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特開2022-113154植物性チーズ「プラントリー」を製造するためのシステム及び方法
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  • 特開-植物性チーズ「プラントリー」を製造するためのシステム及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113154
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】植物性チーズ「プラントリー」を製造するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 20/02 20210101AFI20220727BHJP
【FI】
A23C20/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022008871
(22)【出願日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】17/155,978
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517027033
【氏名又は名称】エスピーエックス フロウ テクノロジー デンマーク アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】プラナフ シャー
(72)【発明者】
【氏名】トマ ルロワ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン フェール
【テーマコード(参考)】
4B001
【Fターム(参考)】
4B001AC05
4B001AC20
4B001AC25
4B001AC46
4B001BC03
4B001BC07
4B001BC08
4B001BC99
4B001EC05
(57)【要約】
【課題】パン塗り(クリームチーズタイプ)、熟成(軟質/半硬質)、及びピザトッピングのような植物性チーズを製造するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】植物性チーズを調製するためのシステム及び方法は、植物性チーズ混合物を調製する段階と、その植物性のものを熱交換器に移送する段階と、植物性混合物を熱処理して冷却する段階と、追加材料を動的に混合する段階と、可能であれば植物性チーズ混合物を均質化する段階と、均質化された植物性チーズ製品を包装する段階とを含む。実施形態では、熱処理は、85~95℃の間で行うことができ、冷却する段階は、65~70℃で行われ、均質化は、熱処理の前又は後で行うことができる。関連のチーズ製造装置も開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性チーズを製造する方法であって、
植物性材料と少なくとも1つの酵素とを含む植物性チーズ混合物を調製する段階と、
前記植物性チーズ混合物を熱交換器の中にポンピングする段階と、
熱交換器の前又は後で均質化器を使用する段階と、
前記植物性チーズ混合物を保持時間にわたって熱処理する段階と、
前記植物性チーズ混合物を冷却する段階と、
追加材料を動的に混合する段階と、
前記植物性チーズ混合物を均質化する段階と、
前記均質化された植物性チーズ混合物を包装する段階であって、方法が、前記均質化された植物性チーズ混合物を前記包装する段階まで閉鎖条件下で行われる前記包装する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記植物性チーズ混合物は、無乳製品のものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
調製する段階は、前記植物性材料と前記酵素を真空中で混合して乳化する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合する段階は、700~800rpmの間の撹拌速度で行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
混合して乳化する段階は、50℃よりも低い温度で行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
混合する段階は、10分にわたっての乳化する段階、前記混合物を30分にわたって水和する段階、及び酵素作用を60分にわたって発生させる段階を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
熱処理する段階は、85~95℃で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
冷却する段階は、65~70℃で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
熱処理する段階は、20秒の保持時間にわたって85~95℃で行われ、冷却する段階は、70~80℃で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酵素介入が存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記保持時間は、前記少なくとも1つの酵素を不活性化するのに必要な長さの時間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
熱処理するための前記保持時間は、10~20秒であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
熱処理する段階は、約750rpmで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記追加材料は、酸、植物性細菌培養物、及び塩のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
