(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102336
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】スーツケース
(51)【国際特許分類】
A45C 5/14 20060101AFI20220630BHJP
A45C 5/03 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A45C5/14 Z
A45C5/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217006
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】518158525
【氏名又は名称】犬飼 佳吾
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 佳吾
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA02
3B045CE07
3B045FB00
(57)【要約】
【課題】スーツケースの移動方向で前方にある物体が、スーツケースに接触することを抑制可能なスーツケースを提供する。
【解決手段】荷物を収容する本体部と、本体部に作動可能に設けられ、かつ、接地される車輪と、本体部に設けられ、かつ、車輪の位置を変更させるステアリングシステムと、本体部より前方に位置する物体と本体部との距離が、所定距離以下であるか否かを検出する制御部16及び物体検出部18と、利用者の移動方向に対して交差する所定方向で、利用者と物体との最短距離を検出する制御部16及び物体検出部と、利用者の端部に対する本体部の突出量が最短距離以上であるか否かを判断する制御部16と、物体と本体部との距離が所定距離以下であり、かつ、突出量が最短距離以上であると、所定方向で突出量が最短距離未満になるように、車輪の位置を変更する制御部16と、を有するスーツケース10である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容する本体部と、
前記本体部に中心軸を中心として作動可能に設けられ、かつ、接地される車輪と、
前記本体部に設けられ、かつ、前記車輪の作動方向における位置を変更させるステアリングシステムと、
前記本体部を掴んで移動する利用者の移動方向で、前記本体部より前方に位置する前記利用者以外の物体と前記本体部との距離が、所定距離以下であるか否かを検出する第1距離検出部と、
前記利用者の移動方向に対して交差する所定方向で、前記利用者と前記物体との最短距離を検出する第2距離検出部と、
前記所定方向で前記利用者の端部に対する前記本体部の突出量が前記最短距離以上であるか否かを判断する判断部と、
前記物体と前記本体部との距離が所定距離以下であることが検出され、かつ、前記突出量が前記最短距離以上であることが検出されると、前記所定方向で前記突出量が前記最短距離未満になるように、前記ステアリングシステムによって前記車輪の作動方向における前記車輪の位置を変更する制御部と、
を有する、スーツケース。
【請求項2】
請求項1記載のスーツケースにおいて、
前記ステアリングシステムは、
2つの前記車輪を前記中心軸を中心としてそれぞれ作動可能に支持する2つのホルダと、
前記2つのホルダを連結し、かつ、前記所定方向に作動可能なリンクと、
前記リンクを作動させるアクチュエータと、
を有する、スーツケース。
【請求項3】
請求項2記載のスーツケースにおいて、
前記アクチュエータは、電動モータを有し、
前記電動モータの回転軸にピニオンが設けられ、
前記リンクは、前記ピニオンに噛み合わされるラックを有し、
前記制御部は、前記電動モータを回転させることにより前記リンクを作動させて、2つの前記車輪の作動方向における前記車輪の位置を変更する、スーツケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が手で掴んで移動可能なスーツケースに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者がスーツケースを掴んで移動する場合に、利用者以外の物体にスーツケースが衝突することを防止する技術の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1には、LEDなどの警告棒で周囲の人にスーツケースの存在を知らせることで、物体(通行人)がスーツケースに衝突することを防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されたスーツケースでは、あせっている人はなかなかLEDなどに気づけず、そのままスーツケースに衝突してしまう可能性がある、という課題を認識した。
【0005】
