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特開2022-107837光コネクタモジュール及び光導波路基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107837
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】光コネクタモジュール及び光導波路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20220714BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20220714BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G02B6/12
G02B6/36 301
G02B6/30
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091828
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2019010561の分割
【原出願日】2019-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】角田 勝健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴大
(72)【発明者】
【氏名】東尾 光章
(57)【要約】
【課題】光コネクタと光導波路基板との間の位置決め精度が向上する光コネクタモジュールを提供する。
【解決手段】本開示に係る光コネクタモジュール1は、光導波路基板10と、光コネクタ20と、を備え、光コネクタ20は、光導波路基板10に対して取り付けられている被位置決め部23を有し、光導波路基板10は、第1クラッド122aと、コア121と、を有する光導波路12と、コア121と同一の材料により第1クラッド122a上に積層され、被位置決め部23に収容されている位置決めコア14と、を有し、光コネクタ20は、位置決めコア14の端面を延伸方向に沿って視認可能とする貫通孔22aを有し、位置決めコア14は、積層方向に延在している一対の基準面を有し、一対の基準面は、延伸方向及び積層方向と直交する方向において、一対の基準面の間に切欠部144を有して互いに対向している。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路基板と、前記光導波路基板に取り付けられている光コネクタと、を備える光コネクタモジュールであって、
前記光コネクタは、
前記光導波路基板に対して取り付けられている被位置決め部を有し、
前記被位置決め部が前記光導波路基板に対して取り付けられた状態で、前記光導波路基板に対して位置決めされ、
前記光導波路基板は、
基板と直交する積層方向において前記基板上に積層されている第1クラッドと、前記第1クラッド上に積層されているコアと、を有する光導波路と、
前記コアと同一の材料により前記第1クラッド上に積層され、前記被位置決め部に収容されている位置決めコアと、
を有し、
前記光コネクタは、前記積層方向と直交する前記コアの延伸方向において前記位置決めコアと対向し、かつ前記位置決めコアの端面を前記延伸方向に沿って視認可能とする貫通孔を有し、
前記位置決めコアは、前記積層方向に延在している一対の基準面を有し、
前記一対の基準面は、前記延伸方向に沿って前記貫通孔から前記位置決めコアを視認したときに、前記延伸方向及び前記積層方向と直交する方向において、前記一対の基準面の間に切欠部を有して互いに対向している、
光コネクタモジュール。
【請求項2】
前記位置決めコアは、前記積層方向において、前記コアよりも前記基板と反対側に突出する、
請求項1に記載の光コネクタモジュール。
【請求項3】
前記一対の基準面は、前記延伸方向に沿って前記貫通孔から前記位置決めコアを視認したときに、前記積層方向と平行な前記貫通孔の中心線に対して互いに線対称となる位置に形成されている、
請求項1又は2に記載の光コネクタモジュール。
【請求項4】
前記一対の基準面は、前記位置決めコアが積層されている前記第1クラッドの積層面から延在している、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光コネクタモジュール。
【請求項5】
前記一対の基準面は、前記延伸方向及び前記積層方向と直交する方向における前記位置決めコアの内面として形成されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光コネクタモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタモジュール及び光導波路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光導波路基板に含まれる光導波路を他の光伝送路に光結合するための光コネクタモジュールが知られている。例えば、特許文献1には、光導波路の下部クラッド層上で光導波路のコアと並列して積層されている位置決め突起を有する光導波路基板を含む光コネクタモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0162004(US,A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光導波路を他の光伝送路に効率良く光結合させるためには、一般的にマイクロメートルの精度で互いの位置を合わせる必要がある。したがって、他の光伝送路を保持するコネクタと接続される、光コネクタモジュールの光コネクタと、光導波路基板との間の位置決めも同様の精度が要求される。特許文献1に記載の光導波路基板を含む光コネクタモジュールでは、光コネクタと光導波路基板との間の位置決め精度が十分ではなかった。
【0005】
このような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、光コネクタと光導波路基板との間の位置決め精度が向上する光コネクタモジュール及び光導波路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る光コネクタモジュールは、
光導波路基板と、前記光導波路基板に取り付けられている光コネクタと、を備える光コネクタモジュールであって、
前記光コネクタは、
前記光導波路基板に対して係合する被位置決め部を有し、
前記被位置決め部が前記光導波路基板に対して係合した状態で、前記光導波路基板に対して位置決めされ、
前記光導波路基板は、
