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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108356
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】圧力調整装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20220719BHJP
   F16K 17/04 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
F02M37/00 R
F16K17/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003285
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】本田 義彦
【テーマコード(参考)】
3H059
【Fターム(参考)】
3H059AA05
3H059BB30
3H059BB40
3H059CA02
3H059CC11
3H059CD05
3H059EE01
3H059FF01
3H059FF16
(57)【要約】
【課題】圧力調整装置の組み付け性及び分解性を向上する。
【解決手段】リリーフ弁20は、弁室22、弁座部23、流入口24及び流出口25を有する中空筒状のハウジング21と、弁室22内に配置され、弁座部23を開閉する弁体40と、弁体40を閉方向に付勢するスプリング46と、を備える。ハウジング21はハウジングカバー26とハウジングベース27とからなる。ハウジングカバー26には、径方向に外方に突出する被抜け止め片53を有する被係合部51が設けられる。ハウジングベース27には、径方向に外方に突出する抜け止め片57を有する係合部55が設けられる。抜け止め片57が被抜け止め片53の裏側に当接されかつスプリング46の付勢により押圧保持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室、弁座部、流入口及び流出口を有する中空筒状のハウジングと、
前記弁室内に配置され、前記弁座部を開閉する弁体と、
前記弁体を閉方向に付勢する付勢部材と、
を備える圧力調整装置であって、
前記ハウジングは2つのハウジング部材からなり、
前記2つのハウジング部材のうちの一方のハウジング部材には、径方向に外方に突出する被抜け止め部を有する被係合部が設けられており、
前記2つのハウジング部材のうちの他方のハウジング部材には、径方向に外方に突出する抜け止め部を有する係合部が設けられており、
前記抜け止め部が前記被抜け止め部の裏側に当接されかつ前記付勢部材の付勢により押圧保持されている、圧力調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力調整装置であって、
前記2つのハウジング部材の間には、前記被抜け止め部と前記抜け止め部とが対応する位置において該2つのハウジング部材の相対回転を規制する回転規制機構が設けられている、圧力調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力調整装置であって、
前記回転規制機構は、前記被係合部及び前記係合部のうちの一方の基端部に形成されかつ前記ハウジングの軸方向に沿って延在する軸方向延在部と、前記被係合部及び前記係合部のうちの他方の基端部に形成されかつ前記ハウジングの径方向に沿って延在する径方向延在部と、からなる、圧力調整装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の圧力調整装置であって、
前記2つのハウジング部材の間には、前記被抜け止め部と前記抜け止め部との当接状態において該2つのハウジング部材の相対回動を規制する回り止め機構が設けられている、圧力調整装置。
【請求項5】
請求項4に記載の圧力調整装置であって、
前記回り止め機構は、前記被係合部及び前記係合部のうちの一方に形成された凸部と、他方に形成されかつ前記凸部に係合する凹部と、からなる、圧力調整装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の圧力調整装置であって、
前記弁座部、及び、前記流入口を有する接続筒部が形成される前記ハウジング部材と、前記接続筒部が挿入接続される配管部と、の間に、両者間をシールする円環状のシール部材が介在されており、
