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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022105098
(43)【公開日】2022-07-12
(54)【発明の名称】組織を加熱する装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
A61N1/40
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022073009
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2019514154の分割
【原出願日】2017-05-25
(31)【優先権主張番号】62/341,229
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/468,869
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519103414
【氏名又は名称】アイコメッド テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンシュタイン、ザムエル ヴィクトール
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバート、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エリズール、エラン
(72)【発明者】
【氏名】キャノンズ、ケビン ジェームズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】肺気腫またはCOPDの治療に有用な規定温度を超えて組織を加熱する装置を提供する。
【解決手段】加熱エネルギー信号発生器と、前記加熱エネルギー信号発生器から出力信号を受信して前記加熱エネルギー信号発生器からの電磁エネルギーを体の組織に結合する1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器であって、前記1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器は、電極、コイルおよびアンテナから成る群から選択される1つまたは複数の信号印加器を有し、前記体の内部の1つまたは複数の位置における前記組織の温度を示す温度信号を受信するよう接続されているコントローラであって、前記コントローラは、前記温度信号に少なくとも部分的に基づいて、前記加熱エネルギー信号発生器から前記体に送達された加熱エネルギーを調整するよう構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺気腫またはCOPDの治療に有用な規定温度を超えて組織を加熱する装置であって、
加熱エネルギー信号発生器と、
前記加熱エネルギー信号発生器から出力信号を受信するよう接続され、前記加熱エネルギー信号発生器からの電磁エネルギーを体の組織に結合するよう動作可能な1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器であって、前記1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器は、電極、コイルおよびアンテナから成る群から選択される1つまたは複数の信号印加器を有する、1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器と、
前記体の内部の1つまたは複数の位置における前記組織の温度を示す温度信号を受信するよう接続されているコントローラであって、前記コントローラは、前記温度信号に少なくとも部分的に基づいて、前記加熱エネルギー信号発生器から前記体に送達された加熱エネルギーを調整するよう構成される、コントローラと
を備える装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記加熱エネルギー信号発生器に時間領域変調を適用するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記出力信号をパルス信号として放出させるべく前記加熱エネルギー信号発生器を制御するよう構成され、前記コントローラは、前記パルス信号のパルスの幅を制御するよう構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
皮下のおよび/または侵襲的な温度センサを更に備え、前記温度信号は、前記皮下のおよび/または侵襲的な温度センサからの出力信号を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記温度センサは、サーミスタを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記皮下のおよび/または侵襲的な温度センサは、細い針の中に配置される、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記体の少なくとも一部の熱的モデルを含み、前記熱的モデルは、前記1つまたは複数の位置のうちの1つにおける温度を、対象位置の温度と関連付け、前記コントローラは、前記温度信号を入力として用いて前記熱的モデルを適用するよう構成され、前記熱的モデルの出力に少なくとも部分的に基づいて、前記加熱エネルギーを調整するよう構成される、請求項1から6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記熱的モデルは、前記体における複数の異なる組織型の熱伝導率、前記体における前記複数の異なる組織型の分布、前記1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器のジオメトリ、および、前記体における血液循環のうちの幾つかまたは全てを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記熱的モデルは、前記組織に加熱エネルギーを送達するために使用される1つまたは複数のコイルの既知のジオメトリを含む、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記温度信号は、非接触型温度測定から導出される、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記温度信号は、磁気共鳴画像(MRI)信号を処理することから導出された信号を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1つまたは複数の信号印加器は、電場の方向を変えるよう制御可能であり、前記コントローラは、前記方向を変えるべく前記1つまたは複数の信号印加器を周期的に制御するよう構成される、請求項1から11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記1つまたは複数の信号印加器は、前記体の少なくとも一部をコイルの内側に収容してインダクタを形成する前記コイルを有する、請求項1から12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラは、対象組織に吸収された熱の数学的モデル及び前記対象組織の冷却速度に基づく前記対象組織内の現在の温度の計算に基づいて開ループ温度制御を提供するように構成される、請求項1から13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記数学的モデルの出力は、前記加熱エネルギー信号発生器の電力出力を制御するために、および/または前記数学的モデルが閾値温度に達したことを予測した後、前記加熱エネルギー信号発生器が組織の温度をさらに上昇させるのを停止するために適用される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記体内の肺の組織の特性に対する灌流の差異の効果を推定し、推定された前記灌流の差異の効果に基づいて前記加熱エネルギー信号発生器から送達される前記電磁エネルギーを増加または減少させることによって前記灌流の差異を補償するように構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、治療中の前記体の姿勢を示すためにユーザが使用することができる制御を含むユーザインターフェースを提供し、前記コントローラは、少なくとも部分的に示された前記姿勢に基づいて灌流の差異の前記補償を適用するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記加熱エネルギー信号発生器は、無線周波数信号発生器(RF信号発生器)を含み、
前記RF信号発生器は、少なくとも1MHzの周波数を有する信号を出力するよう動作可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記周波数は、約10MHzから約100MHzの範囲にある、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記1つまたは複数の位置のうちの1つにおける温度を少なくとも閾値温度の温度まで上げ、かつ、前記温度を選択された時間にわたって前記閾値温度またはそれより高い温度に維持すべく、前記加熱エネルギーを調整するよう構成される、請求項1から19の何れか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラは、前記1つまたは複数の位置のうちの1つにおける前記組織の前記温度が50℃よりも低い安全温度閾値を超えるのを阻止すべく、前記加熱エネルギーを調整するよう構成される、請求項1から20の何れか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記コントローラは、前記1つの位置における前記温度が前記安全温度閾値を超えた場合に、前記加熱エネルギーの印加を中止するよう構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記コントローラは、前記1つの位置における前記温度が温度上昇閾値よりも速い速度で前記安全温度閾値に向かって上昇している、および/または、安全マージンより前記安全温度閾値に近い場合に、前記加熱エネルギー信号発生器からの加熱エネルギーの印加を変調するよう構成される、請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
前記1つまたは複数の電磁信号印加器は、前記体と相対的に移動するよう取り付けられる、請求項1から23の何れか一項に記載の装置。
【請求項25】
肺気腫またはCOPDの治療に有用な規定温度を超えて組織を加熱する装置であって、
加熱エネルギー信号発生器と、
前記加熱エネルギー信号発生器から出力信号を受信するよう接続され、前記加熱エネルギー信号発生器からの電磁エネルギーを体の組織に結合するよう動作可能な1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器であって、前記1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器は、電極、コイルおよびアンテナから成る群から選択される1つまたは複数の信号印加器を有する、1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器と、
対象組織に吸収された熱の数学的モデル及び前記対象組織の冷却速度に基づく前記対象組織内の現在の温度の計算に基づいて前記対象組織の開ループ温度制御を提供するように構成されるコントローラと、
を備える装置。
【請求項26】
前記数学的モデルの出力は、前記加熱エネルギー信号発生器の電力出力を制御するために、および/または前記数学的モデルが閾値温度に達したことを予測した後、前記加熱エネルギー信号発生器が組織の温度をさらに上昇させるのを停止するために適用される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラは、前記体内の肺の組織の特性に対する灌流の差異の効果を推定し、推定された前記灌流の差異の効果に基づいて前記加熱エネルギー信号発生器から送達される前記電磁エネルギーを増加または減少させることによって前記灌流の差異を補償するように構成される、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、治療中の前記体の姿勢を示すためにユーザが使用することができる制御を含むユーザインターフェースを提供し、前記コントローラは、少なくとも部分的に示された前記姿勢に基づいて灌流の差異の前記補償を適用するように構成される、請求項27に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年5月25日に出願された米国出願第62/341229号および2017年3月8日に出願された米国出願第62/468869号に基づく優先権を主張するものである。米国の目的上、本願は米国特許法による利益を主張するものである。2016年5月25日に出願されたCLOSED LOOP CONTROL OF TREATMENT FOR EMPHYSEMAと題する米国出願第62/341229号の§119および2017年3月8日に出願されたSYSTEM FOR TREATING UNWANTED TISSUEと題する米国出願第62/468869号はそれぞれ、ここで、あらゆる目的において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医療分野、特に望ましくない組織の治療に関する。本発明には慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺病の治療における適用例があり、肺病の一例としては肺気腫が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
