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特開2022-104919接着剤組成物、接着剤組成物を含む物品、およびそれらの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022104919
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】接着剤組成物、接着剤組成物を含む物品、およびそれらの方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/08 20190101AFI20220705BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220705BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220705BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20220705BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20220705BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20220705BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20220705BHJP
【FI】
B29C48/08
C08J5/18 CES
B32B27/32 E
B32B7/027
C08L23/04
B29C48/21
B29C48/15
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034538
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2020056283の分割
【原出願日】2017-06-01
(31)【優先権主張番号】62/345,341
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/352,125
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512000846
【氏名又は名称】エムエスアイ テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】プッチ,マーク,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ホエーリー,ポール,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】オパチク,マイケル,ロイド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接着剤組成物の結合層を含む多層フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】接着剤組成物は、好ましくはポリプロピレン表面とポリエチレン表面の両方に接着し、接着剤組成物は40重量パーセント以上のポリエチレン、および10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーは、2~25パーセントの結晶化度、(10℃/分の速度において示差走査熱量測定によって測定される)90°C未満の融解温度、および75重量パーセント以上のプロピレン濃度を有する、ランダム共重合体であり、接着剤組成物の結合層14の厚さは総厚みの20パーセント以下で、2000μm以下の総厚みを有する多層フィルム10の製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体組成物であって:
i)約0.1から約20重量パーセントのグラフトされたポリオレフィンであって、ポリオレフィン骨格の総重量に基づいて約80重量パーセント以上のエチレンを含むポリオレフィン骨格、および1つ以上の酸素原子を含む官能性グラフトを有するグラフトされたポリオレフィン;
ii)約5から約50重量パーセントのプロピレン系エラストマーであって、約75重量パーセント以上のプロピレン濃度、および25パーセント以下の結晶化度を有するプロピレン系エラストマー;
iii)約40から約90重量パーセントの1つ以上のポリエチレン樹脂;および
iv)約30パーセント以上の結晶化度を有する、随意に最大約35重量パーセントの1つ以上のポリプロピレン樹脂;を含み、
ここで、官能性グラフトは、重合体組成物の総重量に基づいて約0.02から約1.2重量パーセントの量で存在し;
グラフトされたポリオレフィン、プロピレン系エラストマー、ポリエチレン樹脂、およびポリプロピレン樹脂の合計量は、重合体組成物の総重量に基づいて約95から約100重量パーセントである、重合体組成物。
【請求項2】
重合体組成物は、約190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.5から約10g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項3】
ポリエチレン樹脂は線形の低密度ポリエチレンを含み、該線形の低密度ポリエチレンはエチレン、および1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンから成る群から選択された1つ以上のオレフィンコモノマーを含み、ここで該線形の低密度ポリエチレン中のエチレンおよび1つ以上のオレフィンコモノマーの合計量は、約95重量パーセントから約100重量パーセントである、請求項1または2に記載の重合体組成物。
【請求項4】
重合体組成物は充填剤を実質的にまたは全く含まず、または充填剤の量は、重合体組成物の総重量に基づいて約5重量パーセント以下(好ましくは、重合体組成物中の重合体の合計量は、約95重量パーセント以上、約98重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、または約100重量パーセント)である、請求項1から3のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項5】
重合体組成物は少なくとも5重量パーセントの1つ以上のプロピレン樹脂を含む、請求項1から4のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項6】
プロピレン系エラストマーは約95重量パーセント以下のプロピレン濃度を有する、請求項1から5のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項7】
組成物は約0.1重量パーセントから約5重量パーセントの1つ以上の添加剤を含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項8】
官能性のグラフトは無水マレイン酸、マレイン酸または両方を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項9】
グラフトされたポリオレフィンは、約190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.5から約5g/10分のメルトフローレートを有し、およびグラフトされたポリオレフィンは、示差走査熱量測定によって測定される約25から約75パーセントの結晶化度を有する、請求項1から8のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項10】
プロピレン系エラストマーは約4パーセントから約15パーセントの結晶化度を有するランダム共重合体である、請求項1から9のいずれか1つに記載の重合体組成物。
【請求項11】
フィルムであって:
60重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む第1の層;
60重合体重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2の層;
および第1の層と第2の層の間にあり、それらと直接接触する結合層であって、約40重量パーセント以上のポリエチレン、および約2パーセントから約25パーセントの結晶化度を有する10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含む結合層;を含み、
ここでフィルムの総厚みは約800μm以下であり(例えば、約200μm以下、または約50μm以下)、および結合層の厚さは総厚みの約20パーセント以下である、フィルム。
【請求項12】
第1の層は1つ以上のポリエチレン樹脂のみで構成される、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
第2の層は1つ以上のポリプロピレン樹脂のみで構成される、請求項11または12に記載のフィルム。
【請求項14】
ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン、線形の低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはエチレンと極性コモノマーの共重合体(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体であり、好ましくは約70重量パーセントから約95重量パーセントのエチレン濃度を有する)である、請求項11から13のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項15】
プロピレン系エラストマーは、プロピレン系エラストマーの総重量に基づいて、約80から約94重量パーセントのプロピレン濃度を有する、請求項11から14のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項16】
結合層はグラフトされた重合体を実質的に含まない、または全く含まない、請求項11から15のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項17】
第2の層は、1つ以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、約30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のランダムポリプロピレン共重合体、または1つ以上のインパクトポリプロピレン共重合体を含む、またはそれらから実質的に成る、またはそれらのみで構成される、請求項11から16のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項18】
結合層は、ポリプロピレンホモポリマー、約30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のランダムポリプロピレン共重合体、またはポリプロピレンインパクト共重合体を含む、請求項11から17のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項19】
結合層は、ポリエチレンとプロピレン系エラストマーのみで構成される、請求項11から17のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項20】
結合層は、ポリプロピレン、プロピレン系エラストマーおよびポリエチレンのみで構成される、請求項18に記載のフィルム。
【請求項21】
フィルムであって:
1つ以上のポリオレフィンのホモポリマーまたは共重合体を含む第1のオレフィン重合体層;
60重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2のオレフィン重合体層;
第1および第2のオレフィンの重合体層の間にはさまれたバリヤー層;
第1のオレフィン重合体層とバリヤー層との間にはさまれた第1の結合層;
第2のオレフィン重合体層とバリヤー層との間にはさまれ、およびそれらと直接接触する第2の結合層;を含み、
ここで第1の結合層は、請求項1から10のいずれか1つに記載の重合体組成物を含む、フィルム。
【請求項22】
第1のオレフィン重合体層は、約60重量パーセント以上の1つ以上のポリエチレン樹脂を含む、請求項21に記載のフィルム。
【請求項23】
第1のオレフィン重合体層は、約60重量パーセント以上の1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む、請求項21に記載のフィルム。
【請求項24】
第1の結合層は第1のオレフィン重合体層に直接接触する、請求項21から23のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項25】
第1の結合層はバリヤー層に直接接触する、請求項21から24のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項26】
第1の結合層および第2の結合層は同じ重合体組成物を含む、請求項21から25のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項27】
第1および第2のオレフィン重合体層は同じ重合体から成形される、請求項21に記載のフィルム。
【請求項28】
第1のオレフィン重合体層とバリヤー層との間のいかなる接着破壊も、第1の結合層とバリヤー層の境界にある、請求項21から27のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項29】
第2のオレフィン重合体層とバリヤー層との間のいかなる接着破壊も、第2の結合層とバリヤー層の境界にある、請求項28に記載のフィルム。
【請求項30】
フィルムが明澄である;
および/またはフィルムの厚さは約50μm以下である、
請求項21から27のいずれか1つに記載のフィルム。
【請求項31】
第1の層と第2の層の間にあり、それらと直接接触する結合層であって、該結合層は約40重量パーセント以上のポリエチレン、および約2パーセントから約25パーセントの結晶化度を有する10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、
ここでフィルムは約1800μm以下の総厚みを有し、および結合層の厚さは総厚みの約20パーセント以下である、結合層。
【請求項32】
i.最高融解温度を有するエチレン含有重合体を含む反応生成物を成形するために、反応装置でエチレンを含む1つ以上の単量体を重合する工程;
ii.エチレン含有重合体を溶融および混合するために、エチレン含有重合体を装置に導入する工程;
iii.装置にプロピレン系エラストマーを導入する工程;
iv.装置にグラフトされたポリオレフィンを導入する工程;および
v.混合組成物を成形するために、少なくともエチレン含有重合体、プロピレン系エラストマーおよびグラフトされたポリオレフィンを装置内で溶融混合する工程;を含むプロセスであって、
ここでエチレン含有重合体はまず、溶融混合の工程中に装置内で最高融解温度以上の温度まで加熱される、プロセス。
【請求項33】
i.最高融解温度を有するエチレン含有重合体を含む反応生成物を成形するために、反応装置でエチレンを含む1つ以上の単量体を重合する工程;
ii.最高融解温度以下の温度で、反応装置からエチレン含有重合体を取り出す工程であって、エチレン含有重合体の少なくとも一部は結晶状態である、工程;
iii.少なくともエチレン含有重合体を加熱するために、装置にエチレン含有重合体を導入する工程;
iv.装置にプロピレン系エラストマーを加える工程;
v.装置にグラフトされたポリオレフィンを加える工程;
vi.エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンを含む混合組成物を装置から取り出す工程;および
vii.混合組成物中のエチレン含有重合体の少なくとも一部を結晶化させる工程;を含むプロセスであって、
ここで反応装置から取り出された後のエチレン含有重合体の一部の第1の結晶化は、混合組成物中の部分の結晶化である、プロセス。
【請求項34】
混合組成物を成形するために、
i)エチレン含有重合体;
ii)プロピレン系エラストマー;および
iii)グラフトされたポリオレフィン;
を含む複数の重合体を溶融配合する工程:
および、重合体押出機のスクリューバレルアセンブリに導入するのに適したサイズのペレットまたは他の粒子へと、混合組成物を成形する工程;を含むプロセスであって、
ここで、結果としてもたらされる混合組成物が190℃/2.16kgでISO 1133に従って測定される約0.5から約5g/10分のメルトフローレートを有するように、エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンは選択される、プロセス。
【請求項35】
エチレン含有重合体は、約60重量パーセントから約100重量パーセント(好ましくは約75重量パーセントから約100重量パーセント)のエチレンを含み、および190℃/2.16kgでISO 1133に従って測定される約0.1から約100g/10分(好ましくは約0.5から約10g/10分)のメルトフローレートを有する、請求項32から34のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項36】
i.混合組成物は、約30重量パーセントから約85重量パーセントのエチレン含有重合体を含む;または
ii.混合組成物は、約10重量パーセントから約50重量パーセントのプロピレン系エラストマーを含む;または
iii.混合組成物は、約3重量パーセントから約40重量パーセントのグラフトされたポリオレフィンを含む;または
iv)i)、ii)およびiii)の任意の組み合わせである、
請求項32から35のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項37】
i)グラフトされたポリオレフィンは、ポリエチレン(すなわち、ポリエチレンホモポリマー、または60重量パーセント以上のエチレンを含むポリエチレン共重合体)上にグラフトされた無水マレイン酸またはマレイン酸を含む;または
ii)グラフトされたポリオレフィンは、約190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.2から約80g/10分のメルトフローレートを有する;または
iii)i)とii)の両方である、
請求項32から36のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項38】
プロピレン系エラストマーは約0パーセントから約20パーセントの結晶化度を有し;および、
約75~約95重量パーセントのプロピレンを含む、
請求項32から37のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項39】
i)エチレン含有重合体を重合する工程は気相重合を含み、ここで重合中のエチレン単量体は気相である(例えば流動層反応装置を使用);または
ii)プロセスは、エチレンを含む1つ以上の未反応単量体から、流動層反応装置の反応生成物を分離する工程を含み、該反応生成物は粉末の形状である;または
iii)プロセスは、触媒を使用したエチレン含有重合体の重合を含み、触媒はメタロセン触媒またはシングルサイト触媒である;または
iv)i)、ii)およびiii)の任意の組み合わせである、
請求項32から38のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項40】
装置はスクリューバレルアセンブリを含み、該スクリューバレルアセンブリはスクリューの回転によって、エチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーにせん断エネルギーを供給する、および/またはエチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーに熱エネルギーを供給するためにバレルアセンブリの少なくとも一部が加熱される、請求項32から39のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項41】
