(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022106277
(43)【公開日】2022-07-19
(54)【発明の名称】組織切除装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
A61B17/3205
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190290
(22)【出願日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】110100449
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】514208507
【氏名又は名称】ラジス エンタープライズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 致佑
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF21
(57)【要約】
【課題】組織切除装置を提供する。
【解決手段】組織切除装置は、シェルベース2、刃先管3、ケーシング5、および、切換装置6を含む。刃先管3は、刃先端31を備える。ケーシング5は、刃先管3をスリーブし、リミットブロックを有する。切換装置6はケーシング5をカバーし、二つの安全溝、第1溝、および、第2溝を有する。安全モードでは、安全溝の一つがリミットブロックに接合し、刃先端31はケーシング5内に位置する。剥離モードでは、第1溝はリミットブロックに接合し、刃先端31はケーシング5に部分的に露出する。切除モードでは、第2溝はリミットブロックに接合し、刃先端31は完全にケーシング5に露出する。各安全溝が第1溝と第2溝との間に位置することで、モード切換時に、安全モードに切り換えてから他のモードに切り換えることができ、使用上の安全性が高い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを囲み、前記チャンバは軸線に沿って反対方向に設置される前開口と後開口を有するシェルベースと、
前記シェルベースの前記チャンバに前記軸線を中心に回動可能に配置され、前記前開口から突出する刃先端を含む刃先管と、
前記刃先管を回転させる駆動装置と、
前記軸線の方向に沿って移動可能に前記刃先管をスリーブし、前記軸線に沿って反対方向に配置された前端部と後端部、および、前記後端部に隣接して外側表面に形成されたリミットブロックを有し、前記前端部が前記刃先端を遮蔽するケーシングと、
切換部材、回転ヘッドおよび弾性部材を含む切換装置と、
を備え、
前記切換部材は、前記軸線を中心として回転可能に前記ケーシングの後端をカバーし、前記シェルベースの前記チャンバに向いて凹み、且つ円周方向に沿って間隔をおいて設置される二つの安全溝、第1溝および第2溝を有し、各前記安全溝は前記第1溝と前記第2溝との間に位置し、
前記回転ヘッドは、前記切換部材に連結し、前記シェルベースに回転可能に設置され、前記切換部材を駆動し、安全モード、剥離モード、および、切除モードの間で回転させるよう用いられ、前記安全モードでは、前記安全溝の一つが前記リミットブロックに接合し、且つ前記刃先端は前記ケーシング内に配置され、前記剥離モードでは、前記第1溝は前記リミットブロックに接合し、且つ前記刃先端は部分的に前記ケーシングから露出し、前記切除モードでは、前記第2溝は前記リミットブロックに接合し、且つ前記刃先端は完全に前記ケーシングから露出し、
前記弾性部材は、前記ケーシングの外側に設けられ、且つ圧縮されて前記ケーシングと前記回転ヘッドの間に弾性的に隣接し、前記ケーシングを前記後開口の方向に向けて移動させる位置エネルギーを有する、組織切除装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、管継手、および、前記管継手の後ろ側に設けられ、前記管継手の外径よりも大きな外径を有するリミッタを含み、
前記リミッタは前記リミットブロックを有し、前記弾性部材は、前記回転ヘッドと前記リミッタとの間に弾性的に隣接する、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項3】
前記シェルベースは、前記前開口に隣接するバッフルを含み、
前記バッフルは、前記刃先管を貫通させる穿孔、および、互いに間隔をおいて配置され、穿孔から半径方向外向きに延在する複数のリミット溝を有し、
