(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110085
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】(ヒドロ)ハロカーボン組成物からハロアルキン不純物を除去するための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/38 20060101AFI20220721BHJP
C07C 21/18 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C07C17/38
C07C21/18
【審査請求】有
【請求項の数】54
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022080616
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2019538666の分割
【原出願日】2018-01-19
(31)【優先権主張番号】1701099.2
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516030797
【氏名又は名称】メキシケム フロー エセ・ア・デ・セ・ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 悠
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ポール・シャラット
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD18
4H006EA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】(ヒドロ)ハロカーボン化合物から反応副生成物を除去するための新規方法を提供する。
【解決手段】(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物を、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させて、Rf-C≡CXの濃度を低減させることを含む方法に関し、式中、Rfが、ペルフルオロ化アルキル基であり、Xが、H、F、Cl、Br、又はIである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物を、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させて、Rf-C≡CXの濃度を低減させることを含み、式中、Rfが、ペルフルオロ化アルキル基であり、Xが、H、F、Cl、Br、又はIである、方法。
【請求項2】
前記式Rf-C≡CXの化合物が、3,3,3-トリフルオロプロピン(トリフルオロメチルアセチレン、TFMA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液が、水溶液である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液が、アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド若しくはアミド、アルカリ土類金属の水酸化物若しくはアミド、又はNR4OHのうちの1種以上を含み、Rが、独立して、H、C1~10アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基又はピリジニル基)又はアリールアルキル基(例えば、ベンジル基又はC1~10アルキル置換フェニル基)である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記溶液が、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のうちの1種以上を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記溶液が、約0.5~約3Mなどの、約0.1~約10M、好ましくは約0.2~約5Mの濃度を有する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記(ヒドロ)ハロカーボンが、C3~7(ヒドロ)ハロアルケン、好ましくはヒドロハロプロペンである、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロハロプロペンが、クロロトリフルオロプロペン及び/又はテトラフルオロプロペンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記クロロトリフルオロプロペンが、CF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)及び/又はCF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記テトラフルオロプロペンが、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)及び/又はCF3CF=CH2(HFO-1234yf)である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
相間移動触媒の存在下で実施される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
約20~約60℃などの、約0~約100℃、好ましくは約10~約80℃の温度で実施される、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
約1分~約180分などの、約1秒~約4時間、好ましくは約10秒~約3時間の、前記組成物と前記溶液との間の接触時間を有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、少なくとも前記溶液と接触する前に気相中にある、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、前記接触させる工程の前に、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の前記(ヒドロ)ハロカーボンを含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、前記接触させる工程の前に、約1000ppm以下などの、約10000ppm以下、好ましくは約5000ppm以下の、前記式Rf-C≡CXの化合物を含有する、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記組成物中の前記式Rf-C≡CXの化合物の量が、少なくとも約90重量%などの、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約70重量%低減される、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記接触させる工程の後、得られる組成物が、0~約500ppm、好ましくは0~約100ppm、そのような0~約10ppmの、前記式Rf-C≡CXの化合物を含有する、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む前記組成物が、所望しない(ヒドロ)ハロカーボンを更に含み、前記組成物を水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む前記塩基性溶液と接触させることが、前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンの濃度を低減させる、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンが、ペンタフルオロプロペン、ペンタフルオロプロパン、クロロテトラフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン及びそれらの混合物から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンが、CF3CFH=CFH(HFO-1225ye)、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-245cb、HCFC-244bb及びHFC-236eaのうちの1種以上である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物中の前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンの量が、少なくとも約90重量%などの、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約70重量%低減される、請求項19~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記接触させる工程の後、得られる組成物が、0~約500ppm、好ましくは0~約100ppm、そのような0~約10ppmの、前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンの前記化合物を含有する、請求項19~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記(ヒドロ)ハロカーボンを生成するためのプロセスからの生成物流である、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
