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特開2022-116671電動アクチュエータ、および電動アクチュエータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116671
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ、および電動アクチュエータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20220803BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012970
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
3J027
5H607
【Fターム(参考)】
3J027FA37
3J027FB34
3J027GA01
3J027GB03
3J027GC02
3J027GC13
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE27
3J027GE30
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE33
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケースに対する内歯ギアの固定強度を向上できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータは、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、モータシャフトに連結された外歯ギアおよび外歯ギアの径方向外側を囲む環状の内歯ギア32を有する減速機構と、モータおよび減速機構を内部に収容するケースと、内歯ギアをケースに固定する固定部材180と、を備える。ケースは、内歯ギアを軸方向一方側から支持する底壁部13jと、底壁部から軸方向他方側に突出する柱状部14と、を有する。内歯ギアは、柱状部が挿入された貫通孔33を有する。固定部材は、貫通孔内において柱状部を囲む環状部181を有する。環状部は、柱状部の外周面と貫通孔の内周面とに接触している。固定部材を構成する材料の硬度は、内歯ギアを構成する材料の硬度および柱状部を構成する材料の硬度よりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに連結された外歯ギアおよび前記外歯ギアの径方向外側を囲む環状の内歯ギアを有する減速機構と、
前記モータおよび前記減速機構を内部に収容するケースと、
前記内歯ギアを前記ケースに固定する固定部材と、
を備え、
前記ケースは、
前記内歯ギアを軸方向一方側から支持する底壁部と、
前記底壁部から軸方向他方側に突出する柱状部と、
を有し、
前記内歯ギアは、前記柱状部が挿入された貫通孔を有し、
前記固定部材は、前記貫通孔内において前記柱状部を囲む環状部を有し、
前記環状部は、前記柱状部の外周面と前記貫通孔の内周面とに接触し、
前記固定部材を構成する材料の硬度は、前記内歯ギアを構成する材料の硬度および前記柱状部を構成する材料の硬度よりも小さい、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記固定部材を構成する材料は、金属である、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記固定部材を構成する材料と前記柱状部を構成する材料とは、それぞれ同種の金属を含む、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記貫通孔の内周面には、第1凹部が設けられ、
前記固定部材は、前記第1凹部の内部に挿入された第1挿入部を有し、
前記第1挿入部は、前記第1凹部の内面に接触している、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1凹部は、前記柱状部を囲む環状である、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1凹部は、前記貫通孔の内周面のうち軸方向一方側の端部に設けられ、
前記第1凹部の内径は、軸方向一方側に向かうに従って大きくなっている、請求項5に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1挿入部は、前記第1凹部の内部に充填されている、請求項4から6のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記固定部材は、前記環状部の外周面に設けられた突出部を有し、
前記突出部は、前記内歯ギアに軸方向他方側から接触している、請求項1から7のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記貫通孔は、
小径部と、
前記小径部の軸方向他方側に繋がり、前記貫通孔の軸方向他方側の開口を有する大径部と、
を有し、
前記大径部の内径は、前記小径部の内径よりも大きく、
前記突出部は、前記大径部内に配置され、
前記固定部材の軸方向他方側の面と前記内歯ギアの軸方向他方側の面とは、軸方向において同じ位置に配置されている、請求項8に記載の電動アクチュエータ。
【請求項10】
前記柱状部の外周面には、第2凹部が設けられ、
前記固定部材は、前記第2凹部の内部に挿入された第2挿入部を有し、
前記第2挿入部は、前記第2凹部の内面に接触している、請求項1から9のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項11】
前記貫通孔、前記柱状部、および前記固定部材は、前記中心軸回りの周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項12】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結された外歯ギアおよび前記外歯ギアの径方向外側を囲む環状の内歯ギアを有する減速機構と、前記モータおよび前記減速機構を内部に収容するケースと、を備える電動アクチュエータの製造方法であって、
環状部を有する固定部材を用いて前記内歯ギアを前記ケースに固定する固定工程を含み、
前記ケースは、
前記内歯ギアを軸方向一方側から支持する底壁部と、
前記底壁部から軸方向他方側に突出する柱状部と、
を有し、
前記内歯ギアは、前記柱状部が挿入された貫通孔を有し、
前記固定部材の硬度は、前記内歯ギアの硬度および前記柱状部の硬度よりも小さく、
前記固定工程は、前記貫通孔内において前記環状部が前記柱状部を囲んで配置された状態の前記固定部材を、軸方向他方側から軸方向一方側向きに前記底壁部に押し付けて変形させる変形工程を含み、
前記変形工程において、前記環状部は、変形して前記柱状部の外周面と前記貫通孔の内周面とに押し付けられる、電動アクチュエータの製造方法。
【請求項13】
前記貫通孔の内周面には、第1凹部が設けられ、
前記変形工程において、前記固定部材の一部が変形して前記第1凹部内に入り込む、請求項12に記載の電動アクチュエータの製造方法。
【請求項14】
前記柱状部の外周面には、第2凹部が設けられ、
前記変形工程において、前記固定部材の一部が変形して前記第2凹部内に入り込む、請求項12または13に記載の電動アクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータ、および電動アクチュエータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
