(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022103722
(43)【公開日】2022-07-08
(54)【発明の名称】液体洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 7/42 20060101AFI20220701BHJP
C11D 7/04 20060101ALI20220701BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20220701BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20220701BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20220701BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20220701BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
C11D7/42
C11D7/04
C11D17/08
C11D3/04
C11D3/386
C11D3/43
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218525
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 江里
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 有紀
(72)【発明者】
【氏名】西岡 潤子
(72)【発明者】
【氏名】大塚 聡
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB17
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA01
4H003DB02
4H003EA03
4H003EA15
4H003EA16
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB42
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA12
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA47
(57)【要約】
【課題】アルカリ性でありながら酵素の外観安定性及び酵素安定性に優れ、洗浄力が高い液体洗浄剤の提供。
【解決手段】(A)成分:無機アルカリ剤と、(B)成分:酵素と、を含有する液体洗浄剤であって、前記液体洗浄剤中で、前記(B)成分の少なくとも一部が固体状態で存在し、前記液体洗浄剤の総質量に対して水の含有量が7質量%超、30質量%未満であり、25℃におけるpHが8.5以上である、液体洗浄剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:無機アルカリ剤と、
(B)成分:酵素と、
を含有する液体洗浄剤であって、
前記液体洗浄剤中で、前記(B)成分の少なくとも一部が固体状態で存在し、
前記液体洗浄剤の総質量に対して水の含有量が7質量%超、30質量%未満であり、
25℃におけるpHが8.5以上である、液体洗浄剤。
【請求項2】
(C)成分:界面活性剤をさらに含有し、
前記(C)成分の含有量が、前記液体洗浄剤の総質量に対して15~85質量%である、請求項1に記載の液体洗浄剤。
【請求項3】
水混和性有機溶剤をさらに含有し、
前記水混和性有機溶剤の含有量が、前記液体洗浄剤の総質量に対して5~50質量%である、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤。
【請求項4】
前記水混和性有機溶剤がエタノール、グリセリン及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上を含む、請求項3に記載の液体洗浄剤。
【請求項5】
(D)成分:構造化剤をさらに含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等を洗浄対象とする繊維製品用の洗浄剤としては、粉末洗浄剤と液体洗浄剤との2種が一般的である。液体洗浄剤は、溶け残りの懸念がないことや衣料等に塗布して使用できることから、その需要が高まっている。
繊維製品用の洗浄剤には、優れた洗浄力が求められている。そこで、アルカリ剤と酵素とを組み合わせることで洗浄力を高めた液体洗浄剤が提案されている。
【0003】
しかし、アルカリ剤を配合し、液体洗浄剤のpHが高くなると、液体洗浄剤の保存中に酵素活性が低下して、液体洗浄剤の洗浄力が低下する場合がある。そのため、液体洗浄剤中の酵素の活性の低下を抑制する(すなわち、酵素安定性を高める)必要がある。
酵素安定性を高めた液体洗浄剤として、例えば特許文献1には、界面活性剤と、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体の少なくとも一方と、ポリエチレングリコールと、酵素と、アルカリ剤とを含有する液体洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液体洗浄剤において、酵素安定性には、未だ改善の余地がある。
また、固体の酵素を用いる場合、酵素の一部あるいは全量が液体洗浄剤中で固体状態で存在していると酵素安定性がより高まる傾向にあるが、液体洗浄剤の水分量やpHに依存して酵素が崩壊、もしくは溶解する場合がある。そのため、固体状態で存在する酵素は、液体洗浄剤中で崩壊したり溶解したりせずに粒子外観を維持できること(酵素の外観安定性)も要求される。
本発明は、アルカリ性でありながら酵素の外観安定性及び酵素安定性に優れ、洗浄力が高い液体洗浄剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] (A)成分:無機アルカリ剤と、
(B)成分:酵素と、
を含有する液体洗浄剤であって、
前記液体洗浄剤中で、前記(B)成分の少なくとも一部が固体状態で存在し、
前記液体洗浄剤の総質量に対して水の含有量が7質量%超、30質量%未満であり、
25℃におけるpHが8.5以上である、液体洗浄剤。
[2] (C)成分:界面活性剤をさらに含有し、
前記(C)成分の含有量が、前記液体洗浄剤の総質量に対して15~85質量%である、前記[1]の液体洗浄剤。
[3] 水混和性有機溶剤をさらに含有し、
前記水混和性有機溶剤の含有量が、前記液体洗浄剤の総質量に対して5~50質量%である、前記[1]又は[2]の液体洗浄剤。
[4] 前記水混和性有機溶剤がエタノール、グリセリン及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上を含む、前記[3]の液体洗浄剤。
[5] 前記液体洗浄剤中で、前記(A)成分の少なくとも一部が固体状態で存在している、前記[1]~[4]のいずれかの液体洗浄剤。
[6] (D)成分:構造化剤をさらに含有する、前記[1]~[5]のいずれかの液体洗浄剤。
[7] 繊維製品用である、前記[1]~[6]のいずれかの液体洗浄剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アルカリ性でありながら酵素の外観安定性及び酵素安定性に優れ、洗浄力が高い液体洗浄剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液体洗浄剤は、以下に示す(A)成分、(B)成分及び水を含有する。液体洗浄剤は、以下に示す(C)成分及び(D)成分の1つ以上をさらに含有することが好ましい。液体洗浄剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び水以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
なお、本明細書において、液体洗浄剤中で、固体状態で存在する(B)成分が崩壊したり溶解したりせずに粒子外観を維持することを「酵素の外観安定性」という。
また、液体洗浄剤中の酵素の活性が低下しにくいことを「酵素安定性」という。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、無機アルカリ剤である。
(A)成分は、液体洗浄剤に洗浄力、特に皮脂汚れに対する洗浄力(皮脂洗浄力)を付与する成分である。
液体洗浄剤中で、(A)成分の少なくとも一部は固体状態で存在していることが好ましい。すなわち、(A)成分には液体洗浄剤に溶解しているものと、溶解せずに固体状態で存在しているものがあり、液体洗浄剤には溶解度を超えた量の(A)成分が含まれていることが好ましい。以下、本明細書において、(A)成分のうち液体洗浄剤に溶解している(A)成分を「(A1)成分」ともいい、液体洗浄剤中で固体状態で存在する(A)成分を「(A2)成分」ともいう。
(A)成分の全量を、そのまま液体洗浄剤中に配合してもよいし、(A)成分の全量のうち、溶解度を超えない量を液体洗浄剤中に配合して溶解させた後、残りの量を液体洗浄剤中に配合してもよい。
【0010】
無機アルカリ剤とは、水に全量又は一部が溶解して塩基性を示し、1質量%の水溶液の25℃におけるpHが8以上となる成分である。
このような成分としては、具体的に、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの複塩(セスキ炭酸ナトリウム)、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;メタケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩などが挙げられる。これらの中でも、洗浄力がより高まる観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸ナトリウムが好ましい。
無機アルカリ剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0011】
(A2)成分の表面は、改質されていてもよい。(A2)成分の表面が改質されていれば、(A2)成分が溶解せずに、粒子外観(粒子数、粒子サイズ等)を良好に維持でき、(A2)成分の外観安定性が高まる。加えて、(A2)成分が沈殿しにくく、分散安定性が向上する。さらに、(A2)成分の溶解速度を制御できる。
(A2)成分の表面の改質方法としては、例えば無機アルカリ剤を焼成処理する方法などが挙げられる。
なお、本明細書において、表面が改質された無機アルカリ剤を「改質アルカリ剤」ともいう。本発明では、一部炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムを含有する炭酸ナトリウムも改質アルカリ剤とする。
【0012】
また、(A2)成分の表面は、被覆剤で被覆されていてもよい。(A2)成分の表面が被覆剤で被覆されていれば、(A2)成分が溶解せずに、粒子外観(粒子数、粒子サイズ等)を良好に維持でき、(A2)成分の外観安定性が高まる。加えて、(A2)成分が沈殿しにくく、分散安定性が向上する。さらに、(A2)成分の溶解速度を制御できる。ただし、本発明の液体洗浄剤を、洗剤自動投入装置を備えた洗濯機や自動ディスペンサーに使用する場合は、投入用配管やシリンジポンプ等の閉塞を防止する観点から、(A2)成分の表面は被覆剤で被覆されていないことが好ましい。
なお、本明細書において、表面が被覆剤で被覆された無機アルカリ剤を「被覆アルカリ剤」ともいう。
【0013】
