(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100340
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】小型器具用ホルダー装置
(51)【国際特許分類】
G01C 9/28 20060101AFI20220628BHJP
G01B 3/1046 20200101ALI20220628BHJP
B25H 3/00 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
G01C9/28
G01B3/1046
B25H3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063830
(22)【出願日】2022-04-07
(62)【分割の表示】P 2019067859の分割
【原出願日】2019-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591006634
【氏名又は名称】株式会社エビス
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】丸山 清
(57)【要約】
【課題】作業者が片手でスムーズに水準器などの小型器具を取り外すことができる使い勝手の良い小型器具用ホルダー装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ブラケット挿入部3にスライド挿入されたブラケット2に自動的に抜脱防止係合し該ブラケット2の該ブラケット挿入部3からの抜脱を防止する抜脱防止係合部4と、抜脱防止係合部4のブラケット2との抜脱防止係合を解除操作する親指操作部5とを備え、抜脱防止係合部4は、親指操作部5が作業者から離れる方向に押動操作されることにより作業者側に退避可動しブラケット2との抜脱防止係合が解除されるように構成されている小型器具用ホルダー装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水準器や巻尺などの小型器具に設けられるブラケットと、前記小型器具を作業者の腰部に装着するためのホルダーとからなる小型器具用ホルダー装置であって、前記ホルダーを構成するホルダー本体部には、前記ブラケットがスライド挿入されるブラケット挿入部と、このブラケット挿入部にスライド挿入された前記ブラケットに自動的に抜脱防止係合し該ブラケットの該ブラケット挿入部からの抜脱を防止する抜脱防止係合部と、前記抜脱防止係合部の前記ブラケットとの前記抜脱防止係合を解除操作する親指操作部とが設けられ、また、前記ブラケット挿入部には、前記ブラケットのスライド移動を案内する一対のガイドレール部が設けられ、また、前記抜脱防止係合部は、前記親指操作部が前記作業者から離れる方向に押動操作されることにより前記作業者側に退避可動し前記ブラケットとの抜脱防止係合が解除されるように構成され、また、前記親指操作部は、立壁状の指掛け部を有し、前記抜脱防止係合部の上部に設けられ、また、前記ブラケットは、前記小型器具に設けられる係止部と、前記ブラケット挿入部内にスライド挿入されるスライダー部とを備え、さらに、前記係止部と前記スライダー部との間には、上下方向に延設され前記ブラケット挿入部の前記ガイドレール部に係合可能な一対の縦方向凹条溝部と、この一対の縦方向凹条溝部と直交する左右方向に延設され前記ブラケット挿入部の前記ガイドレール部に係合可能な一対の横方向凹条溝部とが設けられ、前記縦方向凹条溝部若しくは前記横方向凹条溝部のいずれかが前記ブラケット挿入部の前記ガイドレール部と係合し、前記ブラケット挿入部にスライド挿入し得るように構成されていることを特徴とする小型器具用ホルダー装置。
【請求項2】
請求項1記載の小型器具用ホルダー装置において、前記親指操作部に前記作業者の前記解除操作を行う手の親指をあてがうと共に、前記手の該親指以外の指で前記ブラケットを介して前記ホルダーに装着された前記小型器具を下方から支持し、前記親指で前記親指操作部の前記指掛け部を前記作業者から離れる方向に押動操作して前記抜脱防止係合部の前記ブラケットとの抜脱防止係合を解除しながら、前記親指以外の指で前記小型器具を上方に引き上げることで、前記ブラケットが前記ガイドレール部に案内されて上方向に移動し、前記ブラケット挿入部から離脱して、前記小型器具を前記ホルダーから取り外せるように構成されていることを特徴とする小型器具用ホルダー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水準器や巻尺などの作業者が携帯可能な小型器具を作業者の腰部に装着するための小型器具用ホルダー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のホルダーは、作業の際に邪魔にならないように作業者の腰部の側部付近に装着されることが多い。そのため、このホルダーに対する小型器具の着脱操作は、通常、片手で行われることになる。
