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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102352
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】太陽電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/054 20140101AFI20220630BHJP
【FI】
H01L31/04 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217038
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】520513303
【氏名又は名称】合同会社ICWホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114546
【弁理士】
【氏名又は名称】頭師 教文
(74)【代理人】
【識別番号】100185317
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】岩浅 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】受光面の向きを機械的に動かさなくても、太陽の日周運動等によらず、発電効率を高められるようにする。
【解決手段】太陽電池装置に、基板層と、基板層の表面に配置され、太陽光を電気に変換する太陽電池セルの集合体で構成される発電層12と、発電層の表面に配置され、入射した太陽光を発散光として出力する光学特性を有する単位構造をマトリクス状に配列した導光層13とを設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層と、
前記基板層の表面に配置され、太陽光を電気に変換する太陽電池セルの集合体で構成される発電層と、
前記発電層の表面に配置され、入射した太陽光を発散光として出力する凹レンズと同等の光学特性を有する単位構造をマトリクス状に配列した導光層と
を有する、太陽電池装置。
【請求項2】
前記単位構造は、平凹レンズと同等の光学特性を有し、
平凹レンズの平坦面側を太陽光の入射面とし、凹面側を太陽光の射出面とする、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項3】
前記単位構造は、前記平凹レンズと同等の光学特性を有するフレネルレンズの半円部分のうち、当該平凹レンズの中心に対して左右対称に切り出される矩形形状を有する、
請求項2に記載の太陽電池装置。
【請求項4】
前記導光層は、前記発電層の表面へのコロイダルシリカのコーティングにより形成され、太陽光の入射面側に階段状かつ同心円状の鋸波型の溝を有する、
請求項1に記載の太陽電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、再生可能なエネルギー源として太陽光への期待が高まっている。例えば太陽光を活用した発電システムとして、追尾式の太陽発電システムが実用化されている。追尾式の太陽発電システムは、発電セルの集合体である太陽電池パネルを追尾装置に取り付け、太陽の日周運動や年周運動に合わせて太陽電池パネルの向きを移動させることで、年間を通して発電量を確保することができる。
追尾式の太陽発電システムには、太陽光を発電セルに集光するタイプの太陽電池パネルが採用されている。集光型の太陽電池パネルは、集光レンズを取り付けない方式に比べ、発電セルの面積が小さく済むメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-040583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、集光型の太陽電池パネルを追尾装置に取り付けた太陽発電システムでは、太陽の日周運動等に応じて太陽電池パネルの向きを可変可能な架台と架台の向きを制御する追尾装置の設置が必要となり、固定型の発電システムに比してランニングコストが上昇してしまう。
【0005】
本発明は、受光面の向きを機械的に動かさなくても、太陽の日周運動等によらず、発電効率を高められるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、基板層と、前記基板層の表面に配置され、太陽光を電気に変換する太陽電池セルの集合体で構成される発電層と、前記発電層の表面に配置され、入射した太陽光を発散光として出力する凹レンズと同等の光学特性を有する単位構造をマトリクス状に配列した導光層とを有する、太陽電池装置である。