治療が望ましくない組織の破壊または望ましくない組織への影響を有益に含み得るような医学的条件は様々である。理想的には、係る治療によって、望ましくない組織に隣接する正常な組織を傷つけることが回避されるべきである。例えば、病変肺組織の破壊または病変肺組織への影響を伴う治療の恩恵を受け得る肺疾患もある。これらの治療のうちの幾つかは、肺組織の加熱を伴う。
【0004】
肺病に関する背景情報が、Dr.John B.Westによる「Pulmonary Pathophysiology」(ISBN0-683-08934-X)などの医学書に記載されている。肺気腫は、患者の肺の肺胞(空気嚢)に損傷を与える疾患である。病気に冒された空気嚢は破裂することがある。これによって、肺の気腔の分布が変わり、酸素を取り込むことが可能な肺の表面積が減少する。肺気腫により引き起こされる肺の損傷によって、肺によどんだ空気が閉じ込められ、肺に流れ込む酸素を豊富に含んだ新鮮な空気が減少することがある。肺気腫を患っている患者においては、患者の肺の患部が気管支および気管を通じて容易に換気できないため、肺の完全な収縮および膨張が阻止される。肺の内側に閉じ込められた空気によって、横隔膜の自然な上下移動が阻止され得る。
【0005】
肺内部の病変組織を加熱する先行技術手法には、気管および気管支から患部にアブレーションデバイスを挿入することを伴うものがある(例えば、Brannan他のUS2016/0184013を参照)。この手法には、肺のアクセス可能な部分がごくわずかである、患部の正確なマッピングが必要となる、アブレーションデバイスが正確な位置まで正確に案内されなければならないといった様々な欠点がある。患部の位置を正確に特定しなくても患部の組織を自動加熱できるシステムが提供されれば有益であろう。更には、健康な部分または周辺組織を過剰に加熱することなく肺の患部を全て加熱できれば有益であろう。
【0006】
ArmitageのUS4269199には、短波ジアテルミー療法による腫瘍の治療において局所温熱を誘導するための方法が開示されている。当該方法は、コイルの軸が腫瘍の様々な部分を一定に切除するよう、体の腫瘍を含む部分で誘導コイルを動かすことを伴う。
【0007】
TurnerのUS4798215には、温熱治療と非侵襲的な温度測定装置との組み合わせが開示されている。
【0008】
LeveenのUS5010897には、癌の深部温熱用の装置が開示されている。当該装置には、各コイルの中心軸がコイルの平面と垂直な全く同じ線上にある状態で、互いに平行な平面で同期的に回転する2つのシングルターン型同軸コイルが採用されている。回転しているコイルの加算された磁場によって、腫瘍が継続的に加熱される。
【0009】
EvansのUS5503150には、組織容量の温度変化を検出する能力を備えた、当該組織容量の位置を非侵襲的に特定し、かつ、当該組織容量を非侵襲的に加熱するための装置および方法が開示されている。
【0010】
KasevichのUS6181970には、組織の加熱治療および画像診断を提供するのにマイクロ波エネルギーを利用する医療システムおよび医療機器が開示されている。
【0011】
Barry他のUS8585645には、カテーテルの内腔を通じて送達された高温蒸気を用いて患者の肺の複数の位置を治療することが開示されている。
【0012】
Turnquist他のUS2011/0054431には、例えば、膀胱尿管逆流などの様々な身体的疾患を検出および/または治療すべく、放出エネルギーを用いて体の組織および流体を非侵襲的に加熱し、かつ、結果として生じる、標的ならびに周辺の流体および組織の温度変化を非侵襲的に測定するためのデバイスおよび方法が開示されている。
【0013】
ここで参照により本明細書に組み込まれるLichtenstein他の米国特許8444635には、望ましくない組織を走査集束マイクロ波ビームに曝すシステムが開示されている。US8444635によると、当該システムは特に、望ましくない組織によって血流が減った組織を加熱するのに有用である。望ましくない組織が比較的急速に熱くなる一方で、周辺の健康な組織は血流により冷却される。この加熱の差異化(differential heating)の影響は、肺において特に大きい。なぜなら、健康な肺組織は、密度が低くて血流が多いからである。US8444635には、適用例として肺気腫の治療が記載されている。
【0014】
Vertikov他のUS8467858には、光学画像に基づく温熱療法のデバイスおよび技術が記載されている。
【0015】
温熱治療を制御および/または実施するのに有用な装置および方法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0016】
本発明には数々の態様がある。これらの態様は、限定されるわけではないが、
・患者内部の組織を選択的に加熱するのに有用な装置、
・温熱治療装置用の制御システム、
・患者内部の組織を選択的に加熱するための装置を制御する方法、
・患者内部の組織の選択的加熱を含む、患者の治療方法
を含む。本明細書で説明するような方法および装置の非限定的な適用例としては、病変肺組織、例えば、肺気腫または他の形態のCOPDの影響を受けた肺組織の治療が挙げられる。
【0017】
本明細書で説明する技術革新は、
・患者の組織における閉ループ温度制御を提供するのに有用な装置および方法、
・患者の標的組織を加熱する電磁放射線の照射計画に有用な装置および方法、
・灌流の差異(differential perfusion)に対する補償および/または適応がある、患者の組織を加熱するのに有用な装置および方法、
・新規の特徴の組み合わせを含む、患者の組織を加熱するのに有用な装置および方法、
・肺気腫および/またはCOPDを治療するための医療方法
を含む。これらの技術革新は、個別に適用されてもよいし、任意の組み合わせで適用されてもよい。
【0018】
更なる態様および実施形態例が、添付図面に示され、以下の説明に記載されている。
【0019】
[実施形態例の列挙] 以下に列挙された実施形態例は、本発明の様々な非限定的な態様を示している。
[態様1]
肺気腫またはCOPDの治療に有用な医療用熱アブレーション装置であって、
当該装置は、複数の電磁信号印加器を備え、当該複数の電磁信号印加器は、肺組織の患部およびより健康な部分の加熱の差異化のために当該肺組織に電磁エネルギーを送達するよう適合させられ、当該複数の電磁信号印加器は、体が第1電磁信号印加器と第2電磁信号印加器(または本明細書における任意の他の態様)との間にあるよう、治療対象となる当該体の片側に位置決め可能な第1組の2つ以上の当該第1電磁信号印加器と、当該第1の側に対向する、治療対象となる当該体の第2の側に位置決め可能な第2組の少なくとも1つの当該第2電磁信号印加器とを有し、当該第1電磁信号印加器および当該第2電磁信号印加器は、
加熱エネルギー信号発生器と、
当該加熱エネルギー信号発生器から出力信号を受信するよう接続され、かつ、当該電磁信号印加器の複数の対のうちの何れかに当該出力信号を選択的に印加するよう接続されている選択回路であって、当該電磁信号印加器の当該対はそれぞれ、当該第1電磁信号印加器のうちの1つと当該第2電磁信号印加器のうちの1つとを含む、選択回路と、
当該選択回路を制御するよう接続されているコントローラであって、当該コントローラは、時間の間隔をあけて当該電磁信号印加器の当該対のうちの現在選択されているものから当該電磁信号印加器の当該対のうちの異なる対に当該出力信号を印加すべく切り替えるよう動作可能である、コントローラと
を含む、医療用熱アブレーション装置。
[態様2]
当該電磁信号印加器はそれぞれ電極を含む、態様1(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様3]
加熱エネルギー信号発生器と電極との間にインピーダンス整合ネットワークを備える、態様2(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様4]
当該インピーダンス整合ネットワークは、複数の設定を含み、当該設定の各々が、当該複数の電極対のうちの少なくとも1つに関するインピーダンス整合を提供し、当該電極対の各々が、当該設定のうちの1つに対応し、当該コントローラは、当該電極対のうちの当該現在選択されているものに対応する当該設定に当該インピーダンス整合ネットワークを切り替えるように、当該インピーダンス整合ネットワークを制御するよう接続される、態様3(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様5]
当該コントローラは、100Hz以下の周波数で、当該電極対のうちの当該現在選択されているものから当該電極対のうちの異なる電極対に当該出力信号を印加すべく切り替えるよう構成される、態様2から4の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様6]
当該電極選択回路は、当該熱エネルギー信号発生器の第1出力を当該第1電極のうちの1つに接続するよう切り替え可能な第1のスイッチまたはスイッチネットワークを含む、態様2から5の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様7]
当該第2電極が複数の第2電極を含み、当該電極選択回路は、当該熱エネルギー信号発生器の第2出力を当該複数の第2電極のうちの1つに接続するよう切り替え可能な第2のスイッチまたはスイッチネットワークを含む、態様2から6の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様8]
当該熱エネルギー信号発生器の当該第1出力および当該第2出力のうちの一方が、接地電位である、態様7(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様9]
当該加熱エネルギー信号発生器は、無線周波数(RF)信号発生器を含む、態様1から8の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様10]
当該RF信号発生器は、少なくとも1MHzの周波数を有する信号を出力するよう動作可能である、態様9(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様11]
当該周波数は、約10MHzから約100MHzの範囲にある、態様10(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様12]
当該コントローラは、当該体の内部の1つまたは複数の位置における組織の温度を示す温度信号を受信するよう接続され、当該温度信号に少なくとも部分的に基づいて、当該熱エネルギー信号発生器から当該体に送達された加熱エネルギーを調整するためにフィードバック制御を適用するよう構成される、態様1から11の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様13]
当該コントローラは、当該熱エネルギー信号発生器の当該出力信号に時間領域変調を適用するよう構成される、態様1から12の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様14]
当該コントローラは、当該出力信号をパルス信号として放出させるべく当該熱エネルギー信号発生器を制御するよう構成され、当該コントローラは、当該パルスの幅を制御するよう構成される、態様1から13の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様15]
当該医療用熱アブレーション装置は、皮下のおよび/または侵襲的な温度センサを更に備え、当該温度信号は、当該皮下のおよび/または侵襲的な温度センサからの出力信号を含む、態様12から14の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様16]