前記弁体の受圧径は前記シール部材のシール径よりも大きい、圧力調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は圧力調整装置に関する。詳しくは、リリーフ弁、プレッシャレギュレータ等の圧力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたリリーフ弁がある。そのリリーフ弁は、弁室、弁座部、流入口及び流出口を有する中空筒状のハウジングと、弁室内に配置され、弁座部を開閉する弁体と、弁体を閉方向に付勢する付勢部材と、を備える。ハウジングは、ハウジング本体とプレートとの2つのハウジング部材からなる。ハウジング本体にプレートがかしめ付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11―125348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例によると、リリーフ弁を組み付ける際に、ハウジング本体のかしめ部をかしめてプレートを固定しなければならず、組み付け性が悪い。また、弁体、付勢部材等の部品を交換したいときには、かしめ部を戻さなければならず、分解性が悪い。
【0005】
本明細書に開示の技術が解決しようとする課題は、圧力調整装置の組み付け性及び分解性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本明細書が開示する技術は次の手段をとる。
【0007】
第1の手段は、弁室、弁座部、流入口及び流出口を有する中空筒状のハウジングと、前記弁室内に配置され、前記弁座部を開閉する弁体と、前記弁体を閉方向に付勢する付勢部材と、を備える圧力調整装置であって、前記ハウジングは2つのハウジング部材からなり、前記2つのハウジング部材のうちの一方のハウジング部材には、径方向に外方に突出する被抜け止め部を有する被係合部が設けられており、前記2つのハウジング部材のうちの他方のハウジング部材には、径方向に外方に突出する抜け止め部を有する係合部が設けられており、前記抜け止め部が前記被抜け止め部の裏側に当接されかつ前記付勢部材の付勢により押圧保持されている、圧力調整装置である。
【0008】
第1の手段によると、一方のハウジング部材の被係合部の被抜け止め部の裏側に他方のハウジング部材の係合部の抜け止め部が当接されかつ付勢部材の付勢により押圧保持される。したがって、従来のかしめによる組み付けと比べて、容易に組み付けることができる。また、組み付け手順の逆順で分解することができる。よって、圧力調整装置の組み付け性及び分解性を向上することができる。
【0009】
第2の手段は、第1の手段の圧力調整装置であって、前記2つのハウジング部材の間には、前記被抜け止め部と前記抜け止め部とが対応する位置において該2つのハウジング部材の相対回転を規制する回転規制機構が設けられている、圧力調整装置である。
【0010】
第2の手段によると、2つのハウジング部材の組み付けに際し、両ハウジング部材を相対回転させた際に、被抜け止め部と抜け止め部とが対応する位置において、回転規制機構により2つのハウジング部材の相対回転を規制することができる。これにより、被抜け止め部と抜け止め部との位置合わせを容易に行うことができる。
【0011】
第3の手段は、第2の手段の圧力調整装置であって、前記回転規制機構は、前記被係合部及び前記係合部のうちの一方の基端部に形成されかつ前記ハウジングの軸方向に沿って延在する軸方向延在部と、前記被係合部及び前記係合部のうちの他方の基端部に形成されかつ前記ハウジングの径方向に沿って延在する径方向延在部と、からなる、圧力調整装置である。
【0012】
第3の手段によると、回転規制機構の軸方向延在部と径方向延在部との当接によって、2つのハウジング部材の相対回転を規制することができる。また、被係合部と係合部との間に回転規制機構の軸方向延在部及び径方向延在部を配置することができる。
【0013】
第4の手段は、第1~3のいずれか1つの手段の圧力調整装置であって、前記2つのハウジング部材の間には、前記被抜け止め部と前記抜け止め部との当接状態において該2つのハウジング部材の相対回動を規制する回り止め機構が設けられている、圧力調整装置である。
【0014】
第4の手段によると、被抜け止め部と抜け止め部との当接状態において、回り止め機構により2つのハウジング部材の相対回動を規制することができる。
【0015】
第5の手段は、第4の手段の圧力調整装置であって、前記回り止め機構は、前記被係合部及び前記係合部のうちの一方に形成された凸部と、他方に形成されかつ前記凸部に係合する凹部と、からなる、圧力調整装置である。
【0016】
第5の手段によると、回り止め機構の凸部と凹部との係合によって、2つのハウジング部材の相対回動を規制することができる。また、被係合部と係合部との間に回り止め機構の凸部及び凹部を配置することができる。
【0017】
第6の手段は、第1~5のいずれか1つの手段の圧力調整装置であって、前記弁座部、及び、前記流入口を有する接続筒部が形成される前記ハウジング部材と、前記接続筒部が挿入接続される配管部と、の間に、両者間をシールする円環状のシール部材が介在されており、前記弁体の受圧径は前記シール部材のシール径よりも大きい、圧力調整装置である。
【0018】
第6の手段によると、配管部の流体の圧力の開弁圧以上の上昇により、弁体を確実に開かせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に開示の技術によると、圧力調整装置の組み付け性及び分解性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1にかかるリリーフ弁を示す断面図である。
