(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117656
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】研削ホイール、及びウェーハの研削方法
(51)【国際特許分類】
B24D 7/02 20060101AFI20220804BHJP
B24D 3/06 20060101ALI20220804BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20220804BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20220804BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B24D7/02 Z
B24D3/06 A
B24B7/04 A
B24B55/02 B
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014270
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦山 孝世
【テーマコード(参考)】
3C043
3C047
3C063
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA03
3C043BA11
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C047FF04
3C047GG00
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA37
3C063FF30
5F057AA23
5F057CA31
5F057DA11
5F057EB17
5F057EB20
5F057GA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウェーハを研削する場合に、研削ホイールの回転速度等の変化があったとしても適切に加工点に研削水を供給する。
【解決手段】基台612に隙間の無い円環状の研削砥石69を配置した研削ホイール61であって、研削砥石69は、主砥粒と主ボンド材とが混合され円環状に焼結され形成された主砥石690と、主砥石690の内側面、又は外側面の少なくともいずれか一方に沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部692、側面部693と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に隙間の無い円環状の研削砥石を配置した研削ホイールであって、
該研削砥石は、主砥粒と主ボンド材とが混合され円環状に焼結され形成された主砥石と、
該主砥石の内側面、又は外側面の少なくともいずれか一方に沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部と、を備える研削ホイール。
【請求項2】
前記側面部は、側面ボンド材のみで形成された請求項1記載の研削ホイール。
【請求項3】
前記側面部は、前記主砥粒より粒径が小さい側面砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成された請求項1記載の研削ホイール。
【請求項4】
前記側面部は、前記主砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成され、該主砥粒の集中度が前記主砥石における集中度よりも低い請求項1記載の研削ホイール。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の研削ホイールを回転させ、前記研削砥石でチャックテーブルに保持されたウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、
ウェーハの上面に該研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、該研削砥石の内側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削するウェーハの研削方法。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の研削ホイールを回転させ、前記研削砥石でチャックテーブルに保持されたウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、
ウェーハの上面に該研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、該研削砥石の外側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削するウェーハの研削方法。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の研削ホイールを回転させ、前記研削砥石でチャックテーブルに保持されたウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、