当該皮下のおよび/または侵襲的な温度センサは、サーミスタを含む、態様15(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様17]
当該コントローラは、当該体の少なくとも一部の熱的モデルを含み、当該熱的モデルは、当該位置のうちの1つにおける温度を、対象位置の温度と関連付け、当該コントローラは、当該温度信号を入力として用いて当該熱的モデルを適用するよう構成され、当該熱的モデルの出力に少なくとも部分的に基づいて、当該加熱エネルギーを調整するよう構成される、態様12から16の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様18]
当該熱的モデルは、当該体における複数の異なる組織型の熱伝導率、当該体における当該複数の異なる組織型の分布、当該電磁エネルギー印加器のジオメトリ、および、当該体における血液循環のうちの幾つかまたは全てを含む、態様17(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様19]
当該温度信号は、非接触型温度測定から導出される、態様12から18の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様20]
当該温度信号は、磁気共鳴画像(MRI)信号を処理することから導出された信号を含む、態様12から19の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様21]
当該第1組および当該第2組の電磁信号印加器のうちの少なくとも一方の当該電極は、アレイとして配置される、態様2から20の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様22]
当該アレイは、当該体の内部の肺の投影と概して適合する形状を持つ、態様21(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様23]
当該アレイは、二次元のアレイである、態様21または22(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様24]
当該第1組および当該第2組の電磁信号印加器は、第1二次元電極アレイおよび第2二次元電極アレイをそれぞれ含む、態様1(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様25]
当該二次元電極アレイはそれぞれ、等しい数の電極で構成される、態様24(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様26]
当該第1電極アレイの各電極が、当該第2電極アレイの対応する電極の真向かいに位置決めされる、態様24または25(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様27]
当該第1電極アレイは、当該体に沿って軸方向に離間された第1列の電極と、当該体に沿って軸方向に離間された第2列の電極とを含む、態様24から26(または本明細書における任意の他の態様)の何れか1つに記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様28]
当該第1電極アレイおよび当該第2電極アレイは、互いに鏡像関係にある構成を有する、態様24から27の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様29]
当該第1列の電極および当該第2列の電極の各々が、3つから7つの電極で構成される、態様27または28(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様30]
当該第1電極アレイは、少なくとも4つの電極列を含み、各電極列の当該電極は、当該体に沿って軸方向に離間される、態様24から29の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様31]
当該コントローラは、当該1つまたは複数の位置のうちの1つにおける温度を少なくとも50℃の温度まで上げ、かつ、当該温度を選択された時間にわたって50℃以上に維持すべく、当該加熱エネルギーを調整するよう構成される、態様12から30の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様32]
当該コントローラは、当該1つまたは複数の位置のうちの1つにおける当該温度が安全温度閾値を超えるのを阻止すべく、当該加熱エネルギーを調整するよう構成される、態様12から31の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様33]
当該安全温度閾値は、50℃より低い、態様32(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様34]
当該コントローラは、当該1つの位置における当該温度が当該安全温度閾値を超えた場合に、当該加熱エネルギーの印加を中止するよう構成される、態様32または33(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様35]
当該コントローラは、当該1つの位置における当該温度が温度上昇閾値よりも速い速度で当該安全温度閾値に向かって上昇している、および/または、安全マージンより当該安全温度閾値に近い場合に、当該加熱エネルギー信号発生器からの加熱エネルギーの印加を変調するよう構成される、態様32または33(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様36]
当該電極のうちの1つまたは複数と当該体との間に配置されたシールドを備える、態様2から35の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様37]
当該シールドは、当該電極と相対的に移動可能である、態様36(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様38]
当該シールドの電気的インピーダンスが空間的に変化する、態様36または37(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様39]
当該導電性流体を供給するよう当該電極における出口に接続されている導電性流体の源を備える、態様2から38の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様40]
当該第1組の電磁信号印加器の当該電極は、当該第2組の電磁信号印加器の当該電極とは面積が異なる、態様2から39の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様41]
当該電極のうちの少なくとも幾つかが、導電性流体の供給部に接続されている嚢を含む、態様2から40の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様42]
当該医療用熱アブレーション装置は、当該導電性流体を排出するよう接続されている1つまたは複数のポンプを備え、当該コントローラは、当該嚢のうちの1つまたは複数から当該導電性流体を排出するように当該1つまたは複数のポンプを操作するよう構成され、当該導電性流体が当該1つまたは複数の嚢から排出されたときに、当該体からMRIデータを取得するようにMRIマシンを操作するよう構成される、態様41(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様43]
当該コントローラは、当該MRIデータを処理して、当該体の内部の1つまたは複数の位置における温度を特徴付ける情報を取得するよう構成される、態様42(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様44]
当該電磁信号印加器はそれぞれ、コイルを含む、態様1(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様45]
当該電磁信号印加器は、当該体と相対的に移動するよう取り付けられる、態様1から44の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様46]
当該電磁信号印加器は、当該体と相対的に回転可能なフレームに取り付けられ、当該医療用熱アブレーション装置は、当該フレームの回転を駆動するよう接続されているモータを備える、態様1から45の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様47]
当該電磁信号印加器は、当該体と相対的に 軸方向に移動するよう取り付けられ、当該医療用熱アブレーション装置は、当該電磁信号印加器が当該体と相対的に螺旋状に動かされるよう当該フレームが回転させられている間に当該電磁信号印加器を軸方向に動かすよう結合されている1つまたは複数のアクチュエータを備える、態様46(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様48]
当該第1電磁信号印加器および当該第2電磁信号印加器のうちの少なくとも一方が固定され、当該装置は、当該第1電磁信号印加器および当該第2電磁信号印加器のうちの当該少なくとも一方と相対的に当該体を動かすよう動作可能な、当該コントローラにより制御されるアクチュエータを備える、態様1から44の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様49]
当該電磁信号印加器のうちの1つまたは複数を当該体に向けて付勢するための付勢手段を備える、態様1から48の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様50]
当該付勢手段は、膨張可能なチャンバを含む、態様49(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様51]
当該電磁信号印加器のうちの当該1つまたは複数に可撓性があり、当該付勢手段は、当該電磁信号印加器のうちの当該1つまたは複数を凹面に適合するように曲げるよう適合させられる、態様49または50(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様52]
当該膨張可能なチャンバと流体連通している、加圧された冷たい流体の源を備える、態様50(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様53]
肺気腫またはCOPDの当該治療に有用な医療用熱アブレーション装置であって、
加熱エネルギー信号発生器と、
当該加熱エネルギー信号発生器から出力信号を受信するよう接続されている、当該信号発生器からの電磁エネルギーを体の組織に結合するよう動作可能な1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器であって、電極、コイルおよびアンテナから成る群から選択される1つまたは複数の信号印加器を有する1つまたは複数の電磁エネルギー信号印加器と、
当該体の内部の1つまたは複数の位置における当該組織の温度を示す温度信号を受信するよう接続されているコントローラであって、当該温度信号に少なくとも部分的に基づいて、当該熱エネルギー信号発生器から当該体に送達された加熱エネルギーを調整するためにフィードバック制御を適用するよう構成されるコントローラと
を備える装置。
[態様54]
当該コントローラは、当該熱エネルギー信号発生器に時間領域変調を適用するよう構成される、態様53(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様55]
当該コントローラは、当該出力信号をパルス信号として放出させるべく当該熱エネルギー信号発生器を制御するよう構成され、当該コントローラは、当該パルス信号のパルスの幅を制御するよう構成される、態様53または54(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様56]
当該医療用熱アブレーション装置は、皮下のおよび/または侵襲的な温度センサを更に備え、当該温度信号は、当該皮下のおよび/または侵襲的な温度センサからの出力信号を含む、態様53から55の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様57]
当該皮下のおよび/または侵襲的な温度センサは、サーミスタを含む、態様56(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様58]
当該皮下のおよび/または侵襲的な温度センサは、細い針の中に配置される、態様56または57(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様59]