請求項2に記載の発明は、前記単位構造は、平凹レンズと同等の光学特性を有し、平凹レンズの平坦面側を太陽光の入射面とし、凹面側を太陽光の射出面とする、請求項1に記載の太陽電池装置である。
請求項3に記載の発明は、前記単位構造は、前記平凹レンズと同等の光学特性を有するフレネルレンズの半円部分のうち、当該平凹レンズの中心に対して左右対称に切り出される矩形形状を有する、請求項2に記載の太陽電池装置である。
請求項4に記載の発明は、前記導光層は、前記発電層の表面へのコロイダルシリカのコーティングにより形成され、太陽光の入射面側に階段状かつ同心円状の鋸波型の溝を有する、請求項1に記載の太陽電池装置。
【発明の効果】
【0007】
各請求項に記載の発明によれば、受光面の向きを機械的に動かさなくても、太陽の日周運動等によらず、発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態で使用する太陽電池パネルの構成例を示す図である。(A)は太陽光の入射面を斜め上方から表した図であり、(B)は太陽電池パネルの断面構造を説明する図であり、(C)は発電層の構造例を説明する図である。
図2】実施の形態1で使用する導光層を構成する単位構造の一例を説明する図である。(A)は導光層の単位構造を上方から見た平面図であり、(B)はII-IIで示す位置で単位構造を切断した断面図である。
図3】太陽電池パネルの使用例を説明する図である。(A)は太陽電池パネルを構成する導光層の単位構造を設置する向きを示し、(B)は午前の太陽光が発電層に入射する角度を示し、(C)は正午頃の太陽光が発電層に入射する角度を示し、(D)は午後の太陽光が発電層に入射する角度を示す。
図4】発電層に対する光の入射角と発電量との関係を説明する図である。(A)は入射角を説明する図であり、(B)は入射角と発電電流の関係を説明する図である。
図5】実施の形態2で使用する導光層を構成する単位構造の一例を説明する図である。(A)は導光層の単位構造を上方から見た平面図であり、(B)II-IIで示す位置で単位構造を切断した断面図である。
図6】実施の形態3で使用する導光層を構成する単位構造の一例を説明する図である。(A)は導光層の単位構造を上方から見た平面図であり、(B)はII-IIで示す位置で単位構造を切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
<実施の形態>
<パネル全体の構成>
図1は、本実施の形態で使用する太陽電池パネル1の構成例を示す図である。(A)は太陽光L1の入射面を斜め上方から表した図であり、(B)は太陽電池パネル1の断面構造を説明する図であり、(C)は発電層12の構造例を説明する図である。
図1では、ある季節のある時刻における太陽20の位置を表している。もっとも、太陽20の位置は、季節と時間により変化する。
【0011】
図1では、太陽電池パネル1の長辺の方向をX軸とし、短辺の方向をY軸とし、パネル面の法線方向をZ軸としている。
太陽電池パネル1は、太陽電池装置の一例である。図1では、説明の都合上、太陽電池パネル1を1つだけを表しているが、複数の太陽電池パネル1の集合体である太陽電池アレイや複数の太陽電池アレイの集合体により太陽発電システムが形成される。なお、太陽電池アレイやその集合体も、太陽電池装置の一例である。
【0012】
本実施の形態で使用する太陽電池パネル1は、下層側から上層側へ順番に、基板層11、発電層12、導光層13で構成されている。
基板層11は、例えば金属板、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板により形成される。
発電層12は、基板層11の表面に配置される。図1(C)に示すように、発電層12は、複数の太陽電池セル12Aをマトリクス状に配列した構造を有している。太陽電池セル12Aは、例えば5インチ角や6インチ角の正方形状であり、それぞれが太陽光の光量に応じた大きさの電気を発生する。
【0013】
図1の場合、太陽電池セル12Aは、X軸とY軸のそれぞれの方向にマトリクス状に配列されている。もっとも、図1に示す配列例は一例であり、他の配列も可能である。
本実施の形態の場合、太陽電池セル12Aには、シリコン系の太陽電池を使用する。もっとも、太陽電池セル12Aとして、GaAs、InGaP、CuInGaSeなどを使用した化合物半導体太陽電池を用いることも可能である。
【0014】
