IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110503
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】入力検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0362 20130101AFI20220722BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220722BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220722BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G06F3/0362 461
G06F3/041 512
G06F3/044 120
G01B7/30 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005964
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝明
(72)【発明者】
【氏名】柿木 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】林 真人
【テーマコード(参考)】
2F063
5B087
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063HA05
5B087CC01
5B087CC32
(57)【要約】
【課題】入力支援装置の各種情報を精度よく検出することができる入力検出システムを提供する。
【解決手段】入力検出システムは、検出領域に配列された複数の駆動電極及び複数の検出電極と、LC回路と、LC回路の一端側に接続された第1電極と、LC回路の他端側に接続された第2電極と、を含む入力支援装置と、検出電極から出力される検出信号に基づいて、入力支援装置を検出する制御回路と、を有し、第1電極及び第2電極の一方に対応する駆動電極には基準電位が供給され、第1電極及び第2電極の他方に対応する駆動電極には駆動信号が供給され、制御回路は、検出信号に基づく複数の信号値の二次元分布において、正極性であって所定の第1閾値以上の複数の信号値からなる複数の正極性領域と、負極性であって所定の第2閾値以下の複数の信号値からなる複数の負極性領域と、を検出する。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に配列された複数の駆動電極及び複数の検出電極と、
LC回路と、前記LC回路の一端側に接続された第1電極と、前記LC回路の他端側に接続された第2電極と、を含む入力支援装置と、
前記検出電極から出力される検出信号に基づいて、前記入力支援装置を検出する制御回路と、を有し、
前記第1電極及び前記第2電極の一方に対応する前記駆動電極には基準電位が供給され、前記第1電極及び前記第2電極の他方に対応する前記駆動電極には駆動信号が供給され、
前記制御回路は、前記検出信号に基づく複数の信号値の二次元分布において、正極性であって所定の第1閾値以上の複数の前記信号値からなる複数の正極性領域と、負極性であって所定の第2閾値以下の複数の前記信号値からなる複数の負極性領域と、を検出する
入力検出システム。
【請求項2】
前記制御回路は、複数の前記正極性領域及び複数の前記負極性領域に基づいて、前記入力支援装置の前記検出領域での位置及び前記入力支援装置の回転軸を中心とする回転角度を検出する
請求項1に記載の入力検出システム。
【請求項3】
前記制御回路は、複数の前記正極性領域のうち、隣り合う2つの前記正極性領域を結ぶ仮想線と、複数の前記駆動電極が配列される方向である第1方向との成す角度を、電極角度として算出する
請求項1又は請求項2に記載の入力検出システム。
【請求項4】
前記制御回路は、第1正極性領域、第2正極性領域及び第3正極性領域を検出し、前記電極角度の検出において、複数の前記正極性領域のうち、隣り合う前記第1正極性領域と前記第2正極性領域とを結ぶ仮想線と、前記第1方向との成す第1角度を算出し、
隣り合う前記第1正極性領域と前記第3正極性領域とを結ぶ仮想線と、前記第1方向との成す第2角度を算出する
請求項3に記載の入力検出システム。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第2正極性領域が有する最大の信号値と、前記第3正極性領域が有する最大の信号値との比を係数として前記第1角度及び前記第2角度のそれぞれに掛け合わせることで前記電極角度を算出する
請求項4に記載の入力検出システム。
【請求項6】
前記制御回路は、第1正極性領域、第2正極性領域及び第3正極性領域を検出し、前記第2正極性領域が有する最大の信号値と、前記第3正極性領域が有する最大の信号値との比に基づいて、前記第2正極性領域と前記第3正極性領域との間の中間正極性領域の位置を算出し、
隣り合う2つの前記第1正極性領域と前記中間正極性領域とを結ぶ仮想線と、複数の前記駆動電極が配列される方向である第1方向との成す角度を、電極角度として算出する
請求項1又は請求項2に記載の入力検出システム。
【請求項7】
前記電極角度の検出において、前記第1正極性領域は、複数の前記信号値の二次元分布における最大の前記信号値を含む
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記電極角度と前記入力支援装置の回転角度との関係を示す変換テーブルに、算出された前記電極角度を当てはめて、前記入力支援装置の回転角度を算出する
請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項9】
平面視で、前記第1電極の面積は、前記第2電極の面積と異なる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、静電容量の変化又は接触領域の変化を検出するタッチパネル上に置かれ、タッチパネルからの入力操作を支援する入力支援装置(特許文献1、2では、操作ノブ又はノブと表記)が記載されている。入力支援装置の検出方式として、入力支援装置に設けられた共振回路の共振を利用して、入力支援装置を検出する方式が知られている。このような入力支援装置を用いた入力検出システムでは、入力支援装置の位置情報に加え、入力支援装置の回転角度や形状等の情報に基づいて、入力支援装置の操作状態を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6342105号公報
【特許文献2】特許第6532631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力検出システムでは、入力支援装置の各種情報を精度よく検出することが要求されている。
【0005】
本発明は、入力支援装置の各種情報を精度よく検出することができる入力検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の入力検出システムは、検出領域に配列された複数の駆動電極及び複数の検出電極と、LC回路と、前記LC回路の一端側に接続された第1電極と、前記LC回路の他端側に接続された第2電極と、を含む入力支援装置と、前記検出電極から出力される検出信号に基づいて、前記入力支援装置を検出する制御回路と、を有し、前記第1電極及び前記第2電極の一方に対応する前記駆動電極には基準電位が供給され、前記第1電極及び前記第2電極の他方に対応する前記駆動電極には駆動信号が供給され、前記制御回路は、前記検出信号に基づく複数の信号値の二次元分布において、正極性であって所定の第1閾値以上の複数の前記信号値からなる複数の正極性領域と、負極性であって所定の第2閾値以下の複数の前記信号値からなる複数の負極性領域と、を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る入力検出システムを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II’断面図である。
図3図3は、表示装置の概略断面構造を表す断面図である。
図4図4は、表示領域の画素配列を表す回路図である。
図5図5は、表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。
図6図6は、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。
図7図7は、入力支援装置の検出方法を説明するための説明図である。
図8図8は、入力検出システムの表示期間及び検出期間を説明するためのタイミング波形図である。
図9図9は、入力支援装置の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。
図10図10は、入力検出システムの構成例を示すブロック図である。
図11図11は、入力検出システムの第1検出期間及び第2検出期間の検出方法を説明するためのフローチャート図である。
図12図12は、入力支援装置の各種情報の検出方法を説明するためのフローチャート図である。
図13図13は、第2検出期間の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。
図14図14は、第2検出期間の各期間の、検出駆動信号が供給される駆動電極と、入力支援装置との関係を説明するための説明図である。
図15図15は、検出電極から出力される検出信号に基づく信号値の分布を説明するための説明図である。
図16図16は、入力支援装置の回転角度が0°の場合における、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。
図17図17は、入力支援装置の回転角度が0°の場合における、信号値の分布を説明するための説明図である。
図18図18は、入力支援装置の回転角度が0°の場合における、複数のピーク領域に基づいて電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。
図19図19は、入力支援装置の回転角度が135°の場合における、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。
図20図20は、入力支援装置の回転角度が135°の場合における、信号値の分布を説明するための説明図である。
図21図21は、入力支援装置の回転角度が135°の場合における、複数のピーク領域に基づいて電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。
図22図22は、電極角度と、入力支援装置の回転角度との関係を示す変換テーブルの一例を示すグラフである。
図23図23は、第1変形例に係る、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。
