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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100777
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/54 20140101AFI20220629BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20220629BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020214971
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 知久
(72)【発明者】
【氏名】堀 諭史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザのゲームへの没入感を高めることが可能なゲームプログラムを提供する。
【解決手段】ゲーム進行部は、仮想空間内においてプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されるゲームを進行する。検出部は、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタとオブジェクトとの高さ方向における距離L1を検出する。補正部は、検出部により検出された高さ方向における距離に応じて、ゲームにおいて再生される音の音量を補正する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
仮想空間内においてプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されるゲームを進行するゲーム進行部と、
前記仮想空間内における前記プレイヤキャラクタと前記オブジェクトとの高さ方向における距離を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記高さ方向における距離に応じて、前記ゲームにおいて再生される音の音量を補正する補正部として機能させる
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記コンピュータを、
前記仮想空間内における前記プレイヤキャラクタと前記オブジェクトとの直線距離に応じて前記音の音量を決定する決定部として機能させ、
前記補正部は、前記検出部により検出された前記高さ方向における距離に応じて、前記決定部により決定された前記音の音量を補正する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記補正部は、前記検出部により検出された前記高さ方向における距離が長くなるほど前記音の音量が小さくなるように前記音の音量を補正する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つにおいて、
前記補正部は、前記検出部により検出された前記高さ方向における距離が閾値以下である場合に、前記音の音量を補正しない
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項4において、
前記オブジェクトは、前記仮想空間内において前記プレイヤキャラクタと戦闘を行う敵キャラクタを含み、
前記閾値は、前記プレイヤキャラクタが前記敵キャラクタを攻撃可能であるときの前記高さ方向における距離に設定される
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つにおいて、
前記オブジェクトは、前記仮想空間内において予め定められた基準点を基準として特定の動きを行うキャラクタを含み、
前記検出部は、前記仮想空間内において前記キャラクタが前記特定の動きを行う場合、前記キャラクタの特定の動きの基準点を前記キャラクタの位置として、前記高さ方向における距離を検出する
ことを特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つのゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゲームにおいてBGM(Background Music)を出力する音声処理システムが開示されている。このシステムでは、BGMと効果音が重なって出力されても、効果音を聴き取りやすくするような音声制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-177184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムのように、単にBGMなどの音を出力するだけでは、ユーザのゲームへの没入感を高めることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、ユーザのゲームへの没入感を高めることが可能なゲーム技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
コンピュータを、