プロセスは、エチレン含有ポリマーの融解温度以上の温度にプロピレン系エラストマーおよびエチレン含有重合体を加熱する工程、および混合組成物を成形するために装置内で溶融して混合する工程(加熱工程は好ましくは約130℃以上、より好ましくは約160℃以上の温度への加熱を含む)を含み、好ましくはプロセスは約70℃以下の温度まで混合組成物を冷却する工程を含み、好ましくはプロセスは混合組成物の包装および/または混合組成物の出荷を含み、ここで混合組成物はペレットまたは他の粒子の形状にある、請求項32から40のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項42】
プロセスはエチレン含有重合体から揮発性材料を取り除くことを含む、請求項32から41のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項43】
エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンの合計量は、混合組成物の約80重量パーセントから約100重量パーセントである、請求項32から42のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項44】
プロセスは、混合組成物を含む層(好ましくは、層はポリオレフィン層とバリヤー層の間にはさまれ、およびそれらに接触する)を含むフィルムを押出し加工する工程を含む、請求項32から43のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項45】
i)エチレン含有重合体の最高融解温度を超える、約20℃以上(好ましくは約40℃以上)の温度へのエチレン含有重合体の第1の加熱は、溶融混合工程で行われる;または
ii)最高融解温度より高い温度から、最高融解温度よりも低い少なくとも約20℃(好ましくは少なくとも約40℃)の温度への、エチレン含有共重合体の第1の冷却は、冷却工程で行われる、請求項32から44のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項46】
プロセスはインラインのプロセスである、請求項32から45のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項47】
請求項32から46のいずれか1つに記載の方法によって調製された混合組成物。
【請求項48】
混合組成物を含む層を含む多層重合体の物品を製造するための、本請求項の教示に係る混合組成物(例えば請求項47の混合組成物)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2016年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/345,341、および2016年6月20日に出願された米国仮特許出願第62/352,125の優先権を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれる。
【0002】
本明細書の教示は、重合体接着剤組成物および該組成物の製造方法、多層フィルム、多層フィルム用の結合層(tie layer)組成物、および関連する方法を対象とする。結合層組成物は、ポリプロピレンへの、好ましくはポリエチレンとポリプロピレンの両方への接着を提供し得る。結合層は好ましくは、本明細書において記載されるようなプロピレン系エラストマーを含む。重合体接着剤組成物は好ましくは、少量のプロピレン系エラストマー重合体(すなわち約40重量パーセントより少ない)、および多量のエチレン含有重合体(すなわち約55重量パーセントより多い)を含む。重合体接着剤組成物は、好ましくはポリプロピレン表面とポリエチレン表面の両方に接着する。様々な重合体接着剤組成物がさらに、極性基材(例えば、EVOHおよびポリアミドなどの極性重合体基材)に接着し得る。重合体接着剤組成物は好ましくは、包装用の多層フィルムでの使用に適している。重合体接着剤組成物を製造する好ましい方法は、重合反応装置から取り出した後、およびプロピレン系エラストマーと配合する前の、エチレン含有重合体の熱加工(例えば、融解温度より高い温度で加熱し、および結晶化温度より低い温度で冷却するサイクル)を回避する。
【背景技術】
【0003】
重合体フィルムの適用にはしばしば、異なる化学組成物を有する重合体層が必要とされる。異なる層は、フィルムに異なる機能を提供し得る。例えば、層は、構造層、バリヤー層(例えば酸素、水または二酸化炭素に対するバリヤー)、剥離可能な物質の層、耐薬品性の層、印刷可能な層、保護表層、として機能し得る。隣接した層が異なる化学構造のものである場合、異なる層間を接着するために、2つの層の間に結合層を用いる必要があるだろう。多くの場合、異なる層の両方に接着するように調整され、または選択される結合層が必要である。例えば、ポリプロピレン層にEVOHバリヤー層を接着させるための結合層には、無水マレイン酸がグラフトされたポリプロピレンを含む結合層を用いてもよい。しかしながら、そのような結合層は、ポリエチレン層にEVOHバリヤー層を接着させるのに十分な接着を提供しないだろう。したがって、ポリプロピレン層とポリエチレン層の間にはさまれたEVOHバリヤー層の両方を有する構造(例えば表面薄層)においては、典型的に、強固な接着を提供するために2つの異なる結合層を用いる必要がある。単一の結合層が求められ、かつ、バリヤー層材とポリプロピレンおよびポリエチレンの両方との間に十分な接着を提供するそのような結合層のための重合体接着剤組成物を製造する方法が求められる。
【0004】
さらに、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレンに特徴的な結晶構造を有する)と、ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンに特徴的な結晶構造を有する)の層を接着させるのには困難が伴う。双方ともポリオレフィンであるが、十分に異なる化学構造を有しているために、それらは異なる結晶構造を有し、および共結晶化しない。代わりに、ポリエチレンとポリプロピレンは典型的には平衡条件下で相分離する。R.McEvoy等(R.McEvoy et al,Macromolecules,1996,29(12),pp.4258-4266)に記載されるように、ポリプロピレンとポリエチレンの化学構造および結晶構造の違いは、結果としてそれらの界面における弱さをもたらす。機械的性質を向上させるためのポリエチレン共重合体の使用は、E.Nolley等(E.Nolley et al,Polymer Engineering&Science,1980,20(5),pp.364-369)に記載されている。したがって、ポリプロピレン層に接着したポリエチレン層を含む構造を有する多層フィルムの製造を可能にするために、結合層として使用される重合体接着剤組成物、およびその製造方法がさらに必要である。例えば、ポリオレフィン樹脂を含むまたは実質的に成る単一の結合層によって接合されたポリプロピレン層およびポリエチレン層を有する多層フィルムを製造可能にすることが求められる。例えば、グラフとされた重合体のないポリエチレンおよびポリプロピレンの両方に接着する結合層が求められる。
【0005】
フィルムの製造においてはしばしば、同じ設備を使用して異なるフィルムを製造するために、ポリプロピレン層とポリエチレン層の間で変更が必要である。バリヤー層のあるフィルムでは、典型的には結合層材料の変更も求められる。結合層の厚さは典型的に、ポリプロピレンまたはポリエチレン層の厚さよりも小さいため、結合層のための切替時間は他の層よりも典型的には高くなる。そのような切替時間は長くなる場合もあり、結果として生産性の減少および/または大量の廃材をもたらす。そのため、ポリプロピレンとポリエチレンの両方に接着する単一の結合層物質があると有利であろう。
【0006】
改良された重合体接着剤組成物の生産方法がさらに求められる。例えば、次のような特徴の1つ以上を有する方法が求められる:(例えばエネルギー、時間または材料の点において)効果的、低コスト、または1つ以上の成分を熱履歴にさらすのを減らす、または最小限にする。
【0007】
薄いフィルムの用途に適した重合体接着剤組成物を調製する方法が求められる。
【0008】
結合層はしばしば、一般に高いモジュラスを有する重合体を含む。そのような高モジュラスによって、フィルムのいくつかの構造特性がもたらされ得るが(例えば、フィルムの全体的な曲弾性率または剛性に寄与する)、フィルムの剛性を提供するための他の方法により、接着性を向上させるための結合層の最適化を可能にするための、さらなる設計的な柔軟性が可能になるであろうことがわかっている。
【0009】
ポリプロピレン基材、およびEVOHまたはポリアミドに接着するための接着剤組成物に関する1つのアプローチは、ポリプロピレン樹脂、および無水マレイン酸のグラフとされたポリプロピレンを用いることである。しかしながら、そのようなグラフトされたポリプロピレンは典型的に、グラフト中の鎖の切断により分子量が低く、または分子粘性を増加させるために追加の成分を必要とする。したがって、無水マレイン酸をグラフトされたポリプロピレンの必要を回避する、ポリプロピレン基材に接着するための重合体接着剤組成物が求められる。
【0010】
極性の官能基を有するグラフトされたポリオレフィンを含む接着剤組成物の例は、米国特許第7,064,163 B2に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、該組成物はプロピレン系エラストマーを含まず、また、ポリプロピレンとポリエチレン基材の両方に接着する単一の組成物の必要についても教示していない。
【0011】
接着剤組成物の他の例は、米国特許第7,700,702 B2(2010年4月20日公開)、8,071,687 B2(2011年12月6日公開)、および8,637,159 B2(2014年1月28日公開)、および米国特許出願公開第2004/0249046 A1(2004年12月9日公開)、2010/0276057 A1(2010年11月4日公開)、および2011/0217497 A1(2011年9月8日公開)に記載されており、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
例えば、食品包装フィルムでは、2つのポリオレフィン層間にバリヤー層(ナイロンまたはEVOH等)を含む多層フィルムが流行している。ポリオレフィン層をバリヤー層に接着させるために結合層が使用される場合もある。ポリプロピレンをバリヤー層に接着させるための一般的な結合層は、バリヤー層の重合体と化学的に結合する官能基にグラフトされたポリプロピレンを含む。例えば、結合層は、無水マレイン酸をグラフトされたポリプロピレンを含む。しかしながら、無水マレイン酸をグラフトされたポリプロピレンを構成するプロセスは、困難かつ費用がかかる。ポリプロピレンは典型的には、グラフトされたポリプロピレンの分子量を減らすグラフト加工中に鎖の切断を受ける。分子量の減少は、グラフトされたポリプロピレンの接着性能の低下をもたらす場合もある。結果として得られるグラフトされた重合体は通常、食品産業における低抽出性(low extractables)の要件を満たさない。食品包装用途を含む多くの包装用途では、グラフトされたポリプロピレンは、接着性能、光学性能(例えば高フィルム明澄度)および抽出性能の1つ以上の要件を満たさない。官能基(例えば無水マレイン酸)にグラフトされたポリエチレンを含む結合層は、食品包装産業でも使用されてきた。しかしながら、これらの結合層は一般に、ポリプロピレン層に十分に接着しない。結合層の組成物にポリプロピレンを接着させる試みは典型的に、ポリエチレンとポリプロピレンの不適合性ゆえに弱い結合層をもたらす。グラフトされたポリエチレンは様々な供給材料樹脂を使用して製造することができる。グラフト加工中、供給材料の樹脂の特性(例えば分子量)は通常は維持され得る。そのため、望ましい性能特性(例えば、高い明澄度および/または低い抽出性)を有するグラフトされた重合体を達成するために、供給材料のポリエチレン樹脂を選択してもよい。これらのグラフトされた重合体はポリエチレン基材に十分な接着を与えるが、それは通常ポリプロピレン基材には接着しない。したがって、強固かつポリプロピレンに接着する、グラフトされたポリエチレンを含む結合層があれば有利であろう。
【0013】
いくつかの食品包装フィルムは、ポリプロピレン層とポリエチレン層の間にバリヤー層を必要とする。そのようなフィルムは典型的には、ポリプロピレン層とバリヤー層の間に第1の結合層、ポリエチレン層とバリヤー層の間に第2の結合層を必要とする。ここで、2つの結合層は特徴的には異なるものである。ポリプロピレン、および/または無水マレイン酸をグラフトされたポリプロピレンを含む第1の結合層は、典型的にはポリプロピレン層とバリヤー層の間に使用される。ポリエチレン、および/または無水マレイン酸をグラフトされたポリエチレンを含む異なる結合層が、ポリエチレン層とバリヤー層の間に使用される。したがって加工機器には、2つのバリヤー層用に別個の押出機が必要である。しかしながら、いくつかの生産設備は、両方の結合層に対して一つのバリヤー材料のみを提供するように設計されている。したがって、ポリプロピレン層をバリヤー層に接着させ、さらにポリエチレン層をバリヤー層に接着させる単一の結合層物質が求められる。
【0014】
フィルムの製造ではしばしば、同じ設備を使用して異なるフィルムを製造するために、ポリプロピレン層とポリエチレン層との間で変更を行う必要がある。バリヤー層のあるフィルムでは、典型的には結合層材料の変更も求められる。結合層の厚さは典型的に、ポリプロピレンまたはポリエチレン層の厚さよりも小さいため、結合層のための切替時間は他の層よりも典型的に高い。そのような切替時間は長くなる場合もあり、結果として生産性の減少および/または大量の廃材をもたらす。そのため、ポリプロピレンとポリエチレンの両方に接着する単一の結合層物質があると有利であろう。
【0015】
R.McEvoy等(R.McEvoy et al,Macromolecules,1996,29(12),pp.4258-4266)に記載されるように、化学的に類似していても、ポリプロピレンとポリエチレンの化学構造および結晶構造の違いによって、それらの境界面における弱さがもたらされる。機械的性質を向上させるためのポリエチレン共重合体の使用は、E.Nolley等(E.Nolley et al,Polymer Engineering&Science,1980,20(5),pp.364-369)に記載されている。
【0016】
さらに、ポリエチレン層およびポリプロピレン層を含む新しい構造を有する多層フィルムの製造を可能にする必要がある。例えば、ポリオレフィン樹脂を含むまたはそれから実質的に成る単一の結合層によって接合された、ポリプロピレン層およびポリエチレン層を有する多層フィルムを製造可能である必要がある。例えば、ポリエチレン層およびポリプロピレン層の両方に直接接着する単一の結合層物質が求められる。例えば、グラフトされた重合体のないポリエチレンおよびポリプロピレンの両方に接着する結合層が求められる。
【0017】
さらに、多層フィルムの製造中にポリオレフィン層を変更するためのプロセスの改良も必要である。異なるポリオレフィン用の接着剤として使用可能な重合体組成物も必要である。異なるポリオレフィンの層を有するフィルムのための結合層も必要である。例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンのフィルム層を接着させるための結合層が必要である。さらに、バリヤー層とポリオレフィン層の間にはさむための接着剤が必要であり、その場合、結合層の接着剤組成物を変更することなく、ポリオレフィン層を異なるポリオレフィンに変更してもよい。これらの要件の1つ以上は、本明細書の教示によって満たされ得る。
【発明の概要】
【0018】
上記の要件の1つ以上は、本明細書の教示による方法、構造、接着剤、および組成物によって達成される。
【0019】
本明細書の教示の1つの目的は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またその両方への接着を向上させた重合体接着剤組成物を提供することである。本明細書の教示の別の目的は、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびバリヤー層物質(例えばEVOHまたはナイロン)に接着する重合体接着剤組成物を提供することである。本明細書の教示の別の目的は、ポリプロピレン層およびバリヤー層(例えばEVOHまたはナイロン)の両方に接着する重合体接着剤組成物を提供することであり、それはグラフトされたポリプロピレン重合体の必要を実質的にまたは完全に回避する。重合体接着剤組成物は、グラフトされたポリプロピレン重合体に対して、好ましくは以下の1つ以上の特徴を有する:高い光学的明澄度、少ない着色、重量平均分子量の増加、低抽出、より高いモジュラス。本明細書の教示の別の目的は、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびバリヤー層物質への接着バランスを向上させた重合体接着剤組成物を提供することである。本明細書の教示の別の目的は、ポリプロピレン層とポリエチレン層の両方に接着する重合体接着剤層を含むフィルムである。本明細書の教示のさらなる目的は、結合層を変更することなく(例えば、良好な機械的性能を維持しながら)、第1の重合体層を含む構造から、第1の重合体層が変更された構造(例えば、ポリエチレンからポリプロピレン、またはポリプロピレンからポリエチレンへ)への遷移を可能にする、結合層のための重合体接着剤組成物を提供することである。本明細書の教示の別の目的は、重合体接着剤組成物を製造する方法を提供することである。
【0020】
本明細書の教示の1つの態様は、グラフトされたポリオレフィン;プロピレン系エラストマー;1つ以上のポリエチレン樹脂;および、随意に約30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のポリプロピレン樹脂、を含む重合体組成物(例えば重合体接着剤組成物)を対象とする。グラフトされたポリオレフィンの量は、重合体組成物の総重量に基づいて、好ましくは約0.1から約20重量パーセントである。プロピレン系エラストマーの量は、重合体組成物の総重量に基づいて、好ましくは約5から約50重量パーセントである。1つ以上のポリエチレン樹脂の量は、重合体組成物の総重量に基づいて、好ましくは約40から約90重量パーセントである。1つ以上のポリエチレン樹脂の量は、重合体組成物の総重量に基づいて、好ましくは最大約35重量パーセントである。グラフトされたポリオレフィンは好ましくは、ポリオレフィン骨格の総重量に基づいて、約60重量パーセント以上のエチレン(より好ましくは約80重量パーセント以上のエチレン)を含むポリオレフィン骨格、および1つ以上の酸素原子を含む官能性グラフトを含む。グラフトされたポリオレフィンは好ましくは、エチレンのみで構成されるポリエチレンホモポリマー上、または100重量パーセント未満のエチレンを含むポリエチレン共重合体上にグラフトされた1つ以上の官能基を含む。プロピレン系エラストマーは好ましくは、約75重量パーセント以上のプロピレン濃度、および最大約25パーセントの結晶化度を有する。官能性グラフトは好ましくは、重合体組成物の総重量に基づいて約0.02から約1.2重量パーセントの量で存在する。グラフトされたポリオレフィン、プロピレン系エラストマー(すなわちプロピレンエラストマー)、ポリエチレン樹脂、およびポリプロピレン樹脂の合計量は好ましくは、重合体組成物の総重量に基づいて約95から約100重量パーセントである。
【0021】
教示の本態様は、以下の特徴の1つまたはそれらの任意の組み合わせにより特徴づけられ得る:重合体組成物は、約190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.5から約10g/10分のメルトフローレートを有する;ポリエチレン樹脂は直鎖状低密度ポリエチレンを含む;直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン、および1-ブテンと1-ヘキセンと1-オクテンから成る群から選択される1つ以上のオレフィンコモノマーを含む;直鎖状低密度ポリエチレン中のエチレンおよび1つ以上のオレフィンコモノマーの合計量は、約95パーセントから約100重量パーセントである;重合体組成物は充填材を実質的に含まない、または全く含まない;充填材の量は、重合体組成物の総重量に基づいて約5重量パーセント以下である;重合体組成物中の重合体の合計量は、約95重量パーセント以上、約98重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、または約100重量パーセントである;重合体組成物は、少なくとも5重量パーセントの、1つ以上のプロピレン樹脂を含む;プロピレン系エラストマーは、約95重量パーセント以下のプロピレン濃度を有する;重合体組成物は、約0.1重量パーセントから約5重量パーセントの、1つ以上の添加物を含む;官能性グラフトは無水マレイン酸、マレイン酸、またはその両方を含む;グラフトされたポリオレフィンは、190℃/2.16kgで、ISO 1133に従って測定される約0.5から約20g/10分(好ましくは約0.5~約5g/10分)のメルトフローレートを有する;グラフトされたポリオレフィンは、示差走査熱量測定による約10重量パーセントから約80重量パーセント(好ましくは約25~約75パーセントの測定値)の結晶化度(例えばポリエチレン結晶に特徴的な結晶構造を有する)を有する;または、プロピレン系エラストマーは、約2パーセントから約25パーセント(好ましくは約4パーセントから約15パーセント)の結晶化度(ポリプロピレン結晶に特徴的な結晶構造を有する)を有するランダム共重合体である。