図24図24は、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、信号値の分布を説明するための説明図である。
図25図25は、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、複数のピーク領域に基づいて電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。
図26図26は、第2変形例に係る、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、複数のピーク領域に基づいて電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。
図27図27は、第3変形例に係る、複数のピーク領域のピーク信号値の計算方法を説明するための説明図である。
図28図28は、第4変形例に係る、入力支援装置の第1電極に対応する複数の正極性領域の軌跡と、第2電極に対応する複数の正極性領域の軌跡とを説明するための説明図である。
図29図29は、第4変形例に係る、入力支援装置の回転角度と、電極角度との関係を示す変換テーブルの一例を示すグラフである。
図30図30は、第5変形例に係る、入力支援装置の中心位置の検出方法を説明するための説明図である。
図31図31は、入力支援装置の回転角度と、入力支援装置の半径との誤差との補正テーブルの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る入力検出システムを模式的に示す斜視図である。図2は、図1のII-II’断面図である。図1及び図2に示すように、入力検出システム1は、表示装置2と、入力支援装置3と、を有する。
【0011】
ここで、表示装置2の平面(上面111a)の一方向を第1方向Dxとし、第1方向Dxと直交する方向を第2方向Dyとする。これに限定されず、第2方向Dyは第1方向Dxに対して90°以外の角度で交差していてもよい。また、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する第3方向Dzは、アレイ基板SUB1の厚み方向である。
【0012】
図1に示すように、表示装置2は、アレイ基板SUB1と、対向基板SUB2と、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、カバー部材111と、接着層112(図2参照)と、を備えている。第3方向Dzにおいて、第1偏光板PL1、アレイ基板SUB1、対向基板SUB2、第2偏光板PL2、接着層112、カバー部材111の順に積層される。
【0013】
アレイ基板SUB1は、複数の画素PXを駆動するための駆動回路基板である。アレイ基板SUB1は、基体として第1基板10を有する。アレイ基板SUB1は、第1基板10に設けられたスイッチング素子Trや、走査線GL、画素信号線SL(図4参照)等の各種配線を有する。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1と対向して設けられ、基体として第2基板20を有する。対向基板SUB2は、第2基板20に設けられたカラーフィルタCF、遮光層BM(図3参照)等を有する。第1基板10及び第2基板20は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する材料で形成される。
【0014】
アレイ基板SUB1の第2方向Dyの長さは、対向基板SUB2の第2方向Dyの長さよりも長い。図1に示すように、アレイ基板SUB1(第1基板10)は、対向基板SUB2(第2基板20)よりも外側に張り出した部分(張出部)を有する。また、アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2の第2方向Dyの長さは、第1方向Dxの長さより短い。ただし、これに限定されず、アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2の第2方向Dyの長さは、第1方向Dxの長さより長くてもよい。
【0015】
図1に示すように、表示装置2において、表示領域DAの外側に周辺領域BEが設けられている。表示領域DAは、四角形状に形成されているが、表示領域DAの外形の形状は限定されない。例えば、表示領域DAには、角部が曲線状に設けられた略四角形状であってもよく、切り欠きがあってもよく、あるいは表示領域DAが他の多角形状に形成されてもよいし、表示領域DAが円形状あるいは楕円形状などの他の形状に形成されてもよい。
【0016】
表示領域DAは、画像を表示させるための領域であり、複数の画素PXが設けられる領域である。周辺領域BEは、アレイ基板SUB1の外周よりも内側で、かつ、表示領域DAよりも外側の領域を示す。なお、周辺領域BEは表示領域DAを囲う枠状であってもよく、その場合、周辺領域BEは額縁領域ともいえる。
【0017】
図2に示すように、アレイ基板SUB1の張出部には、表示IC(Integrated Circuit)50及び配線基板114が接続されている。表示IC50は、表示装置2の表示及びタッチ検出を制御する制御回路等を含む。また、この例に限らず、表示IC50は、配線基板114に実装されていてもよい。表示IC50の配置は、これに限定されず、例えばモジュール外部の制御基板やフレキシブル基板上に備えられていてもよい。
【0018】
対向基板SUB2には、配線基板115が接続される。検出IC51は配線基板115に実装される。検出IC51は、検出回路55(図7参照)を含み、検出電極Rxから検出信号Vdetが供給される。検出IC51は、検出信号Vdetに基づいて、指Fgや入力支援装置3等の被検出体を検出することができる。検出IC51の配置は、これに限定されず、例えばモジュール外部の制御基板やフレキシブル基板上に備えられていてもよい。
【0019】
配線基板114及び配線基板115は、例えばフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuits)によって構成される。配線基板114は、第1基板10の複数の端子と接続される。配線基板115は、第2基板20の複数の端子と接続される。
【0020】
図1及び図2に示すように、入力支援装置3は、カバー部材111の上面111aに配置(装着)して使用される。ユーザは、表示装置2上に配置された入力支援装置3を操作することで、表示装置2への入力操作を行うことができる。入力支援装置3は、例えばロータリーノブであり、表示装置2の上面111aから見たときの平面視で円形状である。表示装置2は、入力支援装置3の平面内での位置や、回転軸AXを中心とした回転操作RTを検出することができる。つまり、本実施形態では、表示領域DAは、複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rx(図5参照)が設けられた領域であり、検出領域を兼ねる。
【0021】
図2に示すように、入力支援装置3は、ハウジング30と、第1電極31と、第2電極32と、LC回路35と、を含む。ハウジング30は、例えば、金属材料等の導体で形成され、内部に空間が設けられた中空の部材である。なお、ハウジング30は、金属材料に限定されず、樹脂材料で形成されてもよく、あるいは、金属材料の表面を覆って樹脂材料が設けられた構成であってもよい。第1電極31、第2電極32及びLC回路35は、ハウジング30の内部に設けられる。LC回路35は、コンデンサ33とインダクタ34とが並列に接続されたLC共振回路を構成する。第1電極31は、LC回路35の一端側(コンデンサ33とインダクタ34の一端側の接続部N1(図7参照))に接続される。第2電極32は、LC回路35の他端側(コンデンサ33とインダクタ34の他端側の接続部N2(図7参照))に接続される。表示装置2は、LC回路35のLC共振を利用して、第1電極31及び第2電極32の位置を検出することができる。
【0022】
なお、図1では、入力支援装置3の他の例として、複数の入力支援装置3A、3B、3Cを示している。入力支援装置3Aは、ロータリーノブであり、入力支援装置3よりも小さい平面形状(径)を有するつまみ状に形成される。入力支援装置3Bは、スライダであり、つまみを平面内で変位させることで入力操作を行うことができる。入力支援装置3Bは、平面視で、棒状である。入力支援装置3Cは、ボタン又は入力キーであり、入力支援装置3Cをタッチ、又は押し込み操作を行うことで入力操作を行うことができる。入力検出システム1は、複数の入力支援装置3、3A、3B、3Cの全てが装着されている場合に限定されず、複数の入力支援装置3、3A、3B、3Cの少なくとも1つ以上が設けられていればよい。以下の説明では、入力支援装置3について説明する。ただし、入力支援装置3についての説明は、他の入力支援装置3A、3B、3Cにも適用できる。
【0023】
図3は、表示装置の概略断面構造を表す断面図である。図3は、例えば図2の領域Aで囲まれた部分の断面図を示している。図3に示すように、表示装置2は、さらに、照明装置ILを備えている。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1の表面に垂直な方向に対向して配置される。液晶層LCは、アレイ基板SUB1と対向基板SUB2との間に設けられる。表示機能層である液晶層LCは、第1基板10と第2基板20との間に配置される。第3方向Dzにおいて、照明装置IL、第1偏光板PL1、アレイ基板SUB1、対向基板SUB2、第2偏光板PL2の順に積層される。
【0024】
アレイ基板SUB1が照明装置ILと対向し、対向基板SUB2が表示面側に位置する。照明装置ILは、アレイ基板SUB1に向けて光を照射する。照明装置ILは、例えばサイドライト型バックライトや、直下型バックライトが適用可能である。照明装置ILとしては、種々の形態のものが適用可能であるが、その詳細な構造については説明を省略する。
【0025】
第1偏光板PL1を含む光学素子は、第1基板10と対向する。より具体的には、第1偏光板PL1は、第1基板10の外面、あるいは、照明装置ILと対向する面に配置される。第2偏光板PL2を含む光学素子は、第2基板20と対向する。より具体的には、第2偏光板PL2は、第2基板20の外面、あるいは、観察位置側の面に配置される。第1偏光板PL1の第1偏光軸及び第2偏光板PL2の第2偏光軸は、例えばX-Y平面においてクロスニコルの位置関係にある。なお、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を含む光学素子は、位相差板などの他の光学機能素子を含んでいてもよい。
【0026】
アレイ基板SUB1は、第1基板10の対向基板SUB2と対向する側に、絶縁膜11、12、13、14、15、画素信号線SL、画素電極PE、駆動電極Tx(共通電極CE)、第1配向膜AL1等を備えている。
【0027】
