(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119450
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20220809BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016575
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】志賀 悠人
(72)【発明者】
【氏名】數田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】占部 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】濱地 紀彰
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利典
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】外部端子の剥離を抑制可能な積層コイル部品を提供する。
【解決手段】積層コイル部品1は、積層された複数の絶縁体層を有している素体2と、素体2内に配置されているコイルと、コイルと電気的に接続されている一対の外部端子3と、を備える。素体2は、直方体形状を呈し、第一方向D1において互いに対向している一対の主面2a,2bと、第二方向D2において互いに対向している一対の端面2cと、第三方向D3において互いに対向している一対の側面2eと、を有する。一対の外部端子3は、第二方向D2において互いに離間すると共に、一対の端面2c及び一対の側面2eから離間して素体2に埋設されており、主面2aから露出している露出面と、素体2内に配置されている内面3sと、をそれぞれ有する。内面3sは、凹部31又は凸部32を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の絶縁体層を有している素体と、
前記素体内に配置されているコイルと、
前記コイルと電気的に接続されている一対の外部端子と、を備え、
前記素体は、直方体形状を呈し、第一方向において互いに対向している一対の主面と、前記第一方向と交差する第二方向において互いに対向している一対の端面と、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有し、
前記一対の外部端子は、
前記第二方向において互いに離間すると共に、前記一対の端面及び一対の側面から離間して前記素体に埋設されており、
一方の前記主面から露出している露出面と、前記素体内に配置されている内面と、をそれぞれ有し、
前記内面は、凹部又は凸部を有している、
積層コイル部品。
【請求項2】
前記内面は、前記露出面と対向する対向面と、前記露出面と前記対向面とを接続する接続面と、を有し、
前記接続面は、凹部又は凸部を有している、
請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記接続面は、前記第二方向で互いに対向する一対の第一接続面を含み、
前記一対の第一接続面は、それぞれ凹部又は凸部を有している、
請求項2に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記接続面は、前記第三方向で互いに対向する一対の第二接続面を含み、
前記一対の第二接続面は、それぞれ凹部又は凸部を有している、
請求項2又は3に記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記第一方向から見て、前記接続面は、前記主面の角部と隣り合う凹部を有している、
請求項2~4のいずれか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項6】
前記接続面は、前記第一方向に交差する方向に沿って延在する凹部又は凸部を有している、
請求項2~5のいずれか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項7】
前記内面は、前記露出面と対向する対向面を有し、
前記対向面は、凹部又は凸部を有している、
請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項8】
前記対向面は、前記第一方向から見て環状の凹部又は凸部を有している、
請求項7に記載の積層コイル部品。
【請求項9】
前記一対の外部端子は、積層された複数の電極層をそれぞれ有している、
請求項1~8のいずれか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項10】
前記複数の電極層は、積層方向から見て互いに異なる形状を有する電極層が隣り合うように積層されている、
請求項9に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、素体と、コイルと、一対の外部電極と、を備える積層コイル部品が記載されている。この積層コイル部品では、外部電極は、素体の底面から露出するように素体に埋め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電子部品では、外部電極が素体から剥離する場合がある。
【0005】
