(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113112
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220727BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220727BHJP
B65G 49/07 20060101ALN20220727BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 643B
H01L21/304 648A
H01L21/304 651G
H01L21/304 651L
B65G49/07 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194760
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021008847
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131BA12
5F131BA15
5F131BA18
5F131BA37
5F131BB13
5F131CA06
5F131CA07
5F131CA18
5F131CA23
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DC22
5F157AB02
5F157AB20
5F157AB23
5F157AB26
5F157AB33
5F157AB94
5F157AC04
5F157AC23
5F157BB33
5F157CB16
5F157DA43
(57)【要約】
【課題】基板の品質を向上させることができる基板搬送装置及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態は、反りを有する基板Wを搬送する基板搬送装置30であって、基板Wの凹面S1側を支持する円柱部31aを有し、円柱部31aが軸を中心に回転することにより、基板Wを搬送する複数の搬送ローラ31と、搬送ローラ31と同軸に、基板Wの搬送方向Tdに直交する幅方向Xに沿って設けられた第1のシャフト31cと、基板Wの凸面を押える押えローラ32と、押えローラ32と同軸に設けられた第2のシャフト32aと、を備え、搬送ローラ31は、幅方向Xに離間して設けられた2個を1組として、複数組が搬送方向Tdに配置され、各組の2個の搬送ローラ31には、幅方向Xに離間した2本の第1のシャフト31cが設けられ、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離は、搬送方向Tdに沿って短くなっている部分を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反りを有する基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板を凹面側から支持する円柱部を有し、前記円柱部が軸を中心に回転することにより、前記基板を搬送する複数の搬送ローラと、
前記搬送ローラと同軸に、前記基板の搬送方向に直交する幅方向に沿って設けられた第1のシャフトと、
前記基板の凸面を押える押えローラと、
前記押えローラと同軸に設けられた第2のシャフトと、
を備え、
前記搬送ローラは、前記幅方向に離間して設けられた2個を1組として、複数組が前記搬送方向に配置され、
各組の2個の前記搬送ローラには、前記幅方向に離間した2本の前記第1のシャフトが設けられ、
前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離は、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記円柱部の軸方向の長さは、反りの矯正により前記基板の端部が移動する距離以上であることを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ローラは、前記基板の搬送方向に沿う端部に当接可能な鍔状部をさらに有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
各組における2個の搬送ローラ同士の前記幅方向における離間距離は、前記基板の搬送方向に沿って大きくなる部分を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記搬送ローラは、前記基板の端部によって付勢されることにより移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記基板の搬送方向に並ぶ複数の前記第1のシャフト間に設けられ、前記基板の前記搬送方向に沿う端部に付勢されることにより、移動可能なガイドローラを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の基板搬送装置が設けられた矯正室と処理室とを有する基板処理装置であって、
前記矯正室は、前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離が、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有し、
