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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113459
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】配線基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220728BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20220728BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H01L21/92 602H
H01L21/92 604M
H05K1/09 C
H05K3/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009732
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修平
(72)【発明者】
【氏名】川合 悟
【テーマコード(参考)】
4E351
5E343
【Fターム(参考)】
4E351AA03
4E351AA07
4E351AA11
4E351AA13
4E351BB01
4E351BB30
4E351BB33
4E351CC07
4E351DD04
4E351DD06
4E351DD19
4E351DD21
4E351GG02
4E351GG15
5E343AA02
5E343AA17
5E343AA18
5E343AA22
5E343AA23
5E343AA26
5E343BB24
5E343BB44
5E343BB48
5E343BB52
5E343BB67
5E343BB71
5E343DD33
5E343DD52
5E343DD63
5E343FF16
5E343GG01
5E343GG18
(57)【要約】
【課題】導体パッドを有する配線基板の接続信頼性の向上。
【解決手段】実施形態の配線基板は、第1絶縁層10と第1導体層11と第1絶縁層10および第1導体層11の上に形成されている被覆絶縁層12と含み、被覆絶縁層12は、第1導体層11の一部を露出して該一部からなる第1導体パッド111を画定する第1開口12aを備え、第1導体パッド111の表面と、第1開口12aの内壁面と、被覆絶縁層12の表面である第1面の第1開口12aの周囲とを被覆するバリアメタル層17が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成されている第1導体層と、
第1面および前記第1面の反対面である第2面を有し、前記第2面を前記第1絶縁層および前記第1導体層に接するように、前記第1絶縁層および前記第1導体層の上に形成されている被覆絶縁層と
を有する配線基板であって、
前記被覆絶縁層は、前記第1導体層の一部を露出して前記一部からなる第1導体パッドを画定する第1開口を備え、
前記第1導体パッドの表面と、前記第1開口の内壁面と、前記被覆絶縁層の第1面の、前記第1開口の周囲とを被覆するバリアメタル層が形成されている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記バリアメタル層は、無電解めっき膜で形成されている。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記バリアメタル層は、前記第1導体パッドとは異なる金属材料で形成されている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体パッドが銅からなり、前記バリアメタル層がニッケルを主成分とする金属からなる。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体パッドが銅からなり、前記バリアメタル層がNi/Pd/Auである無電解めっき膜からなる。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体パッドの表面における前記バリアメタル層の厚さが2μm以上であって、10μm以下である。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1導体パッドの表面における前記バリアメタル層の厚さが、前記第1開口の内壁面における前記バリアメタル層の厚さよりも厚く、
