特許第6989362号(P6989362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989362
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】フレンチトースト様食品
(51)【国際特許分類】
   A21D 13/80 20170101AFI20211220BHJP
   A21D 8/02 20060101ALI20211220BHJP
   A21D 2/14 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   A21D13/80
   A21D8/02
   A21D2/14
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-224904(P2017-224904)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-92438(P2019-92438A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 千恵
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−086742(JP,A)
【文献】 特開2002−051703(JP,A)
【文献】 特開2004−081091(JP,A)
【文献】 特開2010−075136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 13/80
A21D 8/02
A21D 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上であり、卵類を含み、安定剤の量が3質量%以下である水性液と、ケーキ生地とを水性液が下層、ケーキ生地が上層となるように積層し、加熱してなる、フレンチトースト様食品。
【請求項2】
上記ケーキ生地の比重が0.3〜0.8である、請求項1記載のフレンチトースト様食品。
【請求項3】
上記ケーキ生地が増粘安定剤を含有する、請求項1又は2記載のフレンチトースト様食品。
【請求項4】
上記水性液と上記ケーキ生地の質量比が25:75〜50:50である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレンチトースト様食品。
【請求項5】
甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上であり、卵類を含み、安定剤の量が3質量%以下である水性液と、ケーキ生地とを、水性液が下層、ケーキ生地が上層となるように積層し、加熱する、フレンチトースト様食品の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレンチトースト様食品に関する。
【背景技術】
【0002】
フレンチトーストとは、老化して硬くなったパンを、再生する一方法として古くから食されてきたもので、パン全体に、卵類、牛乳、糖類からなる、いわゆる浸漬液を染み込ませた後に加熱調理し、しっとりと柔らかくさせた加工食品である。
【0003】
フレンチトーストの一般的な製法は、バット等に入れた浸漬液に、厚さ10mm〜20mm程度にスライスした食パン、あるいはフランスパンを20〜60分浸漬し、さらに必要に応じ、砂糖やシナモン等の風味原料を振り掛け、オーブンやフライパンで焼成する、というものである。
【0004】
似た食品でパンプディングがある。配合的にはパンプディングとフレンチトーストは同一であるが、型に入れてオーブンで焼けばパンプディングと称し、型に入れずにフライパンで焼けばフレンチトーストと称するのが一般的な分け方である。
【0005】
この加熱方法の違いにより、パンプディングの方がプリンに近く、よりしっとりしたみずみずしい食感となる。
【0006】
そして、フレンチトーストは水分の蒸発量が多く、そのためパン代わりに手で持って食べることができる物性であるのが普通なのに対し、パンプディングは型焼きすることから水分の蒸発量が少なく、そのため手でもつことができるような物性でなく、スプーン等で食べるものが普通である。
【0007】
ここで、最近は、パンプディングのようにみずみずしい食感のフレンチトーストを求める要望や、手でもてるような物性のパンプディングを求める要望も見られる。また、これらのパンプディングやフレンチトーストを形態のばらつきがないように、また食感のばらつきがないように安定的に製造したい、という要望も多い。
【0008】
そのため、上記のような問題点を解決するためにさまざまな検討が行われてきた。
【0009】
例えば、安定的な製造方法については、卵類、乳類を含有し、熱により融解するシート状卵加工食品をパンに積載し、焼成する方法(例えば特許文献1参照)、油脂中に糖類、乾燥卵黄及び粉乳を分散させているフレンチトースト用油脂食品を使用する方法(例えば特許文献2参照)、などの検討が行われてきた。
【0010】
しかし特許文献1に記載の方法は、多量の増粘多糖類を含有させることが必要であり、そのため、食感が悪く、また、パンへの染み込みが悪く、また製造時間が長く煩雑になるという問題が残る。
また、特許文献2に記載の方法は、乾燥卵黄を使用し、水分を含まないことから、みずみずしい食感が得られず、さらには油性感の高いものになってしまう問題があった。