なお、本明細書において、第1基板10に垂直な方向において、第1基板10から第2基板20に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、第2基板20から第1基板10に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、第1基板10に垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0028】
絶縁膜11は、第1基板10の上に設けられる。絶縁膜11、12、13及び絶縁膜15は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの透光性を有する無機系材料によって形成された無機絶縁膜である。
【0029】
絶縁膜12は、絶縁膜11の上に設けられる。絶縁膜13は、絶縁膜12の上に設けられる。画素信号線SLは、絶縁膜13の上に設けられる。絶縁膜14は、絶縁膜13の上に設けられ、画素信号線SLを覆っている。絶縁膜14は、透光性を有する樹脂材料によって形成され、無機系材料によって形成された他の絶縁膜と比べて厚い膜厚を有している。なお、図3では図示されないが、走査線GLは、例えば絶縁膜12の上に設けられる。
【0030】
駆動電極Txは、絶縁膜14の上に設けられる。駆動電極Txは、表示領域DAに設けられ、スリットSLTにより複数に分割される。あるいは、各駆動電極Txに、複数の電極内スリット(図示省略)が設けられていてもよい。駆動電極Txは、絶縁膜15によって覆われている。駆動電極Txは、タッチ検出の駆動電極Txと、表示における共通電極CEを兼ねる。
【0031】
画素電極PEは、絶縁膜15の上に設けられ、絶縁膜15を介して駆動電極Txと対向している。画素電極PE及び駆動電極Txは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電材料によって形成されている。画素電極PE及び絶縁膜15は、第1配向膜AL1によって覆われている。
【0032】
対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と反対側に検出電極Rx及び第2偏光板PL2を備えている。
【0033】
表示領域DAにおいて、遮光層BMは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置している。そして、遮光層BMは、画素電極PEとそれぞれ対向する開口部を規定している。画素電極PEは、画素PXの開口部ごとに区画されている。遮光層BMは、黒色の樹脂材料や、遮光性の金属材料によって形成されている。
【0034】
カラーフィルタCFR、CFG、CFBのそれぞれは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置し、それぞれの端部が遮光層BMに重なっている。一例では、カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、それぞれ赤色、緑色、青色に着色された樹脂材料によって形成されている。
【0035】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFR、CFG、CFBを覆っている。オーバーコート層OCは、透光性を有する樹脂材料によって形成されている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、例えば、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0036】
検出電極Rxは、第2基板20の上に設けられる。検出電極Rxは、例えば導電性材料で形成された金属配線である。あるいは、検出電極Rxは、例えばITO等の透光性の導電性材料であってもよい。
【0037】
アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。液晶層LCは、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封入されている。液晶層LCは、誘電率異方性が負のネガ型液晶材料、あるいは、誘電率異方性が正のポジ型液晶材料によって構成されている。
【0038】
例えば、液晶層LCがネガ型液晶材料である場合であって、液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、液晶分子LMは、X-Y平面内において、その長軸が第1方向Dxに沿う方向に初期配向している。一方、液晶層LCに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと駆動電極Txとの間に電界が形成されたオン時において、液晶分子LMは、電界の影響を受けてその配向状態が変化する。オン時において、入射した直線偏光は、その偏光状態が液晶層LCを通過する際に液晶分子LMの配向状態に応じて変化する。
【0039】
図4は、表示領域の画素配列を表す回路図である。アレイ基板SUB1には、図4に示す各副画素SPXのスイッチング素子Tr、画素信号線SL、走査線GL等が形成されている。画素信号線SLは、第2方向Dyに延在する。画素信号線SLは、各画素電極PE(図3参照)に画素信号を供給するための配線である。走査線GLは、第1方向Dxに延在する。走査線GLは、各スイッチング素子Trを駆動する駆動信号(走査信号)を供給するための配線である。
【0040】
画素PXは、複数の副画素SPXが含まれる。副画素SPXは、それぞれスイッチング素子Tr及び液晶層LCの容量を備えている。スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。図3に示す画素電極PEと駆動電極Txとの間に絶縁膜15が設けられ、これらによって図4に示す保持容量Csが形成される。
【0041】
カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域が周期的に配列されている。各副画素SPXに、R、G、Bの3色の色領域が1組として対応付けられる。そして、3色の色領域に対応する副画素SPXを1組として画素PXが構成される。なお、カラーフィルタは、4色以上の色領域を含んでいてもよい。この場合、画素PXは、4つ以上の副画素SPXを含んでいてもよい。
【0042】
図5は、表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。なお、図5では、駆動電極Txと検出電極Rxとの関係を説明するために、対向基板SUB2に設けられた検出電極Rxの一部を模式的に示している。図5に示すように、画素PX(副画素SPX)は、表示領域DAにマトリクス状に配置されている。画素信号線SL及び走査線GLは、副画素SPXが有する画素電極PE及びスイッチング素子Trに対応して設けられる。画素信号線SLは、周辺領域BEに設けられた表示IC50等の制御回路に接続される。走査線駆動回路52は、周辺領域BEのうち、第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。走査線GLは、走査線駆動回路52に接続される。走査線駆動回路52は、各画素PX(副画素SPX)のスイッチング素子Trを駆動する走査信号を走査線GLに供給する回路である。
【0043】
複数の駆動電極Txは、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに配列される。複数の駆動電極Txは、それぞれ接続配線53Aを介して表示IC50に接続される。また、複数の検出電極Rxは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに配列される。複数の検出電極Rxは、それぞれ接続配線53Bを介して検出IC51に接続される。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとは、平面視で交差して設けられる。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの交差部分にそれぞれ静電容量が形成される。検出IC51は、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの間の相互静電容量の変化に応じて出力される検出信号Vdetに基づいて、被検出体を検出することができる。
【0044】
図5では、図面を見やすくするために、一部の駆動電極Tx、検出電極Rx及び一部の画素PX(副画素SPX)のみ示しているが、駆動電極Tx、検出電極Rx及び画素PXは、表示領域DAの全体に配置される。すなわち、1つの駆動電極Txに重なって複数の画素PXが配置される。また、1つの駆動電極Txは、複数の画素信号線SLと重なって配置される。
【0045】
駆動電極Txは、表示時に画素電極PEとの間で電界を形成するための共通電極CEとしての機能と、タッチ検出時に指Fgや入力支援装置3等の被検出体を検出する駆動電極Txとしての機能と、を兼ねる。具体的には、表示の際に、表示IC50は、表示駆動信号VCOMを駆動電極Txに供給する。また、表示IC50は、少なくとも駆動信号供給回路56を備える。駆動信号供給回路56は、複数の駆動電極Txに順次検出駆動信号VDを供給する。なお、駆動電極Txの詳細な駆動については後述する。
【0046】
次に、図6から図9を参照して、入力支援装置3の検出方法について説明する。図6は、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。図6に示すように、入力支援装置3は、平面視で円形状である。また、平面視で、第1電極31と第2電極32とは、回転軸AXを挟んで反対側に配置される。第1電極31及び第2電極32は、平面視で異なる形状、面積を有する。
【0047】
具体的には、第1電極31は、平面視で円形状である。第2電極32は、ハウジング30(図7参照)の内周に沿って円弧状(C字状)に湾曲する湾曲形状を有する。第1電極31は、第2電極32を構成する円弧を仮想的に延長して形成される円周上に配置され、第2電極32の円弧状に沿った一端側と他端側との間に配置される。また、第2電極32は、第1電極31よりも大きい面積を有する。これにより、第1電極31に重なる駆動電極Txの数と、第2電極32に重なる駆動電極Txの数とが異なる。あるいは、第1電極31に重なる駆動電極Txの総面積と、第2電極32に重なる配置される駆動電極Txの総面積とが異なる。図6に示す例では、第1電極31は1個の駆動電極Tx(Tx2)と重なって配置され、第2電極32は4個の駆動電極Tx(Tx2、Tx3、Tx4、Tx5)と重なって配置される。なお、第1電極31及び第2電極32の形状は、図6に示す例に限定されず、四角形状、多角形状等、他の形状でもよい。
【0048】
LC回路35を構成するコンデンサ33は、第1電極31と、第2電極32の一端側との間に接続される。インダクタ34は、第1電極31と、第2電極32の他端側との間に接続される。ただし、図6では、LC回路35を構成するコンデンサ33及びインダクタ34は等価的に示しており、例えば、LC回路35は、基板上に実装されたチップ部品で形成されてもよい。コンデンサ33及びインダクタ34は、第1電極31と第2電極32との間で、電気的に並列に接続されていればよく、ハウジング30内でどのような配置であってもよい。