動的に混合する段階は、最初にスターター又は酸を追加する段階と、次に塩を追加する段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記追加材料は、大気又は人間への露出なしに追加されて混合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
充填する段階は、50℃よりも低い温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
充填する段階は、38~45℃で行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
総生産時間が、2時間未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記植物性チーズ混合物を60~70℃に維持された恒温バッファタンクに移送する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
均質化が、50~60バールの圧力でのシングルステージで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
均質化が、70~80℃の温度での50~200バールの作動圧力で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
植物性チーズを製造するためのシステムであって、
植物性材料を含む植物性チーズ混合物と少なくとも1つの酵素とを組み合わせる真空混合器と、
前記植物性チーズ混合物を移送するための少なくとも1つの容積式ポンプと、
前記植物性チーズ混合物を保持時間にわたって熱処理し、次に前記植物性チーズ混合物を冷却する熱交換器と、
恒温バッファタンクと、
追加材料を追加するための動的混合器と,
前記追加材料を有する前記植物性チーズ混合物と均質化する質化器と、
を含み、
システムが、閉鎖条件下で作動されるように構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記混合器は、真空混合器であることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記混合器は、傾斜タンクを含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
傾斜タンクは、底部装着式高剪断混合器を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記混合器は、前記植物性チーズ混合物の粒径を小さくする内部再循環のための少なくとも1つのポジティブブースターポンプを含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの容積式ポンプは、ステンレス鋼を含むことを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項29】
前記熱交換器は、擦過面熱交換器であることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
前記恒温バッファタンクは、円錐形底部を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項31】
前記恒温バッファタンクは、60~70℃に維持されることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項32】
前記追加材料は、酸、植物性細菌培養物、及び塩のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項33】
前記均質化された植物性チーズ混合物を包装するように構成された包装機を更に含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、パン塗り(クリームチーズタイプ)、熟成(軟質/半硬質)、及びピザトッピングのような植物性チーズを製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズを製造する従来の方法は、生乳、レンネット、カゼイン、及び/又はホエータンパク質のような乳製品及び動物ベースの製品に関わる発酵工程を利用する。チーズ製造工程はまた、例えば、WO2006/030128Al及びWO2008/151820Alに見出される方法のような例えばホエー分離なしの乳粉ベースのものとすることができる。従来のチーズのレシピは、例えば、生産されるチーズのタイプ、材料の入手可能性、最終製品の望ましい質感及び栄養組成などに応じて広く変化する場合があるが、生産工程は、必然的に牛乳ベースの製品及びそれらの特定の化学的構成に関連し、かつそれらに依存する。従って、従来のチーズ製造工程は、使用される乳製品のタイプに応じて特定の多くの場合に労働、時間、及びエネルギ集約的な作動を必要とする。
【0003】
植物性チーズは、乳製品及び他の動物性材料を排除することによってこれらの従来の乳製品ベースのチーズに対する代替品を提供することを目的とするものである。植物性チーズは、植物性タンパク源、植物性脂肪源、及び植物性炭水化物を導出する様々な植物性原材料から製造することができ、かつ多くの場合に従来のチーズの味、質感、及び料理適用において類似とすることができる。植物性チーズの無乳製品性質は、更に、乳製品アレルギー、過敏症、及び食生活懸念を有する個人がチーズ製品及びチーズベースの食品を楽しむことを可能にする。植物性チーズの栄養構成は、多くの場合に、従来の乳製品チーズに比べてコレステロール及び飽和脂肪が有意に少なく、並びにより地球に優しいものである。すなわち、植物性チーズは、望ましい食品になってきている。
【0004】