仮想空間内においてプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されるゲームを進行するゲーム進行部と、
前記仮想空間内における前記プレイヤキャラクタと前記オブジェクトとの高さ方向における距離を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記高さ方向における距離に応じて、前記ゲームにおいて再生される音の音量を補正する補正部として機能させる
ことを特徴とするゲームプログラム。
【0007】
第1の態様において、
前記コンピュータを、
前記仮想空間内における前記プレイヤキャラクタと前記オブジェクトとの直線距離に応じて前記音の音量を決定する決定部として機能させ、
前記補正部は、前記検出部により検出された前記高さ方向における距離に応じて、前記決定部により決定された前記音の音量を補正してもよい。
【0008】
また、第1の態様において、
前記補正部は、前記検出部により検出された前記高さ方向における距離が長くなるほど前記音の音量が小さくなるように前記音の音量を補正してもよい。
【0009】
また、第1の態様において、
前記補正部は、前記検出部により検出された前記高さ方向における距離が閾値以下である場合に、前記音の音量を補正しなくてもよい。
【0010】
また、第1の態様において、
前記オブジェクトは、前記仮想空間内において前記プレイヤキャラクタと戦闘を行う敵キャラクタを含み、
前記閾値は、前記プレイヤキャラクタが前記敵キャラクタを攻撃可能であるときの前記高さ方向における距離に設定されてもよい。
【0011】
また、第1の態様において、
前記オブジェクトは、前記仮想空間内において予め定められた基準点を基準として特定の動きを行うキャラクタを含み、
前記検出部は、前記仮想空間内において前記キャラクタが前記特定の動きを行う場合、前記キャラクタの特定の動きの基準点を前記キャラクタの位置として、前記高さ方向における距離を検出してもよい。
【0012】
第2の態様は、
第1の態様のゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザのゲームへの没入感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1のゲーム装置の構成を例示するブロック図である。
図2】決定部における直線距離と楽曲の音量との関係を例示するグラフである。
図3】補正部における高さ距離と補正量との関係を例示するグラフである。
図4】音量制御の具体例を示す概略図である。
図5】音量制御の別の具体例を示す概略図である。
図6】高さ距離の閾値を例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施の形態を詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0016】
(ゲームの説明)
以下の説明における「ゲーム」は、仮想空間内にプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されたゲーム(ビデオゲーム)のことである。仮想空間は、三次元のゲーム空間であり、画像としてディスプレイに表示される。プレイヤキャラクタは、ユーザの操作に応じて動作を行う。
【0017】
オブジェクトには、仮想空間内における環境を構成する環境オブジェクトと、仮想空間内において仮想の音源となる音源オブジェクトとが含まれる。環境オブジェクトの例としては、岩盤、洞窟、川などの地形を表現するオブジェクト、建物、樹木などを表現するオブジェクトなどが挙げられる。音源オブジェクトの例としては、仮想空間内において動作するオブジェクト、仮想空間内において音声の出力のみを行うオブジェクトなどが挙げられる。なお、プレイヤキャラクタも、仮想空間内において仮想の音源となる。
【0018】
また、以下の説明におけるゲームでは、音声が再生される。ゲームにおいて再生される音声には、音源オブジェクトから出力される音、プレイヤキャラクタから出力される音、BGM(Background Music)などの楽曲などが含まれる。音源オブジェクトの音(音源オブジェクトに関連付けられる音)の例としては、足音や風切り音などのオブジェクトの動作に伴う音、鳴き声や台詞などのオブジェクトが発する音などが挙げられる。プレイヤキャラクタの音(プレイヤキャラクタに関連付けられる音)の例は、音源オブジェクトの音の例と同様である。
【0019】
また、以下の説明におけるゲームでは、音像定位処理が行われる。音像定位処理では、スピーカから出力される音声が仮想空間内においてプレイヤキャラクタが聴く音声(仮想の音源から出力された音声)となるように、音声データが再生される。具体的には、音像定位処理では、仮想空間内において、仮想の音源から出力された音声を集音する仮想マイクが設定される。仮想マイクは、プレイヤキャラクタの近傍に配置されてプレイヤキャラクタとともに移動する。そして、スピーカから出力される音声が仮想マイクにより集音された音声となるように、音声データの再生が制御される。
【0020】