前記処理室は、前記矯正室を通過した前記基板に対して、離間した各組の搬送ローラの間から流体を供給する流体供給部を有することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板搬送装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や半導体デバイスなどの製造工程において、ガラス基板や半導体基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられている。基板処理としては、例えば、レジスト塗布処理、レジスト剥離処理、エッチング処理、洗浄処理、乾燥処理がある。基板処理装置は、複数の搬送ローラにより基板を搬送しながら、その基板に対して、供給ツールによって、例えば、処理液や乾燥用の気体のような処理用の流体を供給して基板を処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送対象となる基板は、通常は平板状の基板であるが、中には反りを有する基板もある。例えば、厚さが1mm程度と薄い基板が処理対象の基板として用いられ、その基板の一方の面に成膜が行われると、基板は膜の応力により反る。このため、基板の一方の面が凹面、他方の面が凸面となる場合がある。このように反りを有する基板が、凹面を上にして、複数の搬送ローラによって反ったままの状態で搬送されると、供給ツールからの処理用の流体が均一に供給されないため、基板に対する処理が不均一となる。このため、例えば、塗布ムラ、剥離ムラ、エッチングムラ、洗浄ムラ、乾燥ムラなどの処理ムラが発生することがあり、基板の品質が低下する。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板品質を向上させることができる基板搬送装置及び基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、反りを有する基板を搬送する基板搬送装置であって、前記基板を凹面側から支持する円柱部を有し、前記円柱部が軸を中心に回転することにより、前記基板を搬送する複数の搬送ローラと、前記搬送ローラと同軸に、前記基板の搬送方向に直交する幅方向に沿って設けられた第1のシャフトと、前記基板の凸面を押える押えローラと、前記押えローラと同軸に設けられた第2のシャフトと、を備え、前記搬送ローラは、前記幅方向に離間して設けられた2個を1組として、複数組が前記搬送方向に配置され、各組の2個の前記搬送ローラには、前記幅方向に離間した2本の前記第1のシャフトが設けられ、前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離は、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有する。
【0007】
また、本発明の実施形態は、前記基板搬送装置が設けられた矯正室と処理室とを有する基板処理装置であって、前記矯正室は、前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離が、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有し、前記処理室は、前記矯正室を通過した前記基板に対して、離間した各組の搬送ローラの間から流体を供給する流体供給部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、基板の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】
図1の矢視A-A´図(A)、矢視B-B´図(B)である。
【
図3】
図1の実施形態の基板搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【
図4】第2の実施形態の基板搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【
図5】第3の実施形態の基板搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【
図6】
図5の実施形態の搬送ローラの構成を示す断面図である。
【
図7】第4の実施形態の基板搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【
図8】
図7の実施形態のガイドローラを示す一部断面図である。
【
図9】他の実施形態の基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
第1の実施形態を、
図1~
図3を参照して説明する。なお、図面の寸法及び形状は実際の基板及び装置を反映した正確なものではなく、理解を容易にするために、誇張して表現している部分が存在する。また、以下の説明では、重力に従う方向を下方、重力に抗する方向を上方とするが、これらの方向は装置の設置方向を限定するものではない。
【0011】
[基板]
図1及び
図2に示すように、本実施形態において、搬送対象、処理対象となる基板Wは反りを有する。基板Wとしては、例えば、ガラス基板などの矩形状の薄型基板が用いられる。基板Wの厚さは、0.5~1.1mm程度であり、基板Wの反り量は7~10mm程度である。図面では、基板Wの短手方向がU字形に反った形状を示しているが、実際の矩形状の基板Wの反りは、基板Wの四方にある。反りにより基板Wの一方の面が収縮し、他方の面が伸張する。収縮することにより窪んだ面を凹面S1、伸張することにより隆起した面を凸面S2とする。本実施形態の基板Wは、凹面S1を処理面とする。例えば、多層基板のように、処理面に回路のパターンPが形成されている基板Wを用いる。なお、基板Wの処理面の外縁付近には、パターンPが形成されていない領域が存在する。処理面のパターンPが形成された領域をパターン形成領域、パターンPが形成されていない領域を非パターン形成領域とする。
【0012】
[基本構成]
本実施形態の基板処理装置10は、基板Wを、凹面S1側を支持して搬送しながら、処理面である凹面S1を処理する装置である。このように、凹面S1が下方、凸面S2が上方となるように搬送すると、基本的には基板Wの端部のみの支持だけで、安定して搬送できる。そして、下の凹面S1に対して処理を行う。この基板処理装置10は、矯正室21、処理室22、基板搬送装置30、流体供給部40、制御部50を有する。矯正室21、処理室22は、それぞれ、基板Wが搬送される搬送路Tを内部に有する筐体であり、基板Wが搬送路Tに沿って内部を通過することが可能に形成されている。矯正室21は、搬送路Tを移動する基板Wの反りを矯正する部屋として機能する。処理室22は、矯正室21において反りが矯正された後、搬送路Tを移動する基板Wを処理するための部屋として機能する。基板Wの処理は、本実施形態では、洗浄と乾燥である。処理室22の底面には、液を排出する排出口(図示せず)が形成されている。
【0013】