ウェーハの上面に該研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、該研削砥石の内側面と外側面との両側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削するウェーハの研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを研削する研削ホイール、及びウェーハの研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の被加工物を研削する研削装置は、下記の特許文献1や特許文献2に開示されているように、環状の研削砥石を下面側に配置した研削ホイールを回転させ、研削砥石に対して研削水を供給して研削砥石とウェーハとの接触部位(加工点)に研削水を到達させつつ、チャックテーブルに保持されたウェーハを研削している。上記研削加工中においては、研削砥石の表面(主に、内側面及び外側面)の凹凸によって回転する研削砥石の周囲のエアが研削砥石に連れ回り、研削砥石の回転方向と同方向の気流を有する連れ回りエア層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-119785号公報
【特許文献2】特開2011-025380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この研削砥石に連れ回るエアによって、研削砥石を冷却し加工点に発生する加工屑を洗浄する研削水の適切な着水点が動かされてしまう。つまり、研削ホイールの回転速度が変更されると、その連れ回りエア層によって研削水の着水点が変化する。この問題を解決するために、研削ホイールの回転速度が変化しても所定の適切な着水点に研削水を着水させて加工点に研削水を到達させることができるように、研削水量を余分に多くして連れ回りエア層の影響を受けないようにしているため不経済である。また、連れ回りエア層は、研削砥石に含まれる砥粒の砥粒径によってその流量が変化してしまう。
【0005】
よって、底面に環状に研削砥石を配置した研削ホイールを用いてウェーハを研削する場合においては、研削ホイールの回転速度が変化したとしても加工点に研削水を継続的に適切に供給するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、基台に隙間の無い円環状の研削砥石を配置した研削ホイールであって、該研削砥石は、主砥粒と主ボンド材とが混合され円環状に焼結され形成された主砥石と、該主砥石の内側面、又は外側面の少なくともいずれか一方に沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部と、を備える研削ホイールである。
【0007】
前記側面部は、側面ボンド材のみで形成されていると好ましい。
【0008】
前記側面部は、前記主砥粒より粒径が小さい側面砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成されていると好ましい。
【0009】
前記側面部は、前記主砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成され、該主砥粒の集中度が前記主砥石における集中度よりも低いと好ましい。
【0010】
また上記課題を解決するための本発明は、前記研削ホイールを回転させ、前記研削砥石でチャックテーブルに保持されたウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、ウェーハの上面に該研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、該研削砥石の内側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削するウェーハの研削方法である。
【0011】
また上記課題を解決するための本発明は、前記研削ホイールを回転させ、前記研削砥石でチャックテーブルに保持されたウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、ウェーハの上面に該研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、該研削砥石の外側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削するウェーハの研削方法である。
【0012】
また上記課題を解決するための本発明は、前記研削ホイールを回転させ、前記研削砥石でチャックテーブルに保持されたウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、ウェーハの上面に該研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、該研削砥石の内側面と外側面との両側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削するウェーハの研削方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る研削ホイールは、基台に隙間の無い円環状の研削砥石を配置した研削ホイールであって、研削砥石は、主砥粒と主ボンド材とが混合され円環状に焼結され形成された主砥石と、主砥石の内側面、又は外側面の少なくともいずれか一方に沿って円環状に密着し表面が凹凸の少ない滑面である側面部と、を備えることで、研削砥石を回転させた際に、側面部の滑面である表面におけるエアの連れ回りを少なくすることが可能となる。そのため、研削砥石に含まれる主砥粒の粒径が変わったとしても、又は、研削中における研削ホイールの回転速度が変更されたとしても、研削水の着水点が変化してしまうといった事態が生じるのを防ぐことが可能となる。そのため、研削砥石がウェーハの上面に接触する加工点に研削水を適切に継続して供給することが可能になり、加工点における研削屑の排出ができるとともに、研削砥石の目詰まりを防止することができる。また、研削砥石を研削水で冷却することで、研削砥石の目潰れを防止することができる。