【0022】
教示の別の態様はフィルムを対象とし、該フィルムは:60重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む第1の層;60重合体重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2の層;および第1の層と第2層の間にあり、それらと直接接触する結合層、を含む。好ましくは結合層は、約40重量パーセント以上のポリエチレン、および約2パーセントから約25パーセントの結晶化度を有する10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含む。フィルムは好ましくは、i)約2000μm以下の総厚み(例えば、約1800μm以下、約1200μm以下、約800μm以下、約200μm以下、または約50μm以下)、ii)総厚みの約20パーセント以下の厚みを有する結合層、またはiii)iとiiの両方、を有する。
【0023】
教示の本態様はさらに、重合体組成物に関して本明細書で論じられる特徴の1つ、またはそれらの任意の組み合わせにより特徴づけられ得る。本発明の本態様はさらに、以下の1つ、またはそれらの任意の組み合わせにより特徴づけられ得る:第1の層は1つ以上のポリエチレン樹脂のみで構成される;第2の層は1つ以上のポリプロピレン樹脂のみで構成される;ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはエチレンと極性コモノマーの共重合体(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体であり、好ましくは約70重量パーセントから約95重量パーセントのエチレン濃度を有する)である;プロピレン系エラストマーは、プロピレン系エラストマーの総重量に基づいて、約80から約94重量パーセントのプロピレン濃度を有する;結合層は、いかなるグラフトされた重合体も実質的に含まない、または完全に含まない;第2の層は、1つ以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、約30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のランダムポリプロピレン共重合体、または1つ以上のインパクトポリプロピレン共重合体を含む、またはそれらから実質的に成る、またはそれらのみで構成される;結合層は、ポリプロピレンホモポリマー、約30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のランダムポリプロピレン共重合体、またはポリプロピレンインパクト共重合体を含む;結合層は、ポリエチレンおよびとプロピレン系エラストマーのみで構成される;または、結合層は、ポリプロピレン、プロピレン系エラストマー、およびポリエチレンのみで構成される。
【0024】
教示の別の態様はフィルムを対象とし、該フィルムは:1つ以上のポリオレフィンホモポリマーまたは共重合体を含む第1のオレフィン重合体層;60重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2のオレフィン重合体層;第1および第2のオレフィンの重合体層の間にはさまれたバリヤー層;第1のオレフィン重合体層とバリヤー層との間にはさまれた第1の結合層;第2のオレフィン重合体層とバリヤー層との間にはさまれ、およびそれらと直接接触する第2の結合層、を含む。結合層は好ましくは、本明細書の教示に係る重合体組成物で成形される。
【0025】
教示の本態様はさらに、重合体組成物に関して本明細書で論じられる特徴の1つまたはそれらの任意の組み合わせにより特徴づけられる。教示の本態様はさらに、以下の1つまたはそれらの任意の組み合わせにより特徴づけられ得る:第1のオレフィン重合体層は、60重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む;第1のオレフィン重合体層は、60重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む;第1の結合層は第1のオレフィン重合体層と直接接触する;第1の結合層はバリヤー層と直接接触する;第1の結合層および第2の結合層は同じ重合体組成物を含む;第1および第2のオレフィン重合体層は同じ重合体から成形される;第1のオレフィン重合体層とバリヤー層との間のいかなる接着破壊も、第1の結合層とバリヤー層の境界にある;第2のオレフィン重合体層とバリヤー層の間の接着強度は、第2のオレフィン重合体層とバリヤー層の間の接着強度より大きく、第2の結合層内のグラフトされたポリエチレンはグラフトされたポリプロピレンに取り換えられている;第2のオレフィン重合体層とバリヤー層の間のいかなる接着破壊も、凝集破壊であるか第2の結合層とバリヤー層の境界にあり、または凝集破壊である;フィルムは明澄である;またはフィルムの厚さは約50μm以下である。
【0026】
教示の別の態様は、第1の層と第2の層の間にあり、およびそれらと直接接触する結合層を対象とし、結合層は、約40重量パーセント以上のポリエチレン、および約2パーセントから約25パーセントの結晶化度を有する10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、フィルムの総厚みは約2000μm以下であり(例えば、約1200μm以下、または約800μm以下)、および結合層の厚さは総厚みの約20パーセント以下である。
【0027】
本明細書の教示の別の態様は、本明細書に記載の教示に係る重合体組成物の層を含むフィルムを対象とする。
【0028】
本明細書の教示の別の態様は多層フィルムを製造するプロセスを対象とし、該プロセスは:フィルム生産工程において、結合層(例えば本明細書の教示に係る重合体組成物を含む結合層)を使用してバリヤー層に接着させた第1のポリオレフィン層を含む第1のフィルムを成形する工程、および同じフィルム生産工程において、第1のポリオレフィンとは異なる第2のポリオレフィンを使用して第2のフィルムを成形する工程を含み、第2のポリオレフィンは同じ結合層によってバリヤー層に接着しており、ここで第1のポリオレフィンは、ポリプロピレン樹脂(例えば、ポリプロピレンに特徴的な結晶構造を有する)、またはポリエチレン樹脂(例えば、ポリエチレンに特徴的な結晶構造を有する)であり、および第2のポリオレフィンは別の樹脂である。
【0029】
あるプロセスに関連する本明細書の教示の態様は、以下の工程を含むプロセスを対象とする:最高融解温度を有するエチレン含有重合体を含む反応生成物を成形するために、反応装置でエチレンを含む1つ以上のモノマーを重合する工程;エチレン含有重合体を溶融および混合するために、エチレン含有重合体を装置に導入する工程;装置にプロピレン系エラストマーを導入する工程;装置にグラフトされたポリオレフィンを導入する工程;および、混合組成物を成形するために、少なくともエチレン含有重合体、プロピレン系エラストマーおよびグラフトされたポリオレフィンを装置内で溶融混合する工程。エチレン含有重合体は好ましくは、溶融混合の工程中に装置内で、まずは最高融解温度以上の温度まで加熱される。
【0030】
別のプロセスに関連する本明細書の教示の態様は、以下の工程を含むプロセスを対象とする:最高融解温度を有するエチレン含有重合体を含む反応生成物を成形するために、反応装置でエチレンを含む1つ以上のモノマーを重合する工程;最高融解温度以下の温度で、反応装置からエチレン含有重合体を取り出す工程であって、少なくともエチレン含有重合体の一部は結晶状態である工程;少なくともエチレン含有重合体を熱するために、装置にエチレン含有重合体を導入する工程;装置にプロピレン系エラストマーを加える工程;装置にグラフトされたポリオレフィンを加える工程;エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンを含む混合組成物を装置から取り出す工程;および、混合組成物中のエチレン含有重合体の少なくとも一部を結晶化させる工程。好ましくは、反応装置から取り出された後のエチレン含有重合体の一部の第1の結晶化は、混合組成物中の一部の結晶化である。
【0031】
別のプロセスに関連する本明細書の教示の態様は、以下の工程を含むプロセスを対象とする:混合組成物を成形するために、エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンを含む複数の重合体を溶融配合する工程;および、重合体押出機のスクリューバレルアセンブリに導入するのに適したサイズのペレットまたは他の粒子へと、混合組成物を成形する工程。好ましくは、結果としてもたらされる混合組成物が190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.5~約5g/10分のメルトフローレートを有するように、エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンは選択される、
【0032】
本教示の態様(例えば、重合体組成物を調製するためのプロセスに関する態様、または結果としてもたらされる重合体接着剤組成物に関する態様)のいずれも、さらに以下の特徴の1つまたはそれらの任意の組み合わせにより特徴づけられ得る:エチレン含有重合体は、約60重量パーセントから約100重量パーセント(好ましくは約75重量パーセントから約100重量パーセント)のエチレンを含み、および190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.1~約100g/10分(好ましくは約0.5~約10g/10分)のメルトフローレートを有する;混合組成物は、約30重量パーセントから約85重量パーセントのエチレン含有重合体を含む;混合組成物は、約10重量パーセントから約50重量パーセントのプロピレン系エラストマーを含む;混合組成物は、約3重量パーセントから約40重量パーセントのグラフトされたポリオレフィンを含む;グラフトされたポリオレフィンは、ポリエチレン(すなわち、ポリエチレンホモポリマー、または60重量パーセント以上のエチレンを含むポリエチレン共重合体)上にグラフトされた無水マレイン酸またはマレイン酸を含む;グラフトされたポリオレフィンは、約190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.2~80g/10分のメルトフローレートを有する;プロピレン系エラストマーは、約0パーセントから約20パーセントの結晶化度を有する;および、約75~約95重量パーセントのプロピレンを含む;エチレン含有重合体を重合する工程は気相重合を含む;エチレン単量体は重合中は気相の状態にある(例えば、流動層反応装置を使用);該プロセスは、エチレンを含む1つ以上の未反応単量体から、流動層反応装置の反応生成物を分離する工程を含み、該反応生成物は粉末形状である;該プロセスは、触媒を使用してエチレン含有重合体を重合する工程を含む;触媒はチーグラー・ナッタ触媒である;触媒はメタロセン触媒またはシングルサイト触媒である;装置はスクリューバレルアセンブリを含み、該スクリューバレルアセンブリはスクリューの回転によって、エチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーにせん断エネルギーを供給する、および/またはエチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーに熱エネルギーを供給するために、バレルアセンブリの少なくとも一部が加熱される;該プロセスは、エチレン含有重合体の融解温度を超える温度までプロピレン系エラストマーおよびエチレン含有重合体を熱し、および混合組成物を成形するために装置内で混合溶融する工程を含む;加熱工程は、約130℃以上(好ましくは約160℃以)の温度への加熱を含む;該プロセスは、約70℃以下の温度まで混合組成物を冷ます工程を含む;該プロセスは、混合組成物の包装、および/または混合組成物の出荷を含み、ここで混合組成物はペレットまたは他の粒子の形状にある;該プロセスは、エチレン含有重合体から揮発性材料を取り除く工程を含む;エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンの合計量は、混合組成物の約80重量パーセントから約100重量パーセントである;該プロセスは、混合組成物を含む層を有するフィルムを押出成形する工程を含む;結合層は、ポリオレフィン層とポリオレフィン層の間にはさまれ、それらと接触する;エチレン含有重合体の最高融解温度を超える、約20℃以上(好ましくは約40℃以上)の温度へのエチレン含有重合体の第1の加熱は、溶融混合工程の中にある;最高融解温度より高い温度から、最高融解温度よりも低い少なくとも約20℃(好ましくは少なくとも約40℃)の温度への、エチレン含有共重合体の第1の冷却は、冷却工程で行われる;または、該工程はインラインのプロセス(in-line process)である。
【0033】
本明細書の教示の別の態様は、本明細書の教示に係る方法で調製された重合体接着剤組成物(例えば、混合組成物)を対象とする。
【0034】
本明細書の教示の別の態様は、重合体接着剤組成物の層を含む多層フィルムなどの、多層重合体の物品のための重合体接着剤組成物(例えば、本明細書の教示に従って調製された混合組成物)の使用を対象とする。
【0035】
さらに、本明細書の教示の別の態様は、重合体接着剤組成物を(例えばペレットまたは他の粒子の形状で)含む密封包装を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ポリプロピレン層とポリエチレン層との間にはさまれた結合層を含む例示的なフィルムの断面図である。フィルムに追加の層があることが理解されよう。
図2図1のフィルムを展開した図であり、層の表面が見分けられる。
図3】2つ以上の結合層を含む例示的な多層フィルムの断面の図である。
図4】2つのポリオレフィン層にバリヤー層を接着させるための、バリヤー層および2つの結合層を含む例示的なフィルムの断面の図である。フィルムに追加の層があることが理解されよう。
図5】2つの異なるポリオレフィン層にバリヤー層を接着させるための、バリヤー層および2つの結合層を含む例示的なフィルムの断面の図である。フィルムに追加の層があることが理解されよう。
図6】フィルムのいくつかの特徴を例示する図であり、(A)にはポリオレフィン層が、(B)には異なるポリオレフィン層が含まれる。フィルムに追加の層があることが理解されよう。
図7】本明細書の教示に係る方法において使用され得る製造工程の特徴を示す、例示的な図である。
図8】本明細書の教示に係る方法において使用され得る製造工程の特徴を示す、例示的な図である。
図9】本明細書の教示に係る方法において使用され得る製造工程の特徴を示す、例示的な図である。
図10A】本明細書の教示に係る方法において使用され得る製造工程の特徴を示す、例示的な図である。
図10B】本明細書の教示に係る方法において使用され得る製造工程の特徴を示す、例示的な図である。
図11】ポリプロピレン共重合体層と高密度ポリエチレン(すなわちHDPE)層との間の、様々な結合層の接着を示す例示的なグラフである。
図12】バリヤー層とポリプロピレンホモポリマー層との間の、様々な結合層の接着を示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書の教示の1つの目的は、ポリエチレンまたはポリプロピレンへの接着性を有する重合体接着剤組成物、およびその製造方法を提供することである。好ましくは、重合体接着剤組成物はポリエチレンとポリプロピレンの両方への接着性を有する。本明細書の教示の別の目的は、重合体接着剤組成物を提供することであり、およびポリエチレンとポリプロピレンの両方に接着し、さらにバリヤー層物質(例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、またはその両方)にも接着する重合体接着剤組成物の製造方法を提供することである。重合体接着剤組成物は、好ましくはプロピレン系エラストマーおよびエチレン含有重合体を含む。重合体接着剤組成物の製造方法は、少なくともプロピレン系エラストマーおよびエチレン含有重合体を溶融混合する工程を含む。1つの好ましい態様では、該方法は、重合ライン(例えば、重合反応装置および仕上げラインを含む)においてエチレン含有重合体を重合する工程、および重合ラインに続いて、プロピレン系エラストマーと重合ラインで生じたエチレン含有重合体を溶融混合する工程を含む。そのため、該プロセスは、重合ラインにプロピレン系エラストマーを加える工程を含んでもよい。エチレン含有重合体は好ましくは、プロピレン系エラストマーと溶融混合するために装置に入れられた時に、反応装置後の原状である。該プロセスは好ましくは、溶融混合工程中に(例えば重合ラインで)、好ましくはプロピレン系エラストマーの最高融解温度より高い、および/またはエチレン含有重合体の最高融解温度より高い温度に、エチレン含有重合体を加熱する工程を含む。特に好ましい態様では、溶融混合の工程は、エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンの溶融混合を含む。例えば、該プロセスは、重合ラインにグラフトされたポリオレフィンを導入する工程を含んでもよい。好ましくは、グラフトされたポリオレフィンは、グラフトされた直鎖状低密度ポリエチレン、グラフトされた高密度ポリエチレン、またはグラフトされた低密度ポリエチレンなどの、グラフトされたポリエチレンである。
【0038】
一態様では、該プロセスは、グラフトされたポリオレフィン、エチレン含有重合体、およびプロピレン系エラストマーの全てが溶融するように十分高い温度で、グラフトされたポリオレフィン、エチレン含有重合体、およびプロピレン系エラストマーを溶融混合する工程を含む。溶融混合は、重合体を混合するのに十分なせん断を提供する混合装置で行われることが望ましいだろう。せん断速度および/またはせん断エネルギーが十分であれば、結果としてもたらされる混合組成物中のプロピレン系エラストマーの平均ドメインサイズ(例えば走査型電子顕微鏡によって測定される)は、約300μm以下、約100μm以下、約40μm以下、または約10μm以下である。プロピレン系エラストマーは、エチレン含有重合体と混和性であり、または約0.01μm以上、または約0.1μm以上の平均ドメインサイズを有し得る。
【0039】
一態様では、本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物は、1つ以上のプロピレン系エラストマーおよび1つ以上のポリエチレン樹脂を含む。プロピレン系エラストマーは典型的には、重合体接着剤組成物がポリプロピレンに接着するのに十分な量、存在する。ポリエチレン樹脂は典型的には、重合体接着剤組成物がポリエチレンに接着するのに十分な量、存在する。
【0040】
<グラフトされたポリオレフィン>