【0003】
したがって、この種のホルダーは、作業者が片手で簡易に着脱操作することができるように、一般的には小型器具に取り付けたブラケットをホルダーに設けられた挿入部に差し入れることで、自動的にブラケットが挿入部内でロック状態になってこの挿入部から抜脱不能になり、これにより小型器具がホルダーに保持され、また、ホルダーに設けられた操作ボタン(操作部)を操作することで、ブラケットのロック状態が解除されて、小型器具をホルダーから取り外せるように構成されている。
【0004】
ところで、従来のホルダーは、特許文献1~5に示すように、ブラケットをホルダーに設けられた挿入部に上方から下方に向かって差し入れるタイプのものが殆どである。そのため、小型器具をホルダーから取り外す際は、操作ボタンを操作してロックを解除状態にしながら小型器具を上方に引き上げる操作を要するものとなっている。
【0005】
よって、このホルダーにおいては、ロック解除時の操作ボタンの操作性も重要なものとなっている。
【0006】
この操作ボタンに関しては、従来、様々なタイプのものが提案されており、例えば、特許文献1,2に示されるような押しボタンタイプに構成され、ホルダー上部に設けられ、上方から押し下げ操作するタイプのもの、特許文献3に示されるような押しボタンタイプに構成され、ホルダーの側面に設けられ、内方に押し入れ操作するタイプのもの、特許文献4,5に示されるようなスライドタイプに構成され、側方に向かってスライド操作するものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-200614号公報
【特許文献2】特開2014-104518号公報
【特許文献3】特開平9-272078号公報
【特許文献4】特開2004-66377号公報
【特許文献5】特開2010-23123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のホルダーに設けられている操作ボタンは、いずれも小型器具の引き上げ操作しながら操作するにはその位置取りや操作方向に難があり、したがって、従来のホルダーは、この操作ボタンを操作する際に、操作する指に違和感を覚えたり、操作時に操作する手の肘や肩に負担がかかったり、或いは、一連の指操作で小型器具を引き上げることができなかったり、さらにはどうしてももう一方の手を添えなければならなかったりするなどの問題を有しており、作業者が片手で小型器具をホルダーから簡易に且つスムーズに取り外すことができないものであった。
【0009】
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであり、操作ボタンの操作性を改善し、作業者が片手で操作ボタンの解除操作を行いながら容易に小型器具を引き上げ操作することができ、スムーズに小型器具をホルダーから取り外すことができる使い勝手の良い小型器具用ホルダー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
水準器や巻尺などの小型器具20に設けられるブラケット2と、前記小型器具20を作業者の腰部に装着するためのホルダーとからなる小型器具用ホルダー装置であって、前記ホルダーを構成するホルダー本体部1には、前記ブラケット2がスライド挿入されるブラケット挿入部3と、このブラケット挿入部3にスライド挿入された前記ブラケット2に自動的に抜脱防止係合し該ブラケット2の該ブラケット挿入部3からの抜脱を防止する抜脱防止係合部4と、前記抜脱防止係合部4の前記ブラケット2との前記抜脱防止係合を解除操作する親指操作部5とが設けられ、また、前記ブラケット挿入部3には、前記ブラケット2のスライド移動を案内する一対のガイドレール部3aが設けられ、また、前記抜脱防止係合部4は、前記親指操作部5が前記作業者から離れる方向に押動操作されることにより前記作業者側に退避可動し前記ブラケット2との抜脱防止係合が解除されるように構成され、また、前記親指操作部5は、立壁状の指掛け部5aを有し、前記抜脱防止係合部4の上部に設けられ、また、前記ブラケット2は、前記小型器具20に設けられる係止部2aと、前記ブラケット挿入部3内にスライド挿入されるスライダー部2bとを備え、さらに、前記係止部2aと前記スライダー部2bとの間には、上下方向に延設され前記ブラケット挿入部3の前記ガイドレール部3aに係合可能な一対の縦方向凹条溝部2dと、この一対の縦方向凹条溝部2dと直交