1つ以上の追加の精製工程と組み合わされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(i)任意選択的にHF及び/又は触媒の存在下で、出発材料を、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物に変換することであって、式中、Rfが、ペルフルオロ化アルキル基であり、Xが、H、F、Cl、Br、又はIである、ことと、
(ii)前記組成物を、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させて、前記式Rf-C≡CXの化合物の濃度を低減させることと、
(iii)前記(ヒドロ)ハロカーボンを回収することと、
を含む、(ヒドロ)ハロカーボンを調製するための方法。
【請求項27】
前記式Rf-C≡CXの化合物が、3,3,3-トリフルオロプロピン(トリフルオロメチルアセチレン、TFMA)である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
溶液が、水溶液である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記溶液が、アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド若しくはアミド、アルカリ土類金属の水酸化物若しくはアミド、又はNR4OHのうちの1種以上を含み、Rが、独立して、H、C1~10アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基又はピリジニル基)又はアリールアルキル基(例えば、ベンジル基又はC1~10アルキル置換フェニル基)である、請求項26~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記溶液が、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のうちの1種以上を含有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記溶液が、約0.5~約3Mなどの、約0.1~約10M、好ましくは約0.2~約5Mの濃度を有する、請求項26~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記(ヒドロ)ハロカーボンが、C3~7(ヒドロ)ハロアルケン、好ましくはヒドロハロプロペンである、請求項26~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記ヒドロハロプロペンが、クロロトリフルオロプロペン及び/又はテトラフルオロプロペンである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記出発材料が、CCl3CH2CCl2H(HFC-240fa)、CF3CH2CFClH(HCFC-244fa)、CF3CH2CF2H(HFC-245fa)、CF3CF2CH3(HFC-245cb)、CF3CFHCFH2(HFC-245eb)、CF3CFClCH3(HCFC-244bb)、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、HCFO-1233xf、テトラクロロプロペン(HCO-1230)、Z-HFO-1234ze、Z-HCFO-1233zd、HFO-1234zc又はCCl3CClHCClH2(HFC-240db)のうちの1種以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒドロハロプロペンが、HCFO-1233zd及び/又はHFO-1234zeであり、前記出発材料が、CCl3CH2CCl2H(HFC-240fa)、CF3CH2CFClH(HCFC-244fa)又はCF3CH2CF2H(HFC-245fa)のうちの1種以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒドロハロプロペンが、HFO-1234yfであり、前記出発材料が、CF3CF2CH3(HFC-245cb)、CF3CFHCFH2(HFC-245eb)、CF3CFClCH3(HCFC-244bb)、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、HCFO-1233xf、テトラクロロプロペン(HCO-1230)又はCCl3CClHCClH2(HFC-240db)のうちの1種以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒドロハロプロペンが、HCFO-1233xfであり、前記出発材料が、テトラクロロプロペン(HCO-1230)及び/又はCCl3CClHCClH2(HFC-240db)を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記(ヒドロ)ハロカーボンが、HCFC-244bbであり、前記出発材料が、HCFO-1233xf、テトラクロロプロペン(HCO-1230)又はCCl3CClHCClH2(HFC-240db)のうちの1種以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記接触させる工程が、相間移動触媒の存在下で実施される、請求項26~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記接触させる工程が、約20~約60℃などの、約0~約100℃、好ましくは約10~約80℃の温度で実施される、請求項26~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記接触させる工程が、約1分~約180分などの、約1秒~約4時間、好ましくは約10秒~約3時間の、前記組成物と前記溶液との間の接触時間を有する、請求項26~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、少なくとも前記溶液と接触する前に気相中にある、請求項26~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、前記接触させる工程の前に、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の前記(ヒドロ)ハロカーボンを含む、請求項26~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、前記接触させる工程の前に、約1000ppm以下などの、約10000ppm以下、好ましくは約5000ppm以下の、前記式Rf-C≡CXの化合物を含有する、請求項26~43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記組成物中の前記式Rf-C≡CXの化合物の量が、前記接触させる工程で、少なくとも約90重量%などの、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約70重量%低減される、請求項26~44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記接触させる工程の後、得られる組成物が、0~約500ppm、好ましくは0~約100ppmの、そのような0~約10ppmの、前記式Rf-C≡CXの化合物を含有する、請求項26~45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
1つ以上の追加の精製工程を更に含む、請求項26~46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