【0049】
図7は、入力支援装置の検出方法を説明するための説明図である。図7に示すように、入力支援装置3の第1電極31及び第2電極32は、それぞれ、タッチ検出期間(第1検出期間TP1及び第2検出期間TP2)のあるタイミングではアレイ基板SUB1の駆動電極Tx及び対向基板SUB2の検出電極Rxと対向する。
【0050】
入力支援装置3は、複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rxと重なって配置される。第1電極31と、一方の駆動電極Tx(図7中左の駆動電極Tx)との間に容量C1が形成される。一方の駆動電極Txは、基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。第2電極32と、他方の駆動電極Tx(図7中右の駆動電極Tx)との間に容量C2が形成される。他方の駆動電極Txは、スイッチ素子54Bを介して電源電位Vdd又は基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。
【0051】
また、第2電極32と、第2電極32に対向する検出電極Rxとの間に容量C3が形成される。複数の検出電極Rx(図7中右の検出電極Rx及び図7中左の検出電極Rx)は、それぞれスイッチ素子54Aを介して検出回路55又は別のノード58に接続される。当該ノード58は、例えば基準電位GND(例えば、グランド電位)に接続される。また、当該ノード58は、基準電位GNDに代えて、後述の検出信号増幅部61の非反転入力部に接続される配線に接続されてもよい。これによって、検出電極Rxが当該ノード58に接続されたときには、当該検出電極Rxの出力側電位は、検出信号増幅部61の非反転入力部の電位と同じになる。また、当該ノード58が、フローティング電極に接続する、又はハイインピーダンス(Hi-z)回路に接続する、あるいは、スイッチ素子54Aをノード58にも接続させないこととし、検出回路55に接続されている以外の期間においては検出電極Rxをフローティング状態に設定する構成も採用可能である。また、複数の検出電極Rxにそれぞれ接続された複数のスイッチ素子54Aは、同期してオン、オフが切り換えられるように制御される。さらに、駆動電極Txと検出電極Rxとの間にも相互静電容量Cmが形成される。また、第1電極31と、第1電極31に対向する検出電極Rxとの間に容量C4が形成される。
【0052】
検出回路55は、検出IC51内に設けられた信号処理回路であり、検出電極Rxから出力された検出信号Vdet(図9参照)を受け取って、所定の信号処理を行って出力信号Voを出力する回路である。検出回路55は、検出信号増幅部61、容量素子62及びリセットスイッチ63を有する。これに限定されず、検出回路55は、さらに、検出信号増幅部61から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路(図示しない)等を有していてもよい。
【0053】
図8は、入力検出システムの表示期間及び検出期間を説明するためのタイミング波形図である。図8に示すように、入力検出システム1は、1つのフレーム期間Fにおいて、表示動作と、検出動作とを時分割で実行する。フレーム期間Fは、第1表示期間DP1、第1検出期間TP1、第2表示期間DP2、第2検出期間TP2の順に配置される。なお、図8では、表示期間と検出期間が同じ長さとして示されているが、これは模式的なものである。実際は、表示期間と検出期間のいずれか一方が他方よりも長い構成を採用することも可能である。
【0054】
第1表示期間DP1及び第2表示期間DP2では、表示IC50(図5参照)は、信号線SLを介して複数の画素PX(副画素SPX)に画像信号VSIGを供給する。第1表示期間DP1では1フレーム分の画像のうちの一部の画像の表示動作が行われる。第2表示期間DP2では1フレーム分の画像のうちの残りの部分の画像の表示動作が行われる。なお、第1表示期間DP1及び第2表示期間DP2では、駆動電極Txには、表示駆動信号VCOMが供給される。
【0055】
第1検出期間TP1は、第1表示期間DP1と第2表示期間DP2との間に配置される。第1検出期間TP1では、指Fg等の被検出体の検出が行われる。具体的には、駆動信号供給回路56(図5参照)は、複数の駆動電極Txに、入力支援装置3内のLC回路35の共振周波数とは異なる周波数(非共振周波数)を有する第1検出駆動信号VD1を供給する。各検出電極Rxは、複数の駆動電極Txとの間で生じる相互静電容量変化を検出信号Vdet1として検出IC51に出力する。
【0056】
検出IC51は、複数の検出電極Rxから出力された複数の検出信号Vdet1について信号処理を行う。そして、検出IC51は、1フレーム分の検出信号Vdet1に基づく複数の信号値からなる第1フレームデータ(Frame_data1)を演算する。検出IC51は、演算処理された複数の信号値と所定の閾値とを比較して、指Fg等の被検出体の有無や、位置の情報を検出することができる。1つの第1検出期間TP1では、1フレーム分、すなわち検出領域(表示領域DA)全体のタッチ検出が行われる。
【0057】
第2検出期間TP2は、第2表示期間DP2と、次のフレーム期間Fの第1表示期間DP1との間に配置される。第2検出期間TP2では、入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の検出が行われる。具体的には、駆動信号供給回路56(図5参照)は、複数の駆動電極Txに、入力支援装置3のLC回路35の共振周波数を有する第2検出駆動信号VD2を供給する。複数の検出電極Rxは、複数の駆動電極Txとの間の相互静電容量変化に基づく検出信号Vdet2を出力する。また、複数の検出電極Rxは、入力支援装置3が配置された領域では、LC回路35の共振に基づく検出信号Vdet2を出力する。
【0058】
検出IC51は、複数の検出電極Rxから出力された複数の検出信号Vdet2について信号処理を行う。そして、検出IC51は、1フレーム分の検出信号Vdet2に基づく複数の信号値からなる第2フレームデータ(Frame_data2)を演算する。検出IC51は、演算処理された複数の信号値と所定の閾値とを比較して、入力支援装置3の位置や回転角度に関する情報を検出することができる。また、第2検出期間TP2では、入力支援装置3の検出に用いられた第2フレームデータを利用して指Fg等の被検出体の検出を行うことができる。すなわち、検出IC51は、相互静電容量の変化と、入力支援装置3が有するLC回路35の共振を利用して、入力支援装置3及び指Fgの位置等を検出することができる。なお、1つの第2検出期間TP2では、1フレーム分、すなわち検出領域(表示領域DA)全体の検出が行われる。つまり、指Fg等の被検出体の検出のレポートレートTRは、フレーム期間Fの1/2程度の長さである。
【0059】
なお、図8に示すタイミング波形図は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、1つのフレーム期間Fにつき、1つの表示期間DPが連続して配置されていてもよい。または、1つのフレーム期間Fにつき、第1検出期間TP1及び第2検出期間TP2の一方が配置されていてもよい。なお、第1検出駆動信号VD1及び第2検出駆動信号VD2を区別して説明する必要が無い場合には、単に検出駆動信号VDと表す場合がある。また、第1検出期間TP1及び第2検出期間TP2を区別して説明する必要が無い場合には、単に検出期間TPと表す場合がある。
【0060】
次に、図7及び図9を参照しつつ、第2検出期間TP2の入力支援装置3の検出方法について説明する。図9は、入力支援装置の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。
【0061】
図7及び図9に示すように、スイッチ素子54Bの動作により、他方の駆動電極Tx(図7右側の駆動電極Tx)には、交流矩形波である第2検出駆動信号VD2が供給される。より具体的には、スイッチ素子54Bの切り替え動作により高レベル電位の電源電位Vddと、低レベル電位の基準電位Vdcとが所定の周波数で交互に繰り返し印加されることによって第2検出駆動信号VD2が形成され、他方の駆動電極Txに供給される。他方の駆動電極Txの電位V3は、第2検出駆動信号VD2に応じて変化する。ここで、第2検出駆動信号VD2に同期して繰り返される期間を、第1期間P1及び第2期間P2とする。第1期間P1は、他方の駆動電極Txが電源電位Vddに接続される期間(スイッチ素子54Bが当該他方の駆動電極Txと電源電位Vddとを接続している期間)である。第2期間P2は、他方の駆動電極Txが基準電位Vdcに接続される期間(スイッチ素子54Bが当該他方の駆動電極Txと基準電位(接地電位)とを接続している期間)である。電源電位Vddは例えば基準電位Vdcよりも高い電位とされる。なお、図9中には、1回の電源電位Vddの入力と1回の基準電位Vdcの入力との組み合わせによって第2検出駆動信号VD2が形成されているが、これらが交互に複数回繰り返される構成も第2検出駆動信号VD2と見做せることは当然である。
【0062】
検出電極Rxは、相互静電容量Cmに基づいて検出信号Vdet2を出力する。具体的には、上述したように、一方の駆動電極Tx(図7左側の駆動電極Tx)は、第1期間P1及び第2期間P2ともに基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続されている。これにより、第1期間P1では、第1電極31及び第2電極32に、異なる電位の信号が供給される。また、第1期間P1では、スイッチ素子54Aの切り替え動作により検出電極Rxは検出回路55と接続される。これにより、相互静電容量Cmに基づいた電位の変化が検出信号Vdet2として、検出電極Rxから検出回路55に出力される。なお、第2期間P2では、スイッチ素子54Aの切り替え動作により検出電極Rxと検出回路55の接続は遮断される。第2期間P2では、当該スイッチ素子54Aの切り替え動作により、検出電極Rxは基準電位GNDに接続される。
【0063】
検出回路55の検出信号増幅部61は、検出電極Rxから供給された検出信号Vdet2を増幅する。検出信号増幅部61の非反転入力部には、固定された電位を有する基準電圧が入力され、反転入力端子には、検出電極Rxが接続される。本実施形態では、基準電圧として一方の駆動電極Txと同じ信号が入力される。また、検出回路55は、リセットスイッチ63をオンにすることで、容量素子62の電荷をリセットすることができる。
【0064】