前記第1開口の内壁面における前記バリアメタル層の厚さが、前記被覆絶縁層の第1面における前記バリアメタル層の厚さよりも厚い。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記バリアメタル層上に第1バンプが形成されている。
【請求項9】
第1絶縁層上に第1導体層を形成することと、
前記第1絶縁層および前記第1導体層上に被覆絶縁層を形成することと、
前記被覆絶縁層に前記被覆絶縁層の表面側から前記被覆絶縁層を貫通する第1開口を形成することによって前記第1開口に露出する第1導体パッドを画定することと、
触媒材を前記第1導体パッド上、前記第1開口の内壁面上および前記被覆絶縁層の表面上に付着させることと、
前記触媒材を部分的に除去することと、
前記触媒材が付着した、前記第1導体パッド上、前記第1開口の内壁面上および前記被覆絶縁層の表面上に無電解めっきによって金属膜を形成することと
を含んでいる、配線基板の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の配線基板の製造方法であって、
前記触媒材を部分的に除去することは、水洗により前記被覆絶縁層の表面上に付着している前記触媒材の量を調整することを含んでいる。
【請求項11】
請求項9記載の配線基板の製造方法であって、前記金属膜を形成することは、前記被覆絶縁層の前記表面のうちの前記第1開口の周囲の領域を被覆するように金属膜を形成することを含んでいる。
【請求項12】
請求項9記載の配線基板の製造方法であって、前記金属膜の形成が、前記第1導体パッドとは異なる金属を材料として行われる。
【請求項13】
請求項12記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導体パッドの形成が銅を主成分とする金属を材料として行われ、前記金属膜の形成が、ニッケルを主成分とする金属を材料として行われる。
【請求項14】
請求項12記載の配線基板の製造方法であって、前記第1導体パッドの形成が銅を主成分とする金属を材料として行われ、前記金属膜の形成が、無電解Ni/Pd/Auめっきにより行われる。
【請求項15】
請求項9記載の配線基板の製造方法であって、前記金属膜上に金属バンプを形成することをさらに含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソルダーレジスト層の一部が開口された半田パッドが形成され、半田パッドから露出した導体回路の表層に複合層が施され、複合層上に半田バンプを備える多層プリント配線板が記載されている。複合層は、ニッケル層-ニッケル合金層またはニッケル層-パラジウム層-Au層を導体回路上に順次形成ですることによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-114706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリント配線板では、半田をリフローした際に、ニッケル層と半田バンプとの界面に、Niと半田組成金属とのNi合金層が形成される。このNi合金層によりニッケル層と半田バンプとの接合強度が高められている。Ni合金層はソルダーレジスト層から露出した半田パッドの表面上にしか形成されないため、接合強度が不十分である場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成されている第1導体層と、第1面および前記第1面の反対面である第2面を有し、前記第2面を前記第1絶縁層および前記第1導体層に接するように、前記第1絶縁層および前記第1導体層の上に形成されている被覆絶縁層とを有している。そして、前記被覆絶縁層は、前記第1導体層の一部を露出して前記一部からなる第1導体パッドを画定する第1開口を備え、前記第1導体パッドの表面と、前記第1開口の内壁面と、前記被覆絶縁層の第1面の、前記第1開口の周囲とを被覆するバリアメタル層が形成されている。
【0006】
本発明の配線基板の製造方法は、第1絶縁層上に第1導体層を形成することと、前記第1絶縁層および前記第1導体層上に被覆絶縁層を形成することと、前記被覆絶縁層に前記被覆絶縁層の表面側から前記被覆絶縁層を貫通する第1開口を形成することによって前記第1開口に露出する第1導体パッドを画定することと、触媒材を前記第1導体パッド上、前記第1開口の内壁面上および前記被覆絶縁層の表面上に付着させることと、前記触媒材を部分的に除去することと、前記触媒材が付着した、前記第1導体パッド上、前記第1開口の内壁面上および前記被覆絶縁層の表面上に無電解めっきによって金属膜を形成することとを含んでいる。
【0007】