基板搬送装置30は、複数の搬送ローラ31と、複数の押えローラ32とを有する。基板搬送装置30は、矯正室21、処理室22の全内部に亘って設けられ、各押えローラ32により基板Wの凸面S2を押えつつ、各搬送ローラ31により凹面S1側を支持して基板Wを搬送する。
【0014】
[基板搬送装置]
(搬送ローラと押えローラの配置)
基板搬送装置30は、凹面S1を下方にして基板Wを搬送する。各搬送ローラ31は、基板Wの搬送方向Tdに沿って搬送路Tの下方に所定間隔で並べられている。各押えローラ32は、それぞれ、各搬送ローラ31に搬送路Tを挟んで離間するように、搬送路Tの上方に位置付けられ、各搬送ローラ31の所定間隔と同じ所定間隔で搬送方向Tdに沿って並べられている。これらの搬送ローラ31及び押えローラ32は、矯正室21、処理室22内に回転可能に設けられており、駆動機構(図示せず)により互いに同期して回転するように構成されている。搬送ローラ31は、
図1において時計回りに回転し、押えローラ32は反時計回りに回転する。
【0015】
搬送路Tを挟んで離間するように配置された搬送ローラ31(本実施形態では2個で1組)と押えローラ32とを1組として、矯正室21内の組ごとの搬送ローラ31と押えローラ32との間の離間距離Hは、搬送方向Tdに沿って下流側に向かって徐々に短くなっており、矯正室21内の搬送路Tの途中で一定になり、そのまま処理室22においても一定になっている。本実施形態において、離間距離Hは、鉛直方向の離間距離である。離間距離Hが一定になっているとは、例えば、基板Wの厚さ以下の基板搬送可能な所定距離となっていることをいう。
【0016】
なお、
図2(A)に示すように、搬送方向Tdの最上流(上流端)に位置する1組の搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離Hは、基板Wの反り量よりも長くなっている。反り量とは、基板Wが載置された平面と、その平面に載置された基板Wの上面との最大鉛直離間距離である。基板Wは、矯正室21において、このような搬送ローラ31及び押えローラ32の間を通過することにより、
図2(B)、
図3に示すように、反りが矯正される。
【0017】
(搬送ローラの具体的構成)
搬送ローラ31は、
図2(A)に示すように、基板Wの凹面S1側を支持する円柱部31aを有し、円柱部31aが軸を中心に回転することにより、基板Wを搬送する。円柱部31aは、例えば、ゴムや樹脂を素材とするローラである。円柱部31aの軸は、搬送方向Tdに直交する幅方向Xに沿う。この円柱部31aを含む搬送ローラ31は、幅方向Xに離間して設けられた2個を1組として、複数組が搬送方向Tdに配置されている。各組の2個の円柱部31aは、同径である。
【0018】
なお、上記の搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離Hは、基板Wに接する部分の距離であり、本実施形態では、円柱部31aの外周面と押えローラ32の外周面との距離である。つまり、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離Hは、搬送ローラ31の一部と押えローラ32との距離である場合を含む。また、本実施形態の搬送路Tは、搬送ローラ31の円柱部31aと押えローラ32との間に位置する。
【0019】
搬送ローラ31は、さらに鍔状部31bを有する。鍔状部31bは、2個の搬送ローラ31における円柱部31aの、互いにX方向外側に位置する端部に、径が大きくなるように設けられた部分である。鍔状部31bは、反りが矯正された後の基板Wの搬送方向Tdに沿う端部に当接可能である。幅方向Xに離間して設けられた1組の搬送ローラ31の鍔状部31bは、互いの間隔を、反りが矯正された基板Wの幅方向Xの長さと同等か、これよりも長くすることが好ましい。
【0020】
さらに、搬送ローラ31には、これと同軸に、搬送方向Tdに直交する幅方向Xに沿って第1のシャフト31cが設けられている。各組の2個の搬送ローラ31に、2本の第1のシャフト31cがそれぞれ、幅方向Xに離間してかつ互いに同軸に設けられている。第1のシャフト31cは、円柱部31aよりも細い径であり、各組の2個の円柱部31aの、互いにX方向外側に位置する端面に固定されている。複数の第1のシャフト31cは、例えば、図示しないヘリカルギヤ(はすば歯車)を有する駆動機構によって、同期して回転可能に設けられている。各組の2個の搬送ローラ31は、どちらも同じ周速で回転駆動される。
【0021】
第1のシャフト31cが回転すると、その第1のシャフト31cに取り付けられた各円柱部31aは、第1のシャフト31cを回転の軸として回転する。搬送ローラ31は、凹面S1側の非パターン形成領域又は基板Wの搬送方向Tdに沿う端部を支持して、搬送方向Tdに搬送する。
図2(A)、(B)に示すように、搬送される基板Wにおける幅方向Xの中央付近の下部には、第1のシャフト31cが無い状態となる。
【0022】
なお、基板Wの反りが矯正されると、平面視における基板Wの幅方向Xの長さが長くなる。そこで、搬送ローラ31の円柱部31aの軸方向の長さaxは、基板Wの平面視での幅方向Xの長さの変化に対応した長さに設定されている。つまり、反りを有する状態での基板Wの端部から、反りが矯正された状態の基板Wの端部までを支持可能な長さとする。
【0023】
例えば、円柱部31aの軸方向の長さax(
図2参照)を、反りの矯正によって、基板Wの搬送方向Tdに沿う端部が移動する距離以上とすることが好ましい。より具体的には、長さaxを、次のような長さとする。
矯正前の基板Wの平面視における幅方向Xの長さ:Lo
矯正された基板Wの平面視おける幅方向Xの長さ:La
とすると、
{(La-Lo)/2}≦ax
【0024】
また、円柱部31aの長さは、矯正された基板Wのパターン形成領域に、円柱部31aが接触しない長さとする。例えば、矯正された基板Wの縁部からパターン形成領域の縁部までの平面視における幅方向Xの長さをpa(
図2(B)参照)とすると、
ax≦pa
とすることが好ましい。
従って、円柱部31aの軸方向の長さaxは、以下の通りとすることが好ましい。
{(La-Lo)/2}≦ax≦pa 式1
【0025】
(押えローラの具体的構成)
押えローラ32は、幅方向Xを軸とする円形である。押えローラ32は、