本発明の目的は、スーツケースを掴んでいる利用者以外で、スーツケースの移動方向で前方にある物体が、スーツケースの本体部に接触することを抑制可能なスーツケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明におけるスーツケースは、荷物を収容する本体部と、前記本体部に中心軸を中心として作動可能に設けられ、かつ、接地される車輪と、前記本体部に設けられ、かつ、前記車輪の作動方向における位置を変更させるステアリングシステムと、前記本体部を掴んで移動する利用者の移動方向で、前記本体部より前方に位置する前記利用者以外の物体と前記本体部との距離が、所定距離以下であるか否かを検出する第1距離検出部と、前記利用者の移動方向に対して交差する所定方向で、前記利用者と前記物体との最短距離を検出する第2距離検出部と、前記所定方向で前記利用者の端部に対する前記本体部の突出量が前記最短距離以上であるか否かを判断する判断部と、前記物体と前記本体部との距離が所定距離以下であることが検出され、かつ、前記突出量が前記最短距離以上であることが検出されると、前記所定方向で前記突出量が前記最短距離未満になるように、前記ステアリングシステムによって前記車輪の作動方向における前記車輪の位置を変更する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスーツケースは、利用者の移動方向に対して交差する所定方向で、利用者に対する本体部の突出量が減少されるため、スーツケースの本体部と物体との接触を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は、利用者がスーツケースを掴んでいない状態の図、(B)は、利用者がスーツケースを掴んで移動する状態の図である。
【
図2】(A),(B),(C)は、それぞれスーツケースの底面図である。
【
図3】スーツケースの制御系統を示すブロック図である。
【
図4】利用者と通行人とが接近する状態を示す模式的な平面図である。
【
図5】
図3の制御部が行う制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のスーツケースの一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1、
図2及び
図3に示されるように、スーツケース10は、本体部11、前輪12、後輪13、ステアリングシステム14、制御部16、電源部17、物体検出部18、移動検出部19等を有する。本体部11は、ほぼ箱形状であり、かつ、荷物を収容する空間及び開口部を有している。本体部11は、ファスナーまたは蓋を有し、利用者P1がファスナーまたは蓋を操作することにより、開口部を開閉できるようになっている。本体部11の上部にキャリーバー20が設けられ、キャリーバー20は伸縮可能である。また、グリップ21が、キャリーバー20の端部に設けられている。
【0011】
前輪12及び後輪13は、本体部11の下部、より具体的には底部に取り付けられている。2つの前輪12は、本体部11の移動方向A1に対して交差する左右方向A2で、間隔をおいて設けられている。移動方向A1は、利用者P1の移動方向、つまり、歩行方向である。2つの前輪12は、ホルダ22によってそれぞれ回転可能に支持されている。また、ホルダ22は、本体部11に対して中心軸Q1を中心とする所定角度の範囲内で作動可能である。中心軸Q1は、それぞれの前輪12の幅方向の中心、及び前輪12の長手方向の中心に位置する。さらに、2つのホルダ22は、それぞれアーム23を有し、2つのアーム23はピン24をそれぞれ有する。
【0012】
また、
図2(A),(B),(C)のように、本体部11を底面視すると、リンク(ロッド)25が、本体部11の左右方向A2に沿って作動可能に設けられている。
図4のように利用者P2及びスーツケース10を平面視すると、左右方向A2は、移動方向A1に対して所定角度で交差、例えば、90度で交差する。本体部11にガイド部材(図示せず)が設けられており、リンク25は、ガイド部材に沿い、
図2における左右方向A2で往復作動することが可能である。リンク25の作動方向における両端に、ガイド穴26がそれぞれ設けられている。2つのガイド穴26は、トラック形状を有する長穴である。ガイド穴26の長軸(図示せず)は、本体部11の移動方向A1に沿って設けられている。ピン24はガイド穴26に移動可能に配置されている。さらに、ラック(歯)27がリンク25の長手方向に沿って設けられている。
【0013】
電動モータ15は、リンク25及びホルダ22を作動させるアクチュエータである。電動モータ15の回転軸28は、正回転(第1方向への回転)及び逆回転(第2方向への回転)が可能である。回転軸28には、ピニオン29が取り付けられており、ピニオン29は、ラック27に噛み合わされている。電動モータ15は、本体部11に設けられており、電力が供給されると電動モータ15は回転され、電力の供給が遮断されると電動モータ15は停止する。上記のホルダ22、リンク25及び電動モータ15は、ステアリングシステム14を構成している。後輪13は、例えば本体部11の下部に設けられており、本体部11によって回転可能に支持されている。後輪13は、移動方向A1で前輪12より後方に設けられている。
【0014】
電源部17は、例えば本体部11の下部に設けられている。電源部17は、例えば、二次電池であり、電源部17は、充電及び放電を行うことができる。電動モータ15及び電源部17を含む電気回路30は、
図3のようにインバータ回路31を有する。インバータ回路31は、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子は、それぞれ単独でオン及びオフが可能である。インバータ回路31が電気回路30を接続すると、電源部17の電力が電動モータ15に供給され、電動モータ15が回転される。インバータ回路31が電気回路30を遮断すると、電動モータ15に対する電力の供給が停止され、電動モータ15が停止する。