当該コントローラは、当該体の少なくとも一部の熱的モデルを含み、当該熱的モデルは、当該位置のうちの1つにおける温度を、対象位置の温度と関連付け、当該コントローラは、当該温度信号を入力として用いて当該熱的モデルを適用するよう構成され、当該熱的モデルの出力に少なくとも部分的に基づいて、当該加熱エネルギーを調整するよう構成される、態様53から58の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様60]
当該熱的モデルは、当該体における複数の異なる組織型の熱伝導率、当該体における当該複数の異なる組織型の分布、当該電磁エネルギー印加器のジオメトリ、および、当該体における血液循環のうちの幾つかまたは全てを含む、態様59(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様61]
当該温度信号は、非接触型温度測定から導出される、態様53から55の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様62]
当該温度信号は、磁気共鳴画像(MRI)信号を処理することから導出された信号を含む、態様61(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様63]
当該1つまたは複数の信号印加器は、電場の方向を変えるよう制御可能であり、当該コントローラは、当該方向を変えるべく当該1つまたは複数の信号印加器を周期的に制御するよう構成される、態様53から62(または本明細書における任意の他の態様)の何れか1つに記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様64]
当該信号印加器は、アンテナと、当該アンテナを移動可能に位置決めするよう結合されている少なくとも1つのアクチュエータ(または本明細書における任意の他の態様)とを有し、当該コントローラは、当該電場の当該方向を変えるべく当該アンテナを動かすよう構成される、態様63(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様65]
当該信号印加器は、複数の電極対と電極選択回路とを有し、当該コントローラは、異なる時点で当該電極対のうちの異なる電極対に当該加熱エネルギー信号発生器の出力を印加すべく当該電極選択回路を操作するよう構成される、態様63(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様66]
当該信号印加器は、少なくとも1対の電極と、当該少なくとも1対の電極を対象物と相対的に動かすよう動作可能な少なくとも1つのアクチュエータとを有し、当該コントローラは、当該少なくとも1つのアクチュエータを制御するよう接続される、態様63(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様67]
当該信号印加器は、複数のコイル対と選択回路とを有し、当該コントローラは、当該コイル対のうちの異なるコイル対が、異なる時点で当該加熱エネルギー信号発生器からの当該出力信号を保持しているよう、一度に当該コイル対のうちの1つのコイル対の当該コイルに当該加熱エネルギー信号発生器の出力を印加すべく当該選択回路を操作するよう構成される、態様63(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様68]
当該信号印加器は、少なくとも1対のコイルと、当該少なくとも1対のコイルを対象物と相対的に動かすよう動作可能な少なくとも1つのアクチュエータとを有し、当該コントローラは、当該少なくとも1つのアクチュエータを制御するよう接続される、態様63(または本明細書における任意の他の態様)に記載の医療用熱アブレーション装置。
[態様69]
肺気腫またはCOPDの当該治療における、態様1から68の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の装置の使用。
[態様70]
肺気腫またはCOPDの治療に有用な医療用熱アブレーション装置を制御するための方法であって、
一対の電磁信号印加器に加熱エネルギー信号発生器からの信号を印加する段階であって、当該複数の電磁信号印加器は、肺組織の患部およびより健康な部分の加熱の差異化のために当該肺組織に電磁エネルギーを送達するよう適合させられ、当該一対の電磁信号印加器は、治療対象となる体の片側に位置決め可能な第1組の2つ以上の第1電磁信号印加器のうちの1つの電磁信号印加器と、当該第1の側に対向する、治療対象となる当該体の第2の側に位置決め可能な第2組の少なくとも1つの第2電磁信号印加器のうちの別の電磁信号印加器とを含む、印加する段階と、
当該信号が異なる当該一対の電磁信号印加器に印加されるよう、時間の間隔をあけて当該信号を切り替える段階であって、それぞれの異なる当該一対の電磁信号印加器は、当該第1電磁信号印加器のうちの1つと当該第2電磁信号印加器のうちの1つとを含む、切り替える段階と
を備える方法。
[態様71]
当該複数の電磁信号印加器はそれぞれ、電極を有し、当該方法は、当該加熱エネルギー信号発生器のインピーダンスをそれぞれの当該一対の電磁信号印加器により表されたインピーダンスに整合させる段階を備える、態様70(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様72]
インピーダンス整合ネットワークの設定をデータ記憶部に記憶する段階と、当該異なる一対の電磁信号印加器に当該信号を印加するよう当該信号を切り替える段階と併せて、当該異なる一対の電磁信号印加器に対応する当該設定のうちの1つに従って、当該インピーダンス整合ネットワークを構成する段階とを備える、態様71(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様73]
当該複数の電磁信号印加器には可撓性があり、当該方法は、当該複数の電磁信号印加器のうちの少なくとも1つを凹面に適合するよう形成する段階を備える、態様70から72の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様74]
当該複数の電磁信号印加器のうちの当該1つを形成する段階は、当該複数の電磁信号印加器のうちの当該1つに隣接するチャンバを膨張させる段階を含む、態様73(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様75]
当該信号を切り替える段階が100Hz以下で実行される、態様70から74の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様76]
当該信号は、無線周波数(RF)信号を含む、態様70から75の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様77]
当該RF信号は、少なくとも1MHzの周波数を含む、態様76(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様78]
当該RF信号は、約10MHzから約100MHzの範囲の周波数を含む、態様76(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様79]
温度信号に少なくとも部分的に基づいて、当該加熱エネルギー信号発生器の出力を調整する段階を備える、態様70から78の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様80]
当該加熱エネルギー信号発生器の当該出力を調整する段階は、フィードバック制御アルゴリズムを適用する段階を含む、態様79(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様81]
当該信号は、パルス信号を含み、当該加熱エネルギー信号発生器の当該出力を調整する段階は、当該パルス信号に時間領域変調を適用する段階を含む、態様79または80(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様82]
当該時間領域変調は、パルス幅変調を含む、態様81(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様83]
当該第1組および当該第2組の電磁信号印加器はそれぞれ、二次元電極アレイを含む、態様70から82の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様84]
当該二次元電極アレイは、概して人間の肺に適合する形状を持つ、態様83(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様85]
ある位置における温度を閾値温度まで上げ、かつ、当該温度を選択された時間にわたって当該閾値温度以上に維持すべく、当該加熱エネルギー信号発生器を調整するようコントローラを設定する段階を備える、態様70から84の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様86]
当該閾値温度は、少なくとも50℃である、態様85(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様87]
ある位置における当該温度が安全温度閾値を超えるのを阻止すべく、当該加熱エネルギー信号発生器を調整するよう当該コントローラを設定する段階を備える、態様70から86の何れか1つ(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様88]
当該安全温度閾値は、50℃より低い、態様87(または本明細書における任意の他の態様)に記載の方法。
[態様89]
肺気腫またはCOPDなどの肺病を治療するための方法であって、
患者の肺の対向し合う側にある第1電磁信号印加器と第2電磁信号印加器との間の当該患者の肺の組織に電磁エネルギーを印加する段階と、
当該肺の内部の病変組織の1つまたは複数の領域が治療温度閾値と少なくとも等しい温度まで加熱される一方で、より健康な組織の領域の温度が、当該治療温度閾値よりも低い安全温度閾値より低く維持されるように当該肺の当該より健康な組織の領域が循環血液により冷却されるよう、ある電力レベルで当該電磁エネルギーを印加し続ける段階と
を備える方法。
[態様90]
当該治療温度閾値は、少なくとも50℃である、態様89に記載の方法。
[態様91]
当該電磁エネルギーを印加する段階は、当該電磁エネルギーの源のインピーダンスを、当該第1電磁信号印加器および当該第2電磁信号印加器により表されたインピーダンスに整合させる段階を含む、態様89または90に記載の方法。
[態様92]
当該方法において、鉛直線と相対的に当該患者の向きを変える段階を備える、態様89から91の何れか1つに記載の方法。
[態様93]
当該病変組織の1つまたは複数の領域の内部の第1位置における温度を監視する段階と、当該第1位置の当該監視された温度に基づいて当該電磁エネルギーの当該印加を制御する段階とを備える、態様89から92の何れか1つに記載の方法。
[態様94]
当該より健康な組織の1つまたは複数の領域の内部の第2位置における温度を監視する段階と、当該第2位置の当該監視された温度に基づいて当該電磁エネルギーの当該印加を制御する段階とを備える、態様89から93の何れか1つに記載の方法。
[態様95]
当該電磁信号印加器のうちの少なくとも1つを当該患者の凹面に適合するよう形成する段階を備える、態様89から94の何れか1つに記載の方法。
[態様96]
当該電磁信号印加器を形成する段階は、当該電磁信号印加器に隣接する膨張可能なチャンバを膨張させる段階を含む、態様95に記載の方法。
[態様97]
当該電磁エネルギーを印加している間に当該電磁信号印加器と当該患者との間に液体を流す段階を備える、態様89から97の何れか1つに記載の方法。
[態様98]
当該液体は導電性がある、態様97に記載の方法。
[態様99]
当該液体は生理食塩水を含む、態様98に記載の方法。
[態様100]
当該電磁エネルギーを印加している間に当該患者が吸うための冷気を供給する段階を備える、態様89から99の何れか1つに記載の方法。
[態様101]
当該電磁エネルギーを印加している間に当該電磁信号印加器のうちの1つまたは複数を能動的に冷却する段階を備える、態様89から100の何れか1つに記載の方法。
[態様102]
当該電磁エネルギーを印加している間に当該電磁エネルギーの電磁場方向を変える段階を備える、態様89から101の何れか1つに記載の方法。
[態様103]
当該電磁エネルギーの当該電磁場方向を変える段階は、当該第1電磁信号印加器および/または当該第2電磁信号印加器を当該患者と相対的に動かす段階を含む、態様102に記載の方法。
[態様104]
当該第1電磁信号印加器および/または当該第2電磁信号印加器を当該患者と相対的に動かす段階は、当該第1電磁信号印加器および/または当該第2電磁信号印加器を当該患者と相対的に螺旋経路に沿って動かす段階を含む、態様103に記載の方法。
[態様105]