さらに、第2検出駆動信号VD2はLC回路35の共振周波数と同じ周波数を有する。本実施例においては、例えば、スイッチ素子54Bの切り替え動作を当該共振周波数に基づいて行うことで共振周波数を有する第2検出駆動信号VD2が形成される。このため、他方の駆動電極Txと重なる第2電極32も共振周波数で駆動され、LC回路35の共振が発生する。そして、検出期間内で第1期間P1及び第2期間P2が繰り返されるにしたがって、検出信号Vdet2の振幅が大きくなる。図9に示すように、第1期間P1が複数回繰り返されるにしたがって、検出信号Vdet2の振幅が大きくなり、検出回路55からの出力信号Voの電位は、大きくなるように変化する。
【0065】
また、LC回路35の共振により、第1電極31に発生する波形は、第2電極32に発生する波形と異なり、第1電極31と第2電極32とで、互いに極性が反転するように変化する。具体的には、第1期間P1のそれぞれで、第1電極31の電位は大きくなるように変化し、第2電極32の電位は小さくなるように変化する。第2期間P2のそれぞれで、第1電極31の電位は小さくなるように変化し、第2電極32の電位は大きくなるように変化する。
【0066】
これにより、第1電極31と重畳する検出電極Rxから出力される検出信号Vdet2及び検出信号Vdet2に基づく出力信号Vo(図示しない)と、第2電極32と重畳する検出電極Rxから出力される検出信号Vdet2及び検出信号Vdet2に基づく出力信号Vo(図9参照)と、は極性が異なる。本実施形態では、極性が異なる検出信号Vdet2の信号値に基づいて、入力支援装置3の各種情報を検出することができる。
【0067】
一方、入力支援装置3とは異なる指Fg等の被検出体が、上面111a(図1参照)に接触又は近接した場合には、相互静電容量Cmの変化に応じて、検出信号Vdet2が変化する。つまり、指Fg等の検出では、共振が生じないため、図8に示すような検出信号Vdetの振幅の経時的な変化が生じない。また、指Fg等の検出では、同じ極性の検出信号Vdet2の信号値が検出される。このように、入力検出システム1は、LC回路35のLC共振を利用して、被検出体が、指Fgであるか、入力支援装置3であるかを判定することができる。
【0068】
図10は、入力検出システムの構成例を示すブロック図である。図10に示すように、検出IC51は、上述した検出回路55に加え、演算回路51A及び記憶回路51Bを有する。演算回路51Aは、検出回路55からの検出信号Vdet1、Vdet2の信号値に基づくフレームデータを受け取って、指Fgに関する情報及び入力支援装置3に関する情報を演算する回路である。記憶回路51Bは、所定の閾値TH(図13参照)、距離d1、d2(図18等参照)、変換テーブル(図22参照)等の情報を記憶する回路である。
【0069】
演算回路51Aは、演算により得られた指Fgに関する情報及び入力支援装置3に関する情報をホストIC101に出力する。ホストIC101は、表示装置2の制御を行う回路である。ホストIC101は、指Fgに関する情報及び入力支援装置3に関する情報に基づいて、入力された操作に応じた動作を実行するように表示装置2に指令を出力する。また、検出IC51は、ホストIC101からの制御信号に基づいて、表示IC50(図5参照)と同期して動作するように制御される。
【0070】
なお、検出IC51が指Fgに関する情報及び入力支援装置3に関する情報を演算する構成に限定されず、外部回路であるホストIC101が検出IC51からフレームデータを受け取って、指Fgに関する情報及び入力支援装置3に関する情報を演算してもよい。
【0071】
次に、入力支援装置3の各種情報(位置及び回転角度)の詳細な検出方法について説明する。図11は、入力検出システムの第1検出期間及び第2検出期間の検出方法を説明するためのフローチャート図である。
【0072】
図11に示すように、第1検出期間TP1で、駆動信号供給回路56(図5参照)は、第1検出駆動信号VD1を複数の駆動電極Txに順次供給する(ステップST11)。
【0073】
検出IC51は、1フレーム分の検出信号Vdet1に基づいて、検出回路55で上述した信号処理を行う。検出IC51は、信号処理により得られた1フレーム分の出力信号Voの信号値に基づいて、第1フレームデータを検出する(ステップST12)。
【0074】
検出IC51は、第1フレームデータに基づいてベースラインを算出し(ステップST13)、従来のベースラインを更新する。なお、ベースラインの算出は省略してもよく、電源投入時やスリープモードから回復した時など、所定のタイミングで実行すればよい。
【0075】
次に、検出IC51は、第1フレームデータの信号処理を行い、第1検出値(タッチ検出)を算出する(ステップST14)。第1検出値は、例えば、指Fg等の被検出体に関する情報である。第1検出値は、例えば、第1フレームデータとベースラインとの差分を演算し、あるいは、第1フレームデータと所定の閾値との比較を演算することで算出される。
【0076】
次に、検出IC51は、第1検出値に基づいて、指Fg等の被検出体のタッチの有無を判定し(ステップST15)、指Fg等の被検出体がある場合には、指Fg等の被検出体のタッチ位置を演算する。
【0077】
次に、第2検出期間TP2で、駆動信号供給回路56(図5参照)は、第2検出駆動信号VD2を複数の駆動電極Txに供給する(ステップST16)。
【0078】
検出IC51は、1フレーム分の検出信号Vdet2に基づいて、検出回路55で上述した信号処理を行う。検出IC51は、検出回路55で信号処理された1フレーム分の出力信号Voの信号値に基づいて、第2フレームデータを検出する(ステップST17)。
【0079】
次に、検出IC51は、第2フレームデータの信号処理を行い、第2検出値(入力支援装置)を算出する(ステップST18)。第2検出値は、例えば、入力支援装置3の各種情報であり、入力支援装置3の位置、回転角度等の情報である。また、ステップST18では、入力支援装置3の検出に用いられた第2フレームデータを利用して、上述した第1検出値(タッチ検出)を算出する。
【0080】
第2検出値の算出の具体例について、図12から図22を参照して説明する。図12は、入力支援装置の各種情報の検出方法を説明するためのフローチャート図である。図13は、第2検出期間の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。図14は、第2検出期間の各期間の、検出駆動信号が供給される駆動電極と、入力支援装置との関係を説明するための説明図である。図15は、検出電極から出力される検出信号に基づく信号値の分布を説明するための説明図である。
【0081】
まず、図12に示すように、検出IC51は、第2フレームデータに基づいて入力支援装置3の有無を判定する(ステップST21)。ここで、検出IC51は、入力支援装置3が有するLC回路35の共振を利用して入力支援装置3の有無を判定する。ここで入力支援装置3は、例えば図14に示すような位置及び向きで検出面上に存在しているとする。
【0082】
具体的には、図13及び図14に示すように、駆動信号供給回路56(図5参照)は、1つの第2検出期間TP2を期間PA1から期間PA5に時分割に分け、期間PA1、PA2、PA3、PA4、PA5ごとに、複数の駆動電極Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5に順次、第2検出駆動信号VD2を供給する。なお、図14では、理解を容易にするために、期間PA1、PA2、PA3、PA4、PA5のそれぞれで、第2検出駆動信号VD2が供給される駆動電極Txのみを示している。
【0083】
図13及び図14に示すように、期間PA1、PA2では、それぞれ、第2電極32と重畳する駆動電極Tx1、Tx2に第2検出駆動信号VD2が供給される。また、第1電極31と重畳する駆動電極Tx3は基準電位に接続される。図13に示すように、期間PA1、PA2では、第2電極32と重畳する検出電極Rx1、Rx2、Rx3から正極性の検出信号Vdet2が出力され、第2電極32と非重畳の検出電極Rx4、Rx5から負極性の検出信号Vdet2が出力される。
【0084】
期間PA3では、第1電極31と重畳する駆動電極Tx3に第2検出駆動信号VD2が供給される。駆動電極Tx3は、第2電極32とも重畳するが、第2電極32は第1電極31よりも大きく、基準電位に接続されている他の駆動電極Tx1、Tx2、Tx4、Tx5とも重畳している。この結果、第2電極32側の容量は第1電極31側の容量よりも相対的に小さくなる。これにより、期間PA3では、第1電極31と重畳する検出電極Rx4、Rx5から正極性の検出信号Vdet2が出力され、第2電極32と非重畳の検出電極Rx1、Rx2、Rx3から負極性の検出信号Vdet2が出力される。
【0085】
期間PA4、PA5では、それぞれ、第2電極32と重畳する駆動電極Tx4、Tx5に第2検出駆動信号VD2が供給される。第1電極31と重畳する駆動電極Tx3は基準電位に接続される。期間PA4、PA5では、第2電極32と重畳する検出電極Rx1、Rx2、Rx3から正極性の検出信号Vdet2が出力され、第2電極32と非重畳の検出電極Rx4、Rx5から負極性の検出信号Vdet2が出力される。
【0086】
図14に示すように、期間PA1、PA2、PA3、PA4、PA5ごとに、第2検出駆動信号VD2が供給される駆動電極Txと、第1電極31及び第2電極32との配置関係が異なる。第2検出駆動信号VD2が供給される駆動電極Txと、第1電極31及び第2電極32との配置関係に応じて、各検出電極Rxから出力される検出信号Vdet2の極性及び信号値の大きさが異なる。
【0087】
ここで、図13に示すように、信号値KSp1は、正極性の検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値であって、閾値THaよりも小さい信号値である。信号値KSp2は、正極性の検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値であって、閾値THa以上、閾値THbよりも小さい信号値である。信号値KSp3は、正極性の検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値であって、閾値THb以上の信号値である。
【0088】
また、信号値KSm1は、負極性の検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値であって、閾値THcよりも大きい信号値、言い換えると、閾値THcの絶対値よりも小さい絶対値を有する信号値である。信号値KSm2は、負極性の検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値であって、閾値THc以下の信号値、言い換えると、閾値THcの絶対値以上の絶対値を有する信号値である。
【0089】
なお、以下の説明では、正極性の信号値KSp1、KSp2、KSp3を区別して説明する必要が無い場合には、単に信号値KSpと表す場合がある。また、負極性の信号値KSm1、KSm2を区別して説明する必要が無い場合には、単に信号値KSmと表す場合がある。
【0090】