【0015】
物体検出部18は、例えば本体部11の上部に設けられている。物体検出部18は、スーツケース10の利用者(本人)P1の有無、利用者P1に対する本体部11の突出量、本体部11の周囲における利用者P1以外の通行人(他者)P2の有無、本体部11と通行人P2との距離、通行人P2の移動速度等を検出して信号を出力する。物体検出部18は、赤外線カメラ、ミリ波レーダ、超音波センサ、光電センサ、温度センサ等によって構成されている。物体検出部18は、特に、物体(熱源)から発生する赤外線を計測でき、かつ、物体の温度を検出することにより、人間と、人間以外の物体との識別を行うことができる。例えば、検出される物体の温度が、例えば、35.0度~37.5度の範囲内であると、その物体は人間であると認識する。人間以外の物体は、例えば、電柱、壁、柱、ゴミ箱等である。
【0016】
また、移動検出部19は、本体部11に設けられている。移動検出部19は、本体部11が移動しているか否か、本体部11の移動速度等を検出して信号を出力する。移動検出部19は、本体部11の加速度を検出する加速度センサ、前輪12の回転速度を検出する加速度センサ等のうち、少なくとも1つによって構成されている。
【0017】
制御部16は、例えば、本体部11の下部に設けられている。制御部16は、入力インタフェース、出力インタフェース、中央演算処理装置、記憶装置等を含むマイクロコンピュータである。記憶装置には、本体部11と物体とが接触することを回避するために、各種の情報及びデータが、予め記憶されている。制御部16は、入力される信号、及び記憶装置に記憶されている情報及びデータに基づいて、インバータ回路31を制御する。
【0018】
次に、利用者P1がスーツケース10を掴んで歩行する例を説明する。
図1(A)のように、利用者P1の手32がグリップ21から離れていると、前輪12及び後輪13が、共に歩道W1に接触されている。また、制御部16は、移動検出部19の信号を処理して本体部11が停止していることを検出していると、制御部16は、電動モータ15を停止させている。また、
図1(B)のように、利用者P1が手32でグリップ21を掴んで歩行すると、後輪13が歩道W1から離れ、かつ、前輪12が回転され、利用者P1及びスーツケース10が同じ方向へ移動する。なお、スーツケース10は、
図1(B)及び
図4のように、利用者P1の後方を移動されるものとする。
【0019】
制御部16は、スーツケース10の移動方向A1で、本体部11の前方における利用者P1以外の物体、例えば、周囲の通行人P2の有無を検出している。移動方向A1で、利用者P1と本体部11との距離L2は、ほとんど変化しない。これに対して、移動方向A1で、通行人P2と本体部11との距離L1は変化、つまり、短くなる。このため、制御部16は、利用者P1及びスーツケース10と、移動方向A3で移動する通行人P2と、を識別できる。移動方向A1と移動方向A3とは逆向きであり、かつ、同方向である。つまり、歩行中の通行人P2は、利用者P1及びスーツケース10へ近づくことになる。
【0020】
制御部16は、
図5のステップS10において、移動方向A1で本体部11と通行人P2との距離が所定距離L1以下であるか否かを判断する。所定距離L1は、制御部16の記憶装置に記憶されており、利用者P1の移動速度が高速であるほど、所定距離L1が長く設定される。所定距離L1は、例えば、3m~5mの範囲内で設定されている。制御部16は、ステップS10でNoと判断すると、ステップS11において、電動モータ15を停止させて前輪12を中立位置で停止させ、
図5の制御例を終了する。
【0021】
前輪12の中立位置は、
図2(A)のように、前輪12の幅方向の中心線B1が、移動方向A1とほぼ平行であるような前輪12の位置である。前輪12が中立位置で停止されていると、利用者P1と共に本体部11が直進する。また、利用者P1が例えば、右手でグリップ21を掴んでいると、
図4のように、本体部11は、利用者P1の右端部D1から突出されている。制御部16は、物体検出部18の信号を処理することにより、使用者P1の右端部D1に対する本体部11の突出量M1を検出する。
【0022】
これに対して、制御部16は、ステップS10でYesと判断すると、ステップS12で前輪12を中立位置から作動位置へ移動させる制御を行い、
図5の制御例を終了する。例えば、
図4では、利用者P1の右端部D1から本体部11が突出されており、かつ、移動方向A1に対して交差する左右方向A2で、利用者P1よりも右側に通行人P2が存在する。このため、制御部16がステップS12で行う制御は、
図4で二点鎖線の位置にある本体部11を、実線で示す位置へ移動させるように、ステアリングシステム14を作動させるものである。
【0023】
制御部16が、電動モータ15の回転軸28を第1方向に回転させると、
図2(A)に示すリンク25が、
図2(B)のように左へ作動される。すると、中心線B1は、移動方向A1に対して傾斜する。そして、制御部16は、電動モータ15を停止させた後、電動モータ15の回転軸28を第2方向に回転させ、かつ、電動モータ15を停止させると、リンク25が
図2(A)の位置に戻って停止され、前輪12は、中立位置で停止される。すると、利用者P1の右端部D1に対する本体部11の突出量は、突出量M1から突出量M2に減少する。