当該第1電磁信号印加器は、第1組の1つまたは複数の電磁信号印加器のうちの1つであり、当該第2電磁信号印加器は、第2組の2つ以上の電磁信号印加器のうちの1つであり、当該電磁エネルギーの当該電磁場方向を変える段階は、当該第1組の電磁信号印加器のうちの1つと、当該第2組の当該第2電磁信号印加器以外の電磁信号印加器のうちの1つとで構成された対に当該電磁エネルギーを印加すべく切り替える段階を含む、態様102に記載の方法。
[態様106]
当該第2組の電磁信号印加器は、当該患者の肺のうちの第1のものに隣接する、当該患者の体に沿って離間された当該電磁信号印加器の第1列と、当該患者の肺のうちの第2のものに隣接する、当該患者の体に沿って離間された当該電磁信号印加器の第2列とを含む、電磁信号印加器アレイを含む、態様105に記載の方法。
[態様107]
当該電磁信号印加器アレイは、患者の肺の各々に隣接する、患者の体に沿って離間された当該電磁信号印加器の複数の列を含み、当該複数の列の各々は、複数の当該電磁信号印加器を含む、態様107に記載の方法。
[態様108]
当該肺の内部の当該病変組織の1つまたは複数の領域が、少なくとも当該治療温度閾値に等しい温度まで加熱されている間に、当該患者の肺を収縮させ、次に当該患者の肺を再膨張させる段階を備える、態様89から107の何れか1つに記載の方法。
[態様109]
当該電磁信号印加器は複数の電極を備え、当該患者の肺の当該組織に当該電磁エネルギーを印加する段階は、当該肺組織の誘電加熱を含む、態様89から108の何れか1つに記載の方法。
[態様110]
当該電磁エネルギーを印加している間に当該複数の電極のうちの1つと当該患者との間に配置されたシールドを動かす段階を備える、態様109に記載の方法。
[態様111]
当該シールドの電気的インピーダンスが空間的に変化する、態様110に記載の方法。
[態様112]
当該電磁信号印加器はコイルを備え、当該患者の肺の当該組織に当該電磁エネルギーを印加する段階は、当該エネルギーを当該組織に誘導結合させる段階を含む、態様89から108の何れか1つに記載の方法。
[態様113]
当該電磁エネルギーは、無線周波数エネルギーを含む、態様89から112の何れか1つに記載の方法。
[態様114]
当該無線周波数エネルギーは、少なくとも1MHzの周波数を含む、態様113に記載の方法。
[態様115]
当該無線周波数エネルギーは、約10MHzから約100MHzの範囲の周波数を含む、態様113に記載の方法。
[態様116]
当該電磁エネルギーを当該患者の肺全体に印加する段階を備える、態様89から115の何れか1つに記載の方法。
[態様117]
本明細書の任意の箇所で説明されているような新規性および進歩性がある任意の、特徴、特徴の組み合わせ、または、特徴の部分的組み合わせを備える装置。
[態様118]
本明細書の任意の箇所で説明されているような新規性および進歩性がある任意の、ステップ、動作、ステップおよび/もしくは動作の組み合わせ、または、ステップおよび/もしくは動作の部分的組み合わせを備える方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面は、本発明の非限定的な実施形態例を示している。
【0021】
図1】電磁場に曝されている患者の胸の断面である。
【0022】
図2】患者の背中にある電極の図である。
【0023】
図3A】別の電極配置を示した、電磁場に曝されている患者の胸の断面図である。
図3B】別の電極配置を示した、電磁場に曝されている患者の胸の断面図である。
図3C】別の電極配置を示した、電磁場に曝されている患者の胸の断面図である。
図3D】別の電極配置を示した、電磁場に曝されている患者の胸の断面図である。
【0024】
図4】電極の切り替え方法を示した、患者の側面図である。
【0025】
図5A】膨張可能なベストで支持されている電極を示した、患者の胸の断面図である。ここで示しているのは収縮したベストである。
図5B】膨張可能なベストで支持されている電極を示した、患者の胸の断面図である。ここで示しているのは膨張したベストである。
【0026】
図6】コイルにより生成されている電磁場に曝されている患者の胸の断面である。
【0027】
図7A】電磁エネルギーが送達されている間に患者の胸郭周辺の螺旋経路を移動するよう作動している電極対を示した、患者の胸の断面図である。
図7B】電磁エネルギーが送達されている間に患者の胸郭周辺の螺旋経路を移動するよう作動している電極対を示した、患者の胸の断面図である。
【0028】
図8】患者の望ましくない組織を治療する例示的な方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明を通して、本発明をより完全に理解できるよう具体的な詳細を記載する。しかしながら、本発明はこれらの詳細がなくても実施され得る。他の事例では、本発明を不必要に不明瞭にするのを回避すべく、周知の要素は詳しく図示または説明していない。従って、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。
【0030】
患者の組織の患部を選択的に加熱する一方で、患者の他の組織の加熱を最小限にするために、本発明の特定の実施形態に係る方法および装置が適用され得る。加熱は、病変組織を電磁場に曝して誘電加熱または渦電流加熱を引き起こすことにより達成され得る。電磁場は、無線周波数(RF)エネルギーを含み得る。幾つかの実施形態によると、RFエネルギーはマイクロ波放射線を含む。
【0031】
電磁エネルギーの印加により、選択された病変組織が閾値温度を超える温度まで加熱され得る。例えば、病変組織が約55℃から約65℃の範囲の温度まで加熱され得る。病変組織が加熱される厳密な上限温度は重要でないことが多い。多くの場合は、これよりも若干低い最大限の温度まで加熱することが、より長い時間にわたって当該温度を維持することにより補償され得る。健康な組織を熱し過ぎると、当該健康な組織に損傷を与えることがあるので、健康な組織の加熱は回避するのが望ましい。健康な組織が長期的な損傷を受けることなくさらされ得る最大限の温度は、知られていない。
【0032】
近接するより健康な組織と比べて血流の減った病変組織を治療するために、本発明の特定の実施形態が有利に適用される。このような場合は、患部が急速に加熱され得る一方で、より健康な組織が血流により冷却されることになり、ひいては、温度の上昇が病変組織と比べて減る。
【0033】
肺気腫は、患部の血流が減った状態の例である。肺の質量(密度)が低いこと、および、肺内部の健康な組織の血流が多いことから、本発明の特定の実施形態が、肺気腫の治療に特に効果的であり得る。
【0034】
場合によっては、病変組織は患者の肺の組織である。例えば、患者は肺気腫を患っているかもしれない。係る治療については、約50℃またはそれより高い温度まで患部を加熱すべく、電磁エネルギーが印加され得る。これが行われている間、周辺のより健康な肺組織の温度は、閾値温度よりも低く保たれ得る。本発明者によれば、肺の健康な組織および肺の近傍にある臓器は、約40℃または約45℃を超える温度にさらされるべきではない。
【0035】
図1は、患者Pの肺12および14の内部の病変組織を治療するために適用されている、本発明のある実施形態例に係る装置10を示している。肺12および14は、患者の体1の内側の胸郭16に取り囲まれている。肺12および14の内部の病変組織を加熱する一方で、心臓18および脊椎20のような隣接する臓器への過熱を最小限にすべく、複数の電極22(図1は、22A、22B、22Cおよび22Dとして個別に識別された4つの電極を示している)。幾つかの実施形態によると、装置10は、更なる電極22を含む。当該更なる電極22は、例えば、図1の断面の平面の片側または両側に配置され得る。
【0036】
電極22は、肺12および14をできるだけ多く覆う電場24を生成する一方で、電場24が隣接する臓器に浸透するのを最小限にするよう寸法決めおよび配置される。幸い、人間の生体構造においては、係る配置が可能である。
【0037】
電磁エネルギーの体1との電気的結合を高める一方で、体1の表面を冷却すべく、チューブ28により体1と複数の電極22との間に生理食塩水26が任意で導入され得る。係る液体結合によって、複数の電極22のうちの幾つかまたは全てを経由して送達されたRFエネルギーの体1との結合の濃度(consistency)が大幅に高まり得る。別の実施形態によると、電極22は、例えば、生理食塩水などの導電性流体の槽を含む。生理食塩水26は、例えば、水中に約1wt%のNaClを含み得る。幾つかの他の実施形態によると、電極22と体1との間に導電性ゲルが提供される。
【0038】
RF発生器30は、インピーダンス整合ネットワーク32および電極選択回路34を介して電極22にRFエネルギーを供給する。RFエネルギーは、ワイヤ36を介して複数の電極22のうちの2つ以上に印加される。
【0039】
幾つかの実施形態例によると、RF発生器30は、約1kWから約5kWの範囲の最大電力出力を有する。幾つかの実施形態例によると、RF発生器30によるRFエネルギー出力は、約1MHzから約100MHzまたは約10MHzから約100MHzの範囲の1つまたは複数の周波数を有する。
【0040】
任意ではあるが、スペクトルの産業科学医療用(ISM)バンドで電場24の周波数を選択するのが概して望ましい。係る周波数を選択することによって、RF発生器30により生成されたRFエネルギーと通信信号などの他の信号との間の干渉が軽減または回避され得る。例えば、RF発生器30は、13.56MHzまたは27MHzの出力周波数を有し得る。
【0041】
RF発生器30の出力インピーダンスを体1のインピーダンスに整合させるために、インピーダンス整合ネットワーク32が提供される。これによって、エネルギーの体1への効率的な送達が促進される。当技術分野においてインピーダンス整合ネットワークは周知のものである。
【0042】
ある実施形態例によると、インピーダンス整合ネットワーク32は、RF発生器30の1つの出力端子と、電極選択器38と並列接続されているインダクタにより追従される当該電極選択器38との間に直列接続されているキャパシタなどのLC回路を備え得る。キャパシタ値およびインダクタ値は、体1にある電極22の対の間のレジスタンスおよびキャパシタンスを測定した後に決定され得る。例えば、インピーダンス整合ネットワーク32は、RF発生器30の純抵抗性インピーダンス(例えば、50Ohms)を人間または動物の体の複素インピーダンスに整合させ得る。
【0043】
異なる複数の患者により表されるインピーダンスは、非常に著しく異なることがある(例えば、患者のサイズは、患者の両側に配置された電極対の間隔に著しい影響を及ぼすことがあり、ゲルまたは伝導性溶液が提供されるかどうかに関わりなく、電極体界面のインピーダンスに著しい影響を及ぼすことがある)ので、調節可能なインピーダンス整合ネットワークを提供するのが望ましいこともある。インピーダンス整合ネットワークは、複数の電極対の各々について最良のインピーダンス整合を提供するよう調節可能であり得る。
【0044】
幾つかの実施形態によると、インピーダンス整合ネットワークは、電力の体への送達を最大限にする自己調節式(すなわち自動調整式)である。例えば、米国特許US5364392、US9028482およびUS9192422、並びに、当業者に知られている他の刊行物には、(例えば、反射された放射線の測定値に基づいて)最適な電力送達ができるよう整合ネットワークを自動調整するのに使用され得る技術が記載されている。
【0045】
抵抗性電流が体1を流れるのを回避すべく、電気的な安全性のために、電極22と体1との間に容量性結合をもたらすことが望ましい。例えば、電極22は、非常に薄い絶縁材料の層でコーティングされ得る。例えば、電極22と体1との間に薄いカプトン(商標)テープの層が貼付され得る。
【0046】
治療対象となる肺の両側に配置された複数の電極22のうちの2つの間にRF発生器30の出力を印加することにより、片方または両方の肺12、14の内部の病変組織が加熱され得る。望ましい治療結果を達成するのに十分な時間にわたって、閾値温度を超える温度まで病変組織の温度を上げるべく、十分な時間にわたって加熱が継続され得る。
【0047】
隣接する臓器の加熱を最小限にすべく、電磁場24の方向は周期的に変更され得る。これは、複数の異なる電極22の対にRF発生器30の出力を印加することにより達成され得る。複数の異なる電極22の対は、電場が方向を変えても、治療対象となる病変組織を含んだ肺12、14の部分を常に通過するよう選択され得る。これが行われると、病変肺組織が継続的に加熱される一方で、周辺組織は断続的にしか加熱されない。装置10において、電極選択器38は、印加されるRF発生器30の出力を複数の異なる電極22の対の間で切り替える。切り替え周波数は低くてよい。例えば、電極選択器38は数秒ごとに電極を切り替え得る。幾つかの非限定的な例によると、電極選択器38は、30秒から300秒ごとに異なる電極対を用いて加熱エネルギーを送達できるよう、電極を切り替える。幾つかの非限定的な例によると、電極選択器38は、100Hz以下の周波数で異なる電極対を使用するために電極を切り替える。