【0011】
一方、食感の改善については、パンや菓子屑、イースト生地とケーキ生地との混合生地を、発酵、焼成する方法(例えば特許文献3参照)や、薄板状ケーキに焼プリン用ミックス液を含浸させた後、加熱する方法(例えば特許文献4参照)などが提案されている。
【0012】
しかし、特許文献3に記載の方法は発酵が必須であるため製造時間が長くかかり、また、形状が安定しないという問題もある。また、特許文献4に記載の方法にはパンやケーキの食感がほとんど感じられなくなってしまう、という問題があった。
【0013】
そして、これら、焼成後のベーカリー製品に卵液に浸して再度焼成、という手法では、ベーカリー製品としてパンを使用した場合はグルテン骨格が残るため、ある程度手で持てるような物性が残るが、澱粉骨格のケーキを使用した場合は、卵液によりその澱粉骨格が溶解して崩壊し、手で持てないような物性になってしまうという問題があった。
【0014】
さらに、これらの方法では2度の焼成工程が必要なために、製造が煩雑で時間と手間がかかりすぎる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平11−206343号公報
【特許文献2】特開2003−180245号公報
【特許文献3】特開昭63−263037号公報
【特許文献4】特開2014−233239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、簡単な製法で安定的に生産することのできる、手でもつことができる程度の強度を有しながら、みずみずしい食感を有するフレンチトースト様食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は上記課題を解決すべく種々検討した結果、焼成したベーカリー製品に卵液を浸みこませるのではなく、ベーカリー生地を焼成しながら卵液を浸みこませることで上記課題を解決可能であることを見出した。
【0018】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上である水性液と、ケーキ生地とを積層し、加熱してなることを特徴とする、フレンチトースト様食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、手でもつことができる程度の強度を有しながら、みずみずしい食感を有するフレンチトースト様食品を、簡単に短時間で安定的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のフレンチトースト様食品についてその好適な実施形態に基づき詳述する。本明細書において、フレンチトースト様食品とは、パンやケーキに、卵を多く含有する浸漬液や卵液を浸漬させてから加熱し、卵の凝固力を使用して得られる通常のフレンチトーストと同様の外観、風味、食感を有している食品を意味する。ただし、風味については卵風味以外に乳風味、カカオ風味、コーヒー風味等の呈味が付与されたものも含むものとする。フレンチトースト様食品にはベーカリー製品の製造をフレンチトーストのように型なしで加熱でするものに限定されず、パンプディングのように型に入れてオーブンで加熱するものも含まれる。
【0021】
まず本発明で使用する甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上である水性液について述べる。
なお、ここでいう水性液とは、水溶液のほか、水に不溶の成分が分散した懸濁液や、少量の油脂や油溶性成分が分散した水中油型乳化物などの、水相を連続相とする液状物を含むものとする。
【0022】
甘味度30超の糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、還元パラチノース、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、はちみつ等が挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上の糖類を用いることができる。本発明において、甘味度とは、ショ糖の甘味を100としたときの各種甘味料の甘味の強さを相対値として表したものである。
【0023】
なお、本発明では、得られるフレンチトースト様食品の甘味がすっきりした甘味となる点、保存性が良好となる点で上記糖類の一部又は全部が糖アルコールであることが好ましい。なお、一部とする場合は糖類の固形分中の5〜30質量%を糖アルコールとすることが、加熱時の焦げの発生が抑制され、また、良好な甘味が得られる点で好ましい。
【0024】
なお、糖アルコールとしては、上記糖類のうち、還元澱粉糖化物、還元水飴、還元パラチノース、ソルビトール、還元乳糖、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール等が挙げられる。
【0025】
上記水性液は、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上であることが必要であり、好ましくは18〜50質量%、さらに好ましくは20〜50質量%である。甘味度30超の糖類の含有量が15質量%未満であると、卵類の含量が多い場合に浸みこみにくく、また、加熱時にダマになりやすく、さらに、得られるフレンチトースト様食品も甘さが弱すぎ、すっきりとした乳風味が得られないことに加え、ソフトでしっとりした食感が得られず、また保存性も悪化してしまう。