導光層13は、凹レンズと同等の光学特性を有する単位構造13A(後述する図2参照)の集合体であり、発電層12の表面に配置される。導光層13は、単位構造13Aをマトリクス状に配列した構造を有している。なお、本実施の形態における「同等」とは、厳密に同じの意味ではなく、製造上の許容範囲は許される。また、凹レンズの光学特性のように入射光を発散する光学特性を有する場合は「同等」とみなす。本実施の形態の場合、導光層13は、強化ガラスにより形成される。もっとも、透過率が高い材質であれば、強化ガラスに限らず、プラスチック樹脂等でもよい。
単位構造13Aは、凹レンズと同等の光学特性を有するので、単位構造13Aの光軸に対して平行に入射した太陽光L1は、各入射位置から凹レンズの焦点を虚光源とする方向に屈折される。
【0015】
太陽光L1は、平行光であるので、単位構造13Aの中心点から半径方向に離れた位置に入射する太陽光L1ほど、太陽光L1の光軸に対して外側に大きく屈折される。
なお、単位構造13Aの光軸に対して平行に入射した太陽光L1のうち、凹レンズの中心に入射した太陽光L1は、そのまま直進する。
凹レンズは、凸レンズとは異なり、光を広げる性質がある。本実施の形態では、この性質を、光を発散させる性質といい、単位構造13Aを通過した後の太陽光L2(後述する図3参照)を発散光ともいう。
【0016】
なお、本実施の形態における単位構造13Aは、凹レンズと同等の光学特性であるので、凸レンズを使用する集光型の太陽電池パネルとは異なり、単位構造13Aと太陽電池セル12Aとの間に、焦点距離に相当する空間を設ける必要がない。
このため、本実施の形態における太陽電池パネル1は、図1(B)に示すように、発電層12の表面に導光層13を直接配置することが可能である。
もっとも、導光層13と発電層12との間に空間や光を透過する層を配置することも可能である。
【0017】
結果的に、太陽電池パネル1の構造が簡単になり、また、集光型に比べてパネルが薄型になる。
また、本実施の形態における太陽電池パネル1は、太陽電池パネル1を太陽20の動きに追従させる必要がなく、その分、太陽発電システムとしてのランニングコストを集光型の発電システムに比して低下させることができる。
また、本実施の形態における太陽電池パネル1は、後述するように、導光層13への太陽光L1の入射角が大きくなる時間帯でもパネル全体の発電量を増加させることができる。
【0018】
<導光層の構造>
図2は、実施の形態1で使用する導光層13を構成する単位構造13Aの一例を説明する図である。(A)は導光層13の単位構造13Aを上方から見た平面図であり、(B)はII-IIで示す位置で単位構造13Aを切断した断面図である。
本実施の形態における単位構造13Aは、平凹フレネルレンズから切り出された矩形形状を有している。
【0019】
平凹フレネルレンズは、平凹レンズと同等の光学特性を有するフレネルレンズであり、本実施の形態の場合、発電層12に接する面側に、階段状かつ同心円状の鋸波型の溝が形成されている。個々の斜面の形状は、平凹レンズにおける対応部分の曲面の形状により定まる。
なお、単位構造13Aのうち太陽光L1が入射する側の面(すなわち入射面)は平坦である。図2の場合、単位構造13Aのうち太陽光L1が入射する面の側を平坦面側といい、単位構造13Aのうち発電層12と面する側を凹面側(又は射出面)という。
【0020】
本実施の形態の場合、矩形形状の単位構造13Aを構成する鋸波型の溝が形成する同心円状のパターンは、中心Oを通る対称軸LSに対して左右対称である。
図2の場合、平凹フレネルレンズの焦点は、太陽光L1が入射する側に位置している。このため、単位構造13Aを通過する太陽光L1は、その入射位置及び入射の角度に応じて発散するように屈折される。発散の方向は、中心Oを通過する太陽光L1に対して対称になる。
単位構造13Aの寸法は、太陽電池セル12Aの寸法と同じでも異なってもよい。本実施の形態の場合、単位構造13Aの長辺は22.8mm、短辺は11.4mmとする。
【0021】
<使用例>
図3は、太陽電池パネル1の使用例を説明する図である。(A)は太陽電池パネル1を構成する導光層13の単位構造13Aを設置する向きを示し、(B)は午前の太陽光L2が発電層12に入射する角度を示し、(C)は正午頃の太陽光L2が発電層12に入射する角度を示し、(D)は午後の太陽光L2が発電層12に入射する角度を示す。
図3では、午前を11:30頃より前の時間帯とし、正午頃を11:30頃から13:30頃の時間帯とし、午後を13:30頃より後の時間帯とする。
【0022】
図3(A)の場合、太陽電池パネル1は、単位構造13Aを構成する平凹フレネルレンズの中心Oが北を向くように配置される。なお、対称軸LSは、南北方向に合わせる。この結果、図3(A)では向かって右側が東となり、向かって左側が西となる。もっとも、方位を厳密に一致させることまでは求めない。