HFが、前記変換する工程から得られる前記組成物中に存在する、請求項26~47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記組成物中の前記HFのうちの少なくとも一部が、前記接触させる工程の前に除去される、請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類の(ヒドロ)ハロカーボンを含む組成物中の、式Rf-C≡CXの化合物の濃度を低減させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における先行公開文書の掲載又は考察は、それらの文書が技術水準の一部であるか又は共通の一般的知識であることの承認として必ずしも受け取るべきでない。
【0003】
(ヒドロ)ハロカーボンは、冷媒又は噴射剤の材料として、及び発泡剤として通常使用される。過去20年間にわたって、これらの用途で使用される(ヒドロ)ハロカーボンの種類は、一部のそのような材料(例えば、ジフルオロジクロロメタン、CFC-12)が地球のオゾン層を減少させ、その一方で、他の材料(例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、HFC-134a)が、温室効果ガスとして容認し難いほど大きな影響を有することが判明したことにより変化してきた。
【0004】
ヒドロ(クロロ)フルオロオレフィンは、冷媒、噴射剤の材料及び/又は発泡剤として良好な性能を提供すると同時に、低いオゾン破壊係数及び低い地球温暖化係数もまた有することにより、これらの問題に対処し得る化合物群として出現した。
【0005】
例えば、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)などの(ヒドロ)フルオロアルケンは、冷却、ヒートポンプ、発泡、消火剤/難燃剤、噴射剤及び溶解(例えば、プラズマ洗浄及びエッチング)などの用途において、作動流体として次第にみなされつつある。しかしながら、(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するために使用される方法は、毒性かつ/又はその他の所望しない副生成物の生成に至る可能性がある。
【0006】
ヒドロ(クロロ)フルオロオレフィンの調製において、商業的に望ましい反応速度を達成するために必要であると通常考えられる高温(例えば、300℃超)では、脱ハロゲン化水素、ハロゲン化水素化及び転位を含む、多くの副反応が起こり得るようになる。したがって、反応列から出る粗生成物混合物は、供給材料及び所望の生成物以外にも、多くの化学種を含む可能性がある。
【0007】
例えば、HFO-1234yfは、それが調製される反応条件下において脱フッ化水素化され、3,3,3-トリフルオロプロピン(トリフルオロメチルアセチレン、TFMA)を生じる可能性がある。TFMAなどの副生成物は、所望の生成物(例えば、HFO-1234yf)に対して少量のみ生成する可能性があるが、HFO-1234yf組成物中におけるそのような副生成物の存在は、その毒性、(化学/酸化)安定性及び/又はホース又は潤滑剤などの冷却システムのコンポーネントとの適合性を損なう可能性がある。したがって、いくつかの用途では、非常に低い不純物レベルが要求される。残念ながら、生成した化学種のいくつかは、所望の(ヒドロ)ハロカーボン化合物に対して非常に類似した物理的性質を有するか、又はそれらと会合し、蒸留若しくは相分離などの、通常の分離方法を効果のないものにする。
【発明の開示】
【0008】
したがって、(ヒドロ)ハロカーボン化合物から反応副生成物を除去するための、新規方法の必要性がある。
【0009】
本発明の第1の態様では、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物を、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させて、Rf-C≡CXの濃度を低減させることを含む方法が提供され、式中、Rfは、ペルフルオロ化アルキル基であり、Xは、H、F、Cl、Br、又はIである。
【0010】
本明細書で使用される用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はそれらのあらゆる他の語尾変化は、非排他的な包含を扱うことを意図している。例えば、要素の列記を含む、方法(process)、方法(method)、物品、若しくは装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的に列記されていないか又はそのような方法(process)、方法(method)、物品、若しくは装置に本来備わっている、他の要素を含んでもよい。更に、そうでないことが明示的に述べられていない限り、「又は」は、包含的論理和を指し、排他的論理和を指すのではない。例えば、条件「A又はB」は、以下のいずれか1つによっても満足される。Aが真(又は存在する)かつBが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)かつBが真(又は存在する)、及びAとBの両方が真(又は存在する)。
【0011】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載されている、要素及びコンポーネントを記載するために採用されている。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われている。この記載は、「1つの」、又は「少なくとも1つの」を含むように読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数形は複数形をも含む。
【0012】
別段の定めがない限り、本明細書中で使用される、全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む、本明細書を採用することとなる。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料は、本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定的なものであることを意図していない。
【0013】
量、濃度、又はその他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値及び/又は好ましい下限値の列記のいずれかとして与えられる場合、それは、範囲が別個に開示されているか否かにかかわらず、あらゆる上限値又は好ましい上限値、及びあらゆる下限値又は好ましい下限値の、あらゆる対により形成される、全ての範囲を具体的に開示していると理解されなければならない。本明細書中に数値の範囲が記載されている場合、別段の記載がない限り、その範囲は、その両端点、並びにその範囲内の全ての整数及び有理数を含むことを意図している。別段の定めがない限り、全ての百分率値は、重量による。
【0014】
「(ヒドロ)ハロカーボン」という用語は、少なくとも1個の水素原子(任意選択的に全ての水素原子でもよい)が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子で置換されている、任意の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素を指す。好ましい実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボンは、不飽和である。疑義を回避するためであるが、(ヒドロ)ハロカーボン(及び式Rf-C≡CXの化合物)を含む組成物は、単一の(ヒドロ)ハロカーボン化合物又は複数のそのような化合物を含有し得る。
【0015】
好ましい実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボンは、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)である。好ましくは、(ヒドロ)ハロカーボンは、C3~4ヒドロハロアルケンなどの、C3~7(ヒドロ)ハロアルケンである。C3~4ヒドロハロアルケンの例には、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロクロロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロクロロフルオロブテン及び(ヒドロ)フルオロプロペンが挙げられる。有利には、(ヒドロ)ハロカーボンは、ヒドロハロプロペンである。
【0016】