【0026】
なお、甘味度30超の糖類の含有量が50質量%以下であることで、浸みこみやすくなることに加え、甘味が強すぎてバランスが悪い乳風味になったり、べたついた食感のフレンチトースト様食品になったりするおそれを防止できる。
【0027】
なお使用する糖類が液状の場合は、上記含有量については固形分で算出するものとする。
【0028】
上記水性液は、良好な風味のフレンチトースト様食品が得られる点で卵類を含有することが好ましい。本発明では卵類が糖類を多く含有する水中油型乳化物の水相に含まれることにより、従来のフレンチトーストの製造に使用する浸漬液や卵液に比べ、加熱時にダマになりにくい点で優れている。上記水性液における卵類の含有量は、卵黄の固形分として0.1質量%以上であれば卵黄の風味と色調をフレンチトースト様食品に付与することが可能であり、2質量%以上20質量%以下で好ましい卵風味を付与することができるが、本発明では、浸みこみやすさ、及び、加熱時のダマの発生を防ぐため、さらには、保存性が高く、乳風味が良好で、ソフトでしっとり食感が得られやすい点において、卵黄の固形分として0.1〜5質量%となる量であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましく、特に好ましくは0.1〜1質量%である。
【0029】
上記の卵類としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白、凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、凍結加糖全卵、凍結加糖卵黄、凍結加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄などを用いることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
上記水性液は、良好な風味のフレンチトースト様食品が得られる点で蛋白質及び/又はアミノ酸を含有することが好ましい。蛋白質のみであってもアミノ酸のみであってもよいが、少なくとも蛋白質を含有することが好ましい。そしてその含有量は蛋白質とアミノ酸を合計して0.3〜8質量%であることが好ましく、1〜6質量%であることがより好ましい。蛋白質及び/又はアミノ酸の含有量が合計して0.3質量%以上であることで、良好な焼き色のフレンチトースト様食品が得られやすく、8質量%以下とすることで、加熱中にダマを生じることを防止できる。
【0031】
上記蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、乳清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン等の小麦蛋白質、プロラミン、グルテリン等の米蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて1種ないし2種以上の蛋白質として、或いは1種ないし2種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよく、好ましくは上記卵黄、あるいは乳及び乳製品として含有することが好ましい。
【0032】
上記乳及び乳製品としては、乳清ミネラル・発酵乳・牛乳・全粉乳・脱脂粉乳・トータルミルクプロテイン、ホエイパウダー、ミネラル濃縮ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、バターミルクパウダー・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
上記水性液は、乳製品の一種として、乳清ミネラルを固形分として0.2〜2質量%、好ましくは0.3〜1.2質量%含有することが、得られるフレンチトースト様食品が濃厚且つすっきりとした乳風味となる点で好ましい。
なお、乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、そのため、高濃度に乳の灰分(ミネラル)を含有し、且つ、固形分に占める灰分の割合が極めて高いという特徴を有する。
【0034】
とくに本発明では、糖類及び蛋白質を多く含有しながら加熱中のダマが生じにくく、さらには良好な風味のフレンチトースト様食品が得られる点で加糖練乳を含有するものであることが好ましい。
【0035】
また、上記アミノ酸としては、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、アラニン、ロイシン、トリプトファン、チロシン、バリン、シトルリン、オルニチンなどが挙げられる。これらのアミノ酸は遊離のアミノ酸でもよいし、塩やペプチドの形態でもよい。
【0036】
上記水性液の水の含有量は、好ましくは25〜60質量%、より好ましくは30〜55質量%である。尚、ここでいう水の含有量は、上記糖類、卵黄、蛋白質及び/又はアミノ酸、乳清ミネラルをはじめ下記の「その他の成分」に含まれる水分も含めたものとする。
【0037】