図15は、駆動電極Txと検出電極Rxとが交差する位置SPごとに、検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値KSp、KSmの二次元分布を模式的に示している。例えば、位置SP11は、駆動電極Tx1と検出電極Rx1とが交差する位置を示し、位置SP15は、駆動電極Tx1と検出電極Rx5とが交差する位置を示す。なお、図15では、図面を見やすくするために位置SPの符号を一部省略して示す。
【0091】
図15に示すように、期間PA1では、駆動電極Tx1及び検出電極Rx1、Rx2、Rx3に重畳する領域である、位置SP11、SP12、SP13で、正極性の信号値KSp1、KSp2が得られる。駆動電極Tx1及び検出電極Rx4、Rx5に重畳する領域である、位置SP14、SP15で、負極性の信号値KSm1が得られる。
【0092】
期間PA2では、駆動電極Tx2及び検出電極Rx1、Rx2、Rx3に重畳する領域である、位置SP21、SP22、SP23で、正極性の信号値KSp1、KSp2が得られる。駆動電極Tx2及び検出電極Rx4、Rx5に重畳する領域である、位置SP24、SP25で、負極性の信号値KSm1が得られる。
【0093】
期間PA3では、駆動電極Tx3及び検出電極Rx1、Rx2、Rx3に重畳する領域である、位置SP31、SP32、SP33で、負極性の信号値KSm1、KSm2が得られる。駆動電極Tx3及び検出電極Rx4、Rx5に重畳する領域である、位置SP34、SP35では、正極性の信号値KSp3が得られる。
【0094】
期間PA4では、駆動電極Tx4及び検出電極Rx1、Rx2、Rx3に重畳する領域である、位置SP41、SP42、SP43で、正極性の信号値KSp1、KSp2が得られる。駆動電極Tx4及び検出電極Rx4、Rx5に重畳する領域である、位置SP44、SP45では、負極性の信号値KSm1が得られる。
【0095】
期間PA5では、駆動電極Tx5及び検出電極Rx1、Rx2、Rx3に重畳する領域である、位置SP51、SP52、SP53で、正極性の信号値KSp1、KSp2が得られる。駆動電極Tx5及び検出電極Rx4、Rx5に重畳する領域である、位置SP54、SP55で、負極性の信号値KSm1が得られる。
【0096】
このように、入力検出システム1は、入力支援装置3のLC回路35の共振により、検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値KSp、KSmの二次元分布において、正極性の信号値KSpからなる複数の領域と、負極性の信号値KSmからなる複数の領域とを検出することができる。一方、指Fg等の被検出体では、LC回路35の共振が生じないので、一方の極性の信号値(例えば正極性の信号値KSp)のみ得られる。検出IC51は、上述した図12に示すステップST21において、正極性の信号値KSpからなる複数の領域と、負極性の信号値KSmからなる複数の領域とを検出した場合に、入力支援装置3が表示領域DA上に配置されていると判定することができる。
【0097】
なお、図13から図15に示す例では、検出IC51は、3つの正極性の信号値KSp1、KSp2、KSp3及び2つの負極性の信号値KSm1、KSm2を検出しているが、あくまで一例であり、信号値KSp、KSmの分解能は適宜変更することができる。
【0098】
図12に戻って、検出IC51が、第2フレームデータに基づいて入力支援装置3が有ると判定した場合(ステップST21、Yes)、検出IC51は、検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値KSp、KSmの二次元分布において、信号値KSp、KSmのピーク位置を算出する(ステップST22)。
【0099】
以下、図16から図22を参照して、信号値KSp、KSmのピーク位置及び電極角度θeの検出方法の一例について説明する。図16は、入力支援装置の回転角度が0°の場合における、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。図17は、入力支援装置の回転角度が0°の場合における、信号値の分布を説明するための説明図である。
【0100】
なお、入力支援装置3の回転角度θkとは、入力支援装置3の中心(回転軸AX)を通り第1方向Dxに平行な仮想線と、入力支援装置3の中心(回転軸AX)と第1電極31の中心とを結ぶ仮想線とが成す角度である。例えば、図14に示す入力支援装置3の回転角度θkは、θk=270°である。
【0101】
また、図17では、信号値KSp、KSmの大きさを白黒の濃淡で模式的に示している。黒色に近いほど、正極性で、かつ、大きい絶対値を有する信号値KSpを示す。白色に近いほど、負極性で、かつ、大きい絶対値を有する信号値KSmを示す。
【0102】
図16及び図17に示すように、入力支援装置3の回転角度θkが0°の場合、第1電極31は回転軸AXに対して、第1方向Dx(図16右側)に位置する。上述した第2検出期間TP2に示す検出(図13から図15参照)により、検出IC51は、複数の正極性の信号値KSpからなる第1正極性領域PP1、第2正極性領域PP2、第3正極性領域PP3と、複数の負極性の信号値KSmからなる第1負極性領域PM1、第2負極性領域PM2、第3負極性領域PM3と、を検出する。
【0103】
以下の説明では、第1正極性領域PP1、第2正極性領域PP2、第3正極性領域PP3を区別して説明する必要がない場合には、単に正極性領域PPと表す場合がある。また、第1負極性領域PM1、第2負極性領域PM2、第3負極性領域PM3を区別して説明する必要がない場合には、単に負極性領域PMと表す場合がある。
【0104】
複数の正極性領域PPは、所定の閾値以上の正極性の信号値KSpからなるピーク領域である。また、複数の負極性領域PMは、所定の閾値以下の負極性の信号値KSmからなるピーク領域である。
【0105】
図16及び図17に示すように、第1正極性領域PP1は、第1電極31と重畳する領域である。第2方向Dyで、第1正極性領域PP1は、第2負極性領域PM2と第3負極性領域PM3との間に位置する。第1負極性領域PM1は、第2電極32と重畳する領域であり、第2電極32の延在方向の中心近傍の領域である。第2方向Dyで、第1負極性領域PM1は、第2正極性領域PP2と第3正極性領域PP3との間に位置する。
【0106】
異なる極性の正極性領域PPと負極性領域PMとは、第1方向Dx又は第2方向Dyで隣り合って配置される。同じ極性の正極性領域PPは、対角(斜め方向)に隣り合って配置される。また、同じ極性の負極性領域PMは、対角(斜め方向)に隣り合って配置される。
【0107】
図18は、入力支援装置の回転角度が0°の場合における、複数のピーク領域に基づいて電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。図18では、図面を見やすくするために、信号値KSp、KSmの分布(白黒の濃淡)を省略して、複数のピーク領域(正極性領域PP及び負極性領域PM)を点線で表す。検出IC51は、信号値KSp、KSmの二次元分布において、正極性領域PP及び負極性領域PMの重心PGを算出し、それぞれの重心PGの位置を信号値KSp、KSmのピーク位置とする。
【0108】
図12に戻って、検出IC51は、検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値KSp、KSmの二次元分布において、信号値KSp、KSmのピーク数を検出する(ステップST23)。図16から図18に示すように、入力支援装置の回転角度が0°の場合における信号値KSp、KSmのピーク数、すなわち、正極性領域PP及び負極性領域PMの数は、6個である。
【0109】
信号値KSp、KSmのピーク数が6個の場合、検出IC51は、最大のピークと、最大のピークと同一極性でかつ2番目に値が大きいピークの2つのピークを用いて電極角度θeを算出する(ステップST24)。図16から図18に示す例では、第1正極性領域PP1が最大の信号値KSpを示し、第2正極性領域PP2が2番目に大きい信号値KSpを示すものとする。
【0110】
図18に示すように、検出IC51は、第1正極性領域PP1の重心PGを通り第1方向Dxに平行な仮想線と、隣り合う2つの正極性領域PP、具体的には、第1正極性領域PP1の重心PGと第2正極性領域PP2の重心PGとを結ぶ仮想線とが成す角度を、電極角度θeとして検出する。
【0111】
なお、図12に示すステップST21における入力支援装置3の有無の判定では、複数の正極性の信号値KSpからなる複数の正極性領域PPと、複数の負極性の信号値KSmからなる複数の負極性領域PMとを検出し、対角に位置するピーク領域が同一極性であり、かつ、図18に示すピーク間距離dpが、下記の式(1)を満たす場合に、入力支援装置3が表示領域DA上に配置されていると判定してもよい。
【0112】
d2<dp<d1 ・・・ (1)
【0113】
ただし、ピーク間距離dpは、隣り合う正極性領域PPの重心PGと負極性領域PMの重心PGとの間の距離であって、複数の重心PG間の距離のうち最も短いものである。またd1、d2は、入力支援装置3が有する第1電極31及び第2電極32の電極間距離や各電極の形状によって決定されるパラメータである。
【0114】
なお上述した例では、正極性領域PP及び負極性領域PMの数が6個の場合を説明したが、これに限定されない。入力支援装置3の回転角度θkに応じて、信号値KSp、KSmの分布が異なって検出され、正極性領域PP及び負極性領域PMの数及び位置(重心PG)も異なる。
【0115】
図19は、入力支援装置の回転角度が135°の場合における、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。図20は、入力支援装置の回転角度が135°の場合における、信号値の分布を説明するための説明図である。
【0116】
図19に示すように、入力支援装置3の回転角度θkが135°の場合、第1電極31は回転軸AXに対して、第1方向Dx及び第2方向Dyと交差する斜め方向(図19の左上側)に位置する。
【0117】
図20に示すように、上述した第2検出期間TP2に示す検出(図13から図15参照)により、複数の正極性の信号値KSpからなる第1正極性領域PP1、第2正極性領域PP2と、複数の負極性の信号値KSmからなる第1負極性領域PM1、第2負極性領域PM2と、が検出される。
【0118】
第1正極性領域PP1は、第1電極31と重畳する領域である。第2正極性領域PP2は、第2電極32と重畳する領域であり、第2電極32の延在方向の中心近傍の領域である。第2正極性領域PP2は、第1正極性領域PP1と対角に位置する。
【0119】
第1負極性領域PM1及び第2負極性領域PM2は、第2電極32の延在方向の端部近傍の領域である。第1負極性領域PM1は、第2負極性領域PM2と対角に位置する。また、第1負極性領域PM1は、第1正極性領域PP1と第1方向Dxに隣り合って配置され、かつ、第2正極性領域PP2と第2方向Dyに隣り合って配置される。第2負極性領域PM2は、第1正極性領域PP1と第2方向Dyに隣り合って配置され、かつ、第2正極性領域PP2と第1方向Dxに隣り合って配置される。