また、太陽電池パネル1は、年間を通して発電効率が高くなるように、設置場所の南中高度に応じた傾斜角で設置される。
【0023】
図3(B)は、午前の太陽光L1が単位構造13Aに入射する角度と、発電層12の受光面に入射する太陽光L2の角度の関係を示している。
図3(B)に示すように、向かって右側の領域では、単位構造13Aが入射光を発散させる性質により、太陽光L1が単位構造13Aに斜めに入射しても、単位構造13Aから射出される太陽光L2は、発電層12の受光面に対して垂直に近い角度で入射する。なお、単位構造13Aの溝による屈折の角度は、周辺部ほど大きく中心ほど小さくなる。
【0024】
いずれにしても、単位構造13Aから射出される太陽光L2は、平凹フレネルレンズの中心Oを通過する太陽光L2に対して発散する方向に屈折される。このため、向かって右側の領域部分の発電層12への入射角は、導光層13を設けない場合に比して小さくなり、結果的に発電量が増加する。
【0025】
一方、向かって左側の領域では、単位構造13Aが入射光を発散させる性質が反対に作用する。すなわち、発電層12の受光面に入射する太陽光L2の入射角は、単位構造13Aに対する太陽光L1の入射角よりも水平方向に近づくように変化する。この結果、向かって左側の領域部分の発電量は、導光層13を設けない場合に比して減少する。
【0026】
ただし、入射角と発電量との関係は非線形であり、受光面に対してほぼ水平に太陽光L2が入射しても発電量が0(ゼロ)になるわけではない。また、正午頃に近い時間帯ほど、入射角だけでなく太陽光L1の光量も大きいため、発電効率が良好な角度で発電層12の受光面に太陽光L2が入射することによる発電量の増加の効果は、導光層13を設けない場合に比して大きくなる。
【0027】
図4は、発電層12に対する光の入射角と発電量との関係を説明する図である。(A)は入射角を説明する図であり、(B)は入射角と発電電流の関係を説明する図である。
図4(A)では、発電層12に対して光が垂直に入射する角度を0°とし、発電層12と光が水平となる角度を90°とし、その中間をθ°とする。
図4(B)の横軸は入射角であり、縦軸は発電電流の相対値である。図4(B)では、相対値の最大値を1で表している。
【0028】
午前中の場合、導光層13への太陽光L1の入射角は、概略25°から40°である。ただし、導光層13を通過した太陽光L2の一部は、太陽光L1よりも小さい入射角で発電層12の受光面に入射でき、その分、より多くの発電電流が発生する。前述したように、反対に発電電力が減少する領域も発生するが、パネル全体としては、平凹フレネルレンズと同等の光学特性を有する導光層13を設けることで、この導光層13を設けない場合に比して発電量を増加させることができる。
また、本実施の形態における単位構造13A(図3参照)を矩形形状とするのは、中心から離れる位置の発散角が大きくなりすぎないようにするためである。この意味で、矩形形状の寸法は、小さい方が望ましい。
【0029】
図3の説明に戻る。
図3(C)は、正午頃の太陽光L1が単位構造13Aに入射する角度と、発電層12の受光面に入射する太陽光L2の角度の関係を示している。
図3(C)の場合、太陽光L1は発電層12の受光面に対してほぼ垂直に入射している。このため、導光層13を通過した太陽光L2は、中心Oを通過した太陽光L2に対して発散するように進行する。このため、発電層12の受光面への太陽光L2の入射角は、太陽光L1がそのまま入射する場合よりも大きくなり、厳密には発電量が低下する。
【0030】
しかし、正午頃の時間帯は、そもそも入射角が小さく、発電電流も大きい。また、太陽光の光量も大きい時間帯であるので、パネル全体としての発電量は、導光層13を設けない場合と同等になる。
なお、図3(C)では、太陽光L1が導光層13に垂直に入射しているが、時間がずれると太陽光L1は斜めに入射するので、別の場所に入射した太陽光L2は、ほぼ垂直に発電層12の受光面に入射するようになる。結果的に、正午頃の発電量は、導光層13を設けない場合と同等になる。
【0031】
図3(D)は、午後の太陽光L1が単位構造13Aに入射する角度と、発電層12の受光面に入射する太陽光L2の角度の関係を示している。
午後の場合、午前とは反対に、向かって左側の領域の発電量が、導光層13を設けない場合に比して増加し、向かって右側の領域の発電量が、導光層13を設けない場合よりも減少する。
しかし、午前の場合と同様に、午後の場合も、導光層13を設けることでパネル全体としての発電量は、導光層13を設けない場合に比して大きくなる。
すなわち、本実施の形態で説明する単位構造13Aを設けた太陽電池パネル1の使用により、午前や午後の時間帯における発電量を増加させることが可能になる。