上記水性液は油脂を含むものであってもよい。油脂を含有することにより、水に分散するとダマになりやすい成分を含む場合の製造が容易となることに加え、老化耐性のあるフレンチトースト様食品とすることができる。上記水性液における油脂含量は、油脂純分として5質量%以上であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは10〜30質量%である。油脂含有量が5質量%以上であることで、加熱時にダマを生じるおそれを防止できる。油脂含有量を50質量%以下とすることで、得られるフレンチトースト様食品が油性感が強いものとなってしまうことを防止できる。
【0038】
上記水性液で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
なお、上記水性液に使用する油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、クリーム等の油脂組成物や、油脂を含有する食品素材も使用することができる。
【0039】
上記水性液では、必要に応じ、乳化剤、安定剤、甘味度30未満の糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等のその他の成分を任意に配合してもよい。その他の成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲において、通常の使用量の範囲で使用することができるが、好ましくは固形分として30質量%以下、より好ましくは15質量%以下とする。
【0040】
上記の乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤や天然乳化成分が挙げられる。本発明においては、必要に応じてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。乳化剤を使用する場合、水性液中の乳化剤の含有量は0.1〜10質量%とすることが好ましい。
【0041】
上記安定剤としては、リン酸(ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、オルソリン酸、ピロリン酸、第3リン酸、第2リン酸、第1リン酸)の塩、特にアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。安定剤を使用する場合、上記水性液中の安定剤の含有量は0.01〜3質量%とすることが好ましい。
【0042】
次に上記水性液を製造する方法について述べる。
【0043】
上記水性液は、水に甘味度30超の糖類、必要により蛋白質、その他の原料を加え、混合、溶解することによって得ることができる。その際、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
【0044】
また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
【0045】
なお、水性液が油性相を含む場合は、いったん、水溶性成分のみで水性相を用意し、ここに食用油脂、必要により油溶性成分や水に添加するとダマになりやすい食品素材を添加、分散した油性相と添加し、水中油型に乳化することにより、得ることができる。
【0046】
乳化の際には、まず予備乳化物を調製し、次にこれを必要によりバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
【0047】
また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
【0048】
次に、本発明で使用するケーキ生地について述べる。
【0049】
上記ケーキ生地としては、例えばスフレケーキ生地、カステラ生地、シフォンケーキ生地、シュー生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地、ガレット生地、甘食生地、蒸しケーキ生地、マフィンケーキ生地等の焼成時に流動性のある焼菓子生地があげられる。
【0050】
本発明においては、焼成時に浮きが均質であることから、層が波打つことない均質な浮きのフレンチトースト様食品が得られる点で、スフレケーキ生地、カステラ生地、シフォンケーキ生地、スポンジケーキ生地、等の比重が軽い生地を使用することが好ましい。
なお、その好ましい比重は0.3〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.5である。なお、「比重」とは、一定体積におけるケーキ生地の重量を、同体積の水の重量で除した数値である。具体的な測定方法としては以下の通りである。
まず、一定容積の計量カップを準備し、水をすりきれいっぱいに入れた際の水の重量を測定する。そして該計量カップを用い、製造後1分以内のケーキ生地をすりきれいっぱいに入れた際のケーキ生地の重量を測定する。そして、上記ケーキ生地の重量を上記水の重量で除して得られる数値をケーキ生地の比重とする。なお、ケーキ生地の比重は20℃において測定するものとする。
【0051】
上記ケーキ生地は、より均質な浮きのフレンチトースト様食品が得られる点で増粘安定剤を含有するものであることが好ましい。
【0052】
上記増粘安定剤としては、ゼラチン、糊化澱粉、さらにはグアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、CMC、メチルセルロース、寒天、グルコマンナンなどの増粘多糖類が挙げられ、このうち1種または2種以上を用いることができるが、本発明ではローカストビーンガム、キサンタンガム、ゼラチンのうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