減速機を備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、入力軸の偏心部の外周にベアリングを介して設けられたサンギアと、サンギアと噛み合うリングギアと、を有する減速機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-109226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような減速機においては、例えば、リングギアがケースに圧入されることで固定されている。しかし、単にリングギアを圧入するのみでは、リングギアがケースから抜ける、またはリングギアがケースに対してずれるなどの不具合が生じる恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ケースに対する内歯ギアの固定強度を向上できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。また、本発明は、ケースに対する内歯ギアの固定強度を向上できる電動アクチュエータの製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結された外歯ギアおよび前記外歯ギアの径方向外側を囲む環状の内歯ギアを有する減速機構と、前記モータおよび前記減速機構を内部に収容するケースと、前記内歯ギアを前記ケースに固定する固定部材と、を備える。前記ケースは、前記内歯ギアを軸方向一方側から支持する底壁部と、前記底壁部から軸方向他方側に突出する柱状部と、を有する。前記内歯ギアは、前記柱状部が挿入された貫通孔を有する。前記固定部材は、前記貫通孔内において前記柱状部を囲む環状部を有する。前記環状部は、前記柱状部の外周面と前記貫通孔の内周面とに接触している。前記固定部材を構成する材料の硬度は、前記内歯ギアを構成する材料の硬度および前記柱状部を構成する材料の硬度よりも小さい。
【0007】
本発明の電動アクチュエータの製造方法は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結された外歯ギアおよび前記外歯ギアの径方向外側を囲む環状の内歯ギアを有する減速機構と、前記モータおよび前記減速機構を内部に収容するケースと、を備える電動アクチュエータの製造方法であって、環状部を有する固定部材を用いて前記内歯ギアを前記ケースに固定する固定工程を含む。前記ケースは、前記内歯ギアを軸方向一方側から支持する底壁部と、前記底壁部から軸方向他方側に突出する柱状部と、を有する。前記内歯ギアは、前記柱状部が挿入された貫通孔を有する。前記固定部材の硬度は、前記内歯ギアの硬度および前記柱状部の硬度よりも小さい。前記固定工程は、前記貫通孔内において前記環状部が前記柱状部を囲んで配置された状態の前記固定部材を、軸方向他方側から軸方向一方側向きに前記底壁部に押し付けて変形させる変形工程を含む。前記変形工程において、前記環状部は、変形して前記柱状部の外周面と前記貫通孔の内周面とに押し付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、ケースに対する内歯ギアの固定強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図であって、図1におけるII-II断面図である。
図3図3は、第1実施形態のケースの一部、内歯ギアの一部、および固定部材を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態の固定部材を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の固定工程の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態の固定工程の手順の一部を示す断面図である。
図7図7は、第2実施形態のケースの一部、内歯ギアの一部、および固定部材を示す断面図である。
図8図8は、第2実施形態の固定工程の手順の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図においてZ軸方向は、矢印が向く側(+Z側)を上側とし、矢印が向く側と逆側(-Z側)を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
以下の各実施形態において、上側は、軸方向他方側に相当し、下側は、軸方向一方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
<第1実施形態>
図1および図2に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、例えば、車両に搭載される電動アクチュエータである。図1に示すように、電動アクチュエータ10は、ケース11と、軸方向に延びる中心軸J1を中心として回転可能なモータシャフト21を有するモータ20と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、減速機構30と、出力部40と、予圧部材60と、回路基板70と、第1回転センサ71と、取付部材72と、第1センサマグネット73、第2センサマグネット74と、図示しない第2回転センサと、を備える。また、図2に示すように、電動アクチュエータ10は、固定部材80を備える。
【0013】
図1に示すように、ケース11は、モータ20および減速機構30を内部に収容する。ケース11は、モータ20を内部に収容するモータケース12と、減速機構30を内部に収容する減速機構ケース13と、を有する。本実施形態においてモータケース12および減速機構ケース13とは、それぞれダイカストによって作られている。モータケース12を構成する材料および減速機構ケース13を構成する材料は、例えば、アルミニウムを含む合金である。モータケース12は、ケース筒部12aと、円環板部12bと、上蓋部12cと、ベアリング保持部12dと、回路基板収容部12gと、を有する。
【0014】
ケース筒部12aは、中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース筒部12aは、軸方向の両側に開口している。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲んでいる。円環板部12bは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に広がる円環板状である。円環板部12bは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆っている。円環板部12bの径方向内縁部は、下側に湾曲している。
【0015】
ベアリング保持部12dは、円環板部12bの径方向内縁部に設けられている。ベアリング保持部12dは、第3ベアリング53を保持する。ベアリング保持部12dは、保持部本体12eと、支持壁部12fと、を有する。保持部本体12eは、円環板部12bの径方向内縁部から上側に延びる円筒状である。支持壁部12fは、保持部本体12eの上側の端部から径方向内側に突出している。図示は省略するが、支持壁部12fは、周方向に沿って延びる円環状である。
【0016】
回路基板収容部12gは、回路基板70を収容する部分である。回路基板収容部12gは、ケース筒部12aの上側部分の径方向内側に構成されている。回路基板収容部12gの底面は、円環板部12bの上面である。回路基板収容部12gは、上側に開口している。上蓋部12cは、回路基板収容部12gの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。
【0017】
減速機構ケース13は、モータケース12の下側に固定されている。減速機構ケース13は、蓋部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、を有する。蓋部13aは、中心軸J1を中心とする円環板状である。蓋部13aは、減速機構30の下側を覆っている。
【0018】
筒部13bは、蓋部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bは、上側に開口している。筒部13bの上端部は、ケース筒部12aの下端部に接触して固定されている。筒部13bは、底壁部13jと、周壁部13kと、を有する。つまり、ケース11は、底壁部13jと、周壁部13kと、を有する。
【0019】