本発明の実施形態によれば、ソルダーレジストと導体パッドとの剥離などの不良の発生が抑制され、かつ、導体パッドとその上に形成される半田との接合強度が向上されている信頼性の高い配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を部分的に示す断面図。
図2】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を部分的に示す断面図。
図3A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図3B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図3C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図3D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図3E】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図3F】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1には、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の一部の断面図が示されている。配線基板1は、図1に示されるように、第1絶縁層10と、第1導体層11と、第1絶縁層10および第1導体層11の上に形成されている被覆絶縁層12と、を備えている。被覆絶縁層12は、第1面12Fおよび第1面12Fと反対側の第2面12Sを備え、第2面12Sを第1絶縁層10および第1導体層11に向けて、第1絶縁層10および第1導体層11上に積層されている。被覆絶縁層12には、第1導体層11の一部を露出して該一部からなる第1導体パッド111を画定する第1開口12aが形成されている。第1導体パッド111上に、第1バンプ21が形成されている。第1バンプ21は、被覆絶縁層12の第1面12Fから突出している。
【0010】
なお、本実施形態の配線基板1の説明では、第1絶縁層10と第1導体層11との関係において第1導体層11がある側すなわち紙面における上側を「上側」または単に「上」と称する。したがって、例えば被覆絶縁層12の上面とは、被覆絶縁層12の第1面12Fを指す。
【0011】
第1絶縁層10は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂材料によって形成される。有機樹脂材料は、補強材などを含まないエポキシ樹脂などでもよいが、ガラス繊維のような補強材にエポキシまたは他の樹脂組成物を含浸させた材料であってもよい。エポキシなどの樹脂組成物には、シリカなどの無機フィラーが含有されていてもよい。また、第1絶縁層10はセラミックやシリコン、ガラス等の無機材料で形成されていてもよい。第1絶縁層10は、図1に示されるように、単層であってもよく、また、積層構造すなわち2以上の絶縁層とこれらの絶縁層間に挟まれて積層されている1または2以上の導体層とによって構成されているビルドアップ層であってもよい。第1絶縁層10がビルドアップ層である場合、ビルドアップ層の絶縁層は、各絶縁層の両側の導体層同士を接続するビア導体を含んでいてもよい。
【0012】
第1導体層11は、所望の導体パターンを含むようにパターニングされている。図1には、被覆絶縁層12の第1開口12aによって配線基板1の第1導体層11に画定されている第1導体パッド111が示されている。第1導体層11は、導電性金属で形成されていればよく、例えば銅で形成されている。第1導体層11の厚さは、例えば、3μm以上であって、20μm以下程度である。
【0013】
被覆絶縁層12は、例えばソルダーレジスト層であってもよい。このようなソルダーレジスト層を構成する材料としては、感光性エポキシ樹脂が例示される。しかしながら、被覆絶縁層12は、絶縁性の樹脂フィルムで形成されていてもよい。上述のように、被覆絶縁層12には、被覆絶縁層12を貫通して第1導体層11に至る第1開口12aが形成されている。第1開口12aの形成によって、第1開口12aに露出する第1導体パッド111が画定されている。
【0014】
第1開口12aの内壁面は、第1導体パッド111の上面に対し直角に交差する略一定内径の円筒状に形成されている。第1開口12aは、例えば、被覆絶縁層12の材料として感光性のソルダーレジストを用いて、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより形成され得る。また、第1開口12aは、ドライエッチング、プラズマエッチング、ライトエッチング等のエッチングを行い、その後にアルカリ脱脂処理を施すことで形成されてもよい。