【0014】
本発明に係る研削ホイールにおいて、側面部は、研削砥粒を含まない側面ボンド材のみで形成されていることで、研削砥石の側面部の表面を十分に滑らかにする(凹凸を少なくする)ことができるため、主砥石がウェーハを研削している最中における側面部のエアの連れ回りをより少なくすることが可能となる。
【0015】
本発明に係る研削ホイールにおいて、側面部は、主砥粒より粒径が小さい側面砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成されていることで、側面部の表面を十分に滑らかにする(より側面部の表面の凹凸を少なくする)ことができるため、主砥石と共に側面部がウェーハを研削している最中におけるエアの連れ回りをより少なくすることが可能となる。
【0016】
本発明に係る研削ホイールにおいて、側面部は、主砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成され、主砥粒の集中度が主砥石における集中度よりも低く設定されていることで、側面部の表面を十分に滑らかにする(より側面部の表面の凹凸を少なくする)ことができるため、主砥石と共に側面部がウェーハを研削している最中におけるエアの連れ回りをより少なくすることが可能となる。
【0017】
研削ホイールを回転させ、チャックテーブルに保持されたウェーハを研削する本発明に係るウェーハの研削方法は、ウェーハの上面に前記側面部を備える前記研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、研削砥石の内側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削することで、側面部の滑面である表面(内側面)におけるエアの連れ回りを少なくしつつ、研削砥石がウェーハに接触する加工点に研削水を適切に継続して供給することが可能となる。
【0018】
研削ホイールを回転させ、チャックテーブルに保持されたウェーハを研削する本発明に係るウェーハの研削方法は、ウェーハの上面に前記側面部を備える前記研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、研削砥石の外側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削することで、側面部の滑面である表面(外側面)におけるエアの連れ回りを少なくしつつ、研削砥石がウェーハに接触する加工点に研削水を適切に継続して供給することが可能となる。
【0019】
研削ホイールを回転させ、チャックテーブルに保持されたウェーハを研削する本発明に係るウェーハの研削方法は、ウェーハの上面に前記研削砥石が接触する加工点に研削水を到達させるために、研削砥石の内側面と外側面との両側面に向かって研削水を供給しウェーハを研削することで、側面部の滑面である表面(内側面及び外側面)におけるエアの連れ回りを少なくしつつ、研削砥石がウェーハに接触する加工点に研削水を適切に継続して供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る研削ホイールを備える研削装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る研削ホイールを備える研削装置の一例を示す断面図である。
【
図3】主砥石の内側面及び外側面に沿って円環状に密着し側面ボンド材のみで形成され表面が滑面である側面部を備える研削砥石の一部を示す斜視図である。
【
図5】主砥石の内側面に沿って円環状に密着し主砥粒より粒径が小さい側面砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成され表面が滑面である側面部を備える研削砥石の一部を示す斜視図である。
【
図6】主砥石の内側面及び外側面に沿って円環状に密着し主砥粒と側面ボンド材とが焼結され形成され、主砥粒の集中度が主砥石における集中度よりも低く設定されており表面が滑面である側面部を備える研削砥石の一部を示す斜視図である。
【
図7】チャックテーブルに吸引保持されたウェーハを、研削ホイールを回転させて研削水を加工点に供給しつつ研削している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す研削装置1は、チャックテーブル30上に保持されたウェーハ90を研削ユニット5によって研削する装置である。研削装置1のベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル30に対してウェーハ90の搬入出が行われる搬入出領域となっており、また、ベース10上の後方(+Y方向側)は、研削ユニット5によってチャックテーブル30上に保持されたウェーハ90の研削加工が行われる研削加工領域となっている。
なお、研削装置1は、研削ユニットとして粗研削ユニットと仕上げ研削ユニットとの2軸備え、回転するターンテーブルによってウェーハ90を保持したチャックテーブル30を各研削ユニットの下方に位置付け可能となっていてもよい。
【0022】
図1に示すウェーハ90は、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであり、