する左右方向に延設され前記ブラケット挿入部3の前記ガイドレール部3aに係合可能な一対の横方向凹条溝部とが設けられ、前記縦方向凹条溝部2d若しくは前記横方向凹条溝部のいずれかが前記ブラケット挿入部3の前記ガイドレール部3aと係合し、前記ブラケット挿入部3にスライド挿入し得るように構成されていることを特徴とする小型器具用ホルダー装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1記載の小型器具用ホルダー装置において、前記親指操作部5に前記作業者の前記解除操作を行う手の親指をあてがうと共に、前記手の該親指以外の指で前記ブラケット2を介して前記ホルダーに装着された前記小型器具20を下方から支持し、前記親指で前記親指操作部5の前記指掛け部5aを前記作業者から離れる方向に押動操作して前記抜脱防止係合部4の前記ブラケット3との抜脱防止係合を解除しながら、前記親指以外の指で前記小型器具20を上方に引き上げることで、前記ブラケット2が前記ガイドレール部3aに案内されて上方向に移動し、前記ブラケット挿入部3から離脱して、前記小型器具20を前記ホルダーから取り外せるように構成されていることを特徴とする小型器具用ホルダー装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、作業者が片手で親指操作部の押動操作を行いながら容易に小型器具を引き上げ操作することができ、スムーズに小型器具をホルダー本体部から取り外すことができる使い勝手の良い小型器具用ホルダー装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施例のホルダー本体部及びブラケットを示す斜視図である。
【
図2】本実施例のホルダー本体部を示す分解斜視図である。
【
図3】本実施例に水準器を横長状態で取り付けた状態を示す説明正断面図である。
【
図5】本実施例の操作例を示す説明側断面図である。
【
図7】本実施例の操作例を示す説明側断面図である。
【
図9】本実施例に水準器を縦長状態で取り付けた状態を示す説明正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
ブラケット2を作業者の腰部の側部付近に装着されたホルダー本体部1のブラケット挿入部3に上方から下方に向かってスライド挿入することで、ホルダー本体部1に設けられた抜脱防止係合部4が自動的にブラケット2に抜脱防止係合して、ブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱が防止され、これにより、小型器具20がホルダー本体部1に取り付け保持される。
【0017】
ブラケット2の係止部2aとスライダー部2bとの間に、上下方向に延設されブラケット挿入部3のガイドレール部3aに係合可能な一対の縦方向凹条溝部2dと、この一対の縦方向凹条溝部2dと直交する左右方向に延設されブラケット挿入部3のガイドレール部3aに係合可能な一対の横方向凹条溝部とが設けられているから、ブラケット2の上下左右の向きに関係なく、縦方向凹条溝部2d若しくは横方向凹条溝部のいずれかをブラケット挿入部3のガイドレール部3aに係合させ、ブラケット2をブラケット挿入部3にスライド挿入し、小型器具20をホルダー本体部1に取り付けることができる。
【0018】
また、このホルダー本体部1に取り付けられた小型器具20をホルダー本体部1から取り外す際は、作業者のホルダー本体部1が装着されている側の手を小型器具20に添え、この手の親指以外の指で小型器具20を下方から支持すると共に、この手の親指を親指操作部5にあてがい、この親指操作部5にあてがわせた親指でこの親指操作部5をこの作業者の身体から離れる方向に向かって押動操作し、この親指操作部5の押動操作によりブラケット2に抜脱防止係合している抜脱防止係合部4を退避可動させて、この抜脱防止係合部4のブラケット2との抜脱防止係合を解除しながら、小型器具20を下方から支持している指でこの小型器具20を上方に引き上げ操作して、ブラケット2をブラケット挿入部3から離脱させることで、小型器具20をホルダー本体部1から取り外すことができる。
【0019】
すなわち、ブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱を防止する抜脱防止係合部4の抜脱防止係合を解除する際に操作する親指操作部5を、作業者の身体から離れる(遠ざかる)方向に向かって押動操作するようにしたから、すなわち、言い換えると、この親指操作部5の操作方向を、この親指操作部5を押動操作する親指を最も移動させやすいブラケット2を介してホルダー本体部1の外側に沿設状態に取り付けられた小型器具20にあてがっている手の人差し指に接近する方向としたから、小型器具20を上方へ引き上げる操作をしながらでもこの親指操作部5の押動操作を親指で無理なく容易に操作することができ、しかも、この押動操作し終えた親指をそのまま小型器具20にあてがって小型器具20を下方から支持している指と共にこの小型器具20を握時することができるので、小型器具20をしっかりと持った状態でホルダー本体部1から小型器具20をスムーズに取り外すことができる。