図2】リリーフ弁を示す斜視図である。
図3】リリーフ弁を示す平面図である。
図4図3のIV-IV線矢視断面図である。
図5】リリーフ弁を示す下面図である。
図6】リリーフ弁を分解して示す斜視図である。
図7】ハウジングカバーを示す平面図である。
図8】ハウジングカバーに対するハウジングベースの組付工程1を示す平面図である。
図9図8のIX-IX線矢視断面図である。
図10】ハウジングカバーに対するハウジングベースの組付工程2を示す断面図である。
図11】ハウジングカバーに対するハウジングベースの組付工程3を示す平面図である。
図12図11のXII-XII線矢視断面図である。
図13】配管部材に対するリリーフ弁の取付部を示す断面図である。
図14】実施形態2にかかるリリーフ弁の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本明細書に開示の技術を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、圧力調整装置としてのリリーフ弁を例示する。
【0022】
[実施形態1]
(リリーフ弁の概要)
図1はリリーフ弁を示す断面図である。図1に示すように、リリーフ弁20は、自動車等の車両の燃料タンク内の燃料を内燃機関であるエンジン(不図示)に供給する燃料供給通路11から分岐された燃料排出通路12の下流端に接続されている。また、燃料供給通路11は樹脂製の配管部材10に形成されている。燃料排出通路12は、配管部材10が有する円筒状の配管部14に形成されており、燃料供給通路11に対して直交状に連通されている。また、リリーフ弁20は燃料タンク内に配置されている。リリーフ弁20は、通常時に閉弁しており、燃料供給通路11の燃料の圧力が開弁圧よりも高くなると開弁し、燃料供給通路11の燃料の一部を燃料排出通路12から燃料タンク内に排出させる。
【0023】
(リリーフ弁20)
リリーフ弁20を説明する。図2はリリーフ弁を示す斜視図、図3は同じく平面図、図4図3のIV-IV線矢視断面図、図5はリリーフ弁を示す下面図、図6はリリーフ弁を分解して示す斜視図である。説明の都合上、リリーフ弁20に係る上下方向を図4に基づいて定めるが、リリーフ弁20の設置方向を特定するものではない。
【0024】
図4に示すように、リリーフ弁20は、ハウジング21と弁体40とコイルスプリング46とを備えている。ハウジング21は中空円筒状に形成されている。ハウジング21は、弁室22、弁座部23、流入口24及び流出口25を有する。ハウジング21は、2つのハウジング部材、すなわち流出口25を有するハウジングカバー26と、弁座部23及び流入口24を有するハウジングベース27と、からなる(図6参照)。
【0025】
ハウジングカバー26は、上面に開口端部を有する有底円筒状に形成されている。ハウジングカバー26の底面上には、短円柱状の支持突起30が同心状に形成されている。ハウジングカバー26の内周面には、軸方向(上下方向)に延在する複数個(例えば4本)のリブ状のバルブガイド31が周方向に等間隔で形成されている(図7参照)。
【0026】
ハウジングカバー26の側面部に流出口25が縦長孔状に形成されている。ハウジングカバー26の軸方向(上下方向)の中間部の外周面には、複数個(例えば3個)の係合突起33が周方向に等間隔で突出されている(図6及び図7参照)。ハウジングカバー26は樹脂製である。
【0027】
ハウジングベース27は、ハウジングカバー26の上面開口端部にその開口端部を閉鎖するように取り付けられている。ハウジングカバー26とハウジングベース27とにより弁室22が形成されている。ハウジングベース27は、円環板状に形成された基板部35を有する。基板部35の中央部には、上方へ延びる段付き円筒状の接続筒部36が同心状に形成されている。接続筒部36の上端開口部が流入口24とされている。また、基板部35の内周部が弁座部23とされている。ハウジングベース27は金属板製である。ハウジングカバー26は本明細書でいう「一方のハウジング部材」に相当する。ハウジングベース27は本明細書でいう「他方のハウジング部材」に相当する。なお、ハウジングカバー26に対するハウジングベース27の取付構造については後で説明する。
【0028】
弁体40は、ハウジングカバー26内に軸方向(上下方向)に移動可能に配置されている。弁体40は、円板状の弁板部41と、弁板部41の外周部から上方へ突出された円環板状のシール部42とを有する。シール部42は、上方に向かって先細り状をなす断面三角形状に形成されている。弁板部41の下面には、短円筒状の支持筒部43が同心状に形成されている。
【0029】