【0015】
第1開口12aは、開口内壁面が第1導体パッド111の表面に対し直線的に交差する倒立裁頭円錐状となるように形成されていてもよい。図2には、このような形状を有する第1開口12aの一例が示されている。このような第1開口12aは、例えば、レーザー光照射の方法を用いても形成され得る。レーザーによる開口の形成は、被覆絶縁層12の第1面12FからCO2レーザー光、UVレーザー光等を照射することにより行われる。開口の径は、レーザー光の照射側で大きく、レーザー光の照射側と反対側(奥側)では小さくなる。したがって、被覆絶縁層12の第1面12Fからレーザー光が照射されると、第1開口12aの上側の径(幅)が大きく、下側の径(幅)が小さく形成される。なお、便宜上「径」という用語が用いられているが、被覆絶縁層12の開口および導体パッドの平面形状は円形に限定されない。例えば、楕円形や正方形または正方形以外の多角形などの平面形状に形成されていてもよい。これらは任意の平面形状を有し得る。したがって、被覆絶縁層12の開口の「径」は、被覆絶縁層12の開口の周縁の2点間の距離の内、最大の値を意味している。また、ここで、「平面形状」とは、配線基板1の厚さ方向と平行に対象物を見た場合、すなわち対象物の平面視における形状を意味している。
【0016】
図1に示されるように、本実施形態の配線基板1では、第1開口12aによって第1導体層11に画定されている第1導体パッド111上に、バリアメタル層17が形成されている。バリアメタル層17は、第1開口12aから露出されている第1導体層11の表面と、第1開口12aの内壁面と、被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの周囲の領域とを被覆している。
【0017】
バリアメタル層17は、第1導体層11とは異種の金属により形成されている。例えばバリアメタル層17の材料としては、ニッケルを主成分とする金属が例示され得る。好ましくは、バリアメタル層17は、無電解めっきによって形成される金属膜である。したがって例えば、バリアメタル層17としては、無電解ニッケルめっき膜が例示される。しかし、バリアメタル層17は、第1導体層11とは異種であれば、ニッケル以外の金属からなる無電解めっき膜であってもよい。例えば、バリアメタル層17は、Ni/AuやNi/Pd/Auなどの無電解めっき膜で形成されていてもよい。図2には、一例として、無電解Ni/Pd/Auめっき膜17a、17b、17cにより形成されているバリアメタル層17が示されている。
【0018】
図1に示されている例では、バリアメタル層17が設けられた後、リフローなどを経て、バリアメタル層17上に第1バンプ21が形成されている。バリアメタル層17を第1導体層11とは異種の金属で形成することにより、第1導体層11を構成する金属(例えば銅)が、その上に形成される第1バンプ21中へと拡散することが防止され得る。第1導体パッド111と第1バンプ21との間において良好な接合特性が得られると考えられる。
【0019】
バリアメタル層17が、第1導体パッド111上だけではなく、第1開口12aの内壁面上および被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの周囲にも形成されているため、その上に形成される第1バンプ21とバリアメタル層17との接着面積が大きくなる。第1バンプ21とバリアメタル層17との密着性が高められる。第1バンプ21と第1導体パッド111とのあいだの向上された接着強度が得られると考えられる。
【0020】
さらに、バリアメタル層17が、第1開口12aの内壁面全体を被覆していることから、バリアメタル層17が第1導体パッド111上のみに形成されている場合と比較して、バリアメタル層17と第1開口12aの内壁を構成している被覆絶縁層12との間への、めっき液や洗浄液などの液体のしみこみが低減される。さらに、バリアメタル層17が被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの外周に沿った領域も覆っているため、バリアメタル層17と被覆絶縁層12との間への液侵入リスクは、さらに低減されると考えられる。第1バンプ21の第1導体パッド111への接合信頼性が向上し、接続信頼性の高い配線基板1が得られると考えられる。
【0021】