被覆剤としては、液体洗浄剤中では溶解しにくく、無機アルカリ剤に付着しやすいが、液体洗浄剤を水で希釈した洗濯液中では溶解あるいは膨潤、崩壊、分散しやすく、無機アルカリ剤から脱離しやすいものが好ましい。被覆剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、アクリル酸-無水マレイン酸共重合体又はその塩、脂肪酸又はその塩、ポリビニルアルコール、プルラン、キサンタンガム、デンプン、変性デンプン、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、アルミノケイ酸塩(ゼオライト等)、酸化チタンなどが挙げられる。これらの中でも、液体洗浄剤中における溶解性を制御し、粒子外観を維持する観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、アクリル酸-無水マレイン酸共重合体又はその塩、脂肪酸又はその塩、ポリビニルアルコール、プルラン、キサンタンガム、デンプン、変性デンプン、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウムが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、アクリル酸-無水マレイン酸共重合体又はその塩、硫酸ナトリウムがより好ましい。
被覆剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0014】
被覆アルカリ剤は、無機アルカリ剤を流動化させつつ被覆剤を噴霧し造粒・被覆する流動層造粒法、無機アルカリ剤に被覆剤を噴霧・添加し撹拌羽根で撹拌して造粒・被覆する撹拌造粒法、被覆剤に無機アルカリ剤を浸漬・撹拌して、溶媒を留去して造粒物・被覆物を得る浸漬撹拌造粒法、無機アルカリ剤に被覆剤を添加し、捏和してこれを押出機で押し出す押出造粒法、無機アルカリ剤を転動させつつ被覆剤を噴霧して造粒・被覆する転動造粒法、無機アルカリ剤及び被覆剤を含むスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥型造粒法などにより得られる。
被覆剤は任意の溶媒に溶解又は分散させて溶液の状態で用いてもよい。
【0015】
さらに、上述した方法により得られた造粒物に、被覆剤を感応せしめる塩(感応性塩)を、混合機、造粒機又は流動層等の任意の機械を用いて添加、混合して、被覆アルカリ剤を製造してもよい。
ここで「被覆剤を感応せしめる塩」とは、被覆剤の粘度を上昇させたり、ゲル化させたり、膜を形成させる塩をいう。このような感応性塩の好ましい例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の多価塩化物;硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の多価硫酸塩;硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム等の多価硝酸塩;酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の多価有機酸塩;酸化カルシウム;水酸化カルシウム;四ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。
感応性塩は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0016】
(A)成分の粒子径は、10~2000μmが好ましく、100~1500μmがより好ましく、200~1000μmがさらに好ましい。(A)成分の粒子径が上記下限値以上であれば、溶解速度を制御しやすく、粒子外観の美麗さに優れる。(A)成分の粒子径が上記上限値以下であれば、水に対する溶解速度が向上する。
一方で、(A)成分の溶解速度制御等を必要としない場合、(A)成分の粒子径は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。特に、表面が被覆されていない(A)成分の粒子径が200μm未満であることが好ましく、100μm未満であることがより好ましい。(A)成分の粒子径が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤を水で希釈したときに速やかに(A2)成分が溶解する。また、洗濯機の投入口や洗濯後の衣類に固体の(A2)成分が残りにくい。よって、(A)成分の粒子径が200μm以下であれば、洗剤自動投入機能を備えた洗濯機や自動ディスペンサーでの使用に適している。
【0017】
被覆アルカリ剤の粒子径は、10~2000μmが好ましく、100~1500μmがより好ましく、200~1000μmがさらに好ましい。被覆アルカリ剤の粒子径が上記下限値以上であれば、溶解速度を制御しやすく、粒子外観の美麗さに優れる。被覆アルカリ剤の粒子径が上記上限値以下であれば、水に対する溶解速度が向上する。
一方で、被覆アルカリ剤の溶解速度制御等を必要としない場合、被覆アルカリ剤の粒子径は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
【0018】
なお、(A)成分の粒子径及び被覆アルカリ剤の粒子径は、粒度分布測定装置(例えばベックマン・コールター株式会社製、製品名「LS 13 320」)を用いた、レーザー回折散乱法によるによる体積基準のメディアン径である。粒子径の測定は、(A)成分又は被覆アルカリ剤をそのままの状態で測定する乾式でもよいし、(A)成分又は被覆アルカリ剤を溶媒に分散させて測定する湿式でもよい。
【0019】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して1~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤の流動性を良好に維持できる。
また、(A2)成分の割合は、(A)成分の総質量に対して、10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。
【0020】
<(B)成分>
(B)成分は酵素である。ここで、「酵素」とは、酵素製剤のことを意味する。
(B)成分は、液体洗浄剤の皮脂汚れ、タンパク汚れ、食べこぼし汚れに対する洗浄力を高まる成分である。
液体洗浄剤中で、(B)成分の少なくとも一部は固体状態で存在している。すなわち、(B)成分には液体洗浄剤に溶解しているものと、溶解せずに固体状態で存在しているものがあり、液体洗浄剤には溶解度を超えた量の(B)成分が含まれている。以下、本明細書において、(B)成分のうち液体洗浄剤に溶解している(B)成分を「(B1)成分」ともいい、液体洗浄剤中で固体状態で存在する(B)成分を「(B2)成分」ともいう。
液体洗浄剤中で、(B)成分の少なくとも一部が固体状態で存在していれば、酵素安定性が高まる。
(B)成分の全量を、そのまま液体洗浄剤中に配合してもよいし、(B)成分の全量のうち、溶解度を超えない量を液体洗浄剤中に配合して溶解させた後、残りの量を液体洗浄剤中に配合してもよい。
【0021】
(B)成分としては、固体(顆粒状)の酵素製剤が好ましい。また、液体の酵素製剤を併用してもよい。
液体の酵素製剤は(B1)成分に相当する。固体の酵素製剤のうち、液体洗浄剤に溶解している酵素製剤が(B1)成分に相当し、液体洗浄剤の溶解度を超えた量の酵素製剤が(B2)成分に相当する。
固体の酵素製剤の粒子径は、溶解性及び酵素安定性がより高まる観点から、100~1500μmが好ましく、150~1000μmがより好ましい。洗剤自動投入機能を備えた洗濯機や自動ディスペンサーでの使用を考慮した場合、固体の酵素製剤の粒子径は、350μm未満が好ましく、200μm以下がより好ましい。
固体の酵素製剤の粒子径は、(A)成分の粒子径等の測定方法と同様である。
【0022】
固体の酵素製剤の表面は、被覆剤で被覆されていてもよい。
また、固体の酵素製剤として、通常の造粒法に基づき、安定剤、フィラー、増量剤、増白剤、バインダー、被覆剤等との造粒物としたものを用いることもできる。また、2種以上の酵素の造粒に際しては、別々に造粒してもよいし、酵素を混合し、同一造粒物としてもよい。酵素の造粒方法としては特に制限されず、公知の方法を採用できる。
【0023】
酵素としては、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼなどが挙げられる。
プロテアーゼとしては、プロテアーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Savinase Evity 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L、Progress Uno 100L、Deozyme、Savinase Evity 12T、Kannase Evity 24T;デュポン社から入手できる商品名EFFECTENZ P150、EFFECTENZ P100、PREFERENZ P100などが挙げられる。
アミラーゼとしては、アミラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L、Amplify 12L、Amplify Prime 100L、Stainzyme Plus 12T;デュポン社から入手できる商品名EFFECTENZ S100;天野エンザイム株式会社から入手できる商品名プルラナーゼアマノ;生化学工業株式会社から入手できる商品名DB-250などが挙げられる。
リパーゼとしては、リパーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100L、Lipex 100Tなどが挙げられる。
セルラーゼとして、セルラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Endolase 5000L、Celluzyme 0.4L、Carezyme 4500L、Celluclean 4500T、デュポン社から入手できる商品名REVITALENTZ 2000などが挙げられる。
マンナナーゼとしては、マンナナーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L、Mannaway 4.0Tなどが挙げられる。
酵素が2種以上配合されたマルチ酵素としては、Medley Core 210L、Medley Core 200L、Medley Boost 300L、Medley Advance 200T、Medley Glow 200L、Medley Brilliant 100L、Medley Essential 150L、Medley Core 200T、Medley CleanR、Medley Essential 200T、Medley SmartR、Medley Advance 200T、Medley Boost 200L、Medley Boost 200T、Medley SuperioR 100Tなどが挙げられる。
酵素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0024】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1~5質量%が好ましく、0.3~3質量%がより好ましく、0.4~2.5質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲内であれば、洗浄力がより高まり、経済的にも有利となる。
また、(B2)成分の割合は、(B)成分の総質量に対して、30~90質量%が好ましく、40~85質量%がより好ましく、50~80質量%がさらに好ましい。
【0025】
<(C)成分>
(C)成分は界面活性剤である。
液体洗浄剤が界面活性剤を含んでいれば、洗浄力がより高まる。