本開示の一形態は、外部端子の剥離を抑制可能な積層コイル部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る積層コイル部品は、積層された複数の絶縁体層を有している素体と、素体内に配置されているコイルと、コイルと電気的に接続されている一対の外部端子と、を備え、素体は、直方体形状を呈し、第一方向において互いに対向している一対の主面と、第一方向と交差する第二方向において互いに対向している一対の端面と、第一方向及び第二方向と交差する第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有し、一対の外部端子は、第二方向において互いに離間すると共に、一対の端面及び一対の側面から離間して素体に埋設されており、一方の主面から露出している露出面と、素体内に配置されている内面と、をそれぞれ有し、内面は、凹部又は凸部を有している。
【0007】
この積層コイル部品では、外部端子が素体内に配置されている内面を有し、内面には凹部又は凸部が設けられている。これにより、素体と外部端子との接触面積が増え、素体に対する外部端子の密着性が向上する。この結果、外部端子の剥離を抑制することができる。
【0008】
内面は、露出面と対向する対向面と、露出面と対向面とを接続する接続面と、を有し、接続面は、凹部又は凸部を有していてもよい。この場合、第一方向への応力に対して凹部又は凸部が引っ掛かり易いので、外部端子の剥離を抑制し易い。
【0009】
接続面は、第二方向で互いに対向する一対の第一接続面を含み、一対の第一接続面は、それぞれ凹部又は凸部を有していてもよい。この場合、一方の第一接続面のみに凹部又は凸部が設けられている場合に比べて、外部端子の剥離を抑制することができる。
【0010】
接続面は、第三方向で互いに対向する一対の第二接続面を含み、一対の第二接続面は、それぞれ凹部又は凸部を有していてもよい。この場合、一方の第二続面のみに凹部又は凸部が設けられている場合に比べて、外部端子の剥離を確実に抑制することができる。
【0011】
第一方向から見て、接続面は、主面の角部と隣り合う凹部を有していてもよい。この場合、主面の角部における素体の面積が大きくなるので、主面の角部の破損を抑制することができる。
【0012】
接続面は、第一方向に交差する方向に沿って延在する凹部又は凸部を有していてもよい。この場合、凹部又は凸部がアンカーとして機能し、素体に引っ掛かるので、外部端子の剥離を更に抑制することができる。
【0013】
内面は、露出面と対向する対向面を有し、対向面は、凹部又は凸部を有していてもよい。この場合、第二方向又は第三方向への応力に対して凹部又は凸部が引っ掛かり易いので、外部端子の剥離を抑制し易い。
【0014】
対向面は、第一方向から見て環状の凹部又は凸部を有していてもよい。この場合、凹部又は凸部は、対向面に対して第二方向及び第三方向のそれぞれにおいて偏って形成され難いので、焼結時の収縮による歪みが生じ難い。
【0015】
一対の外部端子は、積層された複数の電極層をそれぞれ有していてもよい。この場合、絶縁体層と共に電極層を積層することにより、素体と共に外部端子を形成することができる。
【0016】
複数の電極層は、積層方向から見て互いに異なる形状を有する電極層が隣り合うように積層されていてもよい。この場合、内面に容易に凹部又は凸部を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一形態によれば、外部端子の剥離を抑制可能な積層コイル部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
【
図5】
図5は、第一実施形態の第一変形例に係る積層コイル部品の底面図である。
【
図6】
図6は、第一実施形態の第二変形例に係る積層コイル部品の底面図である。
【
図7】
図7は、第一実施形態の第三変形例に係る積層コイル部品の底面図である。
【
図8】
図8は、第一実施形態の第四変形例に係る積層コイル部品の底面図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
【
図11】
図11(a)は、第二実施形態の第一変形例に係る外部端子の上面図である。
図11(b)は、第二実施形態の第一変形例に係る外部端子の断面図である。
【
図12】
図12(a)は、第二実施形態の第二変形例に係る外部端子の上面図である。
図12(b)は、第二実施形態の第三変形例に係る外部端子の上面図である。
図12(c)は、第二実施形態の第四変形例に係る外部端子の上面図である。
【
図13】
図13は、第二実施形態の第五変形例に係る外部端子の断面図である。
【
図14】
図14は、第三実施形態に係る積層コイル部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
[第一実施形態]
図1~
図4に示されるように、第一実施形態に係る積層コイル部品1は、直方体形状を呈している素体2と、一対の外部端子3と、コイル10と、接続導体26,27と、を備えている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。積層コイル部品1は、例えば、積層高周波インダクタである。なお、
図1では、素体2内の外部端子3を実線で示す。
【0021】
素体2は、互いに対向している主面2a,2bと、互いに対向している一対の端面2cと、互いに対向している一対の側面2eと、を有している。以下では、主面2a,2bが対向している方向を第一方向D1、一対の端面2cが対向している方向を第二方向D2、一対の側面2eが対向している方向を第三方向D3とする。第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに交差(ここでは直交)している。本実施形態では、第一方向D1は、素体2の高さ方向である。第二方向D2は、素体2の長さ方向である。第三方向D3は、素体2の幅方向である。