バリアメタル層17の厚さは、例えば、2μm以上であって、10μm以下程度である。この程度の厚さのバリアメタル層17であれば、第1導体層11を構成する金属の第1バンプ21中への拡散を良好に防止し、かつ、第1バンプ21との充分な接合をもたらすためのバリアメタル層17自体の剛性も保たれる。なお、バリアメタル層17は、図2に示されているように、第1導体パッド111の表面上で最も厚く、そして被覆絶縁層12の第1面12F上で最も薄い厚さを有していてもよい。すなわち、バリアメタル層17は均一な厚さを有していなくてもよい。図2に示されている例では、第1導体パッド111の表面におけるバリアメタル層17の厚さt1、第1開口12aの内壁面におけるバリアメタル層17の厚さt2、および被覆絶縁層12の第1面12Fにおけるバリアメタル層17の厚さt3が、t1>t2>t3であるバリアメタル層17が形成されている。このような場合、第1導体パッド111の表面におけるバリアメタル層17の厚さt1が、2μm以上であって、10μm以下程度であることが好ましい。
【0022】
第1バンプ21は、例えばバリアメタル層17上に半田ペーストを配置し、リフローすることにより形成される金属バンプである。半田の成分としては、バリアメタル層17の材料と合金を形成し得る成分であればよく、特に限定されない。例えば、Niを主成分とする材料でバリアメタル層17が形成されている場合、Sn、Ag、Cu、Pb、Sb、Bi、Zn、Inなどの金属が半田の成分として例示される。
【0023】
第1バンプ21は、図示しない電子部品などの配線基板1への実装に用いられる。電子部品は、第1バンプ21の突出部を介して、配線基板1の第1導体パッド111と電子部品の電極とが接続されることによって実装される。したがって、配線基板1の第1バンプ21および第1導体パッド111の大きさおよび配置は、実装される電子部品の電極のサイズや配置に合わせたものとされ得る。
【0024】
第1バンプ21は、バリアメタル層17上に形成されている。したがって、被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの周囲を被膜しているバリアメタル層17上にも第1バンプ21が形成されている。すなわち、第1バンプ21は、第1開口12aの外周より外側に延びる張出し部21aを含んでいる。張出し部21aの、平面視での第1開口12aの第1面12F側の外周から張出し部21aの外縁までの長さは、所望する第1バンプ21の大きさおよび配置によって適宜選択されてよい。例えば、張出し部21aの、平面視での第1開口12aの第1面12F側の外周から張出し部21aの外縁までの長さは、第1開口12aの第1面12F側の径に対して、5%以上であって、30%以下程度とすることができる。この長さは、以下に詳述されるように、バリアメタル層17の形成において、被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの周囲の領域を覆うバリアメタル層17の大きさを選択することによって制御され得る。
【0025】
次に、実施形態の配線基板の製造方法の一例が、図2に示される配線基板1を例に、図3A~3Fを参照して具体的に説明される。なお、添付の図面においては、第1導体パッド111を含む各構成要素の正確なサイズや形状、および/または、各構成要素同士のサイズや形状の正確な比率を示すことは意図されていない。
【0026】
まず図3Aに示されるように、所定の導体パターンを含む第1導体層11が、任意の方法により第1絶縁層10上に形成される。第1絶縁層10がビルドアップ層である場合、第1導体層11はビルトアップ層の最外層の絶縁層上に形成され、第1導体層11はビルトアップ層の最外層の導体層を形成する。第1導体層11の形成には、例えば、セミアディティブ法が用いられてもよい。この場合、第1絶縁層10の表面全面への無電解めっきなどによるシード金属膜(図示せず)の形成後、所定の箇所に開口を有するめっきレジスト(図示せず)が形成され、開口内に電解めっき膜が形成される。電解めっき膜を含む第1導体層11が形成される。その後、めっきレジストが除去され、不要部分のシード金属膜がエッチングで除去される。しかしながら、第1導体層11は、フルアディティブ法やサブトラクティブ法で形成されてもよい。第1導体層11は、信号線や電源等の配線を含んでいてもよい。
【0027】
次いで、図3Bに示されるように、第1絶縁層10および第1導体層11の上に被覆絶縁層12が形成される。被覆絶縁層12は、例えば、ソルダーレジストとして形成される。この場合、例えば、被覆絶縁層12は感光性の樹脂から形成される。露光および現像により、被覆絶縁層12に、被覆絶縁層12を貫通して第1導体層11に至る開口(第1開口12a)が形成される。被覆絶縁層12にこの第1開口12aを形成することによって第1開口12aに露出する第1導体パッド111が画定される。第1開口12aは、開口内壁面が第1導体パッド111の上面に対し直線的に交差する倒立裁頭円錐状の形状に形成されている。