以下では、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを討伐するアクションゲームを例に挙げる。このアクションゲームでは、プレイヤキャラクタの他に、コンピュータにより操作されるノンプレイヤキャラクタが仮想空間内において動作する。ノンプレイヤキャラクタの例としては、モンスターなどの敵キャラクタ、プレイヤキャラクタを手助けする味方キャラクタなどが挙げられる。敵キャラクタは、仮想空間内においてプレイヤキャラクタと戦闘を行う。敵キャラクタおよび味方キャラクタは、音源オブジェクトの一例である。
【0021】
(実施形態1)
図1は、実施形態1のゲーム装置10の構成を例示する。ゲーム装置10は、ユーザによる操作に応答してゲームを実行する。例えば、ゲーム装置10は、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの家庭用ゲーム機、PlayStation Vita(登録商標)などの携帯ゲーム機、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどにより構成される。
【0022】
以下では、ゲーム装置10が家庭用ゲーム機である場合を例に挙げる。ゲーム装置10には、ディスプレイ21と、スピーカ22と、ゲームコントローラ23とが外部接続または内蔵される。
【0023】
〔ゲーム装置のハードウェア構成〕
図1に示すように、ゲーム装置10は、ネットワークインターフェース11と、グラフィック処理部12と、オーディオ処理部13と、操作部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。ネットワークインターフェース11とグラフィック処理部12とオーディオ処理部13と操作部14と記憶部15は、バス17を介して制御部16と電気的に接続される。
【0024】
ネットワークインターフェース11は、通信ネットワークを介して外部の端末(例えば他のゲーム装置10やサーバ装置など)と通信可能に接続される。
【0025】
グラフィック処理部12には、ディスプレイ21が接続される。グラフィック処理部12は、制御部16から出力されるゲーム画像情報に従って、仮想空間に関する各種オブジェクションを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ21に表示される。
【0026】
オーディオ処理部13には、スピーカ22が接続される。オーディオ処理部13は、制御部16の指示に従って、ゲーム音声を再生および合成する。オーディオ処理部13により再生および合成されたゲーム音声は、スピーカ22から出力される。
【0027】
操作部14には、ゲームコントローラ23が接続される。操作部14は、操作入力に関するデータをゲームコントローラ23との間で送受信する。そして、操作部14は、ゲームコントローラ23に入力された操作を示す操作情報を制御部16に送信する。
【0028】
例えば、ユーザは、ゲームコントローラ23を操作することで、ゲーム装置10に操作信号を入力する。すなわち、ゲームコントローラ23は、ユーザにより操作が与えられると、ユーザによる操作に応じた操作信号を操作部14に送信する。操作部14は、操作信号に基づいて操作情報を生成し、その操作情報を制御部16に送信する。
【0029】
記憶部15は、各種データを記憶する。記憶部15は、HDD、SSD、RAM、ROMなどで構成される。例えば、記憶部15は、ゲームを実行するためのゲームプログラムおよびゲームデータを記憶する。また、記憶部15は、複数の音声データを記憶する。複数の音声データには、敵キャラクタや味方キャラクタなどの音源オブジェクトから出力される音を示す音声データ、プレイヤキャラクタから出力される音を示す音声データ、ゲームにおいて再生される楽曲(BGM)を示す音声データなどが含まれる。
【0030】
制御部16は、ゲーム装置10の動作を制御する。制御部16は、各種の情報およびデータを送受信し、各種の情報およびデータを処理する。制御部16は、CPU(マイクロコンピュータ)と半導体メモリとを有する。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムなどが格納される。
【0031】
〔ゲーム装置における制御部の機能的構成〕
図1に示すように、ゲーム装置10の制御部16は、ゲーム進行部100と、決定部101と、検出部102と、補正部103と、再生部104とを有する。具体的には、制御部16は、そのCPUが各種プログラムを実行することにより、ゲーム進行部100、決定部101、検出部102、補正部103、再生部104として機能する。
【0032】
〈ゲーム進行部〉
ゲーム進行部100は、仮想空間内においてプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されるゲームを進行する。この例では、ゲーム進行部100は、グラフィック処理部12を制御することで、ディスプレイ21を制御する。また、ゲーム進行部100は、操作部14から送信された操作情報を受信する。
【0033】
具体的には、ゲーム進行部100は、ゲームデータに基づいて、ゲームに関連する画像をディスプレイ21に出力させる。ユーザは、ディスプレイ21およびスピーカ22から出力される画像および音声に応じて、ゲームコントローラ23を操作する。ゲーム進行部100は、ゲームコントローラ23に入力された操作を示す操作情報に基づいて、その操作情報が反映されたゲームデータを生成する。