【0022】
主面2a,2b、一対の端面2c及び一対の側面2eは、いずれも矩形状を呈している。主面2a,2bの長辺方向は、第二方向D2と一致している。主面2a,2bの短辺方向は、第三方向D3と一致している。主面2aは、各端面2c及び各側面2eと隣り合っている。主面2bは、各端面2c及び各側面2eと隣り合っている。各端面2cは、各側面2eと隣り合っている。
【0023】
主面2a,2bは、一対の端面2cの間を連結するように第二方向D2に延在している。主面2a,2bは、一対の側面2eの間を連結するように第三方向D3にも延在している。一対の端面2cは、主面2a,2bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面2cは、一対の側面2eの間を連結するように第三方向D3にも延在している。一対の側面2eは、主面2a,2bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面2eは、一対の端面2cの間を連結するように第二方向D2にも延在している。積層コイル部品1は、電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品)に、たとえば、はんだ実装される。積層コイル部品1では、主面2aが、電子機器と対向する実装面を構成する。
【0024】
図2に示されるように、素体2は、第三方向D3において複数の絶縁体層6が積層されて構成されている。素体2は、第一方向D1において積層されている複数の絶縁体層6を有している。素体2では、複数の絶縁体層6が積層されている積層方向が、第三方向D3と一致する。実際の素体2では、複数の絶縁体層6は、各絶縁体層6の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0025】
各絶縁体層6は、ガラス成分を含む誘電体材料で形成されている。すなわち、素体2は、素体2を構成する元素の化合物として、ガラス成分を含む誘電体材料を含んでいる。ガラス成分は、たとえば、ホウケイ酸ガラスなどである。誘電体材料としては、たとえばBaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミックである。各絶縁体層6は、ガラスセラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。
【0026】
図1~
図4に示される一対の外部端子3は、それぞれコイル10の端部と電気的に接続されている。一対の外部端子3は、主面2aから露出するように素体2に埋設されている。一対の外部端子3は、主面2b、一対の端面2c及び一対の側面2eには露出していない。一対の外部端子3は、第二方向D2で互いに離間している。一対の外部端子3は、主面2aに直交する方向(第一方向D1)から見て、一対の端面2c及び一対の側面2eからそれぞれ離間している。一方の外部端子3は、素体2の一方の端面2c側に設けられている。他方の外部端子3は、素体2の他方の端面2c側に設けられている。一対の外部端子3は、互いに同形状を有している。
【0027】
一対の外部端子3は、主面2aに設けられた一対の凹部内に配置されているとも言える。各凹部は、主面2aから素体2の内側に窪んだ空間である。各凹部は、対応する外部端子3の形状に対応した形状を呈している。各外部端子3は、対応する凹部の内面の全体と隙間なく接している。
【0028】
各外部端子3は、第一方向D1を厚さ方向とする略矩形板状を呈している。各外部端子3は、主面2aから露出している露出面3aと、素体2内に配置されている内面3sと、を有している。露出面3aは、素体2の外側を向き、主面2aから露出している。露出面3aは、主面2aと略同一面内に位置しているが、主面2aより素体2の外側に位置していてもよいし、主面2aより素体2の内側に位置していてもよい。
【0029】
内面3sは、素体2と対向して配置されており、主面2aから露出していない。内面3sは、素体2と隙間なく接している。内面3sは、対向面3b及び接続面3tを有している。対向面3bは、露出面3aと厚さ方向(第一方向D1)で対向している。対向面3bは、素体2の内側を向き、主面2bと対向している。第一方向D1から見て、露出面3a及び対向面3bは、例えば矩形状を呈している。露出面3a及び対向面3bの長辺方向は、第三方向D3と一致している。露出面3a及び対向面3bの短辺方向は、第二方向D2と一致している。
【0030】
接続面3tは、露出面3aと対向面3bとを接続している。接続面3tは、一対の第一接続面3c及び一対の第二接続面3eを含んでいる。一対の第一接続面3c及び一対の第二接続面3eは、それぞれ露出面3aと対向面3bとを接続している。第一接続面3c及び第二接続面3eは、互いに隣り合って配置されている。
【0031】
一対の第一接続面3cは、第二方向D2において互いに対向している。一対の第一接続面3cは、第二方向D2において互いに逆を向いている。一方の第一接続面3cは、素体2の外側を向き、他方の第一接続面3cは、素体2の内側を向いている。一対の外部端子3は、他方の第一接続面3c同士が互いに対向するように配置されている。一方の第一接続面3cは、対応する端面2cと対向している。対応する端面2cとは、一対の端面2cのうち、より近い方の端面2cである。一対の第二接続面3eは、第三方向D3において互いに対向している。一対の第二接続面3eは、第三方向D3において互いに逆を向いている。各第二接続面3eは、対応する側面2eと対向している。対応する側面2eとは、一対の側面2eのうち、より近い方の側面2eである。