本実施形態において底壁部13jは、筒部13bの径方向内側部分のうち上端部である。底壁部13jは、中心軸J1を中心とする円環状である。底壁部13jは、後述する内歯ギア32を下側から支持している。周壁部13kは、底壁部13jの径方向外周縁部から上側に突出している。周壁部13kは、中心軸J1を中心とする円環状である。周壁部13kは、後述する内歯ギア32の径方向外側に位置し、内歯ギア32を囲んでいる。筒部13bの上端部における径方向内側部分には、底壁部13jと周壁部13kとによって、下側に窪む凹部13eが構成されている。凹部13eは、径方向内側に開口している。凹部13eは、中心軸J1を中心とする円環状である。
【0020】
突出筒部13cは、蓋部13aの径方向内縁部から軸方向両側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、軸方向両側に開口している。突出筒部13cの上端部は、筒部13bの上端部よりも下側に位置する。突出筒部13cの下端部における外周面には、Oリング61が装着されている。突出筒部13cの内部には、軸方向に延びる円筒状のブッシュ54が配置されている。
【0021】
図3に示すように、ケース11は、底壁部13jの上側の面13iから上側に突出する柱状部14を有する。本実施形態において柱状部14は、軸方向に延びる円柱状である。図においては、適宜、柱状部14の中心軸を柱軸J3として仮想的に示している。柱軸J3は、中心軸J1と平行である。以下の説明においては、特に断りのない限り、柱軸J3を中心とする径方向を「柱径方向」と呼び、柱軸J3を中心とする周方向を単に「柱周方向」と呼ぶ。
【0022】
柱状部14は、周壁部13kの内周面よりも径方向内側に離れた位置に設けられている。柱状部14は、底壁部13jの径方向内縁よりも径方向外側に離れた位置に設けられている。本実施形態において柱状部14は、底壁部13jの上側の面13iのうち径方向外側寄りの部分に設けられている。柱状部14の上側の端面は、周壁部13kの上側の面13hよりも僅かに下側に位置する。
【0023】
本実施形態において柱状部14の外周面には、第2凹部14aが設けられている。第2凹部14aは、柱状部14の外周面から柱径方向の内側に窪んでいる。第2凹部14aは、柱状部14の軸方向の中央部に設けられている。本実施形態において第2凹部14aは、柱軸J3を中心とする円環状である。第2凹部14aの内面のうち上側に位置する面は、柱径方向の外側に向かうに従って上側に位置するテーパ面である。第2凹部14aの内面のうち下側に位置する面は、柱径方向の外側に向かうに従って下側に位置するテーパ面である。図2に示すように、柱状部14は、中心軸J1回りの周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の柱状部14は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において柱状部14は、3つ設けられている。
【0024】
図1に示すように、モータ20は、ケース11のうち円環板部12bよりも下側の部分に収容されている。モータ20は、ロータ22と、ステータ23と、を有する。ロータ22は、モータシャフト21と、ロータ本体22aと、を有する。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第3ベアリング53とによって、中心軸J1回りに回転可能に支持されている。モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、第3軸部21cと、第4軸部21dと、第5軸部21eと、第6軸部21fと、第7軸部21gと、第8軸部21hと、を有する。第6軸部21fを除く各軸部は、中心軸J1を中心とする軸部である。
【0025】
第1軸部21aは、モータシャフト21の上側の端部である。第1軸部21aは、ベアリング保持部12dの径方向内側を介して、円環板部12bよりも上側に突出している。第1軸部21aは、モータシャフト21のうちで最も外径が小さい部分である。第2軸部21bは、第1軸部21aの下側に繋がっている。第2軸部21bの外径は、第1軸部21aの外径よりも大きい。第3軸部21cは、第2軸部21bの下側に繋がっている。第3軸部21cの外径は、第2軸部21bの外径よりも大きい。これにより、第2軸部21bと第3軸部21cとの間には、上側から下側に向かって外径が大きくなる段差部21iが設けられている。すなわち、モータシャフト21は、段差部21iを有する。
【0026】
第4軸部21dは、第3軸部21cの下側に繋がっている。第4軸部21dの外径は、第3軸部21cの外径よりも大きい。第4軸部21dには、バランスウェイト24が固定されている。バランスウェイト24は、板面が軸方向を向く板状である。第5軸部21eは、第4軸部21dの下側に繋がっている。第5軸部21eの外径は、第4軸部21dの外径よりも大きい。第5軸部21eは、モータシャフト21のうちで最も外径が大きい部分である。第5軸部21eの上側の端部には、バランスウェイト24が接触している。これにより、バランスウェイト24をモータシャフト21に対して軸方向に位置決めできる。
【0027】
第6軸部21fは、第5軸部21eの下側に繋がっている。第6軸部21fは、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1の径方向外側に位置する。第6軸部21fの外径は、第5軸部21eの外径よりも小さい。すなわち、第5軸部21eは、第6軸部21fの上側に繋がり、第6軸部21fよりも外径が大きい大径軸部である。第6軸部21fの外径は、第4軸部21dの外径よりも小さく、第3軸部21cの外径よりも大きい。
【0028】
第7軸部21gは、第6軸部21fの下側に繋がっている。第7軸部21gの外径は、第6軸部21fの外径よりも小さい。第8軸部21hは、第7軸部21gの下側に繋がっている。第8軸部21hは、モータシャフト21の下側の端部である。第8軸部21hの外径は、第7軸部21gの外径よりも小さい。第7軸部21gおよび第8軸部21hは、後述する収容凹部41aの内部に収容されている。
【0029】
ロータ本体22aは、モータシャフト21の外周面に固定されている。より詳細には、ロータ本体22aは、第3軸部21cの外周面に固定されている。図示は省略するが、ロータ本体22aは、モータシャフト21の外周面に固定されるロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。
【0030】
ステータ23は、ロータ22の径方向外側に位置する。ステータ23は、ステータコア23aと、複数のコイル23bと、を有する。ステータコア23aは、ロータ22の径方向外側を囲む円環状である。ステータコア23aの外周面は、ケース筒部12aの内周面に固定されている。複数のコイル23bは、例えば図示しないインシュレータを介して、ステータコア23aに装着されている。
【0031】
第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、それぞれ内輪と内輪の径方向外側に位置する外輪とを有する転がり軸受である。本実施形態において第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、内輪と外輪とが複数のボールを介して連結されるボールベアリングである。
【0032】
本実施形態において減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置されている。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容されている。減速機構30は、蓋部13aとモータ20との軸方向の間に配置されている。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、フランジ部42と、複数の凸部43と、を有する。
【0033】