【0048】
場合によっては、複数の異なる電極22の対は、少なくとも数秒ごと(例えば、少なくとも1秒から30秒ごと)に、少なくとも15度(少なくとも10度、少なくとも20度、および少なくとも25度というオプションもある)の角度にわたって、患者の組織内部の電場の配向方向が変更されるよう選択される。場合によっては、複数の異なる電極22の対は、電場の配向方向が数秒以上にわたって同じ平面に留まらないよう選択される。これは、患者の肺の各々に隣接する二次元の電極22のアレイを患者の少なくとも片側に提供することにより促進され得る。
【0049】
治療対象となる患部を含む組織(例えば、肺組織)容量が、選択された対の電極の間にあるよう、電極対が選択され得る。選択された電極対のうちの複数の異なる電極対を用いて加熱エネルギーの印加を交互に行うことにより、組織容量内部の患部は絶えず加熱され得るが、周辺組織が加熱され得るのはその時間のごく一部である。幾つかの実施形態によると、どちらの肺についても、選択された1対の電極を経由して、加熱エネルギーが一度に送達される。幾つかの実施形態によると、選択された3つまたは4つまたはそれより多くの電極対の間で、加熱エネルギーの送達が交代で行われる。係る実施形態では、選択された何れか1つの電極対が、その時間のおよそ1/Nだけ動作状態にあり得る。ここで、Nは、特定の肺または他の組織容量に加熱エネルギーを印加するのに使用されている、選択された電極対の数である。
【0050】
幾つかの実施形態によると、患者の肺のある領域を実質的に覆っている電極アレイが、患者の胸および背中に提供される。電極アレイは互いに鏡像関係にあり得る。複数の電極アレイの各々は、患者の肺の形状に適合するよう形状を持ち得る。幾つかの実施形態によると、複数のアレイの各々は二次元であり、それぞれが複数の電極を含む複数の列と、それぞれが複数の電極を含む複数の行とを備える。幾つかの実施形態によると、係るアレイは患者の肺のうちの一方に提供される。幾つかの実施形態によると、係るアレイは患者の肺の両方に提供される。係るアレイは、患者の肺のうちの一方または両方の組織に加熱エネルギーを送達すべく、本明細書で説明するように取り付けられ得る。
【0051】
電極対の電極は逆の極性で通電され得る。幾つかの実施形態によると、対の一方の電極が接地され、他方の電極がRF信号発生器30の出力に接続される。幾つかの実施形態によると、対の一方の電極がRF信号発生器の1つの出力端子に接続され、他方の電極がRF信号発生器30の別の出力端子に接続される。
【0052】
健康な肺組織は病変組織よりも血液循環がはるかに多いことから、肺12、14のより健康な組織は、損傷温度まで加熱されることから守られ得る。無線周波数(RF)エネルギーなどの非接触型熱源が肺に方向付けられると、血流により健康な組織から熱が取り除かれる一方で、肺の患部が熱くなる。
【0053】
これは、肺の質量(大抵は成人で約1kg)が低い一方で、肺を通る血流(大抵は成人で約5kg/分または1分あたり約5リットル)が多いために機能する。この血流によって、肺の健康な部分の温度は、質量が数十キログラムのヒートシンクとして事実上は機能する、体の残りの部分と等しくなる傾向がある。これは、通常約1キログラム未満の肺の患部にとって、事実上のヒートシンクの質量よりも10倍から100倍大きい質量である。肺がRFエネルギーなどの加熱を引き起こすエネルギー形態に曝されると、肺組織の温度上昇は、事実上のヒートシンクの質量に反比例する。従って、血液循環の少ない病変組織は、血液循環の正常なより健康な組織よりも著しく高い温度まで加熱される。これに基づいて、肺組織の患部を50℃から70℃の範囲の温度まで加熱させるべく加熱エネルギーが印加され得る一方で、肺の健康な領域は正常な体温の数度上までしか熱くならない。
【0054】
肺12、14のより健康な部分の温度を低く保つ手助けをすべく、患者Pは手術中に冷気を吸入していてよい。肺12、14の患部が自らを低温状態に保つのに十分な量の冷気を得ることはないであろう。冷却は、液化空気のエアゾール噴霧器を用いて促進されてもよい。
【0055】
本明細書で説明するような方法は、患部の位置を予め正確に知っている必要がないという利点をもたらすやり方で実装され得る。加熱エネルギーは肺全体に方向付けられ得るが、温度が著しく上昇するのは患部だけである。
【0056】
本明細書で説明するような治療方法は、様々な望ましい結果を達成するために適用され得る。例えば、場合によっては、病変組織が閾値温度を超えるまで加熱されるような単回治療が、望ましい結果を達成するのに十分であり得る。例えば、望ましい結果とは病変組織容量の減少であり得る。単回治療では、線維化、アブレーションまたは他の工程を介して体積の十分な減少が達成され得る。他の場合には、病変組織容量の望ましい減少または他の望ましい結果を達成するために、何時間、何日間、何週間または何カ月にわたって治療が2回以上繰り返され得る。
【0057】
幾つかの実施形態では、任意で、病変肺組織が約60℃近傍の温度まで加熱されると、肺の虚脱(気胸)後に、当該病変肺組織が再び拡張する能力を失い得るという事実を利用している。これは、温度によって誘導された界面活性剤層への損傷および他の生理学的理由から起こり得る。治療方法は、肺の病変肺組織(例えば、COPDまたは肺気腫の影響を受けた組織)を加熱し、肺を虚脱させた後、肺を再び膨張させる段階を含み得る。
【0058】
肺の加熱は、迅速に(例えば、数秒または数分で)実行され得る。肺の虚脱は、皮下注射針を胸膜腔に挿入し、空気を胸膜腔に漏出させることにより実行され得る。肺に純酸素を供給すると、酸素が血液に完全に吸収されるので、虚脱が加速する。肺は、患部が虚脱して小容量となることを可能とするのに十分な長さの時間にわたって虚脱状態に保たれ得る。肺は、胸膜腔を空にすることにより再び膨張し得る。これは、例えば、肺を虚脱させるのに使用するのと同じ針で行われ得る。手術は一度に1つの肺で行われ得る。患者は残りの肺で呼吸することができる。肺の虚脱および膨張は、呼吸器病学で規定通りに行われ、ここで詳述するには及ばない。
【0059】
この治療では、肺気腫の影響を受けた領域が肺の健康な部分の正常な動作に干渉することが阻止されるよう、これらの領域を虚脱させ、虚脱したままにさせることがある。これによって、外科手術のリスクを冒すことなく病変肺組織を外科的に切除することにより達成され得る結果と同様のものが達成され得る。気胸を必要としない他の機構も存在し得る。この場合は、加熱された患部がアブレーション、線維化または他の機構によって容量を減らし、健康な肺組織にその隙間を埋めさせることができる。
【0060】
加熱工程は、開ループ制御を用いて(すなわち、過去の実験的な電力および継続時間の較正に基づいて)、または、検知ループ制御もしくは閉ループ制御を用いて実行され得る。幾つかの実施形態によると、装置10は、RF発生器30の電力出力、RF発生器30の出力がその間に印加される電極、RF発生器30のデューティサイクル、および、RF発生器30が、患者の組織内の1つまたは複数の位置における温度のリアルタイム測定値に少なくとも部分的に基づいて、体1に加熱エネルギーを印加する期間の長さのうちの1つまたは複数を自動制御するコントローラを含む。
【0061】
温度検知は、患者の体に配置された1つまたは複数のセンサ36、および/または、任意の最適な非接触型温度検知技術を用いて実行され得る。ある実施形態例によると、サーミスタなどの小さい温度センサを用いて患者内部の組織の温度が検知される。例えば、あるプロトタイプの実施形態では、Digikey(商標)の品番495-5820-NDなどの、ガラスで覆われた小型サーミスタが、肺組織の温度を測定するのに使用された。組織の温度を測定する他のやり方の例としては、
・皮下の温度センサ(これらには、例えば、ゲージ数の非常に小さい針(例えば、直径が約0.6mmの針)に保持された電子温度センサが含まれ得る)、
・磁気共鳴画像(MRI)システム、または、温度を監視できる他の外部画像システムにより得られた処理データ、
・熱電対、
・サーミスタまたは他の温度センサを備えた気管支鏡、
・ソリッドステート温度センサ、および
・同様のもの
が挙げられる。
【0062】
コントローラは、様々な制御アルゴリズムのうちの何れかを実装し得る。例えば、システム10のコントローラがPID制御ループを実装し得る。コントローラは、望ましい温度(例えば、約55℃から65℃の範囲の温度)に達したときにRF発生器30の電力出力を遮断または低減するといったシンプルなアルゴリズムを実装し得る。幾つかの実施形態によると、コントローラは、組織の温度が望ましい温度に向かって上げられている間にRF発生器30の電力出力を変調し、かつ、当該望ましい温度に達したときにRF発生器30による電力の送達を遮断する。フィードバック制御によって、目標温度の超過が阻止され得る。
【0063】
開ループ温度制御を適用する実施形態では、組織に吸収された熱と組織の冷却速度との数学的モデルに基づいて、対象組織内部の現在の温度が任意で計算され得る。閾値温度に達したことを当該モデルが予測した後は、RF発生器30の電力出力を制御するため、および/または、RF発生器30が組織の温度を更に上げるのを阻止するために、当該モデルの出力が印加され得る。
【0064】
幾つかの実施形態によると、非標的組織の温度を検知するために、1つまたは複数の温度センサが適用される。例えば、最も熱くなりそうであると識別されるか、または、熱に最も敏感な臓器であると識別される非標的臓器が特定されてよく、これらの臓器内部の温度は治療中に監視され得る。
【0065】
ある実施形態例によると、皮下注射針内に取り付けられたシンプルな温度センサが、当該針が臓器に挿入されたときに正確な温度測定値を提供する。装置10のコントローラは、非標的組織の温度が安全温度閾値を超えると治療を中止するよう構成されてよく、および/または、非標的組織の温度が安全温度閾値に向かって上昇しているか、または、安全温度閾値に近づくと、RF発生器30からの加熱エネルギーの印加を変調するよう構成されてよい。
【0066】
非標的組織の温度を検知する非標的温度センサは、単独で使用されてもよいし、標的組織の温度を測定する温度センサと組み合わされてもよい。幾つかの実施形態によると、同じ温度センサ(例えば、MRIベースの温度センサまたは別の非接触型温度センサ)が、標的組織および非標的組織の両方の内部の温度を監視し得る。
【0067】
幾つかの実施形態では、US8444635に記載のシステムが、温度センサと、当該温度センサから温度信号を受信するよう接続され、かつ、閉ループ制御アルゴリズムにより、患者の組織を加熱するための放射線照射を制御するよう構成されたコントローラとを含むように修正されている。
【0068】
場合によっては、標的組織に温度センサを配置するのは望ましくないことがある。例えば、肺組織の特定の領域に温度センサを挿入すると、肺に穴を開けるというリスクを冒し得る。幾つかの実施形態によると、標的組織内の特定のポイント、および/または、非標的組織内の特定のポイントにおける温度が患者内の別の位置における温度とどのように関係しているかを推定するために、患者の生体構造のモデルが使用され得る。当該別の位置は、温度センサがリスクのより低い状態および/または悪影響のより少ない状態で配置され得る位置であるよう選択され得る。他方の位置は、肺の周辺の筋肉、呼気の温度、または特定の位置における血液の温度などのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0069】
術前の画像から、患者の生体構造の熱的モデルが生成され得る。複数の異なる組織型の既知の熱伝導率が、患者におけるそれらの組織型の既知の分布、電極の既知のジオメトリ、組織に加熱エネルギーを送達するのに使用されるコイルまたは他の構造体、および、別の位置における温度が対象位置における温度とどのような相関関係を持つかを推定するための循環モデルと組み合わせられ得る。別の位置で測定された温度は次に、当該モデルを用いて決定された相関性を用いて対象位置における温度の代わりに使用され得る。
【0070】
幾つかの実装によると、患者の向きが考慮される。肺の下部は通常、重力の影響で、肺のより高い所にある部分よりも多くの血液を含む。これは「灌流の差異」と呼ばれる。最も多くの血液を含んだ肺の部分は、患者の向きによって変化し得る。治療対象となる位置における血液量は、当該位置の組織に電磁エネルギーが送達されるときに当該組織の温度が上昇する速度に影響を及ぼし得る。
【0071】
幾つかの実施形態によると、治療が実施されている間に(例えば、患者を回転させることおよび/もしくは傾けること、並びに/または、患者を転がすことにより)患者が様々な姿勢に動かされる。本発明の幾つかの実施形態に係る装置は、治療の実施に合わせて傾けること、または回転させることなどにより移動する、長椅子、椅子、ベッドまたは他の患者支持体を提供し得る。幾つかの実施形態によると、患者支持体の動作は、患者に対する加熱エネルギーの印加も制御するコントローラにより制御される。