基板と直交する積層方向において前記基板上に積層されている第1クラッドと、前記第1クラッド上に積層されているコアと、を有する光導波路と、
前記コアと同一の材料により前記第1クラッド上に積層され、前記被位置決め部と係合する位置決めコアと、
を有し、
前記位置決めコアは、前記積層方向において、前記コアよりも前記基板と反対側に突出する。
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る光導波路基板の製造方法は、
光コネクタが取り付けられる光導波路基板の製造方法であって、
光導波路を構成するクラッドを、基板と直交する積層方向において前記基板上に積層する第1ステップと、
前記光導波路を構成するコア、及び前記光コネクタの被位置決め部と係合して前記光コネクタを前記光導波路基板に対して位置決めする位置決めコアを、互いに同一の材料により前記クラッド上に積層する第2ステップと、
を含み、
前記第2ステップにおいて、前記位置決めコアは、前記積層方向において、前記コアよりも前記基板と反対側に突出するように形成される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る光コネクタモジュール及び光導波路基板の製造方法によれば、光コネクタと光導波路基板との間の位置決め精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る光コネクタモジュールを示す斜視図である。
図2図1の光コネクタモジュールの分解斜視図である。
図3図2の光導波路基板単体を示した斜視図である。
図4図2の光コネクタ単体を示した斜視図である。
図5図1の光コネクタモジュールの正面図である。
図6図5の一点鎖線囲み部の拡大図である。
図7図1の光コネクタモジュールの一部を拡大して模式的に示した正面視における断面図である。
図8図2の光導波路基板の製造方法の一例を示す模式図である。
図9A図2の光導波路基板の第1変形例を説明するための上面視における模式図である。
図9B図2の光導波路基板の第2変形例を説明するための上面視における模式図である。
図9C図2の光導波路基板の第3変形例を説明するための上面視における模式図である。
図9D図2の光導波路基板の第4変形例を説明するための上面視における模式図である。
図9E図2の光導波路基板の第5変形例を説明するための上面視における模式図である。
図10A図6の光コネクタの第1変形例を説明するための正面視における模式図である。
図10B図6の光コネクタの第2変形例を説明するための正面視における模式図である。
図11A図6の光コネクタの第3変形例を説明するための正面視における模式図である。
図11B図6の光コネクタの第4変形例を説明するための正面視における模式図である。
図11C図6の光コネクタの第5変形例を説明するための正面視における模式図である。
図12】第2実施形態に係る光コネクタモジュールを示す斜視図である。
図13図12の光コネクタモジュールの分解斜視図である。
図14図13の光導波路基板単体を示した斜視図である。
図15図12の光コネクタモジュールの正面図である。
図16図15の一点鎖線囲み部の拡大図である。
図17図12の光コネクタモジュールの一部を拡大して模式的に示した正面視における断面図である。
図18A図13の光導波路基板における位置決めコアの第1変形例を示す上面視における模式図である。
図18B図13の光導波路基板における位置決めコアの第2変形例を示す上面視における模式図である。
図18C図13の光導波路基板における位置決めコアの第3変形例を示す上面視における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、異なる図面同士で互いに整合している。
【0011】
以下の説明中で使用する「積層方向」は、一例として上下方向を含む。「コアの延伸方向」は、一例として前後方向を含む。「積層方向と直交する方向」は、一例として左右方向を含む。「基板と反対側」は、一例として上側を含む。
【0012】
(第1実施形態)
図1乃至図11Cを参照しながら、本開示の第1実施形態について主に説明する。図1は、第1実施形態に係る光コネクタモジュール1を示す斜視図である。図2は、図1の光コネクタモジュール1の分解斜視図である。光コネクタモジュール1は、光導波路基板10と、光導波路基板10に取り付けられている光コネクタ20と、を有する。
【0013】
図3は、図2の光導波路基板10単体を示した斜視図である。図3を参照しながら、図2の光導波路基板10の構成について主に説明する。
【0014】
光導波路基板10は、例えば、リジッド式のプリント配線基板によって構成されている基板11と、基板11の上面に積層される光導波路12と、を有する。光導波路12は、例えば、基板11の上面から上方に突出するように形成されている。光導波路12は、例えば、光コネクタ20と光結合するために、前端面が基板11の前端面と一致するように形成されている。光導波路12の前端面は、例えば、基板11の前端面に沿って平面状に形成されている。光導波路12の導波モードは、例えばシングルモードである。光導波路12の導波モードは、これに限定されず、マルチモードであってもよい。以下では、光導波路12は、基板11の上面に形成されているとして説明するが、これに限定されない。例えば、光導波路12は、基板11の内部に埋め込まれてもよい。この場合、光導波路12の前端面は、基板11の前端面と一致し、後述するコア121の端面が基板11から露出するように形成されていてもよい。
【0015】
光導波路12は、基板11と直交する積層方向において基板11に積層されているコア121及びクラッド122を有する。より具体的には、光導波路12は、基板11の上面に積層されている第1クラッド122aと、第1クラッド122a上に積層されているコア121と、第1クラッド122aと共にコア121を積層方向に挟み込んでコア121を囲む第2クラッド122bと、を有する。
【0016】
コア121は、左右方向に所定の間隔で互いに離間するように複数形成されている。コア121及びクラッド122は、例えば石英系のガラス等の適宜な材料により形成されている。コア121の屈折率は、クラッド122の屈折率よりも高い。以下では、光導波路12は、例えば、埋め込み型の光導波路であるとして説明するが、これに限定されない。光導波路12は、スラブ型及び半埋め込み型等の適宜な方式の光導波路であってよい。
【0017】