しかし、乳製品ベースのチーズと植物性チーズの間の基本的組成差異に起因して、従来のチーズ製造方法は、植物性チーズに適用可能とはなっていない。従来の方法は、従来の工程が植物性チーズに利用されないレンネット、ミルク、ミルク関連細菌培養物、及び乳製品のような材料に対して調製されることに主に起因して、類似の特性、例えば、質感、味などを有する植物性チーズ製品を生産することに成功していない。例えば、乳製品ベースのチーズが生産される温度は、本明細書に以下で更に説明するように、植物ベースの工程への適用に対してどの植物性ソースが使用されるかに依存して有意に異なることが見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2006/030128Al
【特許文献2】WO2008/151820Al
【特許文献3】米国特許第10,627,169号明細書
【特許文献4】WO2007/039296
【特許文献5】WO2015/185539A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに加えて、多くの従来のチーズ製造工程は、生産全体を通して材料及び混合物を追加、移送、混合、又は充填するのに多くの場合に手作業を必要とする工程、すなわち、非効率的で時間を消費する工程をもたらす開放工程である。機械式及び自動化工程でさえも、製品は、生産ラインに沿った各点で空気及び/又は他の汚染物質に露出される。従って、従来の開放生産工程は、機械的エラー、誤操作、ユーザエラーのような汚染及び非効率性の機会を与える。すなわち、従来の乳製品ベースのチーズ製造工程に見出される多くの生産上の非効率性を低減又は排除することもできる効率的、衛生的、かつ有効な植物性チーズ製造工程に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示するのは、無乳製品チーズのような植物性チーズ製品を製造するためのシステム及び方法である。本発明の実施形態は、チーズ生産の様々な段階のための手動又は労働集約的な作業に対する必要性を低減又は排除し、廃棄物又は副生成物のいずれの生成又は廃棄物又は副生成物の排出もなしに100%の収率を与える連続かつ閉鎖チーズ製造工程を提供する。本発明の実施形態は、従来のチーズ製造工程と比較して製品を生産する全体時間を短縮する合理化された効率的工程を可能にし、かつシステム及び方法を実施するのに必要な物理的空間、例えば、工場床面積を低減することができる。従来の工程と比較して、本発明の工程に説明するような自動化のレベルは相対的により高く、かつ手動関与なしである。
【0008】
本発明の実施形態は、開始から製品が包装されるまで連続的かつ閉鎖条件下であるような機能を有して設計される。従って、大気又は人間との製品の接触又は露出の欠如に起因して従来の方法に比べて衛生面で有意な利点がある。様々な実施形態は,200から500mbarでの真空下で底部装着式高剪断混合器、例えば、SPXFLOW処理機を備えた傾斜タンクを利用し、すなわち、乳化のための連続的で穏やかな軸方向撹拌及び高剪断混合を提供する。ポジティブブースターポンプは、混合及び内部再循環中に均質な混合物を達成することを支援することができる。
【0009】
様々な実施形態では、タンパク質調製のための植物性材料及び酵素が混合され、次に、例えば低rpm(700~800rpm)で擦過面熱交換器内での保持及び冷却を含む熱温度処理が与えられる。材料の追加、混合、均質化(200~250barでの)、熱処理(又は200~250barでの熱処理後の均質化)、酸性化、動的混合、高温充填がある。パン塗りチーズを製造する場合に、高温充填前の2回目の均質化を50~100バールで予測ことができる。
【0010】
植物性チーズのタイプは、以下に限定されるものではないが、植物性パン塗り(クリームチーズ)タイプ、植物性半硬質チーズ、植物性ピザトッピングチーズを含む。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細説明から明らかであろう。
【0012】
本発明の以上の概要、並びに以下の詳細説明は、添付の図と併せて読む時により良く理解されるであろう。本発明を例示する目的に対して、図は、本発明の実施形態を明らかにている。しかし、本発明は、図示の配置、実施例、及び手段通りには限定されないことを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に議論する実施形態による植物性チーズを製造するための装置を示す図である。
図2】本明細書に議論する実施形態による植物性チーズを製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の開示は、植物性チーズを製造するためのシステム及び植物性チーズを製造する方法を提供する。ある一定の実施形態では、システム及び方法は、開始から製品(植物性チーズが包装される)まで連続的かつ閉鎖条件下であるように特に設計される。
【0015】
本発明の開示により、植物性材料と酵素作用とを含む植物性チーズ混合物を調製する段階と、均質化と、植物性チーズ混合物を熱交換器の中にポンピングする段階と、植物性チーズ混合物を保持時間にわたって熱処理する段階と、植物性チーズ混合物を冷却する段階と、追加材料を動的に混合する段階(酸又はスターターの追加の場合に)と、植物性チーズ混合物を追加で任意的に均質化する段階と、植物性チーズ混合物を包装する段階とを含む植物性チーズを製造する方法を提供する。工程は、閉鎖条件、例えば、高度衛生条件の下で行われる。
【0016】
本発明の開示により、植物性チーズ混合物は、無乳製品のものである。植物性チーズ混合物を調製する段階は、植物性材料を混合かつ乳化する段階を含む。調製は、真空混合物内で行われる場合がある。
【0017】