図2(A)に示すように、基板Wの凸面S2の中央に当接するように、各搬送ローラ31の上方であって、組となる2個の搬送ローラ31の間に存在する空間における幅方向Xの中央に対向して設けられている。押えローラ32には、第2のシャフト32aが同軸に設けられている。第2のシャフト32aは、第1のシャフト31cと平行に配置される。第2のシャフト32aは、押えローラ32よりも細い径であり、基板Wの幅方向Xの長さを超える長さに亘って、矯正室21、処理室22内に、例えば図示しないスパーギヤ(平歯車)を有する駆動機構によって、同期して回転可能に設けられている。
【0026】
第2のシャフト32aが回転すると、その第2のシャフト32aに取り付けられた押えローラ32は、凸面S2を押えながら、第2のシャフト32aを回転軸として回転する。搬送ローラ31と押えローラ32は、どちらも同じ周速で回転駆動させられるように制御される。また、搬送ローラ31の第1のシャフト31cと押えローラ32の第2のシャフト32aとの離間距離を変えることで、組ごとの搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離を、上記のように変えることができる。
【0027】
[流体供給部]
図1に示すように、処理室22には、流体供給部40が設けられている。流体供給部40は、矯正室21を通過した基板Wに対して、離間した各組の搬送ローラ31の間から流体を供給する。流体供給部40は、液噴射部41、気体吹出部42を有する。
【0028】
(液噴射部)
液噴射部41は、搬送路Tを移動する基板Wの処理面に、処理液を噴射して供給する。液噴射部41は、基板搬送装置30による基板Wの搬送を妨げず、搬送路Tを挟んで離間して基板Wに対向するように設けられている。なお、液噴射部41と搬送路Tとの間には、シャフトやローラなどが介在していない。例えば、処理液が液噴射部41により搬送路Tに向けて噴射されると、搬送路Tを移動する基板Wの凹面S1に処理液が供給される。処理液には、目的の処理ごとに洗浄液、剥離液、現像液、リンス液(純水など)が適用される。
【0029】
より具体的には、液噴射部41としては、例えば、複数の貫通孔を有するシャワーパイプや複数のノズルを備えるパイプを用いることができる。本実施形態の液噴射部41は、
図2(B)に示すように、幅方向Xに沿って配置されたパイプに、複数のノズル41aが設けられている。液噴射部41は、
図1及び
図2(B)に示すように、搬送ローラ31の下方に、その長手方向が幅方向Xと平行になるように、搬送方向Tdに複数並べて配置されている。搬送される基板Wの処理面に、ノズル41aの吐出口からシャワー状に処理液が供給される。つまり、ノズル41aは、基板Wの下面に対して上に向けて処理液を吐出する。
【0030】
(気体吹出部)
気体吹出部42は、搬送路Tを移動する基板Wに、例えば、空気又は窒素ガスのような乾燥用の気体を吹き出して供給する。気体吹出部42は、基板搬送装置30による基板Wの搬送を妨げず、搬送路Tを挟んで離間して基板Wに対向するように設けられている。なお、気体吹出部42と搬送路Tとの間には、シャフトやローラなどが介在していない。気体吹出部42は、搬送路Tを通過する基板Wに向けて高圧で気体を吹き出し、基板Wに付着している洗浄液を吹き飛ばして基板Wの処理面を乾燥させる。
【0031】
気体吹出部42は、例えば、
図1及び
図2(B)に示すように、反りが矯正された基板Wの幅Laよりも、長いスリット状の吹出口42aを有するエアナイフである。気体吹出部42は、吹出口42aから搬送方向Tdの上流側に向けて気体を吹き出し、基板Wに付着している液体を吹き飛ばすように設けられている。
【0032】
[制御部]
制御部50は、
図1に示すように、基板搬送装置30、流体供給部40など、基板処理装置10の各部を制御するコンピュータであり、基板搬送及び基板処理に関する各種の情報及びプログラムなどを記憶する記憶部と、各種のプログラムを実行するプロセッサを有する。
【0033】
[動作]
次に、基板処理装置10の動作を説明する。なお、以下の動作は、基板Wを矯正して洗浄液で洗浄し、乾燥する動作の一例である。上記のように、基板処理装置10は、基板搬送装置30の各搬送ローラ31及び各押えローラ32が同期して回転し、各搬送ローラ31上の基板Wは、搬送方向Tdに搬送されて搬送路Tに沿って移動し、矯正室21、処理室22を通過する。
【0034】
図1及び
図2(A)に示す反った基板Wが、その凹面S1側が搬送ローラ31に支持されるように、矯正室21内に挿入されると、回転する各搬送ローラ31により搬送方向Tdに搬送され、搬送路Tに沿って移動していく。矯正室21では、組ごとの搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離が、搬送方向Tdの下流側になるほど短くなっている。このため、基板Wの移動に従って、反った基板Wの下流側(先端側)の上面である凸面S2が、各押えローラ32に順次接触し、基板Wは各押えローラ32によって下方に向けて徐々に押えられていく。
【0035】
基板Wの下流側の凸面S2が各押えローラ32により徐々に押えられていくと、基板Wの上流側の凸面S2も、各押えローラ32に近づいて当接するため、各押えローラ32によって押えられる。このように反った基板Wが搬送路Tに沿って移動していくと、基板Wの下流側から徐々に平らな状態に矯正される。矯正された基板Wは、離間距離Hが一定となる組の搬送ローラ31と押えローラ32とにより挟持され、そのまま平らな状態で次の処理室22に搬送されて行く。
【0036】
処理室22では、各液噴射部41により、搬送路Tの下から洗浄液が予め供給されている液供給状態にある。この液供給状態となった領域を、基板Wが平らな状態で搬送されて通過すると、基板Wの下面に洗浄液が供給されて洗浄される。基板Wから落下した洗浄液は、処理室22の底面を流れて排出口から排出される。
【0037】
さらに、処理室22では、気体吹出部42によって、搬送路Tの下から乾燥用の気体が予め供給されている。この気体供給状態となった領域を、基板Wが平らな状態で搬送されて通過すると、基板Wの下面に付着している処理液が、気体の吹き付けによって吹き飛ばされ、基板Wが乾燥していく。基板Wから吹き飛ばされた処理液は、処理室22の底面を流れて排出口から排出される。