前記ケーシングの前記リミッタは、さらに、前記後開口の方向に延在し、各前記リミット溝に係止される複数のリミットバーを有する、請求項2に記載の組織切除装置。
【請求項4】
前記シェルベースは、前記軸線を囲むベース本体を含み、
前記ベース本体は、前記チャンバ、および、前記前開口を取り囲むフランジをさらに有し、
前記回転ヘッドは、前記円周方向に延び、前記フランジと係合する凹溝を有する、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項5】
前記切換部材は、半径方向に延び、間隔をおいて配置された複数のカードブロックを有し、
前記回転ヘッドは、前記カードブロックがそれぞれ係合する複数のカード溝を有する、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項6】
前記安全溝は半径方向に間隔を置いて相対し、前記第1溝と前記第2溝は半径方向に間隔をおいて相対する、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項7】
前記切換部材は、環状を呈する基壁、および、前記基壁から前記軸線の方向に沿って延伸する周壁を有し、
前記周壁は、前記安全溝、前記第1溝、前記第2溝、前記安全溝と前記第1溝をそれぞれ接続する2つの第1斜面、および、前記安全溝と前記第2溝をそれぞれ接続する2つの第2斜面で形成され、
前記第1斜面が形成する夾角は、前記第2斜面が形成する夾角より大きい、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項8】
前記第2溝、前記第1溝、および、各前記安全溝と、前記刃先端との距離はそれぞれ、d2、d1、dsであり、d2>d1>dsである、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項9】
前記シェルベースの前記後開口から前記軸線に沿って刃先管内に貫通するガイドピンを含み、
前記ガイドピンは、前記軸線に沿って延びて刃先管内に貫通するガイドロッド、および、前記ガイドロッドに連結し、前記シェルベースに露出するコネクタを含み、
前記ガイドロッドは、前記コネクタと反対の側に、前記ケーシングの先端を貫通する尖端部を有する、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項10】
前記シェルベースに取り外し可能に設置されるアダプタを含み、
前記アダプタは、前記チャンバに延びる管部、および、前記管部に接続し、且つ前記シェルベースに露出したヘッド部、および、前記管部と前記ヘッド部とを貫通し、前記刃先管に連通する通路を含み、
前記通路は、前記軸線に沿って反対方向に設けられた大開口、および、小開口を有し、前記小開口は前記刃先管に隣接し、前記大開口の孔径は前記小開口の孔径よりも大きい、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項11】
前記駆動装置は、前記刃先管に設けられた傘形歯車、前記傘形歯車を駆動して前記刃先管を連動して回転させる駆動歯車、前記駆動歯車を駆動する駆動器、および、前記駆動器を起動するボタンをさらに備える、請求項1に記載の組織切除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用器具、特に組織切除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1および
図2を参照すると、既存の組織カッター1は、回転軸Rの周りの切断管11と、回転軸Rを中心に切断管11を回転させるための操作本体12と、切断管11の外側に配置された外管13と、切断管11に対して外管13を前方に移動させるための切換セット14と、を含む。切断管11は操作本体12から遠く離れた切削端111を含み、且つ切断管11は人体内に伸びて、組織例えば腫瘍を切断するのに用いられる。切換セット14を操作することによって、外管13は三種の異なるモードで選択的に切断管11の切削端111を遮蔽する。
【0003】
1、安全モード:外管13は、
図2(a)に示すように、切断管11の切断端111を完全に遮蔽する。このとき、組織切断装置1は使用されていない。
【0004】
2、剥離モード:外管13は、
図2(b)に示すように、切断管11の切断端部111を部分的に遮蔽する。このとき、切断管11の切断端部111を用いて表層の組織を切断する。
【0005】
3、切除モード:
図2(c)に示すように、切断管11の切断端部111は、外管13の外側に完全に露出している。このとき、切断管11を用いてより深い組織を切除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第111938760号明細書
【特許文献2】中国特許第101522116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
使用者は要求に応じてモードを切り換えることができ、これらのモードの切り換え順序は、安全モード、剥離モード、切除モードの順になっている。安全モードから切除モードに切り換える場合には、まず剥離モードに切り換えてから切除モードに切り換える必要がある。切除モードから安全モードに切り換える場合には、まず剥離モードに切り換えてから安全モードに切り換える必要がある。切断管11は、安全モードで人体の切除しようとする部位に接触した後、剥離モードまたは切除モードに切り換わる。そのため、切り換えの過程で組織の表面を誤って切断して組織の完全性を破壊したり、組織以外の部位に損傷を与えたりする可能性があり、使用上の安全性を改善する必要がある。
従って、本発明は、使用の安全性を向上させることができる組織切除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組織切除装置は、シェルベースと、刃先管と、駆動装置と、ケーシングと、切換装置と、を含んでいる。
シェルベースは、チャンバを囲み、画定する。
チャンバは軸線に沿って反対方向に設置される前開口と後開口を有する。
刃先管は、シェルベースのチャンバを、軸線を中心として回動可能に設ける。
刃先管は、前開口から突出する刃先端を含む。
駆動装置は、刃先管を回転させるよう使用される。
ケーシングは、刃先管を軸線方向に移動可能にスリーブしている。
ケーシングは、軸線に沿って反対方向に配置された前端部、後端部、および、後端部に隣接し、外側表面に形成されたリミットブロックを有し、前端部は刃先端を遮蔽するよう用いられる。
切換装置は、切換部材、回転ヘッド、および、弾性部材を含む。
切換部材は、軸線を中心として回転可能にケーシングの後端をカバーする。
切換部材は、シェルベースのチャンバに向いて凹み、且つ円周方向に沿って間隔をおいて設置される二つの安全溝、第1溝、および、第2溝を有する。
各安全溝は、第1溝と第2溝との間に位置する。
回転ヘッドは、切換部材に連結し、シェルベースに回動可能に設置され、切換部材を安全モード、剥離モード、および、切除モードの間で回動させるように使用される。
安全モードの時に、安全溝の一つは、リミットブロックと接合して、且つ刃先端はケーシング内に位置する。
剥離モードの時に、第1溝はリミットブロックと接合して、且つ刃先端はケーシングに露出する。
切除モードの時に、第2溝はリミットブロックと接合して、且つ刃先端は完全にケーシングに露出する。
弾性部材は、ケーシングの外側にセットされ、ケーシングと回転ヘッドとの間で圧縮可能であり、弾性的に隣接することができる。
弾性部材は、ケーシングを後開口方向に一定に移動させる位置エネルギーを有する。
【0009】
本発明の効果は以下の通りである。切換部材の各安全溝が第1溝と第2溝の間に位置することにより、回転ヘッドが切換部材を駆動してモードが切換わる時、剥離モードまたは切除モードに切換わる前に安全モードに切換わる。それによりモード切り換え時に人体を傷つけることを避けることができ、使用上の安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】(a)安全モードの状態にある組織カッターを示す部分側面図である。(b)剥離モードの状態にある組織カッターを示す部分側面図である。(c)切除モードの状態にある組織カッターを示す部分側面図である。
【
図3】本発明の組織切除装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態の駆動装置が刃先管を回転させるように使用されることを示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態の切換装置がケーシングをセットし、シェルベースにセットされることを示す部分分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態の切換装置がケーシングにセットされることを示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態の切換部材の正面図である。
【
図11】切換装置の切換部材が安全モードにある状態を示す部分断面図である。
【
図12】
図11の切換部材が剥離モードにある状態を示す部分断面図である。