界面活性剤としては、従来の液体洗浄剤に用いられる界面活性剤であれば特に制限されず、例えばノニオン界面活性剤、非石けん系アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
(C)成分として、1種の界面活性剤を用いてもよく、2種以上の界面活性剤を組み合わせてもよい。
洗浄力がより高まる観点から、(C)成分はノニオン界面活性剤及び非石けん系アニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
(C)成分として、ノニオン界面活性剤及び非石けん系アニオン界面活性剤と、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤の1つ以上を併用してもよい。
【0026】
ノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
ノニオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましく、その中でも特に、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)、下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)がより好ましく、化合物(1)がさらに好ましい。
【0027】
R11-O-[(EO)s/(A11O)t]-(EO)u-R12 ・・・(1)
(一般式(1)中、R11は炭素数8~22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。tはA11Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0028】
R11の炭化水素基における炭素数は8~22であり、10~18が好ましく、12~16がより好ましい。
R12としては、水素原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
uが0の場合、sは4~20が好ましく、5~16がより好ましく、6~10がさらに好ましい。tは0~4が好ましく、0~2がより好ましく、0がさらに好ましい。
uが1以上の場合、sは4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。tは1~4が好ましく、2~3がより好ましい。uは4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。
tが1以上である場合、[(EO)s/(A11O)t]において、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
【0029】
R13-X-[(EO)p/(A12O)q]-(EO)r-R14 ・・・(2)
(一般式(2)中、R13は炭素数7~21の炭化水素基である。-X-は、-COO-又は-CONH-である。R14は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。pはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A12はPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。qはA12Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。rはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0030】
R13の炭化水素基における炭素数は7~21であり、9~19が好ましく、11~17がより好ましい。
-X-としては、-COO-が好ましい。
R14としては、水素原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、炭素数1~2のアルキル基がより好ましい。
rが0の場合、pは6~22が好ましく、9~20がより好ましく、12~18がさらに好ましい。qは0~4が好ましく、0~2がより好ましく、0がさらに好ましい。
rが1以上の場合、pは4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。qは1~4が好ましく、2~3がより好ましい。rは4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。
qが1以上である場合、[(EO)p/(A12O)q]において、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
【0031】
ノニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して10~60質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。ノニオン界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。ノニオン界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、低温時の液体安定性が向上する。
【0032】
非石けん系アニオン界面活性剤としては、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
非石けん系アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
非石けん系アニオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
非石けん系アニオン界面活性剤としては、LAS、AOS、AS、AES、IOSが好ましく、なかでも、洗浄力がより高まる観点から、LAS、AES、IOSがより好ましい。液体洗浄剤は少なくともAESを含むことが好ましく、LASとAESの両方を含むことがより好ましい。
【0033】
ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)は、下記一般式(3)で表される。
R15-O-[(EO)m/(PO)n]-SO3
-M+ ・・・(3)
(一般式(3)中、R15は、炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。POはオキシプロピレン基である。mはEOの平均繰り返し数を表す0.1以上の数である。nはPOの平均繰り返し数を表す0~6の数である。[(EO)m/(PO)n]は、EOとPOの配列順に限定がないことを示し、M+は対カチオンである。)
【0034】
内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)は、下記一般式(4)で表されるアルケンスルホン酸(以下、「化合物(4)」ともいう。)と、下記一般式(5)で表されるヒドロキシアルカンスルホン酸(以下、「化合物(5)」ともいう。)との混合物である。内部オレフィンとは、二重結合が2位より内部に存在するオレフィンを表す。
【0035】
R16-CH=CH(CH2)xCH(SO3M)-R17 ・・・(4)
(式(4)中、R16はアルキル基であり、R17は炭素数1~5のアルキル基であり、炭素数の総数は8~24である。xは0~4の数であり、Mは対イオンを表す。)
【0036】
化合物(4)の炭素数は、8~24であり、10~20が好ましく、12~18がより好ましく、14~18がさらに好ましい。炭素数が上記下限値以上であれば、IOSの親油性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。炭素数が上記上限値以下であれば、IOSの親水性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。
【0037】
式(4)中のR16は、アルキル基を表す。R16の炭素数は、1~21が好ましく、3~17がより好ましく、7~15がさらに好ましい。
式(4)中のR17は、炭素数1~5のアルキル基を表す。R17の炭素数は、1~3が好ましい。
式(4)中のxは、0~4であり、0~2が好ましい。xが上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。xが上記上限値以下であれば、液安定性がより高まる。
式(4)中のMとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0038】
R18-CH(OH)(CH2)yCH(SO3M)-R19 ・・・(5)
(式(5)中、R18はアルキル基であり、R19は炭素数1~5のアルキル基であり、炭素数の総数は8~24である。yは0~4の数であり、Mは対イオンを表す。)
【0039】
化合物(5)は、化合物(4)のヒドロキシ体である。
化合物(5)の炭素数は、8~24であり、10~20が好ましく、12~18がより好ましく、14~18がさらに好ましい。炭素数が上記下限値以上であれば、IOSの親油性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。炭素数が上記上限値以下であれば、IOSの親水性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。
【0040】
式(5)中のR18は、アルキル基を表す。R18の炭素数は、2~22が好ましく、4~18がより好ましく、8~16がさらに好ましい。
式(5)中のR19は、炭素数1~5のアルキル基を表す。R19の炭素数は、1~3が好ましい。
式(5)中のyは、0~4であり、0~2が好ましい。yが上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。yが上記上限値以下であれば、液安定性がより高まる。
式(5)中のMとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0041】
IOSの内、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在するIOS((IO-1S)成分)と、スルホン酸基が5位以上に存在するIOS((IO-2S)成分)との質量比は((IO-2S)/(IO-1S)比)、0.3~5が好ましく、1~3がより好ましい。(IO-2S)/(IO-1S)比が上記下限値以上であれば、被洗浄物の滑り性がより高まる。(IO-2S)/(IO-1S)比が上記上限値以下であれば、液安定性がより高まる。
なお、(IO-1S)成分は、式(4)中のR17、式(5)中のR19の炭素数が1~3のIOSである。(IO-2S)成分は、式(4)中のR17、式(5)中のR19の炭素数が4以上のIOSである。
【0042】
IOSは、内部オレフィンをスルホン化して得られる。内部オレフィンの炭素数の総数は、8~24であり、10~20が好ましく、12~18がより好ましく、14~18がさらに好ましい。
内部オレフィンは、例えば、1-アルコールを脱水して得られた1-オレフィンを、異性化して得ることができる。内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、次いで、これらは中和加水分解工程において、化合物(4)と化合物(5)とへ転換する(例えば、J.Am.Oil Chem.Soc.69,39(1992))。ここで、得られる化合物(5)のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、化合物(4)の二重結合は、オレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、また、その一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するα-オレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称してIOSという。