本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物は、付加的に1つ以上のグラフトされたポリオレフィンを含んでもよい。グラフトされたポリオレフィンが存在する場合、バリヤー層(例えば、ナイロンまたはエチレンビニルアルコール共重合体を含むバリヤー層)への接着性を提供するのに十分な量、存在するべきである。グラフトされたポリオレフィンは、1つ以上の官能性グラフトを有する単一のオレフィン単量体から実質的に成る(例えば、約96重量パーセント以上、約98重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、または約100重量パーセント)ホモポリマー、または1つ以上の官能性グラフトを伴う第1のオレフィン単量体の少なくとも70重量パーセントを含有する共重合体でもよい。好ましくは、グラフトされたポリオレフィンの重合体骨格は、1つ以上のオレフィンから実質的に成る、またはそれのみで構成される。例えば、グラフトされたポリオレフィンの重合体骨格中のオレフィン単量体の合計量は、約90重量パーセント以上、約95重量パーセント以上、または約98重量パーセント以上でもよい。グラフトされたポリオレフィンの重合体骨格中のオレフィン単量体の合計量は、約100重量パーセント以下でもよい。グラフトされたポリオレフィン用の好ましいオレフィンには、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンが含まれる。より好ましくは、グラフトされたポリオレフィンはエチレン(例えば、第1のオレフィン単量体として)を含み、および随意に、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクタンから成る群から選択される1つ以上の追加のオレフィン単量体を含む。グラフトされたポリオレフィンの骨格用の特に好ましいホモポリマーは、ポリエチレンホモポリマー(例えば、高密度ポリエチレン、または低密度ポリエチレン)である。共重合体中のエチレンの量は、好ましくは約60重量パーセント以上、より好ましくは約70重量パーセント以上、さらに好ましくは約75重量パーセント以上、さらに好ましくは約80重量パーセント以上、および最も好ましくは約84重量パーセント以上である。共重合体中のエチレンの量は、好ましくは約98重量パーセント以下、より好ましくは約96重量パーセント以下、さらに好ましくは約94重量パーセント以下、および最も好ましくは約92重量パーセント以下である。好ましくは、共重合体はランダム共重合体である。グラフトされたポリオレフィン用の好ましい共重合体の1つは、エチレンおよびプロピレンを含む、またはそれらから実質的に成る共重合体である。
【0041】
グラフトされたポリオレフィンは好ましくは、約50℃以上、より好ましくは約70℃以上、さらに好ましくは約90℃以上、および最も好ましくは約100℃以上の最高融解温度(例えば、約10℃/分の加熱速度においてASTM D3418.03による示差走査熱量測定によって測定される)を有する半結晶性重合体である。グラフトされたポリオレフィンの最高融解温度は、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約125℃以下、または約120℃以下で有り得る。
【0042】
グラフトされたポリオレフィンは好ましくは、約10パーセント以上、より好ましくは約15パーセント以上、さらに好ましくは約20パーセント以上、および最も好ましくは約25パーセント以上の結晶化度を有する。グラフトされたポリオレフィンは、約75パーセント以下、約60パーセント以下、約49パーセント以下、または約42パーセント以下の結晶化度を有し得る。
【0043】
本明細書に記載の結晶化度のパーセントは、ASTM D 3418.03またはISO 11357-3に従った示差走査熱量測定によって測定することができる。例えば、重合体のミリグラムサイズのサンプルを、アルミニウムDSCパン内に密封する。1分あたり25立方センチメートルの窒素置換でサンプルをDSCセルに入れ、および-100℃まで冷却した。サンプルに関する標準的な熱履歴を、10℃/分から225℃/分で加熱することにより設定する。その後、サンプルを(10℃/分で)-100℃まで冷却し、および10℃/分で225℃まで再加熱する。第2走査で観察された融解熱を記録する(ΔHobserved)。観察された融解熱を以下の方程式によって、サンプルの重量に基づいた結晶化度の重量パーセントと関係付ける:
【0044】
【化1】
【0045】
式中、ΔHknownは、重合体に関する、文献で報告され確立された基準値である。例えば、アイソタクチックポリプロピレンの融解熱は、B.Wunderlich(Macromolecular Physics,Volume 3,Crystal Melting,Academic Press,New York,1980,p.48)により報告されており、ポリプロピレン重合体のグラムあたりΔHknown=165ジュールである;およびポリエチレンの融解熱は、F.Rodriguez(Principles of Polymer Systems,2nd Edition,Hemisphere Publishing Corporation,Washington,1982,p.54)により報告されており、ポリエチレン重合体のグラムあたりΔHknown=287ジュールである;ΔHknown=165J/gの値は、約50モル%より多くのプロピレンモノマーを含む重合体に使用されてもよく、およびΔHknown=287J/gの値は、約50モル%より多くのエチレン単量体を含む重合体に使用され得る。
【0046】
グラフトされたポリオレフィンは、ポリオレフィンの骨格にグラフトされた、またはそうでなければ接着した、1つ以上の官能性グラフトを含む。官能性グラフトは、オレフィン重合体にグラフトされた1つ以上の酸素原子を含有する分子を指す。官能性グラフトは好ましくは、アルコール基、アミン基(例えば、第一級アミン、第二級アミンまたは第3級アミン)、またはその両方と反応することができる官能基を含む。例えば、官能性グラフトは、エチレンビニルアルコール共重合体、または他のアルコール含有重合体と共有結合可能であり得る。官能性グラフトは好ましくは、1つ以上のカルボキシル基、1つ以上の無水物基、1つ以上の水酸基、またはそれらの任意の組み合わせを含む。より好ましくは、官能性グラフトは、無水マレイン酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、フマル酸、4-メチルシクロヘクス(methylcylcohex)-4-エン-1,2ジカルボン酸、4-メチルシクロヘクス-4-エン-1,2ジカルボン酸無水物、無水ナジック酸(nadic anhydride)、無水ナジック酸アルキル(alkyl nadic anhydride)、無水ハイミック酸アルキル(alkyl himic anhydride)、無水ハイミック酸(himic anhydride)、アルキルノルボルネン、ノルボルネン、アルキルノルボルネンの無水物、ノルボルネンの無水物、マレーオ・プリマリック酸(maleo-primaric acid)、マレーオ・プリマリック酸の無水物、ビシクロオクタンカルボン酸、ビシクロオクタンカルボン酸の無水物、アルキルヒドロナフタレンジカルボン酸、アルキルヒドロナフタレンジカルボン酸の無水物、オキサジケトスピロノネン、ビシクロヘプタンジカルボン酸、ビシクロヘプタンジカルボン酸の無水物、およびそれらの任意の組み合わせ、から成る群から選択される。特に好ましい官能性の単量体は、無水マレイン酸、マレイン酸、またはその両方を含む、主成分にする、またはそれらのみで構成される。
【0047】
グラフトされたポリオレフィンは、重合体組成物がアルコール基および/またはアミン基を有する重合体層に接着できるように十分な量の官能性グラフトを有するべきである。官能性グラフトの量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは約0.01重量パーセント以上、より好ましくは約0.02重量パーセント以上、さらに好ましくは約0.04重量パーセント以上、および最も好ましくは約0.10重量パーセント以上である。官能性グラフトの量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは約3重量パーセント以下、より好ましくは約1.2重量パーセント以下、およびさらに好ましくは約1.0重量パーセント以下、および最も好ましくは約0.8重量パーセント以下である。
【0048】
重合体接着剤組成物中のグラフトされたポリオレフィンの量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、約0.1重量パーセント以上、約1重量パーセント以上、約3重量パーセント以上、約5重量パーセント以上、または約7重量パーセント以上であり得る。重合体接着剤組成物中のグラフトされたポリオレフィンの量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、約28重量パーセント以下、約25重量パーセント以下、約20重量パーセント以下、約18重量パーセント以下、約16重量パーセント以下、または約10重量パーセント以下であり得る。
【0049】
市販されているグラフトされたポリオレフィンの例には、PLEXAR 1000 Seriesの無水変性のEVAおよびLDPE樹脂剤、PLEXAR 2000 Seriesの無水変性HDPE樹脂、PLEXAR 3000無水変性LLDPE樹脂、PLEXAR 5000 Seriesの無水変性ポリオレフィン樹脂、およびPLEXAR 6000 Seriesの無水変性ポリプロピレン樹脂が含まれ、MSI TECHNOLOGY、LLCから商業的に入手可能である。これらのグラフトされたポリオレフィンは、約1~約8g/10分のメルトフローレートを有する(230℃/2.16kgで測定されるプロピレン系樹脂を除き、190℃/2.16kgで測定される)。
【0050】
<プロピレン系エラストマー>
重合体接着剤組成物は好ましくは、プロピレンおよび1つ以上のさらなるオレフィンを含む、それらを主成分にする、またはそれらのみで構成される1つ以上のプロピレン系エラストマーを含む。プロピレン系エラストマー中のプロピレンの量が低すぎる場合、熱可塑性ポリプロピレン(例えば、約30パーセントから約80パーセントの結晶化度を有するポリプロピレン樹脂)との十分な接着性および/または混和性がない場合もある。プロピレン系エラストマー中のプロピレンの濃度は、プロピレン系エラストマーの総重量に基づいて、好ましくは約70パーセント以上、より好ましくは約75パーセント以上、さらに好ましくは約80パーセント以上、および最も好ましくは約82パーセント以上である。プロピレン系エラストマーは、約100重量パーセント以下、約95重量パーセント以下、約90重量パーセント以下、または約93重量パーセント以下のプロピレン濃度を有し得る。
【0051】
1つ以上の追加のオレフィンは好ましくは、2つの炭素原子または4から12の炭素原子を有する1つ以上のα-オレフィンを含む。そのようなα-オレフィンの例には、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが含まれる。最も好ましくは、1つ以上の追加のオレフィンは、エチレンを含む、エチレンから実質的に成る、またはエチレンのみから成る。プロピレン系エラストマー中のα-オレフィンの合計量(例えばプロピレンとエチレンの合計量)は、プロピレン系エラストマーの総重量に基づいて、好ましくは約95重量パーセント以上、さらに好ましくは約98重量パーセント以上、および最も好ましくは99重量パーセント以上である。プロピレン系エラストマー中のα-オレフィンの合計量(例えばプロピレンとエチレンの合計量)は、100重量パーセント以下でもよい。
【0052】
プロピレン系エラストマーの結晶化度の低さは、共重合体の量、プロピレン重合体を伴う共重合体のランダム分布、プロピレン配列の立体規則性、またはそれらの任意の組み合わせによって達成され得る。
【0053】
プロピレン系エラストマーは実質的にアモルファスである、または完全にアモルファスで有り得る。好ましくは、プロピレン系エラストマーは、自由に流れる粒子としてペレット化可能、および/またはそうでなければ扱い可能(例えば、包装、出荷、ミキサーまたは押出機への導入、またはそれらの任意の組み合わせ)なように十分な量の結晶化度を有する。プロピレン系エラストマーの結晶化度は、ASTM D 3418.03またはISO 11357-3に従った示差走査熱量測定によって測定されるように、約0パーセント以上、約1パーセント以上、約2パーセント以上、約3パーセント以上、または約4パーセント以上であり得る。好ましくは、プロピレン系エラストマーの結晶化度は約5パーセント以上である。プロピレン系エラストマーの結晶化度は好ましくは約25パーセント以下、より好ましくは約20パーセント以下、さらに好ましくは約15パーセント以下、さらに好ましくは約12パーセント以下、さらに好ましくは約10パーセント以下、および最も好ましくは約8パーセント以下である。
【0054】
プロピレン系エラストマーは通常、プロピレンおよび重合体鎖に沿った追加のオレフィンのランダム配列分布を有し得る、または配列分布はランダム分布から逸脱し得る。モノマーユニットの分布状態は、B指標により特徴づけられ得、B指標は以下の式によって定義される:
【0055】
【化2】
【0056】
式中、Pはプロピレン、Aはプロピレンとは異なるαオレフィン、f(AP+PA)はAPとPAのダイアド分率の合計である;およびFとFはそれぞれ、共重合体中のAモノマーとプロピレンのモル分率である。
【0057】
B指標は理論上、0~2まで変動可能であり、1はコモノマーユニットの完全にランダムな分布に対応する。B指標が高ければ、コモノマー中のコモノマー分布状態はさらに互い違いになる。典型的には、より低いB指標は、共重合体中のよりブロック状または密集したコモノマー分布状態に対応する。好ましくは、プロピレン系エラストマーは通常、ランダム構造(例えば約0.75から約1.25のB指標)、または交互になった構造(例えば約1.25から約2.0のB指標)を有する。プロピレン系エラストマーのB指標は、好ましくは約0.75以上、より好ましくは約1.0以上、さらに好ましくは約1.25以上、さらに好ましくは約1.5以上、および最も好ましくは約1.7以上である。B指標は、約2.0以下、約1.95以下、約1.90以下、または約1.85以下でもよい。任意のプロピレン系エラストマーに関し好ましくは、コモノマーの所与のパーセンテージに対してプロピレンのブロックの長さが比較的短いだけでなく(例えば、統計上のランダム分布と比較)、非常に小さければ、重合体のコモノマー含量が非常に高くない限り、もしあるならば、3つ以上の連続するコモノマーの挿入の長い配列が共重合体中にある。
【0058】
プロピレン系エラストマーは好ましくは、約105℃以下、好ましくは約100℃以下、より好ましくは約90℃以下、および最も好ましくは約82℃以下の最高融解温度を有する(例えば、最高融解温度は約65℃以下でもよい)(例えば、-10℃/分の速度で230℃から約0℃までまず冷却された重合体の3mgのサンプルにおける、約10℃/分の速度での示差走査熱量測定によって測定)。プロピレン系エラストマーの最高融解温度は、好ましくは約30℃以上、およびより好ましくは約45℃以上である。
【0059】
プロピレン系エラストマーは、ASTM D 2240-05に従って、少なくとも約35、好ましくは少なくとも約45、より好ましくは少なくとも約55、および最も好ましくは少なくとも約60のショアA硬さを示し得る。ショアA硬さはさらに、約85以下、好ましくは約90以下、より好ましくは約85以下、およびさらに好ましくは約80以下である。例えば、プロピレン系エラストマーの硬さ(ショアA単位)は、約35~約90、より好ましくは約45~約80、およびさらに好ましくは約55~約80の範囲にあり得る。
【0060】
プロピレン系エラストマーは好ましくは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって特徴づけられる限られた分子量分布を有する。好ましくは、多分散性指数(すなわち数平均分子量に対する重量平均分子量の比率)は約5以下、より好ましくは約4以下、さらに好ましくは約3以下、さらに好ましくは約2.2以下、および最も好ましくは約1.6以下である。多分散性指数は、約1.0以上、約1.1以上、または約1.4以上であり得る。
【0061】
適当なプロピレン系エラストマーの例は、約50重量%を超える(例えば60重量%より大きい)プロピレンモノマー、および約5重量%を超えるエチレン単量体を含む柔らかい熱可塑性プラスチックを含み、および示差走査熱量測定によって測定される約35℃から約130℃(例えば約40℃から約110℃)の最高融解温度、および示差走査熱量測定によって測定される約25パーセント以下の結晶化度を特徴とし得る。そのようなエラストマーは、THE DOW CHEMICAL COMPANYからVERSIFY(登録商標)の名称で(例えば、2400、3000、3200、3300、3401および4301を含む)、およびEXXONMOBIL CHEMICAL COMPANYからVISTAMAXX(登録商標)の名称で(例えば、3000、3020FL、3980FL、6102、6102FL、6202、6202FLおよび6502を含む)、市販されている。
【0062】
プロピレン系エラストマーを調製する方法に、特に制限はない。プロピレン系エラストマーは、単一または複数段階の反応装置において、プロピレン、および2または4~約20の炭素原子を有するα‐オレフィン、好ましくはエチレンを共重合することにより得られる場合もある。重合方法は、高圧、スラリー、ガス、バルク、または溶液相、またはそれらの組み合わせを含む。重合プロセスは、従来のチーグラー・ナッタ触媒またはシングルサイト触媒、またはメタロセン触媒を用いてもよい。好ましくは、プロピレン系エラストマーはシングルサイト触媒またはメタロセン触媒によって調製される。使用される触媒は、高いISO特異度を有するものを含んでもよい。重合は、連続的プロセスまたはバッチプロセスによって実行されてもよく、および連鎖移動剤、捕捉剤、または適用可能と考えられる他の添加剤の使用を含んでもよい。
【0063】
プロピレン系エラストマーは、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは約5重量パーセント以上、より好ましくは約8重量パーセント以上、さらに好ましくは約14重量パーセント以上、および最も好ましくは約20重量パーセント以上の量で存在する。プロピレン系エラストマーは、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、好ましくは約55重量パーセント以下、より好ましくは約50重量パーセント以下、さらに好ましくは約45重量パーセント以下、および最も好ましくは約34重量パーセント以下の量で存在する。
【0064】
重合体接着剤組成物を製造するプロセスは、エチレン含有重合体とプロピレン系エラストマーを溶融混合する工程を含み得る。
【0065】
<ポリエチレン樹脂(すなわちエチレン含有重合体)>
重合体接着剤組成物は1つ以上のポリエチレン樹脂を含み得る。ポリエチレン樹脂(すなわちエチレン含有重合体)は、50重量パーセント以上のエチレン、および随意に1つ以上の追加の単量体を含む。1つ以上の追加の単量体は、1つ以上のα-オレフィンを含む、またはそれのみで構成される。特に好ましいα-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンを含む。エチレン含有重合体は好ましくは、グラフトされたポリオレフィンに関して本明細書に記載される官能性グラフトなどの、官能性グラフトを含まない。
【0066】
エチレン含有重合体は、エチレンおよび1つ以上の追加のα-オレフィン単量体から実質的に成る、またはそれらのみで構成されるポリエチレン共重合体を含んでもよい。エチレン含有重合体中のエチレンの量は、約55重量パーセント以上、約60重量パーセント以上、約65重量パーセント以上、約70重量パーセント以上、約80重量パーセント以上、約85重量パーセント以上、または約90重量パーセント以上でもよい。エチレン含有重合体中のエチレンの量は、約99重量パーセント以下、または約95重量パーセント以下でもよい。エチレン含有重合体中のエチレンおよびα-オレフィンコモノマーの合計量は、エチレン含有重合体の総重量に基づき、好ましくは約95重量パーセント以上、より好ましくは約97重量パーセント以上、および最も好ましくは約99重量パーセント以上である。ポリエチレン樹脂中のエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンの合計量は、約100重量パーセント以下でもよい。より好ましくは、エチレン含有重合体中のエチレン、ヘキセン、オクテンおよびブテンの合計量は、エチレン含有重合体の総重量に基づき、約95重量パーセント以上、約98重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、または約100重量パーセントである。
【0067】
