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特開2022-114533フィルムの製造方法、及び、フィルム
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  • 特開-フィルムの製造方法、及び、フィルム 図1
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  • 特開-フィルムの製造方法、及び、フィルム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114533
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】フィルムの製造方法、及び、フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/08 20060101AFI20220801BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220801BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C08J11/08
C08J5/18 CFG
B29B17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010826
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】木林 達也
【テーマコード(参考)】
4F071
4F401
【Fターム(参考)】
4F071AA14
4F071AA15
4F071AA20
4F071AA43
4F071AA54
4F071BA02
4F071BC01
4F401AA22
4F401AA24
4F401AD01
4F401AD07
4F401BA13
4F401BB11
4F401CA51
4F401CA54
4F401DC02
4F401EA60
(57)【要約】
【課題】ポリアミド系樹脂を含むフィルムから回収されたポリアミド系樹脂の再生原料を用いて再度フィルムを製造する方法等を提供する。
【解決手段】フィルムの製造方法は、ポリアミド系樹脂を含むフィルムからポリアミド系樹脂の再生原料を回収するステップと、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料を用いてフィルムを製造するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系樹脂を含むフィルムからポリアミド系樹脂の再生原料を回収するステップと、
前記ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料を用いてフィルムを製造するステップとを含む、フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記ポリアミド系樹脂の再生原料を回収するステップは、エチレングリコールを含む溶解液によって、前記フィルムに含まれるポリアミド系樹脂を溶解するステップを含む、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記フィルムに含まれるポリアミド系樹脂の溶解時における前記溶解液の温度は、170度以上、190度以下である、請求項2に記載のフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記フィルムは、ポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂をさらに含み、
前記フィルムの製造方法は、前記フィルムからポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂の再生原料を回収するステップをさらに含み、
前記ポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂の再生原料を回収するステップは、前記溶解液による溶解によって生成された混合物をろ過するステップを含み、
前記混合物をろ過するステップにおいて、前記混合物の温度は、前記フィルムに含まれるポリアミド系樹脂の溶解時における前記溶解液の温度と略同一である、請求項3に記載のフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記ポリアミド系樹脂の再生原料の粘度を測定するステップと、
前記粘度に基づいて、前記ポリアミド系樹脂の再生原料と前記ポリアミド系樹脂のバージン原料との混合比を決定するステップとをさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記フィルム原料において、前記ポリアミド系樹脂のバージン原料の重量を100部とした場合に、前記ポリアミド系樹脂の再生原料の重量は30部以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項7】
ポリアミド系樹脂を含むフィルムから回収されたポリアミド系樹脂の再生原料と、
ポリアミド系樹脂のバージン原料とを含む、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの製造方法、及び、フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