【
図13】
図11の切換部材が切除モードにある状態を示す部分断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態のガイドピンがシェルベースにスリーブされていることを示す分解斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態のアダプタがシェルベースに設置されていることを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の他の効果は、図面の実施形態を参照して明確に示される。
本発明を詳細に説明する前に、以下の説明において、前後方向X、左右方向Y、および上下方向Zとは、使用者が
図3の本発明を操作する際に見た方向を基準とすることに留意すべきである。
【0012】
図3~
図6を参照する。本発明の組織切除装置の実施形態は、シェルベース2と、刃先管3と、駆動装置4と、ケーシング5と、切換装置6と、を含む。この組織(図示なし)は腫瘍や臓器などである。
【0013】
シェルベース2は、ベース本体21、手持部22、および、バッフル23を備えている。ベース本体21は、軸線Lを取り囲み、その周囲にチャンバ211を画成する。チャンバ211は、軸線Lに沿って反対方向に配置され、前方向および後方向に配置された前開口212と後開口213とを有している。ベース本体21は、前開口212を取り囲むフランジ214を有する。手持部22は、ベース本体21から下方に延設されて手持可能とされている。バッフル23は前開口212に隣接しており、穿孔231と、互いに間隔をおいて配置され、穿孔231から半径方向外向きに延在する複数のリミット溝232とを有する。実施例では、シェルベース2は、左右に対向する2つのシェル24から構成されており、組み立ては簡単である。しかし、他の例では、これらのシェル24を一体成形してもよい。
【0014】
刃先管3は、軸線Lを中心として、シェルベース2のチャンバ211に回動可能に設けることができる。刃先管3は、刃先端31を含む。刃先端31は、バッフル23の穿孔231を貫通し、前開口212から突出する。
【0015】
駆動装置4は、シェルベース2の手持部22内に配置され、刃先管3を回転駆動するために使用される。駆動装置4は、刃先管3が設けられた傘形歯車41、傘形歯車41を駆動して刃先管3を連動して回転させる駆動歯車42、駆動歯車42を駆動する駆動器43、駆動器43を起動させるボタン44、電力を供給するバッテリ45、および、駆動器43とバッテリ45とを電気的に接続するリレー46を備えている。リレー46は、バッテリ45が出力する電圧が9ボルト未満である場合に、駆動器43の動作を瞬時に停止するように指令する。
【0016】
ケーシング5は、刃先管3を軸線L方向に沿って前後に移動可能にスリーブしている。ケーシング5は、軸線Lに沿って反対方向に設置される前端部51と後端部52を有する。前端部51は、刃先端31を遮蔽するのに用いられ、且つ、前方に突出するつば511を有する。ケーシング5は、管継手53、および、リミッタ54を備えている。リミッタ54は、管継手53の後ろ側に配置され、管継手53の外径よりも大きな外径を有している。リミッタ54は、後端部52に隣接し、外側表面に形成されたリミットブロック541、および、後開口213の方向に延び、バッフル23のリミット溝232をそれぞれ係止するための複数のリミットバー542を有する。
【0017】
本実施例では、管継手53とリミッタ54とを別々に製造して組み立てるが、他の変更例では、管継手53とリミッタ54とを一体成形してもよい。
【0018】
図6および
図7を参照すると、切換装置6は、切換部材61、回転ヘッド62、および、弾性部材63を備えている。
【0019】
図8、
図9および
図10を参照すると、切換部材61は、ケーシング5の後端部52を、軸線Lを中心として回動可能にスリーブしている。切換部材61は、環状の基壁611、基壁611から軸線Lの方向に沿って前方に延在する周壁612、および、基壁611から半径方向外向きに延在し、間隔をおいて配置された複数のカードブロック613を有する。周壁612は、シェルベース2のチャンバ211に向けて窪んで、且つ円周方向Cに沿って間隔を置いて設置される二つの安全溝614、第1溝615、第2溝616、安全溝614と第1溝615をそれぞれ連結する二つの第1斜面617、および安全溝614と第2溝616をそれぞれ連結する二つの第2斜面618を形成する。各安全溝614は、第1溝615と第2溝616との間に位置する。安全溝614は半径方向に間隔を置いて対向し、且つ第1溝615と第2溝616は半径方向に間隔を置いて対向している。