【0032】
外部端子3は、複数の電極層11,12が第三方向D3において積層されて構成されている。外部端子3は、第三方向D3において積層された複数の電極層11,12を有している。複数の電極層11,12は、交互に配置されている。電極層11,12は、積層方向(第三方向D3)から見て、互いに異なる形状を有している。本実施形態では、電極層11,12は、積層方向から見て、互いに相似形状を有している。複数の電極層11,12は、積層方向から見て互いに相似形状を有する電極層11,12が隣り合うように積層されている。
【0033】
電極層11,12は、露出面3aを構成する側面の第一方向D1における位置が互いに一致するように配置されている。これにより、平面状の露出面3aが形成されている。積層方向から見て、電極層11は電極層12よりも大きい。電極層11,12は、第二方向D2の中央位置が互いに一致するように配置されている。これにより、対向面3b及び一対の第一接続面3cは、複数の凹部31及び複数の凸部32を有している。
【0034】
複数の凹部31及び複数の凸部32は、第三方向D3において交互に配置されている。対向面3b及び一対の第一接続面3cは、凹凸形状を有している。複数の凹部31は、互いに同形状で同じ深さを有している。複数の凸部32は、互いに同形状で同じ高さを有している。一対の第一接続面3cの凹凸形状は、互いに同等である。各第二接続面3eには、凹部又は凸部が設けられていない。
【0035】
凹部31は、対向面3b及び一対の第一接続面3cの全体にわたって連続して設けられた溝である。対向面3bに設けられた凹部31と、各第一接続面3cに設けられた凹部31とは、互いに接続されている。凹部31は、断面矩形状を有している。凸部32は、対向面3b及び一対の第一接続面3cの全体にわたって連続して設けられた突条である。凸部32は、断面矩形状の突条である。対向面3bに設けられた凸部32と、各第一接続面3cに設けられた凸部32とは、互いに接続されている。凸部32は、断面矩形状を有している。
【0036】
凹部31及び凸部32は、第一接続面3cの第一方向D1の全体にわたって設けられ、露出面3aに達している。これにより、露出面3aの一対の長辺は、互いに同等の凹凸形状を有している。露出面3aの第二方向D2の一対の端部は、互いに同等の凹凸形状を有している。
【0037】
接続面3tには、第一方向D1から見て、主面2aの角部Aと隣り合うように凹部31が設けられている。主面2aの角部Aは、隣り合う端面2c及び側面2eとの間に位置している。本実施形態では、一方の第二接続面3e側に配置された二つの角部Aのみに対し、隣り合う二つの凹部31が設けられているが、四つの角部Aに対し、隣り合う凹部31が設けられていてもよい。
【0038】
複数の電極層11,12は、電極層11,12の間の境界が視認できない程度に一体化されている。本実施形態では、電極層11,12それぞれの数は、「3」である。各電極層11,12は、対応する絶縁体層6に形成されている欠損部に設けられている。欠損部は、凹部を構成する。電極層11,12は、導電性材料を含んでいる。導電性材料は、たとえば、Ag又はPdを含んでいる。電極層11,12は、導電性材料粉末を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。導電性材料粉末は、たとえば、Ag粉末又はPd粉末を含んでいる。
【0039】
電極層11,12は、ガラス成分を更に含んでいてもよい。すなわち、電極層11,12は、導電性材料粉末からなる金属成分及びガラス成分を含む導電性ペーストの焼結体として構成されていてもよい。ガラス成分は、素体2を構成する元素の化合物であり、素体2に含まれるガラス成分と同じ成分である。ガラス成分の含有量は、適宜設定されればよい。各電極層11,12は、第二方向D2に沿って延在している。
【0040】
コイル10、及び、接続導体26,27は、素体2内に配置され、素体2から露出してない。コイル10は、第三方向D3に沿うコイル軸を有している。コイル10の一対の端部は、一対の外部端子3(
図2参照)に電気的に接続されている。一方の端部は、接続導体26によって一方の外部端子3に電気的に接続されている。他方の端部は、接続導体27によって他方の外部端子3に電気的に接続されている。
【0041】
コイル10は、第一コイル導体22と、第二コイル導体23と、第三コイル導体24と、第四コイル導体25と、を有している。第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24及び第四コイル導体25は、第一方向D1に沿って、第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24及び第四コイル導体25の順に配置されている。第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24及び第四コイル導体25は、ループの一部が途切れた形状を呈しており、それぞれ一端部と他端部とを有している。
【0042】
第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24及び第四コイル導体25は、所定の幅(第一方向D1に交差する方向の長さ)及び高さ(第一方向の長さ)で形成されている。第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24及び第四コイル導体25は、互いに同等の幅及び高さで形成されている。