一実施形態において、ヒドロハロプロペンは、テトラフルオロプロペン及び/又はクロロトリフルオロプロペンである。好ましいテトラフルオロプロペンは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2、HFO-1234yf)及び/又はE、Z又はE/Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF、HFO-1234ze)である。好ましいクロロトリフルオロプロペンは、E、Z又はE/Z-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF3CH=CHCl、HCFO-1233zd)及び/又は2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF3CCl=CH2、HCFO-1233xf)である。
【0017】
HFO-1234zeは、2つの配置異性体、E又はZのうちの1つとして存在してもよい。HFO-1234zeは、本明細書で使用されるとき、異性体、E-HFO-1234ze又はZ-HFO-1234ze、及びそのような異性体の任意の組み合わせ又は混合物を指す。
【0018】
HCFO-1233zdもまた、2つの配置異性体、E又はZのうちの1つとして存在してもよい。HCFO-1233zdは、本明細書で使用されるとき、これらの異性体、E-HCFO-1233zd又はZ-HCFO-1233zd、及びそのような異性体の任意の組み合わせ又は混合物を指す。
【0019】
式Rf-C≡CXの化合物におけるRfは、通常、C1~5ペルフルオロ化アルキル基であり、好ましくは、ペルフルオロ化メチル基などの、C1~2ペルフルオロ化アルキル基である。一実施形態において、X=H、F又はCl、好ましくはH及びClである。式Rf-C≡CXの好ましい化合物は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロピン(CF3C≡CCl)及び3,3,3-トリフルオロプロピン(CF3C≡CCl、トリフルオロメチルアセチレン、TFMA)である。
【0020】
TFMAなどのアルキンは、塩基によるヒドロハロアルケンの脱ハロゲン化水素によって製造できることが知られている。例えば、「March’s Advanced Organic Chemistry」第6版の1530~1532ページ及び欧州特許第2143702(A)号を参照されたい。そのような教示に基づいて、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物を、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させることにより、Rf-C≡Cの濃度が、どちらかといえば増加するだろうということを予想するであろう。しかしながら、驚くべきことに、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液を使用すると、式Rf-C≡CXの化合物の少なくとも一部を、上記のような組成物から効果的に除去できることが見いだされた。
【0021】
疑義を回避するために、本発明の接触させる工程は、(ヒドロ)ハロカーボンを調製するために行われた可能性があるいかなる従来の工程とも異なることを理解すべきである。例えば、水酸化物イオンを含む塩基性溶液を用いた、対応するC3~7ヒドロ(ハロ)フルオロアルケンの脱ハロゲン化水素による、C3~7(ヒドロ)フルオロアルケンの調製が知られている。例えば、国際公開第2008/075017号を参照されたい。本発明の方法の接触させる工程は、そのような反応工程において式Rf-C≡CXのいずれかの化合物もまた生成するかどうかにかかわらず、(国際公開第2008/075017号に記載されているような)C3~7(ヒドロ)フルオロアルケン(又はその他の(ヒドロ)ハロカーボン)が生成する、いずれの反応工程とも別である。
【0022】
本発明の方法において、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液は、Rf-C≡CXの濃度を低減させるために用いられる。好ましくは、塩基は、アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド若しくはアミド、アルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド若しくはアミド、NR4OHのうちの1種以上であり、Rは、独立して、H、C1~10アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基又はピリジニル基)又はアリールアルキル基(例えば、ベンジル基又はC1~10アルキル置換フェニル基)である。
【0023】
有利には、塩基は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド及びナトリウムアミド(NaNH2)から選択される。好ましい実施形態において、塩基は、ナトリウムエトキシド、KOH、NaOH又はCa(OH)2である。好ましくは、塩基は、KOH、NaOH又はCa(OH)2である。KOH及びNaOHは、現時点で最も好ましい。
【0024】
本発明の接触させる工程で使用される、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液は、通常、約0.5~約3M、約0.5~約2M、又は約0.6~約2Mなどの、約0.1~約10M、好ましくは約0.2~約5Mの濃度を有する。理論に束縛されるものではないが、の特定された濃度は、式Rf-C≡CXの化合物との反応/式Rf-C≡CXの化合物の除去のために十分に高く、かつ、(ヒドロ)ハロカーボンと反応しないように(例えば、更なるRf-C≡CXを生成しないように)十分に低いと考えられる。
【0025】
そのうえ、より低い濃度の塩基性溶液は、対応するあらゆるフッ化物塩(例えば、NaF、KFなど)の沈殿の可能性を低下させる利点を有すると考えられる。
【0026】
通常、接触させる工程で使用される水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液のための溶媒は、水(すなわち水溶液)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール並びにn-プロパノール及びi-プロパノール)、ジオール、ポリオール(例えば、PEG300などのポリアルキレングリコール)、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジグライム及びN-メチルピロリドン)、エーテル及び環状エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、直鎖アルカン、分岐アルカン及び環状アルカン(例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン)、それらのフッ素化誘導体(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペルフルオロテトラヒドロフラン)、並びに上述のものの混合物から選択される。好ましい実施形態において、溶媒は、水、アルコール及びそれらの混合物から選択される。現時点で好ましい溶媒は、単独の水、又は共溶媒として上記のいずれかと組み合わせた水である。
【0027】
本発明の接触させる工程は、通常、約10~約80℃などの、約0~約100℃、好ましくは約20~約60℃の温度で実施される。方法は、大気圧未満、大気圧又は超大気圧、好ましくは大気圧又は超大気圧で実施されてもよい。好適な圧力は、約0.5バール~約20バールなどの、0バール~約30バール、好ましくは約1~約5又は約10バールを含む。
【0028】
組成物は、通常、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と、約1分~約180分などの、約1秒~約4時間、好ましくは約10秒~約3時間、好ましくは約2~約100分、約5~約80又は約10~約60分(例えば、約15~約45分)の間、接触させる。このいわゆる滞留時間は、接触させる工程の温度及び水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液の濃度などの他の変数と共に、本発明の方法において重要なパラメータであることが実証されている(本明細書において後述)。
【0029】
(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させるとき、液相又は気相(好ましくは気相)であり得る。
【0030】
水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させる前に、組成物は、好ましくは、少なくとも約95重量%、98重量%、99重量%又は99.5重量%の(ヒドロ)ハロカーボンなどの、少なくとも約90重量%の(ヒドロ)ハロカーボンを含む。