【0053】
なお、増粘安定剤の含有量はその種類により異なるが、たとえば、ゼラチンや糊化澱粉の場合は、ケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜7質量部である。また、増粘多糖類の場合は、ケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し0.03〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。
【0054】
上記ケーキ生地には、一般にケーキ生地に使用可能な成分、例えば、澱粉類、油脂類、糖類をはじめ、乳や乳製品、卵製品、さらには乳化剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、蛋白質、酵素、酸化防止剤、着色料類、ココアパウダー、カカオマス、チョコレート等のカカオ製品、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、着香料等を適宜選択使用することができる。
【0055】
上記澱粉類としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類をはじめ、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉などの穀物澱粉類、さらには、これらに対し、糊化処理、分解処理、エーテル処理、エステル処理、架橋処理、微細化、グラフト化処理などの中から選ばれた1種または2種以上の処理を施した加工小麦粉類、加工穀粉類、加工澱粉類を挙げることができる。
【0056】
また、上記油脂類としては、ショートニング、マーガリン、バター等の可塑性油脂組成物や、サラダ油、流動ショートニング、溶かしバター等の流動状〜液体等、いずれの形態であってもよい。上記油脂類に使用される油脂は特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0057】
上記糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、キャラメル、かえで糖、オリゴ糖、キシロース、トレハロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビノース、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ヘミセルロース、モラセス、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ラフィノース、ラクチュロース、テアンデオリゴ糖、ゲンチオリゴ糖等が挙げられる。
【0058】
上記乳製品としては生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料等が挙げられる。
【0059】
上記卵製品としては、全卵、卵黄、卵白、加塩卵黄、加糖卵黄、酵素処理卵黄、粉末全卵、粉末卵黄、粉末卵白、卵白分解物などが挙げられる。
【0060】
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグルセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン類等が挙げられ、このうち1種または2種以上を用いることができる。
【0061】
上記ケーキ生地の製造方法は特に限定されず、オールインミックス法、卵白別立て法、共立て法、後粉法、シュガーバッター法、フラワーバッター法、後油法、前油法などの各種ケーキ製造方法を適宜選択し、組み合わせることができる。
【0062】
本発明のフレンチトースト様食品は、上記甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上である水性液と、上記ケーキ生地とを積層し、加熱してなるものである。
【0063】
上記積層の際は、上記水性液と、上記ケーキ生地とはどちらが上層であってもよいが、より安定した形状のフレンチトースト様食品を安定して製造可能な点で、上記水性液を下層に、上記ケーキ生地を上層とすることが好ましい。
【0064】
なお、水性相を上層に、ケーキ生地を下層とする場合は、水性相は増粘安定剤を0.05〜1質量%添加するなどして粘度を上げ、焼成中に部分的にケーキ生地中への沈降・混合を防止することが好ましい。
【0065】
なお、好ましい積層方法は以下のとおりである。
【0066】
まず、焼型や天板、好ましくは底面が平らである焼型を用意し、上記水性液を注ぎ込む。そして、上記ケーキ生地を上面に、好ましくは水性液の表面を覆うように積置する。
【0067】
ここで、上記水性液と上記ケーキ生地の質量比は25:75〜50:50であることが好ましく、より好ましくは30:70〜45:55である。水性液の比率が25質量%以上であることで、加熱中にケーキ生地部分の全体に含浸させやすく、均質な食感のフレンチトースト様食品を得やすく、また、フレンチトースト様食品の様相を呈さないような、比重が軽く、食感も軽く、風味も淡い食品となるおそれを防止できる。一方、水性液の比率を50質量%以下とすることで、良好な品質のフレンチトースト様食品は得られ、しかも、水性液をケーキ生地部分に完全に吸収させやすく、焼型内に水性液が残存してしまい、底面に焦げを生じてしまうおそれを防止できる。