【0043】
第一コイル導体22は、一対の電極層11と同じ層に位置している。第一コイル導体22は、同じ層に位置している他方の電極層11に、接続導体26を介して接続されている。接続導体26は、一対の電極層11及び第一コイル導体22と同じ層に位置している。接続導体26は、第一コイル導体22と他方の電極層11とを接続している。第一コイル導体22の一端部が、接続導体26と接続されている。第一コイル導体22の一端部は、コイル10の他方の端部を構成している。本実施形態では、第一コイル導体22、接続導体26、及び他方の電極層11は、一体に形成されている。
【0044】
第二コイル導体23は、一対の電極層12と同じ層に位置している。第二コイル導体23は、同じ層に位置している一対の電極層12から離間している。第一コイル導体22の他端部と、第二コイル導体23の一端部とは、第一方向D1で互いに隣り合い、互いに直接接している。第一方向D1から見て、第一コイル導体22の他端部と、第二コイル導体23の一端部とが、互いに重なっている。
【0045】
第三コイル導体24は、一対の電極層11と同じ層に位置している。第三コイル導体24は、同じ層に位置している一対の電極層11から離間している。第二コイル導体23の他端部と、第三コイル導体24の一端部とは、第一方向D1で互いに隣り合い、互いに直接接している。第一方向D1から見て、第二コイル導体23の他端部と、第三コイル導体24の一端部とが、互いに重なっている。
【0046】
第四コイル導体25は、一対の電極層12と同じ層に位置している。第四コイル導体25は、同じ層に位置している一方の電極層12に、接続導体27を介して接続されている。接続導体27は、一対の電極層12及び第四コイル導体25と同じ層に位置している。接続導体27は、第四コイル導体25と一方の電極層12とを接続している。第四コイル導体25の他端部が、接続導体27と接続されている。第四コイル導体25の他端部は、コイル10の一方の端部を構成している。本実施形態では、第四コイル導体25、接続導体27、及び一方の電極層12は、一体に形成されている。
【0047】
第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、導電性材料を含んでいる。導電性材料は、たとえば、Ag又はPdを含んでいる。第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、導電性材料粉末を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。導電性材料粉末は、たとえば、Ag粉末又はPd粉末を含んでいる。
【0048】
本実施形態では、第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、各外部端子3と同じ導電性材料を含んでいる。第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、各外部端子3と異なる導電性材料を含んでいてもよい。
【0049】
第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、対応する絶縁体層6に形成されている欠損部に設けられている。第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、グリーンシートに形成された欠損部内に位置している導電性ペーストが焼成されることによって、形成される。
【0050】
グリーンシートに形成される欠損部は、たとえば、以下の過程によって形成される。まず、絶縁体層6の構成材料及び感光性材料を含む素体ペーストを基材上に付与することにより、グリーンシートを形成する。基材は、たとえば、PETフィルムである。素体ペーストに含まれる感光性材料は、ネガ型及びポジ型のどちらであってもよく、公知のものを用いることができる。次に、欠損部に対応するマスクを用い、フォトリソグラフィ法によりグリーンシートを露光及び現像し、基材上のグリーンシートに欠損部を形成する。欠損部が形成されたグリーンシートは、素体パターンである。
【0051】
電極層11,12、第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24、第四コイル導体25、及び、接続導体26,27は、たとえば、以下の過程によって形成される。
【0052】
まず、感光性材料を含む導電性ペーストを基材上に付与することにより、導体材料層を形成する。導電性ペーストに含まれる感光性材料は、ネガ型及びポジ型のどちらであってもよく、公知のものを用いることができる。次に、欠損部に対応するマスクを用い、フォトリソグラフィ法により導体材料層を露光及び現像し、欠損部の形状に対応する導体パターンを基材上に形成する。
【0053】
積層コイル部品1は、たとえば、上述した過程に続く以下の過程によって得られる。導体パターンが、素体パターンの欠損部に組み合わされることにより、素体パターンと導体パターンとが同一層とされたシートが用意される。用意した所定枚数のシートを積層して得られた積層体を熱処理した後に、積層体から、複数のグリーンチップを得る。本過程では、たとえば、切断機で、グリーン積層体をチップ状に切断する。これにより、所定の大きさを有する複数のグリーンチップが得られる。次に、グリーンチップを焼成する。この焼成により、積層コイル部品1が得られる。各外部端子3の表面には、めっき層が形成されていてもよい。めっき層は、たとえば、電気めっき又は無電解めっきにより形成される。めっき層は、たとえば、Ni、Sn、又はAuを含んでいる。