【0034】
〈決定部〉
決定部101は、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタと敵キャラクタとの直線距離L0(図4および図5参照)に応じて、ゲームにおいて再生される楽曲(BGM)の音量を補正する。以下では、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタと敵キャラクタとの直線距離L0を単に「直線距離L0」と記載する。なお、楽曲は、ゲームにおいて再生される音の一例である。
【0035】
図2に示すように、この例では、決定部101は、直線距離L0が長くなるほど楽曲の音量が小さくなるように、楽曲の音量を決定する。図2の例では、直線距離L0が「20m」である場合に、決定部101により決定される楽曲の音量は「-4db」となる。なお、図2の例では、直線距離L0と楽曲の音量との関係は、一次関数で示される。
【0036】
〈検出部〉
検出部102は、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタと敵キャラクタとの高さ方向における距離L1(図5参照)を検出する。以下では、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタと敵キャラクタとの高さ方向における距離L1を「高さ距離L1」と記載する。
【0037】
〈補正部〉
補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1に応じて、ゲームにおいて再生される楽曲(BGM)の音量を補正する。この例では、補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1に応じて、決定部101により決定された楽曲の音量を補正する。
【0038】
図3に示すように、この例では、補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1が長くなるほど楽曲の音量が小さくなるように、楽曲の音量を補正する。図3の例では、高さ距離L1が「0m」である場合、補正部103における楽曲の補正量(補正部103により補正される楽曲の音量の量)は「0db」となる。すなわち、高さ距離L1が「0m」である場合、補正部103は、楽曲の音量を補正しない。また、高さ距離L1が「10m」である場合、補正部103における楽曲の補正量は「-4db」となる。なお、図3の例では、高さ距離L1と楽曲の補正量との関係は、一次関数で示される。
【0039】
〈再生部〉
再生部104は、音声データを再生する。なお、再生部104により再生された音声データは、オーディオ処理部13により処理される。これにより、音声データに示された音(楽曲など)がスピーカ22から出力される。
【0040】
この例では、再生部104は、敵キャラクタや味方キャラクタなどの音源オブジェクトから出力される音を示す音声データ、プレイヤキャラクタから出力される音を示す音声データ、ゲームにおいて再生される楽曲(BGM)を示す音声データ(以下では「楽曲データ」と記載)を再生する。
【0041】
具体的には、再生部104は、音源オブジェクトの音声データおよびプレイヤキャラクタの音声データを記憶部15から読み出し、その読み出された音声データに対して音像定位処理を行う。そして、再生部104は、音像定位処理が行われた音声データをオーディオ処理部13に出力する。
【0042】
また、再生部104は、楽曲データを記憶部15から読み出し、その読み出された楽曲データをオーディオ処理部13に出力する。そして、再生部104は、補正部103により補正された楽曲の音量で楽曲データに示された楽曲(BGM)がスピーカ22から出力されるように、オーディオ処理部13を制御する。なお、補正部103により楽曲の音量が補正されない場合、再生部104は、決定部101により決定された楽曲の音量で楽曲データに示された楽曲がスピーカ22から出力されるように、オーディオ処理部13を制御する。
【0043】
〔音量制御〕
次に、制御部16により行われる音量制御について説明する。制御部16は、以下の処理を繰り返し行う。
【0044】
まず、決定部101は、直線距離L0を検出する。具体的には、決定部101は、仮想空間におけるプレイヤキャラクタの位置P0の座標値と、仮想空間における敵キャラクタの位置P1の座標値とを検出し、これらの座標値に基づいて位置P0と位置P1とのユークリッド距離を求める。そして、決定部101は、ユークリッド距離に基づいて直線距離L0を求める。次に、決定部101は、直線距離L0に応じて楽曲の音量を決定する。この例では、直線距離L0が長くなるほど楽曲の音量が小さくなるように、楽曲の音量が決定される。
【0045】
また、検出部102は、高さ距離L1を検出する。具体的には、検出部102は、プレイヤキャラクタの位置P0の座標値に含まれる高さ方向の値と、敵キャラクタの位置P1の座標値に含まれる高さ方向の値とを検出し、これらの値の差に基づいて高さ距離L1を求める。
【0046】
次に、補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1に応じて、決定部101により決定された楽曲の音量を補正する。この例では、高さ距離L1が長くなるほど楽曲の音量が小さくなるように、楽曲の音量が補正される。