図2に示すように、外歯ギア31は、偏心軸部である第6軸部21fの径方向外側において第6軸部21fを囲む環状である。より詳細には、外歯ギア31は、偏心軸J2を中心として、軸方向と直交する平面に広がる略円環板状である。外歯ギア31の径方向外側面には、複数の歯部31dを有する歯車部が設けられている。外歯ギア31は、第6軸部21fに第2ベアリング52を介して連結されている。これにより、減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分に連結されている。第2ベアリング52は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対回転可能に連結している。外歯ギア31は、第2ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。
【0034】
図1に示すように、外歯ギア31は、外歯ギア本体部31aと、接触凸部31bと、を有する。外歯ギア本体部31aは、第2ベアリング52の外輪に固定された略円環板状の部分である。接触凸部31bは、外歯ギア本体部31aから下側に突出する部分である。本実施形態において接触凸部31bは、外歯ギア本体部31aの径方向内縁部から下側に突出している。図示は省略するが、接触凸部31bは、偏心軸J2を中心とする円環状である。接触凸部31bの下側の面は、軸方向と直交する平坦面である。接触凸部31bの下側の面は、例えば、切削加工により作られた加工面である。
【0035】
外歯ギア31は、上側に窪む複数の穴部31cを有する。複数の穴部31cは、外歯ギア本体部31aに設けられている。本実施形態において穴部31cは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。図2に示すように、複数の穴部31cは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部31cは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31cは、例えば、軸方向に見て、円形状である。穴部31cの内径は、凸部43の外径よりも大きい。穴部31cの数は、例えば、8つである。
【0036】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側を囲む環状である。より詳細には、内歯ギア32は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア32の内周面には、複数の歯部32dを有する歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。より詳細には、内歯ギア32の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と周方向の一部において噛み合っている。これにより、内歯ギア32は、外歯ギア31と噛み合っている。
【0037】
図3に示すように、内歯ギア32は、周壁部13kの径方向内側に位置する。内歯ギア32は、周壁部13k内に嵌め合わされている。内歯ギア32は、底壁部13jの上側の面13iに配置されている。内歯ギア32の上側の面32eは、軸方向と直交する平坦面である。内歯ギア32の上側の面32eは、周壁部13kの上側の面13hと軸方向において同じ位置に位置する。内歯ギア32を構成する材料は、金属である。内歯ギア32を構成する金属は、例えば、鉄である。
【0038】
内歯ギア32は、柱状部14が挿入された貫通孔33を有する。貫通孔33は、内歯ギア32を軸方向に貫通している。貫通孔33は、例えば、柱軸J3を中心とする円形状の孔である。本実施形態において貫通孔33の内周面には、第1凹部33bが設けられている。第1凹部33bは、柱状部14を囲む環状である。より詳細には、第1凹部33bは、柱軸J3を中心とする円環状である。
【0039】
本実施形態において第1凹部33bは、貫通孔33の内周面の下側の端部に設けられている。第1凹部33bは、内歯ギア32の下側の面に開口している。つまり、第1凹部33bは、貫通孔33の下側の開口を有する。第1凹部33bの内径は、下側に向かうに従って大きくなっている。第1凹部33bにおける柱周方向と直交する断面形状は、柱径方向の外側に鋭角の頂点を有する三角形状である。第1凹部33bの内面は、下側かつ斜め柱径方向の内側を向く環状の面である。第1凹部33bの内面は、上側に向かうに従って内径が小さくなるテーパ面である。
【0040】
貫通孔33は、小径部33aと、大径部33cと、を有する。小径部33aは、第1凹部33bが設けられた貫通孔33の下端部の上側に繋がっている。小径部33aの内径は、貫通孔33のうち第1凹部33bが設けられた下端部の内径よりも小さい。このように本実施形態では、貫通孔33の下端部は、第1凹部33bが設けられることで、小径部33aよりも内径が大きい部分となっている。小径部33aの軸方向の寸法は、第1凹部33bの軸方向の寸法よりも大きい。小径部33a内には、柱状部14のうち第2凹部14aが設けられた部分が位置する。
【0041】
大径部33cは、小径部33aの上側に繋がっている。大径部33cの上側の端部は、貫通孔33の上側の端部であり、内歯ギア32の上側に開口している。つまり、大径部33cは、貫通孔33の上側の開口を有する。大径部33cの内径は、小径部33aの内径よりも大きい。大径部33cの内径は、例えば、第1凹部33bの下端部における内径とほぼ同じである。大径部33cは、小径部33aの上側に段差を介して繋がっている。大径部33cの軸方向の寸法は、小径部33aの軸方向の寸法よりも小さく、第1凹部33bの軸方向の寸法よりも大きい。大径部33cは、柱状部14に設けられた第2凹部14aよりも上側に位置する。
【0042】
図2に示すように、本実施形態において貫通孔33は、中心軸J1回りの周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の貫通孔33は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において貫通孔33は、3つ設けられている。各貫通孔33には、柱状部14がそれぞれ挿入されている。
【0043】
内歯ギア32は、固定部材80によって、減速機構ケース13に固定されている。つまり、固定部材80は、内歯ギア32をケース11に固定する部材である。図4に示すように、本実施形態において固定部材80は、柱軸J3を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状の部材である。図2に示すように、固定部材80は、各貫通孔33内にそれぞれ設けられている。つまり、本実施形態において固定部材80は、中心軸J1回りの周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の固定部材80は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において固定部材80は、3つ設けられている。
【0044】
各固定部材80の内部には、各貫通孔33内に位置する柱状部14がそれぞれ挿入されている。固定部材80は、貫通孔33の内周面と柱状部14の外周面とに接触している。固定部材80は、貫通孔33の内周面と柱状部14の外周面との間に挿し込まれた状態で軸方向に押し潰されて変形させられることで、内歯ギア32を柱状部14に固定している。図3に示すように、固定部材80は、環状部81と、突出部82と、第1挿入部83と、第2挿入部84と、を有する。
【0045】
環状部81は、貫通孔33内において柱状部14を囲む環状の部分である。図4に示すように、本実施形態において環状部81は、柱軸J3を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。なお、図4においては、内歯ギア32を固定するために変形させられる前の固定部材180を実線で示し、内歯ギア32を固定するために変形させられた後の固定部材80を二点鎖線で示している。なお、実際には、変形させられる前の固定部材180と変形させられた後の固定部材80とでは、互いに寸法が異なる部分もあるが、図4においては、寸法が変化したのみの部分について、変形する前の固定部材180と変形した後の固定部材80とを同様に示している。変形する前の固定部材180には、第1挿入部83および第2挿入部84が設けられていない。