図1において下方を向いているウェーハ90の表面900は、複数のデバイスが形成されており、保護テープ91が貼着されて保護されている。上側を向いているウェーハ90の裏面903は、研削加工が施される被加工面となる。なお、ウェーハ90はシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、樹脂、セラミックス、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、パッケージ基板等であってもよい。
【0023】
図1に示すベース10上に配設された外形が平面視円形状のチャックテーブル30は、例えば、ポーラス部材等からなりウェーハ90を吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。チャックテーブル30の吸着部300は、エジェクターユニット又は真空発生装置等の吸引源37(
図2参照)に連通し、吸引源37が吸引することで生み出された吸引力が、吸着部300の露出面と枠体301の上面とで構成される保持面302に伝達されることで、チャックテーブル30は保持面302上でウェーハ90を吸引保持することができる。
なお、保持面302は、チャックテーブル30の回転中心を頂点とし肉眼では目視できない程度の極めて緩やかな円錐斜面となっている。
【0024】
図1に示すように、チャックテーブル30は、カバー39によって周囲を囲まれつつ、軸方向がZ軸方向(鉛直方向)であり保持面302の中心を通る回転軸350(
図2参照)を軸に回転可能であり、カバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー390の下方に配設された水平移動ユニット13によって、ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。
【0025】
水平方向(Y軸方向)にチャックテーブル30を研削ユニット5に向かって移動させる水平移動ユニット13は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ130と、ボールネジ130と平行に配設された一対のガイドレール131と、ボールネジ130の一端に連結しボールネジ130を回動させるモータ132と、内部のナットがボールネジ130に螺合し底部がガイドレール131に摺接する可動板133とを備えており、モータ132がボールネジ130を回動させると、これに伴い可動板133がガイドレール131にガイドされてY軸方向に直動し、可動板133上にテーブル回転機構35を介して配設されたチャックテーブル30をY軸方向に移動させることができる。
なお、水平移動ユニット13は、ターンテーブルであってもよい。
【0026】
チャックテーブル30の下方には、チャックテーブル30を回転させるテーブル回転機構35が配設されている。
図2に詳しく示すように、テーブル回転機構35は、例えばプーリ機構であって、軸方向がZ軸方向である回転軸350を回転させる駆動源となるモータ351のシャフトには、主動プーリ352が取り付けられており、主動プーリ352には無端ベルト353が巻回されている。回転軸350には従動プーリ354が取り付けられており、無端ベルト353は、この従動プーリ354にも巻回されている。モータ351が主動プーリ352を回転駆動することで、主動プーリ352の回転に伴って無端ベルト353が回動し、無端ベルト353が回動することで従動プーリ354及び回転軸350が回転する。
チャックテーブル30の下面に上端側が接続された回転軸350は、
図2に示すテーブルベース32の内側面に配設されたベアリング327によって回転可能に支持されている。なお、
図2においては、カバー39及び蛇腹カバー390は省略して示している。
【0027】
図2に示すように、チャックテーブル30の枠体301の吸着部300が嵌め込まれる凹部の底面には、チャックテーブル30の中心を中心として同心円状又は放射状に吸引溝303が形成されている。さらに、吸引溝303の底面から枠体301の下面、さらに該下面から回転軸350にかけては、吸引路38を構成する内部吸引路380が形成されている。該内部吸引路380は、回転軸350の下部側に配設されたロータリージョイント383、及び吸引路38を構成する外部の吸引配管386を介して吸引源37に連通している。ロータリージョイント383は、吸引源37が生み出す吸引力を遺漏無く回転軸350内部の内部吸引路380に伝達することが可能である。
【0028】
例えば、吸引路38を構成する該吸引配管386には、吸引配管386を開閉して吸引源37と保持面302との連通/非連通を切り換えるソレノイドバルブ等の吸引弁36が配設されている。
【0029】
図2に示すように、保持面302と吸引弁36との間の吸引路38を構成する吸引配管386は、上流側が分岐してソレノイドバルブ等のエア供給弁33を介してコンプレッサー等のエア供給源339につながっているとともに、さらに分岐してソレノイドバルブ等の水供給弁34を介してポンプ等からなる水供給源349につながっている。
例えば、チャックテーブル30が吸引保持していたウェーハ90を保持面302から離脱させる場合には、水供給源349が保持面302に向かって供給した水とエア供給源339が保持面302に対して供給したエアとの混合流体を保持面302から噴出させることで、ウェーハ90の被保持面である表面900側の保護テープ91と保持面302との間に残存する真空吸着力を排除して、保持面302からウェーハ90を破損することなく搬出することが可能となる。
【0030】
例えば、研削装置1は、
図2に示すように、保持面302を研削砥石69の下面に平行になるように傾きを調整する傾き調整機構328を備えていてもよい。例えば