【0054】
積層コイル部品1は、このようなフォトリソグラフィ法を利用して形成されるので、外部端子3を任意の形状で形成することができる。上記製造方法では、素体パターンと導体パターンとが同一層とされたシートを用意した後、用意した所定枚数のシートを積層して積層体を形成しているが、積層体は他の方法で形成されてもよい。例えば、積層用の一つの基板上で素体パターン及び導体パターンをフォトリソグラフィ法により順次形成しながら、積層体を形成してもよい。すなわち、素体2は、製造方法にかかわらず、積層構造を有する複数の絶縁体層6を有していればよい。外部端子3は、製造方法にかかわらず、積層構造を有する複数の電極層11,12を有していればよい。
【0055】
以上説明したように、積層コイル部品1では、外部端子3が素体2内に配置されている内面3sを有し、内面3sは凹部31及び凸部32を有している。これにより、素体2と外部端子3との接触面積が増え、素体2に対する外部端子3の密着性が向上する。この結果、外部端子3の剥離を抑制することができる。
【0056】
凹部31及び凸部32は、内面3sのうち、対向面3b及び接続面3tの両方に設けられている。このため、対向面3b及び接続面3tのいずれか一方のみが凹部31及び凸部32を有している場合に比べて、素体2と外部端子3との接触面積が更に増える。よって、外部端子3の剥離を更に抑制することができる。
【0057】
凹部31及び凸部32は、接続面3tのうち、一対の第一接続面3cのそれぞれに設けられている。このため、一対の第一接続面3cのいずれか一方のみが凹部31及び凸部32を有している場合に比べて、素体2と外部端子3との接触面積が更に増える。よって、外部端子3の剥離を更に抑制することができる。
【0058】
角部Aには、応力が集中し易い。このため、角部Aに近接して外部端子3が配置されていると、角部Aが損傷されるおそれがある。積層コイル部品1では、第一方向D1から見て、接続面3tは、主面2aの角部Aと隣り合う凹部31を有している。これにより、角部Aにおける素体2の面積が大きくなるので、角部Aの破損を抑制することができる。すなわち、凹部31により、外部端子3を角部Aから遠ざけることができるので、角部A(素体2の角部)の損傷が抑制される。
【0059】
一対の外部端子3は、積層された複数の電極層11,12をそれぞれ有している。このため、絶縁体層6と共に電極層11,12を積層することにより、素体2と共に外部端子3を形成することができる。電極層11,12は、積層方向(第三方向D3)から見て互いに異なる形状を有するので、電極層11,12を交互に積層することにより、凹部31及び凸部32を有する内面3sが容易に形成される。
【0060】
一対の外部端子3は、主面2aのみに露出しているので、実装面積を低減することができる。例えば、外部端子3が主面2a及び端面2cに露出している場合、はんだが端面2c側にも形成されるので、実装面積が増加する。
【0061】
ここでは、コイル10が、第三方向D3に沿うコイル軸を有していると共に、第一コイル導体22、第二コイル導体23、第三コイル導体24及び第四コイル導体25を有している形態を一例に説明した。しかし、コイル10のコイル軸は、第三方向D3に沿っていなくてもよい。コイル10のコイル軸は、例えば、第一方向D1又は第二方向D2に沿っていてもよい。また、コイル10を構成するコイル導体の数は「4」に限られない。
【0062】
図5は、第一実施形態の第一変形例に係る積層コイル部品1Aの底面図である。
図5に示されるように、積層コイル部品1Aでは、複数の電極層11は、第二方向D2の位置を固定して積層されているのに対し、複数の電極層12は、第二方向D2の位置を変化させながら積層されている。電極層11,12の第二方向D2の中央位置は、必ずしも一致していない。これにより、積層コイル部品1Aでは、内面3sの凹凸形状、及び、露出面3aの各長辺の凹凸形状が複雑化する。
【0063】
積層コイル部品1Aにおいても、内面3sが凹部31及び凸部32を有しているので、外部端子3の剥離を抑制することができる。積層コイル部品1Aでは、一対の露出面3aの形状は互いに同等であるが、対応する電極層11の位置を互いに異ならせることにより、一対の露出面3aの形状を互いに異ならせることもできる。この場合、一対の外部端子3を外観だけで容易に識別することができる。積層コイル部品1Aでは、複数の電極層12の代わりに、複数の電極層11が、第二方向D2の位置を変化させながら積層されていてもよい。
【0064】
図6は、第一実施形態の第二変形例に係る積層コイル部品1Bの底面図である。
図6に示されるように、積層コイル部品1Bでは、第一方向D1から見て、各接続面3tは、主面2aの角部Aと隣り合う二つの凹部31を有している。主面2aの四つの角部Aのそれぞれが、対応する凹部31と隣り合っている。凹部31は、接続面3tの第一方向D1の全体にわたって設けられている。凹部31は、一方の第一接続面3cと各第二接続面3eとにまたがって設けられている。凹部31は、外部端子3において一方の第一接続面3cと各第二接続面3eとがなす角部に設けられている。
【0065】
凹部31の内面は、第一方向D1から見て、端面2cに平行な平面と、側面2eに平行な平面とにより構成されている。外部端子3は、積層された複数の電極層を有するが、各電極層の形状及び積層方向は限定されない。対向面3bは、凹部31又は凸部32を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0066】