【0038】
[効果]
(1)本実施形態は、反りを有する基板Wを搬送する基板搬送装置30であって、基板Wの凹面S1側を支持する円柱部31aを有し、円柱部31aが軸を中心に回転することにより、基板Wを搬送する複数の搬送ローラ31と、搬送ローラ31と同軸に、基板Wの搬送方向Tdに直交する幅方向Xに沿って設けられた第1のシャフト31cと、基板Wの凸面S2を押える押えローラ32と、押えローラ32と同軸に設けられた第2のシャフト32aと、を備えている。
【0039】
搬送ローラ31は、幅方向Xに離間して設けられた2個を1組として、複数組の搬送ローラ31が搬送方向Tdに配置され、各組の2個の搬送ローラ31には、幅方向Xに離間した2本の第1のシャフト31cが設けられ、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離は、搬送方向Tdに沿って短くなっている部分を有する。
【0040】
また、本実施形態は、基板搬送装置30が設けられた矯正室21と処理室22とを有する基板処理装置10であって、矯正室21には、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離Hが、搬送方向Tdに沿って短くなっている部分を有し、処理室22は、矯正室21を通過した基板Wに対して、離間した各組の搬送ローラ31の間から流体を供給する流体供給部40を有する。
【0041】
本実施形態では、組ごとの搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離Hが搬送方向Tdに沿って短くなっている部分を有している。つまり、下流側になるほど離間距離Hが短くなる部分を有する。これにより、反った基板Wは、各押えローラ32により反り量が徐々に減るように押えられていくので、反った基板Wを各押えローラ32により強制的に、反り量が急激に減るように押え込んで基板Wの反りを抑制する場合に比べ、基板Wの損傷を抑えることができる。従って、基板Wの品質低下を抑制できる。
【0042】
また、基板Wは各押えローラ32によって平らな状態に矯正され、そのまま平らな状態で流体が供給される領域を通過する。つまり、平らな状態の基板Wに対して洗浄処理や乾燥処理が行われる。これにより、基板Wの処理面に処理液や乾燥用の気体を均一に供給することが容易となるので、基板Wを均一に処理できる。従って、基板Wでの洗浄ムラや乾燥ムラの発生を抑えることが可能となるので、基板Wの品質を向上させることができる。例えば、エアナイフなどのスリット状の開口部から、基板Wの幅方向Xの全体に流体を吐出する場合など、供給位置と基板Wまでの距離が、幅方向Xの全体に渡って一定となるので、処理ムラを防止できる。
【0043】
さらに、仮に、基板Wの幅方向Xの全体に亘ってシャフトが設けられていると、流体供給部40から供給された流体がシャフトに当たり、基板Wに届かない部分が発生したり、基板Wに均一に供給されず、基板Wの効率的な処理を妨げる。しかし、本実施形態では、処理面側において、搬送ローラ31及び第1のシャフト31cが幅方向Xに離間して設けられているので、流体供給部40から供給された流体が、搬送ローラ31や第1のシャフト31cによって遮られることが防止される。このため、流体を処理面に均一に当てることができるので、均一な処理が可能となり、基板Wの品質を向上させることができる。
【0044】
(2)円柱部31aの軸方向の長さは、反りの矯正により基板Wの端部が移動する距離以上である。このため、反りを有する基板Wの端部であっても、反りが矯正された基板Wの端部であっても、円柱部31aによる支持が外れてしまうことが防止される。
【0045】
(3)搬送ローラ31は、基板Wの搬送方向Tdに沿う縁部に当接可能な鍔状部31bをさらに有する。このため、基板Wの反りが矯正されるに従って、基板Wが幅方向A1に広がった場合に、基板Wの縁部が鍔状部31bによって規制されるので、基板Wが幅方向A1に大きくずれることが防止される。
【0046】
[第2の実施形態]
第2の実施形態を、
図4を参照して説明する。なお、本実施形態は、基本的には、第1の実施形態と同様の構成であるため、第1の実施形態との相違点について説明し、その他の説明は省略する。
【0047】
本実施形態の基板搬送装置30は、矯正室21において、幅方向Xに離間して設けられた2個の搬送ローラ31同士の離間距離Dが、搬送方向Tdに沿って、徐々に長くなっている部分を有する。なお、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離を徐々に短くしていく部分のみ、各組の搬送ローラ31の離間距離が徐々に長くなっていればよく、矯正室21における矯正後、さらにその後の処理室22では、すでに基板Wは平板状であるため、搬送ローラ31の離間距離Dは一定とする。
【0048】
離間距離Dは、以下のようにすることが好ましい。
矯正前の基板Wの平面視における幅方向Xの長さ:Lo
矯正された基板Wの平面視おける幅方向Xの長さ:La
最小の離間距離Dmin
最大の離間距離Dmax
とすると、
Dmin<Lо 式2
Dmax<La 式3
【0049】
また、各組の搬送ローラ31の鍔状部31bの離間距離をdとすると、以下のようにすることが好ましい。
鍔状部31bの最小の離間間隔dmin
鍔状部31bの最大の離間間隔dmax
dmin≧Lо 式4
dmax≧La 式5
【0050】
そして、円柱部31aの軸方向の長さaxは、反りの矯正による基板Wの端部の移動を考慮する必要はなく、基板Wの端部を支持可能な長さであればよい。
【0051】
以上のように、本実施形態の基板搬送装置30は、各組における2個の搬送ローラ31同士の幅方向Xにおける離間距離Dは、基板Wの搬送方向Tdに沿って大きくなる部分を有する。このように、押えローラ32による基板Wの反りの矯正に従って、搬送ローラ31の離間距離Dが広がることで、基板Wの端部を支持できる。つまり、基板Wの端部の移動を考慮して、搬送ローラ31の円柱部31aの長さを設定する必要がないので、第1の実施形態よりも、円柱部31aの長さを短くすることが可能となり、パターン形成領域に対する搬送ローラ31の接触を防止して、基板Wの品質の低下を抑制できる。第1の実施形態においては、矯正された基板Wの縁部からパターン形成領域の縁部までの平面視における幅方向Xの長さであるpaの長さが、搬送ローラ31の円柱部31aの軸方向の長さaxよりも長いことが必須条件であったが、本実施形態においては、paの長さにかかわらず、基板Wを搬送しつつ基板Wの反りを矯正することができる。