【0043】
IOS100質量%に対し、化合物(5)の質量に対する化合物(4)の質量比、すなわち、化合物(4)/化合物(5)で表される質量比(化合物(4)/化合物(5)比)は、1/99~50/50が好ましく、1/99~30/70がより好ましく、5/95~20/80がさらに好ましく、10/90~15/85が特に好ましい。化合物(4)/化合物(5)比が上記下限値以上であれば、液安定性がより高まる。化合物(4)/化合物(5)比が上記上限値以下であれば、洗浄力がより高まる。
【0044】
非石けん系アニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して5~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。非石けん系アニオン界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。加えて、再汚染防止性が向上する。非石けん系アニオン界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、低温時の液体安定性が向上する。
【0045】
また、非石けん系アニオン界面活性剤の質量に対するノニオン界面活性剤の質量比、すなわち、ノニオン界面活性剤/非石けん系アニオン界面活性剤で表される質量比(ノニオン/アニオン比)は、0.25~3が好ましく、0.5~2がより好ましく、0.8~1.5がさらに好ましい。ノニオン/アニオン比が上記範囲内であれば、低温時の液体安定性が向上する。加えて、液体洗浄剤がゲル化しにくく、流動性をより良好に維持できる。
なお、液体洗浄剤が(C)成分として非石けん系アニオン界面活性剤を含有すると酵素安定性が低下する場合があるが、ノニオン/アニオン比が上記範囲であれば、酵素安定性を良好に維持できる。
【0046】
カチオン界面活性剤としては、例えばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等のテトラ短鎖(炭素数1~4のアルキル)アンモニウム塩;オクチルトリメチルアンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オクチルジメチルエチルアンモニウム塩、デシルジメチルエチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルエチルアンモニウム塩、テトラデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、セチルジメチルエチルアンモニウム塩、ステアリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクチルジエチルメチルアンモニウム塩、デシルジエチルメチルアンモニウム塩、ドデシルジエチルメチルアンモニウム塩、テトラデシルジエチルメチルアンモニウム塩、セチルジエチルメチルアンモニウム塩、ステアリルジエチルメチルアンモニウム塩等の長鎖(炭素数8~18のアルキル)トリ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩;ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩、N,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、ジテトラデシルジメチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジオクチルメチルエチルアンモニウム塩、ジデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジドデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジテトラデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジセチルメチルエチルアンモニウム塩、ジステアリルメチルエチルアンモニウム塩等のジ長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩;ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム等の長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)ヒドロキシアルキル(炭素数1又は2)アンモニウム塩;[3(トリメトキシシリル)]プロピル(ジメチル)オクタデシルアンモニウム塩等のトリアルコキシシリルアルキル基(炭素数4~10)を有するジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)長鎖(炭素数8~18のアルキル)アンモニウム塩;アミンナイトレート;ベンジルトリメチルアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
カチオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0047】
カチオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1~5質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましい。カチオン界面活性剤の含有量が上記範囲内であれば、衣類の柔軟性付与や抗菌性、防臭効果を高めることができる。
【0048】
両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
両性界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0049】
半極性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
半極性界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0050】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して15~80質量%が好ましく、25~75質量%がより好ましく、35~65質量%がさらに好ましく、45~55質量%が特に好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤がゲル化しにくく、流動性をより良好に維持できる。特に、開放系で液体洗浄剤を放置しても、液体洗浄剤がゲル化するのをより抑制できる。
【0051】
<(D)成分>
(D)成分は、構造化剤である。
液体洗浄剤が(D)成分を含むことで液体洗浄剤が構造化する。よって、液体洗浄剤が不溶粒子(例えば上述した(A2)成分や(B2)成分)を含有する場合、不溶粒子の分散安定性を高め、液体洗浄剤中に不溶粒子を均一に分散でき、その状態を良好に維持できる。
なお、本明細書において「構造化」とは、力が加わる前後において、粘度が変化する状態をいう。
【0052】
構造化剤としては、例えば細菌セルロース、非細菌セルロース、下記化合物(6)などが挙げられる。
構造化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0053】
細菌セルロースは、Acetobacter属の細菌の発酵によって生成されたセルロースである。
細菌セルロースとしては、水に不溶性である繊維が網状に分枝し、相互に噛み合ってネットワークを形成している、いわゆる網目状細菌セルロースなどが挙げられる。
【0054】
細菌セルロースの少なくとも一部は、増粘剤で被覆あるいは混合されていてもよい。
増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、変性CMC、キサンタン生成物、ペクチン、アルギン酸塩、ジェランガム、ウェランガム、ダイユータンガム、ラムサンガム、カラゲナン、グアーガム、寒天、アラビアゴム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントゴム、タマリンドガム、ローカストビーンガムなどが挙げられる。
増粘剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0055】
細菌セルロースとしては市販品を用いることでき、例えばCPKelco U.S.社製の商品名「CELLULON(登録商標)」などが挙げられる。
【0056】
非細菌セルロースは、野菜、果物、木材から得られるセルロースであり、セルロース繊維とも呼ばれる。
【0057】
非細菌セルロースとしては市販品を用いることでき、例えばFMC社製の商品名「Avicel(登録商標)」、Fiberstar社製の商品名「Citri-Fi」、Cosun社製の商品名「Betafib」などが挙げられる。
【0058】
化合物(6)は、下記一般式(6)で表される化合物(トリグリセリド成分)である。
【0059】
【0060】
式(6)中、Z1~Z3はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、又はカルボキシ基である。Z1~Z3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(6)中、a+b=7~19、c+d=7~19、及びe+f=7~19であり、好ましくはa+b=11~15、c+d=11~15、及びe+f=11~15であり、より好ましくはa+b=13~15、c+d=13~15、及びe+f=13~15である。a+b、c+d、e+fがそれぞれ7以上であれば、疎水基部分の体積が十分に嵩高くなり、塗布洗浄力が高くなる。一方、a+b、c+d、及びe+fがそれぞれ19以下であれば、疎水基部分の体積が嵩高くなることの固化性のリスクが低減する。
【0061】
化合物(6)としては、Z1~Z3がヒドロキシ基である化合物(6-1)、Z1~Z3が水素原子である化合物(6-2)等が挙げられる。
化合物(6-1)としては特に硬化ヒマシ油が好ましく、また化合物(6-2)としては特に硬化パーム油が好ましい。
硬化ヒマシ油としては、ヒドロキシル基を組み込む炭素数10~22アルキル又はアルケニル部分を含むグリセリド、特にトリグリセリドを挙げることができ、具体的には、トリヒドロキシステアリン、ジヒドロキシステアリンなどが挙げられる。
硬化ヒマシ油は、ヒマシ油を水素化して、出発油中にリシノレイル部分として存在し得る二重結合を変換することで得られる。二重結合の変換により、リシノレイル部分は、飽和ヒドロキシアルキル部分、例えば、ヒドロキシステアリルに変換される。
硬化ヒマシ油は、固形の状態、溶融物の状態、又はこれらの混合物の状態で用いることができるが、これらに限定されない任意の好適な出発形態で加工することができる。
【0062】
硬化ヒマシ油としては市販品を用いることでき、例えばRheox,Inc.製の商品名「THIXCIN(登録商標)」、日油株式会社製の商品名「カスターワックス A フレーク」などが挙げられる。
硬化パーム油としては市販品を用いることでき、例えば新日本理化株式会社製の商品名「パーム極度硬化油A」などが挙げられる。
【0063】
(D)成分としては、(A2)成分や(B2)成分等の不溶粒子の分散安定性を高める効果を少量でも充分に発揮できること、透明性の高い液体外観が得やすいことから、細菌セルロース、非細菌セルロースが好ましく、細菌セルロースがより好ましい。