【0047】
例えば、補正部103は、検出部102により検出された今回の高さ距離L1が前回の高さ距離L1よりも長くなると、その高さ距離L1の増加量に応じた量だけ楽曲の音量が小さくなるように楽曲の音量を補正する。また、補正部103は、検出部102により検出された今回の高さ距離L1が前回の高さ距離L1よりも短くなると、その高さ距離L1の減少量だけ楽曲の音量が大きくなるように楽曲の音量を補正する。
【0048】
次に、再生部104は、補正部103により補正された楽曲の音量を示す音量情報を生成し、その音量情報をオーディオ処理部13に送信する。オーディオ処理部13は、スピーカ22から出力される楽曲の音量が音量情報に示された音量となるように、楽曲データに示された楽曲を再生する。これにより、スピーカ22から出力される楽曲の音量は、高さ距離L1に応じて補正された楽曲の音量となる。
【0049】
なお、補正部103により楽曲の音量が補正されない場合、再生部104は、決定部101により決定された楽曲の音量を示す音量情報を生成し、その音量情報をオーディオ処理部13に送信する。オーディオ処理部13は、スピーカ22から出力される楽曲の音量が音量情報に示された音量となるように、楽曲データに示された楽曲を再生する。これにより、スピーカ22から出力される楽曲の音量は、直線距離L0に応じて決定された楽曲の音量となる。
【0050】
〔音量制御の具体例〕
次に、図4および図5を参照して、音量制御について具体的に説明する。図4は、直線距離L0が「20m」であり、高さ距離L1が「0m」である例を示す。図5は、直線距離L0が「20m」であり、高さ距離L1が「10m」である例を示す。
【0051】
図4に示すように、直線距離L0が「20m」であり、高さ距離L1が「0m」である場合、決定部101により決定される楽曲の音量は「-4db」となり、補正部103における楽曲の補正量(補正部103により補正される楽曲の音量の量)は「0」となる。その結果、スピーカ22から出力される楽曲の音量は「-4db」となる。
【0052】
図5に示すように、直線距離L0が「20m」であり、高さ距離L1が「10m」である場合、決定部101により決定される楽曲の音量は「-4db」となり、補正部103における楽曲の補正量は「-4db」となる。その結果、スピーカ22から出力される楽曲の音量は「-8db」となる。
【0053】
〔実施形態1の総括〕
以上を纏めると、実施形態1のゲームプログラムは、制御部16(コンピュータ)を、仮想空間内においてプレイヤキャラクタとオブジェクトとが配置されるゲームを進行するゲーム進行部100と、仮想空間内におけるプレイヤキャラクタとオブジェクトとの高さ方向における距離L1を検出する検出部102と、検出部102により検出された高さ方向における距離L1に応じてゲームにおいて再生される音(この例では楽曲)の音量を補正する補正部103として機能させる。
【0054】
また、実施形態1のゲーム装置10は、上記のゲームプログラムを記憶する記憶部15と、上記のゲームプログラムを実行する制御部16とを備える。
【0055】
〔実施形態1の効果〕
以上のように、実施形態1では、検出部102により検出された高さ距離L1に応じて楽曲の音量を補正することにより、楽曲の音量の変化を利用して、プレイヤキャラクタの置かれている状況の変化を、プレイヤキャラクタを操作するユーザに認識させることができる。これにより、ユーザのゲームへの没入感を高めることができる。
【0056】
例えば、高さ距離L1が長くなるに連れて楽曲の音量を小さくなるように、楽曲の音量を補正することにより、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとが高さ方向において互いに遠ざかっていることを楽曲の音量の減少により表現することができる。これにより、例えば、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃することができる「戦闘中」からプレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃することができない「非戦闘中」になったことをユーザに認識させることができる。
【0057】
また、高さ距離L1が短くなるに連れて楽曲の音量が大きくなるように、楽曲の音量を補正することにより、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとが高さ方向において互いに近づいていることを楽曲の音量の増加により表現することができる。これにより、例えば、「非戦闘中」から「戦闘中」になったことをユーザに認識させることができる。
【0058】
なお、実施形態1では、決定部101は、直線距離L0に応じて楽曲の音量を決定し、補正部103は、直線距離L1に応じて楽曲の音量(直線距離L0に応じて決定された楽曲の音量)を補正する。このように、直線距離L0に応じて楽曲の音量を決定することにより、楽曲の音量の変化を利用して、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとの距離感を表現することができる。そして、直線距離L1に応じて楽曲の音量(直線距離L0に応じて決定された楽曲の音量)を補正することにより、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとの距離感を高さ距離L1に応じて適切に補正することができる。
