えた容器とすることができ、整髪料や洗顔料など化粧品用の容器として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0024】
A 容器本体
B 底蓋
C キャップ
a 第1嵌合
b 第2嵌合
1 シール部
2 内壁部
3 底壁部
4 ねじ部
5 フランジ部
6 外壁部
7 装着筒部
8 縦リブ
10 基板部
11 内筒部
12 外筒部
13 補強リブ
14 第1溝部
15 第2溝部
16 第1突起部
17 第2突起部
18 第1斜面部
19 第2斜面部
20 第1係止部
21 第2係止部
30 天板
31 側壁
32 ねじ部
図1
図2
図3