【0068】
なお、積層の際に、上記水性液とケーキ生地以外に、その他の成分、例えば、シナモン、香辛料等を別途付着させてもよい。
【0069】
なお、上記水性液は必要に応じ加温することで粘度を下げることが可能である。
【0070】
上記積層後、加熱する方法としては一般的な方法でよく、例えば、ホットプレートやオーブンやジェットオーブンで焼成、フライパン等で加熱、蒸し器で蒸す、あるいはマイクロ波により加熱する等の方法がある。
【0071】
本発明のフレンチトースト様食品の加熱条件は、オーブンの種類や、フレンチトースト様食品の配合によって異なるが、好ましくは120〜270℃で、さらに好ましくは130〜210℃、さらに最も好ましくは、160〜200℃である。オーブンでの焼成は、上火よりも下火の温度が低いことが好ましく、その場合の上火の好ましい温度は180〜210℃、特に180〜200℃であり、下火の好ましい温度は130〜180℃、特に160〜180℃である。
【0072】
この加熱によりケーキ生地が膨張・固化しながら水性液が含浸することで、本発明の特徴ある強度、食感のフレンチトースト様食品が得られる。
【0073】
すなわち、焼成後のケーキに水性液を含浸させて後、焼成すると、その澱粉骨格が溶解して崩壊し、手で持てないような物性になってしまうし、水性液をあらかじめケーキ生地に配合することは生地比重の低下を招き、膨張力を大きく低下させることに加え、消泡作用もあるため、良好な浮きのベーカリー食品が得られないのに対し、本発明のフレンチトースト様食品は、手でもつことができる程度の強度を有しながら、みずみずしい食感を有するという特徴を有しているものである。
【0074】
このようにして得られたフレンチトースト様食品は、生の卵類を大量に使用せずとも、保存性が高く、乳風味が良好で、ソフトでしっとりした食感でありながら、油性感がなく、手でもって食せるほどの保型性を示す。
【0075】
本発明のフレンチトースト様食品は、上述した通り、甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上である水性液と、ケーキ生地とを積層し、加熱して製造されるものである。本発明者はこの方法により得られたフレンチトースト様食品の食感がみずみずしく且つ高い強度を有するという従来にない特性を有することを確認した。本来ならば、このフレンチトースト様食品の特性について、何らかの手段を用いて測定した上で、本願の特許請求の範囲において直接明記することが望ましい。
しかしながらフレンチトースト様食品の食感には化学的特性や内部構造等の多くの要素が複合的に絡んでおり、これらを解析するためには、著しく過大な経済的支出及び時間を要する。また、フレンチトースト様食品の強度についても「手で持つことができるか」「手で持つと崩れてしまうか」といった視点の強度の測定方法は知られておらず、新たな測定方法を確立するために、著しく過大な経済的支出及び時間を要する。
以上の事情より、特許出願の性質上、迅速性等を必要とすることに鑑みて、出願人は、上記の通り、本発明のフレンチトースト様食品が「甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上である水性液と、ケーキ生地とを積層し、加熱されてなる」ことを請求項1に記載した。
以上の通り、本願出願時においては、「甘味度30超の糖類の含有量が15質量%以上である水性液と、ケーキ生地とを積層し、加熱されてなる」フレンチトースト様食品の特性を特定することが不可能であるという事情が存在した。
【実施例】
【0076】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0077】
<水性液の製造>
〔製造例1〕
水35.57質量部を60℃に昇温し、攪拌しながら、20%加糖卵黄(水分含量44質量%、蛋白質含量12.1質量%、卵黄固形分36質量%、ショ糖含量20質量%)2質量部、乳清ミネラル0.4質量部、脱脂粉乳(蛋白質含量34質量%)7質量部、加糖練乳(水分含量25質量%、ショ糖含量50質量%、蛋白質含量7.8質量%)2質量部、グラニュー糖32質量部、ソルビトール液糖(固形分70質量%)5質量部、シュガーエステル0.2質量部、カラメル色素1質量部、リン酸塩(トリポリリン酸ナトリウムとヘキサメタリン酸ナトリウムの等量混合物)0.15質量部、香料0.03質量部を溶解させた水性相を用意した。一方、ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂14.2質量部にグリセリンモノ脂肪酸エステル0.25質量部、大豆レシチン0.2質量部を溶解させた油性相を用意し、上記水性相に該油性相を加え、混合攪拌して予備乳化物を調製した。予備乳化後5MPaの圧力で均質化し、次いでVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142℃にて4秒間殺菌し、再度10MPaの圧力で均質化後、5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間のエージングを行い、甘味度30超の糖類の含有量が36.9質量%、油脂含量が14質量%、水分含量が38.5質量%、卵黄を固形分として0.72質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が2.8質量%である水中油型乳化物である水性液Aを得た。