【0024】
ここで、突出量M1と突出量M2との差M3は、突出量M2が、利用者P1の右端部D1と通行人P2との最短距離M4未満になるように設定される。差M3は、前輪12の傾斜角度に応じて定まり、前輪12の傾斜角度は、電動モータの回転軸15の回転角度に応じて定まる。そして、最短距離M4が小さくなるほど、電動モータ15の回転軸28の回転角度が大きく設定される。
【0025】
このように、制御部16が本体部11を左右方向A2で移動させることにより、突出量M2が最短距離M4未満になると、利用者P1と通行人P2とがすれ違う過程で、本体部11が通行人P2に接触することを回避できる。
【0026】
なお、利用者P1が左手でグリップ21を握ると、左右方向A2で利用者P1の左端部D2から本体部11が突出される。そして、移動方向A1で、利用者P1よりも左側に通行人P2が存在し、かつ、ステップS10でYesと判断されると、制御部16は電動モータ15を第2方向に回転させ、リンク25を中立位置から右へ移動させた後、
図2(C)のように作動位置で停止させる。
【0027】
中心線B1は、移動方向A1に対して傾斜する。さらに、電動モータ15を第1方向に回転させ、かつ、電動モータ15を停止させると、リンク25が
図2(A)の位置に戻って停止され、前輪12は、中立位置で停止される。すると、利用者P1の左端部D2に対する本体部11の突出量が減少する。したがって、利用者P1の前方で左側に通行人P2が存在した場合も、利用者P1と通行人P2とがすれ違う過程で、本体部11が通行人P2に接触することを回避できる。
【0028】
さらに、通行人P2は、スーツケース10に接近するように移動していてもよいし、停止していてもよい。制御部16は、通行人P2がスーツケース10に接近するように移動している場合に、ステップS10の判断に用いる所定距離L1を、通行人P2が停止している場合に、ステップS10の判断に用いる所定距離L1よりも短く設定可能である。
【0029】
さらに、スーツケース10は、通行人P2以外の物体、例えば、電柱、壁、ゴミ箱等に接触することを回避できる。これらの物体(障害物)は、移動しないため、利用者P1及びスーツケース10が移動方向A1で移動すると、スーツケース10の移動速度に応じて距離L1が減少する。距離L1は、物体の移動速度が低速であるほど、単位時間あたりの減少量が少ない。このため、制御部16は、物体が停止しているか移動しているかを判断できる。また、検出部18で検出される物体の温度に基づいて、制御部16は、停止している物体が、通行人P2(人間)であるか、人間以外の物体(障害物)であるかを判断できる。
【0030】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。通行人P2は、物体の一例である。前輪12は、車輪の一例である。距離L1が、「物体と本体部との距離」の一例である。制御部16及び物体検出部18は、第1距離検出部、第2距離検出部の一例である。制御部16は、判断部の一例である。電動モータ15は、アクチュエータの一例である。左右方向A2は、「利用者の移動方向に対して交差する所定方向」の一例である。突出量M1は、「所定方向で利用者の端部に対する本体部の突出量」の一例である。右端部D1及び左端部D2は、それぞれ「利用者の端部」の一例である。
【0031】
本実施形態で記載したスーツケースは、実施形態で図面を用いて説明したスーツケースに限定されない。例えば、アクチュエータは、電動モータに代えてソレノイドを用いることも可能である。ソレノイドは、通電されると磁気吸引力を生じ、電力が停止されると磁気吸引力を解除する。この場合、リンクは磁性材料、例えば鉄製であり、磁気吸引力によって左右方向に移動可能である。さらに、ソレノイドは2個設ける。また、リンクを左右方向で中立位置に停止させる付勢部材、例えば、スプリングを設ける。
【0032】
そして、第1のソレノイドに通電すると、リンクは中立位置から付勢部材の力に抗して
図2(A)のように左へ作動する。第1のソレノイドへの通電を解除すると、リンクは中立位置へ戻って停止する。これに対して、第2のソレノイドに通電すると、リンクは中立位置から付勢部材の力に抗して
図2(B)のように右へ作動する。さらに、第2のソレノイドへの通電を解除すると、リンクは中立位置へ戻って停止する。制御部は、2個のソレノイドへの通電及び電力の停止を、それぞれ別個に制御する。
【0033】
また、物体検出部は、本体部の上部、側部、前部の少なくとも1箇所に設けられていればよい。また、前輪と共に回転可能な発電機を設け、発電機が、電源部に対して電気的に接続されていてもよい。すると、前輪が中立位置にあり、かつ、前輪が回転している場合に、発電機で得られた電力を電源部に充電可能である。なお、前輪12及び後輪13は、歩道W1に代えて、建築物の床、コンコース、地面等に接地されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…スーツケース、11…本体部、12…前輪、14…ステアリングシステム、15…電動モータ、16…制御部、18…物体検出部、22…ホルダ、25…リンク、27…ラック、28…回転軸、29…ピニオン、A1…移動方向、A2…左右方向、D1…右端部、D2…左端部、M4…最短距離、L1…距離、P1…利用者、P2…通行人、Q1…中心軸