【0046】
図3に示すように、環状部81は、柱状部14の外周面と貫通孔33の内周面とに接触している。環状部81の内周面は、柱状部14の外周面に接触している。環状部81の外周面は、貫通孔33の内周面に接触している。環状部81は、例えば、柱状部14の外周面を柱径方向の内側に押す向き、および貫通孔33の内周面を柱径方向の外側に押す向きに力Fを加えている。
【0047】
突出部82は、環状部81の外周面に設けられている。本実施形態において突出部82は、環状部81の上側の端部から柱径方向の外側に突出している。図4に示すように、本実施形態において突出部82は、柱軸J3を中心とする円環状である。図3に示すように、突出部82は、大径部33c内に配置されている。突出部82は、例えば、大径部33c内に嵌め合わされている。突出部82の下側の面は、小径部33aと大径部33cとの間の段差部における上側を向く段差面に接触している。これにより、突出部82は、内歯ギア32に上側から接触している。突出部82の上側の面および突出部82の下側の面は、軸方向と直交する平坦な円環状の面である。突出部82の上側の面は、環状部81の上側の面における柱径方向の外側に段差なく繋がっている。
【0048】
図3および図4に示すように、第1挿入部83は、環状部81から柱径方向の外側に突出している。より詳細には、第1挿入部83は、環状部81の外周面における下側の端部から柱径方向の外側に突出している。本実施形態において第1挿入部83は、柱軸J3を中心とする円環状である。図3に示すように、第1挿入部83における柱周方向と直交する断面形状は、柱径方向の外側に鋭角の頂点を有する三角形状である。第1挿入部83の上側の面は、柱径方向の外側に向かうに従って下側に位置するテーパ面である。第1挿入部83の下側の面は、軸方向と直交する平坦な円環状の面である。第1挿入部83の下側の面は、環状部81の下側の面における柱径方向の外側に段差なく繋がっている。
【0049】
第1挿入部83は、第1凹部33bの内部に挿入されている。第1挿入部83は、第1凹部33bの内面に接触している。より詳細には、第1挿入部83の上側の面は、第1凹部33bの内面に下側から接触している。第1挿入部83の下側の面は、底壁部13jの上側の面13iに接触している。本実施形態において第1挿入部83は、第1凹部33bの内部に充填されている。
【0050】
図3および図4に示すように、第2挿入部84は、環状部81から柱径方向の内側に突出している。より詳細には、第2挿入部84は、環状部81の内周面における軸方向中央部から柱径方向の内側に突出している。本実施形態において第2挿入部84は、第1挿入部83よりも上側に位置する。本実施形態において第2挿入部84は、柱軸J3を中心とする円筒状である。第2挿入部84の上側の面は、柱径方向の内側に向かうに従って下側に位置するテーパ面である。第2挿入部84の下側の面は、柱径方向の内側に向かうに従って上側に位置するテーパ面である。第2挿入部84は、第2凹部14aの内部に挿入されている。第2挿入部84は、第2凹部14aの内面に接触している。本実施形態において第2挿入部84は、第2凹部14aの内部に充填されている。
【0051】
本実施形態において固定部材80の上側の面80aは、環状部81の上側の面と突出部82の上側の面とによって構成されている。固定部材80の上側の面80aは、軸方向と直交する円環状の平坦面である。図3に示すように、固定部材80の上側の面80aと内歯ギア32の上側の面32eとは、軸方向において同じ位置に配置されている。本実施形態において固定部材80の上側の面80aは、内歯ギア32の上側の面32eにおける貫通孔33の周縁部に連続して段差なく繋がっている。
【0052】
本実施形態において固定部材80を構成する材料は、金属である。固定部材80を構成する金属は、例えば、アルミニウムである。ここで、上述したように、ダイカストによって作られた減速機構ケース13を構成する材料は、アルミニウムを含む合金である。そのため、柱状部14を構成する材料も、アルミニウムを含む合金である。つまり、本実施形態において固定部材80を構成する材料と柱状部14を構成する材料とは、それぞれ同種の金属としてアルミニウムを含む。
【0053】
固定部材80を構成する材料の硬度は、内歯ギア32を構成する材料の硬度および柱状部14を構成する材料の硬度よりも小さい。なお、本明細書において「硬度」とは、例えば、ビッカース硬さ、ブリネル硬さ、またはロックウェル硬さなどである。内歯ギア32を構成する材料の硬度は、例えば、柱状部14を構成する材料の硬度よりも大きい。固定部材80を構成する材料の剛性は、内歯ギア32を構成する材料の剛性および柱状部14を構成する材料の剛性よりも小さい。固定部材80を構成する材料の縦弾性係数は、内歯ギア32を構成する材料の縦弾性係数および柱状部14を構成する材料の縦弾性係数よりも小さい。
【0054】
図1に示すように、フランジ部42は、中心軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。フランジ部42は、外歯ギア31の下側に位置する。フランジ部42は、後述する出力シャフト41から径方向外側に広がっている。より詳細には、フランジ部42は、出力シャフト41の上側の端部から径方向外側に広がっている。フランジ部42の上側の面のうち径方向内側部分には、接触凸部31bの下側の面が接触している。フランジ部42の下面には、中心軸J1を中心とする円筒状の第2センサマグネット74が固定されている。図示しない第2回転センサを用いて、出力部40とともに回転する第2センサマグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、出力シャフト41の回転を検出することができる。
【0055】
複数の凸部43は、フランジ部42から上側に突出している。つまり、複数の凸部43は、フランジ部42から外歯ギア31に向かって突出している。図1および図2に示すように、凸部43は、中空の円柱状である。凸部43の内部は、下側に開口している。図2に示すように、複数の凸部43は、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の凸部43は、中心軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。凸部43の数は、例えば、8つである。
【0056】
複数の凸部43は、複数の穴部31cにそれぞれ挿入されている。凸部43の外周面は、穴部31cの内周面と内接している。これにより、複数の凸部43は、穴部31cの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持している。
【0057】
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図1に示すように、出力部40は、出力シャフト41と、フランジ部42と、凸部43と、を有する。つまり、上述した減速機構30の一部であるフランジ部42および凸部43は、出力部40の一部でもある。本実施形態において出力部40は、単一の部材である。
【0058】
本実施形態において出力シャフト41は、モータシャフト21の下側においてモータシャフト21の軸方向に延びている。出力シャフト41は、中心軸J1を中心とする円柱状である。出力シャフト41は、フランジ部42の径方向内縁部から下側に延びている。出力シャフト41は、ブッシュ54の径方向内側に嵌め合わされている。出力シャフト41は、ブッシュ54によって中心軸J1回りに回転可能に支持されている。出力シャフト41は、突出筒部13cの内部に通されている。本実施形態において出力シャフト41の下端部は、突出筒部13cの下端部と軸方向において同じ位置に位置する。
【0059】