【0064】
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.02~2質量%が好ましく、0.04~1.7質量%がより好ましく、0.05~1.5質量%がさらに好ましい。
また、例えば(D)成分として、市販品である「CELLULON(登録商標)」等の細菌セルロース製剤を使用する場合、(D)成分の含有量は商品の有り姿(有姿)の含有量として、液体洗浄剤の総質量に対して1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましく、2.5~7質量%がさらに好ましい。
(D)成分の含有量が上記下限値以上であれば、(A2)成分や(B2)成分等の不溶粒子の分散安定性がより高まる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤の粘度がより低くなり、使用性や保存安定性がより高まる。
【0065】
<水>
水としては、精製水、イオン交換水、蒸留水、水道水などを使用することができる。
水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して7質量%超、30質量%未満であり、10~29質量%が好ましく、15~28質量%がより好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、酵素安定性が向上する。水の含有量が上記上限値以下であれば、酵素の外観安定性が向上する。
【0066】
水の質量に対する(C)成分の質量比、すなわち、(C)成分/水で表される質量比(C/水比)は、1~5が好ましく、1.5~4がより好ましく、1.5~3がさらに好ましい。C/水比が上記範囲内であれば、液体洗浄剤の流動性を良好に維持できる。加えて、酵素の外観安定性、酵素安定性(残存活性)もより良好となる。
【0067】
<任意成分>
任意成分としては、水混和性有機溶剤、(A)成分以外のビルダー成分、キレート剤、pH調整剤、減粘剤及び可溶化剤、抗菌剤、(D)成分以外の増粘剤、高級脂肪酸又はその塩、防腐剤、酸化防止剤、無機還元剤、酵素安定化剤、風合い向上剤、蛍光増白剤、移染防止剤、再汚染防止剤、着色剤、乳濁化剤、変色防止剤、ハイドロトロープ剤、漂白剤、蛍光剤、パール剤、着香剤、天然物等のエキスなどが挙げられる。
任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0068】
水混和性有機溶剤は、25℃の水1Lに25g以上溶解する有機溶剤をいう。
水混和性有機溶剤としては、例えばエタノール、グリセリン、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(ソルフィット、商品名)等のアルコール類;プロピレングリコール(PG)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量約200~1000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などが挙げられる。これらの中でも、臭気の少なさ、入手のしやすさ、液体洗浄剤の流動性の観点等から、エタノール、グリセリン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピレングリコール、分子量約200~1000のポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)が好ましく、エタノール、グリセリン、プロピレングリコールがより好ましい。
水混和性有機溶剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよく、酵素の安定性(残存活性)、外観安定性、液体洗浄剤の流動性の観点からプロピレングリコールとグリセリンとを併用することが好ましい。
水混和性有機溶剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して5~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。
【0069】
水と水混和性有機溶剤の含有量の合計は、液体洗浄剤の総質量に対して15~60質量%が好ましく、25~50質量%がより好ましく、30~40質量%がさらに好ましい。水と水混和性有機溶剤の含有量の合計が上記範囲内であれば、洗浄力を確保するのに充分な量の(C)成分を含有する液体洗浄剤組成であっても、流動性に優れる。
水混和性有機溶剤の質量に対する水の質量比、すなわち、水/水混和性有機溶剤で表される質量比(水/有機溶剤比)は、0.2~3が好ましく、0.8~2.5がより好ましい。水/有機溶剤比が上記範囲内であれば、酵素の外観安定性がより向上する。加えて、液体洗浄剤の流動性に優れる。
【0070】
(A)成分以外のビルダー成分(以下、「他のビルダー成分」ともいう。)としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルミノケイ酸塩(例えばゼオライト等)などが挙げられる。
他のビルダー成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他のビルダー成分は、液体洗浄剤に溶けていてもよいし、固体の状態で存在してもよい。
他のビルダー成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して20質量%以下が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0071】
キレート剤としては、例えば3~4価のカルボン酸基又はその塩を有するキレート剤が好ましい。その具体例としては、クエン酸又はその塩、アミノカルボン酸系キレート剤又はその塩が挙げられる。アミノカルボン酸とは、1分子中に1~3級のアミノ基と、カルボキシル基とを、それぞれ少なくとも1個ずつ含む化合物をいい、アミノカルボン酸系キレート剤とはアミノカルボン酸であるキレート剤をいう。
アミノカルボン酸系キレート剤は、洗浄剤の分野で公知のものを使用できる。具体例としては、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、メチルグリシンジ酢酸塩、L-グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、L-グルタミン酸ジ酢酸塩、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ジエチレントリアミン5酢酸塩、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、エチレンジアミンコハク酸塩、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸塩、L-アスパラギン酸-N,N-2酢酸(ASDA)、L-アスパラギン酸-N,N-2酢酸塩などが挙げられる。これらの中でも、クエン酸又はその塩、MGDA又はその塩が好ましく、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウムがより好ましい。
キレート剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
キレート剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。0.1質量%以上がさらに好ましい。キレート剤の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力向上効果、保存安定性の向上効果、変色防止効果が充分に得られやすい。
【0072】
pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物:アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸:アンモニア;硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸等の酸剤などが挙げられる。これらの中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパツールアミン、水酸化ナトリウム、硫酸、塩酸が好ましい。
pH調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
pH調整剤の添加量は、液体洗浄剤を所定のpHに調整する量を適宜設定すればよい。
【0073】
減粘剤及び可溶化剤としては、例えば芳香族スルホン酸又はその塩が挙げられる。具体的には、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸又はこれらの塩が挙げられる。芳香族スルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、又はアルカノールアミン塩などが挙げられる。
減粘剤及び可溶化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
減粘剤及び可溶化剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1~15質量%が好ましい。
【0074】
抗菌剤としては、例えばダイクロサン、トリクロサンなどが挙げられる。
抗菌剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
抗菌剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.001~10質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましく、0.03~2質量%がさらに好ましい。
【0075】
(D)成分以外の増粘剤(以下「他の増粘剤」ともいう。)としては、例えばアクリル系ポリマー、キサンタンガム、ガラギーナンなどが挙げられる。
アクリル系ポリマーの市販品としては、例えばLubrizol社製のCarbopol(登録商標)シリーズ等が挙げられる。Carbopolシリーズとしては、例えばCarbopol ETD 2623、Carbopol EZ3、Carbopol EZ4、Carbopol Ultrez20、Carbopol Ultrez21、Carbopol Aqua 30などが挙げられる。
他の増粘剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他の増粘剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して6質量%以下が好ましく、0.2~4質量%がより好ましい。
【0076】
液体洗浄剤が高級脂肪酸又はその塩を含有していれば、消泡性が高まる。なお、「消泡性」とは、液体洗浄剤を用いて洗濯する際、具体的には液体洗浄剤が水道水等で希釈されて使用されるときの泡立ちを抑える性質のことである。
高級脂肪酸又はその塩としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の単一脂肪酸又はその塩;ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸又はその塩などが挙げられる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヤシ油脂肪酸が好ましく、ヤシ油脂肪酸がより好ましい。
高級脂肪酸の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