【0031】
水酸化物及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させる前に、組成物は、通常、5000ppm以下などの、約10000ppm以下の式Rf-C≡CXの化合物を含む。好ましくは、組成物は、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させる前に、約4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、700ppm、600ppm又は500ppm以下の式Rf-C≡CXの化合物を含む。
【0032】
(ヒドロ)ハロカーボン含有組成物中の式Rf-C≡CXの化合物の量は、通常、組成物の少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%又は95重量%以上までの分が、本発明の方法で減少する。
【0033】
水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させた後、組成物は、通常、0~約500ppmなどの、0~約1000ppmの式Rf-C≡CXの化合物を含む。好ましくは、組成物は、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させた後、約400ppm、300ppm、200ppm、100ppm、50ppm、40ppm、30ppm、20ppm、10ppm、若しくは5ppm以下よりも少ない、式Rf-C≡CXの化合物を含む。
【0034】
一実施形態において、接触させる工程は、相間移動触媒の存在下で実施される。「相間移動触媒」という用語は、本明細書で使用されるとき、ある相から別の相への化学物質の移動を促進する物質を意味する。相間移動触媒は、イオン性又は中性であり得、通常、クラウンエーテル、オニウム塩、クリプタンド及びポリアルキレングリコール並びにそれらの誘導体(例えば、それらのフッ素化誘導体)からなる群から選択される。
【0035】
通常、使用される触媒の量は、約0.01~約10重量%などの、組成物の約0.001~約20重量%あり、例えば、約0.5~約5重量%である。
【0036】
クラウンエーテルは、エーテル基がジメチレン結合によって結合している、環状分子である。有用なクラウンエーテルには、18-クラウン-6、15-クラウン-5、及び12-クラウン-4が挙げられる。ジベンジル-18-クラウン-6、ジシクロヘキサニル-18-クラウン-6、ジベンジル-24-クラウン-8及びジベンジル-12-クラウン-4などの、上記クラウンエーテルの誘導体もまた有用である。クラウンエーテルに類似し、かつ同じ目的に有用なその他の化合物は、他の種類のドナー原子、特にN又はSによって1個又は複数個の酸素原子を置換することによって異なっている化合物である。上記全てのフッ素化誘導体もまた用いてもよい。
【0037】
クリプタンドは、相間移動触媒として塩基による脱ハロゲン化水素に有用な、別の化合物群である。これらは、適切に離間したドナー原子を含む鎖によって架橋構造を接合することによって形成される、三次元ポリ大環状キレート剤である。架橋部のドナー原子は、全てO、N、又はSであってもよいか、または、化合物は、架橋ストランドがそのようなドナー原子の組み合わせを含む、混合ドナー大員環であってもよい。例えば、[2.2.2]クリプタンド(4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、商品名Kryptand 222及びKryptofix 222で入手可能)におけるように、好適なクリプタンドには、窒素橋頭を(-OCH2CH2-)基の鎖で結合することで得られる、二環式分子が挙げられる。
【0038】
塩基による脱ハロゲン化水素プロセスにおいて触媒として使用してもよいオニウム塩には、第四級ホスホニウム塩及び第四級アンモニウム塩が上げられ、それぞれ、式R1R2R3R4P+Z-及びR1R2R3R4N+Z-で表してもよい。これらの式において、R1、R2、R3及びR4のそれぞれは、通常、独立して、C1~10アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基又はピリジニル基)又はアリールアルキル基(例えば、ベンジル基又はC1~10アルキル置換フェニル基)を表し、Z-は、ハロゲン化物イオン又はその他の好適な対イオン(例えば、硫酸水素イオン)である。
【0039】
そのようなホスホニウム塩及び第四級アンモニウム塩の具体例には、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(商標Aliquat 336及びAdogen 464で市販)、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラ-n-ブチルアンモニウム、テトラ-n-ブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルメチルホスホニウムブロミド及びトリフェニルメチルホスホニウムクロリドが挙げられる。ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドは、強塩基性条件下での使用に好ましい。第四級アンモニウムクロリド塩は、相間移動触媒としての使用に好ましいオニウム塩群、例えば、Aliquat 336である。
【0040】
その他の有用なオニウム塩には、高温安定性(例えば、最大約200℃まで)を示すオニウム塩、例えば、4-ジアルキルアミノピリジニウム塩、テトラフェニルアルソニウムクロリド、ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン]イミニウムクロリド及びテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフィンイミノ]ホスホニウムクロリドが挙げられる。
【0041】
相間移動触媒として有用なポリアルキレングリコール化合物は、式R6O(R5O)mR7で表すことができ、式中、R5は、C1~10アルキレン基であり、R6及びR7は、それぞれ、独立して、H、C1~10アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基又はピリジニル基)又はアリールアルキル基(例えば、ベンジル基又はC1~10アルキル置換フェニル基)であり、mは、2以上の整数である。好ましくは、R6及びR7の両方は、同一であり、例えば、それらは、両方ともHであってもよい。
【0042】
このようなポリアルキレングリコールには、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジイソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール及びテトラメチレングリコール、そのようなグリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル及びモノブチルエーテルなどのモノアルキルグリコールエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びペンタエチレングリコールジメチルエーテルなどのジアルキルエーテル、フェニルエーテル、そのようなグリコールのベンジルエーテル、並びにポリエチレングリコール(平均分子量約300)及びポリエチレングリコール(平均分子量約400)などのポリアルキレングリコール、並びにこのようなポリアルキレングリコールのジアルキル(例えば、ジメチル、ジプロピル、ジブチル)エーテルが挙げられる。
【0043】
上記の群のうちの1つの群の中からの相間移動触媒の組み合わせ、及び2つ以上の群からの組み合わせ又は混合物もまた、有用であり得る。
【0044】
一実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、(ヒドロ)ハロカーボンを生成するためのプロセスからの生成物流であってもよい。したがって、組成物は、通常、ヒドロハロプロペン(例えば、テトラフルオロプロペン、例えば、HFO-1234yf若しくはHFO-1234ze、及び/又はクロロトリフルオロプロペン、例えば、HCFO-1233zd若しくはHCFO-1233xf)などの、目的又は所望の(ヒドロ)ハロカーボン及び1種以上の(所望しない)(ヒドロ)ハロカーボン副生成物を含有する。方法は、バッチ反応、連続式反応又は半連続式反応として実施することができる。
【0045】