弁体40は、ハウジングベース27の弁座部23に着座及び離座可能に配置されている。すなわち、弁体40により弁座部23が開閉される。弁体40は、ハウジングカバー26のバルブガイド31により軸方向(上下方向)にガイドされる(図7中、二点鎖線40参照)。弁体40は、弁座部23に着座することにより流入口24を閉じる(図4中、実線40参照)。また、弁体40は、弁座部23から離座することにより流入口24を開く(図4中、二点鎖線40参照)。弁体40は金属製である。
【0030】
コイルスプリング(以下、「スプリング」という)46は、ハウジングカバー26と弁体40との対向面間に介在されている。スプリング46の下端部は、ハウジングカバー26の支持突起30に嵌合されている。スプリング46の上端部は、弁体40の支持筒部43に嵌合されている。スプリング46は弁体40を閉方向(図4において上方)に付勢している。これにより、弁体40は、通常時はシール部42がハウジングベース27の弁座部23に着座する閉弁状態に保持されている。スプリング46は本明細書でいう「付勢部材」に相当する。
【0031】
(配管部材10に対するリリーフ弁20の取付構造)
図1に示すように、ハウジングベース27の接続筒部36は、配管部材10の配管部14に挿入接続されている。接続筒部36と配管部材10との間には、両者間をシールするOリング16が介在されている。Oリング16は本明細書でいう「円環状のシール部材」に相当する。
【0032】
ハウジングカバー26は、配管部材10に対してスナップフィットにより取り付けられている。すなわち、配管部14の周囲には、下方へ延びる複数本(例えば3本)の弾性係合片18が周方向に等間隔で形成されている。弾性係合片18は縦長状の係合孔19を有する。配管部材10にハウジング21をその下方から押し付けることによって、ハウジングカバー26の各係合突起33が各弾性係合片18の外側方への弾性変形を利用して係合孔19(詳しくは係合孔19の下端縁)に係合されている。これにより、配管部材10にリリーフ弁20が抜け止め状態に取付けられている。
【0033】
(リリーフ弁20の作用)
リリーフ弁20(図1参照)において、通常時は、スプリング46により弁体40が弁座部23に着座する閉弁状態に保持されている。この状態で、燃料供給装置(不図示)の燃料ポンプの作動により、燃料供給通路11に圧送された燃料(加圧燃料)は、燃料排出通路12から流入口24を通じて接続筒部36の内部空間37及び弁体40のシール部42内の空間に流入する。
【0034】
燃料供給通路11の燃料の圧力が所定の圧力(開弁圧)を超えると、スプリング46の付勢に抗して弁体40が押し下げられることにより開弁される。これにより、燃料供給通路11の燃料が余剰燃料として接続筒部36の内部空間37及び弁体40のシール部42内の空間から弁室22及び流出口25を通じて排出される。また、燃料供給通路11の燃料の圧力が所定の圧力以下になると、スプリング46の付勢により弁体40が閉弁される。
【0035】
(ハウジングカバー26に対するハウジングベース27の取付構造)
図6に示すように、ハウジングカバー26の上端部には、複数個(例えば3個)の被係合部51が周方向に等間隔で形成されている(図7参照)。被係合部51は、ハウジングカバー26の上端面から軸方向に沿って外方(上方)へ延びる断面円弧状の突出基部52と、突出基部52の上端部から径方向外方へ水平状に突出する略円弧板状の被抜け止め片53と、突出基部52と被抜け止め片53とのなす隅角部の中央部に突出された突起部61と、を有する。被抜け止め片53は本明細書でいう「被抜け止め部」に相当する。
【0036】
ハウジングベース27の基板部35の外周部には、複数個(例えば3個)の係合部55が周方向に等間隔で形成されている。係合部55は、ハウジングベース27の外周部から径方向外方へ突出する当接基部56と、当接基部56の先端部からハウジングベース27の平面視で左回り方向へ円弧状に延びる抜け止め片57と、を有する。抜け止め片57の内周縁の中央部には係合溝65が形成されている。抜け止め片57は本明細書でいう「抜け止め部」に相当する。
【0037】
(リリーフ弁20の組付手順の例)
〈組付工程1〉
図9に示すように、ハウジングカバー26にスプリング46を挿入し、スプリング46上に弁体40をセットする。このとき、スプリング46の下端部をハウジングカバー26の支持突起30に嵌合させ、スプリング46の上端部に弁体40の支持筒部43を嵌合させる。続いて、弁体40上にハウジングベース27を同心状に載置する。このとき、図8に示すように、平面視において、ハウジングベース27を被係合部51と係合部55とが重ならないように配置する。
【0038】
〈組付工程2〉
次に、図10に示すように、ハウジングベース27をスプリング46の付勢に抗して押し下げ、その基板部35をハウジングカバー26の上端面に当接させる。これにより、側面視において係合部55が被係合部51の被抜け止め片53及び突起部61よりも低い位置に配置される。
【0039】
〈組付工程3〉