出力シャフト41は、収容凹部41aと、連結凹部41bと、を有する。収容凹部41aは、出力シャフト41の上側の端部から下側に窪んでいる。図示は省略するが、収容凹部41aは、軸方向に見て、中心軸J1を中心とする円形状である。収容凹部41aには、モータシャフト21の下側の端部が収容されている。本実施形態において収容凹部41aには、第7軸部21gと第8軸部21hとが収容されている。モータシャフト21の下端面は、収容凹部41aの底面よりも上側に位置する。モータシャフト21の下端面は、収容凹部41aの底面と隙間を介して軸方向に対向している。
【0060】
連結凹部41bは、出力シャフト41の下側の端部から上側に窪んでいる。図示は省略するが、連結凹部41bは、軸方向に見て、中心軸J1を中心とする略円形状である。連結凹部41bの内周面には、周方向に沿って複数のスプライン溝が設けられている。連結凹部41bには、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が挿入されて連結される。他の部材は、例えば、車両におけるマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ10は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動させ、車両のギアを切り換える。
【0061】
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部である第6軸部21fは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。第6軸部21fの公転は第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31cの内周面と凸部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0062】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32は減速機構ケース13に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31cと凸部43とを介して、フランジ部42に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。上述した構造を有する減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比を比較的大きくできる。そのため、出力シャフト41の回転トルクを比較的大きくできる。
【0063】
予圧部材60は、第3ベアリング53の外輪と支持壁部12fとの軸方向の間に位置する。予圧部材60は、第3ベアリング53の外輪に対して下側向きの弾性力を加えている。本実施形態において予圧部材60は、例えば、ウェーブワッシャである。
【0064】
回路基板70は、軸方向と直交する平面に広がる板状である。回路基板70は、モータケース12に収容されている。より詳細には、回路基板70は、回路基板収容部12g内に収容され、円環板部12bから上側に離れて配置されている。回路基板70は、モータ20と電気的に接続される基板である。回路基板70には、コイル23bが電気的に接続されている。回路基板70は、例えば、モータ20に供給される電流を制御する。回路基板70には、例えば、インバータ回路が搭載されている。
【0065】
取付部材72は、中心軸J1を中心とする円環状である。取付部材72の内周面は、モータシャフト21の上端部、すなわち第1軸部21aの外周面に固定されている。第1センサマグネット73は、中心軸J1を中心とする円環状である。第1センサマグネット73は、取付部材72の径方向外縁部の上端面に固定されている。第1センサマグネット73は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。第1回転センサ71は、回路基板70の下面に取り付けられている。第1回転センサ71を用いて、モータシャフト21とともに回転する第1センサマグネット73によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
【0066】
図5に示すように、上述した電動アクチュエータ10の製造方法は、固定部材80を用いて内歯ギア32をケース11に固定する固定工程FPを含む。固定工程FPは、配置工程S1と、変形工程S2と、を含む。配置工程S1は、変形する前の固定部材180と内歯ギア32とを配置する工程である。本実施形態において配置工程S1は、内歯ギア配置工程S1aと、固定部材配置工程S1bと、を含む。
【0067】
内歯ギア配置工程S1aは、内歯ギア32を周壁部13kの径方向内側に配置する工程である。内歯ギア配置工程S1aにおいて作業者等は、図6に示すように、内歯ギア32を底壁部13jの上側に配置する。このとき、内歯ギア32の各貫通孔33には、各柱状部14が挿入される。
【0068】
なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0069】
固定部材配置工程S1bは、変形する前の固定部材180を貫通孔33内に配置する工程である。本実施形態において固定部材配置工程S1bは、内歯ギア配置工程S1aの後に行われる。なお、固定部材180を配置した後に内歯ギア32を配置可能であれば、内歯ギア配置工程S1aの前に固定部材配置工程S1bが行われてもよい。
【0070】
図6に示すように、固定部材配置工程S1bにおいて作業者等は、変形する前の固定部材180の環状部181を貫通孔33内に上側から挿し込んで配置する。このとき、環状部181の内側には、柱状部14が挿入される。配置された環状部181の内周面と柱状部14の外周面との柱径方向の間および環状部181の外周面と貫通孔33の内周面との柱径方向の間の少なくとも一方には、例えば、僅かな隙間が設けられている。環状部181の軸方向の寸法は、変形した後の環状部81の軸方向の寸法よりも大きい。環状部181の内周面と外周面との間の柱径方向の厚さは、変形した後の環状部81の内周面と外周面との間の柱径方向の厚さよりも小さい。固定部材配置工程S1bにおいて配置された固定部材180は、内歯ギア32の上側の面32eよりも上側に突出している状態となっている。本実施形態の固定部材配置工程S1bにおいて作業者等は、3つの固定部材180を3つの貫通孔33内のそれぞれに配置する。
【0071】
変形工程S2は、貫通孔33内において環状部181が柱状部14を囲んで配置された状態の固定部材180を、上側から下側向きに底壁部13jに押し付けて変形させる工程である。図6に示すように、作業者等は、固定部材180の上側から固定部材180に下側向きの力を加える。これにより、固定部材180が軸方向に押し潰されて変形し、図3に示す変形した後の固定部材80となる。作業者等は、例えば、下側を向く平坦面を有する治具を用いて、当該平坦面を介して固定部材180に上側から力を加える。作業者等は、例えば、当該治具の平坦面が内歯ギア32の上側の面32eに接触するまで固定部材180を軸方向に押し潰して変形させる。
【0072】
変形工程S2においては、固定部材180の一部が変形して第1凹部33b内に入り込む。これにより、第1凹部33b内に固定部材180の一部が充填され、第1凹部33bの内面形状に沿った第1挿入部83が作られる。第1挿入部83は、例えば、軸方向に押し潰される環状部181の一部が第1凹部33b内に入り込むことによって作られる。
【0073】
変形工程S2においては、固定部材180の一部が変形して第2凹部14a内に入り込む。これにより、第2凹部14a内に固定部材180の一部が充填され、第2凹部14aの内面形状に沿った第2挿入部84が作られる。第2挿入部84は、例えば、軸方向に押し潰される環状部181の一部が第2凹部14a内に入り込むことによって作られる。
【0074】