高級脂肪酸又はその塩は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
高級脂肪酸又はその塩の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.5~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましく、3~5質量%がさらに好ましい。高級脂肪酸又はその塩の含有量が上記下限値以上であれば、消泡性が高まる。高級脂肪酸又はその塩の含有量が上記上限値以下であれば、低温時の液体安定性が向上する。
【0077】
防腐剤としては、例えば2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、3-ヨードプロピニルブチルカーバメート、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)、5-クロロ-2-メチルイソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチルイソチアゾリン-3-オン(MIT)、エトキシル化ココアミン、オクタンジオール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
防腐剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
防腐剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.001~2質量%が好ましい。
【0078】
液体洗浄剤が酸化防止剤を含有していれば、液体洗浄剤を収容する容器のヘッドスペース中の酸素の吸収を抑制できる。加えて、光や熱による退色、変色を抑制できる。
酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等のモノフェノール系酸化防止剤;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等のビスフェノール系酸化防止剤;dl-α-トコフェロール等の高分子型フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらの中でも、モノフェノール系酸化防止剤、高分子型酸化防止剤が好ましい。モノフェノール系酸化防止剤の中では、ジブチルヒドロキシトルエンが特に好ましい。高分子型フェノール系酸化防止剤の中では、dl-α-トコフェロールが特に好ましい。
酸化防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
酸化防止剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01~2質量%が好ましい。
【0079】
液体洗浄剤が無機還元剤を含有していれば、光や熱による退色、変色を抑制できる。
無機還元剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸水素塩などが挙げられる。これらの中でも、保存安定性に優れる観点から、亜硫酸ナトリウムが好ましい。
無機還元剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
無機還元剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01~3質量%が好ましく、0.02~1質量%がより好ましく、0.05~0.5質量%がさらに好ましい。無機還元剤の含有量が、上記下限値以上であれば光による着色を抑える効果が充分に得られやすく、上記上限値以下であれば保存安定性が高まる。
【0080】
酵素安定化剤としては、例えばホウ酸、ホウ砂、ギ酸又はその塩、乳酸又はその塩、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類などが挙げられる。
酵素安定化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
酵素安定化剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して2質量%以下が好ましい。
【0081】
風合い向上剤としては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンなどが挙げられる。
風合い向上剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
風合い向上剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して5質量%以下が好ましい。
【0082】
蛍光増白剤としては、例えばジスチリルビフェニル型の蛍光増白剤などが挙げられる。
蛍光増白剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
蛍光増白剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して1質量%以下が好ましい。
【0083】
移染防止剤としては、例えばポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアルキレンアミンなどが挙げられる。
移染防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
移染防止剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して3質量%以下が好ましい。
【0084】
再汚染防止剤としては、例えばアルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも一種の繰り返し単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも一種の繰り返し単位とを有する水溶性ポリマーなどが挙げられる。このような水溶性ポリマーとしては、具体的に、商品名「TexCare SRN-100」(クラリアント社製、質量平均分子量2000~3000)、商品名「TexCare SRN-300」(クラリアント社製、質量平均分子量7000)、商品名「Repel-O-Tex Crystal」(ローディア社製)、商品名「Repel-O-Tex QC」(ローディア社製)などが挙げられる。これらの中でも、水への溶解性が高く、保存安定性にも優れる点から、TexCare SRN-100が好ましい。また、取り扱い性に優れる点から、前記TexCare SRN-100の70%水溶液として市販されている商品名TexCare SRN-170(クラリアント社製)を再汚染防止剤として用いることが好ましい。
再汚染防止剤としては、上述した以外にも、例えばポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体などを用いることができ、具体的には、商品名「Sokalan HP20」(BASF社製)などが挙げられる。
再汚染防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
再汚染防止剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0085】
着色剤としては特に限定されず、例えば「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連合会)に記載の色素や、発色団の構造の末端に水溶性高分子等を化学的に修飾したものなどが挙げられる。具体的には、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド260、C.I.アシッドレッド106、アシッドイエロー203(黄色203号)、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、Levanyl(登録商標) Violet(Levanyl(登録商標) バイオレット)、Liquitint(登録商標) BLUE SE(Liquitint(登録商標) ブルー SE)、Liquitint(登録商標) BLUE HP(Liquitint(登録商標) ブルー HP)、Liquitint(登録商標)BLUE MC(Liquitint(登録商標) ブルー MC)、Liquitint(登録商標) VIOLET CT(Liquitint(登録商標) バイオレット CT)、Liquitint(登録商標) VIOLET LS(Liquitint(登録商標) バイオレット LS)、Liquitint(登録商標) VIOLET DD(Liquitint(登録商標) バイオレット DD)、Liquitint(登録商標) GREEN SA(Liquitint(登録商標) グリーン SA)、Liquitint(登録商標) Bright Yellow(Liquitint(登録商標) ブライト イエロー)、Liquitint(登録商標)YELLOW SY(Liquitint(登録商標) イエロー SY)、Liquitint(登録商標)YELLOW LP(Liquitint(登録商標) イエロー LP)、Liquitint(登録商標)BRILLIANT ORANGE(Liquitint(登録商標)ブリリアント オレンジ)、Liquitint(登録商標) PINK AL(Liquitint(登録商標) ピンク AL)、Liquitint(登録商標) RED ST(Liquitint(登録商標) レッド ST)、Liquitint(登録商標) RED MX(Liquitint(登録商標) レッド MX)L-280 BLUE U、WA-S カラー グリーン、ラブラコール 040(F)レッド、PIGMOSOL(登録商標)等の汎用の色素や顔料などが挙げられる。なお、本明細書において、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
着色剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
着色剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.00005~1.0質量%が好ましく、0.00005~0.01質量%がより好ましい。着色剤の含有量が、上記下限値以上であれば液体洗浄剤に充分に色を付けることができ、上記上限値以下であれば被洗物への色素沈着が起こりにくく、分散安定性に優れる液体洗浄剤が得られやすくなる。
【0086】
乳濁化剤としては、例えばポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルションなどが挙げられ、通常、固形分30~50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(商品名:サイビノール(登録商標)RPX-196 PE-3、固形分40質量%、サイデン化学株式会社製)、Opulyn 301、Acusol OP 301などが挙げられる。
乳濁化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
乳濁化剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.001~0.5質量%が好ましい。
【0087】