【0078】
〔製造例2〕
牛乳(水分89質量%、蛋白質含量3質量%、油分含量3質量%)60質量部、グラニュー糖33質量部、ソルビトール液糖(糖固形分70質量%)5質量部、20%加糖卵黄(水分含量44質量%、蛋白質含量12.1質量%、卵黄固形分36質量%、ショ糖含量20質量%)2質量部を均一に混合し、甘味度30超の糖類の含有量が35.9質量%、油脂含量が1.8質量%、水分含量が55.8質量%、卵黄を固形分として0.72質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が2.0質量%である、水性液Bを得た。
【0079】
〔製造例3〕
牛乳60質量部、グラニュー糖25質量部、卵黄(水分51質量%、蛋白質含量15質量%、卵黄固形分49質量%)15質量部を均一に混合し、甘味度30超の糖類の含有量が25質量%、油脂含量が1.8質量%、水分含量が61.1質量%、卵黄を固形分として7.4質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が4.1質量%である、水性液Cを得た。
【0080】
〔製造例4〕
牛乳75質量部、グラニュー糖10質量部、卵黄(水分51質量%、蛋白質含量15質量%、卵黄固形分49質量%)15質量部を均一に混合し、甘味度30超の糖類の含有量が10質量%、油脂含量が2.3質量%、水分含量が74.4質量%、卵黄を固形分として7.4質量%、蛋白質とアミノ酸との合計量が4.5質量%である、水性液Dを得た。
【0081】
<ケーキ生地の製造>
〔製造例5〕
卵白180質量部、全卵(正味)20質量部、上白糖70質量部、液糖(ピュアトースL:群栄化学工業株式会社製)(糖固形分75質量%)50質量部、製菓用起泡剤製剤(ジェノワーズ:株式会社ADEKA製)8質量部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、中高速で比重0.35まで起泡した。ここに、あらかじめ混合しておいた、薄力粉60質量部、澱粉(フードスターチMM−9:松谷化学工業株式会社製)40質量部、ベーキングパウダー2質量部、ゼラチン(ニッピゼラチンCSI−200:株式会社ニッピ製)6質量部を添加し、低速で混合し、さらにケーキ練り込み用液状油(グラシュー:株式会社ADEKA製)10質量部を添加し、軽く混合し、比重0.45であるシフォンケーキ生地Aを得た。
【0082】
〔製造例6〕
ゼラチンを添加しない以外は、上記製造例5と同様の配合及び製法で、比重4.5であるシフォンケーキ生地Bを得た。
【0083】
<フレンチトースト様食品の作成>
〔実施例1〕
天板(長さ230mm×幅230mm×深さ30mm)に紙型をあて、ここに上記製造例1で得られた水性液Aを220g流し込んだ。その上面に上記製造例5で得られたシフォンケーキ生地Aを380g流し、積層した。(水性液とケーキ生地の質量比=37:63)
次に、上火190℃、下火170℃に設定した固定オーブンに、下天板1枚入れて30分焼成し、ケーキ生地を焼成しながら水性液を含浸させることにより、本発明のフレンチトースト様食品1を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品1は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、下から上まで均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品1は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
【0084】
〔実施例2〕
シフォンケーキ生地Aに代えて製造例6で得られたシフォンケーキ生地Bを使用した以外は実施例1と同様にして、本発明のフレンチトースト様食品2を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品2は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、下から上まで均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品2は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
なお、このフレンチトースト様食品2は、フレンチトースト様食品1に比べやや浮き高さが低く、やや表面が波うっていた。
【0085】
〔実施例3〕
水性液Aに代えて水性液Bを使用した以外は実施例1と同様にして、本発明のフレンチトースト様食品3を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品3は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、下から上まで均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、フレンチトースト様食品1に比べややしとり感が弱いものの、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品3は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