本発明の開示により、混合する段階は、700~800rpm(又は植物性原材料のタイプに応じてそれよりも高い)の撹拌速度で行われる。製品粘性が高くなると、撹拌機のrpmは、3000rpmまで上げる必要がある。これに加えて、混合物を調製する段階は、50℃よりも低い温度で混合かつ乳化する段階を含む。実施形態では、調製する段階及び混合する段階は、混合物を10分にわたって乳化する段階と、混合物を約30分にわたって水和する段階と、酵素作用を60分にわたって生じさせる段階とを含む。実施形態では、酵素介入が組み込まれる。実施形態では、トランスグルタミナーゼは、酵素介入に利用される酵素とすることができる。酵素は、熱処理の前に使用され、かつその後に熱処理中は阻害される。従って、最終製品には、追加酵素がないことになり、他の添加物(安定剤又はテクスチャライザのような)がレシピに使用されていなければ、最終製品にクリーンラベルとしての分類の可能性を与える。材料の追加、混合、均質化(200~250バールでの)、熱処理(又は200~250バールでの熱処理後の均質化)がある。
【0018】
本発明の開示により、熱処理する段階は、85~95℃付近で行われる。熱処理する段階は、10~20秒である場合がある保持時間にわたって行うことができる。熱処理する段階は、SSHEに対して700~800rpmの擦過器速度で行うことができ、約750rpmの速度で、冷却する段階は、スターターの場合は約38~45℃で行い、一方で有機酸の場合は、冷却する段階は、65~75℃で行われる。
【0019】
本発明の開示により、植物性チーズ混合物に追加材料を加えることができる。追加材料は、有機酸、植物性細菌培養物、及び塩のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0020】
本発明の開示により、追加材料を動的に混合した後、植物性チーズ混合物をバッファタンクに移送することができる。実施形態では、バッファタンクは、恒温バッファタンクである。実施形態では、バッファタンクは、有機酸が追加される場合は60~70℃の温度、及びスターター培養物が追加される場合は38~45℃の温度に維持される。均質化段階は、材料のタイプ及び製造するチーズのタイプに応じて選択される。パン塗りチーズを製造する場合に、高温充填の前に50~100バールで2回目の均質化を行うことができる。
【0021】
本発明の開示により、追加材料は、動的に混合される。実施形態では、動的に混合する段階は、最初にスターター又は酸のうちの少なくとも一方を追加し、次に塩を追加する段階を含む。
【0022】
本発明の開示により、植物性チーズ混合物は、包装容器に充填することができる。実施形態では、混合物は熱充填される。充填は、細菌培養物酸性化の場合に50℃よりも低い温度で行うことができる。一方、有機酸酸性化の場合に、高温充填は、60~70℃で行われる。
【0023】
実施形態により、高温充填の後、製品は、5.0±0.2のターゲットpHが達成されるまで、細菌培養物酸性化の場合は酸性化のための高温室の少なくとも1つに静置され、その後、低温貯蔵室に移動することができる。一方、有機酸による酸性化の場合に、瞬時に必要なpHが達成される。従って、製品は、それを冷却するために低温貯蔵室に移動することができる。
【0024】
実施形態により、総生産時間は、2時間未満であり、かつ90分未満である可能性がある。
【0025】
本発明の開示により、実施形態は、植物性チーズを製造するためのシステムを含む。実施形態は、植物性材料を含む植物性チーズ混合物を少なくとも1つの酵素と組み合わせるための真空混合器と、植物性チーズ混合物を移送するための容積式ポンプ、例えば、ポジティブ容積式ポンプと、植物性チーズ混合物を保持時間にわたって熱処理し、その後、植物性チーズ混合物を冷却するための熱交換器と、恒温バッファタンクのようなバッファタンクと、均質な混合物を有するための動的混合器と、パン塗りチーズの場合はパン塗り質感を有するための均質化器とを含むことができる。
【0026】
本発明の開示により、混合器は、真空混合器とすることができる。混合器は、傾斜型タンク、すなわち、SPXFLOW Flexmix処理機を更に含むことができる。容積式ポンプは、ステンレス鋼を含むことができる。実施形態では、熱交換器は、擦過面熱交換器である。ここで重要なのは、製品と接触する全ての機器面をステンレス鋼で作ることができることである。
【0027】
本発明の開示により、恒温バッファタンクは、円錐形底部を含み、有機酸の酸性化の場合は60~70℃の間の温度に維持され、細菌培養物の酸性化の場合は38~45℃の間の温度に維持される。
【0028】
本発明の開示により、システム、方法、及び装置は、植物性チーズ混合物を包装するように構成された包装機を含むことができる。
【0029】
他の特徴及び利点は、本発明の開示による例示的実施形態の以下の詳細説明から明らかになるであろう。
【0030】
本発明の実施形態は、チーズ製造システム、方法、及び装置を含むことができる。チーズ製造システムは、混合器と、SPXFLOW Flexmix Processorと、加熱手段と、冷却手段と、容積式ポンプのような少なくとも1つのポンプとを含むことができる。これらの構成要素は、様々な構成のいずれかで1又は2以上のデバイス、システム、装置、及びハウジングに配置することができ、かつ植物性チーズを製造する方法に対して構成することができる。
【0031】
図1は、実施形態による植物性チーズ製造システム100を示している。実施形態は、配合110、加熱及び冷却125、バッファ130、混合140、充填145、酸性化150、精製160、及び貯蔵170のための構成要素を含む。好ましくは、システムは、植物性チーズを連続的に製造することができるように構成される。システムはまた、好ましくは、開始から製品の包装(すなわち、貯蔵)まで閉ループ条件下で作動させることができるように構成される。
【0032】