特表2018-534184号公報(特許文献1)は、ポリアミド及びポリエチレンテレフタレートを含む組成物の分離方法を開示する。この分離方法においては、ポリアミド及びポリエチレンテレフタレートを含む組成物からポリアミド及びポリエチレンテレフタレートの各々が分離して回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-534184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ポリアミド系樹脂を含むフィルムから回収されたポリアミド系樹脂の再生原料を用いて再度高品質のフィルムを製造する方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある局面に従うフィルムの製造方法は、ポリアミド系樹脂を含むフィルムからポリアミド系樹脂の再生原料を回収するステップと、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料を用いてフィルムを製造するステップとを含む。
【0006】
再生原料の分子量は、バージン原料の分子量よりも小さい。したがって、再生原料のみを用いて十分な品質のフィルムを製造することは難しい。本フィルムの製造方法においては、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料がフィルムの製造に用いられる。したがって、本フィルムの製造方法によれば、フィルム原料の分子量がある程度の大きさに保たれるため、再生原料のみを用いる場合と比較して、高い品質のフィルムを製造することができる。
【0007】
上記フィルムの製造方法において、ポリアミド系樹脂の再生原料を回収するステップは、エチレングリコールを含む溶解液によって、フィルムに含まれるポリアミド系樹脂を溶解するステップを含んでもよい。
【0008】
上記フィルムの製造方法において、フィルムに含まれるポリアミド系樹脂の溶解時における溶解液の温度は、170度以上、190度以下であってもよい。
【0009】
上記フィルムの製造方法において、フィルムは、ポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂をさらに含み、フィルムの製造方法は、フィルムからポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂の再生原料を回収するステップをさらに含み、ポリエステル系樹脂又はオレフィン系樹脂の再生原料を回収するステップは、溶解液による溶解によって生成された混合物をろ過するステップを含み、混合物をろ過するステップにおいて、混合物の温度は、フィルムに含まれるポリアミド系樹脂の溶解時における溶解液の温度と略同一であってもよい。
【0010】
仮に、混合物をろ過するステップにおいて混合物の温度が大幅に低下すると、混合物のろ過途中においてポリアミド系樹脂が析出する。その結果、ポリアミド系樹脂の再生原料が十分に回収されない。本フィルムの製造方法において、混合物をろ過するステップにおける混合物の温度は、フィルムに含まれるポリアミド系樹脂の溶解時における溶解液の温度と略同一である。したがって、本フィルムの製造方法によれば、混合物のろ過途中においてポリアミド系樹脂が析出しにくいため、ポリアミド系樹脂の再生原料を十分に回収することができる。
【0011】
上記フィルムの製造方法は、ポリアミド系樹脂の再生原料の粘度を測定するステップと、粘度に基づいて、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料との混合比を決定するステップとをさらに含んでもよい。
【0012】
本フィルムの製造方法によれば、ポリアミド系樹脂の再生原料の粘度に基づいて再生原料とバージン原料との混合比が決定されるため、所望の粘度のフィルム原料を得ることができる。
【0013】
上記フィルム原料において、前記ポリアミド系樹脂のバージン原料の重量を100部とした場合に、前記ポリアミド系樹脂の再生原料の重量は30部以下であってもよい。
【0014】
本発明の他の局面に従うフィルムは、ポリアミド系樹脂を含むフィルムから回収されたポリアミド系樹脂の再生原料と、ポリアミド系樹脂のバージン原料とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ポリアミド系樹脂を含むフィルムから回収されたポリアミド系樹脂の再生原料を用いて再度高品質のフィルムを製造する方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】フィルムの断面を示す図である。
図2】フィルムの製造手順を示すフローチャートである。
図3】ろ過システムを模式的に示す図である。
図4】ポリエステル系樹脂の再生原料の洗浄手順を説明するための図である。
図5】ポリアミド系樹脂の再生原料の洗浄手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
[1.概要]
図1は、フィルム10の断面を示す図である。図1に示されるように、フィルム10は、ポリエステル系樹脂層100と、ポリアミド系樹脂層101とを含んでいる。ポリアミド系樹脂層101は、ポリエステル系樹脂層100上に積層されている。ポリエステル系樹脂層100とポリアミド系樹脂層101とは、例えば、ポリエステル系エラストマー等の接着剤(不図示)を介して接着されている。
【0019】
ポリエステル系樹脂層100は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又は、ポリブチレンナフタレート(PBN)で構成されている。ポリアミド系樹脂層101は、例えば、ナイロン又はアラミドで構成されている。
【0020】
フィルム10のような、複数種類の層を含む積層フィルムが一般的に知られている。このような積層フィルムのリサイクルは難しい。一般的に、積層フィルムから得られた再生原料を用いて生産されたフィルムにおいては、例えば、フィルムの外観が悪化し、フィルムの性能が低下するためである。
【0021】