【0020】
このように、本発明は、作業者が片手で親指操作部5の押動操作を行いながら、容易に小型器具20を引き上げ操作することができ、スムーズに小型器具20をホルダー本体部1から取り外すことができる使い勝手の良い小型器具用ホルダー装置となる。
【実施例0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、小型器具20であるハンディタイプの横長方形状の水準器20(以下、単に水準器20と称す。)を作業者の腰部に装着し携帯するための水準器ホルダー装置であり、
図1に示すように、作業者の腰部に着脱自在に装着されるホルダー本体部1と、水準器20に取り付けられるブラケット2とからなるものである。
【0023】
具体的には、ホルダー本体部1は、水準器20に取り付けられているブラケット2が上方から下方に向かってスライド挿入されるブラケット挿入部3と、このブラケット挿入部3にブラケット2を上方から下方に向かってスライド挿入することで自動的にブラケット2に抜脱防止係合して、ブラケット2のブラケット挿入部3からの上方への抜脱を防止する抜脱防止係合部4が設けられ、この抜脱防止係合部4には、この抜脱防止係合部4のブラケット2との抜脱防止係合を解除するための親指操作部5が設けられ、ブラケット2を介してホルダー本体部1に取り付けられる水準器20を片手の指で下方から支持して上方に引き上げてこのホルダー本体部1から取り外す際、この水準器20を引き上げる片手の親指で作業者から離れる方向に親指操作部5を押動操作することで、抜脱防止係合部4が作業者側に退避可動し、抜脱防止係合部4のブラケット2との抜脱防止係合が解除されて、水準器20を片手でホルダー本体部1から取り外すことができるように構成されている。
【0024】
より具体的には、ホルダー本体部1は、
図2に示すように、ホルダーベース部1aと、このホルダーベース部1aに重ね合わせ状態に設けられるホルダーカバー部1bとで構成され、ホルダーベース部1a側に、ホルダー本体部1を作業者に装着するためのベルト挿通部9と、ブラケット挿入部3にスライド挿入されるブラケット2のスライド移動時のガタツキを抑制するスペーサー部10と、落下防止コード30に設けられた連結環31を連結するための連結部11を形成する第一連結部形成孔11aが設けられ、また、ホルダーカバー部1b側に、ブラケット挿入部3と、抜脱防止係合部4が設けられる抜脱防止係合部配設部12と、ホルダーベース部1aに設けられた第一連結部形成孔11aと連通係合して連結部11を形成する第二連結部形成孔11bとが設けられている。
【0025】
さらに具体的に説明すると、ベルト挿通部9は、クリップタイプに構成され、ベルトをズボンから外すことなく容易にベルトに掛合させることができるように構成されている。
【0026】
また、スペーサー部10は、凸条部に形成され、ブラケット挿入部3をスライド移動するブラケット2に近接状態で沿設するように、このブラケット2のスライド移動方向に沿って延設され、ブラケット2が内方に位置ずれるとこのスペーサー部10に当接しブラケット2のそれ以上の内方への位置ずれを防止して、このブラケット2のスライド移動時のガタツキ(内方への位置ずれ)を抑制するように構成されている。
【0027】
また、ブラケット挿入部3は、ホルダーカバー部1bの上部に形成される開口部と正面部に形成されるY字状の切欠部により形成され、
図3に示すように、切欠部の対向する両側の垂直切欠縁がブラケット2のスライド移動を案内するガイドレール部3aとなるように構成されている。
【0028】
また、抜脱防止係合部4は、
図2に示すように、ブラケット挿入部3にスライド挿入されたブラケット2と抜脱防止係合する係合爪部6が設けられており、この係合爪部6は、付勢部7の付勢によりブラケット挿入部3にスライド挿入されるブラケット2の抜脱を防止する抜脱防止係合位置に没動自在に配設され、ブラケット2がブラケット挿入部3にスライド挿入される際、ブラケット2の押圧作用により付勢部7の付勢力に抗して退避可動(没動)し、このブラケット2の押圧作用が解除されることで付勢部7の付勢力により抜脱防止係合位置に戻り移動してブラケット2と抜脱防止係合して、ブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱を防止するように構成されている。