【0072】
幾つかの実施形態に係る装置は、治療中に選択されたポイントで患者の姿勢を変えるための命令を(例えば、ディスプレイ上で)提供する。
【0073】
幾つかの実施形態に係る装置は、肺の様々な部分(または生体構造の他の部分)における組織の特性に対する灌流の差異の影響を推定する。係る推定は、例えば、(例えば、術前の画像からの)患者の生体構造に関する情報に基づいたものであり得る。標的組織にエネルギーを送達するためのプロフィールでは、灌流の差異の結果、標的組織の温度がより急速に上昇すると考えられる肺の部分に標的組織がある(例えば、標的組織がより高い所にあるために標的組織の血液が欠乏した場所では、エネルギーが減らされ得る)のか、または、灌流の差異の結果、標的組織の温度がよりゆっくり上昇すると考えられる肺の部分に標的組織がある(例えば、標的組織がより低い所にあるために標的組織が大量の血液を含んでいる場所では、エネルギーが増やされ得る)のかに応じて、送達されたエネルギーを増やすこと、または減らすことにより、灌流の差異が考慮され得る。当該装置の幾つかの実施形態は、ユーザが治療中の患者の姿勢を指示するために使用し得る制御装置を含むユーザインタフェースを提供する。灌流の差異に対する補償は、指示された姿勢に少なくとも部分的に基づいたものであり得る。
【0074】
患者の組織内部の電場24が概して均一であるよう当該組織に電磁エネルギーを印加するのが概して望ましい。電場24の均一性は、
・電極のサイズ、形状および位置、
・電極と患者の体との間の界面のインピーダンス、
・電極経由で送達されている電磁エネルギーに存在する1つまたは複数の周波数、
・電極のサイズが様々である場合に、どの電極に最も高い電圧が印加されるか(加熱速度は力線の密度に関係しているため、高い電圧付近の組織がより迅速により高い温度まで加熱されやすくなる)
を含む様々な要因の影響を受けることがある。幾つかの実施形態では、これらの要因のうちの1つまたは複数が、患者における望ましい電場分布を達成するよう操作される。例えば、
・抵抗率が空間的に変化する材料および/または塗料の選択により電極が構築されてよく、
・当該電極と患者の体との間にシールドおよび/または導波管が置かれてよく、
・当該電極(および/または、存在する場合はシールドおよび/または導波管)は、治療が実施されている間に動かされてよい。上記のうちの1つまたは複数などの特徴は、例えば、治療対象となる肺または他の組織容量において概して均一な電場分布を達成するために適用され得る。
【0075】
幾つかの実施形態によると、患者の生体構造および標的組織のジオメトリの知識を用いて、電極22の配置が設計またはカスタマイズされる。例えば、患者における濃度の異なる領域(例えば、脂肪組織/筋肉/骨)を特定するために、MRIおよび/またはコンピュータ断層CT画像が処理され得る。これらの材料の既知の平均的電気特性から取り組むことで、
・電極配置、
・電極を切り替える順序および/またはタイミング、
・RF信号の特性(電力、周波数など)
のうちの1つまたは複数を規定する治療プランを設計することができる。当該治療プランは、的確な標的組織を標的にし、十分に均一な加熱を達成し、かつ、重要な組織(例えば、心臓)の過剰加熱を回避するのに役立ち得る。幾つかの実施形態によると、患者の生体構造の分析により、患者の体の両面(例えば、胸および背中)において患者の肺を覆うよう寸法決めされた電極アレイを含む電極パターンが生成され、当該電極パターンを用いたプリント工程、切断工程、または他のコンピュータ制御された作製工程により、患者向けにカスタマイズされた電極の組が作製される。
【0076】
図2は、患者Pの片側(例えば、患者の背中)にある電極22の配置例を示している。患者の対向する側(例えば、患者の胸)にも同様の電極配置が提供され得る。この実施形態および他の幾つかの実施形態によると、患者の肺の各々を覆う別個の組の電極が提供される。ここでは、電極22AAから22ACが患者の左肺にわたって提供され、電極22BAから23BCが患者の右肺にわたって提供される。
【0077】
この例によると、患者の胸にある1つの電極と患者の背中にある別の電極とを含む電極22の対の間でRF発生器30の出力を接続することにより、電磁エネルギーが患者Pの標的肺組織に送達され得る。当該電極22の対は、互いに正対させられ得る場合もあれば、互いにオフセットされ得る場合もある。
【0078】
図2の電極配置は、例えば、
・示されている電極のうちの幾つかまたは全てをより多くの電極に置き換えること(当該より多くの電極は、場合によっては、示されている電極よりも小さいことがある)、
・示されている電極を分割して、より多くの電極列を提供すること(当該列は、例えば、患者の片側または両側に患者の脊椎と概して平行に配置され得る。例えば、示されている電極22の各々が、2つまたは3つの電極から成る行で置き換えられ得る。図3A図3B図3Cおよび図3Dには、例示的な実施形態が示されており、電極22A、22B、22Cおよび22Dの各々が2つの電極で置き換えられている)、
・示されている電極を分割して、より多くの電極行を含めること
を含む様々なやり方で変更され得る。
【0079】
例えば、図1に示されている電極選択回路34は、電極対のうちの複数の異なる電極対に異なる時点で加熱エネルギー(例えば、RF信号発生器からの出力)を印加し得る(電極の切り替え)。
【0080】
図4は電極の切り替え例を示している。図4は、電極22AAから22CCを示した、患者Pの側面図である。電極22CAから22CCは、患者Pの、電極22AAから22ACとは反対の側にある。図4は、電極22AAから22CCが9対の電極22を提供するのを示している。ここで、各対の電極には、当該対の電極の間に患者Pが挟まれるよう、患者Pの片側にある1つの電極と、患者Pの対向する側にある別の電極とが含まれる。
【0081】
患者Pに生成される電場24の方向は、電極22のどの対が加熱エネルギーの送達に使用されているかによって決まる。例えば、電極22CCを伴う3対の電極について考慮されたい。電磁場は、力線44、42および40で示されているように、電極22CCを、それぞれ電極22AA、22ABおよび22ACと対にすることにより方向付けられ得る。
【0082】
図4は、電極選択回路34が、電気制御されたスイッチまたは電流転換器46および48を含んでいる様子の例を示している。インピーダンス整合ネットワークは、平衡構成が望ましい場合に(接地電位と相対的に平衡した)平衡出力を提供するよう構築され得る。示されている実施形態によると、これは変圧器50を提供することにより達成される。
【0083】
スイッチ46および48には、例えば、RF FETトランジスタまたはRF継電器などといった電気機械式継電器、電気機械式電流転換器、ソリッドステートスイッチが含まれ得る。
【0084】
図4に示されているように、複数の異なる電極22の対は、電極から電極までの間隔が著しく異なり得る。幾つかの実施形態は、加熱エネルギーが複数の異なる電極対の間で切り替えられるときに生じ得る、体組織における複数の異なるエネルギー密度を補償する機構を含む。係る補償は、例えば、以下の形態のうちの1つまたは複数を取り得る。
・どの電極対が駆動されているかに応じて、コントローラがRF発生器30の電力出力を様々な値に自動設定し得る。
・幾つかの電極が複数の部分に分割され得る。電極が他のどの電極と対になるかに応じて、当該複数の部分のうちの複数の異なるもの、または、当該複数の部分の複数の異なる組み合わせが使用され得る。
・どの電極22の対が駆動されているかに応じて、パルス幅変調または他の時間領域補償が適用され得る。
・駆動されたときに同様のエネルギー密度を生成する、より多くの異なる電極22の対を選択することが可能となるよう、より多くの電極22が提供され得る。
・複数の異なる電極対で表されたインピーダンスを整合させるよう、インピーダンス整合ネットワークが調整されてもよいし、切り替えられてもよい。
・上記のうちの何れか2つ以上の組み合わせ。
・その他。
【0085】
患者に加熱エネルギーを印加するのに使用する電極22は、貼付式の電極、ベルトなどに取り付けられた電極、ベストなどといった衣類で支持された電極22を含む多種多様な形態のうちの何れかを有し得る。図5Aおよび図5Bには例示的なベスト58が示されている。ベスト58は膨張可能であり得る。図5Aは膨張前のベスト58を示している。図5Bは膨張したベスト58を示している。幾つかの実施形態によると、電極22のうちの幾つかまたは全てが導電性液体を含む嚢を備える。係る電極は、本明細書で説明するような装置がMRIシステムを組み込んでいるか、またはMRIシステムと併せて使用されている場合に有利であり得る。患者の組織にエネルギーを送達するのが望ましい場合は、嚢が導電性流体で満たされ得る。MRI情報を取得するのが望ましい場合は、導電性流体が嚢から取り出され得る。
【0086】
電極は、患者の体に対する電極の適用を簡略化したやり方で、電極が患者の体と密着した状態になるよう提供されるのが理想的である。
【0087】
幾つかの実施形態によると、電極22のうちの幾つかまたは全てが、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する。
・電極の長さおよび/または幅は、伸縮可能である(例えば、電極は、導電性の伸縮可能な布、または、織成もしくは不織の伝導性メッシュ、または、伸縮可能な伝導性プラスチックのシートで作られ得る)。
・電極は屈曲可能である。
・電極は、(例えば、接着剤もしくは面ファスナー、または、クリップもしくは取り外し可能なファスナーなどを用いて)ベスト、ベルトまたは他の衣料品に取り付けられるか、または取り付け可能である。
電極は、例えば、特定の患者に適したサイズに切断すること、または引きちぎることにより小さくなるよう設計される。
電極は、複数のより小さな電極で構成される。任意で、電極のサイズを個々の患者に合うよう調節すべく、当該複数のより小さな電極の間で接続が形成または切断され得る。
【0088】
電極22は、例えば、
・接着剤(自己接着剤および/または分離塗布接着剤を含み得る)および/またはゲル、
・電極が取り付けられるか、または組み込まれた衣料品、
・例えば、電極の上に着用される伸縮性のおよび/または膨張可能なベストまたはシャツなどの衣料品、
・その他
のうちの1つまたは複数により、患者Pの定位置に固定され得る。
【0089】
患者の体1の凹状であり得る部分(例えば、脊椎、胸部周辺領域など)に対して電極22を固定するのが望ましい場合は、患者の生体構造の凹部に対して電極を固定するために、屈曲可能な支持体または膨張可能なチャンバ(ベストなどの膨張可能な衣料品の一部であり得る)などの成形部材などが提供され得る。
【0090】
幾つかまたは全ての電極22が、衣料品(例えば、ベスト)または診療台、ベッドテーブルもしくは椅子といった患者用の家具などの支持体に提供されるならば、当該支持体は、冷たい流体が含まれている、および/または、循環している経路を含み得る。冷たい流体は、患者を低温状態に保つのに役立ち得る。支持体が膨張可能であれば、冷たい流体を含む経路は、支持体を膨張させるために加圧され得るチャンバと同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。幾つかの実施形態によると、標的組織に近接している支持体の複数の部分において冷たい流体の循環が阻害され得るように、弁が提供される。
【0091】
以下に説明するように、幾つかの実施形態では、電極の代わりに、または、電極に加えて、コイルが提供される。係る実施形態によると、コイルは、電極について先ほど説明したのと同じやり方または同様のやり方で、患者に対して支持され得る。これは、図6に最もうまく示されている。
【0092】
本明細書で説明する技術革新は、加熱エネルギーを様々なやり方で体組織に印加する状況において適用され得る。例えば、組織を加熱すべく、
・体の少なくとも一部が電極の間にあるように、体の両側に少なくとも1対の電極を配置し(事実上は、体の組織がその中で誘電体を形成するキャパシタを形成し)、かつ、当該電極の間にRFエネルギーを送達すること(組織内部の誘電損失によって熱が生成される)、
・体の少なくとも一部をコイルの内側に、または、幾つかのコイルの間に挟み込むように配置してインダクタを形成し、当該インダクタにRF信号を駆動し、このインダクタの損失(主に渦電流の損失)を用いて体の組織で熱を生成すること(渦電流加熱は、変化する磁場により患者の組織内の渦電流が誘導された場合に起こる)、
・例えば、米国特許8444635で開示されているように、電磁エネルギーをアンテナから体内に放射すること(電磁放射線を体内に放射することによる加熱は主に、マイクロ波周波数などの高周波数に最適である)
により、電磁エネルギーが体に結合され得る。本明細書で説明するような閉ループ温度制御、および/または、非標的組織の加熱を軽減するための電磁場線の方向の切り替えが、これらの加熱方法のうちの何れかを適用する実施形態において提供され得る。
【0093】