本実施の形態に従うフィルムの製造方法においては、工夫が施されているため、フィルムから回収されたポリアミド系樹脂の再生原料を用いたとしても、再度高品質のフィルムを製造可能となっている。以下、本実施の形態に従うフィルムの製造方法について詳細に説明する。
【0022】
[2.フィルムの製造方法]
図2は、本実施の形態に従うフィルムの製造方法におけるフィルムの製造手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各工程は、フィルムの製造装置によって行なわれる。本実施の形態に従うフィルムの製造方法においては、まずフィルム10における各層が分離され、各層の再生原料が回収され、回収された再生原料を用いてフィルムが再度生産される。以下、詳細に説明する。
【0023】
図2を参照して、製造装置は、リサイクル対象のフィルム10を粉砕する(ステップS100)。これにより、フィルム10は、多数のフィルム片11(図3)となる。製造装置は、フィルム片11の溶解を行なう(ステップS110)。
【0024】
図3は、製造装置に含まれるろ過システム20を模式的に示す図である。図3に示されるように、ろ過システム20は、ろ過装置200,210を含んでいる。フィルム片11の溶解は、ろ過装置200において行なわれる。すなわち、ろ過装置200は、溶解窯としても機能する。ろ過装置200の下端には、フィルタ202が配置されている。フィルタ202は、例えば、金属メッシュで構成されている。この金属メッシュの線径は、例えば、50μm-150μmである。フィルタ202の下方には、バルブ208が設けられている。バルブ208が開放されると、ろ過装置200内の液体は、ろ過装置210に向けて吐出される。
【0025】
ろ過装置200には、溶解液204が入っている。溶解液204には、エチレングリコールが含まれている。溶解液204におけるフィルム片11の質量%は、1wt%-30wt%である。溶解液204の温度は、170℃-190℃である。ろ過装置200において溶解が行なわれる時間は、10分から30分である。ろ過装置200における溶解は、バルブ208が閉められた状態で行なわれる。
【0026】
ポリアミド系樹脂層101は溶解液204に溶ける一方、ポリエステル系樹脂層100は溶解液204に溶けない。したがって、フィルム片11の溶解を通じて、ポリアミド系樹脂層101は溶解液204に溶ける一方、ポリエステル系樹脂層100は溶解液204に溶けない。
【0027】
再び図2を参照して、製造装置は、溶解液204による溶解によって生成された混合物(以下、単に「混合物」とも称する。)の粗ろ過を行なうと共に、溶解液204に溶けなかったポリエステル系樹脂層100(例えば、PET)の再生原料の回収を行なう(ステップS120)。
【0028】
再び図3を参照して、混合物の粗ろ過は、フィルム片11の溶解後にバルブ208を開放することによって行なわれる。バルブ208が開かれると、ポリアミド系樹脂層101は溶解液204に溶けた状態で、フィルタ202を通過し、ろ過装置210に向けて吐出される。一方、ポリエステル系樹脂層100は、フィルタ202によって捕集される。これにより、ポリエステル系樹脂層100の再生原料が回収される。
【0029】
なお、粗ろ過時における混合物の温度は、溶解液204による溶解時の温度と略同一である。粗ろ過時に混合物の温度が意図的に下げられない理由について次に説明する。仮に、混合物を粗ろ過する工程において混合物の温度が大幅に低下すると、混合物の粗ろ過途中においてポリアミド系樹脂が析出する。その結果、一部のポリアミド系樹脂の再生原料がフィルタ202に捕集されてしまい、後の工程においてポリアミド系樹脂の再生原料が十分に回収されない。本実施の形態に従うフィルムの製造方法において、混合物を粗ろ過する工程における混合物の温度は、フィルム片11に含まれるポリアミド系樹脂層101の溶解時における溶解液204の温度と略同一である。したがって、このフィルムの製造方法によれば、混合物の粗ろ過途中においてポリアミド系樹脂が析出しにくいため、ポリアミド系樹脂の再生原料を十分に回収することができる。
【0030】
再び図2を参照して、製造装置は、粗ろ過後の混合物のろ過を行なうと共に、ポリエステル系樹脂層100の再生原料の回収を行なう(ステップS130)。
【0031】
再び図3を参照して、混合物のろ過は、ろ過装置210において行なわれる。ろ過装置210の下端には、フィルタ212が配置されている。フィルタ212は、例えば、ろ紙で構成されている。フィルタ212の目は、フィルタ202の目よりも細かい。フィルタ212の下方には、バルブ218が設けられている。バルブ218が開放されると、ろ過装置210内の液体は、ろ過装置210の外部に向けて吐出される。
【0032】
図2のステップS130においては、まず、バルブ218が閉じられた状態で、混合物の温度が下げられる。これにより、ろ過装置210内において、ポリアミド系樹脂が析出する。例えば、混合物の温度が160℃以下になると、ポリアミド系樹脂が再結晶する。その後、バルブ218が開放される。これにより、エチレングリコールを含む溶解液204は、フィルタ212を通過し、ろ過装置210の外部に向けて吐出される。一方、再結晶したポリアミド系樹脂は、フィルタ212によって捕集される。これにより、ポリアミド系樹脂の再生原料が回収される。なお、ろ過装置210の外部に吐出された溶解液204(エチレングリコール)は、例えば、蒸留された後に再利用される。
【0033】
再び図2を参照して、製造装置は、ステップS120において回収されたポリエステル系樹脂の再生原料、及び、ステップS130において回収されたポリアミド系樹脂の再生原料の各々を洗浄する(ステップS140)。
【0034】
図4はポリエステル系樹脂の再生原料(ポリエステル系樹脂片13)の洗浄手順を説明するための図であり、図5はポリアミド系樹脂の再生原料(ポリアミド系樹脂析出物12)の洗浄手順を説明するための図である。図4及び図5に示されるように、各再生原料は、例えば、ろ過装置200に純水206を入れた状態で洗浄される。すなわち、ろ過装置200は、洗浄窯としても機能する。その後、ろ過が行なわれ、再生原料の乾燥が行なわれる。これにより、各再生原料の洗浄が完了する。
