(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104687
(43)【公開日】2022-07-11
(54)【発明の名称】電柱用営巣防止具
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20220704BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20220704BHJP
A01M 29/32 20110101ALI20220704BHJP
A01M 29/26 20110101ALI20220704BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
A01M29/32
A01M29/26
E04H12/00 J
E04H12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219795
(22)【出願日】2020-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】591146893
【氏名又は名称】九州旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】木原 徹
(72)【発明者】
【氏名】茶円 亮太
(72)【発明者】
【氏名】君嶋 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】長島 弘祐
【テーマコード(参考)】
2B121
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB28
2B121BB30
2B121BB32
2B121BB35
2B121FA12
2B121FA13
5G352AC01
5G367AD01
5G367AD09
(57)【要約】
【課題】 鳥類の巣作りをするためのスペースを狭く仕切り、巣の材料となる枝などの長物を置き難くして、営巣を阻止する電柱用営巣防止具を提供する。
【解決手段】 電柱用営巣防止具1は、電柱Pの頂部周りに取り付けるために両端部同士を締付けボルト8aにより結合する一対のバンド片7,7からなる取付バンド2と、一端部が互い違いに締付けボルト8aによりバンド片7と共締め固定され、電柱Pの先端面P1に板面を直立させて互いに間隔を置いて先端面P1を横断する一対の金属製の第2忌避板5と、第2忌避板5の一方に固着されると共に他方にスリット9,11により互いに係合して電柱Pの先端面P1に板面を直立させる金属製の第1忌避板4とを具備させる。第1忌避板4第2と忌避板5とは、板面を交差させて電柱Pの先端面P1を狭小スペースに仕切る。第1忌避板4及び第2忌避板5は、それぞれ両端部に向かい下方へ傾斜する傾斜縁4c,5bを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱の頂部の側面に周方向のほぼ半部に沿って対向し、両端部に貫通するボルトにより締め込み結合する締付片を備えた一対のバンド片からなる取付バンドと、
電柱の先端面に直立して相互の隣接端縁が結合することにより複数の狭小スペースに分割し、電柱の径方向外側に向かうに従って下方へ傾斜する傾斜縁を備えた複数の忌避板と、
前記忌避板の一部から前記取付バンドの前記締付片に延出し、前記ボルトにより前記バンド片と共締めされる固定板とを具備することを特徴とする電柱用営巣防止具。
【請求項2】
前記忌避板は、電柱の先端面のほぼ中央を横断する第1忌避板と、
前記第1忌避板に直交し、間隔を置いて対向する一対の第2忌避板とを具備し、
前記固定板は、前記第2忌避板の一端に連続し、互い違いに前記取付バンドの前記締付片に延びることを特徴とする請求項1に記載の電柱用営巣防止具。
【請求項3】
前記第1忌避板は、上縁又は下縁から切り込まれた上下方向のスリットを備え、
一方の前記第2忌避板は、前記第1忌避板に接合され、
他方の前記第2忌避板は、前記第1忌避板の前記スリットに対応して下縁又は上縁から切り込まれた上下方向のスリットを備え、第1忌避板と互いのスリットを通じて交差するように係合することを特徴とする請求項2に記載の電柱用営巣防止具。
【請求項4】
前記固定板には、前記ボルトを貫通させる位置調整用の縦方向の長孔を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電柱用営巣防止具。
【請求項5】
前記忌避板には、水平方向の風圧荷重を軽減する複数の通風孔を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電柱用営巣防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱の頂部に装着して鳥類の営巣を阻害する電柱用営巣防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート電柱の頂部を被覆する合成樹脂製のキャップ本体と、キャップ本体の天蓋に起立保持させた多数の合成樹脂製のバリヤー棒体とを具備する鳥害防止用電柱キャップが提案されている。バリヤー棒体は、先細状の軸部の基端に円盤状の頭部を設けると共に、軸部の頭部寄り周辺に頭部との間に間隔をおいて山形状にリブを突設し、軸部をキャップ本体の小孔に内側から挿通して係合する。鳥害防止用電柱キャップを装着することにより電柱の頂部に鳥類が飛来して接触したり、営巣したりすることによる短絡事故や汚損を未然に防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の鳥害防止用電柱キャップは、バリヤー棒体の相互間に枝等の巣の材料を組み込み保持できるため、バリヤー棒体の先端まで枝などを重ねて容易に積み上げることにより巣を作られてしまうおそれがある。また、バリヤー棒体が合成樹脂製で細いため、外力に対して脆弱となり、バリヤー棒体が破損して地上に落下し事故等の原因となる可能性がある。