【0020】
図11、
図12と
図13を参照する。切換部材61の第2溝616、第1溝615、および、各安全溝614と、刃先端31との距離はそれぞれ、d2、d1、dsであり、d2>d1>dsである。第1斜面617が形成する夾角は、第2斜面618が形成する夾角より大きい。
【0021】
回転ヘッド62は、切換部材61に連結され、シェルベース2に回動可能に設けられる。回転ヘッド62は、シェルベース2を連結する連結リング部621と、連結リング部621から前方に向かって延び、管径が漸次縮まる操作リング部622とを有する。連結リング部621は、外側表面に形成され、周方向Cに延びてシェルベース2のフランジ214に係合する凹溝623、および、内側表面に形成され、切換部材61のカードブロック613が係止される複数のカード溝624を有する。操作リング部622は、外側表面に間隔をおいて形成された複数のバンプ625(
図7を参照)を有する。バンプ625は手で回転ヘッド62を回転させる時の摩擦力を高めるのに用いられる。
【0022】
弾性部材63は、回転ヘッド62とケーシング5のリミッタ54との間に弾性的に隣接する。弾性部材63は、ケーシング5が後開口213方向に移動することを可能にする一定の位置エネルギーを有している。弾性部材63は、本実施形態ではばねである。
【0023】
回転ヘッド62は、
図11のような安全モード、
図12のような剥離モード、および、
図13のような切除モードの間で切換部材61を回転させるために使用される。
【0024】
図11を参照する。安全モードでは、切換部材61の安全溝614の一つがケーシング5のリミットブロック541に接合し、且つ刃先管3の刃先端31はケーシング5内に位置する。
【0025】
図12を参照する。剥離モードでは、切換部材61の第1溝615がケーシング5のリミットブロック541に接合し、且つ刃先管3の刃先端31はケーシング5から部分的に露出する。
【0026】
図13を参照する。切除モードでは、切換部材61の第2溝616がケーシング5のリミットブロック541に接合し、且つ刃先管3の刃先端31は完全にケーシング5から露出する。
【0027】
切換部材61の各安全溝614は、第1溝615と第2溝616との間に位置する。そのため、回転ヘッド62が切換部材61を駆動してモードを切り換える時、いずれもまず安全モードに切り換わってから、剥離モードあるいは切除モードに切り換わる。
【0028】
図14および
図15を参照すると、組織切除装置はさらにガイドピン7を含む。ガイドピン7は、シェルベース2の後開口213から軸線Lに沿って刃先管3内に挿通される。ガイドピン7は、軸線Lに沿って延びて刃先管3内に挿通されるガイドロッド71と、ガイドロッド71に連結してシェルベース2から露出するコネクタ72とを備えている。ガイドロッド71は、コネクタ72の反対側に、ケーシング5の前端部51を貫通する尖端部711を有している。
【0029】
図5、
図16および
図17を参照する。組織切除装置は、逆止弁8、および、シェルベース2に取り外し可能に設置されたアダプタ9をさらに含む。逆止弁8は、シェルベース2のチャンバ211内であって、刃先管3と後開口213との間に配置されている。アダプタ9は、後開口213からチャンバ211内に延在する管部91、管部91を連結してシェルベース2に露出するヘッド部92、および、管部91とヘッド部92とを貫通して刃先管3に接続する通路93を含む。通路93は、軸線Lに沿って反対方向に配置された大開口931と小開口932とを有する。小開口932は刃先管3に隣接しており、大開口931の孔径は小開口932の孔径よりも大きい。
【0030】
本実施例を用いて組織を切除する手順を以下に説明する。
【0031】
まず、回転ヘッド62を回動させて切換部材61を安全モードに切り換え、ガイドピン7を後開口213から刃先管3内に通す。さらに、ガイドピン7、ケーシング5、刃先管3を人の体内に伸ばす。ガイドピン7の尖端部711は、使用者が切除しようとする部位に刃先管3を予め位置決めするのを助けることができる。刃先管3を位置決めした後、ガイドピン7を引き抜く。このとき、逆止弁8は、後開口213から人体内のガスが外部に漏れることを回避することができる。それにより、人体内の空間を維持し、チャンバ211の気密性を維持することができ、運転を継続することができる。最後に、回転ヘッド62を回転させて切換部材61を剥離モードまたは切除モードに切り換え、さらに駆動装置4のボタン44を押して刃先管3を回転させて、組織の剥離または切除作業を行う。