【0059】
例えば、高さ距離L1が長くなるに連れて楽曲の音量(直線距離L0に応じて決定された楽曲の音量)を小さくなるように、楽曲の音量を補正することにより、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとの距離感を、プレイヤキャラクタから見て敵キャラクタがより遠くにいるような距離感に補正することができる。これにより、敵キャラクタの位置が高すぎてプレイヤキャラクタの攻撃が届かないことを、ユーザに認識させることができる。
【0060】
(実施形態2)
実施形態2のゲーム装置10は、補正部103の動作が実施形態1のゲーム装置10と異なる。実施形態2のゲーム装置10のその他の構成は、実施形態1のゲーム装置10の構成と同様である。
【0061】
実施形態2では、図6に示すように、高さ距離L1に対して閾値Lthが設定される。この例では、閾値Lthは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃可能であるときの高さ距離L1に設定される。
【0062】
実施形態2では、補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1が閾値Lth以下である場合に、楽曲の音量を補正しない。なお、補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1が閾値Lthを上回る場合、実施形態1と同様に、高さ距離L1に応じて楽曲の音量を補正する。
【0063】
〔実施形態2の効果〕
実施形態2では、実施形態1の効果と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、実施形態2では、補正部103は、検出部102により検出された高さ距離L1が閾値Lth以下となる場合に、楽曲の音量を補正しない。このような制御により、プレイヤキャラクタとオブジェクトとが高さ方向において互いに接近している場合に、ゲームにおいて再生される楽曲の音量が変化しないようにすることができる。これにより、ユーザをゲームのプレイに集中させることができる。
【0065】
(実施形態3)
実施形態3のゲーム装置10は、検出部102の動作が実施形態1のゲーム装置10と異なる。実施形態3のゲーム装置10のその他の構成は、実施形態1のゲーム装置10の構成と同様である。
【0066】
実施形態3では、敵キャラクタには、仮想空間内において予め定められた基準点を基準として特定の動きを行う敵キャラクタが含まれる。基準点を基準とする特定の動きの例としては、ゲームにおける演出のために敵キャラクタがプレイヤキャラクタから遠ざかる方向に素早く移動する動作、ゲームにおける演出のために敵キャラクタが動き回る動作などが挙げられる。例えば、敵キャラクタが大技を出すためにプレイヤキャラクタから離れて力を溜める動作が挙げられる。
【0067】
実施形態3では、検出部102は、仮想空間内において敵キャラクタが特定の動きを行う場合、敵キャラクタの特定の動きの基準点を敵キャラクタの位置として高さ距離L1を検出する。例えば、敵キャラクタの特定の動きの基準点は、敵キャラクタの特定の動きの開始位置である。
【0068】
〔実施形態3の効果〕
実施形態3では、実施形態1の効果と同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、実施形態3では、検出部102は、仮想空間内において敵キャラクタが特定の動きを行う場合、敵キャラクタの特定の動きの基準点を敵キャラクタの位置として高さ距離L1を検出する。このような制御により、ゲームにおいて再生される楽曲の音量が必要以上に変化しないようにすることができる。これにより、楽曲の音量が必要以上に変化することに起因する違和感を軽減することができる。
【0070】
(その他の実施形態)
以上の説明において、補正部103における高さ距離L1の変化に対する楽曲の補正量の変化の割合(例えば図3に示した直線の傾き)は、決定部101における直線距離L0の変化に対する楽曲の音量の変化の割合(例えば図2に示した直線の傾き)と、同一であってもよいし、異なってもよい。例えば、補正部103における高さ距離L1の変化に対する楽曲の補正量の変化の割合は、決定部101における直線距離L0の変化に対する楽曲の音量の変化の割合よりも、大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0071】
また、以上の説明において、補正部103における高さ距離L1の変化に対する楽曲の補正量の変化の割合は、プレイヤキャラクタの種類、武器の種類、攻撃手段などの要素に応じて変化してもよい。例えば、プレイヤキャラクタが「遠くの敵キャラクタを攻撃可能な武器(例えば弓)を装備するキャラクタ」である場合、プレイヤキャラクタが「遠くの敵キャラクタを攻撃できない別の武器(例えば剣)を装備するキャラクタ」である場合よりも、補正部103における高さ距離L1の変化に対する楽曲の補正量の変化の割合が小さくなってもよい。