【0028】
図3Cに示されるように、無電解めっきによりバリアメタル層17(図2参照)を形成するためのめっき前処理工程として、表面の触媒化が行われる。すなわち、触媒材2が、第1導体パッド111の表面上、第1開口12aの内壁面上、および、被覆絶縁層12の第1面12F上に付着される。触媒材2としては、パラジウム、スズ、銀、または金などの金属粒子および/または金属コロイドが例示される。しかし、触媒材2は、後工程の無電解めっきにおいてめっき膜の形成を媒介できるものであれば、これらに限定されない。触媒材2は、バリアメタル層17を形成する無電解めっきにおいて、無電解めっき膜(バリアメタル層17)の形成を媒介する。例えば、めっき浴中の還元剤からの電子の放出を促進させ得る。なお、実施形態の説明で参照される各図面に示される触媒材2は、あくまで概念的に描かれているに過ぎず、各図面において、触媒材2の実際の形状および大きさを示すことは意図されていない。
【0029】
触媒材2を付着させるために、例えば、製造途上の配線基板が、塩化パラジウムおよび塩化第1スズを含む混合溶液中に浸漬される。これにより、第1導体パッド111の表面に、金属パラジウムとスズとの錯化合物が付着する。硫酸などの酸性溶液を用いて付着物からスズが除去され、活性化されたパラジウム粒子が触媒材2となる。また、被覆絶縁層12の表面には、混合溶液中に分散された金属パラジウムからなるPdコロイドである触媒材2が付着している。
【0030】
触媒材2が付着した製造途中の配線基板は、不要な触媒材2を除去するために、例えば触媒材2を溶解することのできる溶液中に浸漬される。このような溶液としては、触媒材2を酸化する過酸化水素を含む溶液、および、酸化された触媒材2を溶解することのできるシアン化カリウムを含む溶液の組み合わせなどが挙げられる。また、不要な触媒材2を除去するために、触媒材2が付着した製造途中の配線基板は、水洗に付されてもよい。水洗によって、製造途中の配線基板に付着している、特には第1開口12aの内壁面を含む被覆絶縁層12の表面の上に付着している触媒材2の量が調整され得る。
【0031】
図3Dには、水洗後の製造途中の配線基板が示されている。図3Dに示されている水洗後の製造途中の配線基板では、第1導体パッド111の表面上に触媒材2が残存しており、そして、第1導体パッド111の表面上より少ない量の触媒材2が第1開口12aの内壁面上に残存している。さらに、被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの周囲の領域にも、少量の、第1開口12aの内壁面上より少ない量の触媒材2が残存している。
【0032】
水洗後に第1導体パッド111上および被覆絶縁層12上に残存する触媒材2の量は、例えば、水洗する際の、水洗の適用時間、撹拌の有無や強さなどを適宜選択することにより制御され得る。この制御を行うことで、後工程の無電解めっきにより形成される無電解めっき膜(バリアメタル層17)の形成範囲を所望のものとすることができる。
【0033】
例えば、水洗が激しいエア撹拌を伴って行われる場合、第1開口12aの内壁面を含む被覆絶縁層12の表面に付着した触媒材2のほとんどが洗浄により除去されてしまう。その結果、後工程の無電解めっきにより形成される無電解めっき膜(バリアメタル層17)は、触媒材2が付着した第1導体パッド111上のみに形成される。これに対し、エア撹拌を弱くしたり、撹拌を行わない場合、洗浄後も、第1開口12aの内壁面上および被覆絶縁層12の表面上に、触媒材2が残存する。撹拌の程度によって、被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの周囲の領域に残存する触媒材2の量を制御することができる。撹拌が弱くなるにつれて、被覆絶縁層12の第1面12F上において残存する触媒材2が存在する範囲は、第1開口12aの外周から外側に向かって広がっていく。すなわち、無電解めっき膜(バリアメタル層17)を形成する後工程の無電解めっきにおいて、被覆絶縁層12の第1面12F上の、第1開口12aの外周からより長く外側に延びる無電解めっき膜(バリアメタル層17)が形成されることになる。したがって、本実施形態の配線基板1(図2)を製造するためには、図3Dに示されるように触媒材2が残存するように、水洗が行われ得る。
【0034】