より低いRF周波数(例えば、1MHzから100MHz)を用いるときにどの領域が加熱されるかを制御すべく、体にRFエネルギーを印加する電極またはコイルは、体の対向し合う側に配置されるべきである。体の片側だけに電極またはコイルを配置すると、当該電極または当該コイルの近くで最も多くの熱が生成される状態で、不均一な加熱がもたらされる。
【0094】
本明細書では、電極経由で肺または他の構造体に電磁エネルギーが印加されるような様々な実施形態例について説明している。電極をコイルに置き換えることにより、他の対応する実施形態も提供され得る。
【0095】
主に磁場により誘導される渦電流の加熱については、図6に示されているように、電極がRFコイルに置き換えられ得る。コイル52および54の極性は、肺12、14を通る磁場線56を生成するよう選択される。本明細書の他の箇所で開示されている電極切り替え装置と同様のコイル切り替え装置に複数のコイルが使用され得る。磁場は、フェライトブロックを用いて更に方向付けられ得る。
【0096】
固定された電極またはコイルを提供する代わりに、装置は、患者Pと相対的に移動可能な電極またはコイルを提供し得る。例えば、1つまたは複数の電極対が、当該電極対を患者と相対的に動かすよう動作可能なアクチュエータに保持され得る。当該電極対はそれぞれ、患者の第1の面および第2の面(例えば、患者の胸および背中)をそれぞれ移動可能な第1電極および第2電極を含み得る。例えば、図7Aおよび図7Bに示されているように、電磁エネルギーが電極22経由で送達されている間に、1対の電極22が患者の胸郭の周りの螺旋経路を移動するよう作動し得る。別の例を挙げると、1つまたは複数の電極対が少なくとも1つの次元に固定されてよく、患者は当該固定された電極と相対的に当該次元を動かされてよい。
【0097】
幾つかの実施形態に係る装置は、他の機器への電磁干渉を減らすために、ファラデーケージもしくはシールドルームを含むか、またはファラデーケージもしくはシールドルームと併せて使用される。幾つかの実施形態によると、数センチメートルまたはそれより少なく離間されたワイヤで構成されたワイヤメッシュケージにより、シールドが提供される。当該ケージは、部屋の壁または他の構造体に組み込まれ得る。
[実施例]
【0098】
本明細書で説明するような方法をラットで試験した。小型サーミスタは直接温度センサとしてうまく機能するが、試験された熱電対はうまく機能しないことがわかった。電場は熱電対からの低レベル(1mV未満)の信号には干渉したが、サーミスタからのより高いレベル(ボルト)の信号には干渉しなかったと思われる。例としては、US Sensor社(http://www.ussensor.com/)により製造されているモデルH1744が最適なサーミスタである。このサーミスタの外径は0.43mmである。
【0099】
肺のうちの一方に肺気腫が誘導された幾つかのラットで当該システムを試験した。使用パラメータは、
・13.56MHzで100WのRF電力、
・電極が生理食塩水で洗浄された直列C並列L整合ネットワーク
であった。
【0100】
反射電力は5%未満であった。各電極はおよそ25×50mmであり、当該各電極を厚さ25μmのカプトン(商標)テープで覆った。当該テープは非常に薄くて容量性電流をあまり減衰させることがないため、電極と体との間のキャパシタンスが高くなる。電極との接触領域にあるラットの毛を剃った。
【0101】
加熱時間は約100秒であった。健康な肺が約41℃に達する一方で、肺気腫のある領域は約55℃に達した。全てのラットがこの治療を乗り切った。その後の検死解剖では、肺気腫の誘導された領域に瘢痕組織を確認した。
【0102】
ラットで行われた試験において、誘電加熱は、磁場により誘導された加熱よりも効果的であったが、それらの各々に独自の利点があるかもしれない。
[用語の解釈]
【0103】
文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書および請求項を通じて、
「備える(comprise)」および「備える(comprising)」などは、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち「限定されるわけではないが、~を含む」という意味で解釈されるべきである。
「接続され」、「結合され」、またはそれらの任意の変形例は、2つ以上の要素間での直接的または間接的な任意の接続または結合を意味し、当該要素間の結合または接続は、物理的なもの、論理的なもの、またはそれらの組み合わせであってよい。
「本明細書」、「上記」、「以下」、および同様の趣旨の語は、本明細書を記載するために使用される場合、本明細書全体を指しているものとし、本明細書の何れか特定の部分を指しているわけではない。
2つ以上の項目の一覧に関連する「または」は、その語を以下のように、すなわち、一覧中の項目の何れか、一覧中の項目の全て、および一覧中の項目の任意の組み合わせとして解釈することを全て網羅する。
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、任意の適切な複数形の意味も含む。
「電磁信号印加器」は、電極(例えば、電場を印加して誘電加熱をするのに使用され得る)と、コイル(例えば、磁場を印加して渦電流加熱をするのに使用され得る)と、アンテナ(例えば、マイクロ波を印加して組織を加熱するのに使用され得る)とを包含する一般的な用語である。
【0104】
本明細書および任意の添付の請求項で使用されている「鉛直」、「横」、「水平」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「内側」、「外側」、「鉛直」、「横」、「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「下部」、「下の方」、「上の方」および「下」などといった方向を示す語(存在する場合)は、説明および図示されている装置の具体的な向きによって決まる。本明細書で説明する主題は、様々な別の向きを想定し得る。従って、方向を示すこれらの用語は、厳密に定義されるものではなく、狭義に解釈されるべきではない。
【0105】
本発明の特定の実施形態は、制御システムまたはコントローラを組み込んでいる。係るコントローラまたは制御システムは、特別に設計されたハードウェアと、構成可能なハードウェアと、データプロセッサ上で実行され得る(任意で「ファームウェア」を備え得る)ソフトウェアの規定により構成されたプログラマブルデータプロセッサと、本明細書で詳しく説明するような方法における1つまたは複数のステップ、および/もしくは、これらのうちの2つ以上の組み合わせを実行するよう特別にプログラム、構成または構築された専用のコンピュータまたはデータプロセッサとを用いて実装され得る。特別に設計されたハードウェアの例としては、論理回路、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、大規模集積回路(「LSI」)および超大規模集積回路(「VLSI」)などがある。構成可能なハードウェアの例としては、プログラマブルアレイロジック(「PAL」)、プログラマブルロジックアレイ(「PLA」)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)などの1つまたは複数のプログラマブルロジックデバイスがある。プログラマブルデータプロセッサの例としは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、組み込みプロセッサ、グラフィックプロセッサ、数値演算コプロセッサ、汎用コンピュータ、サーバコンピュータ、クラウドコンピュータ、メインフレームコンピュータおよびコンピュータワークステーションなどがある。例えば、デバイスのための制御回路における1つまたは複数のデータプロセッサが、当該プロセッサからアクセス可能なプログラムメモリ内のソフトウェア命令を実行することにより、本明細書で説明する方法を実装し得る。
【0106】
例えば、工程またはブロックが所与の順番で表されているが、別の例が、異なる順番で、複数のステップを有するルーチンを実行してもよいし、複数のブロックを有するシステムを採用してもよい。別の組み合わせまたは部分的組み合わせを提供するよう、幾つかの工程またはブロックが削除され、動かされ、追加され、細分化され、組み合わせられ、および/または変更され得る。これらの工程またはブロックの各々が、様々な異なるやり方で実装され得る。また、工程またはブロックは時として、連続して実行されるものとして示されるが、これらの工程またはブロックは、代わりに、並行して実行されてもよいし、異なる時点で実行されてもよい。
【0107】
ソフトウェアおよび他のモジュールが、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、組み込みコントローラ、プロセスコントローラ、および、本明細書で説明する目的に適した他のデバイスに存在し得る。
【0108】
本発明は、プログラム製品の形態でも提供され得る。当該プログラム製品は、データプロセッサにより実行されると、当該データプロセッサに本発明の方法を実行させるコンピュータ可読命令の組を保持する任意の非一時的媒体を備え得る。本発明に係るプログラム製品は、多種多様な形態のうちの何れかであり得る。当該プログラム製品には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスケットを含む磁気データ記憶媒体、ハードディスクドライブ、CD-ROM、DVDを含む光学データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAM、EPROMを含む電子データ記憶媒体、ハードウェアに組み込まれるか、または事前にプログラムされたチップ(例えば、EEPROM半導体チップ)またはナノテクノロジーメモリなどといった非一時的媒体が含まれ得る。プログラム製品上のコンピュータ可読信号は、任意で圧縮または暗号化され得る。
【0109】
幾つかの実施形態によると、本発明はソフトウェアで実装され得る。より明確に言うと、「ソフトウェア」は、プロセッサ上で実行される任意の命令を含み、(限定されるわけではないが)ファームウェア、常駐ソフトウェアおよびマイクロコードなどを含み得る。当業者であれば知っているように、処理ハードウェアおよびソフトウェアはどちらも、全体的または部分的に集中化または分散化され得る(または、それらの組み合わせであり得る)。例えば、ソフトウェアおよび他のモジュールが、ローカルのメモリを介して、ネットワークを介して、分散型コンピューティング環境においてブラウザまたは他のアプリケーションを介して、または上記の目的に適した他の手段を介してアクセス可能であり得る。
【0110】
ある構成要素(例えば、電極、発振器、スイッチ、コントローラ、温度センサ、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路など)が前記されている場合は、別段の定めがない限り、当該構成要素への言及は(「手段」への言及を含めて)、説明されている構成要素の機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素を、示されている本発明の例示的な実施形態における機能を実行する、開示されている構造体と構造的には同等でない構成要素を含めて、当該構成要素と同等のものとして含んでいると解釈されるべきである。
【0111】
本明細書では、例示目的でシステム、方法、および装置の具体的な例について説明している。これらは例に過ぎない。本明細書で提供されている技術は、上記のシステムの例以外のシステムに適用され得る。本発明の実施において、多くの変更、修正、追加、省略、および置換が可能である。本発明は、当業者にとっては明らかであろう、説明されている実施形態の変形例を含む。当該変形例は、特徴、要素、および/または動作を同等の特徴、要素、および/または動作で置き換えること、異なる実施形態からの特徴、要素、および/または動作を混在および一致させること、本明細書で説明する実施形態からの特徴、要素、および/または動作を、他の技術の特徴、要素、および/または動作と組み合わせること、並びに/または、説明されている実施形態から、特徴、要素、および/または動作を省略するか、または組み合わせることによって得られる変形例を含む。
【0112】
本明細書で説明する例に係る方法は変更され得る。例えば、複数の要素が順次実行されるものとして示されることがあるが、代わりに、これらの要素は、同時にまたは異なる順序で実行され得る。
【0113】
従って、以下の添付の請求項および以下に導入される請求項は、合理的に推定され得るような係る修正、置換、追加、省略および部分的組み合わせを全て含むものとして解釈されることが意図されている。特許請求の範囲は、例に記載されている好ましい実施形態により限定されるべきではなく、全体として説明に沿った最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
【外国語明細書】