着香剤としては、例えば1996年化学工業日報社刊、印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」;1969年MONTCLAIR,N.J.刊、STEFFEN ARCTANDER著「Perfume and Flavor Chemicals」等に記載のものが挙げられる。より具体的には、合成香料、動物もしくは植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料や、例えば特開2002-146399号公報に記載の香料成分などが挙げられる。
着香剤は、高分子化合物で形成されたカプセルに内包されたカプセル香料として、配合されてもよい。
着香剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
着香剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01~2質量%が好ましい。
【0088】
<物性>
(pH)
液体洗浄剤の25℃におけるpHは8.5以上であり、8.5~11が好ましく、8.5~10.5がより好ましく、8.5~10がさらに好ましい。液体洗浄剤のpHが上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。液体洗浄剤のpHが上記上限値以下であれば、衣類等の繊維製品に対するダメージを防止できる。
液体洗浄剤のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
液体洗浄剤のpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、製品名「HM-30G」)により測定される値である。
【0089】
<製造方法>
液体洗浄剤の製造方法は特に制限されるものではなく、液体洗浄剤は常法に準じて製造することができる。
例えば、液体洗浄剤は、上述した(A)成分と、(B)成分と、水と、必要に応じて(C)成分、(D)成分及びpH調整剤以外の任意成分の1つ以上とを混合することで製造できる。
【0090】
液体洗浄剤が水混和性有機溶剤を含む場合、水混和性有機溶剤で液体洗浄剤の総質量が100質量%となるように調整することが好ましい。
以下に、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分と水と水混和性有機溶剤とを含有する液体洗浄剤の製造方法の一例について説明する。
まず、(C)成分と、水と、水混和性有機溶剤の一部と、必要に応じてpH調整剤以外の任意成分とを混合し、必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpH、好ましくはpHが6.5~7.5になるように調整する。次いで、(D)成分を加えて混合する。次いで、(A)成分と(B)成分とを加えて混合した後、残りの水混和性有機溶剤を加えて混合し、液体洗浄剤を得る。
【0091】
<使用方法>
液体洗浄剤の使用方法としては、例えば液体洗浄剤を洗濯機の液体洗浄剤の投入口に入れてから洗濯機を稼働させる方法、液体洗浄剤を洗濯時に被洗物と一緒に水に投入する方法、液体洗浄剤を予め水に溶解して調製される洗浄液に被洗物を浸漬する方法、液体洗浄剤を被洗物に直接塗布して、例えば3分~24時間放置し、その後、通常の洗濯を行う方法等が挙げられる。
【0092】
また、近年実用化された洗剤自動投入装置を備えた洗濯機を使用することも好ましい。洗剤自動投入装置は、液体洗浄剤を収容したタンクから、タンクの底に設けられたゴミ取り用のフィルター、及び投入用配管を経由して、自動的に洗濯槽に液体洗浄剤を投入する装置である。投入用配管の途中には、シリンジポンプ等の計量手段が設けられており、洗濯物の量等に応じて設定された一定量を、タンクから洗濯槽へと移送できるようになっている。
洗剤自動投入装置を利用すれば、計量の手間が省けるだけでなく、計量時に液体洗浄剤が手に付着したり、こぼれて洗濯機や周囲を汚してしまったりすることを回避できる。
【0093】
また、自動で所定の量の液体を吐出できる自動ディスペンサーを使用することも好ましい。自動ディスペンサーを使用する場合も、少量の液体洗浄剤でも正確に計量することができるため、充分な洗浄力を発揮しやすく、使いすぎによる無駄も回避できるので好ましい。
自動ディスペンサーの中には、赤外線センサなどを利用して、スイッチ等に触れなくとも自動的に吐出するものも市販されている。このような自動ディスペンサーを使用すれば、片手に保持した容器を差し出すだけで液体洗浄剤を計量することができ、使用者の負担軽減効果が大きい。
【0094】
また、自動ディスペンサーを使用する場合、軟質容器に吐出された液体洗浄剤を受け、その軟質容器をそのまま洗濯機に投入することも好ましい。これにより、吐出された液体洗浄剤の全量を、確実に洗浄液中に溶解させることができる。
そのまま洗濯機に投入可能な軟質容器の材質としては、例えば、シリコ-ン樹脂、ポリ塩化ビニル、エラストマー、軟質ポリエステル、軟質ポリプロピレン、ポリウレタン等が挙げられる。
【0095】
被洗物の例としては、例えば衣類(衣料)、布巾、タオル類、シーツ、カーテン等の繊維製品などが挙げられる。繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維などのいずれでもよい。
液体洗浄剤を水に溶解して使用する場合、例えば5~6000倍(体積基準)に希釈することが好ましい。
衣類量あたりの水量である浴比(洗濯時の洗浄液の質量/衣類の質量)は、ドラム型洗濯機であれば5以上、縦型洗濯機であれば10以上が好ましい。
液体洗浄剤は、繊維製品用の洗浄剤として好適である。特に、液体洗浄剤が被覆されていない(A)成分を含有し、その(A)成分の粒子径が200μm未満、より好ましくは100μm未満であり、(B)成分の粒子径が350μm未満、より好ましくは200μm以下であれば、洗剤自動投入機能を備えた洗濯機や自動ディスペンサーでの使用に適している。
【0096】
<作用効果>
以上説明した本発明の液体洗浄剤は、(A)成分と(B)成分とを含有するので、洗浄力が高い。
また、本発明の液体洗浄剤は、(B)成分の少なくとも一部が固体状態で存在しており、かつ、水の含有量が7質量%超、30質量%未満であるため、アルカリ性、具体的にはpHが8.5以上でありながら酵素安定性に優れる。しかも、固体状態で存在する(B)成分は、液体洗浄剤中で崩壊したり溶解したりしにくく、酵素の外観安定性にも優れる。
なお、液体洗浄剤を洗濯に使用するときには、液体洗浄剤が水により希釈されるので、固体状態で存在する(B)成分が洗濯液中に徐々に溶けて、(B)成分の周辺の濃度が濃くなり、汚れや繊維製品に対して高濃度に作用し、高い洗浄力を発揮できる。
【0097】
さらに、液体洗浄剤中で、(A)成分の少なくとも一部が固体状態で存在していれば、液体洗浄剤には、溶解度を超えた量の(A)成分が含まれていることになり、洗浄力がより高まる。
なお、液体洗浄剤を洗濯に使用するときには、液体洗浄剤が水により希釈されるので、固体状態で存在する(A)成分が洗濯液中に徐々に溶けて、(A)成分の周辺の濃度が濃くなり、汚れや繊維製品に対して高濃度に作用し、高い洗浄力を発揮できる。
【実施例0098】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0099】
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:炭酸ナトリウム(ソーダアッシュジャパン株式会社製、商品名「粒灰」)。
・A-2:メタ珪酸ナトリウム(メタ珪酸ソーダ無水、日本化学工業株式会社製)。
【0100】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:プロテアーゼ製剤(ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「Savinase Evity 12T」、緑色に着色された酵素顆粒製剤)。
・B-2:酵素が2種以上配合されたマルチ酵素(ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「Medley Core 200T」、赤色に着色された酵素顆粒製剤)。
・B-3:酵素が2種以上配合されたマルチ酵素(ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「Medley Boost 200T」、青色に着色された酵素顆粒製剤)。
【0101】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「レオックスCL-70」、一般式(1)中、R11が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり(質量比でC12:C14=75:25)、酸素原子に結合するR11の炭素原子は第一級炭素原子であり、R12が水素原子であり、sが7であり、tが0であり、uが0である化合物(1))。
・C-2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ライオンケミカル株式会社製、商品名「LMAO-90」、一般式(1)中、R11が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり(質量比でC12:C14=75:25)、酸素原子に結合するR11の炭素原子は第一級炭素原子であり、R12が水素原子であり、sが15であり、tが0であり、uが0である化合物(1))。
・C-3:炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ライポン(登録商標)LH-200」)。
・C-4:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(一般式(3)中、R15が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり(質量比でC12:C14=75:25)、mが1であり、nが0であり、Mがナトリウムであり、AES全体に対するmが0かつnが0である化合物の割合が43質量%である化合物(3)。下記合成方法により合成されたもの。)。
・C-5:IOS。下記合成方法により合成された内部オレフィンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシ体の含有量は85質量%。下記合成方法により合成されたもの。
【0102】
(C-4の合成)
容量4Lのオートクレーブ中に、原料アルコールとしてプロクター・アンド・ギャンブル社製の商品名CO1270アルコール(炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの質量比75/25の混合物)400gと、反応用触媒として水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、該オートクレーブ内を窒素で置換した後、攪拌しながら昇温した。
続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しながらエチレンオキシド91gを導入し、反応させることによりアルコールエトキシレートを得た。
ガスクロマトグラフ:Hewlett-Packard社製のGC-5890と、検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)と、カラム:Ultra-1(HP社製、L25m×φ0.2mm×T0.11μm)と、を用いて分析した結果、得られたアルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの平均付加モル数が1.0であった。また、エチレンオキシドが付加していない化合物(最終的に成分(b-0)となるもの)の量が得られたアルコールエトキシレート全体に対して43質量%であった。