【0120】
回転角度θkが135°の場合においても、異なる極性の正極性領域PPと負極性領域PMとは、第1方向Dx又は第2方向Dyに隣り合って配置される。同じ極性の正極性領域PPは、対角(斜め方向)に隣り合って配置される。また、同じ極性の負極性領域PMは、対角(斜め方向)に隣り合って配置される。
【0121】
図21は、入力支援装置の回転角度が135°の場合における複数のピーク領域に基づいて、電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。図21に示すように、検出IC51は、信号値KSp、KSmの二次元分布において、正極性領域PP及び負極性領域PMの重心PGを算出し、重心PGを信号値KSp、KSmのピーク位置とする(図12のステップST22)。
【0122】
図12に示すステップST23において、検出IC51は、検出信号Vdet2(出力信号Vo)の信号値KSp、KSmの二次元分布において、信号値KSp、KSmのピーク数を検出する。図19から図21に示すように、入力支援装置の回転角度が135°の場合における信号値KSp、KSmのピーク数、すなわち、正極性領域PP及び負極性領域PMの数は、4個である。
【0123】
ピークの数が4個の場合、検出IC51は、最大のピークと、最大のピークと同一極性のピークの2つのピークで電極角度θeを算出する(図12のステップST25)。図19から図21に示す例では、第1正極性領域PP1が最大の信号値KSpを示し、第2正極性領域PP2が第1正極性領域PP1と同一極性の信号値KSpを示すものとする。検出IC51は、第1正極性領域PP1の重心PGを通り第1方向Dxに平行な仮想線と、第1正極性領域PP1の重心PGと第2正極性領域PP2の重心PGとを結ぶ仮想線とが成す角度を、電極角度θeとして検出する。
【0124】
次に図12に戻って、検出IC51は、電極角度θeに基づいて、入力支援装置3の回転角度θkを算出する(ステップST26)。図22は、電極角度と、入力支援装置の回転角度との関係を示す変換テーブルの一例を示すグラフである。図22は、横軸が電極角度θeを示し、縦軸が入力支援装置3の回転角度θkを示す。図22に示す変換テーブルは、予め検出IC51の記憶回路51B(図11参照)に格納されている情報である。変換テーブルの電極角度θeと、入力支援装置3の回転角度θkとの関係は、予め実測して求められる。あるいは、変換テーブルは、入力支援装置3が有する第1電極31及び第2電極32の配置や形状によって算出又は補正してもよい。
【0125】
検出IC51は、ステップST24又はステップST25で算出した電極角度θeの情報を、図22に示す変換テーブルに当てはめて入力支援装置3の回転角度θkを算出する。図22では、検出IC51は、算出した電極角度θe=θ1を当てはめて、電極角度θe=θ1に対応する回転角度θk=α1を算出することができる。
【0126】
なお、検出IC51は、変換テーブルを用いる方法に限定されず、他の方法、例えば近似式を用いて入力支援装置3の回転角度θkを算出してもよい。
【0127】
次に、検出IC51は、入力支援装置3の回転角度θkに基づいて、回転軸AXの位置を算出する(ステップST27)。具体的には、検出IC51は、上述したステップST22で得られた第1正極性領域PP1の重心PGに基づいて、第1電極31の位置を算出する。そして、第1電極31の位置を基準に、入力支援装置3の回転角度θk、及び、予め第1電極31及び第2電極32の配置や形状によって決定される入力支援装置3の半径d(図16参照)に基づいて、回転軸AXの位置、すなわち、入力支援装置3の中心位置を算出することができる。
【0128】
なお、ステップST27においても、検出IC51は、図22と同様に、実測により求められた変換テーブルを用いて回転軸AXの位置を算出してもよいし、近似式を用いて回転軸AXの位置を算出してもよい。
【0129】
以上のような方法で、入力検出システム1は、入力支援装置3の回転軸AXの位置及び回転角度θkを精度よく検出することができる。なお、図11及び図12に示すフローチャートはあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、一部のステップを省略する、あるいは、順番を変更する等してもよい。
【0130】
次に、図12に戻って、検出IC51は、第2検出期間TP2において、検出信号Vdet2に基づく第2フレームデータを用いて、指Fg等の被検出体の検出を行う(ステップST28、ST29)。ステップST28、ST29は、上述したステップST14、ST15と同様の検出が行われ、繰り返しの説明は省略する。また、ステップST21において、検出IC51が、第2フレームデータに基づいて入力支援装置3が無いと判定した場合(ステップST21、No)、検出IC51は、ステップST22からステップST27を省略して、検出信号Vdet2に基づく第2フレームデータを用いて、指Fg等の被検出体の検出を行うことができる。つまり、指Fg等の被検出体の検出のレポートレートは、フレーム期間Fの1/2程度の長さである一方、入力支援装置3の検出のレポートレートは、指Fg等の被検出体の検出のレポートレートの倍の長さ、すなわち1フレーム期間Fに1回となる。
【0131】
以上説明したように、本実施形態の入力検出システム1は、表示領域DA(検出領域)に配列された複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rxと、LC回路35と、LC回路35の一端側に接続された第1電極31と、LC回路35の他端側に接続された第2電極32と、を含む入力支援装置3と、検出電極Rxから出力される検出信号Vdet2に基づいて、入力支援装置3を検出する検出IC51(制御回路)と、を有する。第1電極31及び第2電極32の一方に対応する駆動電極Txには基準電位が供給され、第1電極31及び第2電極32の他方に対応する駆動電極Txには第2検出駆動信号VD2が供給され、制御回路は、検出信号Vdet2に基づく複数の信号値KSp、KSmの二次元分布において、正極性であって所定の第1閾値以上の複数の信号値KSpからなる複数の正極性領域PPと、負極性であって所定の第2閾値以下の複数の信号値KSmからなる複数の負極性領域PMと、を検出する。
【0132】
(第1変形例)
図23は、第1変形例に係る、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、入力支援装置、複数の駆動電極及び複数の検出電極を模式的に示す平面図である。図24は、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、信号値の分布を説明するための説明図である。図25は、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、複数のピーク領域に基づいて電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0133】
第1変形例に係る入力検出システム1では、上述したステップST24(図12参照)において、3つのピークを用いて電極角度θeを算出する例について説明する。また、図23から図25では、入力支援装置3の回転角度θkが5°の場合について説明する。ただし、第1変形例は、上述した図14又は図16等、入力支援装置3が、5°以外の他の回転角度θkであっても適用できる。
【0134】
図23に示すように、入力支援装置3の回転角度θkが5°の場合、第1電極31の中心位置は、回転軸AXを通り第1方向Dxに延在する仮想線に対し、わずかに第2方向Dyにずれて配置される。
【0135】
図24に示すように、第2検出期間TP2で検出された複数の信号値KSp、KSmの分布において、複数の正極性の信号値KSpからなる第1正極性領域PP1、第2正極性領域PP2、第3正極性領域PP3と、複数の負極性の信号値KSmからなる第1負極性領域PM1、第2負極性領域PM2、第3負極性領域PM3と、が検出される。
【0136】
3個の正極性領域PP及び3個の負極性領域PMの配置関係は、上述した第1実施形態と同様である。つまり、異なる極性の正極性領域PPと負極性領域PMとは、第1方向Dx又は第2方向Dyに隣り合って配置される。同じ極性の正極性領域PPは、対角(斜め方向)に隣り合って配置され、同じ極性の負極性領域PMは、対角(斜め方向)に隣り合って配置される。ただし、3個の正極性領域PP及び3個の負極性領域PMの重心位置及びそれぞれのピーク信号値は、第1実施形態(図17)と異なる。
【0137】
図25に示すように、検出IC51は、第1正極性領域PP1の重心PGを通り第1方向Dxに平行な仮想線と、隣り合う第1正極性領域PP1の重心PGと第2正極性領域PP2の重心PGとを結ぶ仮想線とが成す角度を、第1電極角度θe1として検出する。また、検出IC51は、第1正極性領域PP1の重心PGを通り第1方向Dxに平行な仮想線と、隣り合う第1正極性領域PP1の重心PGと第3正極性領域PP3の重心PGとを結ぶ仮想線とが成す角度を、第2電極角度θe2として検出する。
【0138】
検出IC51は、電極角度θeの算出に用いる第1正極性領域PP1、第2正極性領域PP2及び第3正極性領域PP3のそれぞれのピーク信号値PLV1、PLV2、PLV3を算出する。ピーク信号値PLV1、PLV2、PLV3は、それぞれの正極性領域PPを構成する複数の正極性の信号値KSpのうち、最大値を示す信号値KSpである。
【0139】
第1変形例では、検出IC51は、第1電極角度θe1及び第2電極角度θe2を、ピーク信号値PLV1、PLV2、PLV3で算出された係数を用いて重み付けすることで、電極角度θeを算出する。具体的には、検出IC51は、下記の式(2)に基づいて電極角度θeを算出する。
【0140】
θe=(θe1×(PLV2/PLV3)+θe2×(PLV3/PLV2))/2 ・・・ (2)
【0141】
このように、検出IC51は、3つのピーク(第1正極性領域PP1、第2正極性領域PP2及び第3正極性領域PP3)で算出された第1電極角度θe1及び第2電極角度θe2のそれぞれに、ピーク信号値PLV2、PLV3の比を係数として掛け合わせる。これにより、検出IC51は、精度よく電極角度θeを算出することができる。すなわち、ピーク信号値PLV2とピーク信号値PLV3との差が小さい場合に、上述したステップST24において、2つのピークとして、第1正極性領域PP1及び第2正極性領域PP2が選択された場合の電極角度θeと、第1正極性領域PP1及び第3正極性領域PP3が選択された場合の電極角度θeとの誤差を抑制することができる。
【0142】
なお、第1変形例で、式(2)を用いて算出された電極角度θeに基づいて入力支援装置3の回転角度θkを算出する場合には、検出IC51は、図22に示す変換テーブルと異なり、式(2)を用いた方法に対応した変換テーブル又は近似式を用いることができる。