エチレン含有重合体は、短鎖分岐(例えば、1つ以上の高αオレフィンによる共重合由来)を有する、または短鎖分岐を主成分としない、または全く含まないことを特徴とする場合もある。(本明細書に記載されるような)ポリエチレン共重合体であるエチレン含有重合体は好ましくは、約1以上、約3以上、約10以上、約15以上である、重合体骨格に沿った短鎖分岐の平均濃度を有する(骨格炭素原子1000あたりの短鎖分岐数により測定)。ポリエチレン共重合体中の短鎖分岐の平均濃度は、約200以下、約100以下、約80以下、または約50以下の場合もある。好ましくは、短鎖分枝は、約15炭素原子以下の長さ、約7炭素原子以下の長さ、または約5炭素原子以下の長さを有する。
【0068】
エチレン含有重合体は好ましくは、約50℃以上、より好ましくは約80℃以上、さらに好ましくは約100℃以上、および最も好ましくは約110℃以上の最高融解温度(例えば、約10℃/分の加熱速度においてASTM D3418.03に従った示差走査熱量測定によって測定される)を有する半結晶性重合体である。エチレン含有重合体の最高融解温度は、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約125℃以下、または約120℃以下で有り得る。
【0069】
エチレン含有重合体は好ましくは、約15パーセント以上、より好ましくは約20パーセント以上、さらに好ましくは約25パーセント以上、および最も好ましくは約30パーセント以上の結晶化度を有する。エチレン含有重合体は、約75パーセント以下、約60パーセント以下、約49パーセント以下、または約42パーセント以下の結晶化度を有し得る。
【0070】
エチレン含有重合体の例には、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、および超低比重ポリエチレン(VLDPE)が含まれる。
【0071】
使用され得るエチレン含有重合体の他の例には、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、およびメタクリル酸メチルから成る群から選択されるエチレンおよび1つ以上の極性コモノマーの共重合体を含む。極性コモノマーを含むエチレン含有重合体は、好ましくは約60重量パーセント以上、より好ましくは約70重量パーセント以上、および最も好ましくは約75重量パーセント以上のエチレンを含む。エチレンの量は、約99.9重量パーセント以下、約99重量パーセント以下、または約95重量パーセント以下であり得る。1つ以上の極性コモノマーの量は、約0.1重量パーセント以上、約1重量パーセント以上、約5重量パーセント以上、約10重量パーセント以上、または約20重量パーセント以上であり得る。
【0072】
重合体組成物中の1つ以上のエチレン含有重合体の量は、好ましくは約40重量パーセント以上、より好ましくは約45重量パーセント以上、さらに好ましくは約50重量パーセント以上、および最も好ましくは約55重量パーセント以上である。重合体組成物中の1つ以上のエチレン含有重合体の量は、好ましくは約90重量パーセント以下、より好ましくは約85重量パーセント以下、さらに好ましくは約80重量パーセント以下、および最も好ましくは約75重量パーセント以下である。
【0073】
特に好ましい直鎖状低密度ポリエチレンは、LYONDELLBASSELLから市販されているPETROTHENE(登録商標)GA502024である。
【0074】
PETROTHENE(登録商標)GA502024の直鎖状低密度ポリエチレンは、少なくとも70重量パーセントのエチレン、およびコモノマー、すなわち1-ブテンを含む共重合体である。ポリエチレン樹脂は、約0.918g/cm3の密度(ASTM D1505に従って測定)、約2.0g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kgにおいてISO 1133に従って測定)、縦方向の破断時の伸び率が約750%、および横方向では約800%、縦方向の引張強度が約33.8MPa、および横方向では約24.8MPa(約38.1μmの厚さのフィルム上で、ASTM D882に従って測定);縦方向の割線弾性係数が約221MPa、および横方向が約248MPa(ASTM D638に従って測定)、を有する。
【0075】
重合体接着剤組成物を調製するプロセスは、エチレン含有重合体を重合する工程、および重合ラインの仕上げ工程において混合組成物を成形する工程を含むインラインのプロセスでもよい。
【0076】
<ポリプロピレン樹脂>
本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物は、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含んでもよい。ポリプロピレン樹脂はホモポリマー、または共重合体でもよい。ポリプロピレン樹脂は典型的には、約60重量パーセント以上のプロピレンを含み、および随意に1つ以上のさらなる単量体を含む。1つ以上のさらなる単量体は好ましくは、プロピレンとは異なる1つ以上のα-オレフィンを含む、または実質的に成る(例えば、1つ以上のさらなる単量体の総重量の少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)、またはそれのみで構成される。ポリプロピレン共重合体は、約100重量パーセント以下、約96重量パーセント以下、約94重量パーセント以下、約92重量パーセント以下、または約90重量パーセント以下のプロピレン濃度を有し得る。
【0077】
好ましいポリプロピレン樹脂は、示差走査熱量測定によって測定されるように、30パーセント以上の結晶化度を有する半結晶性重合体である。ポリプロピレン樹脂は一般的にプロピレン系エラストマーの結晶化度より大きい結晶化度を有する。ポリプロピレン樹脂の結晶化度は好ましくは、約35パーセント以上、およびより好ましくは約40パーセント以上である。ポリプロピレン樹脂の結晶化度は約80パーセント以下、または約65パーセント以下であり得る。ポリプロピレン樹脂の結晶性は、好ましくはアイソタクチックポリプロピレン配列由来である。ポリプロピレン樹脂は一般的にプロピレン系エラストマーの最高融解温度より高い最高融解温度を有する。ポリプロピレン樹脂は好ましくは、示差走査熱量測定によって測定されるように、約130℃以上、より好ましくは約140℃以上、さらに好ましくは約145℃以上、および最も好ましくは約150℃以上の最高融解温度を有する。ポリプロピレン樹脂は、約170℃以下の最高融解温度を有する場合もある。ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー(例えばアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー)またはポリプロピレン共重合体でもよい。ポリプロピレン樹脂用のポリプロピレン共重合体の例には、ランダムポリプロピレン共重合体(例えば、約60重量パーセント以上、約80重量パーセント以上、約90重量パーセント以上、約94重量パーセント以上、または約96重量パーセント以上のプロピレンを含む)、およびアイソタクチックポリプロピレン(例えばアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー)中に分布するエラストマー相を有するインパクトポリプロピレン共重合体が含まれる。
【0078】
例えば、ポリプロピレン樹脂は、約30パーセント以上の結晶化度を有するランダム共重合体でもよい。1つ以上のポリプロピレン樹脂が重合体接着剤組成物中にある場合、その量は好ましくは最大で約35重量パーセントである。ポリプロピレン樹脂の量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、約30重量パーセント以下、約20重量パーセント以下、約15重量パーセント以下、または約10重量パーセント以下でもよい。1つ以上のポリプロピレン樹脂の量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、約0重量パーセント以上、約5重量パーセント以上、または約7重量パーセント以上でもよい。
【0079】
ポリプロピレン樹脂は好ましくは、フィルムの層として押し出すのに適した流動特性を有する。例えば、ポリプロピレン樹脂は、約0.2以上、約0.4以上、約0.6以上、または約0.8以上、および/または約50以下、約20以下、約8以下、または約5以下のメルトフローレートを有し得る(g/10分の単位で、ISO 1133に従い230℃/2.16kgで測定)。ポリプロピレン樹脂は好ましくは、フィルムに所望のレベルの剛性を付与するのに十分なだけ堅い。例えば、ポリプロピレン樹脂は、ASTM D790A、1%の正割に従って測定されるように、約200以上のMPa、好ましくは約400以上のMPa、さらに好ましくは約700以上のMPa、および最も好ましくは約1000以上のMPaの曲弾性率によって特徴づけられ得る。このように測定された曲弾性率は、典型的には約4500MPa以下、または約2500MPa以下である。ポリプロピレン樹脂は、好ましくは約0.83g/cm3以上、より好ましくは約0.86g/cm3以上、および最も好ましくは約0.88g/cm3以上の密度を有する。ポリプロピレン樹脂は、好ましくは約1.06g/cm3以下、より好ましくは約0.99g/cm3以下、および最も好ましくは約0.94g/cm3以下の密度を有する。ポリプロピレン樹脂は、PP 3276(Total Petrochemicalsから市販されている)などのフィルム用銘柄、約0.905g/cm3の密度(ASTM D1505に従って測定)、約1.8g/10分のメルトフローレート(230℃/2.16kgで、ISO 1133に従って測定)、約1.2GPaの曲弾性率(例えばASTM D790に従って測定)、約163℃の最高融解温度(示差走査熱量測定によって測定)、および40パーセントを超える結晶化度(示差走査熱量測定によって測定)を有するポリプロピレンホモポリマーでもよい。
【0080】
<重合体接着剤組成物の特性>
重合体接着剤組成物は好ましくは、射出成形、ブロー成形、または押出成形などの1つ以上の高分子加工方法によって加工するのに適した溶融挙動を有する。好ましくは、重合体接着剤組成物はフィルム押出成形プロセスを使用して押出成形され得る。重合体接着剤組成物のメルトフローレートは、約0.2g/10分以上、約0.5g/10分以上、約0.8g/10分以上、または約1.0g/10分以上であり得る。重合体接着剤組成物のメルトフローレートは、好ましくは約200g/10分以下、より好ましくは約60g/10分以下、さらに好ましくは約20g/10分以下、さらに好ましくは約10g/10分以下、および最も好ましくは約5g/10分以下であり得る。重合体接着剤組成物のメルトフローレートは、2.16kgの負荷、約190℃の温度で、ISO 1133に従って測定され得る。好ましくは、組成物の成分は、結果として得られる重合体接着剤組成物が先に論じたようなメルトフローレートにより特徴付けられるように選択される。そのような選択には、成分の1つ以上の特性の考察が含まれ得る(例えば、メルトフローレート、長連鎖分岐、組成物、分子量および、分子量分布)。
【0081】
グラフトされたポリオレフィン、プロピレン系エラストマー、ポリエチレン樹脂(すなわちエチレン含有重合体)および任意のポリプロピレン樹脂の合計量は好ましくは、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて約95パーセントから約100パーセントの重量である。より好ましくは、グラフトされたポリオレフィン、プロピレン系エラストマーおよびポリエチレン樹脂の合計量は、重合体接着剤組成物の総重量に基づいて、約95パーセントから約100パーセントの重量である。
【0082】
本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物は、食品包装用のフィルムなどの食品包装に使用されるのが望ましいだろう。そのため、重合体接着剤組成物は好ましくは低レベルの抽出性を有する。例えば、抽出の量は、脂肪、水、肉製品、酪農製品、ベビーフード、またはそれらの任意の組み合わせを含む食品製品を包装するのに十分なだけ低いだろう。好ましくは、抽出レベルは(例えば米国、日本またはヨーロッパの)食品包装に関する1つ以上の要件を満たす。抽出レベルは、重合体接着剤組成物、または本明細書に記載されるような重合体接着剤組成物の層を含むフィルム上で判定されてもよい。
【0083】
<充填材>
重合体組成物は、好ましくは充填材を主成分としない、または全く含まない。例えば、充填剤がある場合、その量は、好ましくは約7重量パーセント以下、より好ましくは約5重量パーセント以下、さらに好ましくは約3重量パーセント以下、および最も好ましくは約1重量パーセント以下である。充填剤の使用は、重合体組成物の加工性能に影響を与えるかもしれない。例えば、重合体組成物は充填剤を含まない、またはフィルムプロセスで押出成形され得るのに十分に低い量の充填材を含み得る。同様に、重合体組成物中の重合体の合計量は、重合体組成物の総重量に基づいて、約93重量パーセント以上、約95重量パーセント以上、約97重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、または約100重量パーセントでもよい。
【0084】
<添加剤>
重合体組成物は随意に1つ以上の添加剤を含んでもよい。添加剤は、ポリオレフィン組成物に使用される添加剤のいかなるものをも含み得る。例えば、添加剤は以下の1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る:光安定剤、加工助剤、酸化防止剤、加工安定剤、流動助剤、滑剤、顔料または他の着色剤、成核剤、または熱安定剤。1つ以上の添加剤が存在する場合、その合計量は、重合体組成物の総重量に基づいて、好ましくは約5重量パーセント以下、より好ましくは約3重量パーセント以下、および最も好ましくは約2重量パーセント以下である。1つ以上の添加剤の量は、重合体組成物の総重量に基づいて、約0.0重量パーセント以上、約0.1重量パーセント以上、約0.2重量パーセント以上、または約0.4重量パーセント以上でもよい。
【0085】
<フィルム>
本明細書の教示に係るフィルムは、本明細書の教示に係るプロピレン系エラストマーなどのプロピレン系エラストマーを含む少なくとも1つの結合層を含む。例えば、結合層は、本明細書の教示に係る重合体組成物を含んでもよい。
【0086】
<2つの異なる重合体層(例えば2つの異なるポリオレフィン層)を有するフィルム>
結合層は、第1の重合体の1つ以上で成形された第1の層、および第1の重合体とは異なる第2の重合体の1つ以上で成形された第2の層の間にはさまれ得る。
【0087】
第1の重合体は1つ以上のポリエチレン樹脂(本明細書の教示に係るポリエチレン樹脂など)を含み、および第2の重合体は1つ以上のプロピレン樹脂(本明細書の教示に係るプロピレン樹脂など)を含み得る。好ましくは、第1の層は60重量パーセント以上のポリエチレン樹脂を含む。好ましくは、第2の層は60重量パーセントのポリプロピレン樹脂を含む。結合層は好ましくは、第1の層および第2層の両方と直接接触する。結合層は好ましくは、約50重量パーセント以上のポリエチレン樹脂(本明細書の教示に係るポリエチレン樹脂など)および10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマー(本明細書の教示に係るプロピレン系エラストマーなど)を含む。好ましくは、プロピレン系エラストマーは完全なアモルファスである、または最大で約25パーセントの結晶化度を有する。第1の層は1つ以上のポリエチレン樹脂から実質的に成る、またはそれのみで構成される;および/または、第2の層は1つ以上のポリプロピレン樹脂から実質的に成る、またはそれのみで構成されることが理解されよう。2つのポリオレフィン層間で使用される時、結合層は好ましくはグラフト重合体を実質的に含まない、または全く含まない。例えば、結合層内のグラフト重合体の量は約0重量パーセントまたは最大で0.2重量パーセントであり得る。結合層はポリエチレン樹脂およびプロピレン系エラストマーから実質的に成る、またはそれらのみで構成される。結合層は付加的にポリプロピレン樹脂を含んでもよい。例えば、結合層は、ポリエチレン樹脂、プロピレン系エラストマーおよびポリプロピレン樹脂から実質的に成る、またはそれらのみで構成される。
【0088】
プロピレン系エラストマーを含む結合層は、1つ以上のポリオレフィンホモポリマーまたは共重合体を含有する第1のオレフィン重合体層;60重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2のオレフィン重合体層;第1および第2のオレフィンの重合体層の間にはさまれたバリヤー層;および第1のオレフィン重合体層とバリヤー層との間にはさまれた第1の結合層を含むフィルムで使用され得る。フィルムは好ましくは、第2のオレフィン重合体層とバリヤー層との間にはさまれ、およびそれらと直接接触する第2の結合層を含む。結合層は好ましくは、本明細書の教示に係る重合体の組成物を含む(すなわち、少なくともグラフトされたポリオレフィン、ポリエチレン樹脂、およびプロピレン系エラストマーを含む)。第1のオレフィン重合体層は好ましくは、約60重量パーセント以上の1つ以上のポリプロピレン樹脂、または約60重量パーセント以上の1つ以上のポリエチレン樹脂を含む。好ましくは、第1の結合層は、第1のオレフィン重合体層および/またはバリヤー層と直接接触する。第1の結合層と第2の結合層が同じ重合体組成物を有するように(例えば、オレフィンの第1と第2の重合体層が同じか違うかに関わらず)、結合層は異なるポリオレフィンへの接着に関して強固であり得ることが理解されよう。オレフィン層とバリヤー層の間の破壊が結合層とバリヤー層の間の境界に主としてまたは全て現われれば、オレフィン重合体層への結合層の接着は十分であろう。
【0089】
第1の層と第2の層の間にはさまれた結合層を含むフィルムは、第1の層および第2層に直接接触する結合層を含み得る。好ましくは、結合層は、約40重量パーセント以上のポリエチレン、および約2パーセントから約25パーセントの結晶化度を有する10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含む。好ましくは、フィルムは約50μm以下の総厚みを有し、および結合層の厚さは総厚みの約20パーセント以下である。
【0090】
好ましくは、本明細書の教示に係るフィルムは、約2000μm以下、より好ましくは約1200μm以下、さらに好ましくは約800μm以下、さらに好ましくは約200μm以下、さらに好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約50μm以下、および最も好ましくは約30μm以下の総厚みを有する。典型的には、フィルムの総厚みは約2μm以上、好ましくは8μm以上、およびより好ましくは約15μm以上である。
【0091】
典型的には、結合層は比較的薄層である。例えば、フィルム中の1つ以上の結合層の総厚みは、フィルムの総厚みの約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下である。1つ以上の結合層の総厚みは、フィルムの総厚みの約1%以上、約2%以上、約4%以上、約6%以上である。
【0092】
本明細書の教示に係るフィルムは、明澄、透明、半透明、不透明、または着色されていてもよい。フィルムは1つ以上の追加の層、1つ以上のコーティング、または両方を含んでもよい。一態様では、フィルムは、包装内の内容物の一部または全てを識別するための包装に使用できるように、十分に明澄である。
【0093】
本明細書の教示に係るフィルムは、食品包装などの抽出要件(例えば、重合体組成物に関して本明細書で論じられる)を満たす、または超越し得る。
【0094】
<フィルムのプロセス>
本明細書の教示に係る重合体組成物および結合層は、多層フィルムのプロセスで使用され得る。
【0095】
例えば、プロセスは、少なくともバリヤー層、ポリプロピレン樹脂を含む表面薄層、およびバリヤー層と表面薄層の両方に直接接触する結合層を含む第1のフィルムを押出成形する工程を含んでもよく、ここで結合層はプロピレン系エラストマー、グラフトされたポリオレフィン、およびポリエチレン共重合体を含む。結合層は、重合体組成物に関して本明細書で論じられるように、好ましくは1つ以上の特徴を含む。プロセスは、第1の表面薄層をポリエチレン樹脂を含む材料に取り換える設備と同じ設備を使用して第2のフィルムを押出成形する工程を含んでもよく、および同じ結合層が第2のフィルムで使用される。同じ材料が2つの結合層に対して使用される場合、同じ押出機を使用して2つの結合層を押出成形することが可能であり得ると理解されよう。