【0052】
[第3の実施形態]
第3の実施形態を、
図5及び
図6を参照して説明する。なお、本実施形態は、基本的には、第1の実施形態と同様の構成であるため、第1の実施形態との相違点について説明し、その他の説明は省略する。
【0053】
本実施形態の基板搬送装置30は、
図5に示すように、搬送ローラ31が、基板Wの端部によって付勢されることにより移動可能に設けられている。本実施形態の矯正室21の搬送ローラ31は、反りが矯正された基板Wの端部によって、搬送路Tから外側に押されると、外側に移動する。つまり、各組の2個の搬送ローラ31同士の離間距離Dは、搬送される基板Wの反りが矯正されるに従って、基板Wの端部に付勢されることにより拡大する。
【0054】
このような搬送ローラ31の構成の一例を、
図6(A)、(B)に示す。すなわち、第1のシャフト31cには、固定部311が設けられている。固定部311は、円筒形状の部材であり、第1のシャフト31cの搬送路T側の端部に挿通されて固定されている。固定部311は、搬送路T側に径の小さい小径部311a、外側に径の大きい大径部311bを有している。
【0055】
搬送ローラ31は、可動部312により構成される。可動部312は、円柱部312a、鍔状部312b、端面312cを有する。円柱部312aは、内部に固定部311を収容する空間が形成された中空の部材である。鍔状部312bは、上記の鍔状部31bと同様に、円柱部312aの搬送路Tと反対側の端部の径が、大きくなった部分である。端面312cは、円柱部312aの搬送路T側の端部の開口を狭めるように、中央に貫通孔が形成された環状の部材である。端面312cの貫通孔には、固定部311の小径部311aが挿通されている。これにより、可動部312は、固定部311の外周に沿って、軸方向に移動可能である。
【0056】
搬送ローラ31の端面312cの内側と、これに対向する大径部311bの端面との間には、付勢部材313が設けられている。付勢部材313は、搬送ローラ31を搬送路T側に付勢する部材であり、小径部311aの円周方向に沿って複数設けられている。付勢部材313としては、例えば、圧縮コイルばねなどの弾性体を用いることができる。
図6(B)に示すように、反りが矯正された基板Wの端部によって、鍔状部312bが外側に付勢されると、搬送ローラ31が外側に移動して付勢部材313が圧縮される。
図6(A)に示すように、基板Wの端部から鍔状部312bが解放されると、付勢部材313の付勢力によって、搬送ローラ31が搬送路T側に復帰する。
【0057】
図5に示すように、移動する搬送ローラ31についての最小の離間距離Dmin、最大の離間距離Dmax、鍔状部312bの最小の離間間隔dmin、鍔状部312bの最大の離間間隔dmaxは、上記の第2の実施形態と同様である。また、第2の実施形態と同様に、円柱部312aの軸方向の長さは、反りの矯正による基板Wの端部の移動を考慮する必要はなく、基板Wの端部を支持可能な長さであればよい。
【0058】
搬送ローラ31は、押えローラ32によって基板Wが矯正されて広がるに従って、外側に移動するので、付勢部材313が縮んだ状態となり、基板Wの端部を支持する。矯正室21を通過した基板Wは、処理室22に搬送され、上記の通り処理を受ける。なお、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離を徐々に短くしていく部分のみ、搬送ローラ31が移動可能に設けられていればよく、矯正室21における矯正後、さらにその後の処理室22では、すでに基板Wは平板状であるため、搬送ローラ31は移動しない構成であってもよい。
【0059】
以上のような本実施形態では、第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、基板Wの広がりに合わせて搬送ローラ31が移動するので、第2の実施形態に比べて、鍔状部312bが基板Wの端部に当接しやすく、より安定して基板Wを搬送できる。また、基板Wの端部が、円柱部312aの表面に接して摺動することを低減できるので、基板Wの傷つきや損傷を抑制できる。さらに、各組の2個の搬送ローラ31は、付勢部材313によって搬送路T側に付勢されるので、基板Wを幅方向Xの中央に揃えて位置ずれを防止できる。このため、流体供給部40による流体の供給位置に対する基板Wのずれが低減し、基板Wの品質低下を抑制できる。
【0060】
[第4の実施形態]
第4の実施形態を、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、本実施形態は、基本的には、第1の実施形態と同様の構成であるため、第1の実施形態との相違点について説明し、その他の説明は省略する。
【0061】
本実施形態の基板搬送装置30は、ガイドローラ314を有する。ガイドローラ314は、基板Wの搬送方向Tdに並ぶ複数の第1のシャフト31cの間に設けられ、基板Wの搬送方向Tdに沿う端部に付勢されることにより、移動可能に設けられている。つまり、ガイドローラ314は、矯正されて広がった基板Wの端部によって押され、外側に移動する。また、搬送ローラ31は、円柱部31aのみを有し、鍔状部31bは持たない。
【0062】
ガイドローラ314は、
図8に示すように、支柱部314a、ローラ部314b、ガイド部314cにより構成される。支柱部314aは、鉛直方向に立ち上げられた円柱形状の部材である。ローラ部314bは、支柱部314aの上端が挿通された円筒形状の部材である。ローラ部314bは、駆動部を有さず、ベアリングを介して支柱部314aに取り付けられることにより、鉛直方向を軸として回動可能に設けられている。ローラ部314bは、その外周が搬送路Tを搬送される基板Wの端部に接離する位置に設けられている。
【0063】