光導波路基板10は、後述する位置決めコア14に沿って基板11中に埋め込まれている熱伝導体13を有する。より具体的には、熱伝導体13は、位置決めコア14の前後左右方向の幅全体にわたって基板11中に埋め込まれている。熱伝導体13は、前後方向に沿って位置決めコア14と並行するように、位置決めコア14の直下で基板11中に埋め込まれている。熱伝導体13は、位置決めコア14の直下で基板11中に埋め込まれている単一の銅板であってもよいし、互いに並行して位置決めコア14の直下で基板11中に埋め込まれている複数の銅線であってもよい。熱伝導体13を構成している材料は銅に限定されず、熱伝導率が高い任意の材料であってもよい。
【0018】
光導波路基板10は、コア121と同一の材料により基板11に積層されている位置決めコア14をさらに有する。位置決めコア14は、第1クラッド122a上に積層されている。位置決めコア14は、例えば光導波路12を左右方向から挟み込むように一対形成されている。位置決めコア14は、例えば前後方向に沿って光導波路12と平行に形成されている。位置決めコア14は、例えば前後方向に所定の長さで延在するように形成されている。
【0019】
位置決めコア14は、位置決めコア14の前半部を構成し、上面視で矩形状に形成されている幅狭部141を有する。位置決めコア14は、幅狭部141から後方に連続するように形成され、前方から後方に向けて次第に広がるように上面視で台形状に形成されている係合部142を有する。位置決めコア14は、係合部142から後方に連続するように形成され、幅狭部141よりも左右方向の幅が大きい上面視で矩形状の幅広部143を有する。
【0020】
位置決めコア14及びコア121は、熱伝導体13と離間する。位置決めコア14と熱伝導体13との距離は、コア121と熱伝導体13との距離よりも小さい。すなわち、後述する光導波路基板10の製造プロセスにおいて光導波路基板10に加えられる熱に基づく熱量は、熱伝導体13との距離による影響を受けて、位置決めコア14とコア121との間で異なる。より具体的には、位置決めコア14及びコア121の製造プロセスにおいて受ける熱量を比較したとき、位置決めコア14の方がコア121よりも熱伝導体13との距離が小さいことで、位置決めコア14における熱量もコア121における熱量よりも小さくなる。よって、光導波路基板10の製造プロセスにおける同一環境下で、位置決めコア14の温度は、コア121の温度よりも低くなる傾向にある。
【0021】
図4は、図2の光コネクタ20単体を示した斜視図である。図4を参照しながら、図2の光コネクタ20の構成について主に説明する。
【0022】
光コネクタ20は、例えば、透光性の樹脂材料によって構成されている。一例として、光コネクタ20は、光導波路12のコア121の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成されている。光コネクタ20は、L字状である。光コネクタ20は、前後方向に延伸する第1基部21を有する。第1基部21は、下面21aの中央部から内側に向けて一段凹んだ凹部21bを有する。光コネクタ20は、第1基部21の前方に突出し、第1基部21と連続するように形成されている第2基部22を有する。第2基部22は、第1基部21から下方に張り出すように形成されている。光コネクタ20は、第2基部22の前面から後面まで貫通する、断面視で円形状の一対の貫通孔22aを有する。貫通孔22aは、第1基部21の凹部21bを左右方向に挟み込むように、第2基部22の左右両端に一対形成されている。光コネクタ20は、第2基部22の前面から内側に一段凹んだ凹部22bを有する。
【0023】
光コネクタ20は、第1基部21の下面21aにおいて、凹部21bを左右方向に挟み込むように凹部21bの左右両外側に一対形成されている被位置決め部23を有する。被位置決め部23は、一例として断面視で半円状に形成されている凹部である。被位置決め部23は、第2基部22の貫通孔22aから連続して第1基部21の後端まで形成されている。貫通孔22aと被位置決め部23とは、互いに同心円状に形成されている。被位置決め部23は、凹部21bと並行して前後方向に延在している。
【0024】
光コネクタ20は、第1基部21の下面21aにおいて、凹部21b及び被位置決め部23を左右方向に挟み込むように被位置決め部23の左右両外側に一対形成されている収容部24を有する。収容部24は、一例として断面視で半円状に形成されている凹部である。収容部24の断面視における半円の半径は、例えば被位置決め部23の断面視における半円の半径よりも十分に小さい。収容部24は、例えば第1基部21の前端から後端まで連続して形成されている。収容部24は、例えば積層方向と直交するコア121の延伸方向に沿って延在する。収容部24は、例えば凹部21b及び被位置決め部23と並行して前後方向に延在している。
【0025】
光コネクタ20は、凹部22bの前面A1に設けられているレンズ部25を有する。レンズ部25は、複数の曲率するレンズ25aにより構成される。レンズ部25を構成するレンズ25aの数は、光導波路12のコア121の数に対応する。
【0026】
光コネクタ20は、光導波路基板10に含まれる光導波路12と光学的に結合する。より具体的には、光コネクタ20の第2基部22は、例えば光導波路12のコア121から出射した光を透過させてレンズ25aまで導く。レンズ25aを通過した光は、光コネクタ20から出射し、光コネクタ20に接続されているコネクタが保持する他の光伝送路に結合する。逆に、光コネクタ20の第2基部22のレンズ25aは、光コネクタ20に接続されているコネクタが保持する他の光伝送路から出射した光を透過させる。レンズ25aを通過した光は、第2基部22を通過して光導波路12のコア121に入射する。
【0027】
図1及び図2に示すとおり、光コネクタ20は、例えば光導波路基板10の上方から光導波路12上に載置される。より具体的には、光コネクタ20は、第1基部21の下面21aが光導波路12の第1クラッド122aの上面と接触することで、第1クラッド122a上に載置される。このとき、光コネクタ20の被位置決め部23の左右方向の幅内に位置決めコア14の幅狭部141が収容される。この状態から光コネクタ20が後方へと若干押し込まれ、被位置決め部23の後端部と位置決めコア14の係合部142とが接触する。このように、位置決めコア14と被位置決め部23とが互いに係合する。
【0028】
光コネクタ20は、被位置決め部23が位置決めコア14と係合した状態で、光導波路基板10に対して位置決めされる。より具体的には、光導波路基板10に対する光コネクタ20の上下方向の位置は、第1基部21の下面21aと光導波路12の第1クラッド122aの上面との接触に基づいて決定される。光導波路基板10に対する光コネクタ20の前後左右方向の位置は、第1基部21の被位置決め部23と光導波路基板10の位置決めコア14との係合に基づいて決定される。
【0029】