実施形態では、混合物、スターター、粉末、及び/又は粉末、脂肪、油、水、塩、ナッツ(アーモンド、カシューなど)、豆類、オート麦、大豆、他の植物性ソースなどを含むがこれらに限定されない他の材料のような植物性材料を1又は2以上のデバイスで組み合わせて配合110を開始することができる。そのようなデバイスは、真空混合器115、又は固体-液体混合器又は処理機である場合がある他の混合器又は処理機とすることができる。実施形態は、処理機の後に接続されたインライン混合器を更に含むことができる。固体-液体混合及び処理デバイスは、望ましい温度及び剪断速度で固体を液体と混合することができるいずれかの混合器を含むことができる。一例として、SPX Flow TechnologyのFLEX-MIX PROCESSOR混合器があり、高剪断速度羽根車を設置する又はしない場合がある。選択された配合デバイスは、様々な設定値及び混合/処理構成を有することができる。例として、1又は2以上のデバイスは、少なくとも5,000/秒又は少なくとも10,000/秒の剪断速度を提供するために十分な電力を有するべきである。実施形態では、真空混合器のヘッド空間に低圧又は真空を印加するための真空手段がある場合がある。植物性粉末及び他の植物性材料はホッパーから吸引され、脂肪は接続されたバルク容器から吸引される。適応された量は、事前計量されていなければならない。
【0033】
実施形態では、混合器115は、底部装着式高剪断混合器を有する傾斜タンクを含む。この混合器は、部分的に軸方向撹拌機として及び/又は部分的にインライン混合器として機能することができる。混合器は軸方向流れを作り、その流れは、周囲の混合器チャンバ及び/又はポジティブブースターポンプによってタンク内で再循環され、タンクの上で流れをバイパスして再循環させるのに使用される。バイパス流れはタンク内に戻され、傾斜タンクにより、タンク内に液体の回転(強制渦)が生じないことを保証する。
【0034】
実施形態では、タンクは、底部羽根車に供給する軸方向流れの生成と同時に、粒子状製品の丁寧な撹拌と均質な混合を保証する低速回転撹拌器を備えることができる。擦過器ブレードを装着すると、撹拌器は、間接加熱(冷却/加熱ジャケット付きタンク)の際に製品が燃えてタンクの壁に付着することを防ぐことができる。真空を利用して、粉末は、特別粉末入口バルブを通してタンク内に搬送される。
【0035】
植物性チーズ混合物は、真空ポンプで空気及びガスを除去しながら液面下の液体の中に誘導することができる。大きい自由液面は、一般的に混合中に空気を取り入れる従来の混合とは異なり、製品の有効な脱気を提供する。それにより、酸化を抑制し、製品の品質と一貫性を改善することができる。粉末又は他の乾燥物の追加は、タンクの上部に設けられたマンウェイを通して行うことができる。
【0036】
図1に示すように、植物性材料105を組み合わせるために1又は2以上の混合器を利用することが可能である。このようなデバイスの数及び構成は、材料、生産容積、工場床面積、容量、及び混合デバイスの機能に基づいて変えることができる。実施形態では、低温殺菌が必要である場合のように処理機とインライン混合器の間に接続された擦過面熱交換器を使用することができる。別の実施形態では、注入加熱デバイスを熱交換器、例えば、擦過式熱交換器と組み合わせて例えば処理機と混合器の間に接続して使用することができる。このような構成は、植物性チーズ混合物の殺菌に使用される場合がある。
【0037】
配合110の後、混合された材料は、材料を加熱及び冷却することができる熱処理120区域又は機械に移送される。実施形態では、加熱及び冷却のために、衛生熱交換器及び/又は擦過面熱交換器を使用することができる。適用可能な熱交換器の例は、いずれも引用によって本明細書に組み込まれている米国特許第10,627,169号明細書に説明されているSPX FLOWの衛生熱交換器及びWO2007/039,296に説明されている擦過面熱交換器である。
【0038】
植物性チーズ混合物は、予め決められた期間にわたってバッファタンク130に移送することができる。実施形態では、バッファタンクは、恒温バッファタンクである。実施形態では、バッファタンクは、図1に示すような円錐形ベースのような円錐形部分を有する。
【0039】
1又は2以上の追加材料は、注入ポンプのような注入技術補助装置135を通してチーズ混合物に追加することができる。追加材料は、1又は2以上の細菌培養物137a、酸137b、及び塩137cを含むがこれらに限定されない。例示的に、グルコノデルタラクトンのような化学的酸味料が挙げられる。生産補助剤は、植物性チーズ混合物のテクスチャ化を刺激するために追加することができる。
【0040】
追加材料は、動的混合器140を用いて動的に混合することができる。混合物が組み合わされた後、それは、包装のために高温充填ステーション145に移送される。包装されたチーズは、例えば、高温室での酸性化150、精製160、及び低温貯蔵170を受けることができる。
【0041】
充填及び包装に関して、実施形態は、いずれかの望ましい形状及び/又はサイズのチーズを成形して直接分割することができる。この技術は、機械的プレスの除去のおかげで広範な珍しいチーズの形状を得ることができる。従って、本発明の開示は、本発明の開示のプレチーズ混合物を従来の充填方法を使用して又は本発明の開示のチーズ製造装置を使用して望ましい形状のモールドに充填し、直接分割するシステム及び方法も可能にする。一部の実施形態では、チーズをモールドに入れ、次にモールドから取り出し、消費者のための包装に入れることができる。追加の処理は、高温充填中に又はその後に行うことができ、例えば、植物性チーズを塩漬けにする、リンドを得る、及び特別な香料を得る等々を行うことができる。当業者に公知のように、追加のチーズ製造技術を実行することができる。植物性チーズ製品は、様々な半硬質チーズ、パン塗りチーズ、ピザトッピングチーズ、ソフトチーズ、及び他のチーズ製品のいずれかを含むことができる。
【0042】
本明細書で議論するように、開示する植物性チーズ製造システム及び方法は、連続的な閉鎖工程として実施することができる。植物性チーズ製品は、システムの各装置に沿って連続的に生成されて移送されるので、生産ラインに沿って混合物を移送する作業員に対する必要性を低減し、更に排除することができる。植物性混合物は、最初から最後までシステム内に封入されたままであり、すなわち、空気、人間、大気、他の汚染物質への露出を低減及び/又は排除することができる。連続工程は、更に、製品の効率的で合理的な調製を可能にし、複数のバッチを同時に処理することを可能にする。
【0043】