【0029】
また、この抜脱防止係合部4には、ブラケット2を介してホルダー本体部1に取り付けられる水準器20を片手の指で下方から支持して上方に引き上げてこのホルダー本体部1から取り外す際、前述した係合爪部6のブラケット2との抜脱防止係合を解除するための親指操作部5がこの係合爪部6の上方に設けられ、この親指操作部5は、このホルダー本体部1に取り付けられている水準器20を引き上げる片手の親指で作業者から離れる方向に押動操作するように構成されており、抜脱防止係合部4は、この親指操作部5を作業者の身体から離れる外方に向かって押動操作することで係合爪部6が付勢部7の付勢力に抗して退避可動(没動)し、この係合爪部6とブラケット2との抜脱防止係合が解除されるように構成されている。
【0030】
すなわち、本実施例は、
図5~7に示すように、ブラケット2を介してホルダー本体部1に取り付けられる水準器20を片手の指で下方から支持して上方に引き上げてこのホルダー本体部1から取り外す際、この水準器20を引き上げる片手の親指で作業者から離れる方向に親指操作部5を押動操作することで抜脱防止係合部4が作業者側に退避可動し、抜脱防止係合部4のブラケット2との抜脱防止係合が解除され、水準器20の引き上げ操作によりブラケット2を上方にスライド移動させてブラケット挿入部3から抜脱移動させて水準器20を片手でホルダー本体部1から取り外せるように構成されている。
【0031】
具体的には、抜脱防止係合部4は、親指操作部5、係合爪部6及び付勢部7が、
図2に示すように、この抜脱防止係合部4に一体形成されており、また、この親指操作部5と係合爪部6との間に軸部8が設けられ、この軸部8を介してホルダー本体部1、具体的には、ホルダーカバー部1bに設けられた抜脱防止係合部配設部12に軸着され、このホルダー本体部1に対して揺動自在に設けられ、
図7に示すように、ホルダー本体部1の上部に配設された親指操作部5が作業者から離れる方向に押動操作されることで、
図8に示すように、係合爪部6が付勢部7の付勢力に抗して作業者の身体側に退避回動して、ブラケット2との抜脱防止係合を解除するように構成されている。
【0032】
より具体的には、親指操作部5は、この親指操作部5を作業者から離れる外側方向に押動操作する手の親指を掛止する立壁状の指掛け部5aが設けられており、この指掛け部5aに親指の腹部を引っ掛けて操作することで容易にこの親指操作部5を作業者から離れる外側方向に押動操作することができるように構成されている。
【0033】
また、係合爪部6は、前下がり傾斜面部6aを有し、この前下がり傾斜面部6aにブラケット挿入部3にスライド挿入されるブラケット2が当接しながら下方にスライド移動することで生じる押圧作用により付勢部7の付勢力に抗して作業者の身体に近づく方向である内側方向に没動してブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱を防止する抜脱防止係合位置から退避し、ブラケット2がこの前下がり傾斜面部6aを通過し押圧作用が解除されることで、付勢部7の付勢力によりブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱を防止する抜脱防止係合位置に戻り移動して、ブラケット挿入部3にスライド挿入されたブラケット2と抜脱防止係合して、このブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱を防止するように構成されている。
【0034】
また、付勢部7は、
図2に示すように、外方に凸となるように湾曲した板バネ状に形成され、
図6に示すように、先端部がホルダー本体部1のホルダーベース部1aに当接するようにして抜脱防止係合部4の中央部に設けられ、ブラケット2のブラケット挿入部3へのスライド挿入や、
図7に示すように、親指操作部5の押動操作によってホルダーベース部1a側に押圧され弾性変形して蓄圧され、このブラケット2のブラケット挿入部3へのスライド挿入や親指操作部5の押動操作が解除されることで、蓄圧された蓄圧力で係合爪部6を戻り移動させてこの係合爪部6を抜脱防止係合位置に位置決め付勢するように構成されている。
【0035】
また、水準器20に取り付けられるブラケット2は、
図1,4に示すように、水準器20に係止される係止部2aと、ブラケット挿入部3内にスライド挿入されるスライダー部2bと、この係止部2aとスライダー部2bとを連結する連結部2cと、これらにより係止部2aとスライダー部2bとの間に形成される凹条溝部2dからなる構成とされている。
【0036】