図5は、図1の光コネクタモジュール1の正面図である。図5に示すとおり、光コネクタ20が光導波路基板10に対して位置決めされると、第1基部21の凹部21bの内部に光導波路12のコア121及び第2クラッド122bの前端部が収容される。すなわち、光コネクタ20は、第1基部21の下面21aが第1クラッド122aの上面と接触して、光導波路12の一部を覆った状態で配置されている。第2基部22は、基板11の前端面から前方に突出し、第1基部21から下方に張り出すように配置されている。第2基部22は、その下面が光導波路12の上下位置よりもさらに下方に位置し、かつ基板11の下面よりも上方に位置するように突出する。第2基部22に形成されているレンズ部25を構成する複数のレンズ25aは、光導波路12を構成する複数のコア121とそれぞれ対向する。
【0030】
図6は、図5の一点鎖線囲み部の拡大図である。図6に示すとおり、光コネクタ20の収容部24は、位置決めコア14と係合している被位置決め部23よりも基板11に沿って外側に形成されている。光導波路12の第1クラッド122aは、光コネクタ20の第1基部21の下面21aよりも左右方向に若干幅狭に形成されている。より具体的には、第1クラッド122aの左右方向の幅は、左右一対の収容部24の間隔よりも小さく、かつ位置決めコア14と係合している左右一対の被位置決め部23の間隔よりも大きい。したがって、左右一対の収容部24をそれぞれ含む下面21aの左右両端は、第1クラッド122aと接触せずに、基板11の上面から離間した状態で基板11の上面と対向する。下面21aに形成されている収容部24は、基板11と対向する。左右一対の収容部24をそれぞれ含む下面21aの左右両端と基板11の上面との間には、空隙Sが形成されている。
【0031】
図7は、図1の光コネクタモジュール1の一部を拡大して模式的に示した正面視における断面図である。図7では、光導波路12のコア121と位置決めコア14との構造関係が示されている。図7に示すとおり、図1の光コネクタモジュール1では、位置決めコア14は、光導波路12のコア121よりも体積が大きくなるように第1クラッド122a上に積層されている。より具体的には、位置決めコア14は、光導波路12のコア121よりも上下幅が大きくなるように第1クラッド122a上に積層されている。位置決めコア14は、積層方向において、光導波路12のコア121よりも基板11と反対側に突出する。同様に、位置決めコア14は、光導波路12のコア121よりも左右幅が大きくなるように第1クラッド122a上に積層されている。
【0032】
従来の光導波路基板の製造方法では、コアと位置決めコアとが同一の製造プロセスで形成されるとき、それらの先端面、すなわち上面は、互いに同一の高さとなるように均一に形成されるのが通常である。しかしながら、第1実施形態に係る光コネクタモジュール1の位置決めコア14の上面は、このような従来技術の常識とは異なり、積層方向においてコア121の上面よりも基板11と反対側に位置するように形成されている。
【0033】
第1実施形態に係る光導波路基板10は、例えばフォトリソグラフィーを用いて製造される。第1クラッド122a、コア121及び位置決めコア14、並びに第2クラッド122bの順番で、後述する製造プロセスが繰り返し実行される。すなわち、第1実施形態に係る光導波路基板10の製造方法は、光導波路12を構成する第1クラッド122aを、基板11と直交する積層方向において基板11上に積層する第1ステップを含む。光導波路基板10の製造方法は、光導波路12を構成するコア121、及び位置決めコア14を、互いに同一の材料により第1クラッド122a上に積層する第2ステップを含む。光導波路基板10の製造方法は、光導波路12を構成する第2クラッド122bを、第1クラッド122aと共にコア121を積層方向に挟み込むように積層する第3ステップを含む。
【0034】
第1実施形態に係る光導波路基板10の製造方法では、上記の第2ステップにおいて、位置決めコア14は、積層方向において、コア121よりも基板11と反対側に突出するように形成される。例えば、上記の第2ステップにおいて、コア121と位置決めコア14とは、互いに同一の製造プロセスにより形成される。例えば、上記の第2ステップにおける所定の製造プロセスで、コア121と位置決めコア14とに照射された光の露光量は互いに異なる。例えば、フォトリソグラフィーに用いられるフォトレジスト液がネガ型である場合、上記の第2ステップにおける所定の製造プロセスで、位置決めコア14に照射された光の露光量は、コア121に照射された光の露光量よりも大きくてもよい。このように、所定の製造プロセスにおいて照射された光の露光量を位置決めコア14とコア121との間で調整することで、位置決めコア14の高さがコア121の高さよりも大きくなるように位置決めコア14を形成することが可能となる。位置決めコア14及びコア121の形成方法はこれに限定されない。例えば、上記の第2ステップにおける所定の製造プロセスで、位置決めコア14及びコア121に加えられる熱に基づく熱量が互いに異なるように各々が第1クラッド122a上に積層される。
【0035】
図8は、図2の光導波路基板10の製造方法の一例を示す模式図である。以下では、図8を参照しながら、第1実施形態に係る光コネクタモジュール1の位置決めコア14の形成方法についてより詳細に説明する。以下では説明の簡便のために、第1クラッド122aを省略して基板11上にコア121及び位置決めコア14が積層される場合を例に説明する。以下と同様の説明が、クラッド122の形成についても当てはまる。
【0036】
第1プロセスでは、基板11の上面を洗浄するための前処理が行われる。
【0037】
第2プロセスでは、フォトレジスト液が噴出され、例えばスピンコータにより基板11が回転しながら、遠心力によって基板11の上面全体に均一にフォトレジスト液が塗布される。これにより、光導波路12を構成するコア121及び位置決めコア14の土台が均一に形成される。第2プロセスで用いられる膜厚形成方法は、スピンコータに限定されず、任意の方法であってもよい。例えば、膜厚形成方法は、バーコータ及びスプレーコータ等の方法であってもよい。全ての製造プロセスが終了したときのコア121及び位置決めコア14の高さは、第2プロセスにおいて塗布されたフォトレジスト液の対応する部分の高さ以下である。
【0038】
第2プロセスが終了した段階では、基板11の上面の外周におけるフォトレジスト液の量が多い。したがって、第3プロセスでは、外周縁を針で拭い去るエッジリンスが行われる。これにより、フォトレジスト液の膜厚が、全体にわたって均一になる。
【0039】