その結果、本発明は、従来のシステムと比較してチーズの調製及び生産時間を有意に短縮し、汚染リスクを低減することができる。このような生産は、植物性チーズ生産の様々な態様を管理、維持、及び/又は運用するために1又は2以上のコンピュータ及び制御システムを使用して完全又は部分的に自動化及びモニタすることができる。自動化は、1又は2以上のチーズバッチの連続した閉鎖生産を可能にすることを更に支援することができる。
【0044】
図2は、植物性チーズ製造工程を工程の各段階を実行するのに使用可能な1又は2以上のデバイスと共に示しており、従来の乳製品ベースのチーズ製造工程と比較した様々な差異及び利点を示している。
【0045】
本明細書で議論するように、植物性チーズ混合物は、混合器、配合器、及びSPX FLOW PROCESSORのような処理機のうちの少なくとも1つを使用して混合及び乳化210を受けることができる。植物性混合物は、物理的作用(例えば、熱処理、均質化混合など)、酵素的作用、及び化学的作用を用いて調製することができる。
【0046】
例として、植物性チーズ混合物の混合及び乳化は、50℃よりも低い、44~48℃の間、及び48℃よりも低い他の範囲の温度で酵素の存在下で行うことができる。混合及び乳化は、乳化のための高い機能と高い剪断とを有する処理機及び混合器を使用して行うことができる。
【0047】
一例として、実施形態により、混合及び乳化は、低圧下又は真空中で行われる。この工程中に、混合物は、様々な長さの時間にわたって乳化、水和、及び酵素作用を受けることができる。例えば、混合は真空中で行われ、乳化には10分、水和には30分、酵素作用には60分が必要である。このような混合は、700~800回転/分、720~780回転/分、740~760回転/分、及び約750回転/分のような様々な撹拌速度で行うことができる。
【0048】
酵素は、混合工程に導入して植物性材料、特に植物性タンパク質の混合、テクスチャ化、及び/又は水和を支援することができる。植物性タンパク質は、酵素の導入によって利益を受けることが見出されている。酵素作用時間の長さは、植物性混合物の材料及び他の材料によって変わる可能性がある。
【0049】
従来の乳製品ベースのチーズ製造と比較して植物性材料の混合及び乳化は、従来のチーズよりも有意に低い混合速度及び低い温度で成功している。例えば、SPXFLOWの特許取得済み工程WO 2015/185539 A1のような乳製品ベースのチーズ工程では、材料は多くの場合に>1500rpmの速度及び48~55℃又はそれよりも高い温度で混合される。これに加えて、従来の乳製品のチーズ製造では、混合物の水和を支援するのに酵素は利用されない。
【0050】
本明細書で議論するように、様々なポンピングシステム、例えば、SPX FLOWのUniversal 3シリーズポンプは、真空混合器115から熱交換器125、バッファタンク130、動的混合器140、及び包装までのような装置間の製品の移送を支援するために実施することができる。そのようなポンピングシステムは、穏やかなポンピング作用を通して植物性チーズ混合物の粘性及び質感を維持することが見出されているポジティブ容積式ポンプを含むことができる。
【0051】
様々な実施形態では、実施されるポンプは、34.5バールの圧力及び149℃まで取り扱うように構成することができ、ポンプの構成及び特性は、より高い滅菌温度のようなより高い温度を取り扱い、様々な圧力及び圧力の範囲に耐えるように変化する場合がある。
【0052】
本発明の開示により、ポンプは、製品ゾーンにベアリングがないように構成することができる。言い換えれば、ポンプは、製品が流れる区域にベアリングを持たない。シャフトの強度は、振動を排除するように構成することができ、実施形態では、鋼、具体的にはステンレス鋼を含むことができる。本体保持ネジは、例えば、検査中にメカニカルシールを維持するために実施される場合がある。様々な実施形態では、ポンプは、本明細書に説明する機能を達成するためにポジティブ容積式ポンプ、遠心式ポンプ、又は様々なタイプ及び組合せのいずれかである場合がある。
【0053】
熱処理及び冷却は、熱交換器を用いて行うことができる。実施形態により、熱交換器は、保持時間にわたって特定の温度を維持しながら植物性混合物を回転及びスピンさせる。擦過面熱交換器は、熱交換器内で回転する1又は2以上のブレードを含み、内面を擦過し、拭き取り、及び/又は実質的に近くに来てそのような面に蓄積された層を除去する。
【0054】
熱交換器、特に擦過面熱交換器での処理は、加熱及び冷却フェーズ中に粘性植物性混合物との熱伝達を支援する。様々な熱交換器及び擦過面熱交換器は、本発明の実施形態に従って実施することができる。例えば、回転管状擦過面熱交換器、往復管状擦過面熱交換器は、本明細書で議論するシステム及び方法の範囲に入る。
【0055】
植物性チーズ混合物の熱処理及び冷却230は、従来のチーズベースの工程と比較して顕著に低い温度及び保持時間で行うことができる。実施形態では、熱処理は、植物性チーズ混合物を設定された保持時間にわたって設定された最終加熱温度まで加熱することによって行われる。熱処理の後、製品は第2の温度まで冷却され、第2の保持時間にわたって第1の速度と同じか又は低い第2の速度(rpm)で回転される。熱交換器内での製品の回転は、製品の粘性及び望ましい質感に応じて変化させることができる。例えば、製品の質感を維持するために、より低い回転速度が望ましい場合がある。
【0056】
本発明の開示により、熱処理は85~95℃付近で行われる。熱処理は、10~20秒とすることができる保持時間にわたって行うことができる。熱処理は、SHEの場合は700~800rpmの擦過器速度で約750rpmの速度で行うことができる。冷却は、スターターの場合は約38~45℃で行われ、有機酸の場合は65~75℃で行われる。追加の実施形態では、熱処理及び冷却は、特定の酵素を不活性化するか又は望ましい温度に達するように調整することができる。例えば、本明細書に示した実施形態に従って植物性混合物内の酵素を不活性化するために85~95℃の第1の温度での混合物の熱処理を実施することができる。他の実施形態では、熱処理は、特定の貯蔵期間にわたる安定性を保証するために85~95℃の温度に達する場合がある。