【0096】
本明細書の教示に係るフィルムは、図1、2、3、4および5に例示されるように、通常3つ以上の別個の層を含む。層の各々は好ましくは、厚み、および厚み方向に垂直な対向面表面を有する。フィルムの厚さは変動してもよいが、通常は好ましくは均一である(例えば、厚みの変動は約50%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、または約5%以下)。フィルムの厚さにおける変動は約0%以上であり得る。図1に例示されるように、フィルム(10)は、2つのポリオレフィン層(12)、(16)の間にはさまれた結合層(14)を含んでもよい。好ましくは、2つのポリオレフィン層は異なる材料で成形される。例えば、多層フィルム(10)は、少なくとも約60重量パーセントのエチレンを有する第1のポリオレフィンを含む第1の熱可塑性ポリオレフィン層(12)を含んでもよい。例えば、第1のポリオレフィンは、ポリエチレン結晶の構造的特徴を有する結晶相を含む半結晶性重合体でもよい。図1に関して、多層フィルム(10)は、60重量パーセント以上のポリプロピレンを含み、および/または約20パーセント以上の結晶化度を有する第2のポリオレフィンを含む第2の熱可塑性の層(16)を含んでもよい。第2のポリオレフィンは好ましくは、アイソタクチックポリプロピレン結晶の構造的特徴を持った結晶相を有する半結晶性重合体である。図1および2に関しこれらの図に例示されるように、第1の熱可塑性ポリオレフィン層(12)は結合層の面表面(21)と接する面表面(24)を有してもよく、および第2の熱可塑性ポリオレフィン層(14)は、結合層の対向面表面(22)に接する面表面(25)を有してもよい。第1の熱可塑性ポリオレフィン層(12)は、別の層(図示せず)に接する、または多層フィルム(10)の外側表面である(図1および2に示される等の)、対向面表面(12)を有してもよい。第2の熱可塑性ポリオレフィン層(16)は、別の層(図示せず)に接する、または多層フィルム(10)の外側表面(図1および2に示される等の)である、対向面表面(26)を有してもよい。好ましくは、隣接層はそれらの対向面の実質的に全体にわたって互いに接触している(例えば(21)と(24);および(22)と(25))。図3に例示されるように、フィルムは複数の結合層を含んでもよい。
【0097】
多層フィルム(10’)、(20)は、図3、4および5に例示される2つ以上の結合層(14)、(14’)を含んでもよい。好ましくは、結合層(14)、(14’)の各々は少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン層(12)、(16)と接する表面を有する。各結合層(14)は、図3に例示される2つの熱可塑性ポリオレフィン層(12)、(16)と直接接触してもよい。各結合層(14’)は、図4および図5に例示されるように、第1の面表面に沿って1つの熱可塑性ポリオレフィン層(12)、(16)と直接接触し、および対向面表面に沿ってバリヤー層(18)と直接接触してもよい。好ましいバリヤー層(18)は、図4および5に例示されるように、別々に間隔を置いた結合層(14’)の間にはさまれ、およびそれらと直接接触する。
【0098】
本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物は、図6に例示されるように、異なるフィルム構造間のより効果的な遷移を可能にし得る。例えば、第1のフィルム構造は熱可塑性ポリオレフィン層(構造A)を含み、および第2のフィルム構造は異なる熱可塑性ポリオレフィン層(構造B)を含んでいる場合もある。例として、そのプロセスはポリプロピレン層をポリエチレン層に、またはその逆に取り替える工程を含んでもよい。好ましくは、熱可塑性ポリオレフィン層における変更は、結合層(42)を変更せずに、バリヤー層を変更せずに、またはその両方で達成される。
【0099】
<インラインのプロセス>
【0100】
重合体接着剤組成物を製造する方法は、エチレン含有重合体を含む反応生成物を成形するために、反応装置でエチレンを含む1つ以上の単量体を重合する工程を含んでもよい。重合反応は、ポリエチレンホモポリマーまたはポリエチレン共重合体を重合するのに適した任意の重合反応方法でよい。例えば、重合反応は、液剤(例えば、1つ以上の単量体および溶媒を含む)で、または流動層反応装置(例えば、ガスの流れによって懸濁している重合体の粒子を有する)で、またはスラリーまたは乳剤で行われてもよい。エチレン含有重合体は、本明細書に記載されるような最高融解温度を有し得る。プロセスは、反応生成物(例えばエチレン含有重合体)を未反応の単量体から、溶媒から、分散媒から、またはそれらの任意の組み合わせから分離する工程を含んでもよい。エチレン含有重合体が重合反応装置から取り除かれた時、それは好ましくは最初の個体状態(例えば 原状)にある。重合反応は、仕上げ工程として言及される場合もある1つ以上の後処理工程を含む重合ラインで起こる場合もある。インラインのプロセスにおいて、後処理工程は好ましくは、重合体が重合反応装置から取り除かれた直後に行われる。例えば、仕上げ工程は好ましくは、重合体を包装および/または輸送することなく行われる。仕上げ工程は好ましくは、重合反応と同じ施設で行われる。重合体が反応装置から取り除かれてから、仕上げ工程にかけられるまでの経過時間は、好ましくは約24時間以下、より好ましくは約4時間以下、さらに好ましくは約1分以下、および最も好ましくは約30分以下である。例えば、プロセスは、重合体が重合反応装置から連続的に取り除かれ、そして直ちに1つまたは一連の仕上げ工程にかけられる連続プロセスであり得る。プロセスは、エチレン含有重合体を1つ以上の他の重合体と溶融混合するための装置(例えば配合装置)にエチレン含有重合体を導入する工程を含んでもよい。好ましくは、プロピレン系エラストマーは、エチレン含有重合体と溶融混合するために装置に導入される。いくつかの態様では、グラフトされたポリオレフィンもまた、エチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーと溶融混合するために装置に導入され得る。好ましくは、エチレン含有重合体はまず配合装置で溶融される、または配合装置に入れる前に溶融される(例えば、その最高融解温度より熱くする)。プロセスは好ましくは、少なくともエチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーの混合溶融を含む仕上げ工程を含む。いくつかの態様では、プロセスは、少なくともエチレン含有重合体、プロピレン系エラストマーおよびグラフトされたポリオレフィンの混合溶融を含む仕上げ工程を含む。好ましくは、エチレン含有重合体はまず、溶融混合工程の間に、または溶融混合工程の直前に、その最高融解温度を超える温度まで加熱される。プロセスは、別個の物質として、中間混合物として、またはプロピレン系エラストマーの粒子および1つ以上の追加の重合体の異なる粒子を含む粒子混合物として、プロピレン系エラストマーおよび1つ以上の追加の重合体(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、約100℃の融解温度を有するポリプロピレン共重合体、アイソタクチックポリプロピレンを含むインパクトポリプロピレン共重合体、グラフトされたポリオレフィン、またはそれらの任意の組み合わせ)を加える工程を含んでもよい。混合は結果として混合組成物をもたらし得る。好ましくは、混合組成物は、エチレン含有重合体の連続的なマトリックス全体にわたって分布するプロピレン系エラストマーの領域を含む。プロセスは、配合装置から混合組成物を取り除く工程を含み得る。プロセスは、混合組成物を冷却する仕上げ工程を含み得る。混合組成物の冷却は好ましくは、エチレン含有重合体の少なくとも一部が結晶化するのに十分な低い温度で行われる。好ましくは、重合反応装置から取り出された後のエチレン含有重合体の一部の第1の結晶化は、混合組成物の冷却に際し行われる。例えば、エチレン含有重合体の最高融解温度を超え、続いてその最高融解温度より低くなる、エチレン含有重合体の第1の熱サイクルは、混合組成物の冷却を含む1つ以上の仕上げ工程で行われてもよい。
【0101】
仕上げ工程は、混合組成物、または各々が少なくともエチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーを含む他の成形粒子をペレット化する工程を含んでもよい。仕上げ工程は、混合組成物を包装する工程を含んでもよい(例えば、ペレットまたは他の粒子の形状で)。
【0102】
プロセスは、混合組成物を成形するために、エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンを含む複数の重合体を溶融配合する工程を含む。混合組成物は、重合体押出機のスクリューバレルアセンブリに導入するのに適したサイズのペレットまたは他の粒子へと成形される。結果としてもたらされる混合組成物が190℃/2.16kgにおいて、ISO 1133に従って測定される約0.3から15g/10分(好ましくは0.5から5g/10分)のメルトフローレート有するように、エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、およびグラフトされたポリオレフィンは好ましくは選択される。
【0103】
好ましくは、混合組成物(例えば重合体接着剤組成物)は、混合組成物の総重量に基づき、または混合組成物中の重合体の総重量に基づいて、約30重量パーセントから約85重量パーセントのエチレン含有重合体を含む。好ましくは、混合組成物は、混合組成物の総重量に基づき、または混合組成物中の重合体の総重量に基づいて、約10重量パーセントから約50重量パーセントのプロピレン系エラストマーを含む。グラフトされたポリオレフィンを含む混合組成物は好ましくは、混合組成物の総重量に基づいて、約3から約40重量パーセントの量のグラフトされたポリオレフィンを含む。
【0104】
溶融混合工程は、約110℃以上、好ましくは約130℃以上、さらに好ましくは約150℃以上、および最も好ましくは約170℃以上の温度への、エチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーの加熱を含んでもよい。溶融混合工程は好ましくは約350℃以下、およびさらに好ましくは約300℃以下の温度で行われる。
【0105】
プロセスは、約100℃以下、好ましくは約80℃以下、より好ましくは約70℃以下、および最も好ましくは約50℃以下の温度に、混合組成物を溶解状態から冷却する工程を含んでもよい。好ましくは、混合組成物の粒子が塊にならないように、混合組成物は十分に低い温度まで冷却される。
【0106】
好ましくは、エチレン含有重合体の最高融解温度を超える、約20℃以上(好ましくは約40℃以上)の温度へのエチレン含有重合体の第1の加熱は、溶融混合工程内にある。好ましくは、最高融解温度より高い温度から、最高融解温度よりも低い少なくとも約20℃(好ましくは少なくとも約40℃)の温度への、エチレン含有共重合体の第1の冷却は、溶融混合工程に続く冷却工程で行われる。
【0107】
好ましくは、エチレン含有重合体の熱履歴への暴露は、重合工程から溶融混合工程に至る間に減らされる、または最小化される。
【0108】
好ましくは、エチレン含有重合体は溶融混合に先立ってペレット化されない。好ましくは、エチレン含有重合体は溶融混合に先立って出荷のための包装をされない。好ましくは、エチレン含有重合体は溶融混合に先立って輸送されない(ライン内の設備を除く)。好ましくは、配合用の装置に供給された時、エチレン含有重合体は、重合反応装置から取り出された時(またはそのすぐ後、分離工程後など)の形状と実質的に同一の形状である。例えば、プロセスは、エチレンを含む1つ以上の未反応の単量体から流動層反応装置の反応生成物(例えば、エチレン含有重合体を含む)を分離する工程を含んでもよい。そのような分離の後、反応生成物は好ましくは粉末状態である。好ましくは、エチレン含有重合体が重合反応装置から取り除かれてから溶融混合が開始されるまでの時間は約2000分以下であり、より好ましくは約50分以下、さらに好ましくは約20分以下、さらに好ましくは約12分以下、および最も好ましくは約7分以下である。
【0109】
溶融混合工程には、エチレン含有重合体内に分散したプロピレン系エラストマーを有する混合組成物を成形するのに十分なせん断および/または熱を提供するのに適した装置を使用してもよい。装置は、配合短軸押出機、密閉式混合機、ニーダー、二軸押出機、または重合体の配合に適した他の任意の配合装置などの配合装置でもよい。重合体は、装置に導入される前に加熱されてもよく、および/または装置内で加熱されてもよい。配合装置はバレルアセンブリ内に1つ以上のスクリューを含んでもよい。好ましくは、溶融混合工程は連続的なプロセス内にある。好ましくは、エチレン含有重合体がその最高融解温度より高い温度にある時間(例えば、重合ラインの1つ以上の仕上げ工程の間)は、好ましくは約30分以下、より好ましくは約15分以下、さらに好ましくは約6分以下、さらに好ましくは約4分以下、および最も好ましくは約3分以下である。
【0110】
混合組成物は重合体接着剤組成物と同じである、または異なる場合もある。例えば、プロセスは、混合組成物に1つ以上の追加の成分を加える工程を含んでもよい(例えば、仕上げ工程で、または全ての仕上げ工程の完了後に)。好ましくは、それ以上の配合工程が必要ないように、混合組成物は重合体接着剤組成物と同じである。
【0111】
重合体混合組成物を製造する方法(110)は、図7に例示されるように、エチレン含有重合体(113)の重合工程(112)を含み得る。エチレン含有重合体の重合後、該方法は、重合体混合組成物(117)を成形するために、エチレン含有重合体(113)を少なくともプロピレン系エラストマー(114)と溶融混合する工程(116)を含み得る。プロセスは、混合組成物(117)を冷却する工程(118)を含み得る(例えば、少なくともエチレン含有重合体(113)の一部を結晶化するために)。エチレン含有重合体(113)は、溶融混合(116)の直前には、好ましくは反応装置前の原状にある(例えば、先の熱サイクルを持たない溶融状態、または重合中に成形された固形状態)。好ましくは、エチレン含有重合体(113)は、溶融混合工程(116)用の装置で、その融解温度より高い(すなわちその最高融解温度を超える)温度にまず加熱される。好ましくは、少なくともエチレン含有重合体の一部の第1の結晶化は、重合反応装置から取り除かれた後に、混合組成物の冷却工程で行われる。例えば、エチレン含有重合体(113)の最高融解温度より高い温度へ(例えば、その融解温度よりも少なくとも約20℃、または40℃高い温度へ)、その後その最高融解温度より低い温度へ(例えば、その溶解温度よりも少なくとも20℃、または少なくとも40℃低い温度へ)の、エチレン含有重合体(113)の第1の熱サイクルは、溶融混合工程(116)および冷却工程(118)で行われ得る。
【0112】
重合体混合組成物を製造する方法(120)は、図8に例示されるように、エチレン含有重合体(113)の重合工程(112)を含み得る。エチレン含有重合体の重合後、該方法は、重合体混合組成物(125)を成形するために少なくともプロピレン系エラストマー(114)(図示せず)および1つ以上の追加の重合体(115)(図示せず)を含む、少なくとも中間混合物(122)または中間溶融混合物(122’)と、エチレン含有重合体(113)を溶融混合する工程(124)を含み得る。1つ以上の追加の重合体(115)は好ましくは、グラフトされたポリオレフィン(好ましくはグラフトされたポリエチレン)、ポリプロピレンホモポリマー、インパクトポリプロピレン共重合体(例えば、アイソタクチックポリプロピレンを含み、および約140℃以上の融解温度を有する)、ランダムポリプロピレン共重合体(好ましくは約100℃以上の、または約120℃以上の融解温度を有する)を含む、またはそれらから実質的に成る、またはそれらのみで構成される。中間混合物は好ましくは、プロピレン系エラストマーを含む粒子、および1つ以上の追加の重合体を有する異なる粒子を有する。中間溶融混合物は好ましくは、プロピレン系エラストマーとグラフトされたポリオレフィンの両方を有する粒子を含む。中間混合物(122)または中間溶融混合物(122’)は、1つ以上の追加の重合体を含み得ることが理解されよう。追加の重合体は同じ粒子、または異なる粒子で提供され得る。プロセスは、重合体混合組成物(125)を冷却する工程(126)を含み得る(例えば、少なくともエチレン含有重合体(113)の一部を結晶化するために)。エチレン含有重合体(113)は好ましくは、溶融混合(24)の直前の反応装置後の原状にある。好ましくは、エチレン含有重合体(113)は、溶融混合工程用の装置で、その融解温度より高い(すなわちその最高融解温度を超える)温度にまず加熱される。好ましくは、少なくともエチレン含有重合体の一部の第1の結晶化は、重合反応装置から取り除かれた後に、混合組成物の冷却工程で行われる。例えば、エチレン含有重合体(113)の最高溶解温度より高い温度へ(例えば、その溶解温度よりも少なくとも約20℃、または40℃高い温度へ)、その後その最高溶解温度より低い温度へ(例えば、その溶解温度よりも少なくとも20℃、または少なくとも40℃低い温度へ)の、エチレン含有重合体(113)の第1の熱サイクルは、溶融混合工程(124)および冷却工程(126)で行われ得る。
【0113】
重合体混合組成物を製造する方法(130)は、図9に例示されるように、エチレン含有重合体(113)を重合する工程(112)を含み得る。エチレン含有重合体の重合後、該方法は、重合体混合組成物(125)を成形するために、エチレン含有重合体(113)をプロピレン系エラストマー(114)、およびグラフとされたポリオレフィン(115)と溶融混合する工程(134)を含み得る。図9に関して、プロピレン系エラストマー(114)とグラフトされたポリオレフィン(115)は別個の成分として提供され得る。プロピレン系エラストマー(114)、1つ以上の追加の重合体(例えばグラフトされたポリオレフィンおよび/またはポリプロピレンホモポリマー)(115)、またはそれらの両方は、1つ以上の追加の重合体を含む中間混合物として提供され得ることが理解されよう。
【0114】
中間重合体混合物(122)は、図10Aに例示されるように、プロピレン系エラストマー(114)を含む、または実質的に成る、またはそれのみで構成される第1の粒子、および1つ以上の追加の重合体(例えばグラフトされたポリオレフィンおよび/またはポリプロピレンホモポリマー)を含む、または実質的に成る、またはそれのみで構成される第2の粒子を含む種々の粒子を混合すること(142)によって調製され得る。混合工程は好ましくは、1つ以上の追加の重合体の最高融解温度より低い(例えば、グラフトされたポリオレフィンおよび/またはポリプロピレンホモポリマーの融解温度より低い)混合温度で行われる。混合工程はより好ましくは、プロピレン系エラストマーの最高融解温度より低い混合温度で行われる。例えば混合は、約100℃以下、約70℃以下、約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、または約25℃以下の温度で行われ得る。粒子の混合は、好ましくは約0℃以上、より好ましくは約10℃以上で行われる。
【0115】
中間重合体混合物(122’)は、図10Bに例示されるように、少なくともプロピレン系エラストマー(114)および1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン(グラフトされたポリエチレン等)、および/またはポリプロピレンホモポリマー)(115)を溶融混合(146)することによって調整され得る。溶融混合工程(146)は好ましくは、プロピレン系エラストマー(114)の最高融解温度より高い混合温度で行われる。溶融混合工程(146)はさらに好ましくは、1つ以上の追加の重合体(115)の最高融解温度より高い混合温度で行われる。例えば溶融混合は、約70℃以上、約110℃以上、約150℃以上、約160℃以上、約170℃以上、または約200℃以上の温度で行われてもよい。溶融混合は好ましくは、約360℃以下、より好ましくは約310℃以下の混合温度で行われる。
【0116】
本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物は、本明細書に記載されるように、インラインのプロセスで調製された重合体混合組成物を含み得る。
【0117】