第4プロセスでは、90℃~120℃の温度で、全体に熱を加えるプリベークが行われる。これにより、フォトレジスト液が若干固まる。このとき、基板11に埋め込まれている熱伝導体13によって、位置決めコア14に伝わる熱量が、光導波路12のコア121に伝わる熱量よりも小さくなる。例えば、熱伝導体13によって、位置決めコア14の温度が、光導波路12のコア121の温度よりも低くなる。コア121の温度が位置決めコア14の温度よりも高いことで、コア121において、バインダ等の有機溶剤が位置決めコア14よりも揮発しやすくなる。結果として、全ての製造プロセスが終了したときに、コア121の体積が位置決めコア14の体積よりも小さくなる傾向にある。すなわち、完成した光導波路基板10において、位置決めコア14は、積層方向において、光導波路12のコア121よりも基板11と反対側に突出する。
【0040】
第5プロセスでは、完成した光導波路基板10においてコア121及び位置決めコア14として残したい部分を除いたフォトレジストの部分にマスクを当てて紫外線を照射する露光が行われる。これにより、紫外線が照射されたフォトレジスト部分のみがより硬くなる。このとき、フォトレジストの内部に混入している露光感光剤が露光量に依存して硬化する。露光量が多く、光による露光感光剤内部の化学結合が多い程、対応するフォトレジスト部分は後述する現像において除去されずに残る。したがって、位置決めコア14に照射される紫外線の露光量を、光導波路12のコア121に照射される紫外線の露光量よりも大きくする。これにより、位置決めコア14が、光導波路12のコア121よりも強く硬化して、現像においてより除去されにくくなる。結果として、完成した光導波路基板10において、位置決めコア14は、積層方向において、光導波路12のコア121よりも基板11と反対側に突出する。露光量の調整方法は、例えば、光導波路12のコア121の直前にのみ紫外線フィルタを取り付けて紫外線の光量を低下させる等の光量の調整に関する方法であってもよい。露光量の調整方法は、例えば、位置決めコア14に照射される紫外線のみ露光時間をより長くする等の露光時間の調整に関する方法であってもよい。
【0041】
第6プロセスでは、50℃~90℃の温度で、全体に熱を加えるポストエクスポージャーベーク(PEB)が行われてもよい。これにより、第5プロセスで紫外線が照射されたフォトレジスト部分の側面の凹凸が平滑化される。なお、第6プロセスにおけるPEBは、必要がなければ省略されてもよい。
【0042】
第7プロセスでは、現像液を用いて、完成した光導波路基板10においてコア121及び位置決めコア14として残したい部分を除いたフォトレジストの部分を除去する現像が行われる。当該現像によって、上述した第5プロセスに代表される位置決めコア14とコア121との間の調整が反映され、コア121の高さが位置決めコア14の高さよりも小さくなる。
【0043】
第8プロセスでは、乾燥炉において全体に熱を加えるポストベークが行われる。これにより、コア121及び位置決めコア14として残るフォトレジスト部分がより硬くなり、基板11に密着する。
【0044】
以上のような第1実施形態に係る光コネクタモジュール1及び光導波路基板10の製造方法によれば、光コネクタ20と光導波路基板10との間の位置決め精度が向上する。より具体的には、光導波路基板10の位置決めコア14がコア121よりも基板11と反対側に突出することで、位置決めコア14の突出量がより大きくなる。これにより、位置決めコア14と、光コネクタ20の被位置決め部23との係合がより確実となる。例えば、光導波路12の導波モードがシングルモードである場合、コア121の上下幅は、10μm以下程度であり、非常に小さい。このような場合、仮に従来技術のように、位置決めコア14が同一の製造プロセス内でコア121の上下幅と同一になるように形成されると、位置決めコア14と被位置決め部23とが互いに係合せずに、光コネクタ20の位置がずれてしまう恐れがある。位置決めコア14の突出量がより大きくなることで、光導波路基板10に対する光コネクタ20の位置決めの際の感度が向上して、このような位置ずれが抑制される。また、位置決めコア14及びコア121の形成が同一の製造プロセス内で完結するので、コストの増大も抑制される。
【0045】
位置決めコア14が第1クラッド122a上に積層されていることで、基板11の積層面よりも平滑な第1クラッド122aの積層面上に位置決めコア14が積層可能である。これにより、より精度良く位置決めコア14が形成される。
【0046】
光導波路12のコア121と位置決めコア14とに照射された光の露光量が互いに異なることで、フォトレジストの内部に混入している露光感光剤の硬化の度合いがそれぞれにおいて異なるように調整可能である。例えば、位置決めコア14に照射された光の露光量がコア121に照射された光の露光量よりも大きいことで、位置決めコア14をコア121よりも強く硬化させて、現像においてより除去されにくくすることが可能となる。
【0047】
位置決めコア14と熱伝導体13との距離が、コア121と熱伝導体13との距離よりも小さいことで、光導波路基板10の製造プロセスにおいて全体に加えられる熱による温度は、コア121よりも位置決めコア14の方がより低くなる。したがって、有機溶剤の揮発量も位置決めコア14の方がより小さくなるので、結果的に位置決めコア14がコア121よりも上方に突出するような形成が可能となる。
【0048】
光コネクタ20の収容部24は、被位置決め部23よりも基板11に沿って外側に形成されている。これにより、例えば光コネクタ20を光導波路基板10に位置決めした後に、光コネクタ20の左右両側面に接着剤を塗布して光コネクタ20を光導波路基板10に対して固定する場合であっても、被位置決め部23への接着剤の流入が抑制可能である。
【0049】
例えば、接着剤は、毛細管現象により、光コネクタ20と基板11との間の空隙Sに沿って外側から内側に流入する。仮に光コネクタ20の下面21aに収容部24が形成されていないと、毛細管現象によって接着剤が被位置決め部23まで流入する恐れもある。被位置決め部23に接着剤が流入すると、被位置決め部23と位置決めコア14とがうまく係合せずに、光導波路基板10に対する光コネクタ20の位置がずれる恐れもある。
【0050】
収容部24は、外側から内側に流入する接着剤を収容して、さらに内側に形成されている被位置決め部23まで接着剤が到達することを抑制可能である。したがって、収容部24は、上記のような接着剤による光コネクタ20の位置ずれを抑制できる。
【0051】
光コネクタ20において基板11と対向する下面21aに収容部24が形成され、前後方向に沿って延在することで、収容部24が形成されている前後幅にわたって接着剤の内側への流入が抑制される。したがって、収容部24は、上記のような接着剤による光コネクタ20の位置ずれをより効果的に抑制できる。
【0052】