【0072】
また、以上の説明では、補正部103における高さ距離L1と楽曲の補正量との関係が一次関数で示される場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、補正部103における高さ距離L1と楽曲の補正量との関係は、n次関数(nは2以上の整数)で示される関係であってもよいし、その他の関数で示される関係であってもよい。決定部101における直線距離L0と楽曲の音量との関係についても、同様のことがいえる。
【0073】
また、以上の説明において、補正部103による楽曲の音量の補正(高さ距離L1に応じた補正)は、敵キャラクタの位置がプレイヤキャラクタの位置よりも高い場合にのみ行われてもよいし、敵キャラクタの位置がプレイヤキャラクタの位置よりも低い場合にのみに行われてもよい。なお、補正部103による楽曲の音量の補正は、敵キャラクタの位置とプレイヤキャラクタの位置のどちらが高いかに拘わらず行われてもよい。
【0074】
また、以上の説明において、補正部103における楽曲の補正量(高さ距離L1に応じた補正量)は、敵キャラクタの位置がプレイヤキャラクタの位置よりも高い場合と、敵キャラクタの位置がプレイヤキャラクタの位置よりも低い場合とで異なってもよい。なお、補正部103における楽曲の補正量は、敵キャラクタの位置がプレイヤキャラクタの位置よりも高い場合と、敵キャラクタの位置がプレイヤキャラクタの位置よりも低い場合とで同じであってもよい。
【0075】
また、以上の説明において、高さ距離L1に対して設定される閾値Lthは、可変値であってもよい。例えば、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃可能であるときの高さ距離L1は、プレイヤキャラクタの種類、武器の種類、攻撃手段などの要素に応じて変化し得る。閾値Lthは、このような要素に応じて変化してもよい。なお、閾値Lthは、固定値であってもよい。
【0076】
また、以上の説明において、決定部101は、仮想空間内において敵キャラクタが特定の動きを行う場合、敵キャラクタの特定の動きの基準点を敵キャラクタの位置として直線距離L0を検出してもよい。
【0077】
また、以上の説明では、敵キャラクタの特定の動きの基準点が敵キャラクタの特定の動きの開始位置である場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、敵キャラクタの特定の動きの基準点は、敵キャラクタの特定の動きの終了位置であってもよいし、その他の位置であってもよい。
【0078】
また、以上の説明では、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとの高さ距離L1に応じて楽曲の音量を補正する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、補正部103は、プレイヤキャラクタと味方キャラクタとの高さ距離に応じて楽曲の音量が補正してもよいし、プレイヤキャラクタと他のオブジェクトとの高さ距離に応じて楽曲の音量を補正してもよい。
【0079】
また、以上の説明では、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとの直線距離L0に応じて楽曲の音量を決定する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、決定部101は、プレイヤキャラクタと味方キャラクタとの直線距離に応じて楽曲の音量を決定してもよいし、プレイヤキャラクタと他のオブジェクトとの直線距離に応じて楽曲の音量を決定してもよい。
【0080】
また、以上の説明では、ゲームにおいて再生される音(具体的には、決定部101において直線距離L0に応じて音量が決定される音、および、補正部103において高さ距離L1に応じて音量が補正される音)の例として、楽曲(BGM)を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、ゲームにおいて再生される音は、敵キャラクタが発する声であってもよいし、効果音であってもよい。
【0081】
また、以上の説明では、仮想空間が三次元空間である場合を例に挙げたが、これに限定されない。
【0082】
また、以上の説明において、ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装されてもよい。この場合、ゲーム装置10の制御部16において行われる処理は、サーバ装置の制御部(図示省略)において行われてもよいし、ゲーム装置10とサーバ装置の制御部とで分担されてもよい。
【0083】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0084】
10 ゲーム装置
11 ネットワークインターフェース
12 グラフィック処理部
13 オーディオ処理部
14 操作部
15 記憶部
16 制御部
21 ディスプレイ
22 スピーカ
23 ゲームコントローラ
100 ゲーム進行部
101 決定部
102 検出部
103 補正部
104 再生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6