【0086】
〔実施例4〕
水性液Aに代えて水性液Cを使用した以外は実施例1と同様にして、本発明のフレンチトースト様食品4を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品4は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、若干上の方が希薄ではあるが、下から上までほぼ均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、フレンチトースト様食品1に比べややしとり感が弱いものの、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品4は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
【0087】
〔実施例5〕
実施例1における水性液Aの流し込み量を220gから160gに変更し、シフォンケーキ生地Aの流し込み量を380gから440gに変更(水性液とケーキ生地の質量比=27:73)した以外は実施例1と同様にして、本発明のフレンチトースト様食品5を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品5は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、フレンチトースト様食品1に比べややしとり感が弱いものの、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品5は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
【0088】
〔実施例6〕
実施例1における水性液Aの流し込み量を220gから280gに変更し、シフォンケーキ生地Aの流し込み量を380gから320gに変更(水性液とケーキ生地の質量比=47:53)した以外は実施例1と同様にして、本発明のフレンチトースト様食品6を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品6は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品6は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
【0089】
〔実施例7〕
実施例1における水性液Aの流し込み量を220gから340gに変更し、シフォンケーキ生地Aの流し込み量を380gから260gに変更(水性液とケーキ生地の質量比=57:43)した以外は実施例1と同様にして、本発明のフレンチトースト様食品7を得た。
得られた本発明のフレンチトースト様食品7は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、パンプディング様のみずみずしい食感を有するものであった。
なお、このフレンチトースト様食品7は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
ただし、焼型の底面にケーキ生地に吸収しきれなかった水性液が若干残存していた。
【0090】
〔比較例1〕
水性液Aに代えて水性液Dを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例のフレンチトースト様食品8を得た。
得られたフレンチトースト様食品8は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、下部のみ水性液が含浸し、上部には達していないことが確認された。
ついで、試食したところ、下部は甘味は少ないがパンプディング様のみずみずしい食感であるが上部は通常のケーキの食感であり不均一であった。
なお、このフレンチトースト様食品8は、手でもつことができる程度の強度を有していた。
【0091】
〔比較例2〕
天板(長さ230mm×幅230mm×深さ30mm)に紙型をあて、ここに上記製造例5で得られたシフォンケーキ生地Aを380g流し、上火190℃、下火170℃に設定した固定オーブンに、下天板1枚入れて30分焼成し、シフォンケーキを得た。シフォンケーキは室温で1日放置後、上記製造例1で得られた水性液Aを刷毛を用いて220g塗布、含浸させた。そして、再度、上火190℃、下火170℃に設定した固定オーブンに、下天板1枚入れて30分焼成し、比較例のフレンチトースト様食品9を得た。
得られたフレンチトースト様食品9は、室温で30分放冷後、90mm×90mmにカットした。
その断面をみたところ、均質に水性液が含浸していることが確認された。
ついで、試食したところ、べちゃついた不良な食感であった。
なお、このフレンチトースト様食品9は、軟らかすぎ、手でもつことができなかった。
【0092】
〔比較例3〕
シフォンケーキ生地A380gに上記水性液A220gを徐々に添加、混合し、比重0.8のケーキ生地Cを得た。
天板(長さ230mm×幅230mm×深さ30mm)に紙型をあて、ここに上記ケーキ生地Cを600g流し、上火190℃、下火170℃に設定した固定オーブンに、下天板1枚入れて30分焼成し、比較例のフレンチトースト様食品10を得た。
得られたフレンチトースト様食品10は、浮きが乏しく、べちゃついた食感で、軟らかすぎ、手でもつことができなかった。