図2に示すテーブルベース32に配設された該傾き調整機構328は、チャックテーブル30の底面の外周側の領域に周方向に均等間隔を空けて2つ以上設けられている。即ち、例えば該周方向に120度間隔で、2つの傾き調整機構328と、テーブルベース32を上下動しない固定支持柱とが配設されている。2つの傾き調整機構328は、例えば、Z軸方向にロッドを上下動可能な電動シリンダやエアシリンダ等である。2つの傾き調整機構328によってテーブルベース32が上下動することで、テーブルベース32を介して回転軸350によって支持されているチャックテーブル30の保持面302の研削ユニット5の研削砥石69の研削面(下面)に対する傾きを調整することができる。
【0031】
例えば、
図2に示すように、テーブルベース32上のチャックテーブル30の近傍となる位置には、図示しない研削水供給源に連通する内ノズル40が配設されていてもよい。ウェーハ90の研削加工時においては、ウェーハ90を保持したチャックテーブル30が研削ユニット5の下の加工位置まで移動して、研削ホイール61の回転中心がウェーハ90の回転中心に対して所定の距離だけ水平方向にずれ、研削砥石69の回転軌跡がウェーハ90の回転中心を通るように位置合わせされる。この際に、側面視略L字状の内ノズル40は、研削ホイール61の内側の空間内に位置付けされ、研削ホイール61とウェーハ90との接触部位である加工点に研削水を到達させるために、研削ホイール61の内側から研削砥石69の内側面に向かって研削水を噴射して供給する。
【0032】
例えば、研削装置1は、
図2に示すように、ウェーハ90の上面となる裏面903に研削砥石69が接触する加工点に研削水を到達させるために、研削砥石69の外側面に向かって研削水を噴射して供給するための外ノズル45を備えていてもよい。
外ノズル45は、研削ホイール61の回転中心がウェーハ90の回転中心に対して所定の距離だけ水平方向にずれ、研削砥石69の回転軌跡がウェーハ90の回転中心を通るように位置合わせされた際に、研削砥石69の外側近傍に位置し、研削水を研削砥石69の外側面に向かって噴射可能となっている。
【0033】
例えば、研削装置1は、ウェーハ90の上面となる裏面903に研削砥石69が接触する加工点に研削水を到達させるために、
図1に示す研削砥石69の内側面に向かって研削水を供給するための研削ユニット内部供給路56を備えていてもよい。
研削ユニット内部供給路56は、回転軸50を軸方向(Z軸方向)に貫通して形成されており、さらにマウント53を通り、ホイール基台612(
図4参照)に形成された基台内流路613に連通している。基台内流路613は、ホイール基台612の内部において回転軸50の軸方向と直交する方向(水平方向)に、ホイール基台612の周方向に一定の間隔をおいて配設されており、ホイール基台612の底面側において研削砥石69に向かって研削水を噴出できるように開口している。
【0034】
図1に示すベース10上の後方側には、コラム11が立設されており、コラム11の-Y方向側の前面には、研削ユニット5をチャックテーブル30の保持面302に垂直な上下方向(Z軸方向)に移動させる上下動ユニット17が配設されている。
上下動ユニット17は、軸方向がZ軸方向であるボールネジ170と、ボールネジ170と平行に延在する一対のガイドレール171と、ボールネジ170に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部が一対のガイドレール171に摺接する昇降板173とから構成され、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板173に取り付けられた研削ユニット5もZ軸方向に往復移動する。
【0035】
図1、
図2に示すチャックテーブル30に保持されたウェーハ90を研削加工する研削ユニット5は、軸方向がZ軸方向である回転軸50と、内部に形成したエアベアリング等によって回転軸50を回転可能に支持するハウジング51と、回転軸50を回転駆動するモータ52と、回転軸50の下端に接続された円板状のマウント53と、マウント53の下面に着脱可能に装着された本発明に係る研削ホイール61と、ハウジング51を支持し昇降板173に接続されたホルダ55とを備える。
【0036】
本発明に係る研削ホイール61は、ホイール基台612の下面に隙間の無い円環状の研削砥石69、即ち、いわゆるコンティニュアス配列の研削砥石69を配置した研削ホイール61であって、研削砥石69は、主砥粒と主ボンド材とが混合され円環状に焼結され形成された主砥石と、主砥石の内側面、又は外側面の少なくともいずれか一方に沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部と、を備えている。
【0037】
(実施形態1の研削砥石)
研削ホイール61は、例えば、
図3、
図4に示す実施形態1の研削砥石69を備えている。実施形態1の研削砥石69は、主砥石690の内側面、及び外側面の両側面それぞれに沿って平面視円環状の側面部692、側面部693が密着している。
研削砥石69の製造方法は、例えば以下のとおりである。まず、
図3に示す主ボンド材615である例えばビトリファイドボンド、メタルボンド、又はレジンボンドに対して、砥粒径が例えば粒度表示(メッシュ値表示)で♯2000の主砥粒691であるダイヤモンド砥粒を用いる。ビトリファイドボンドの一例としては、例えば、二酸化珪素(SiO2)を主成分とし、長石等を微量混入したものを用いてもよい。次いで、この混合物を金型に入れて所定の温度で加熱し、さらにプレスして円環状に成型する。その後、更に高温で数時間焼結させることで、主砥石690を製造する。主砥石690を金型から抜き、別の金型に入れて、さらに、該金型内において主砥石690の内側面及び外側面に側面部692及び側面部692が例えば焼結されつつ密着する。