<応用>
本明細書の教示に係る方法および組成物は、種々の材料を接着するために、複数の層を有する物品、または化学的に異なる材料で成形されたコンポーネントに使用され得る。多層の物品は好ましくは、多層フィルム、多層パイプ、多層容器、または他の多層構造体である。多層の物品は、本明細書の教示に係る重合体接着剤組成物の1つ以上の層を含む。多層の物品は好ましくは、重合体接着剤組成物の層と直接接触する1つ以上のポリオレフィン層を含む。例えば、重合体の接着剤組成物は、2つの異なるポリオレフィン(すなわち、第1のポリオレフィンを含む第1の層、および第1のポリオレフィンとは異なる第2のポリオレフィンを含む第2の層)を接着するために、またはポリオレフィン層をバリヤー材の層に接着するために、多層フィルムで使用され得る。
【0118】
重合体接着剤組成物は、包装(例えば多層フィルム)のための、または他の多層の物品の2つ以上の層を接着するための結合層として使用され得る。例えば組成物は、包装のための、またはバリヤー層を含む容器のための結合層として使用され得る。一態様では、多層フィルムは、酸素(例えばO)、水(例えばHO)、二酸化炭素(例えばCO)、またはそれらの任意の組み合わせの、包装を通る透過を減らす、またはなくすバリヤー層を含む(例えば、フィルムの層を含むポリオレフィンを通る透過率と比較して)。バリヤー層は、物品を通る炭化水素(例えば炭化水素液またはガス)の透過率を減らし得る。透過率はASTM D1434またはASTM D3985を使用して測定され得る。好ましいバリヤー層は、エチレンビニルアルコール共重合体(例えば、エチレンと酢酸ビニルを共重合した後、加水分解反応によって調製される)、EVOHを含む共重合体、ポリアミド、またはポリアミドを含む共重合体を含む、またはそれらから実質的に成る。別の例として、結合層はポリエチレン層およびポリプロピレン層に接着する。多層フィルムは複数の結合層を含んでもよい。例えば、多層フィルムは、以下の結合層の1つまたは任意の組み合わせを含んでもよい:バリヤー層を第1のポリオレフィン層に接着するための結合層;バリヤー層を第2のポリオレフィン層(例えば、第1のポリオレフィン層と同じ、または異なる)に接着するための、または第1のポリオレフィン層と異なるポリオレフィン層に第1のポリオレフィン層を接着するための結合層。
【0119】
以下の注釈は、全ての教示にあまねく関係する。特に明記されていない限り本明細書に列挙される数値は、低い値と高い値が少なくとも2単位離れているという条件において、1単位ずつ低い値から高い値まで増えていく全ての値を含む。例として、例えば温度、圧力、時間などの、成分、特性、またはプロセス変数の値の量が、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると定められている場合、(例えば、15~85、22~68、43~51、30~32などの)中間域値は本明細書の教示内にあることが意図されている。同様に、個々の中間値もまた本教示に包含される。1未満である値については、1単位は適切に0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。これらは具体的に意図された例にすぎず、および列挙された最低値と最高値の間の数値の可能な全ての組み合わせが、本出願において類似の手法で明確に述べられると考えられることになっている。以上のように、本明細書で「重量部」と表現される量の教示はさらに、重量パーセントの用語で表現される同じ範囲を考慮する。したがって、「結果としてもたらされる組成物の重量による「x」部分」の観点での範囲の、本発明の詳細な説明における表現はさらに、結果としてもたらされる組成物の重量パーセントでの同じく列挙される「x」量の範囲の教示を考慮する。
【0120】
特に明記されていない限り、本明細書において参照されるいかなる試験方法の標準も、最も早い出願日に存在している、標準が列挙されているバージョンに関する。
【0121】
特に明記されていない限り、全ての範囲は端点および端点間の全ての数の両方を含む。範囲に関する「約」または「およそ」の使用は、範囲の両端へ当てはまる。したがって、「約20~30」は「約20から~約30」をカバーし、少なくとも特定の端点を含むように意図されている。
【0122】
特許出願と公報を含む全ての論文および参考文献の開示は、全ての目的のために参照により組み込まれる。組み合わせを記載するための用語「実質的に成る」は、特定の要素、原料、成分または工程、および組み合わせの基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しない他のそのような要素、原料、成分または工程を含むものとする。本明細書に記載の要素、原料、成分または工程の組み合わせを記載するための用語「含む(comprisingまたはincluding)」の使用はさらに、要素、原料、成分または工程を主要素とする実施形態、またはそれらのみで構成される実施形態をも考慮する。複数の要素、原料、成分または工程は、1つにまとめられた要素、原料、成分または工程によって提供可能である。代替的に、1つにまとめられた要素、原料、成分または工程は、別個の複数の要素、原料、成分または工程に分けられてもよい。要素、原料、成分または工程を記載するための「a」または「1(one)」という開示は、追加の要素、原料、成分または工程を除外することを意図してはいない。さらに、明確に明らかにされているのでなければ、「第1の」、「第2の」等の列挙は、追加の原料、工程または他の要素を排除しない。特定の群に属する要素または金属に関する本明細書における全ての参照は、CRC Press,Inc.が1989年に出版し、および著作権を有する元素周期表を参照する。群へのいかなる参照も、群の番号付けに関して、国際純正・応用化学連合システムを使用して、この元素周期表に反映された群を参照するものとする。上記の記述は例示的なものであり、限定的なものではないと意図されていることが理解される。
【0123】
提供される多くの実施形態が、実施例と多くの応用と共に、上記の記述を読むことで当業者に明白になるだろう。したがって本発明の範囲は、上記の記述に関連して限定されるべきではないが、代わりとして、添付された請求項、およびそれらの請求項が権利を有する同等物の全範囲に関連して限定されるべきである。特許出願と公報を含む全ての論文および参考文献の開示は、全ての目的のために参照により組み込まれる。以下の請求項における、本明細書に開示される主題のいかなる態様の省略も、そのような主題を放棄するものではなく、および本発明者らがそのような主題を開示された本発明の主題の一部であると考えなかったと見なされるべきではない。
【0124】
<試験方法>
接着性は、約25℃で約48時間熟成させた後に、押出フィルムサンプルの試料上でT剥離を使用して測定される。
【実施例0125】
<実施例1>
実施例1は、ポリエチレン樹脂とプロピレン系エラストマーを含む結合層接着剤組成物である。結合層は、PETROTHENE(登録商標)のGA502024の直鎖状低密度ポリエチレン(LYONDELLBASELLから市販で入手可能)およびVISTAMAXX(登録商標)6102プロピレン系エラストマー(EXXONMOBILから市販で入手可能)の混合物である。実施例1Aは、90重量パーセントの直鎖状低密度ポリエチレンと10重量パーセントのプロピレン系エラストマーの混合物である。実施例1Bは、85重量パーセントの直鎖状低密度ポリエチレンと15重量パーセントのプロピレン系エラストマーの混合物である。実施例1Cは、80重量パーセントの直鎖状低密度ポリエチレンと20重量パーセントのプロピレン系エラストマーの混合物である。実施例1Dは、75重量パーセントの直鎖状低密度ポリエチレンと25重量パーセントのプロピレン系エラストマーの混合物である。
【0126】
<実施例2>
実施例2は、実施例1の結合層接着剤組成物を含む多層フィルムである。多層フィルムは以下の層状構造を有する:ポリエチレン樹脂/結合層/ポリプロピレン樹脂/結合層/ポリエチレン樹脂、厚さ比率は35/5/20/5/35。ポリエチレン樹脂層は共に、ALATHON(登録商標)M6210高密度ポリエチレン(LYONDELLBASELLから市販で入手可能)から作られる。ポリプロピレン樹脂層(すなわちコア層)はBRASKEM TR3020Fランダムポリプロピレン共重合体から作られる。同じ結合層接着剤組成物が両方の結合層に使用される。実施例2Aでは、結合層は実施例1Aの組成物を使用する。実施例2Bでは、結合層は実施例1Bの組成物を使用する。実施例2Cでは、結合層は実施例1Cの組成物を使用する。実施例2Dでは、結合層は実施例1Dの組成物を使用する。フィルムの厚さは約5ミル(すなわち約0.127μm)である。フィルムはASTM D 1786-01に従いT剥離試験(T-peel test)によって接着性を試験する。フィルム層の剥離は結合層とポリプロピレンコア層との間で起こる。T剥離試験の結果を図11に示す。
【0127】
<比較例1>
比較例1は、結合層が100%、PETROTHEN(登録商標)のGA502024直鎖状低密度ポリエチレンであることを除いて、実施例2Aに従って調製した多層フィルムである。比較例1のフィルムを、コア層および表面薄層への結合層の接着に関して試験する。破壊が結合層とコア層との間に現われる。その結果を図7に示す。
【0128】
<実施例2および比較例1の試験>
図11に関連して、結合層にプロピレン系エラストマーを有する実施例(実施例2A、2B、2Cおよび2D)の剥離強度は、プロピレン系エラストマーを含まない比較例1の剥離強度の少なくとも約3倍である。
【0129】
<実施例3>
実施例3は、異なる熱可塑性ポリオレフィン樹脂、およびバリヤー層材料への接着用の結合層接着剤組成物である。実施例3は、グラフトされたポリオレフィン、ポリエチレン樹脂およびプロピレン系エラストマーを含む混合組成物である。結合層接着剤組成物は、約8重量パーセントのグラフトされたポリオレフィン、約20重量パーセントのプロピレン系エラストマー、および約72重量パーセントのポリエチレン樹脂を含む。ポリエチレン樹脂は、1-ブテンのコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレン(PETROTHENE(登録商標)GA502024)である。グラフトされたポリオレフィンはLYONDELLBASELLによって製造されたGRAFTED HDPE SAMPLE Aである。GRAFTED HDPE SAMPLE Aは、無水マレイン酸を有するグラフトされた高密度ポリエチレンで製造される。グラフトされた無水マレイン酸の量は、GRAFTED HDPE SAMPLE Aの総重量に基づいて約1.7から約2.1重量パーセントである。GRAFTED HDPE SAMPLE-Aは、190℃/2.16kgにおいてISO 1133に従って測定されるように、約8~12g/10分のメルトフローレートを有する。実施例3Aでは、プロピレン系エラストマーはVISTAMAXX 6102であり、これは約16重量パーセントのエチレン含有量、約66ショアA硬度(ジュロメーター硬さ)(ASTM D2240に従って測定)、約3g/10分のメルトフローレート(230℃/2.16kgでISO 1133に従って測定)、および約12.4MPaの曲弾性率(1%セカントでASTM D790に従って測定)を有する。実施例3Bでは、プロピレン系エラストマーはVISTAMAXX 6202であり、これは約15重量パーセントのエチレン含有量、約66ショアA硬度(ジュロメーター硬さ)(ASTM D2240に従って測定)、約20g/10分のメルトフローレート(230℃/2.16kgでISO 1133に従って測定)、および約12.3MPaの曲弾性率(1%セカントでASTM D790に従って測定)を有する。VISTAMAXX 6102と6202は共にEXXONMOBILから市販で入手可能である。グラフトされたポリオレフィンは無水マレイン酸グラフトを有する高密度ポリエチレンである。
【0130】
<実施例4>
実施例4は以下の構造を有する多層フィルムである:40%のホモポリマーポリプロピレン/5%の結合層/10%のバリヤー層/5%の結合層/40%のホモポリマーポリプロピレン。230℃/2.16kgにおいて約2g/10分のメルトフローレート(ISO 1133に従って測定)を有するPP 3276ポリプロピレンホモポリマー(TOTAL PETROCHEMICALSから市販されている)は、2つの外層に使用される。PP 3276は、示差走査熱量測定によって測定されるように約163℃の融解温度、ASTM D790に従って測定される約1.206GPaの曲弾性率、およびASTM D882に従って測定される割線弾性係数が縦方向では約2.41GPa、かつ横方向では約4.14GPa、を有する。バリヤー層は、SOARNOL DC3203FB EVOH(SOARUS L.L.C.から市販されている)から成形され、これは約32モルパーセントのエチレン含有量、および210℃/2.16kgでISO 1133に従って測定される約3.2g/10分のメルトフローレートを有する。実施例4Aでは、結合層は共に実施例3Aの結合層組成物から成形される。実施例4Bでは、結合層は共に実施例3Bの結合層組成物から成形される。結合層とポリプロピレンホモポリマーとの間の接着はASTM D 1876-01に従って測定される。このように測定すると、接着は図12に示されるように、実施例4Aについては約3.3lbf/inであり、および実施例4Bについては約2.3lbf/inである。
【0131】
<実施例5>
実施例5Aおよび実施例5Bは、ポリプロピレンホモポリマー層が直鎖状低密度ポリエチレン層に取り換えられていることを除けば、それぞれ実施例4Aおよび4Bと同じように調製された多層フィルムである。直鎖状低密度ポリエチレン層と結合層との間の接着は、図12に示されるように、少なくとも約3lbf/in(ASTM D1786-01に従って測定)であると予測される。
【0132】
<比較例2>
比較例2は、プロピレン系エラストマーがエチレン系エラストマー、すなわち約72重量パーセントのエチレン含有量(ASTM D3900に従って測定)、および190℃/2.16kgにおいてISO 1133に従って測定される約1.0g/10分のメルトインデックスを有するVISTALON(登録商標)722エチレンプロピレン共重合体ゴム(EXXONMOBILから市販で入手可能)に取り換えられていることを除けば、実施例4に記載の構造と同じものを有する多層フィルムである。結合層とポリプロピレンホモポリマー層との間の接着は、図12に示されるように、約0.2lbf/inである(ASTM D 1876-01に従って測定)。
【0133】
<比較例3>
比較例3は、結合層がポリプロピレン接着剤、すなわちポリプロピレンおよびグラフトされた重合体を含むPLEXAR(登録商標)PX-6002結合樹脂(LYONDELLBASELLから市販で入手可能)に取り換えられていることを除けば、実施例5に記載の構造と同じものを有する多層フィルムである。このポリプロピレン接着剤では、グラフトされた重合体は無水マレイン酸グラフトを有するポリプロピレンである。PLEXAR(登録商標)PX-6002結合樹脂は、230℃/2.16kgでISO 1133に従って測定される約2.3g/10分のメルトフローレートを有するが、結合樹脂中のグラフトされたポリプロピレンははるかに高いメルトフローレート(例えば20g/10分より高い)を有すると予想されることが理解されよう。結合層と直鎖状低密度ポリエチレン層との間の接着は1lbf/インチ未満であると予想される(ASTM D 1876-01に従って測定)。
【0134】
<図面からの参照番号>
【0135】
10:多層フィルム
【0136】
12:第1の熱可塑性ポリオレフィン層(例えば、少なくとも60重量パーセントのエチレンを有するポリオレフィンなどのポリオレフィンを含む)
【0137】
14:結合層(例えば、第1の熱可塑性ポリオレフィン層および/または第2の熱可塑性ポリオレフィン層と接する層)
【0138】
14’、14”:結合層(例えば、バリヤー層および/または熱可塑性ポリオレフィン層に接する層)
【0139】
16:第2の熱可塑性ポリオレフィン層(例えば、少なくとも60重量パーセントのプロピレン、および/または少なくとも約20パーセントの結晶化度を有するポリオレフィンなどのポリオレフィンを含む)
【0140】
18:バリヤー層
【0141】
20:2つの熱可塑性ポリオレフィン層間にはさまれたバリヤー層を有する多層フィルム
【0142】
21、22:結合層の対向する表面
【0143】
23、24:第1の熱可塑性ポリオレフィン層の対向する表面
【0144】
25、26:第2の熱可塑性ポリオレフィン層の対向する表面
【0145】
40’、40:バリヤー層と熱可塑性ポリオレフィン層との間にはさまれた結合層を少なくとも含む多層フィルムの部分
【0146】
42:結合層
【0147】
44:第1の熱可塑性ポリオレフィン層
【0148】
44’:異なる第1の熱可塑性ポリオレフィン層(すなわち46と異なる)
【0149】
46:バリヤー層
【0150】
110:プロピレン系エラストマーを含む組成物を製造する方法
【0151】
112:エチレン含有重合体の重合
【0152】
113:エチレン含有重合体(例えば反応装置後の原状にある)
【0153】
114:プロピレン系エラストマー
【0154】
115:1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン、ポリプロピレンホモポリマー、インパクトポリプロピレン共重合体、約100℃以上の融解温度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせ)。
【0155】
116:少なくともエチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーの溶融混合(例えば配合)
【0156】
117:エチレン含有重合体およびプロピレン系エラストマーを含む、または実質的に成る、またはそれらのみで構成される混合組成物。
【0157】
118:混合組成物の冷却
【0158】
119:エチレン含有重合体の少なくとも一部の結晶化(例えば、最初の重合後および/または反応装置後の結晶化)
【0159】
120:プロピレン系エラストマーおよび1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン、および/またはポリプロピレンホモポリマー)を含む組成物を製造する方法
【0160】
122:プロピレン系エラストマー、および1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン、ポリプロピレンホモポリマー、インパクトポリプロピレン共重合体、約100℃以上の融解温度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む異なる粒子、を含む粒子を有する混合物
【0161】
122:プロピレン系エラストマー、および1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン、ポリプロピレンホモポリマー、インパクトポリプロピレン共重合体、約100℃以上の融解温度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせ)の両方を有する粒子を含む混合物(例えば溶融混合物)
【0162】
124:少なくともエチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、および1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン、ポリプロピレンホモポリマー、インパクトポリプロピレン共重合体、約100℃以上の融解温度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせ)の溶融混合(例えば配合)
【0163】
125:エチレン含有重合体、プロピレン系エラストマー、および1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィン、ポリプロピレンホモポリマー、インパクトポリプロピレン共重合体、約100℃以上の融解温度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む、またはそれらから実質的に成る、またはそれらのみで構成される混合組成物
【0164】
126:混合組成物の冷却
【0165】