図3Eに示されるように、無電解めっき膜(バリアメタル層17)が、第1導体パッド111の表面上、第1開口12aの内壁面上、および被覆絶縁層12の第1面12F上の第1開口12aの周囲に、すなわち、図3Dにおいて触媒材2が付着している場所に、無電解めっきによって形成される。図3Eでは、バリアメタル層17として、Ni/Pd/Auの3層からなる無電解めっき膜が例示されているが、例えば、ニッケルの無電解めっき膜やNi/Auなどのめっき膜でバリアメタル層17が形成されてもよい。また、例えばバリアメタル層17がNi/Pd/Auの無電解めっき膜で形成される場合であっても、バリアメタル層17全体が3層で形成されていなくてもよい。バリアメタル層17は、第1導体層11の材料金属と異なる金属で形成されていればよい。
【0035】
例えばバリアメタル層17がニッケルやNi/Pd/Auなどの無電解めっき膜である場合、水洗後の製造途上の配線基板が、ニッケルおよび還元剤である次亜リン酸塩などを含むめっき溶液に浸漬される。触媒材2を触媒として、還元剤の次亜リン酸塩が酸化されて亜リン酸塩となり、この際に放出される電子によってニッケルイオンが還元されてニッケル(無電解ニッケルめっき被膜)として析出する。触媒材2が吸着している領域(図3D参照)に、無電解めっき膜は形成される。したがって、本実施形態では、無電解めっき膜であるバリアメタル層17は、図1および2に示されるように、第1導体パッド111の表面上の全面、第1開口12aの内壁面上、および被覆絶縁層12の第1面12F上の第1開口12aの周囲に形成される。
【0036】
バリアメタル層17が図2に示されるようなNi/Pd/Auの無電解めっき膜である場合、上述のように無電解ニッケルめっき被膜17aが形成された後、無電解ニッケルめっき被膜17a上に無電解Pdめっき膜17bが形成され、さらに、無電解Pdめっき膜17b上に置換Auめっき膜17cが形成される。図3Eに示されるように、無電解Ni/Pd/Auめっき膜17a、17b、17cからなるバリアメタル層17が形成される。
【0037】
また、めっき被膜(図3Eの例における無電解ニッケルめっき被膜17a)の析出量は、触媒材2の吸着量に応じて調整され得る。したがって、無電解めっき膜からなるバリアメタル層17において、図3Eに示されるように、触媒材2の吸着量が多い第1導体パッド111の表面上のバリアメタル層17の厚さ(t1、図2参照)は厚く、触媒材2の吸着量が少ない第1開口12aの内壁面上のバリアメタル層17の厚さ(t2、図2参照)は、第1導体パッド111の表面上よりも薄く、そして、触媒材2の吸着量が最も少ない被覆絶縁層12の第1面12F上のバリアメタル層17の厚さ(t3、図2参照)は、最も薄く形成され得る。
【0038】
次いで、図3Fに示されるように、バリアメタル層17上に第1バンプ21が形成される。第1バンプ21は公知の任意の製造方法により、形成されてよい。例えば半田ボールが第1開口12a内に搭載される。また、半田ペーストが印刷されてもよい。熱処理によって半田を溶融させることで、最終的に被覆絶縁層12の第1面12Fから突出して丸くなった第1バンプ21が形成される。第1バンプ21の半田層と被覆絶縁層12との間、および、第1バンプ21の半田層と第1導体パッド111との間には、バリアメタル層17が介在している。第1バンプ21は、被覆絶縁層12の第1面12Fの、第1開口12aの外周に沿って形成されているバリアメタル層17上にも形成されるため、第1バンプ21は、第1開口12aの外周より外側に延びる張出し部21aを含んでいる。配線基板1の形成が完了する。
【0039】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。例えば、第1導体層11には、第1導体パッド111の他にも異なる導体パターンが含まれ得る。また、実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。先に説明された製造方法の条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、前述された工程のうちの一部の工程が省略されてもよく、前述された各工程以外に任意の別の工程が追加されてもよい。例えば、触媒材の付着前に被覆絶縁層の表面の粗化が行われてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 配線基板
2 触媒材
10 第1絶縁層
11 第1導体層
111 第1導体パッド
12 被覆絶縁層
12F 第1面
12S 第2面
12a 第1開口
17 バリアメタル層
21 第1バンプ
21a 張出し部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F