【0032】
また、本実施の形態で説明した太陽電池パネル1は、発電層12の表面に平凹フレネルレンズを基本構造とする導光層13を配置するだけの単純な構成のため、製造コストも減少する。
実際、凸レンズを使用する集光型の太陽電池パネルのように発電セルをレンズの焦点に精密に位置決めする必要もない。また、凸レンズを使用する集光型の太陽電池パネルのように、太陽の動きに合わせて太陽電池パネルを追跡させる必要もなく、ランニングコストも少なく済む。
結果的に、太陽電池パネル1の発電効率の向上が実現される。
【0033】
<実施の形態2>
図5は、実施の形態2で使用する導光層13を構成する単位構造13Bの一例を説明する図である。(A)は導光層13の単位構造13Bを上方から見た平面図であり、(B)はII-IIで示す位置で単位構造13Bを切断した断面図である。図5には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
なお、太陽電池パネル1(図1参照)の構成自体は、実施の形態1と同じである。
【0034】
前述の実施の形態1の場合には、単位構造13A(図2参照)として物理的な溝を形成する場合について説明したが、実施の形態2の場合には、同等の光学特性を有する単位構造13Bを想定する。
例えば単位構造13Bには、光学特性が平凹フレネルレンズや凹レンズとなるように屈折率を調整した平板状の部材を使用する。この他、単位構造として、マイクロビーズ等を導光層13の内部に封じ込めたプラスチック樹脂を使用してもよい。勿論、マイクロビーズ等は、光を透過する材料で構成される。
本実施の形態における構造を有する太陽電池パネル1を用いても、実施の形態1と同様に、発電量の増加が実現される。
【0035】
<実施の形態3>
図6は、実施の形態3で使用する導光層13を構成する単位構造13Cの一例を説明する図である。(A)は導光層13の単位構造13Cを上方から見た平面図であり、(B)はII-IIで示す位置で単位構造13Cを切断した断面図である。図6には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0036】
本実施の形態で使用する平凹フレネルレンズは、単位構造13Cの凹凸面が太陽光L1の入射面側に設けられる点で、実施の形態1と相違する。
この単位構造13Cは、実施の形態1と同様に、強化ガラスやプラスチック樹脂等で構成する他、発電層12の表面への粒径の異なるコロイダルシリカのコーティングにより形成してもよい。コロイダルシリカを発電層12の表面をコーティングする場合、例えばスタンプ等の金型を押し付けることにより、又は、超音波振動の印加により単位構造13Cの構造に形成する。
なお、粒径が同じ又は異なるコロイダルシリカを、実施の形態2のように、一様に発電層12の表面にコーティングしてもよい。ここでの「同じ」や「異なる」は、コーティングに使用するコロイダルシリカの粒径の全てが同じ又は異なる場合だけでなく、一部で同じ又は異なる場合を含む。粒径の異なるコロイダルシリカを最適な割合とすることにより、ミクロ~ナノレベルで、フレネルレンズと同等の光学的効果が発揮される。なお、コロイダルシリカの形状は球形に限らず、楕円球や多面体でもよい。
【0037】
本実施の形態における構造を有する太陽電池パネル1を用いても、実施の形態1と同様に、発電量の増加が実現される。
加えて、コロイダルシリカの微細な凹凸構造は親水表面を形成する。このため、雨が降ると、コーティング加工された太陽電池パネルの表面と汚れの間に水が入り込み、汚れを浮かせて洗い流すことが可能である。すなわち、セルフクリーニング効果が期待される。
また、本実施の形態における構造は、強烈な紫外線や温度変化にも劣化せず、長期間安定した性能の発揮も期待できるだけでなく、耐摩耗性にも優れる。
なお、材料はコロイダルシリカ以外のシリカ、その他の無機材料でもよい。
【0038】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば前述の実施の形態では、単位構造13A及び13Cのように物理的な溝を有する導光層13に限らず、単位構造13Bのように、部材内における屈折率の分布の変化により、凹レンズや平凹レンズと同等の光学特性を有してもよい。
また、実施の形態3で説明したコロイダルシリカを、実施の形態1及び2で説明した導光層13の表面に塗布してもよい。この場合の塗布は、セルフクリーニング効果等を目的とする。
【符号の説明】
【0039】
1…太陽電池パネル、11…基板層、12…発電層、12A…太陽電池セル、13…導光層、13A、13B…単位構造、20…太陽
図1
図2
図3
図4
図5
図6