なお、上記粒度表示である♯(メッシュ)~の値が大きいほど、砥粒径=砥粒の大きさは小さくなる。
【0038】
側面部692及び側面部693は、例えば、側面ボンド材699のみで形成されている、即ち、凹凸を生み出す要因となる砥粒が含まれておらずその表面が滑面となる。側面ボンド材699は、例えば、主ボンド材615であるビトリファイドボンド、メタルボンド、又はレジンボンドと同様に、ビトリファイドボンド、メタルボンド、又はレジンボンドを同種で用いると好ましいが、別の種類のボンド材を用いてもよい。
なお、別の種類のボンド材で構成する場合には、側面部693を製作後、側面部693を焼結する温度以下で主砥石690を側面部693とともに焼結して一体化させてもよい。または、主砥石690と側面部693とを別々に焼結して別々に形成したのち、ガラスなどの接着剤で接着して一体化させてもよい。
側面部692及び側面部693の下面や上面は主砥石690の下面や上面と略面一に設定されている。
【0039】
上記のように形成された実施形態1の研削砥石69が、SUS等が平面視円環状に形成された
図4に示す基台612(以下、ホイール基台612とする)の下面にホイール基台612の中心と円環状の研削砥石69の中心とが略合致するように接着剤等によって接着される。
なお、上記研削ホイール61の製造において、1つつながりの円環状ではなく略直方体状に形成した研削砥石69を、ホイール基台612の下面に円環状に複数隣り合う各研削砥石69間に隙間を作らないように接着してもよい。
【0040】
図1に示すマウント53に形成された図示しない複数のボルト挿通穴と
図4に示す研削ホイール61のホイール基台612に設けられた複数の螺合穴6123とを重なるように位置合わせする。そして、マウント53に形成された複数のボルト挿通穴から
図1に示す締結ボルト535を挿入しホイール基台612の複数の螺合穴6123に螺合することにより、マウント53の下面に研削ホイール61を取り付けることができる。また、
図1に示す研削ユニット内部供給路56と複数の
図4に示す基台内流路613とが連通した状態になる。
このように、研削ホイール61を回転軸50に取り付けられたマウント53に装着することで、研削ユニット5がウェーハ90を研削可能な状態になる。
【0041】
(実施形態2の研削砥石)
研削ホイール61は、
図3、
図4に示す実施形態1の研削砥石69に代えて、ホイール基台612の下面に
図5に示す実施形態2の研削砥石62が接着されていてもよい。実施形態2の研削砥石62は、実施形態1の研削砥石69と同様に主砥石690を備え、さらに、主砥石690の内側面のみに沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部626を備える。なお、実施形態1の研削砥石69と同様に、研削砥石62は主砥石690の内側面に加えて外側面にも側面部626を備えていてもよいし、又は外側面のみに側面部626を備えてもよい。
【0042】
図5に示す側面部626は、例えば、主砥石690に含まれている主砥粒691(
図3参照)より粒径が小さい側面砥粒627と側面ボンド材699とが焼結され形成されている。例えば、
図5に示す主砥粒691の粒径が粒度表示で♯2000であるのに対して、
図5に示す側面砥粒627の粒径は粒度表示で♯8000に設定されている。したがって、側面部626は、凹凸を生み出す要因となる粒径の大きな砥粒が含まれていないことによって、その表面が滑面となる。
なお、側面部626は、実施形態1の研削砥石69と同様に砥粒を含まない側面ボンド材699のみで形成されていてもよい。
【0043】
(実施形態3の研削砥石)
研削ホイール61は、
図3に示す実施形態1の研削砥石69に代えて、ホイール基台612の下面に
図6に示す実施形態3の研削砥石63が接着されていてもよい。
図6に示す実施形態3の研削砥石63は、実施形態1の研削砥石69と同様に主砥石690を備え、さらに、主砥石690の内側面及び外側面に沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部637、側面部638と、を備える。側面部637及び側面部638は、主砥石690に含まれている主砥粒691と同様の主砥粒691と側面ボンド材699とが焼結され形成され、主砥粒691の集中度が主砥石690における集中度よりも低く設定されている。なお、集中度とは、砥粒層部の体積1cm
3あたりに占める砥粒の含有量を指し、数値が大きいほど砥粒層部に砥粒が多く含まれていることを示す。例えば、砥粒の集中度が100である場合には、砥粒層部に占める砥粒の体積比率が25%であり、砥粒の集中度が50である場合には、砥粒層部に占める砥粒の体積比率が12.5%である。そして、実施形態3の研削砥石63の主砥石690における集中度は、例えば主砥石690の主砥粒691が#2000の場合なら100であり、これに対して、側面部637や側面部638における集中度は、例えば30に設定されている。したがって、側面部637や側面部638は表面が滑面となる。
【0044】
以下に、
図1に示す研削装置1を用いて本発明に係るウェーハの研削方法を実施して、ウェーハ90を薄化する場合について説明する。
まず、チャックテーブル30が搬入出領域に位置付けされ、ウェーハ90がチャックテーブル30の保持面302に互いの中心を略合致させた状態で載置され吸引保持される。次いで、水平移動ユニット13が、ウェーハ90を保持したチャックテーブル30を研削ユニット5の下方の加工位置に向かって+Y方向へ移動させる。
