(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022100933
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】輸送パレットの段積み用サポートフレーム
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B65D19/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215222
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】593232402
【氏名又は名称】親和パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】日名 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松縄 健太
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA33
3E063BB02
3E063CB04
3E063CC06
3E063CD08
3E063CD11
3E063EE01
3E063EE03
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】輸送パレットの対向二面に配置されたサイドフレームと輸送パレットとの結合力を強化する。
【解決手段】互いに対向する辺々に左右一対のフォークポケットFPを備えた輸送パレットP1、P2を、積荷を載せた状態で段積み可能にするサポートフレーム100である。サポートフレームは、パレットの四隅に配置される柱部材31を備え、パレットの対向二辺に着脱可能に立設される一対のサイドフレーム部30と、一対のサイドフレーム部30の柱部材の上端部を相手側のサイドフレーム部の柱部材の上端部と連結する一対のアッパーフレーム部50と、フォークポケットに挿し込み可能な水平部材11を備え、この水平部材11によって一対のサイドフレーム部30の柱部材31の下端部を相手側のサイドフレーム部30の柱部材31の下端部と連結する一対のロアーフレーム部10とを有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する辺々に左右一対のフォークポケットを備えた輸送パレットを、当該パレットに積荷を載せた状態で段積み可能にするサポートフレームであって、当該サポートフレームは、
前記輸送パレットの四隅に配置される柱部材を備え、前記輸送パレットの対向二辺に着脱可能に立設される一対のサイドフレーム部と、
当該一対のサイドフレーム部の前記柱部材の上端部を、相手側のサイドフレーム部の前記柱部材の上端部と連結する一対のアッパーフレーム部と、
前記フォークポケットに挿し込み可能な水平部材を備え、当該水平部材によって、前記一対のサイドフレーム部の前記柱部材の下端部を、相手側のサイドフレーム部の前記柱部材の下端部と連結する一対のロアーフレーム部と、
を有することを特徴とするサポートフレーム。
【請求項2】
前記ロアーフレーム部の前記水平部材は、前記輸送パレットのフォークポケットの内面に係合可能な係合部を有することを特徴とする請求項1のサポートフレーム。
【請求項3】
前記ロアーフレーム部の前記水平部材の両端部に、前記サイドフレーム部の前記柱部材の下端部を挿し込み係合可能な垂直部材が連結されていることを特徴とする請求項1又は2のサポートフレーム。
【請求項4】
前記係合部は、前記ロアーフレーム部の前記水平部材を前記フォークポケットに挿し込んだ状態で、当該水平部材の両端の前記垂直部材を、水平状態から垂直状態に回転させることで前記フォークポケットの内面に係合することを特徴とする請求項3のサポートフレーム。
【請求項5】
前記水平部材の両端の前記垂直部材を水平状態から垂直状態に回転させると、両端の前記垂直部材によって前記輸送パレットの側面が挟持されることを特徴とする請求項4のサポートフレーム。
【請求項6】
前記係合部が前記水平部材の一側縁に形成され、前記垂直部材を水平状態から垂直状態に回転させる際に、前記垂直部材と前記水平部材が、前記係合部と反対側の側縁を支点として一体的に回転可能であることを特徴とする請求項5のサポートフレーム。
【請求項7】
前記水平部材がL型アングルで構成されると共に、前記係合部が当該L型アングルの一辺で構成されていることを特徴とする請求項5のサポートフレーム。
【請求項8】
前記一対のアッパーフレーム部の両端部に、上段の輸送パレットを支持する受座が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項のサポートフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は輸送パレットの段積み用サポートフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送パレットに積荷を載せた状態で段積み可能にする段積み用サポートフレームは、例えば特許文献1~3のように複数知られている。特許文献1、2の段積み用サポートフレームは、輸送パレットの四面すべてにサイドフレームが配置されている。
【0003】
また、特許文献3の段積み用サポートフレームは、輸送パレットの対向二面にのみサイドフレームが配置されている。対向二面にのみサイドフレームを配置することで、下段の積荷の出し入れが容易になる。
【0004】
ところで、前記サイドフレームを輸送パレットに係合させる構造として、サイドフレームの下端部をフォークポケットに係合させる構造が知られている。すなわち、特許文献1のサポートフレームは内方突出部15をフォークポケットに係合させる(
図1参照)。
【0005】
特許文献2のサポートフレームは係合爪17をフォークポケットに係合させる(