具体的には、円形状に形成されるスライダー部2bが、このスライダー部2b及び水準器20に係止される係止部2aよりも小形な略正方形に形成される連結部2cを介して係止部2aと対向状態に設けられてなる構成とされ、上下左右の向きに関係なくこのスライダー部2bをブラケット挿入部3に差し入れると凹条溝部2dがブラケット挿入部3のガイドレール部3aに係合し、この凹条溝部2dがガイドレール部3aに沿って上下移動することでスライダー部2bがブラケット挿入部3内を上下方向にスライド移動するように構成されている。
【0037】
すなわち、本実施例は、
図3及び
図9に示すように、水準器20を横長状態、縦長状態のいずれの状態にした状態でもブラケット2のスライダー部2bをブラケット挿入部3にスライド挿入することができ、水準器20をホルダー本体部1に横長状態及び縦長状態のいずれの状態でも取り付けられることができるように構成されている。
【0038】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0039】
本実施例のホルダー本体部1のベルト挿通部9を作業者の腰部の側部付近に、例えば作業者が装着しているベルトに掛合してホルダー本体部1を作業者に装着し、水準器20に取り付けたブラケット2を、この作業者に装着したホルダー本体部1のブラケット挿入部3に上方から下方に向かってスライド挿入することで、ホルダー本体部1に設けられた抜脱防止係合部4の係合爪部6がブラケット2に抜脱防止係合して、ブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱が防止され、これにより、水準器20を横長状態若しくは縦長状態のいずれの状態でもホルダー本体部1に保持させることができ、作業者は水準器20を手で持ったりポケットに入れたりすることなく、この水準器20を携帯することができる。
【0040】
また、特に
図10に示すように、水準器20を作業者の腰部に横長状態にして取り付けた場合、このホルダー本体部1に取り付けられた水準器20をホルダー本体部1から取り外す際は、
図5,6に示すように、作業者のホルダー本体部1が装着されている側の手を水準器20に添え、この手の親指以外の指で水準器20を下方から支持すると共に、この手の親指を親指操作部5にあてがい、
図7に示すように、この親指操作部5にあてがわせた親指でこの親指操作部5の指掛け部5aをこの作業者の身体から離れる方向に向かって押動操作して、ブラケット2に抜脱防止係合している係合爪部6を退避回動させ、この係合爪部6のブラケット2との抜脱防止係合を解除しながら、水準器20を下方から支持している指でこの水準器20を上方に引き上げ操作して、ブラケット2をブラケット挿入部3から抜脱(離脱)させることで、水準器20をホルダー本体部1から簡易にスムーズに取り外すことができる。
【0041】
すなわち、本実施例は、ブラケット2のブラケット挿入部3からの抜脱を防止する抜脱防止係合部4の係合爪部6の抜脱防止係合を解除する際に操作する親指操作部5を、作業者の身体から離れる(遠ざかる)方向に向かって押動操作するようにしたから、すなわち、言い換えると、本実施例は、この親指操作部5の操作方向を、この親指操作部5を押動操作する親指を最も移動させやすいブラケット2を介してホルダー本体部1の外側に沿設状態に取り付けられた水準器20にあてがっている手の人差し指に接近する方向としたから、水準器20を上方へ引き上げる操作をしながらでも、この親指操作部5の押動操作を親指で無理なく容易に操作することができ、しかも、この押動操作し終えた親指をそのまま水準器20にあてがって、この水準器20を下方から支持している指と共に水準器20を握時することができるので、水準器20をしっかりと持った状態でホルダー本体部1からスムーズに取り外すことができ、この水準器20の取り出し操作において、水準器20を落下させてしまうなどの不具合が生じることが可及的に低減され使い勝手が向上する。
【0042】
しかも、本実施例は、水準器20を磁石が設けられた測定基準面が下側になる横長状態でホルダー本体部1に取り付けることが可能であるから、携帯中の水準器20の磁石の他の工具への吸着作用が低減され、この磁石の他の工具への吸着を心配することなく安心して携帯し作業を行うことができる。
【0043】
このように、本実施例は、作業者が片手で親指操作部5の押動操作を行いながら、容易に水準器20を引き上げ操作することができ、スムーズに水準器20をホルダー本体部1から取り外すことができ、さらに、携帯している際に水準器20の磁石21の他の工具への吸着などの不具合も生じない極めて使い勝手の良い画期的な水準器ホルダー装置となる。
【0044】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。