例えば、テトラフルオロプロペン(例えば、HFO-1234yf)及び/又はクロロトリフルオロプロペン(例えば、HCFO-1233xf)の製造方法における、そのような(ヒドロ)ハロカーボン副生成物の例には、ペンタフルオロプロペン(例えば、CF3CFH=CFH、HFO-1225ye)、ペンタフルオロプロパン(例えば、HFC-245eb及び/又はHFC-245fa及び/又はHFC-245cb)、クロロテトラフルオロプロパン(例えば、HCFC-244bb)、及びヘキサフルオロプロパン(例えば、CF3CFHCF2H、HFC-236ea)が挙げられる。
【0046】
意外にも、本発明の接触させる工程は、式Rf-C≡CXの化合物の濃度を低減させるのに有効であるだけでなく、目的の(ヒドロ)ハロカーボン、式Rf-C≡CXの化合物及び(ヒドロ)ハロカーボン副生成物を含有する組成物中に存在する、1種以上の副生成物の濃度を低減させるのにも有効であり得ることが見いだされた。これにより、所望の(ヒドロ)ハロカーボンの選択性及び/又は収率が増加する。好ましくは、あらゆる飽和(ヒドロ)ハロカーボン副生成物の濃度は、所望の(ヒドロ)ハロカーボンに対して低減される。
【0047】
所望の(ヒドロ)ハロカーボン含有組成物中の(ヒドロ)ハロカーボン副生成物の量は、通常、本発明の方法において、組成物の少なくとも約20重量%の分だけ、好ましくは、組成物の少なくとも約50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、若しくは95重量%以上の分だけ、低減される。
【0048】
水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させた後、組成物は、通常、0~約500ppmなどの、0~約1000ppmの(ヒドロ)ハロカーボン副生成物の化合物を含む。好ましくは、組成物は、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させた後、約400ppm、300ppm、200ppm、100ppm、50ppm、40ppm、30ppm、20ppm、10ppm、又は5ppm未満より少ない、(ヒドロ)ハロカーボン副生成物を含む。
【0049】
本発明の第2の態様では、
(i)任意選択的にHF及び/又は触媒の存在下で、出発材料を、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物に変換することであって、式中、Rfは、ペルフルオロ化アルキル基であり、Xは、H、F、Cl、Br、又はIである、ことと、
(ii)組成物を、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させて、式Rf-C≡CXの化合物の濃度を低減させることと、
(iii)(ヒドロ)ハロカーボンを回収することと、
を含む、(ヒドロ)ハロカーボンの調製方法が提供される。
【0050】
疑義を回避するためであるが、例えば、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物並びに接触させる工程に関する、第1の態様の発明に関連する上記の情報は、本発明の第2の態様にも適用可能である。本発明の第2の態様の更なる実施形態を以下で説明する。
【0051】
工程(i)における(ヒドロ)ハロカーボン及びRf-C≡CX不純物への出発材料の変換は、好ましくは、水素化反応、脱ハロゲン化水素反応、異性化反応及び/又はフッ素化反応を含む。
【0052】
一実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、水素化反応によって調製される。
【0053】
そのような水素化反応(複数可)は、液相又は気相、好ましくは気相で、通常約-50~約275℃の温度で実施してもよい。液相水素化の好ましい温度は、約-50~約50℃、例えば、約15~約40℃である。気相水素化の好ましい温度は、約20~約200℃などの、約0~約250℃、例えば、約50~約150℃である。
【0054】
水素化反応(複数可)は、特に液相中で実施される場合、フッ素化極性非プロトン性溶媒の存在下で実施されてもよい。好適な溶媒としては、HFC(例えば、134a)及びPFC(例えば、ペルフルオロデカリン)が挙げられる。
【0055】
水素化反応(複数可)は、大気圧、準大気圧又は超大気圧、好ましくは超大気圧で実施してもよい。例えば、水素化は、約1~約30baraなどの、約0~約40bara、例えば、約5~約20baraの圧力で実施してもよい。
【0056】
水素:反応剤の比は、好適には、約1:1~約20:1などの、約0.1:1~約40:1、好ましくは、約1.1:1~約10:1、例えば、1.5:1~約5:1である。
【0057】
水素化反応(複数可)は、通常、触媒の存在下で実施される。好適な水素化触媒としては、遷移金属のニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及びそれらの混合物を含む触媒が挙げられる。このような触媒は、例えば、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、これらのフッ化物、フッ化カルシウム、炭素若しくは硫酸バリウムに担持されていてもよいか、又は、触媒は、例えば、ラネーNi若しくはPdO2の還元により生成されるPd金属などの非担持であってもよい。本発明での使用に好適な触媒の例には、Pd/アルミナ、Pd/硫酸バリウム、Pd/C及びクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)が挙げられる。好ましくは、触媒は、炭素に担持されたパラジウム(Pd/C)又はクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)(ウィルキンソン触媒)又はアルミナに担持された白金(Pt/Al2O3)又はin situで白金金属に還元されるアダムス触媒、PtO2である。Pd/Cが触媒として使用される場合、Pdは、約0.1~約5重量%などの、触媒の約0.01~約10重量%の量で存在する。
【0058】
水素化触媒は、通常、工程(a)及び工程(c)を構成する成分の総重量に基づいて、約0.1~約10重量%などの、約0.01~約30重量%の量で使用される。Pd/Cが触媒として使用される場合、Pdは、約0.1~約5重量%などの、触媒の約0.01~約10重量%の量で存在する。
【0059】
気相では、触媒の接触時間は、約2~約150秒などの、約1~約200秒であってもよい。液相では、伴う触媒との接触時間は、好適には、約2~約60分などの、約1~約180分である。
【0060】
一実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、脱ハロゲン化水素反応によって調製される。
【0061】
脱ハロゲン化水素反応は、出発材料を熱分解し、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物を生成することによって実施してもよい。本明細書で使用されるとき、「熱分解(pyrolysing)」又は「熱分解(pyrolysis)」という用語により、触媒の非存在下で加熱することによって生じる化学変化の意味を含む。触媒の非存在により、熱分解プロセスの活性化エネルギーを減少させることによって反応速度を増加させる、材料又は処理が熱分解の反応器に加えられないという意味を含む。
【0062】
熱分解には、任意の好適な反応器、例えば、直線状又はコイル状のいずれかの円筒管を使用することができる。好ましい熱分解反応器には、反応器を通るガスの流れが部分的に妨害されて逆混合、すなわち乱流を引き起こし、それによってガスの混合及び良好な熱伝達を促進する反応器が挙げられる。この部分的な妨害は、反応器の内部に充填物を配置してその断面を充填することによって、又は有孔バッフルを使用することによって、都合よく得ることができる。反応器充填物は、粒状物又は繊維状物であり得、コークスの蓄積を回避し、圧力降下を最小にし、かつ全体的に自由なガスの流れを可能にするために、ラシヒリング又はその他の高い自由体積を有する充填物のような開放構造を有する。本発明のいくつかの実施形態において、反応器充填物は、挿入及び取り外しを容易にするために、カートリッジ配置になっている。本発明のいくつかの実施形態において、熱分解の反応器は、実質的に空であり、これは、反応ゾーンの自由体積(反応ゾーンの体積から、反応器充填物を構成する材料の体積を引いたもの)が、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%であることを意味する。いくつかの実施形態において、熱分解の反応器は、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)、モネル(登録商標)、金、若しくは金張り、又は石英を含む、耐腐食性の材料からなる。