図2参照)。特許文献3のサポートフレームは取付片24をフォークポケットに係合させる(
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-2472号公報
【特許文献2】特開2015-209218号公報
【特許文献3】特開2020-183271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2のようにパレットの四面すべてにサイドフレームを配置する構成では、サイドフレームが相互に連結されているので、内方突出部15や係合爪17がフォークポケット内で位置ズレする心配がない。しかし、特許文献3のように対向二面にのみサイドフレームを配置する構成では、サイドフレームの下端部相互が連結されていないので、フォークポケット内で取付片24が位置ズレする可能性がある。取付片24が位置ズレすると、コーナー支柱が傾いてサポートフレームの耐荷重性が低下するおそれがある。
【0008】
そこで本発明の目的は、輸送パレットの対向二面に配置されたサイドフレームと輸送パレットとの結合力を強化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の段積み用サポートフレームは、互いに対向する辺々に左右一対のフォークポケットを備えた輸送パレットを、当該パレットに積荷を載せた状態で段積み可能にするサポートフレームであって、当該サポートフレームは、前記輸送パレットの四隅に配置される柱部材を備え、前記輸送パレットの対向二辺に着脱可能に立設される一対のサイドフレーム部と、当該一対のサイドフレーム部の前記柱部材の上端部を、相手側のサイドフレーム部の前記柱部材の上端部と連結する一対のアッパーフレーム部と、前記フォークポケットに挿し込み可能な水平部材を備え、当該水平部材によって、前記一対のサイドフレーム部の前記柱部材の下端部を、相手側のサイドフレーム部の前記柱部材の下端部と連結する一対のロアーフレーム部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サイドフレームと輸送パレットとの結合力を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る段積み用サポートフレームを使用して輸送パレットを二段積みした状態の斜視図である。
【
図1C】
図1Aの上段パレットを取り除いた状態の斜視図である。
【
図2】サポートフレームを構成するロアーフレーム部、サイドフレーム部およびアッパーフレーム部の相互係合構造を示す斜視図である。
【
図3】(a)~(d)はロアーフレーム部をフォークポケットに係合させる手順を示す図である。
【
図5】傾斜ブレースを追加したサポートフレームの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、全図を通じて同一又は相当部分には同一符号を付することで、重複した説明を適宜省略することとする。
【0013】
(段積み用サポートフレームの全体構成)
図1Aは、本発明の一実施形態に係る段積み用サポートフレーム100を使用して、2枚の輸送パレットP1、P2を上下二段積みにした状態の斜視図である。
図1AのパレットP1、P2は四方差しが可能なフォークポケットFPを有するが、二方差し又は四方差しのパレットであればサポートフレーム100を使用可能である。
【0014】
サポートフレーム100は、
図1Bに示すように、ロアーフレーム部10と、サイドフレーム部30と、アッパーフレーム部50で構成されている。各フレーム部10、30、50は、それぞれ左右一対で構成される。サイドフレーム部30は左右一対で構成されているので、
図4Bのように、左右のサイドフレーム部30の柱部材31の間を通して、パレットP1の積荷Wの出し入れが可能である。
【0015】
ロアーフレーム部10は、
図2に示すように、水平部材11と、この水平部材11の両端に溶接等で連結された垂直部材13を有する。左右の垂直部材13の内側面の相互間隔は、パレットP1の横幅と等しくなるように設定されている。垂直部材13はC形チャンネル材(リップ溝型鋼)で構成され、上端部に挿し込み穴13aを有する。垂直部材13は角パイプ材で構成することも可能である。
【0016】
水平部材11はL型アングル(不等辺アングル材)で構成され、その上縁に、L型アングルの一辺で構成された水平な係合部12を有する。また当該係合部12と反対側の下縁11aは、
図3で後述するように、垂直部材13を回転する際に支点として機能することができる。当該下縁11aを支点として使用しないで、すなわち、水平部材11をフォークポケットFP内で浮かせた状態で、垂直部材13を回転することも可能である。
【0017】
サイドフレーム部30は、柱部材31と連結部材32で井桁状に構成されている。すなわち、左右一対の柱部材31が、上下一対の水平な連結部材32で連結された構造である。柱部材31と連結部材32は角パイプ材で構成され、柱部材31の下端部31aが、ロアーフレーム部10の垂直部材13の前述した挿し込み穴13aに上方から挿入可能とされている。柱部材31や連結部材32は、C形チャンネル材(リップ溝型鋼)で構成することも可能である。
【0018】
アッパーフレーム部50は、水平部材51と、この水平部材51の両端部から下方に短く延びた垂直部材52と、当該垂直部材52の下端部からさらに下方に短く延びた挿し込み軸53を有する。この挿し込み軸53は断面コ字状のチャンネル材で構成され、サイドフレーム部30の柱部材31の上端穴31bに対して上方から挿し込み可能とされている。
【0019】
水平部材51の両端部には、矩形状の受座54が水平に連結されている。この受座54によって上段のパレットP2の四隅コーナー部を支持する。
【0020】