また、保持面302が研削ユニット5の例えば実施形態1の研削砥石69の研削面(下面)に対して平行になるように、
図2に示す傾き調整機構328によってチャックテーブル30の傾きが調整されることで、保持面302にならって吸引保持されているウェーハ90の裏面903が、研削ホイール61の研削砥石69の下面に対して略平行になる。
【0045】
ウェーハ90を保持したチャックテーブル30が研削ユニット5の下の加工位置まで移動して、研削ホイール61の回転中心がウェーハ90の回転中心に対して所定の距離だけ水平方向にずれ、研削砥石69の主砥石690(
図3参照)の回転軌跡がウェーハ90の回転中心を通るように位置合わせされる。
【0046】
また、モータ52が回転軸50を例えば+Z方向側から見て反時計回り方向に所定の回転速度で回転駆動し、これに伴って
図2、
図7に示すように研削ホイール61も回転する。そして、研削ユニット5が上下動ユニット17により下降して、回転する研削砥石69がウェーハ90の裏面903に当接することで研削が行われる。研削中は、
図7に示すように、チャックテーブル30が所定の回転速度で例えば+Z方向側から見て反時計回り方向に回転されるのに伴って、保持面302上に保持されたウェーハ90も回転するので、研削砥石69がウェーハ90の裏面903の全面の研削加工を行う。なお、ウェーハ90はチャックテーブル30の保持面302にならって吸引保持されているため、
図7に示すように、研削砥石69の回転軌跡中の矢印696で示す範囲内、即ち、ウェーハ90の中心から外周縁までの平面視弧状の範囲内において、研削砥石69はウェーハ90に当接し研削を行う。矢印696で示す範囲内は、即ち、チャックテーブル30に保持されたウェーハ90の上面である裏面903に研削砥石69の下面を接触させた加工点696となる。
【0047】
研削加工中は、ウェーハ90の裏面903に研削砥石69が接触する加工点696に研削水を到達させるために、例えば、研削砥石69の内側面と外側面との両側面に向かって研削水を供給しウェーハ90を研削する。
なお、例えば、研削ホイール61が、主砥石690の内側面のみに沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部626を有する
図2に示す実施形態2の研削砥石62を備えている場合には、例えば、ウェーハ90の裏面903に研削砥石62が接触する加工点696に研削水を到達させるために、研削砥石62の内側面に向かって内ノズル40から研削水を噴射して供給しウェーハ90を研削してもよい。または、研削ホイール61が、例えば主砥石690の外側面のみに沿って円環状に密着し表面が滑面である側面部を有する研削砥石を備えている場合には、例えば、ウェーハ90の裏面903に研削砥石が接触する加工点696に研削水を到達させるために、研削砥石の外側面に向かって外ノズル45から研削水を噴射して供給しウェーハ90を研削してもよい。
【0048】
図2、
図7に示す研削砥石69の内側面である側面部692に対する研削水の供給方法の一例は、
図2に示す内ノズル40からの研削水を研削砥石69の内側面に向かって噴射する。回転する研削砥石69の側面部692の表面(内側面)は滑面であるため、エアの連れ回りが少ない。そのため、内ノズル40から噴射させる研削水が連れ回りエアによる影響を受けにくく、研削水の水量を必要な量以上に多くする必要が無く、予め設定した適切な量の研削水を継続的に研削砥石69の側面部692から
図7に示す加工点696に到達させることができる。また、研削加工中に研削砥石69の回転速度が変化しても、内ノズル40から噴射したエアが連れ回りエアによる影響を受けにくいため、継続的に研削砥石69の側面部692から加工点696に研削水を到達させることができる。そして、加工点696に発生する研削屑の洗浄除去を継続的に行えるとともに、研削砥石69の冷却を継続的に行うことができる。
【0049】
研削砥石69の内側面である側面部692に対する研削水の供給方法の一例は、
図1に示す研削ユニット5内部の研削ユニット内部供給路56に研削水を供給して、研削ホイール61のホイール基台612の
図4に示す基台内流路613から回転する研削砥石69の内側面に向かって研削水を供給する。回転する研削砥石69の側面部692の表面(内側面)は滑面であるため、エアの連れ回りが少ない。そのため、研削ユニット5の内部から側面部692に向かって供給された研削水が連れ回りエアによる影響を受けにくいため、研削水の水量を必要な量以上に多くして加工点696に研削水が到達させる必要が無く、予め設定した適切な量の研削水を継続的に研削砥石69の側面部692から加工点696に到達させることができる。また、研削加工中に研削砥石69の回転速度が変化しても、該研削水が連れ回りエアによる影響を受けにくいため、継続的に研削砥石69の側面部692から加工点696に研削水を到達させることができる。そして、加工点696に発生する研削屑の洗浄除去、及び研削砥石69の冷却を継続的に行うことができる。
【0050】
研削砥石69の外側面である側面部693に対する研削水の供給方法の一例は、例えば、
図2、