収容部24は、上記のような光コネクタ20の内側への接着剤の流入を抑制するだけでなく、光コネクタ20の外側への接着剤の広がりも抑制できる。これにより、例えば光導波路基板10に複数の光導波路12が互いに狭い間隔で形成されていたとしても、各光導波路12に対して光コネクタ20を接着剤により固定するときに、隣り合う光コネクタ20にそれぞれ塗布された接着剤が互いに干渉する恐れも低減可能となる。
【0053】
図9Aは、図2の光導波路基板10の第1変形例を説明するための上面視における模式図である。第1実施形態では、第1クラッド122aは、光コネクタ20の左右一対の収容部24の間隔よりも幅狭に形成されていると説明したが、これに限定されない。光コネクタモジュール1は、光コネクタ20の収容部24を含む下面21aの左右両端部の下方に空隙Sが形成される任意の構成を有してもよい。
【0054】
例えば、図9Aに示すとおり、基板11全体に第1クラッド122aが積層されていて、光コネクタ20の収容部24を含む下面21aの左右両端部のそれぞれの付近において第1クラッド122aが除去されることで、空隙Sが形成されていてもよい。図9Aでは、第1クラッド122aが除去される領域A2は、例えば矩形状であり、光コネクタ20の第1基部21の前後幅よりも前後方向に幅広に形成されている。
【0055】
図9Bは、図2の光導波路基板10の第2変形例を説明するための上面視における模式図である。図9Bでは、図9Aの右側の領域A2の形状のみが示されている。図9Bでは、領域A2は、例えば矩形状であり、光コネクタ20の第1基部21の前後幅よりも前後方向に幅狭に形成されている。
【0056】
図9Cは、図2の光導波路基板10の第3変形例を説明するための上面視における模式図である。図9Cでは、図9Aの右側の領域A2の形状のみが示されている。図9Cでは、領域A2は、例えば先端の縁を丸めた凸形状である。領域A2は、光コネクタ20の第1基部21の前後幅よりも前後方向に幅広に形成されていてもよいし、幅狭に形成されていてもよい。
【0057】
図9Dは、図2の光導波路基板10の第4変形例を説明するための上面視における模式図である。図9Dでは、図9Aの右側の領域A2の形状のみが示されている。図9Dでは、領域A2は、例えば外側から内側に向けて前後幅が広がるような台形状である。領域A2は、光コネクタ20の第1基部21の前後幅よりも前後方向に幅広に形成されていてもよいし、幅狭に形成されていてもよい。
【0058】
図9Eは、図2の光導波路基板10の第5変形例を説明するための上面視における模式図である。図9Eでは、図9Aの右側の領域A2の形状のみが示されている。図9Eでは、領域A2は、例えば外側から内側に向けて前後幅が狭まるような台形状である。領域A2は、光コネクタ20の第1基部21の前後幅よりも前後方向に幅広に形成されていてもよいし、幅狭に形成されていてもよい。
【0059】
図10Aは、図6の光コネクタ20の第1変形例を説明するための正面視における模式図である。図10Aは、第1基部21の右側面の形状を示す。図10Aでは、光コネクタ20の第1基部21の左右両側面は、上下方向の略中央部を起点として、下方に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜面を有する。
【0060】
図10Bは、図6の光コネクタ20の第2変形例を説明するための正面視における模式図である。図10Bは、第1基部21の右側面の形状を示す。図10Bでは、光コネクタ20の第1基部21の左右両側面は、上部を起点として、下方に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜面を有する。
【0061】
図11Aは、図6の光コネクタ20の第3変形例を説明するための正面視における模式図である。図11Aは、収容部24を含む下面21aの右端部近傍の形状を示す。図11Aでは、収容部24は、断面視で矩形状に形成されている。
【0062】
図11Bは、図6の光コネクタ20の第4変形例を説明するための正面視における模式図である。図11Bは、収容部24を含む下面21aの右端部近傍の形状を示す。図11Bでは、下面21aは、収容部24の内側で一段下方に突出する。このとき、収容部24は、基板11の上面ではなく第1クラッド122aの上面と対向してもよい。空隙Sは、下面21aの対応する部分と、第1クラッド122aとの間に形成されていてもよい。
【0063】
図11Cは、図6の光コネクタ20の第5変形例を説明するための正面視における模式図である。図11Cは、下面21aの右端部近傍の形状を示す。図11Cでは、光コネクタ20は収容部24を有さず、光コネクタ20の下面21aは、下方に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜面を有する。
【0064】
第1実施形態では、収容部24は、第1基部21の前端から後端まで連続して延在すると説明したが、これに限定されない。収容部24は、第1基部21の前後幅内の所定の長さで延在する一又は複数の凹部として、被位置決め部23の外側の任意の位置に形成されていてもよい。
【0065】
第1実施形態では、収容部24は凹部であるとして説明したが、これに限定されない。収容部24は、光コネクタ20に塗布される接着剤を収容可能な任意の構成を有してもよい。例えば、収容部24は、貫通孔により構成されてもよい。
【0066】
第1実施形態では、被位置決め部23は凹部であるとして説明したが、これに限定されない。被位置決め部23は、位置決めコア14と係合可能な任意の構成を有してもよい。例えば、被位置決め部23は、貫通孔により構成されてもよい。
【0067】
第1実施形態では、光導波路12のコア121と位置決めコア14とは、互いに同一の製造プロセスにより形成されるとして説明したが、これに限定されない。光導波路12のコア121と位置決めコア14とは、異なる製造プロセスにより形成されてもよい。例えば、上述した第5プロセスの露光において、初めに位置決めコア14用のマスクを使用して位置決めコア14にのみ紫外線を照射し、続いてコア121用のマスクを使用してコア121にのみ紫外線を照射してもよい。
【0068】
このとき、露光感光剤の硬化が時間をかけてゆっくりと進むような場合、初めに位置決めコア14に紫外線を照射することで、位置決めコア14における硬化時間がコア121よりも長くなる。したがって、位置決めコア14がコア121よりも強く硬化して、現像においてより除去されにくくなる。このように、硬化時間の差に基づいて位置決めコア14とコア121との間の高さ調整が行われてもよい。
【0069】