そこで本発明は、巣を取り付けるための平らなスペースを狭くし、巣の材料となる枝などの長物を置き難くして、営巣を困難にする電柱用営巣防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、電柱Pの頂部の側面に周方向のほぼ半部に沿って対向し、両端部に貫通するボルト8aにより締め込み結合する締付片7aを備えた一対のバンド片7からなる取付バンド2と、電柱Pの先端面P1に直立して相互の隣接端縁が結合することにより複数の狭小スペースに分割し、電柱Pの径方向外側に向かうに従って下方へ傾斜する傾斜縁4c,5bを備えた複数の忌避板4,5と、忌避板5の一部から取付バンド2の締付片7aに延出し、ボルト8aによりバンド片7と共締め固定される固定板6とを具備させて電柱用営巣防止具1を構成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、鳥類等により巣を取り付け易い電柱の先端面の平らなスペースを小区分に仕切り、薄肉となる忌避板とその傾斜縁により、鳥類の停留や巣の材料となる枝などの長物の保持を困難にしたため、営巣を効果的に阻止することができ、また忌避板の組み込みにより強度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る電柱用営巣防止具の斜視図である。
【
図5】
図1の電柱用営巣防止具の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1ないし
図5において、電柱用営巣防止具1は、電柱Pの頂部周りに装着するための取付バンド2と、電柱Pの先端面P1に直立する第1,第2忌避板4,5を備えた本体3と、本体3を取付バンド2に固定する固定板6とを具備する。
【0009】
取付バンド2は、電柱Pの側面に周方向ほぼ半部に沿うように円弧状をなし、電柱Pを挟んで両側部に対向する金属製の一対のバンド片7からなる。バンド片7は、両端部に径方向に立ち上がり隣り合う相互を水平に貫通するボルト8aとこれに螺合するナット8bにより締め込まれ電柱に固定するための締付片7aを備える。取付バンド2は、電柱Pに取り付けられる他の付属設備の固定用取付バンドを併用してもよい。
【0010】
本体3の第1忌避板4は概略台形状の金属薄板からなり、電柱Pの先端面P1の中央を横断し直立することとなる。第1忌避板4は、電柱Pの先端面P1に沿う直線状をなす下縁4aと、中間部が下縁4aに平行する上縁4bと、上縁4bの両端から下方に向かって傾斜する傾斜縁4cとを備える。第1忌避板4は、他方の第2忌避板5に係合するために上縁4bから垂直下方へ向かいほぼ中間の高さ位置に至るスリット9と、横方向の風圧荷重を軽減するための複数の通風孔10とを備える。
【0011】
一対の第2忌避板5の一方は第1忌避板4に板面が直角に交差するように溶接され、他方は同じく第1忌避板4に板面がほぼ直角に交差するよう係合して、互いに間隔をおいて平行に電柱Pの先端面P1を横断し直立することとなる。第2忌避板5は概略三角形状をなす金属薄板からなる。第2忌避板5は、電柱Pの先端面P1に沿う直線状の下縁5aと、下縁5aに対向し中央から両端部に向かうに従って下方へ傾斜する傾斜縁5bを備える。一方の第2忌避板5は、下縁5aの中央から垂直上方へ向かいほぼ半分の高さ位置に至り、スリット9と連続して互いを受け入れ合うことにより第1忌避板3と板面を交差させるように係合するスリット11と、横方向の風圧荷重を軽減するための複数の通風孔12とを備える。
【0012】
一対の第2忌避板5は、一端部に互い違いに電柱Pの側面に沿うように軸線方向下方へ垂直に延びる固定板6が連続する。固定板6は、下半部に取付バンド2のボルト8aを貫通させて取付バンド2との固定位置を調整可能な長孔16aを備える。
【0013】
この電柱用営巣防止具1は、第1忌避板4のスリット9と一方の第2忌避板5のスリット11とを互いに合致させて板面が交差する状態に組み込み、電柱Pの先端面P1に載せ置く。固定板6の長孔6aを電柱Pの頂部周りに仮留めした取付バンド2の締付片7aに位置合わせしてボルト8aを貫通させナット8bを締め込む。取付バンド2のボルト8aの位置に応じて固定板6の長孔6a内で締め込み位置を上下に適宜調整して電柱Pの頂部周りに固定する。
電柱用営巣防止具1は、予め地上において第1忌避板4と第2忌避板5と取付バンド2とを仮組みしておけば、高所での装着作業が容易になる。
電柱Pの先端面P1上に第1忌避板4及び第2忌避板5が直立し、狭小スペースに仕切り、傾斜縁4c,5bが鳥類の停留や木枝等の長物の巣材料の保持を困難にするので、営巣や糞害を防止する。また、第1忌避板4及び第2忌避板5の組み込みにより本体3の強度が増し、通風孔10,12により、風圧荷重を軽減して脱落が防止される。
なお、本実施形態において一方の第2忌避板5は第1忌避板4に溶接により固定したが、他方の第2忌避板5と同様にしてスリットにより互いを係合してもよく、逆に両第2忌避板5を第1忌避板4に一体に溶接してもよい。また、忌避板の数を適宜増やしてもよい。
【符号の説明】
【0014】
1 電柱用営巣防止具
2 取付バンド
3 本体
4 第1忌避板
4a 下縁
4b 上縁
4c 傾斜縁
5 第2忌避板
5a 下縁
5b 傾斜縁
6 固定板
6a 長孔
7 バンド片
7a 締付片
8a ボルト
8b ナット
9 スリット
10 通風孔
11 スリット
12 通風孔
P 電柱
P1 先端面