図7に示す外ノズル45から研削水を研削砥石69の外側面に向かって噴射する。回転する研削砥石69の側面部693の表面(外側面)は滑面であるため、エアの連れ回りが少ない。そのため、外ノズル45から噴射させる研削水が連れ回りエアによる影響を受けにくいため、研削水の水量を必要な量以上に多くする必要が無く、予め設定した適切な量の研削水を継続的に研削砥石69の側面部693から加工点696に到達させることができる。また、研削加工中に研削砥石69の回転速度が変化しても、外ノズル45から噴射したエアが連れ回りエアによる影響を受けにくいため、継続的に研削砥石69の側面部693から加工点696に研削水を到達させることができる。そして、加工点696に発生する研削屑の洗浄除去、及び研削砥石69の冷却を継続的に行うことができる。
【0051】
例えば、
図2、
図7に示す研削ホイール61に配設された研削砥石が、実施形態1の研削砥石69の代わりに
図5に示す実施形態2の研削砥石62であっても、上記のような内ノズル40からの研削水の供給、又は/及び研削ユニット5の内部を介した研削水の供給によって、継続的に研削砥石62の側面部626から加工点696に研削水を適切に到達させることができる。なぜならば、実施形態2の研削砥石62の側面部626は、主砥石690の主砥粒691より粒径が小さい側面砥粒627と側面ボンド材699とが焼結され形成されていることで、その内側面(表面)が凹凸の少ない滑面となっているため、エアの連れ回りが少なく、側面部626に供給された研削水が連れ回りエアによる影響を受けにくいためである。
【0052】
例えば、
図2、
図7に示す研削ホイール61に配設された研削砥石が、実施形態1の研削砥石69の代わりに
図6に示す実施形態3の研削砥石63であっても、上記のような内ノズル40からの研削水の供給、外ノズル45からの研削水の供給、又は/及び研削ユニット5の内部を介した研削水の供給によって、継続的に研削砥石63の側面部637から加工点696に研削水を適切に到達させることができる。なぜならば、実施形態3の研削砥石63の側面部637は、主砥石690に含まれている主砥粒691と同様の主砥粒691と側面ボンド材699とが焼結され形成され、主砥粒691の集中度が主砥石690における集中度よりも低く設定されていることで、その内側面(表面)が凹凸の少ない滑面となっているため、エアの連れ回りが少なく、側面部637に供給された研削水が連れ回りエアによる影響を受けにくいためである。
【0053】
上記のように研削ホイール61を回転させ、チャックテーブル30に保持されたウェーハ90を研削する本発明に係るウェーハの研削方法は、ウェーハ90の上面である裏面903に側面部692、側面部693を備える例えば実施形態1の研削砥石69が接触する加工点696に研削水を到達させるために、研削砥石69の内側面(側面部692の内側面)に向かって研削水を供給しウェーハ90を研削することで、側面部692の滑面である表面におけるエアの連れ回りを少なくしつつ、研削砥石69がウェーハ90の裏面903に接触する加工点696に研削水を適切に継続して供給可能となる。
【0054】
研削ホイール61を回転させ、チャックテーブル30に保持されたウェーハ90を研削する本発明に係るウェーハの研削方法は、ウェーハ90の裏面903に例えば側面部693を備える実施形態1の研削砥石69が接触する加工点696に研削水を到達させるために、研削砥石69の外側面(側面部693の外側面)に向かって研削水を供給しウェーハ90を研削することで、側面部693の滑面である表面におけるエアの連れ回りを少なくしつつ、研削砥石69がウェーハ90に接触する加工点696に研削水を適切に継続して供給可能となる。
【0055】
研削ホイール61を回転させ、チャックテーブル30に保持されたウェーハ90を研削する本発明に係るウェーハの研削方法は、ウェーハ90の裏面903に例えば実施形態1の研削砥石69が接触する加工点696に研削水を到達させるために、研削砥石69の内側面(側面部692の内側面)と外側面(側面部693の外側面)との両側面に向かって研削水を供給しウェーハ90を研削することで、側面部692、側面部693の滑面である表面におけるエアの連れ回りを少なくしつつ、研削砥石69がウェーハ90の裏面903に接触する加工点696に研削水を適切に継続して供給可能となる。
【0056】
本発明に係る研削ホイール及び研削方法は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている研削装置1の構成等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
90:ウェーハ 900:ウェーハの表面 903:ウェーハの裏面 91:保護テープ
1:研削装置 10:ベース 11:コラム 17:上下動ユニット 170:ボールネジ 171:一対のガイドレール 172:モータ 173:昇降板
13:水平移動ユニット 130:ボールネジ 132:モータ 133:可動板
30:チャックテーブル 300:吸着部 301:枠体 302:保持面 303:吸引溝 39:カバー 390:蛇腹カバー
35:テーブル回転機構 350:回転軸 351:モータ 353:無端ベルト
38:吸引路 380:内部吸引路 383:ロータリージョイント 386:吸引配管
37:吸引源 36:吸引弁 33:エア供給弁 339:エア供給源
34:水供給弁 349:水供給源
32:テーブルベース 327:ベアリング 328:傾き調整機構
40:内ノズル
5:研削ユニット 50:回転軸 51:ハウジング 52:モータ 53:マウント
61:研削ホイール 69:実施形態1の研削砥石 690:主砥石 691:主砥粒
692、693:側面部 699:側面ボンド材
62:実施形態2の研削砥石 690:主砥石 691:主砥粒 626:側面部 627:側面砥粒 699:側面ボンド材
63:実施形態3の研削砥石 637、638:側面部 699:側面ボンド材 690:主砥石