130:プロピレン系エラストマーおよび1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリオレフィンおよび/またはポリプロピレンホモポリマーを含有)を含む組成物を製造する方法。
【0166】
142:粒子の混合(例えば融解温度より低い温度で)
【0167】
148:少なくともプロピレン系エラストマーおよび1つ以上の追加の重合体(例えば、グラフトされたポリエチレンなどのグラフトされたポリオレフィンを含む、またはそれのみで構成される)の溶融混合
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
押出機を用いて、第1のポリオレフィンを含むポリオレフィン層に接着した接着剤組成物の結合層を含む第1の多層の物品を押出す工程、
前記押出機を用いて、第2のポリオレフィンを含むポリオレフィン層に接着した前記接着剤組成物の結合層を含む第2の多層の物品を押出す工程、を含み、
ここで、前記第1ポリオレフィンは、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂のいずれか一方であり、第2のポリオレフィンは、他方であり、
前記接着剤組成物は、40重量パーセント以上のポリエチレン、および10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーは、2~25パーセントの結晶化度、(10℃/分の速度において示差走査熱量測定によって測定される)90°C未満の融解温度、および75重量パーセント以上のプロピレン濃度を有する、ランダム共重合体であり、
前記多層の物品は、2000μm以下の総厚みを有するフィルムであり、および結合層の厚さは総厚みの20パーセント以下である、方法。
【請求項2】
前記第1の多層の物品および前記第2の多層の物品は、3以上の層を有するフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムの各々は、800μm以下、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは約50μm以下の総厚みを有する、請求項2に記載の方法
【請求項4】
前記結合層の厚みは、総厚みの20パーセント以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の多層の物品のポリオレフィン層は、60重量パーセント以上の前記第1のポリオレフィン、および前記第2の多層の物品は、60重量パーセント以上の前記第2のポリオレフィンを含み、好ましくは、前記ランダム共重合体は0.7~1.25のB指数を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2の多層の物品はバリヤー層を含み、前記結合層は前記バリヤー層に接着する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤組成物は、0.1~20重量パーセントの、1つ以上の酸素原子を含む官能性グラフトを有するグラフトされたポリオレフィンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはエチレンと極性コモノマーの共重合体であり、好ましくは、前記共重合体は、70重量パーセント~約95重量パーセントのエチレンを含み、随意に、前記極性コモノマーがエチレン酢酸ビニルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤組成物は、10~34重量パーセントの前記プロピレン系エラストマーを含み、好ましくは前記第1の多層の物品はバリヤー層を含み、前記結合層は、第1のポリオレフィン層と前記バリヤー層の第1の表面に接着した第1の結合層であり、前記物品は、前記バリヤー層の第2の表面に接着した第2の結合層を含み、前記第1と第2の結合層は同じ接着剤組成物から構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記結合層の前記ポリエチレンは、100°C以上の融解温度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、85重量パーセント以上のエチレン濃度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、(DSCによって測定された)20パーセント以上の結晶化度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、LDPE、LLDPE、MDPEまたはHDPEである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
フィルムであって、
60重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む第1の層と、
60重合体重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2の層であって、前記1つ以上のポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、30パーセント以上の結晶化度を有するランダムポリプロピレン共重合体、およびインパクトポリプロピレン共重合体からなる群から選択される、第2の層と、
前記第1の層と第2層の間にあり、それらと直接接触する結合層であって、前記結合層は、
40重量パーセント以上のポリエチレン、および
2~25パーセントの結晶化度と、(10℃/分の速度において示差走査熱量測定によって測定される)90°C未満の融解温度を有する、10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーはランダム共重合体である、結合層と、を含み、
前記フィルムは、2000μm以下の総厚みを有し、および前記結合層の厚さは総厚みの20パーセント以下である、フィルム。
【請求項12】
前記第1の層は、1つ以上のポリエチレン樹脂のみで構成され、および/または前記第2の層は1つ以上のポリプロピレン樹脂のみで構成される、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはエチレンと極性コモノマーの共重合体であり、好ましくは、前記共重合体は70重量パーセント~95重量パーセントのエチレン濃度を有し、随意に、前記共重合体はエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項11または12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記プロピレン系エラストマーは、前記プロピレン系エラストマーの総重量に基づいて、80~94重量パーセントのプロピレン濃度を有し、好ましくは、前記第2の層は、1つ以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、約30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のランダムポリプロピレン共重合体、または1つ以上のインパクトポリプロピレン共重合体を含む、またはそれらから実質的に成る、またはそれらのみで構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項15】
前記結合層は、いかなるのグラフトされた重合体も実質的に含まないか、または完全に含まず、好ましくは、前記結合層は、プロピレン系エラストマー、ポリエチレン、および随意にポリプロピレンのみで構成され、前記ポリプロピレンはポリプロピレンホモポリマー、30パーセント以上の結晶化度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはインパクトポリプロピレン共重合体である、請求項11~14のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項16】
前記結合層の前記ポリエチレンは、100°C以上の融解温度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、85重量パーセント以上のエチレン濃度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、(DSCによって測定された)20パーセント以上の結晶化度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、LDPE、LLDPE、MDPEまたはHDPEである、請求項11~15のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項17】
重合体組成物であって、
i)約0.1から約20重量パーセントのグラフトされたポリオレフィンであって、ポリオレフィン骨格の総重量に基づいて約80重量パーセント以上のエチレンを含むポリオレフィン骨格、および1つ以上の酸素原子を含む官能性グラフトを有するグラフトされたポリオレフィン、
ii)約5から約34重量パーセントのプロピレン系エラストマーであって、約75重量パーセント以上のプロピレン濃度、および25パーセント以下の結晶化度を有する、ランダム共重合体であるプロピレン系エラストマー、
iii)約40から約90重量パーセントの1つ以上のポリエチレン樹脂、および
iv)約30パーセント以上の結晶化度を有する、随意に最大約35重量パーセントの1つ以上のポリプロピレン樹脂、を含み、
ここで、前記官能性グラフトは、重合体組成物の総重量に基づいて約0.02から約1.2重量パーセントの量で存在し、
グラフトされたポリオレフィン、プロピレン系エラストマー、ポリエチレン樹脂、およびポリプロピレン樹脂の合計量は、重合体組成物の総重量に基づいて約95から約100重量パーセントである、重合体組成物。
【請求項18】
フィルムであって、
約60重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む第1の層、
約60重合体重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2の層、
前記第1の層と前記第2の層の間にあり、それらと直接接触する結合層であって、
前記結合層は、40重量パーセントのポリエチレン、ならびに、約75重量パーセント以上のプロピレン濃度および約2パーセント~25パーセントの結晶度を有する10重量パーセント~約34重量パーセントのプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーはランダム共重合体である、結合層、
ここで、前記フィルムの総厚みは約800μm以下であり(例えば、約200μm以下、または約50μm以下)、および前記結合層の厚さは前記総厚みの約20パーセント以下である、フィルム。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
押出機を用いて、第1のポリオレフィンを含むポリオレフィン層に接着した接着剤組成物の結合層を含む第1の多層の物品を押出す工程、
前記押出機を用いて、第2のポリオレフィンを含むポリオレフィン層に接着した前記接着剤組成物の結合層を含む第2の多層の物品を押出す工程、を含み、
ここで、前記第1ポリオレフィンは、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂のいずれか一方であり、第2のポリオレフィンは、他方であり、
前記接着剤組成物は、40重量パーセント以上のポリエチレン、および10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーは、2~25パーセントの結晶化度、(10℃/分の速度において示差走査熱量測定によって測定される)90°C未満の融解温度、および75重量パーセント以上のプロピレン濃度を有する、ランダム共重合体であり、
前記第1および第2の多層の物品の各々は、2000μm以下の総厚みを有し、および結合層の厚さは総厚みの20パーセント以下である、方法。
【請求項2】
前記第1の多層の物品および前記第2の多層の物品は、3以上の層を有するフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムの各々は、800μm以下、200μm以下、または50μm以下の総厚みを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合層の厚みは、総厚みの20パーセント以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の多層の物品のポリオレフィン層は、60重量パーセント以上の前記第1のポリオレフィン、および前記第2の多層の物品は、60重量パーセント以上の前記第2のポリオレフィンを含み、前記ランダム共重合体は0.7~1.25のB指数を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2の多層の物品はバリヤー層を含み、前記結合層は前記バリヤー層に接着する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤組成物は、0.1~20重量パーセントの、1つ以上の酸素原子を含む官能性グラフトを有するグラフトされたポリオレフィンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはエチレンと極性コモノマーの共重合体であり、前記共重合体は、70重量パーセント~95重量パーセントのエチレンを含み、前記極性コモノマーがエチレン酢酸ビニルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤組成物は、10~34重量パーセントの前記プロピレン系エラストマーを含み、前記第1の多層の物品はバリヤー層を含み、前記結合層は、第1のポリオレフィン層と前記バリヤー層の第1の表面に接着した第1の結合層であり、前記物品は、前記バリヤー層の第2の表面に接着した第2の結合層を含み、前記第1と第2の結合層は同じ接着剤組成物から構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記結合層の前記ポリエチレンは、100°C以上の融解温度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、85重量パーセント以上のエチレン濃度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、(DSCによって測定された)20パーセント以上の結晶化度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、LDPE、LLDPE、MDPEまたはHDPEである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
フィルムであって、
60重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む第1の層と、
60重合体重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2の層であって、前記1つ以上のポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、30パーセント以上の結晶化度を有するランダムポリプロピレン共重合体、およびインパクトポリプロピレン共重合体からなる群から選択される、第2の層と、
前記第1の層と第2層の間にあり、それらと直接接触する結合層であって、前記結合層は、
40重量パーセント以上のポリエチレン、および
2~25パーセントの結晶化度と、(10℃/分の速度において示差走査熱量測定によって測定される)90°C未満の融解温度を有する、10重量パーセント以上のプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーはランダム共重合体である、結合層と、を含み、
前記フィルムは、2000μm以下の総厚みを有し、および前記結合層の厚さは総厚みの20パーセント以下である、フィルム。
【請求項12】
前記第1の層は、1つ以上のポリエチレン樹脂のみで構成され、および/または前記第2の層は1つ以上のポリプロピレン樹脂のみで構成される、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記ポリエチレン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはエチレンと極性コモノマーの共重合体であり、前記共重合体は70重量パーセント~95重量パーセントのエチレン濃度を有し、前記共重合体はエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項11または12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記プロピレン系エラストマーは、前記プロピレン系エラストマーの総重量に基づいて、80~94重量パーセントのプロピレン濃度を有し、前記第2の層は、1つ以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、30パーセント以上の結晶化度を有する1つ以上のランダムポリプロピレン共重合体、または1つ以上のインパクトポリプロピレン共重合体を含む、またはそれらから実質的に成る、またはそれらのみで構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項15】
前記結合層は、いかなるのグラフトされた重合体も実質的に含まないか、または完全に含まず、前記結合層は、プロピレン系エラストマー、ポリエチレン、およびポリプロピレンのみで構成され、前記ポリプロピレンはポリプロピレンホモポリマー、30パーセント以上の結晶化度を有するランダムポリプロピレン共重合体、またはインパクトポリプロピレン共重合体である、請求項11~14のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項16】
前記結合層の前記ポリエチレンは、100°C以上の融解温度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、85重量パーセント以上のエチレン濃度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、(DSCによって測定された)20パーセント以上の結晶化度を有し、あるいは
前記結合層の前記ポリエチレンは、LDPE、LLDPE、MDPEまたはHDPEである、請求項11~15のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項17】
重合体組成物であって、
)0.1から20重量パーセントのグラフトされたポリオレフィンであって、ポリオレフィン骨格の総重量に基づいて80重量パーセント以上のエチレンを含むポリオレフィン骨格、および1つ以上の酸素原子を含む官能性グラフトを有するグラフトされたポリオレフィン、
ii)5ら34重量パーセントのプロピレン系エラストマーであって、75重量パーセント以上のプロピレン濃度、および25パーセント以下の結晶化度を有する、ランダム共重合体であるプロピレン系エラストマー、
iii)40から90重量パーセントの1つ以上のポリエチレン樹脂、および
iv)30パーセント以上の結晶化度を有する、意に大35重量パーセントの1つ以上のポリプロピレン樹脂、を含み、
ここで、前記官能性グラフトは、重合体組成物の総重量に基づいて0.02から1.2重量パーセントの量で存在し、
グラフトされたポリオレフィン、プロピレン系エラストマー、ポリエチレン樹脂、およびポリプロピレン樹脂の合計量は、重合体組成物の総重量に基づいて95から100重量パーセントである、重合体組成物。
【請求項18】
フィルムであって、
0重量パーセント以上の、1つ以上のポリエチレン樹脂を含む第1の層
0重合体重量パーセント以上の、1つ以上のポリプロピレン樹脂を含む第2の層、
前記第1の層と前記第2の層の間にあり、それらと直接接触する結合層であって、
前記結合層は、40重量パーセントのポリエチレン、ならびに、75重量パーセント以上のプロピレン濃度および2パーセント~25パーセントの結晶度を有する10重量パーセント~34重量パーセントのプロピレン系エラストマーを含み、前記プロピレン系エラストマーはランダム共重合体である、結合層、
ここで、前記フィルムの総厚みは800μm以下であり(例えば、200μm以下、または50μm以下)、および前記結合層の厚さは前記総厚みの20パーセント以下である、フィルム。
【外国語明細書】