【0057】
熱処理及び冷却に続いて、追加材料240が混合物に追加される。追加は、インライン混合及びポンピング250を達成するための様々なデバイス及び装置を通して行うことができる。例えば、1又は2以上の容積式ポンプ225は、熱処理及び冷却された混合物に材料を追加することができる。次に、動的混合器255は、材料が混合物と完全に組み合わされることを保証する。
【0058】
実施形態では、追加材料240は、酸、植物性細菌培養物を含む細菌培養物、及び塩のうちの1又は2以上を含む。製品の植物ベースの性質を維持するために、乳製品又はレンネットのような動物ベースの製品は混合物に追加されない。実施形態では、グルコノデルタラクトン(GDL)及び/又は他の酸が、植物性細菌培養物及び塩と共に追加される。一例では、0.2%のスターター混合物又は酸が最初に、次に塩が追加される。塩はまた、最初の段階、すなわち、工程の開始時に処理機に追加することができる。
【0059】
本発明の開示の実施形態により、追加材料は、SPX FLOW動的混合器のような動的混合器を用いて追加することができる。混合器は、高い剪断を効率的に印加して均質最終製品を保証するように設計することができる。
【0060】
追加材料を含む植物性混合物は粘性であり、すなわち、混合デバイス、例えば、動的混合器は、高い粘性に耐えるべきであり、理想的には植物性混合物に新しい材料を追加した直後に実施される。例として、混合器は、15.000cpまでの粘性に耐えることができる。混合温度は、有機酸の酸性化の場合は60℃の混合温度、又は製品及び植物性チーズのタイプに応じてそれよりも低い温度で発生する可能性がある。混合温度は、細菌培養物を有する製品に対して~38~45℃とすることができる。
【0061】
植物性混合物は、効率的な混合及び配合を保証するために緩衝及び任意的な均質化260を受ける。この工程は、混合工程全体を通して行うことができる。実施形態では、本明細書に説明するようなポジティブ容積式ポンプのようなポンプは、組み合わされた混合物をバッファタンクに移送することができる。しかし、本明細書に説明する効果を達成するために別々のバッファタンク及び任意的な均質化段階を利用する段階は本発明の開示の範囲内である。
【0062】
例として、バッファタンク265は、円錐形底部を有する恒温バッファタンクとすることができる。恒温バッファタンクは、第1の維持温度、例えば、有機酸を有する製品の場合は60~70℃、細菌培養物を有する製品の場合は38~45℃に維持することができる。植物性チーズ混合物の望ましい平均粒径及び均一分布及び望ましい質感を保証するために複数の均質化器のいずれかを適用して実施することができる。
【0063】
均質化は、更に、各段が異なる圧力を有する1又は2以上の段で行うことができる。例えば、第1の均質化段は、約200バールの圧力で行われ、第2の段は、より低い圧力、例えば、50バールで行うことができる。均質化は、シングルステージで行うこともできる。例えば、大豆をベースにした植物性チーズ製品は、50バールで、50~60バールの範囲内で、又は50~200バールの範囲で、シングルステージで均質化することができる。温度は、70~80℃に維持される場合がある。適用可能な均質化器の例は、SPX FLOW APV均質化器及びSPXFLOW設計のバッファタンクを含むがこれらに限定されない。
【0064】
植物性チーズ製品の高温充填及び包装化270は、例えば、パン塗りチーズでは、可能な均質化の後に行うことができる。他のチーズでは、高温充填は、均質化段階なしにバッファタンクから直接行うことができる。実施形態では、植物性チーズ製品は、包装機275を用いて充填温度で充填される。包装機275は、植物性チーズ混合物を貯蔵、消費などのためにモールド又は小売包装化などに移送する。包装中の充填温度は、チーズ製品のタイプ、製品に加えられている追加添加物、又は製品の貯蔵場所などに応じて修正することができる。例えば、充填温度は、細菌酸性化時の包装作動では38~45℃とすることができ、又はGDLの場合はより高い温度がモールド又は小売包装化で発生することになる。
【0065】
実施形態では、包装された製品は、数時間、例えば、細菌培養物追加の場合は一晩にわたって酸性化し、その後に低温貯蔵に移送される。酸性化は、植物性チーズ製品が望ましいpHに到達するのに必要な期間にわたって行うことができる。製品が望ましい質感に達することを保証するために更に別の処理を適用することができる。
【0066】
実施形態では、本発明の開示により、ピギングシステムを追加することができる。ピギングシステムは、製品損失及びCIP時間持続時間を最小にする。植物性チーズは非常に粘性の高い製品であるので、処理ラインから充填ラインまでの距離ができるだけ最小に維持されるように処理ラインを設計しなければならない。様々な実施形態では、擦過器は、例えば、圧縮空気、水、又は他の洗浄剤と共にシステムのパイプを通過する。そのようなピギングシステムは、システム内の蓄積を減少又は排除し、かつ洗浄、衛生、及び保守を支援することができる。1又は2以上のピギングシステム及び構成要素は、チーズ製造システムに沿った1又は2以上の点で追加することができる。実施形態では、ピギングシステムは、無菌ピギングシステムとすることができる。
【0067】
材料の初期混合及び乳化から包装までの総生産時間は、2時間未満、又は1.5時間未満とすることができる。本明細書で議論する植物ベースのシステム及び方法の閉鎖的で連続的な性質は、製品の複数のバッチを同時に生成することを可能にする。例えば、植物性原材料及び植物性食材、並びに植物性脂肪、並びに酵素の新しいバッチは、第2のバッチが熱処理と冷却を受けている間、第3のバチが均質化を受けている間、及び第4のバッチが包装されている間に混合されて乳化することができる。実施形態では、工程は連続的に行われ、植物性混合物の人間及び/又は大気との露出又は接触はない。
【0068】
本発明の付番実施形態
本発明の例示的付番実施形態を以下に示す:
1.植物性材料及び少なくとも1つの酵素を含む植物性チーズ混合物を調製する段階と、植物性チーズ混合物を熱交換器の中にポンピングし、かつ任意的に均質化を含む段階と、植物性チーズ混合物を保持時間にわたって熱処理する段階と、
植物性チーズ混合物を冷却する段階と、追加材料を動的に混合する段階と、可能であれば植物性チーズ混合物を均質化する段階と(植物性パン塗りチーズに対して)、均質化された植物性チーズ混合物を包装する段階であって、方法が、均質化された植物性チーズ混合物の包装化まで封入条件の下で実施される上記包装する段階とを含む植物性チーズを製造する方法。
2.植物性チーズ混合物が、無乳製品のものである実施形態1の方法。
3.調製する段階が、植物性材料と酵素を真空中で混合及び乳化する段階を含む実施形態1又は2の方法。
4.混合する段階が、700~800rpmの間の撹拌速度で行われる実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.混合する段階及び乳化する段階が、<50℃の温度で行われる実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.混合する段階が、10分にわたって乳化する段階と、30分にわたって水和する段階と、60分にわたって酵素作用を発生させる段階とを含む実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.熱処理する段階が、85~95℃で行われる実施形態1~6のいずれか1つの方法。
8.冷却する段階が、65~70℃で行われる実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.熱処理する段階が、20秒の保持時間にわたって85~95℃で行われ、冷却する段階が、70~80℃で行われる実施形態1~8のいずれか1つの方法。
10.酵素は、トランスグルタミナーゼとすることができ、酵素作用は、予測することができる実施形態1~10のいずれか1つの方法。
11.保持時間は、少なくとも1つの酵素を不活性化するのに必要な長さの時間である実施形態1~10のいずれか1つの方法。
12.熱処理のための保持時間が、10~20秒である実施形態1~11のいずれか1つの方法。
13.熱処理が、約750rpmで行われる実施形態1~12のいずれか1つの方法。
14.追加材料が、酸、植物性細菌培養物、及び塩のうちの少なくとも1つを含む実施形態1~13のいずれか1つの方法。
15.動的に混合する段階が、最初にスターター又は酸を追加し、次に塩を追加する段階を含む実施形態1~14のいずれか1つの方法。
16.追加材料が、大気又は人間への露出なしで追加かつ混合される実施形態1~14のいずれか1つの方法。
17.充填する段階が、<50℃で行われる実施形態1~16のいずれか1つの方法。
18.充填する段階が、38~45℃の時に行われる実施形態17の方法。
19.総生産時間が、2時間未満である実施形態1~18のいずれか1つの方法。
20.植物性チーズ混合物を60~70℃又は38~45℃に維持された恒温バッファタンクに移送する段階を更に含む実施形態1~19のいずれか1つの方法。
21.均質化が、50~60バールの圧力でのシングルステージで行われる実施形態1~20のいずれか1つの方法。
22.均質化が、70~80℃の温度で50~200バールの作動圧力で行われる実施形態1~21のいずれか1つの方法。
23.植物性材料を含む植物性チーズ混合物と少なくとも1つの酵素とを組み合わせる真空混合器と、植物性チーズ混合物を移送するための少なくとも1つの容積式ポンプと、植物性チーズ混合物を保持時間にわたって熱処理し、次に植物性チーズ混合物を冷却する熱交換器と、恒温バッファタンクと、追加材料を追加するための動的混合器と、追加材料を有する植物性混合物を均質化する均質化器とを含み、システムが閉鎖条件下で作動されるように構成される植物性チーズを製造するためのシステム。
24.混合器が、真空混合器である実施形態23のシステム。
25.混合器が、傾斜タンクを含む実施形態23又は24のシステム。
26.傾斜タンクが、底部装着式高剪断混合器を含む実施形態23~25のいずれか1つのシステム。混合器が、植物性チーズ混合物の粒径を小さくする内部再循環のための少なくとも1つのポジティブブースターポンプを含む請求項23のシステム。
27.少なくとも1つの容積式ポンプが、ステンレス鋼を含む実施形態23~27のいずれか1つのシステム。
28.熱交換器が、擦過面熱交換器である実施形態23~28のいずれか1つのシステム。
29.恒温バッファタンクが、円錐形底部を含む実施形態23~29のいずれか1つのシステム。
30.恒温バッファタンクが、60~70℃又は38~45℃に維持される実施形態23~30のいずれか1つのシステム。
31.追加材料が、酸、植物性細菌培養物、及び塩のうちの少なくとも1つを含む実施形態23~31のいずれか1つのシステム。
32.均質化された植物性チーズ混合物を包装するように構成された包装機を更に含む実施形態23~32のいずれか1つのシステム。
【0069】
本発明の特定の実施形態の説明は、特許請求の範囲によって定められる保護の範囲を限定することを意図していないことは明らかである。当業者が本明細書を読むことによって気付くであろう明らかな代替物は、特許請求の範囲によって定められるような保護の範囲にあることが意図されていることも明らかである。
【0070】
特許請求の範囲に使用される用語「含む」は、他の要素又は段階を除外しない。特許請求の範囲に使用される用語「a」又は「an」は、複数を除外しない。
【0071】
本発明による実施形態を例示目的で詳細に説明したが、そのような詳細は単にその目的のためのものであり、かつ本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって変形をそこに為すことができることは理解される。
【符号の説明】
【0072】
100 植物性チーズ製造システム
115 真空混合器
125 加熱及び冷却のための構成要素
130 バッファ
140 動的混合のための構成要素
図1
図2
【外国語明細書】