【0063】
工程(i)の脱ハロゲン化水素反応は、好ましくは、出発材料及び対応する(ヒドロ)ハロカーボン生成物に応じて、脱フッ化水素過程及び/又は脱塩化水素を含む。脱フッ化水素熱分解の温度は、通常、脱塩化水素の熱分解の温度よりも高い。例えば、脱フッ化水素熱分解は、約600℃~約900℃の温度で実施してもよく、脱塩化水素化熱分解は、約400℃~約700℃の温度で実施してもよい。
【0064】
一実施形態において、脱ハロゲン化水素反応は、触媒される。そのような反応は、液相又は気相、好ましくは気相で実施してもよい。約-25~約700℃の温度を使用してもよい。液相の好ましい温度は、約0~約180℃、例えば、約15~約120℃である。気相での脱ハロゲン化水素の好ましい温度は、約200~約600℃などの、約100~約650℃、例えば、約300~約500℃である。
【0065】
触媒される脱ハロゲン化水素反応は、大気圧、準大気圧又は超大気圧、好ましくは大気圧又は超大気圧で実施してもよい。例えば、脱ハロゲン化水素は、約1~約30baraなどの、約0~約40bara、例えば、約1又は5~約20baraの圧力で実施してもよい。
【0066】
好ましくは、触媒は、HF及び/又はHClの存在下で安定である。好適な触媒としては、活性炭(酸洗浄炭素、活性炭及び三次元マトリックス炭素質材料を含む)、主族(例えば、アルミナ系触媒)及びクロミア系触媒(例えば、亜鉛/クロミア)又はニッケル系触媒(例えば、ニッケルメッシュ)などの遷移金属を含む触媒などの、金属触媒及び炭素系触媒が挙げられる。そのような触媒の例には、アルミナ、フッ素化処理アルミナ、フッ化アルミニウム、塩化フッ化アルミニウム;アルミナ、フッ素化処理アルミナ、フッ化アルミニウム、又は塩化フッ化アルミニウムに担持された金属化合物;酸化クロム(Cr2O3)、フッ素化処理酸化クロム、及び立方晶三フッ化クロム;マグネシウム、亜鉛及びマグネシウムと亜鉛及び/又はアルミニウムとの混合物の酸化物、フッ化物、及びオキシフッ化物;酸化ランタン及びフッ素化処理酸化ランタン;炭素、及び炭素に担持された金属化合物が挙げられる。金属化合物は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、クロム、鉄、コバルト、ロジウム、ニッケル、銅、亜鉛、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の金属の、酸化物、フッ化物、及びオキシフッ化物であり得る。本発明のいくつかの実施形態において、脱ハロゲン化水素触媒は、酸化クロムに担持されたアルカリ金属塩を含む。
【0067】
使用される触媒は、反応剤の重量に基づいて、約0.1~約30%などの、約0.01~約50重量%、例えば、約0.5~約20%の量で使用されてもよい。触媒反応における触媒との接触時間は、好適には、約5~約400秒などの、約1~約500秒である。
【0068】
脱ハロゲン化水素は、スタティックミキサー、撹拌タンク反応器又は撹拌気液分離容器などの、任意の好適な装置中で実施することができる。好ましくは、装置は、耐腐食性のある1種以上の材料、例えば、ハステロイ(登録商標)又はインコネル(登録商標)から製造される。方法は、バッチ式で又は(半)連続的に、好ましくは(半)連続的に実施してもよい。
【0069】
一実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、異性化反応によって調製される。好適な反応条件及び触媒には、脱ハロゲン化水素反応に関して上述したもの、任意選択的にいくらかより低い温度でのものが挙げられる。異性化反応のための好適な条件は、例えば、国際公開第2008/125825号及び同第2015/059500号に記載されている。「異性化反応」という用語により、CF2CH=CF2(HFO-1234zc)の1234zeへの構造異性化及びZ-HFO-1234zeのE-HFO-1234zeへの幾何異性化などの、構造異性化及び幾何異性化を含めている。
【0070】
一実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、フッ素化反応によって調製される。好適な反応条件及び触媒には、脱ハロゲン化水素反応に関して上述したものが挙げられるが、HFなどのフッ素化剤の存在下でのものが含まれる。通常、HFは、出発材料に対してモル過剰で、約1:1~約70:1などの、好ましくは約2:1~約60:1で、約3:1~約50:1などの、例えば、約5:1~約40:1で、使用される。フッ素化反応のための好適な条件は、例えば、欧州特許第2154122(A)号及び国際公開第2011/077394号に記載されている。
【0071】
工程(i)で製造される(ヒドロ)ハロカーボンは、クロロトリフルオロプロペン及び/又はテトラフルオロプロペンなどの、C3~7(ヒドロ)ハロアルケン、好ましくはヒドロハロプロペンであってもよい。
【0072】
好ましくは、出発材料は、CCl3CH2CCl2H(HFC-240fa)、CF3CH2CFClH(HCFC-244fa)、CF3CH2CF2H(HFC-245fa)、CF3CF2CH3(HFC-245cb)、CF3CFHCFH2(HFC-245eb)、CF3CFClCH3(HCFC-244bb)、HCFO-1233xf、テトラクロロプロペン(HCO-1230)、Z-HFO-1234ze、Z-HCFO-1233zd、HFO-1234zc、及びCCl3CClHCClH2(HFC-240db)のうちの1種以上を含む。出発材料はまた、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)であってもよい。
【0073】
有利には、ヒドロハロプロペンは、HCFO-1233zd及び/又はHFO-1234zeであり、出発材料は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/228600号に記載されているような、CCl3CH2CCl2H(HFC-240fa)、CF3CH2CFClH(HCFC-244fa)及びCF3CH2CF2H(HFC-245fa)のうちの1種以上を含む。更なる実施形態において、ヒドロハロプロペンは、E-HCFO-1233zdであり得、出発材料は、E-HCFO-1233zdを含み、又は、ヒドロハロプロペンは、E-HFO-1234zeであり得、出発材料は、Z-HFO-1234ze若しくはHFO-1234zcのうちの1種以上を含む。
【0074】
好ましくは、ヒドロハロプロペンは、HFO-1234yfであり、出発材料は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/04096号及び同第2010/123154号に記載されているような、CF3CF2CH3(HFC-245cb)、CF3CFHCFH2(HFC-245eb)、CF3CFClCH3(HCFC-244bb)、HCFO-1233xf、テトラクロロプロペン(HCO-1230)、CCl3CClHCClH2(HFC-240db)のうちの1種以上を含む。HFP-1234yfを調製するための出発材料はまた、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)であってもよい。
【0075】
有利には、ヒドロハロプロペンは、HCFO-1233xfであり、出発材料は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2011/077394号に記載されているような、テトラクロロプロペン(HCO-1230)及び/又はCCl3CClHCClH2(HFC-240db)を含む。
【0076】