図7は、第一実施形態の第三変形例に係る積層コイル部品1Cの底面図である。
図7に示されるように、積層コイル部品1Cでは、
図6に示される積層コイル部品1Bと同様に、第一方向D1から見て、各接続面3tは、主面2aの角部Aと隣り合う二つの凹部31を有している。積層コイル部品1Cは、凹部31の内面が曲面で構成されている点で、積層コイル部品1Bと相違している。
【0067】
第一方向D1から見て、凹部31は、第一接続面3cの端部と第二接続面3eの端部とを結ぶ直線よりも外部端子3の内側に窪んだ部分を有している。第一方向D1から見て、一直線からなる面取り形状は凹部31に含まれない。外部端子3は、積層された複数の電極層を有するが、各電極層の形状及び積層方向は限定されない。対向面3bは、凹部31又は凸部32を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0068】
積層コイル部品1B,1Cにおいても、少なくとも接続面3tが凹部31を有しているので、外部端子3の剥離を抑制することができる。また、凹部31は、角部Aと隣り合うように設けられているので、角部Aの損傷が抑制される。
【0069】
図8は、第一実施形態の第四変形例に係る積層コイル部品1Dの底面図である。
図8に示される積層コイル部品1Dは、素体2が第二方向D2において積層された複数の絶縁体層を有している点、及び、外部端子3が第二方向D2において積層された複数の電極層13,14を有している点で積層コイル部品1と相違している。電極層13,14は、例えば、積層方向(第二方向D2)から見て互いに異なる形状(ここでは、互いに相似形状)を有する。電極層13の数は「3」であり、電極層14の数は「2」である。積層方向から見て、電極層13は電極層14よりも大きい。コイル10及び接続導体26,27の形状は、コイル10が一対の外部端子3と接続されるように適宜設定されている。
【0070】
積層コイル部品1Dでは、対向面3b(
図1参照)及び一対の第二接続面3eは、複数の凹部31及び複数の凸部32を有している。複数の凹部31及び複数の凸部32は、第二方向D2において交互に配置されている。露出面3aの一対の短辺は、互いに同等の凹凸形状を有している。積層コイル部品1Dにおいても、対向面3b及び一対の第二接続面3eのそれぞれが凹部31及び凸部32を有しているので、外部端子3の剥離を抑制することができる。一対の第二接続面3eのいずれか一方のみが凹部31及び凸部32を有している場合に比べて、素体2と外部端子3との接触面積が更に増える。よって、外部端子3の剥離を更に抑制することができる。
【0071】
積層コイル部品1Dでは、第二方向D2から見て、電極層13,14の第三方向D3の中央位置は一致しているが、一致していなくてもよい。外部端子3では、対応する端面2c側の端部に電極層13が配置されているが、電極層14が配置されていてもよい。この場合、主面2aの角部Aと隣り合うように、接続面3tに凹部31を配置することができる。
【0072】
積層コイル部品1,1A,1Dでは、外部端子3は、積層方向から見て、同形状を有する複数の電極層のみで構成されていてもよい。この場合であっても、複数の電極層を積層方向及び第一方向D1のそれぞれに直交する方向にずらしながら積層すれば、接続面3tに凹部31及び凸部32を形成することができる。すなわち、積層コイル部品1,1Aでは、複数の電極層を第二方向D2の位置を変化させながら積層すれば、第一接続面3cに凹部31及び凸部32を形成することができる。積層コイル部品1Dでは、複数の電極層を第三方向D3の位置を変化させながら積層すれば、第二接続面3eに凹部31及び凸部32を形成することができる。
【0073】
積層コイル部品1,1Aでは、外部端子3は互いに異なる形状の電極層11,12を有しているが、互いに異なる形状の三種類以上の電極層を有していてもよい。積層コイル部品1Dでは、外部端子3は互いに異なる形状の電極層13,14を有しているが、互いに異なる形状の三種類以上の電極層を有していてもよい。
【0074】
[第二実施形態]
図9、
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、第二実施形態に係る積層コイル部品1Eは、外部端子3の対向面3bが凹部33及び凸部34を有しており、接続面3tが凹部又は凸部を有していない点で、積層コイル部品1と相違し、その他の点で、積層コイル部品1と一致している。積層コイル部品1Eでは、対向面3bは凹凸形状を有し、接続面3tは凹凸形状を有していない。
【0075】
積層コイル部品1Eでは、対向面3bは、第一方向D1から見て、環状又は枠状の凸部34を有している。凸部34は、矩形環状又は矩形枠状を有し、第一方向D1に突出している突条である。本実施形態では、凸部34は、接続面3tの全周に沿って途切れることなく連続しているが、全体として環状又は枠状であれば不連続であってもよい。凹部33は、凸部34の内側に設けられている。第一方向D1から見て、凹部33は、矩形状を呈している。凹部33は、断面矩形状を呈している。
【0076】
外部端子3は、積層された複数の電極層を有するが、各電極層の形状及び積層方向は限定されない。外部端子3は、例えば、複数の電極層を第三方向D3において積層することにより形成される。この場合、積層方向の両端部以外では、厚さ方向から見た形状が、
図10(b)に示される断面形状と一致する電極層を積層し、積層方向の両端部では、凹部及び凸部が設けられていない電極層を積層すればよい。
【0077】