【0143】
(第2変形例)
図26は、第2変形例に係る、入力支援装置の回転角度が5°の場合における、複数のピーク領域に基づいて、電極角度を検出する方法を説明するための説明図である。第2変形例では、上述したステップST24(図12参照)において、3つのピークを用いて電極角度θeを算出する例について説明する。
【0144】
具体的には、図26に示すように、検出IC51は、第2正極性領域PP2と第3正極性領域PP3との間に位置する中間ピーク領域PPiを算出する。中間ピーク領域PPiは、電極角度θeを算出するための仮想のピーク領域である。検出IC51は、中間ピーク領域PPiの位置を、第2正極性領域PP2及び第3正極性領域PP3の重心PGの位置及びピーク信号値PLV2、PLV3を用いて算出する。具体的には、検出IC51は、第2正極性領域PP2が有するピーク信号値PLV2と、第3正極性領域PP3が有するピーク信号値PLV3との比に基づいて、第2正極性領域PP2と第3正極性領域PP3との間の中間ピーク領域PPi(中間正極性領域)の位置を算出する。例えば、検出IC51は、下記の式(3)に基づいて中間ピーク領域PPiの位置を算出する。
【0145】
PPi(x、y)=(PP2(x、y)×(PLV2/PLV3)+PP3(x、y)×(PLV3/PLV2))/2 ・・・ (3)
ただし、PPi(x、y)、PP2(x、y)、PP3(x、y)は、中間ピーク領域PPi、第2正極性領域PP2及び第3正極性領域PP3の、xy座標での位置である。
【0146】
図26に示すように、ピーク信号値PLV2、PLV3の比に応じて中間ピーク領域PPiの位置が算出される。第2方向Dyでの、第2正極性領域PP2と中間ピーク領域PPiとの間の距離de1は、第3正極性領域PP3と中間ピーク領域PPiとの間の距離de2と異なる。
【0147】
検出IC51は、第1正極性領域PP1の重心PGを通り第1方向Dxに平行な仮想線と、第1正極性領域PP1の重心PGと中間ピーク領域PPiの重心PGとを結ぶ仮想線とが成す角度を、電極角度θeとして検出する。
【0148】
なお、第2変形例で算出された電極角度θeに基づいて入力支援装置3の回転角度θkを算出する場合には、検出IC51は、図22に示す変換テーブル及び第1変形例での変換テーブルと異なり、式(3)を用いた方法に対応した変換テーブル又は近似式を用いることができる。
【0149】
(第3変形例)
図27は、第3変形例に係る、複数のピーク領域のピーク信号値の計算方法を説明するための説明図である。図27は、第2正極性領域PP2及び第3正極性領域PP3のピーク信号値PLV2、PLV3を模式的に棒グラフで表している。
【0150】
図27に示すように、検出IC51は、第2正極性領域PP2及び第3正極性領域PP3のピーク信号値PLV2及びピーク信号値PLV3を、閾値THdと比較する。ピーク信号値PLV2及びピーク信号値PLV3の一方(例えばピーク信号値PLV2)が閾値THd以上であり、ピーク信号値PLV2、PLV3の他方(例えばピーク信号値PLV3)が閾値THdよりも小さい場合には、検出IC51は、上述したステップST24(図12参照)において、2番目に値が大きいピークとして、閾値THd以上の信号値を有する第2正極性領域PP2を選択する。この場合、第3正極性領域PP3は、電極角度θeの算出には用いられず、検出IC51は、第1正極性領域PP1及び第2正極性領域PP2の2つのピークで電極角度θeを算出する。
【0151】
ピーク信号値PLV2、PLV3のいずれも閾値THd以上の場合、検出IC51は、上述した第1変形例又は第2変形例のいずれかの方法で、電極角度θeを算出する。
【0152】
ここで、ピーク信号値PLV2とピーク信号値PLV3との差が小さい場合には、上述した式(2)又は式(3)に用いられた係数(PLV2/PLV3)と係数(PLV3/PLV2)との差が小さい。第3変形例では、検出IC51は、ピーク信号値PLV2と閾値THdとの差分、及び、ピーク信号値PLV3と閾値THdとの差分をそれぞれ算出する。差分によって得られた補正信号値PLV2Aは、PLV2A=PLV2-THdである。また、補正信号値PLV3Aは、PLV3A=PLV3-THdである。
【0153】
検出IC51は、補正信号値PLV2A及び補正信号値PLV3Aを用いて新たな係数(PLV2A/PLV3A)及び係数(PLV3A/PLV2A)を算出する。そして、検出IC51は、式(2)又は式(3)において、係数(PLV2/PLV3)及び係数(PLV3/PLV2)に換えて、それぞれ係数(PLV2A/PLV3A)及び係数(PLV3A/PLV2A)を代入する。これにより、第3変形例では、ピーク信号値PLV2、PLV3の係数の差を大きくすることができ、式(2)又は式(3)において、ピーク信号値PLV2、PLV3に応じた補正(重み付け)を確実に行うことができる。
【0154】
(第4変形例)
図28は、第4変形例に係る、入力支援装置の第1電極に対応する複数の正極性領域の軌跡と、第2電極に対応する複数の正極性領域の軌跡とを説明するための説明図である。図28は、入力支援装置3を、回転軸AXを中心に360°回転させた場合に検出される正極性領域の軌跡を示している。
【0155】
図28に示すように、第1電極31に対応する複数の正極性領域PP(31)は、回転軸AXを中心に略円形状の軌跡を示す。一方、第2電極32との関係で生じる複数の正極性領域PP(32)は、4つの領域L1、L2、L3、L4に偏って現れる。4つの領域L1、L2、L3、L4は、回転軸AXを中心とする円周上であって、回転軸AXを通り、第1方向Dx及び第2方向Dyに対して45°程度傾いた仮想線と交差する領域である。
【0156】
図29は、第4変形例に係る、入力支援装置の回転角度と、電極角度との関係を示す変換テーブルの一例を示すグラフである。図29は、横軸が入力支援装置3の回転角度θkを示し、縦軸が電極角度θeを示す。図29に示すように、入力支援装置3の回転角度θkに応じて、第2電極32に対応する複数の正極性領域PP(32)が検出される領域L1、L2、L3、L4が異なる。
【0157】
図28及び図29に示すように、回転角度θkがθk=0°近傍の回転領域R1(第1電極31が複数の正極性領域PP(31-1)に対応する位置にある場合)では、領域L2、L3の2つの複数の正極性領域PP(32)が検出される。
【0158】
回転角度θkがθk=90°近傍の回転領域R3(第1電極31が複数の正極性領域PP(31-2)に対応する位置にある場合)では、領域L3、L4の2つの複数の正極性領域PP(32)が検出される。
【0159】
同様に、回転角度θkがθk=180°近傍の回転領域R5では、領域L1、L4の2つの複数の正極性領域PP(32)が検出される。回転角度θkがθk=270°近傍の回転領域R7では、領域L1、L2の2つの複数の正極性領域PP(32)が検出される。
【0160】
図29に示す回転領域R2では、領域L3の1つの正極性領域PP(32)が検出される。回転領域R4では、領域L4の1つの正極性領域PP(32)が検出される。回転領域R6では、領域L1の1つの正極性領域PP(32)が検出される。回転領域R8では、領域L2の1つの正極性領域PP(32)が検出される。例えば回転角度θkがθk=200°近傍の回転領域R6(すなわち、図28において、第1電極31が複数の正極性領域PP(31-3)に対応する位置にある場合)では、領域L1の1つの正極性領域PP(32)が検出される。また、複数の正極性領域PPの間に、それぞれ負極性領域PMが存在する。これにより、入力支援装置3の第1電極31と第2電極32を含めて正負極性のピークを見た場合、回転領域R1、R3、R5、R7では、6つのピーク(3つの正極性領域PP及び3つの負極性領域PM)が生じ、回転領域R2、R4、R6、R8では、4つのピーク(2つの正極性領域PP及び2つの負極性領域PM)が生じる。
【0161】
検出IC51は、上述したステップST26(図12参照)において、図29に示す変換テーブルを用いて、回転角度θkを算出することができる。第4変形例に示すように、回転領域R1、R3、R5、R7では、2つの正極性領域PP(32)の一方で算出された電極角度θeに基づいて、回転角度θkを算出してもよいし、図25に示す例と同等に、2つの正極性領域PP(32)のそれぞれで算出された2つの電極角度θeに基づいて、回転角度θkを算出してもよい。
【0162】
(第5変形例)
図30は、第5変形例に係る、入力支援装置の中心位置の検出方法を説明するための説明図である。図31は、入力支援装置の回転角度と、入力支援装置の中心と第1電極との距離の誤差との補正テーブルの一例を示すグラフである。
【0163】
図30は、入力支援装置3を、回転軸AXを中心に360°回転させた場合に検出される、第1電極31に対応する複数の正極性領域PP(31)の軌跡と、第2電極32に対応する複数の正極性領域PP(32)の軌跡を、詳細に示した説明図である。また、点線で示す円Cは、回転軸AXを中心とし、一定の半径を有する基準円である。円Cの半径は、第1電極31の重心と、回転軸AXとの間の距離dfと等しい。
【0164】
図30に示すように、矢印ARに示す斜め方向、より具体的には、(1/4)×π±(1/2)×nπ(nは整数)の周期で、複数の正極性領域PP(31)は、円Cよりも外側に検出される。つまり、検出された複数の正極性領域PP(31)と、回転軸AXとの間の距離は、実際の入力支援装置3の距離dfに対して誤差が生じる場合がある。
【0165】
図31は、横軸が入力支援装置3の回転角度θkを示し、縦軸が検出された複数の正極性領域PP(31)の、距離dfとの誤差を示す。検出IC51は、複数の正極性領域PP(31)の軌跡の実測値から求められた、距離dfとの誤差の近似式を、予め格納している。検出IC51は、上述したステップST27(図12参照)で、図31に示す補正テーブルを用いて、回転軸AXの位置(入力支援装置3の中心)を補正することができる。これにより、第5変形例では、入力支援装置3の位置を精度よく検出することができる。
【0166】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0167】
1 入力検出システム
2 表示装置
3、3A、3B、3C 入力支援装置
10 第1基板
20 第2基板
30 ハウジング
31 第1電極
32 第2電極
33 コンデンサ
34 インダクタ
35 LC回路
50 表示IC
51 検出IC
55 検出回路
56 駆動信号供給回路
Rx 検出電極
Tx 駆動電極
PP 正極性領域
PP1 第1正極性領域
PP2 第2正極性領域
PP3 第3正極性領域
PM 負極性領域
PM1 第1負極性領域
PM2 第2負極性領域
PM3 第3負極性領域
KSp、KSp1、KSp2、KSp3、KSm、KSm1、KSm2 信号値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31