好ましくは、(ヒドロ)ハロカーボンは、HCFC-244bbであり、出発材料は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/125199号に記載されているような、HCFO-1233xf、テトラクロロプロペン(HCO-1230)及びCCl3CClHCClH2(HFC-240db)のうちの1種以上を含む。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態において、(ヒドロ)ハロカーボン及び式Rf-C≡CXの化合物を含む組成物は、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と、任意選択的に好適な溶媒の存在下で、アジテータを備えた容器内で混合される。例えば、Rf-C≡CX不純物を含有する(ヒドロ)ハロカーボンは、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と、(ヒドロ)ハロカーボン及び水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液の液相を維持するために好適な圧力量の下で、接触させてもよい。接触容器の内容物は、(ヒドロ)ハロカーボンと、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液との間で接触ができるように、撹拌されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、接触させる工程は、(ヒドロ)ハロカーボンとRf-C≡CX不純物との混合ガスを、酸化物、アルコキシド、及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させることによって実施することができる。例えば、(ヒドロ)ハロカーボンとRf-C≡CX不純物とを含む混合物は、撹拌容器中で、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液内に、気体としてバブリングしてもよい。次いで、(ヒドロ)ハロカーボンは、接触容器を出ることができるが、任意選択的に凝縮器を通して、そこでさらに精製又は回収をすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態において、接触させる工程は、らせん、リング、サドル、球又はガラス、プラスチック、若しくはセラミックから製造されたその他の成形体のような、材料を充填したカラム中で実施される。(ヒドロ)ハロカーボンとRf-C≡CX不純物とを含む混合物は、蒸気としてカラムの底部に入る。水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液は、例えば、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液のリザーバに接続されたポンプによって、カラムの上部に入る。次いで、(ヒドロ)ハロカーボン中のRf-C≡CX不純物は、カラム内で水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液と接触させることによって除去され、(ヒドロ)ハロカーボン蒸気は、低減されたRf-C≡CX不純物とともにカラムの上部を通過し、次いで、集められる。水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液は、カラムの底部を通過してリザーバに戻る。
【0080】
(ヒドロ)ハロカーボンは、工程(iii)において、例えば、蒸留及び/又は相分離を含む、任意の好適な手段によって回収される。
【0081】
本発明の方法は、蒸留、凝縮、洗浄、相分離、酸除去、研磨及び/又は乾燥などの、1つ以上の追加の精製工程を含んでもよい。
【0082】
HF及び任意選択的にHClは、変換工程から得られる組成物中に存在し得る。好ましくは、組成物中の、少なくとも一部のHF、及び任意選択的にHClは、接触させる工程の前に除去される。酸は、例えば、フラッシュ分離、水性洗浄及び/又は蒸留によって除去することができる。接触させる工程(ii)の前にHFのバルク除去が行われる場合、残留HF(及び任意選択的にHCl)は、有利には、接触させる工程によって除去される。
【0083】
工程(ii)で使用される、水酸化物、アルコキシド及び/又はアミドを含む塩基性溶液が水性である場合、乾燥工程を有することが好ましい。(ヒドロ)ハロカーボンの乾燥は、硫酸での処理及び/又はシリカ、アルミニウム含有吸着剤(例えば、ゼオライト)若しくは活性炭などの、多孔質媒体との接触などの、既知の方法によって達成することができる。
【0084】
当業者によって理解されるように、上記で提示された、好ましく、かつ代替的な実施形態のいずれもが、本発明の、記載された態様のいずれにも適用可能であり得る。
【0085】
本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例0086】
実験の部
【0087】
HFO-1234yf(499.98g)にTFMA(2.5g)を添加することによって、供給混合物を調製した。0.50重量%のTFMAを含有する、この混合物を、全ての実験に使用した。
【0088】
固体塩基を100mLのハステロイC22オートクレーブ中に正確に秤量し、既知重量の脱イオン水に溶解した。使用する場合は、この時点で相間移動触媒もまた添加した。容器を密封し、窒素でパージし、減圧した。次いで、容器をHFO-1234yf/TFMA供給混合物で加圧(4~4.5Barg)した。次いで、容器の内容物を1000rpmで撹拌し、4~5分かけて所望の温度に加熱した。所望の温度に達してから、容器のヘッドスペース中のガスのサンプルを定期的に取り出し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0089】
結果
【0090】
実験は、それぞれ異なる濃度、温度で、かつ相間移動触媒(Aliquat 336)の存在下及び非存在下の両方において、様々な塩基性試薬を用いて行った。結果を表1~表8に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
塩基による処理は、混合物中のTFMAの絶対濃度を低減し、かつTFMA全体に対する、混合物のHFO-1234yf含有量を増加させるのに非常に有効であることが理解できる。
【0100】
塩基による処理の後、その他の微量不純物の低減もまた観察された。その他の不純物の低減の結果を表9及び表10に要約する。
【0101】
【0102】
【0103】
したがって、本発明の方法は、HFO-1234yfを含む組成物中のR-1225ye(Z)、R-236ea及びR-245ebのレベルを低減することにも有効である。
【0104】
実験の部
【0105】
供給混合物は、HFO(250g)にTFMA(1.25g)を添加することによって調製した。0.50重量%のTFMAを含有する、これらの混合物を、全ての実験に使用した。
【0106】
典型的な洗浄実験において、塩基を100mLのハステロイC22オートクレーブ中に正確に秤量し、既知重量の脱イオン水又は溶媒に溶解した。使用する場合は、この時点で、任意の更なる添加剤、例えば、KF又は触媒もまた添加した。次いで、容器を密封し、窒素でパージし、減圧し、5分間かけて所望の温度に加熱した。温度に達してから、次いで、容器をHFO/TFMA供給混合物で加圧した。次いで、容器の内容物を1000pmで撹拌し、容器のヘッドスペース中のガスのサンプルを定期的に取り出し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0107】
結果
【0108】
実験は、様々な塩基性試薬及びヒドロフルオロオレフィン(HFO)を用いて行った。結果を表11~表15に示す。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
塩基による処理は、TFMAの、ある範囲のHFOとのその混合物における絶対濃度を低減し、かつTFMA全体に対する、混合物のHFO含有量を増加させるのに非常に有効であることが理解できる。
【0115】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
約1分~約180分などの、約1秒~約4時間、好ましくは約10秒~約3時間の、前記組成物と前記溶液との間の接触時間を有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
前記組成物が、前記接触させる工程の前に、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の前記(ヒドロ)ハロカーボンを含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンが、ペンタフルオロプロペン、ペンタフルオロプロパン、クロロテトラフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン及びそれらの混合物から選択される、請求項19に記載の方法。
前記接触させる工程の後、得られる組成物が、0~約500ppm、好ましくは0~約100ppm、そのような0~約10ppmの、前記所望しない(ヒドロ)ハロカーボンの前記化合物を含有する、請求項19~22のいずれかに記載の方法。
前記接触させる工程が、約1分~約180分などの、約1秒~約4時間、好ましくは約10秒~約3時間の、前記組成物と前記溶液との間の接触時間を有する、請求項26~40のいずれかに記載の方法。
前記組成物が、前記接触させる工程の前に、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%の前記(ヒドロ)ハロカーボンを含む、請求項26~42のいずれかに記載の方法。