次に、図11に示すように、ハウジングカバー26に対してハウジングベース27を平面視において左回り方向(図8中、矢印Y参照)へ回動させる。そして、被係合部51の突出基部52に係合部55の当接基部56を当接させる。これにより、ハウジングカバー26とハウジングベース27との相対回転が規制される。また、被係合部51の被抜け止め片53と係合部55の抜け止め片57とが上下に対応する位置に位置決めされる(図12参照)。これにともない、被係合部51の突起部61と係合部55の係合溝65とが上下に対応する。突出基部52と当接基部56とにより回転規制機構50が構成されている。突出基部52は本明細書でいう「軸方向延在部」に相当する。当接基部56は本明細書でいう「径方向延在部」に相当する。
【0040】
この状態において、ハウジングベース27に対する押し下げ力を解除する。すると、スプリング46の付勢により弁体40を介してハウジングベース27が押し上げられることにより、被係合部51の被抜け止め片53の裏面(下面)に係合部55の抜け止め片57が面接触状に当接されかつスプリング46の付勢により押圧保持される(図4参照)。
【0041】
また、被係合部51の突起部61に係合部55の係合溝65が係合する(図2図3及び図5参照)。これにより、ハウジングカバー26とハウジングベース27との相対回動が規制される。突起部61と係合溝65とにより回り止め機構60が構成されている。突起部61は本明細書でいう「凸部」に相当する。係合溝65は本明細書でいう「凹部」に相当する。
【0042】
(ハウジング21の分解手順)
また、上記した組み付け手順の逆順によって、ハウジングカバー26とハウジングベース27とを分解することができる。
【0043】
(実施形態1による利点)
前記リリーフ弁20によると、ハウジングカバー26の被係合部51の被抜け止め片53の裏側(下側)にハウジングベース27の係合部55の抜け止め片57が当接されかつスプリング46の付勢により押圧保持される。したがって、従来のかしめによる組み付けと比べて、容易に組み付けることができる。また、組み付け手順の逆順で分解することができる。よって、リリーフ弁20の組み付け性及び分解性を向上することができる。
【0044】
また、ハウジングカバー26とハウジングベース27との組み付けに際し、圧入等による組み付けと異なり、バリ等の異物が発生しない又はほとんど発生しない。このため、ハウジングベース27と弁体40との間にバリが噛み込むことによる油密不良を抑制することができる。
【0045】
また、ハウジングカバー26とハウジングベース27との組み付けに、かしめ工程、圧入工程、バリ除去工程等が必要なく、その組み付けを簡素化することができる。
【0046】
また、ハウジングカバー26とハウジングベース27との組み付けに際し、両ハウジング部材を相対回転させた際に、被抜け止め片53と抜け止め片57とが対応する位置において、回転規制機構50によりハウジングカバー26とハウジングベース27との相対回転を規制することができる。これにより、被抜け止め片53と抜け止め片57との位置合わせを容易に行うことができる。
【0047】
また、回転規制機構50は、被係合部51の基端部に形成されかつハウジング21の軸方向に沿って延在する突出基部52と、係合部55の基端部に形成されかつハウジング21の径方向に沿って延在する当接基部56と、からなる。したがって、回転規制機構50の突出基部52と当接基部56との当接によって、ハウジングカバー26とハウジングベース27との相対回転を規制することができる。また、被係合部51と係合部55との間に回転規制機構50の突出基部52及び当接基部56を配置することができる。
【0048】
また、被抜け止め片53と抜け止め片57との当接状態において、回り止め機構60によりハウジングカバー26とハウジングベース27との相対回動を規制することができる。
【0049】
また、回り止め機構60は、被係合部51に形成された突起部61と、係合部55に形成されかつ突起部61に係合する係合溝65と、からなる。したがって、回り止め機構60の突起部61と係合溝65との係合によって、ハウジングカバー26とハウジングベース27との相対回動を規制することができる。また、被係合部51と係合部55との間に回り止め機構60の突起部61及び係合溝65を配置することができる。
【0050】
また、図13に示すように、弁体40の受圧径(シール部42の内径)AはOリング16のシール径(ハウジングベース27の受圧径)Bよりも大きく設定されている。したがって、配管部14の燃料(流体)の圧力の開弁圧以上の上昇により、弁体40を確実に開かせることができる。この点について説明する。配管部14の燃料の圧力は、ハウジングベース27の内部空間37及び弁体40のシール部42内の空間においてハウジングベース27を上方へ押し付ける方向(図13中、矢印Y1参照)と、配管部14においてハウジングベース27を下方へ押し付ける方向(図13中、矢印Y2参照)と、に同等に作用する。このため、仮に弁体40の受圧径AがOリング16のシール径Bよりも小さい場合、弁体40よりも先にハウジングベース27がスプリング46の付勢に抗してリフトされるおそれがある。これに対し、弁体40の受圧径AがOリング16のシール径Bよりも大きいため、ハウジングベース27がリフトされることなく、弁体40を確実に開かせることができる。