次に、上記で得たアルコールエトキシレート237gを、攪拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素で置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりC-4を得た。
【0103】
(C-5の合成)
二重結合が2位に存在する割合の合計が26質量%であり、かつシス体/トランス体の質量比が27/73であり、パラフィン成分を2.0質量%含む内部オレフィン混合物を内部オレフィンとして用いた。この内部オレフィンは、C14以下が3質量%、C15が33質量%、C16が39質量%、C17が24質量%、C18以上が1質量%からなる内部オレフィン混合物である。この内部オレフィン混合物を用い、内径6mmφ、長さ1.2mのガラス製薄膜式スルホン化装置を使用して、窒素で希釈したSO3ガス(SO3濃度:5体積%)により、反応器温度10℃、SO3/内部オレフィンのモル比1.1の条件下で、常法通りスルホン化反応を行い、内部オレフィンスルホン酸を得た。得られた反応生成物である内部オレフィンスルホン酸を5℃で1時間熟成し、次いで、1.11倍モル(対内部オレフィンスルホン酸)の15%水酸化ナトリウム水溶液を加え、30℃で30分間攪拌して中和反応を行い、中和生成物を得た。その後、この中和生成物をオートクレーブ中で、160℃で40分間加熱し、加水分解してC-5を得た。
【0104】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:細菌セルロース(CPKelco U.S.社製、商品名「CELLULON(登録商標) R27」、水分量80質量%)。
なお、D-1の水分量は、自動水分測定装置(平沼産業株式会社製、製品名「AQUACOUNTER AQV-2200」)を用いて測定した。
【0105】
水及び任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・水:イオン交換水。
・モノエタノールアミン:株式会社日本触媒製、商品名「モノエタノールアミン」。
・エタノール:日本アルコール販売株式会社製、商品名「特定アルコール95度合成」。
・グリセリン:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名「グリセリン」。
・プロピレングリコール:ダウ・ケミカル社製、商品名「プロピレングリコール」。
・ヤシ脂肪酸:日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」。
・クエン酸3Na・2H2O:一方社油脂工業株式会社製、商品名「液体クエン酸」。
・ダイクロサン:BASF株式会社製、商品名「Tinosan HP100」。
・亜硫酸Na:三井化学株式会社製、商品名「亜硫酸ナトリウム」。
・香料:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
・色素:癸巳化成株式会社製、商品名「緑色3号」。
【0106】
「測定・評価方法」
(酵素の外観安定性の評価)
透明のガラス瓶(ねじ口瓶、S-5)に、各例の液体洗浄剤10gを充填し、蓋を閉めて密封した状態で50℃の恒温槽内に4週間保存した。保存後の液体洗浄剤を撹拌し、液体洗浄剤中の酵素顆粒製剤((B)成分)の外観を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、酵素の外観安定性を評価した。◎、○を合格とした。
《評価基準》
◎:保存前と比較して、酵素顆粒製剤の外観はほぼ変化していない。
○:保存前と比較して、酵素顆粒製剤の一部がわずかに崩壊あるいは溶出している。
×:保存前と比較して、酵素顆粒製剤全体が崩壊あるいは溶出している。
【0107】
(酵素安定性の評価)
透明のガラス瓶(ねじ口瓶、S-5)に、各例の液体洗浄剤10gを充填し、蓋を閉めて密封した状態で37℃及び-5℃でそれぞれ4週間保存した。37℃で4週間保存した液体洗浄剤(37℃保存品)及び-5℃で4週間保存した液体洗浄剤(-5℃保存品)について、以下に示すプロテアーゼ活性の測定を行った。
【0108】
ミルクカゼイン(Casein、Bovine Milk、Carbohydrate and Fatty AcId Free/Calbiochem(登録商標))を1N水酸化ナトリウム(1mol/L水酸化ナトリウム溶液(1N)、関東化学株式会社製)に溶解し、pHを10.5とし、0.05Mホウ酸(ホウ酸(特級)、関東化学株式会社製)水溶液でミルクカゼインの濃度が0.6%になるよう希釈し、プロテアーゼ基質とした。
また、各例の37℃保存品と-5℃保存品の各々10gを、塩化カルシウム(塩化カルシウム(特級)、関東化学株式会社製)3°DH硬水で1000mLにメスアップした後、希釈溶液から60mLを測り取り、さらに100mLにメスアップした溶液をサンプル溶液とした。
【0109】
サンプル溶液1gに上記プロテアーゼ基質5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した後、37℃、30分間静置して酵素反応を進めた。その後、前記溶液に酵素反応停止剤であるTCA(トリクロロ酢酸(特級)、関東化学株式会社製)の0.44M水溶液5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した。その後、得られた溶液を37℃、30分間静置して、析出する未反応基質を0.45μmフィルターで除去し、ろ液を回収した。
回収したろ液の波長275nmにおける吸光度(吸光度A)を、株式会社島津製作所製の紫外可視分光光度計UV-160(製品名)を用いて測定した。
【0110】
目的成分以外の吸収の影響を除くため、別途、各サンプル溶液1gに酵素反応停止剤であるTCA5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した後、プロテアーゼ基質を5g添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌し、得られた溶液を37℃、30分間静置した。その後、不溶成分を0.45μmフィルターで除去してろ液を回収した。その後、前記ろ液の波長275nmの吸光度(吸光度B)を、UV-160を用いて測定した。
吸光度Aと吸光度Bの差が大きいほど、ろ液中に存在するチロシン(プロテアーゼがプロテアーゼ基質を分解することにより産生)の量が多かったことを意味する。
【0111】
上記のプロテアーゼ活性の測定結果から、下式(i)により、プロテアーゼ活性残存率(%)を求めた。
なお、下式(i)に代入した各ろ液の275nmにおける吸光度の値は、気泡等の散乱光を吸光度から除外するため、同時に測定した600nmの吸光度値を差し引いて用いた。
プロテアーゼ活性残存率={(37℃保存品の吸光度A)-(37℃保存品の吸光度B)}/{(-5℃保存品の吸光度A)-(-5℃保存品の吸光度B)}×100 ・・・(i)
【0112】
かかるプロテアーゼ活性残存率(%)を指標として、下記評価基準に基づいて、酵素安定性を評価した。◎、○を合格とした。
《評価基準》
◎:プロテアーゼ活性残存率が75%以上。
○:プロテアーゼ活性残存率が55%以上75%未満。
×:プロテアーゼ活性残存率が55%未満。
【0113】
(洗浄力の評価)
市販タンパク汚垢布(Swissatest社製 製品名「EMPA117」)を5cm×5cmに裁断したものを汚染布とした。
洗浄試験器として、Terg-O-Tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。
洗浄液として、水道水(15℃、5゜DH)900mLに対して、各例の液体洗浄剤組成物を333質量ppmになる様に加え、30秒間撹拌して調製したものを用いた。
【0114】
洗浄試験器に、洗浄液と、上記の汚染布10枚と、洗浄メリヤス布とを投入し、浴比(洗濯水/被洗物総質量)20倍に合わせて、120rpm、15℃で10分間洗浄した。その後、二槽式洗濯機(三菱電機株式会社製、製品名「CW-C30A1-H1」)に移し、1分間脱水後、水30L中で3分間濯ぎ、風乾した。
未汚れ布、および洗浄前後の汚染布について、それぞれ反射率を色差計(日本電色工業株式会社製、製品名「SE7700型」)で測定し、下記式(ii)により洗浄率(%)を求めた。
洗浄率(%)=(洗浄前の汚染布のK/S-洗浄後の汚染布のK/S)/(洗浄前の汚染布のK/S-未汚れ布のK/S)×100 ・・・(ii)
式(ii)中、「K/S」は、(1-R/100)2/(2R/100)で求められる値(ただし、Rは、未汚れ布及び洗浄前後の汚染布の反射率(%)を示す。)である。
また、未汚れ布とは、汚れを付着させていない元の白布(原布)を意味し、原布のRは80とした。
【0115】
汚染布10枚について洗浄率(%)を算出し、その平均値を用いて、下記評価基準に基づいて、皮脂汚れに対する洗浄力を評価した。
《評価基準》
◎:洗浄率(平均値)が60%以上。
○:洗浄率(平均値)が55%以上60%未満。
×:洗浄率(平均値)が55%未満。
【0116】
「実施例1~12、比較例1~3」
500mLのビーカーに、表1、2の配合組成に従い、(C)成分と、イオン交換水と、グリセリンの一部と、pH調整剤及びグリセリン以外の任意成分とを投入し、スリーワンモーター撹拌機(アズワン株式会社製)で充分に攪拌し、混合物を得た。この時点で、混合物の25℃におけるpHが7であることを確認した。なお、混合物の調製に用いたイオン交換水の投入量と、D-1に含まれる水の量の合計を、便宜上、表1、2中の水の配合量(質量%)として記載した。よって、ここでのイオン交換水の投入量は、表1、2に記載された水の配合量からD-1に含まれる水の量を除いた量である。
次いで、混合物に(D)成分を投入して充分に攪拌した。さらに、(A)成分と(B)成分を投入して充分に攪拌した後、全体量が100質量%になるように残りのグリセリンを加えて、液体洗浄剤を得た。
実施例1~12及び比較例2、3で得られた液体洗浄剤は、(A)成分及び(B)成分の一部が固体状態で存在していた。
比較例1で得られた液体洗浄剤は、(B)成分の一部が固体状態で存在していた。
得られた液体洗浄剤の25℃におけるpHをpHメーター(東京計器株式会社製、製品名「HM-30G」)を用いて測定した。結果を表1、2に示す。
得られた液体洗浄剤について、酵素の外観安定性、酵素安定性及び洗浄力を評価した。これらの結果を表1、2に示す。
【0117】
【0118】
【0119】
表1、2において、各成分の配合量(質量%)はすべて、液体洗浄剤の総質量に対する割合であり、指定のある場合を除き、純分換算での値を示す。D-1の配合量(質量%)におけるカッコ内の数値は有姿(製剤)としての量である。なお、水の配合量(質量%)には、D-1に含まれる水の量(質量%)も含まれる。また、配合量の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量%)を意味する。
また、「ノニオン/アニオン比」は、非石けん系アニオン界面活性剤の質量に対するノニオン界面活性剤の質量比である。「C/水比」は、水の質量に対する(C)成分の質量比である。「水/有機溶剤比」は、水混和性有機溶剤の質量に対する水の質量比である。
【0120】
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた液体洗浄剤は、アルカリ性でありながら酵素の外観安定性及び酵素安定性に優れ、洗浄力が高かった。
一方、(A)成分を含まない比較例1の液体洗浄剤は、洗浄力に劣っていた。
水の含有量が35質量%である比較例2の液体洗浄剤は、酵素の外観安定性に劣っていた。
水の含有量が7質量%である比較例3の液体洗浄剤は、酵素安定性に劣っていた。