積層コイル部品1Eにおいても、対向面3bに凹部33及び凸部34が設けられているので、第二方向D2又は第三方向D3への応力に対して凹部33及び凸部34が引っ掛かり易い。よって、外部端子3の剥離が抑制され易い。また、外部端子3と素体2との接触面積が増えることにより、第一方向D1への応力に対しても剥離を抑制できる。凸部34は、第一方向D1から見て環状を有し、第二方向D2に平行で対向面3bの中心を通る直線に対して対称に配置されていると共に、第三方向D3に平行で対向面3bの中心を通る直線に対して対称に配置されている。このように、凸部34は環状を有していることにより、対向面3bに対し、第二方向D2及び第三方向D3のそれぞれにおいて偏って形成され難い。よって、焼結時の収縮による歪みが生じ難い。接続面3tには凹部又は凸部が設けられていないので、外部端子3の第二方向D2及び第三方向D3のサイズを小さくすることができる。
【0078】
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、外部端子3の対向面3bは、凸部35を更に有していてもよい。凸部35は、凸部34から離間して、凹部33の底面の中央部に設けられている。このため、凹部33は、第一方向D1から見て、矩形環状の溝である。本実施形態では、凹部33は、第一方向D1から見て、接続面3tの全周に沿って途切れることなく連続しているが、全体として環状であれば不連続であってもよい。凸部34と同様に凹部33も環状を有しているので、焼結時の収縮による歪みが生じ難い。
【0079】
積層コイル部品1Eでは、第一方向D1から見て、凸部34は環状を有しているが、形状は制限されない。対向面3bには、例えば、ドット状の複数の凸部34が設けられていてもよい。また、凸部34は、第一方向D1から見て、
図12(a)に示されるように十字状を呈していてもよいし、
図12(b)に示されるようにH字状を呈していてもよいし、
図12(c)に示されるように各辺に突起を有する矩形状を呈していてもよい。
【0080】
図13に示されるように、外部端子3の対向面3bは、先端部の幅(第二方向D2における長さ)が広く、断面T字状の凸部36を有していてもよい。例えば、複数の凸部36がドット状に対向面3bに設けられてもよい。凸部36の幅広の先端部がアンカーとして機能し、素体2に引っ掛かる。凸部36の形状によれば、特に外部端子3の第一方向D1への移動が抑制される。よって、外部端子3が素体2から剥離することが更に抑制される。
【0081】
[第三実施形態]
図14及び
図15に示されるように、第三実施形態に係る積層コイル部品1Fは、外部端子3の接続面3tが凹部37及び凸部38を有しており、対向面3bが凹部及び凸部を有していない点で、積層コイル部品1と相違し、その他の点で、積層コイル部品1と一致している。積層コイル部品1Fでは、接続面3tは凹凸形状を有し、対向面3bは凹凸形状を有していない。
【0082】
積層コイル部品1Fでは、接続面3tに凹部37及び一対の凸部38が設けられている。凹部37及び一対の凸部38は、第一方向D1に交差する方向に沿って延在している。凹部37及び一対の凸部38は、第一接続面3cでは第三方向D3に沿って延在し、第二接続面3eでは第二方向D2に沿って延在している。凹部37及び一対の凸部38は、露出面3aに略平行に設けられている。凹部37は、接続面3tの第一方向D1の略中央に設けられた切り欠き状の溝である。一対の凸部38は、凹部37の第一方向D1の両側に設けられた突条である。凹部37及び一対の凸部38は、接続面3tの全周にわたって連続して設けられている。凹部37及び一対の凸部38は、接続面3tの全周ではなく、一部区間のみに設けられていてもよい。例えば、凹部37は第一接続面3cのみに設けられていてもよい。
【0083】
積層コイル部品1Fにおいても、接続面3tに凹部37及び凸部38が設けられているので、外部端子3の剥離を抑制することができる。一対の第一接続面3c及び一対の第二接続面3eのそれぞれに凹部37及び凸部38が設けられているので、外部端子3の剥離を確実に抑制することができる。凹部37及び凸部38は、露出面3aに沿って、第一方向D1に交差する方向に延在している。このため、凹部37及び凸部38がアンカーとして機能し、素体2に引っ掛かる。特に、外部端子3の第一方向D1への移動が抑制される。よって、外部端子3の剥離を更に抑制することができる。
【0084】
以上、本発明の各実施形態及び各変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0085】
各実施形態と各変形例とは、適宜組み合わされてもよい。例えば、積層コイル部品1の第二接続面3eにおいて、積層コイル部品1Fと同様の凹部37及び一対の凸部38が設けられていてもよい。積層コイル部品1Eの接続面3tにおいて、積層コイル部品1Fと同様の凹部37及び一対の凸部38が設けられていてもよい。一対の外部端子3のうち、一方の外部端子3では対向面3bに凹部又は凸部が設けられ、他方の外部端子3では接続面3tに凹部又は凸部が設けられていてもよい。一対の外部端子3のうち、少なくとも一方の内面3sに凹部又は凸部が設けられていればよい。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…積層コイル部品、2…素体、2a,2b…主面、2c…端面、2e…側面、3…外部端子、3a…露出面、3b…対向面、3c…第一接続面、3e…第二接続面、3s…内面、3t…接続面、6…絶縁体層、10…コイル、11,12,13,14…電極層、31,33,37…凹部、32,34,35,36,38…凸部、A…角部。