第1実施形態では、フォトリソグラフィーに用いられるフォトレジスト液がネガ型であるとして説明したが、これに限定されない。フォトレジスト液は、ポジ型であってもよい。このとき、例えば位置決めコア14に照射される光の露光量がゼロのまま、光導波路12のコア121に対してのみ紫外線をわずかに照射することで、現像後のコア121の高さを低減させてもよい。
【0070】
第1実施形態では、熱伝導体13は、位置決めコア14に沿って基板11中に埋め込まれているとして説明したが、これに限定されない。熱伝導体13は、位置決めコア14が形成されている基板11の上面と反対側の下面において、位置決めコア14と対向する位置に配置されていてもよい。これにより、位置決めコア14近傍における熱が熱伝導体13を介して基板11の外部に放出され、位置決めコア14の温度がコア121の温度よりもより効果的に低下する。
【0071】
第1実施形態では、熱伝導体13によって位置決めコア14近傍における放熱効果を向上させることで位置決めコア14の温度がコア121の温度よりも低下するとして説明したが、これに限定されない。位置決めコア14に沿って基板11中に熱伝導体13を埋め込む構成に代えて、又は加えて、光コネクタモジュール1は、熱を通しにくい熱絶縁体が光導波路12のコア121に沿って基板11中に埋め込まれている構成を有してもよい。
【0072】
第1実施形態では、クラッド122は、第1クラッド122a及び第2クラッド122bを有するとして説明したが、これに限定されない。第2クラッド122bに代えて空気の層により、光導波路12のコア121及び第1クラッド122aと共に所定の導波モードが形成されて、光導波路12としての機能が十分に実現されるのであれば、クラッド122は、第2クラッド122bを有さなくてもよい。
【0073】
(第2実施形態)
図12乃至図18Cを参照しながら、本開示の第2実施形態について主に説明する。図12は、第2実施形態に係る光コネクタモジュール1を示す斜視図である。図13は、図12の光コネクタモジュール1の分解斜視図である。図14は、図13の光導波路基板10単体を示した斜視図である。図15は、図12の光コネクタモジュール1の正面図である。図16は、図15の一点鎖線囲み部の拡大図である。図17は、図12の光コネクタモジュール1の一部を拡大して模式的に示した正面視における断面図である。
【0074】
図12乃至図17は、第1実施形態における図1乃至図3、及び図5乃至図7にそれぞれ対応する。第2実施形態に係る光コネクタモジュール1では、位置決めコア14の形状が第1実施形態と相違する。その他の構成、機能、効果、及び変形例等については、第1実施形態と同様であり、対応する説明が、第2実施形態に係る光コネクタモジュール1においても当てはまる。以下では、第1実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0075】
第2実施形態では、光導波路基板10の位置決めコア14の上面は、光導波路12のコア121の上面と同一の上下位置にあってもよいし、異なる上下位置にあってもよい。例えば、第1実施形態と同様に、位置決めコア14の上面がコア121の上面よりも上方にあってもよい。図14を参照すると、第2実施形態に係る光コネクタモジュール1の位置決めコア14は、2つの箇所において前後方向全体にわたって直線状に切り欠かれている切欠部144を有する。例えば、一対の切欠部144は、位置決めコア14の左右方向の中心線に対して線対称となる位置に形成されている。
【0076】
図15及び図16を参照すると、光コネクタ20の貫通孔22aは、積層方向と直交するコア121の延伸方向において位置決めコア14と対向し、かつ位置決めコア14の端面をコア121の延伸方向に沿って視認可能とする。図17を参照すると、位置決めコア14は、一対の切欠部144によって現れる4つの基準面A3、A4、A5、及びA6を有する。すなわち、基準面A3、A4、A5、及びA6は、位置決めコア14の左右方向の外面とは異なる、位置決めコア14の左右方向の内面として形成されている。
【0077】
例えば、一対の基準面A3及びA6は、コア121の延伸方向に沿って貫通孔22aから位置決めコア14を視認したときに、積層方向と直交する方向に位置決めコア14が介在しない状態で互いに離間し、かつ積層方向に延在している。一対の基準面A3及びA6は、コア121の延伸方向及び積層方向と直交する方向において互いに対向している。一対の基準面A3及びA6の間には、2つの切欠部144が形成されている。同様に、一対の基準面A4及びA5は、コア121の延伸方向に沿って貫通孔22aから位置決めコア14を視認したときに、積層方向と直交する方向に互いに離間し、かつ積層方向に延在している。2つの切欠部144のうちの一方は、一対の基準面A3及びA4の間に形成され、他方は、一対の基準面A5及びA6の間に形成されている。
【0078】
各一対の基準面は、コア121の延伸方向に沿って貫通孔22aから位置決めコア14を視認したときに、積層方向と平行な貫通孔22aの中心線Lに対して互いに線対称となる位置に形成されている。各一対の基準面は、位置決めコア14が積層されている第1クラッド122aの積層面から延在している。より具体的には、切欠部144は、位置決めコア14の上下幅全体にわたって第1クラッド122aの上面まで切り欠かれており、各一対の基準面の下端と第1クラッド122aの上面とが同一の上下位置に配置されている。
【0079】
以上のような第2実施形態に係る光コネクタモジュール1によれば、光コネクタ20と光導波路基板10との間の位置決め精度が向上する。例えば、切欠部144を有さず、各基準面が形成されていない第1実施形態における位置決めコア14では、測定装置等によって正面から位置決めコア14を視認しようとしても、貫通孔22aの直径に対する位置決めコア14の上下幅が小さすぎて、ピントが合わない恐れがある。第2実施形態に係る光コネクタモジュール1では、一対の基準面が形成されていることで、コア121の延伸方向に沿って貫通孔22aから位置決めコア14を視認したときでも一対の基準面の間隔が正確に測定可能である。
【0080】
一対の基準面の間隔が定義されることで、正面視で、貫通孔22aと位置決めコア14との位置関係が把握可能となる。これにより、各方向及び各回転方向における貫通孔22aと位置決めコア14との位置ずれが容易に測定可能となる。すなわち、光コネクタ20と光導波路基板10との位置ずれが容易に測定可能となる。より具体的には、正面視で、一対の基準面が貫通孔22aにおいて左右方向に平行にずれていれば、測定装置及び作業者等は、光コネクタ20と光導波路基板10とが左右方向にずれていると認識可能となる。正面視で、一対の基準面が貫通孔22aにおいて上下方向に平行にずれていれば、測定装置及び作業者等は、光コネクタ20と光導波路基板10とが上下方向にずれていると認識可能となる。正面視で、一対の基準面に対してピントが合わなければ、測定装置及び作業者等は、光コネクタ20と光導波路基板10とが前後方向にずれていると認識可能となる。正面視で、正確に位置決めされているときの形状から位置決めコア14の視認形状が変化したり、左右の貫通孔22aの間で位置決めコア14の視認形状が異なったりすれば、測定装置及び作業者等は、光コネクタ20が光導波路基板10に対して、前後方向、左右方向、及び上下方向の少なくとも1つを軸とする回転により位置ずれしていると認識可能となる。