切換部材61の各安全溝614が第1溝615と第2溝616との間に位置しているため、回転ヘッド62が切換部材61を駆動させてモード間で切換をする時、まず安全モードに切換えてから剥離モードまたは切除モードに切換えることができる。それにより、モードの切換時に人体を傷つけることを避けることができ、使用上の安全性が高い。なお、より細かい操作が必要な場合には、アダプタ9をシェルベース2にセットし、手術器具(図示せず)を通路93の大開口931を通して刃先管3から貫通させてから手術を行うことができる。大開口931は、手術器具を刃先管3内に伸ばすのを容易にする。小開口932は、手術器具を用いて手術を行う際に、人の体内からのガスの外部への漏れを減少させることができる。
【0032】
本発明は、切換部材61の各安全溝614が第1溝615と第2溝616の間に位置する。それにより、回転ヘッド62が切換部材61を駆動してモードの間で切換わる時、まず安全モードに切換わってから、剥離モードまたは切除モードに切換わる。そのため、モード切換時に人体を傷つけることを防ぎ、使用上の安全性が高い。したがって、本発明の目的を確実に達成することができる。
【0033】
ただし、上記は、本発明の実施形態にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではない。本発明の特許出願の範囲および特許明細書の内容に基づいて行われた単純な同等の変更および修正は、本発明の特許の範囲内に属するものとする。
【0034】
特許文献1に記載の発明との相違点。
特許文献1に記載の内側カットシャフト130は、環状切断縁138が外側シャフト120に覆われた安全モード(特許文献1の
図2Aおよび
図2Bのように)と、環状切断縁138が窓128に露出する削皮モードのみを有している。特許文献1には、本願発明における刃先管3の刃先端31がケーシング5に完全に露出する切除モードが開示されていない。本願発明は切除モードにより大体積の組織を迅速に切除することができ、作業時間を減らし、作業効率を高めることができる。
また、特許文献1に記載の発明は、操作時には、制御つまみ330によってスプリング340の張力を調整してトリガ220の移動抵抗を調整するものである。手動操作は、付勢力の大きさを制御しにくく、操作毎に内側カットシャフト130を切断しようとする位置に移動させることができない。それに加えて、切断中に手の力道の変化によって内側カットシャフト130にズレが生じて所定範囲外の組織が切断される可能性があり、使用上の精度や安全性に欠ける。
【0035】
特許文献2に記載の発明との相違点。
特許文献2は、本願発明における刃先管3の刃先端31がケーシング5に完全に露出する切除モードを開示していない。本願発明は切除モードにより大体積の組織を迅速に切除することができ、作業時間を減らし、作業効率を高めることができる。
本願発明は、切除モードを有し、大量の組織を切除して作業効率を向上させることができるほか、本願発明は切換部材61の安全溝614、第1溝615および第2溝616によって異なるモードに切り換えることができ、作業精度を向上させることができる。さらに、各安全溝614が第1溝615と第2溝616の間に位置し、モード切換時にまず安全モードに切り換えてから他のモードに切り換えることができ、使用上の安全性が高い。
【符号の説明】
【0036】
2 シェルベース
21 ベース本体
211 チャンバ
212 前開口
213 後開口
214 フランジ
22 手持部
23 バッフル
231 穿孔
232 リミット溝
24 シェル
3 刃先管
31 刃先端
4 駆動装置
41 傘形歯車
42 駆動歯車
43 駆動器
44 ボタン
45 バッテリ
46 リレー
5 ケーシング
51 前端部
511 つば
52 後端部
53 管継手
54 リミッタ
541 リミットブロック
542 リミットバー
6 切換装置
61 切換部材
611 基壁
612 周壁
613 カードブロック
614 安全溝
615 第1溝
616 第2溝
617 第1斜面
618 第2斜面
62 回転ヘッド
621 連結リング部
622 操作リング部
623 凹溝
624 カード溝
625 バンプ
63 弾性部材
7 ガイドピン
71 ガイドロッド
711 尖端部
72 コネクタ
8 逆止弁
9 アダプタ
91 管部
92 ヘッド部
93 通路
931 大開口
932 小開口
L 軸線
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向
C 円周方向