ガイド部314cは、支柱部314aの下端を幅方向Xにスライド移動可能に支持する。ガイド部314cとしては、例えばスライダがガイドに沿って移動するリニアガイドを用いることができる。なお、図示はしないが、ガイド部314cには、支柱部314aを搬送路T側に付勢する付勢部材が設けられている。付勢部材としては、例えば、圧縮コイルばねなどの弾性体を用いることができる。
【0064】
反りが矯正された基板Wの端部によって、ローラ部314bが外側に付勢されると、支柱部314aが外側に移動して付勢部材が圧縮される。基板Wの端部からローラ部314bが解放されると、付勢部材の付勢力によって、ローラ部314bが搬送路T側に復帰する。
【0065】
以上のような本実施形態では、第3の実施形態と同様の効果が得られる。特に、ローラ部314bは、付勢部材によって搬送路T側に付勢されるので、基板Wを幅方向Xの中央に揃えて位置ずれを防止できる。なお、処理室22の搬送ローラ31は、第1の実施形態と同様に、円柱部31aと鍔状部31bを有して移動しない構成としてもよい。
【0066】
[他の実施形態]
(1)搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離Hを、搬送方向Tdに沿って徐々に近くする構成としては、上記の態様には限定されない。第1のシャフト31cと第2のシャフト32aの組ごとの間隔を変える、押えローラ32の径を変える、押えローラ32に取り付けられるOリングの厚みを変える等によって、離間距離Hを調節可能である。また、押えローラ32は、必ずしも駆動機構により駆動させる必要はなく、基板Wの移動に従動して回転する構成であってもよい。
【0067】
(2)上記の態様では、押えローラ32は、搬送方向Tdに直交する幅方向Xに1つとしているが、これに限らず、複数設けてもよい。例えば、各搬送ローラ31に対向する位置に、押えローラ32を1つずつ設けることによって、反りの矯正をスムーズに行うことができる。また、押えローラ32は、フラットタイプのローラとしてもよい。
【0068】
(3)上記の態様では、搬送ローラ31と押えローラ32との離間距離について、1列ずつ徐々に小さくなっていたが、同じ離間距離のものが2列以上並んだ組が含まれた状態で、徐々に小さくなっていくように構成してもよい。
【0069】
(4)押えローラ32にベルトを掛けまわし、ローラコンベアのようにしてもよい。このような構成を採用することにより、押えローラ32のみを使用する場合と比較して基板Wの反りに対して接触する面積が増えるため、より基板Wに損傷を与えることを抑えつつ基板Wの反りを矯正することが可能になる。
【0070】
(5)基板Wの反り量を測定する測定部、各押えローラ32を昇降させる移動機構を設け、測定部により測定した基板Wの反り量に応じて、各組の搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離を調整するようにしてもよい。例えば、測定部により測定した基板Wの反り量が所定値よりも大きい場合には、それらの差に応じて移動機構により押えローラ32を上昇させ、搬送方向Tdの最上流に位置する1組の搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離を、測定した基板Wの反り量よりも大きくし、それに合わせて、反った基板Wを各押えローラ32により徐々に押えるよう、他の組の搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離も調整する。
【0071】
これとは逆に、測定部により測定した基板Wの反り量が所定値よりも小さい場合には、それらの差に応じて、搬送方向Tdの最上流に位置する1組の搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離を、測定した基板Wの反り量に近づけ(反り量以上という条件下で)、それに合わせ、反った基板Wを各押えローラ32により徐々に押えるよう、他の組の搬送ローラ31及び押えローラ32の離間距離も調整する。
【0072】
(6)上記の態様では、矯正と処理を異なる室内で行うことを例示したが、これに限るものではない。矯正と処理を共通の室内で行うようにしてもよい。つまり、上記の態様では、矯正室21の下流に、処理室22を設けたが、
図9に示すように、矯正と処理を同じ矯正室21で行うようにしてもよい。この場合でも、流体供給部40からの流体の供給を受ける部分では、基板Wは矯正されて平板状になっているので、均一な洗浄、乾燥を行うことができる。
【0073】
(7)流体供給部40としては、上記のシャワー状に処理液を吐出するノズル、エアナイフの他、アクアナイフなどでもよく、また流体を吐出するものであれば、とくに使用するツールは限定されない。さらに、これらの複数種のツールを組み合わせて用いてもよい。また、流体供給部40は、基板Wの搬送路Tの上方に設け、基板Wの凸面S2(パターンPが形成されていない非パターン形成面)に処理用の流体を供給してもよい。この場合でも、上記の方法で、基板Wを矯正することで、エアナイフやアクアナイフでの処理の際に、吐出口と基板Wの非パターン形成面との距離を一定にすることができ、好適に処理できる。また、上下両方に流体供給部40を設け、基板Wの両面を処理するようにしてもよい。
【0074】
また、上記流体供給部40のノズルが基板Wの下側から吐出するものである場合には、垂直方向(
図1の紙面右から左へ向かう方向、
図2の紙面下から上へ向かう方向)に吐出すると、基板Wを経由した処理液がノズルにかかり、ノズル自体が汚染することになる。これを防ぐため、ノズルの吐出方向を垂直方向から所定角度傾斜させて吐出させることが有効である。このとき、吐出方向の傾斜角度は、吐出された処理液が基板Wを経由して落下する位置が、隣接するノズルの吐出口にかからない範囲とすることが望ましい。また、上記のように、複数のノズルの吐出方向を傾斜させる場合に、搬送方向Tdに隣接するノズルの組が、互いに向かい合う方向に傾斜して配置されるようにすることによって、基板Wに当たった後の処理液を、互いに向かい合う方向に傾斜した組のノズルの間に落として、ノズルの汚染を防ぐことができる。また、向かい合うノズルから吐出された処理液が基板W上でぶつかり合い、ノズルの間に処理液を落下させるようにすることで、ノズルの汚染を防ぐことができる。さらに、搬送方向Tdに並んだノズルの本数が奇数の場合には、処理室22の入口近傍のノズルの吐出方向を、処理室22外に向けて傾斜させてもよい。