受座54の直交二辺には、パレットP2の四隅コーナー部の位置ズレを防止する立上り部54aが直角に立上がって形成されている。また、一方の立上り部54aと垂直部材52との間に、三角形状のブレースパネル55が溶接等で固定されている。このブレースパネル55によって、受座54の耐荷重性を高めている。
【0021】
(パレットに対するサポートフレームの装着)
サポートフレーム100は以上のように構成され、当該サポートフレーム100は
図1Cのように下段のパレットP1に装着される。サポートフレーム100を下段のパレットP1に装着するには、まず、
図3(a)のようにロアーフレーム部10をパレットP1のフォークポケットFPに対して水平方向から挿し込む。このとき、垂直部材13がフォークポケットFPに干渉しないように、垂直部材13を水平に倒した状態でロアーフレーム部10をフォークポケットFPに挿し込む。
【0022】
ロアーフレーム部10の挿し込み方向先端側の垂直部材13がフォークポケットFPから出たら、
図3(b)(c)のように垂直部材13を90°回転して垂直に引き起こす。この際、水平部材11の下縁11aをフォークポケットFPの底面に付け、当該下縁11aを支点として垂直部材13を垂直に引き起こす。
【0023】
そうすると、水平部材11の係合部12がフォークポケットFPの天井面に当接する。この状態で、垂直部材13を含むロアーフレーム部10全体を
図3(d)のようにフォークポケットFPの端まで水平移動する。
【0024】
水平部材11の高さは、フォークポケットFPの上下幅とほぼ同じ高さにするのがよい。これにより、水平部材11の係合部12がフォークポケットFPの天井面に隙間なく当接する。
【0025】
フォークポケットFPとの摩擦のため、ロアーフレーム部10を
図3(c)から(d)に水平移動するのに大きな力を要する場合は、最初から水平部材11の下縁11aをフォークポケットFPの角部に位置決めし、この状態で
図3(d)のように垂直部材13を垂直に引き起こす。
【0026】
図3は片方のロアーフレーム部10のみを示すが、反対側のフォークポケットFPにも同様にロアーフレーム部10を挿し込む。そして垂直部材13を
図3(d)のように90°回転して垂直に引き起こす。
【0027】
次に、
図1B、
図1Cのように、左右一対の垂直部材13の挿し込み穴13aに対して、サイドフレーム部30の左右一対の柱部材31の下端部を上方から挿し込む。これで左右一対の垂直部材13がサイドフレーム部30を介して相互に連結される。
【0028】
最後に、サイドフレーム部30の左右一対の柱部材31の上端穴31bに、アッパーフレーム部50の両端の挿し込み軸53を上方から挿し込む。これで左右一対のサイドフレーム部30の柱部材31の上端部が、アッパーフレーム部50を介して相互に連結される。
【0029】
このように、サイドフレーム部30の上下にロアーフレーム部10とアッパーフレーム部50を連結することで、サポートフレーム100の全体剛性が高まる。特に、ロアーフレーム部10の垂直部材13は、パレットP1の対向二辺を隙間なく挟んだ状態でフォークポケットFPに固定される。このため、サイドフレーム部30に対して横荷重が作用しても、垂直部材13が位置ズレすることがない。
【0030】
サポートフレーム100を段積み状態で輸送する場合、下段の積荷Wは振動や衝撃で横ズレすることがあるが、前述したように垂直部材13がパレットP1の対向二辺を隙間なく挟んでいるため、サイドフレーム部30に積荷Wが片当りしても垂直部材13が位置ズレすることがない。このように、本実施形態のサポートフレーム100では、サイドフレーム部30の下端部が確実にパレットP1に固定されるので、上段のパレットP2に積荷Wを搭載しても、当該積荷Wを安定的に支持することができる。
【0031】
これに対して特許文献3(特開2020-183271号公報)のサポートフレームでは、サイドフレームの下端部相互が連結されていないので、積荷が振動や衝撃で横ズレすると、フォークポケット内で取付片24が位置ズレする可能性がある。取付片24が位置ズレするとコーナー支柱が傾くから、サポートフレームの耐荷重性が低下するおそれがある。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば
図5に示すように、アッパーフレーム部50に傾斜ブレース60を追加したり、サイドフレーム部30に傾斜ブレース70を追加したりしてもよい。
【0033】
このような傾斜ブレース60、70を追加することで、サポートフレーム100の耐荷重性を向上することができる。また、アッパーフレーム部50の水平部材51を省略し、代わりに傾斜ブレース60で対角線位置にある柱部材31の上端部を相互連結する構造としてもよい。
【0034】
また、ロアーフレーム部10の水平部材11やアッパーフレーム部50の水平部材51を、入れ子式に伸縮可能な構造にすることも可能である。このように伸縮可能な構造とすることにより、輸送パレットの複数サイズに対して容易に対応できる汎用性が得られる。
【0035】
また、ロアーフレーム部10の垂直部材13の高さを、パレットP1の上面から飛び出さない高さにしてもよい。こうすることで、
図1CのパレットP1からサイドフレーム部30とアッパーフレーム部50を取り除き、ロアーフレーム部10はパレットP1のフォークポケットFPに挿し込んだままで複数パレットP1を段積みすることができる。
【符号の説明】
【0036】
10:ロアーフレーム部 11:水平部材
11a:下縁 12:係合部
13:垂直部材 13a:挿し込み穴
30:サイドフレーム部 31:柱部材
31a:下端部 31b:上端穴
32:連結部材 50:アッパーフレーム部
51:水平部材 52:垂直部材
53:挿し込み軸 54:受座
54a:立上り部 55:ブレースパネル
60、70:傾斜ブレース 100:段積み用サポートフレーム
FP:フォークポケット P1、P2:輸送パレット
W:積荷