変形工程S2によって環状部181が軸方向に押し潰されることで、変形する前の突出部182の下側の面が内歯ギア32に上側から接触する。本実施形態では、突出部182の下側の面が、小径部33aと大径部33cとの間の段差部における段差面に上側から接触する。変形する前の突出部182の軸方向の寸法は、変形した後の突出部82の軸方向の寸法よりも大きい。突出部182の外径は、変形した後の突出部82の外径よりも小さい。変形する前の突出部182の外径は、大径部33cの内径よりも小さい。変形工程S2において突出部182は、小径部33aと大径部33cとの間の段差面に上側から押し付けられ、柱径方向に広がる向きに変形する。これにより、突出部182の外周面は、大径部33cの内周面に接触する。変形した後の突出部82は、大径部33cの内周面に対して、柱径方向の外側向きの力を加えてもよい。
【0075】
変形工程S2において、環状部181は、柱径方向に広がる向きに変形して柱状部14の外周面と貫通孔33の内周面とに押し付けられる。これにより、変形した後の固定部材80によって内歯ギア32を柱状部14に対して固定できる。本実施形態の変形工程S2において作業者等は、3つの固定部材180をそれぞれ変形させて内歯ギア32を固定する。なお、変形工程S2において作業者等は、3つの固定部材180を同時に変形させてもよいし、3つの固定部材180を順番に変形させてもよい。
【0076】
本実施形態によれば、柱状部14の外周面と貫通孔33の内周面とに接触する環状部81を有する固定部材80が設けられている。固定部材80を構成する材料の硬度は、内歯ギア32を構成する材料の硬度および柱状部14を構成する材料の硬度よりも小さい。そのため、上述した固定工程FPのように、変形する前の固定部材180を貫通孔33内において軸方向に押し潰して容易に変形させることができる。これにより、変形した後の環状部81を柱状部14の外周面と貫通孔33の内周面とに強く押し付けることができる。したがって、環状部81と柱状部14の外周面との間、および環状部81と貫通孔33の内周面との間に生じる摩擦力を比較的大きくすることができ、当該摩擦力によって内歯ギア32を柱状部14に強固に固定することができる。そのため、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度を向上できる。これにより、内歯ギア32がケース11から外れる、および内歯ギア32がケース11に対してずれるなどの不具合を抑制できる。
【0077】
また、例えば、内歯ギア32を直接的に周壁部13k内に圧入する場合、比較的硬度が大きい周壁部13kと内歯ギア32との少なくとも一方を変形させる必要がある。そのため、内歯ギア32を固定する際、内歯ギア32には比較的大きな力を加える必要があり、内歯ギア32を固定しにくい場合がある。これに対して、本実施形態によれば、比較的硬度が小さい固定部材180を変形させることで、容易に内歯ギア32を好適に固定できる。そのため、内歯ギア32を周壁部13k内に圧入によって固定する場合に比べて、内歯ギア32を容易に固定できる。したがって、電動アクチュエータ10の組み立て性を向上できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、固定部材80を構成する材料は、金属である。そのため、上述したようにして変形する前の固定部材180を変形させやすい。また、固定部材180を柱状部14の外周面と貫通孔33の内周面との柱径方向の隙間の形状に沿って好適に変形させることができる。そのため、変形した後の固定部材80を、柱状部14の外周面と貫通孔33の内周面とに好適に密着させやすい。これにより、固定部材80と柱状部14の外周面および貫通孔33の内周面との間の摩擦力のそれぞれをより大きくすることができる。したがって、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、固定部材80を構成する材料と柱状部14を構成する材料とは、それぞれ同種の金属を含む。ここで、或る2つの部材を構成する材料がそれぞれ同種の金属を含む場合、或る2つの部材同士の間の摩擦係数は比較的大きくなりやすい。そのため、固定部材80を構成する材料と柱状部14を構成する材料とが同種の金属を含むことで、固定部材80と柱状部14との間の摩擦係数を比較的大きくできる。これにより、固定部材80と柱状部14との間に生じる摩擦力をより好適に大きくすることができる。したがって、固定部材80を柱状部14に対して、より強固に固定することができる。そのため、固定部材80によって内歯ギア32を柱状部14に対して、より強固に固定できる。これにより、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、貫通孔33の内周面には、第1凹部33bが設けられている。固定部材80は、第1凹部33bの内部に挿入された第1挿入部83を有する。第1挿入部83は、第1凹部33bの内面に接触している。そのため、第1挿入部83と第1凹部33bとの間の摩擦力によって、固定部材80を内歯ギア32に対して、より強固に固定することができる。これにより、固定部材80によって内歯ギア32を柱状部14に対して、より強固に固定できる。したがって、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。また、第1凹部33bの内面に対して第1挿入部83が下側から引っ掛かるため、固定部材80が貫通孔33内から上側に抜け出ることをより抑制できる。また、上述したように変形工程S2において、固定部材180の一部を変形させて第1凹部33b内に入り込ませることができるため、固定部材180が変形する際に固定部材180の一部を第1凹部33b内に逃がすことができる。これにより、変形工程S2において固定部材180をより変形させやすくできる。
【0081】
また、本実施形態によれば、第1凹部33bは、柱状部14を囲む環状である。そのため、第1挿入部83と第1凹部33bとの接触面積を大きくすることができる。これにより、第1挿入部83と第1凹部33bとの間の摩擦力をより大きくでき、固定部材80を内歯ギア32に対して、より強固に固定することができる。したがって、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。また、固定部材80が上側に力を受けた際に、第1挿入部83が第1凹部33bの内面に下側から接触することで受ける力を柱周方向に分散させることができる。これにより、第1挿入部83に力が集中して加えられることを抑制でき、第1挿入部83が損傷することを抑制できる。また、変形工程S2において、固定部材180の変形量を柱周方向の一周に亘って均一にしやすいため、固定部材180を好適に変形させやすい。また、切削加工により貫通孔33の内周面の一部を一周に亘って切り欠くことで容易に第1凹部33bを作ることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、第1凹部33bは、貫通孔33の内周面のうち下側の端部に設けられている。第1凹部33bの内径は、下側に向かうに従って大きくなっている。そのため、例えば貫通孔33の下側の開口縁部を面取り加工することによって、環状の第1凹部33bを容易に作ることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第1挿入部83は、第1凹部33bの内部に充填されている。そのため、第1挿入部83と第1凹部33bとの接触面積をより大きくすることができる。これにより、第1挿入部83と第1凹部33bとの間の摩擦力をより大きくでき、固定部材80を内歯ギア32に対して、より強固に固定することができる。したがって、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、固定部材80は、環状部81の外周面に設けられた突出部82を有する。突出部82は、内歯ギア32に上側から接触している。そのため、突出部82によって内歯ギア32を上側から押さえることができる。これにより、内歯ギア32が上側にずれることを突出部82によって抑制できる。また、突出部82を固定部材80の上側の端部に設けることで、固定部材80の上側の面80aを大きくできる。そのため、変形する前の固定部材180に上側から力を加えて変形させる際に、固定部材180に力を加えやすくできる。これにより、固定部材180をより変形させやすくできる。
【0085】