【0051】
また、ハウジングベース27が金属板製であるため、ハウジングベース27に弁座部23、及び、流入口24を有する接続筒部36を精度良く形成することができる。
【0052】
また、ハウジングカバー26とハウジングベース27との組み付け状態において、ハウジングカバー26の上端面とハウジングベース27の基板部35との対向面間に形成されるクリアランスCにより、流出路として利用することができる。なお、クリアランスCは、被係合部51に対する係合部55の係合に係る回動に際して、突起部61と係合部55との緩衝を回避するために要する被抜け止め片53と抜け止め片57との間の隙間によって生じる隙間である。
【0053】
[実施形態2]
本実施形態は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、実施形態1と同一部位については同一符号を付して重複する説明を省略する。実施形態2の変更にかかる部位には100番台の符号を付す。図14に示すように、本実施形態のリリーフ弁120のハウジングベース127は、円環板状に形成された小径基板部135aと、小径基板部135aの外周部から上方へ延びる円筒状の接続筒部136と、接続筒部136の上端部から径方向外方へ張り出すフランジ状の大径基板部135bと、を有する。小径基板部135aの孔が流入口124とされている。大径基板部135bの外周部に係合部155が形成されている。
【0054】
ハウジングベース127の接続筒部136内に配管部材110の配管部114が挿入接続されている。接続筒部136と配管部114との間には、両者136,114間をシールするOリング116が介在されている。Oリング116は本明細書でいう「円環状のシール部材」に相当する。
【0055】
[他の実施形態]
本明細書に開示の技術は、前記した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施可能である。例えば、本明細書に開示の技術は、リリーフ弁20に限らず、プレッシャレギュレータ、逆止弁等に適用してもよい。また、弁体40は、板状に限らず、球形状、柱形状等、種々の形状に変更してもよい。また、ハウジングカバー26は、樹脂製に限らず、金属製でもよい。また、ハウジングベース27は、金属板製に限らず、樹脂製でもよい。また、弁体40は、金属製に限らず、樹脂製やゴム製でもよい。
【0056】
また、実施形態では、ハウジングカバー26に被係合部51を設け、ハウジングベース27に係合部55を設けたが、ハウジングカバー26に係合部55を設け、ハウジングベース27に被係合部51を設けてもよい。
【0057】
また、実施形態では、被係合部51に突出基部52を形成し、係合部55に当接基部56を形成したが、被係合部51に当接基部56を形成し、係合部55に突出基部52を形成してもよい。また、回転規制機構50は、被係合部51と係合部55との間以外の部位に設けてもよい。
【0058】
また、実施形態では、被係合部51に突起部61を形成し、係合部55に係合溝65を形成したが、被係合部51に係合溝65を形成し、係合部55に突起部61を形成してもよい。また、回り止め機構60は、被係合部51と係合部55との間以外の部位に設けてもよい。
【0059】
また、被係合部51と係合部55との間に設けられた回り止め機構60は省略してもよい。この場合、ハウジングカバー26の上端面とハウジングベース27の基板部35との対向面間に形成されるクリアランスC(図13参照)はほとんど無くしてもよい。
【0060】
また、ハウジングカバー26の流出口25は、側面部に限らず、下面部に形成してもよい。また、流出口25の形状は、縦長孔状に限らず、円形状、多角形状等、種々の形状に変更してもよい。また、流出口25は、1個に限らず、複数個でもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 配管部材
14 配管部
16 Oリング(シール部材)
20 リリーフ弁(圧力調整装置)
21 ハウジング
22 弁室
23 弁座部
24 流入口
25 流出口
26 ハウジングカバー(一方のハウジング部材)
27 ハウジングベース(他方のハウジング部材)
36 接続筒部
40 弁体
46 スプリング(付勢部材)
50 回転規制機構
51 被係合部
52 突出基部(軸方向延在部)
53 被抜け止め片(被抜け止め部)
55 係合部
56 当接基部(径方向延在部)
57 抜け止め片(抜け止め部)
60 回り止め機構
61 突起部(凸部)
65 係合溝(凹部)
110 配管部材
114 配管部
116 Oリング(シール部材)
120 リリーフ弁
127 ハウジングベース
124 流入口
155 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
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図14