【0035】
再び図2を参照して、製造装置は、洗浄後のポリエステル系樹脂の再生原料、及び、洗浄後のポリアミド系樹脂の再生原料の各々をペレット化する(ステップS150)。製造装置は、ペレット化されたポリエステル系樹脂の再生原料、及び、ペレット化されたポリアミド系樹脂の再生原料の各々の粘度を測定する(ステップS160)。粘度の測定は、公知の方法によって行なわれる。
【0036】
上述のように、製造装置は、フィルム10の各層の再生原料を用いて再びフィルムを製造する。しかしながら、再生原料の分子量は、バージン原料の分子量よりも小さい。したがって、再生原料のみを用いて十分な品質のフィルムを製造することは難しい。本実施の形態に従うフィルムの製造方法においては、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料がフィルムの製造に用いられる。また、ポリエステル系樹脂の再生原料とポリエステル系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料がフィルムの製造に用いられる。したがって、本実施の形態に従うフィルムの製造方法によれば、フィルム原料の分子量がある程度の大きさに保たれるため、再生原料のみを用いる場合と比較して、高い品質のフィルムを製造することができる。
【0037】
製造装置は、ポリエステル系樹脂の再生原料の粘度に基づいて、ポリエステル系樹脂に関する再生原料とバージン原料との混合比率を決定すると共に、ポリアミド系樹脂の再生原料の粘度に基づいて、ポリアミド系樹脂に関する再生原料とバージン原料との混合比率を決定する(ステップS170)。すなわち、ここでは、新たに生産されるフィルムの各層に用いられるフィルム原料の粘度が所望の粘度になるように、再生原料とバージン原料との混合比率が決定される。例えば、ポリアミド系樹脂のバージン原料の重量を100部とした場合に、ポリアミド系樹脂の再生原料の重量が30部以下となるような混合比率が決定される。
【0038】
製造装置は、ステップS170において決定された混合比率に基づいて、ポリアミド系樹脂に関し、バージン原料と再生原料とを混合する。また、製造装置は、ステップS170において決定された混合比率に基づいて、ポリエステル系樹脂に関し、バージン原料と再生原料とを混合する。製造装置は、混合されたポリアミド系樹脂と、混合されたポリエステル系樹脂とを用いて、ポリアミド系樹脂層とポリエステル系樹脂層とを含むフィルムを製造する(ステップS180)。これにより製造されたフィルムは、ポリアミド系樹脂を含むフィルム10から回収されたポリアミド系樹脂の再生原料と、ポリアミド系樹脂のバージン原料とを含む。また、このフィルムは、フィルム10から回収されたポリエステル系樹脂の再生原料と、ポリエステル系樹脂のバージン原料とを含む。
【0039】
[3.特徴]
以上のように、本実施の形態に従うフィルムの製造方法は、ポリアミド系樹脂を含むフィルムからポリアミド系樹脂の再生原料を回収するステップと、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料を用いてフィルムを製造するステップとを含む。このように、本実施の形態に従うフィルムの製造方法においては、ポリアミド系樹脂の再生原料とポリアミド系樹脂のバージン原料とを混合したフィルム原料がフィルムの製造に用いられる。したがって、本実施の形態に従うフィルムの製造方法によれば、フィルム原料の分子量がある程度の大きさに保たれるため、再生原料のみを用いる場合と比較して、高い品質のフィルムを製造することができる。
【0040】
[4.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0041】
<4-1>
上記実施の形態において、フィルム10にはポリエステル系樹脂層100が含まれていたが、ポリエステル系樹脂層100の代わりにオレフィン系樹脂層が含まれていてもよい。オレフィン系樹脂層は、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンで構成されていてもよい。
【0042】
<4-2>
上記実施の形態においては、ポリアミド系樹脂層101及びポリエステル系樹脂層100の各々の再生原料が再びフィルムの製造に用いられた。しかしながら、ポリアミド系樹脂層101及びポリエステル系樹脂層100の各々の再生原料が再びフィルムの製造に用いられなくてもよい。少なくとも、ポリアミド系樹脂層101の再生原料が再びフィルムの製造に用いられればよい。
【0043】
<4-3>
上記実施の形態においては、フィルム10を基に、再びポリアミド系樹脂層及びポリエステル系樹脂層を有するフィルムが生産された。しかしながら、フィルム10を基に生産されるフィルムの構成はこれに限定されない。例えば、ポリアミド系樹脂層のみを有する単層のフィルムが生産されてもよいし、ポリアミド系樹脂層と、ポリエステル系樹脂層以外の樹脂層とを有する積層フィルムが生産されてもよい。
【0044】
<4-4>
上記実施の形態においては、溶解及び洗浄が共通の窯(ろ過装置200)で行なわれた。しかしながら、溶解及び洗浄はそれぞれ別々の窯で行なわれてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 フィルム、11 フィルム片、12 ポリアミド系樹脂析出物、13 ポリエステル系樹脂片、20 ろ過システム、100 ポリエステル系樹脂層、101 ポリアミド系樹脂層、200,210 ろ過装置、202,212 フィルタ、204 溶解液、206 純水、208,218 バルブ。
図1
図2
図3
図4
図5