また、本実施形態によれば、突出部82は、大径部33c内に配置されている。そのため、突出部82を設けた場合であっても、固定部材80が内歯ギア32よりも上側に突出することを抑制できる。また、本実施形態によれば、固定部材80の上側の面80aと内歯ギア32の上側の面32eとは、軸方向において同じ位置に配置されている。そのため、上述したように、変形工程S2において、固定部材80を上側から下側に押す治具の平坦面が内歯ギア32の上側の面32eに接触するまで固定部材180を変形させる方法を採用できる。そのため、変形工程S2を終了するタイミングを容易に把握することができる。これにより、変形工程S2における作業性を向上できる。
【0086】
また、本実施形態によれば、柱状部14の外周面には、第2凹部14aが設けられている。固定部材80は、第2凹部14aの内部に挿入された第2挿入部84を有する。第2挿入部84は、第2凹部14aの内面に接触している。そのため、第2挿入部84と第2凹部14aとの間の摩擦力によって、固定部材80を柱状部14に対して、より強固に固定することができる。これにより、固定部材80によって内歯ギア32を柱状部14に対して、より強固に固定できる。したがって、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。また、第2凹部14aの内面に対して第2挿入部84が下側から引っ掛かるため、固定部材80が柱状部14に対して上側に移動することを抑制できる。これにより、固定部材80が柱状部14から外れることを抑制できる。また、上述したように変形工程S2において、固定部材180の一部を変形させて第2凹部14a内に入り込ませることができるため、固定部材180が変形する際に固定部材180の一部を第2凹部14a内に逃がすことができる。これにより、変形工程S2において固定部材180をより変形させやすくできる。本実施形態において第2凹部14aは柱状部14を囲む環状であり、かつ、第2凹部14a内には第2挿入部84が充填されているため、柱状部14と第2凹部14aとの間の摩擦力をより好適に大きくできる。したがって、柱状部14に対して固定部材80をより強固に固定できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、貫通孔33、柱状部14、および固定部材80は、中心軸J1回りの周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。そのため、複数の固定部材80によって、内歯ギア32をより好適に固定することができる。これにより、ケース11に対する内歯ギア32の固定強度をより向上できる。
【0088】
<第2実施形態>
図7に示すように、本実施形態の内歯ギア232において、内歯ギア232を軸方向に貫通する貫通孔233は、軸方向の全体に亘って内径が均一な円形状の孔である。貫通孔233の内周面には、第1実施形態と異なり、第1凹部33bが設けられていない。内歯ギア232のその他の構成は、第1実施形態の内歯ギア32のその他の構成と同様である。本実施形態の柱状部214は、第1実施形態の柱状部14と異なり、第2凹部14aを有しない。柱状部214のその他の構成は、第1実施形態の柱状部14のその他の構成と同様である。
【0089】
固定部材280は、第1実施形態の固定部材80と異なり、第1挿入部83および第2挿入部84を有しない。固定部材280の環状部281は、内径および外径が軸方向の全体に亘って均一な円筒状である。環状部281における上側の端部は、貫通孔233よりも上側に突出している。固定部材280の突出部282は、環状部281のうち貫通孔233よりも上側に突出した上端部の外周面から柱径方向の外側に突出している。突出部282は、柱軸J3を中心とする円環状である。突出部282の下側の面は、内歯ギア232の上側の面32eに接触している。固定部材280のその他の構成は、第1実施形態の固定部材80のその他の構成と同様である。
【0090】
図8においては、変形する前の本実施形態の固定部材380を示している。固定部材380は、変形する前の環状部381と、変形する前の突出部382と、を有する。環状部381は、環状部381の下側の面から上側に窪む第3凹部381aを有する。第3凹部381aは、柱軸J3を中心とする円環状である。第3凹部381aの内径は、上側に向かうに従って小さくなっている。第3凹部381aの内面は、下側かつ斜め柱径方向の内側を向く環状の面である。第3凹部381aの内面は、上側に向かうに従って内径が小さくなるテーパ面である。変形する前の環状部381の軸方向の寸法は、変形した後の環状部281の軸方向の寸法よりも大きい。変形する前の突出部382の軸方向の寸法は、変形した後の突出部282の軸方向の寸法よりも大きい。変形する前の突出部382の外径は、変形した後の突出部282の外径よりも小さい。
【0091】
変形する前の固定部材380が貫通孔233内に配置された状態において、底壁部13jの上側の面13iと固定部材380との軸方向の間には、第3凹部381aによって隙間が設けられている。上側から加えられる力によって固定部材380が変形する際、当該隙間には、変形する環状部381の一部が入り込む。このように、本実施形態では、貫通孔233の内周面および柱状部214の外周面に凹部が設けられない代わりに、変形する前の固定部材380に第3凹部381aが設けられることで、変形する固定部材380の一部を、第3凹部381aによって生じる隙間に逃がすことができる。これにより、固定部材380を変形させやすくできる。
【0092】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。固定部材を構成する材料は、内歯ギアを構成する材料および柱状部を構成する材料よりも硬度が小さいならば、どのような材料であってもよい。固定部材を構成する材料が金属である場合、固定部材を構成する金属は、銅などであってもよい。固定部材を構成する材料は、金属以外であってもよい。固定部材を構成する材料と柱状部を構成する材料とは、同種の金属を含まなくてもよい。内歯ギアを構成する材料と柱状部を構成する材料とは、同種の金属を含んでいてもよい。
【0093】
固定部材の第1挿入部は、第1凹部内の少なくとも一部に位置するならば、第1凹部内の一部に位置していなくてもよい。固定部材の第1挿入部は、設けられなくてもよい。この場合、貫通孔の内周面には、第1凹部が設けられなくてもよい。第1凹部の形状は、特に限定されず、環状でなくてもよい。第1凹部は、複数設けられてもよい。この場合、固定部材は、各第1凹部に挿入される複数の第1挿入部を有してもよい。これらの第1挿入部および第1凹部に関する事項は、第2挿入部および第2凹部についても同様に適用できる。固定部材の突出部の形状は、特に限定されない。突出部は、設けられなくてもよい。
【0094】
貫通孔の数、柱状部の数、および固定部材の数は、それぞれ特に限定されない。貫通孔、柱状部、および固定部材は、それぞれ1つずつのみ設けられてもよい。柱状部の形状は、特に限定されない。柱状部は、多角柱状であってもよいし、楕円柱状であってもよい。柱状部の軸方向他方側(上側)の端部は、固定部材より軸方向他方側に突出していてもよい。
【0095】
上述した実施形態の電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。上述した実施形態の電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0096】
10…電動アクチュエータ、11…ケース、13j…底壁部、14,214…柱状部、14a…第2凹部、20…モータ、21…モータシャフト、30…減速機構、31…外歯ギア、32,232…内歯ギア、33,233…貫通孔、33a…小径部、33b…第1凹部、33c…大径部、80,180,280,380…固定部材、81,181,281,381…環状部、82,182,282,382…突出部、83…第1挿入部、84…第2挿入部、FP…固定工程、J1…中心軸、S2…変形工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8