【0081】
光コネクタ20と光導波路基板10との位置ずれが容易に測定可能となることで、光コネクタ20の光導波路基板10に対する位置決めが容易になる。加えて、位置決めの精度が向上する。例えば、従来技術では、光コネクタと光導波路基板とを大まかに位置決めして他の光伝送路を光コネクタに接続した後に、光導波路基板及び他の光伝送路に光を伝搬させて、出力される光の強度をモニタしながら、光の結合損失が最小となるように互いの位置決めが行われる。このような場合、位置決め作業に多大な時間がかかる。第2実施係形態に係る光コネクタモジュール1では、光を伝搬させなくても、光コネクタ20の光導波路基板10に対する位置決めが可能となる。加えて、例えば位置決めコア14及び貫通孔22aの画像を視認しながら、光導波路基板10に対して光コネクタ20を直接的に位置決めすることも可能となる。
【0082】
一対の基準面が貫通孔22aの中心線Lに対して互いに線対称となる位置に形成されていることで、貫通孔22aの中心線Lの位置と、一対の基準面の位置とを比較して互いの位置関係が把握可能となる。これにより、各方向及び各回転方向における貫通孔22aと位置決めコア14との位置ずれが容易に測定可能となる。すなわち、光コネクタ20と光導波路基板10との位置ずれが容易に測定可能となる。
【0083】
一対の基準面が第1クラッド122aの積層面から延在していることで、各基準面の上下幅がより大きくなり、各基準面の視認性が向上する。これにより、光コネクタ20と光導波路基板10との位置ずれがより精度良く測定可能となる。
【0084】
各基準面が、位置決めコア14の左右方向の外面とは異なる、位置決めコア14の左右方向の内面として形成されていることで、光コネクタ20の被位置決め部23が位置決めコア14と係合するときでも、被位置決め部23と各基準面とが互いに接触しない。したがって、各基準面が被位置決め部23によって破損することなく、各基準面の平滑性が維持される。これにより、各基準面の視認性が維持され、光コネクタ20の光導波路基板10に対する位置決めの精度が維持される。
【0085】
第2実施形態では、貫通孔22aの中心線Lに対して互いに線対称となる位置に一対の基準面が形成されていると説明したが、これに限定されない。一対の基準面は、貫通孔22aの中心線Lに対して互いに線対称でなくてもよい。
【0086】
第2実施形態では、4つの基準面A3、A4、A5、及びA6が形成されているとして説明したが、基準面の数はこれに限定されない。位置決めコア14は、左右方向に位置決めコア14が介在しない状態で互いに離間する少なくとも一対の基準面を有していれば、任意の数の基準面を有してもよい。
【0087】
第2実施形態では、一対の基準面は、位置決めコア14が積層されている第1クラッド122aの積層面から延在していると説明したが、これに限定されない。例えば、切欠部144は、位置決めコア14の上下方向の一部にわたって位置決めコア14の途中まで切り欠かれていてもよく、当該上下方向の一部に対応する上下幅で一対の基準面が形成されていてもよい。
【0088】
例えば図17では、切欠部144によって形成されている位置決めコア14の各突出部の断面形状は全て矩形状であるが、これに限定されない。各突出部の断面形状は、任意の形状であってもよい。例えば、各突出部の断面形状は、半円状であってもよい。また、各突出部の断面形状は、互いに同一であってもよし、互いに異なっていてもよい。
【0089】
例えば図17では、切欠部144によって形成されている位置決めコア14の各突出部は全て同一の高さであるが、これに限定されない。各突出部の高さは、互いに異なっていてもよい。
【0090】
図18Aは、図13の光導波路基板10における位置決めコア14の第1変形例を示す上面視における模式図である。例えば、位置決めコア14は、図18Aのような形状により形成されていてもよい。例えば、位置決めコア14において、中央の突出部の前端面は、左右両側の突出部の前端面よりも後方に位置してもよい。また、中央の突出部は、左右両側の突出部と並行して連続的に後方に延伸していてもよい。
【0091】
図18Bは、図13の光導波路基板10における位置決めコア14の第2変形例を示す上面視における模式図である。例えば、位置決めコア14は、図18Bのような形状により形成されていてもよい。例えば、位置決めコア14において、中央の突出部の前端面は、左右両側の突出部の前端面よりも後方に位置してもよい。また、中央の突出部は、位置決めコア14において所定の長さだけ前後方向に延在していてもよい。
【0092】
図18Cは、図13の光導波路基板10における位置決めコア14の第3変形例を示す上面視における模式図である。例えば、位置決めコア14は、図18Cのような形状により形成されていてもよい。例えば、位置決めコア14において、中央の突出部の前端面は、左右両側の突出部の前端面よりも前方に位置してもよい。
【0093】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0094】
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0095】
例えば、上述した光導波路基板10の製造方法における各ステップ又は各製造プロセスに含まれる機能等は物理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数のステップ又は複数の製造プロセスを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 光コネクタモジュール
10 光導波路基板
11 基板
12 光導波路
121 コア
122 クラッド
122a 第1クラッド
122b 第2クラッド
13 熱伝導体
14 位置決めコア
141 幅狭部
142 係合部
143 幅広部
144 切欠部
20 光コネクタ
21 第1基部
21a 下面
21b 凹部
22 第2基部
22a 貫通孔
22b 凹部
23 被位置決め部
24 収容部
25 レンズ部
25a レンズ
A1 前面
A2 領域
A3、A4、A5、A6 基準面
L 中心線
S 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C