【0075】
(8)上記の態様では、基板処理装置10の処理として、基板Wを洗浄、乾燥する処理を例示したが、処理はこれに限るものではない。液晶基板や半導体基板、フォトマスクなどの製造のため、例えば、レジスト処理装置、露光処理装置、現像処理装置、エッチング処理装置、剥離処理装置を用いるようにしてもよい。これに応じて、処理液としては、各種の薬液を用いることが可能である。
【0076】
(9)上記の態様では、基板Wを水平状態で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、基板Wを傾けて傾斜状態で搬送するようにしてもよく、例えば、基板Wの幅方向Xの一端をその他端よりも高くして基板Wを傾けて搬送するようにしてもよい。
【0077】
(10)上記の態様では、四方に反りがある基板W(四方に反りを有する基板W)を対象に説明したが、これに限るものではなく、例えば矩形のいずれか二辺、三辺に反りがあるものであっても本発明は適用可能である。また、押えローラ32はX方向に沿って複数設けるようにしてもよい。また、押えローラ32を搬送方向Tdに沿って複数個設けるようにしても良い。これにより、例えば、反りを有する辺が多い基板Wほど、反りを矯正するために押圧する箇所が複数個所に分散されることによって、より好適に反りを矯正できる。
【0078】
(11)上記の態様では、
図1に示すように、搬送ローラ31と押えローラ32を支持する、第1のシャフト31cと第2のシャフト32aとを平面視で重なるように構成したが、搬送方向Tdにずらして設けてもよい。この場合でも、互いに平行状態に設けることが好ましい。
【0079】
(12)以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10 基板処理装置
21 矯正室
22 処理室
30 基板搬送装置
31 搬送ローラ
31a、312a 円柱部
31b、312b 鍔状部
31c 第1のシャフト
32 押えローラ
32a 第2のシャフト
40 流体供給部
41 液噴射部
42 気体吹出部
50 制御部
311 固定部
311a 小径部
311b 大径部
312 可動部
312c 端面
313 付勢部材
314 ガイドローラ
314a 支柱部
314b ローラ部
314c ガイド部
T 搬送路
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反りを有する基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板を凹面側から支持する円柱部を有し、前記円柱部が軸を中心に回転することにより、前記基板を搬送する複数の搬送ローラと、
前記搬送ローラと同軸に、前記基板の搬送方向に直交する幅方向に沿って設けられた第1のシャフトと、
前記基板の凸面を押える押えローラと、
前記押えローラと同軸に設けられた第2のシャフトと、
を備え、
前記搬送ローラは、前記幅方向に離間して設けられた2個を1組として、複数組が前記搬送方向に配置され、
各組の2個の前記搬送ローラには、前記幅方向に離間した2本の前記第1のシャフトが設けられ、
鉛直方向における前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離は、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記円柱部の軸方向の長さは、前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離が短くなることにより前記基板の端部が移動する距離以上であることを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ローラは、前記基板の、前記搬送方向に沿う端部に当接可能な鍔状部をさらに有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
各組における2個の搬送ローラ同士の前記幅方向における離間距離は、前記搬送方向に沿って大きくなる部分を有することを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記搬送ローラは、前記基板の、前記搬送方向に沿う端部によって付勢されることにより移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記搬送方向に並ぶ複数の前記第1のシャフト間に設けられ、前記基板の、前記搬送方向に沿う端部に付勢されることにより、移動可能なガイドローラを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の基板搬送装置が設けられた矯正室と処理室とを有する基板処理装置であって、
前記矯正室は、前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離が、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有し、
前記処理室は、前記矯正室を通過した前記基板に対して、離間した各組の搬送ローラの間から流体を供給する流体供給部を有することを特徴とする基板処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態は、反りを有する基板を搬送する基板搬送装置であって、前記基板を凹面側から支持する円柱部を有し、前記円柱部が軸を中心に回転することにより、前記基板を搬送する複数の搬送ローラと、前記搬送ローラと同軸に、前記基板の搬送方向に直交する幅方向に沿って設けられた第1のシャフトと、前記基板の凸面を押える押えローラと、前記押えローラと同軸に設けられた第2のシャフトと、を備え、前記搬送ローラは、前記幅方向に離間して設けられた2個を1組として、複数組が前記搬送方向に配置され、各組の2個の前記搬送ローラには、前記幅方向に離間した2本の前記第1のシャフトが設けられ、鉛直方向における前記搬送ローラと前記押えローラとの離間距離は、前記搬送方向に沿って短くなっている部分を有する。