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特開2022-119695軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法
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  • 特開-軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法 図1
  • 特開-軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119695
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/06 20060101AFI20220809BHJP
   A42B 3/10 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A42B3/06
A42B3/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088839
(22)【出願日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】202110156037.3
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516333551
【氏名又は名称】東莞理工学院
(71)【出願人】
【識別番号】521229773
【氏名又は名称】新疆大学
【氏名又は名称原語表記】XINJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.666, Shengli Rd., Urumqi City, Xinjiang 830046 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】李楠
(72)【発明者】
【氏名】王▲軒▼玉
(72)【発明者】
【氏名】▲烏▼日▲開▼西 艾依提
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼秉恒
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107AA03
3B107BA05
3B107BA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヘルメット技術分野に関し、特に軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法を提供する。
【解決手段】FDM熱溶解積層製造プロセス及びSLS選択的レーザー焼結プロセス、付加製造による一体化迅速生産技術、二重材料二重印刷プロセスにより、一体成形される。シェルは、PC又はABS材料で印刷され、FDM熱溶解積層製造プロセスが採用される。裏地は、TPU粉末材料で印刷され、SLS選択的レーザー焼結プロセスが採用される。印刷が完了するまで、同一の成形キャビティ内の成形プラットフォーム上に層ごとに積み重ねられ、印刷が完了した後、底部支持体を取り外して、本発明の特定の構造を有するヘルメットの迅速な製造を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に、
ヘルメットの使用者の一般的な運動姿勢を分析し、空気動力学と組み合わせて衝撃力データを分析し、OT格子構造を設計するステップ1と、
3D印刷技術でシェルと裏地を製造するステップ2とを含むことを特徴とする軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項2】
裏地は、OT格子構造であり、額領域、右下顎領域、後脳領域、左下顎領域、及び頭頂領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項3】
ステップ2では、シェルはPC又はABS材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項4】
ステップ2では、シェルは、FDM熱溶解積層製造プロセスで製造されることを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項5】
ステップ2では、裏地は、TPU粉末材料を3D印刷することにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項6】
ステップ2では、裏地とシェルはSLS選択的レーザー焼結プロセスによって接続されることを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項7】
ステップ2では、シェルの厚さは0.05mmであることを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【請求項8】
ステップ2では、先にシェルを印刷し、シェルを印刷した後、TPU粉末を印刷領域に敷設し、SLS選択的レーザー焼結プロセスでTPU粉末を焼結し、裏地を製造することを特徴とする請求項1に記載の軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメット技術分野に関し、特に軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘルメットは、剛性のあるシェル、ヘルメット裏地及びサスペンションシステムで構成されており、ヘルメット裏地は、ヘルメットの内部の最も重要なエネルギー散逸部材として、ヘルメットの耐衝撃性能の設計の焦点である。事故が発生すると、衝撃力により頭の並進加速度が発生し、頭蓋骨骨折などの傷害を引き起こし、せん断衝撃力により頭部の回転加速度が発生し、脊椎のねじれなどの傷害が発生する。従来のヘルメット裏地はポリスチレン(EPS)フォームでできていることが多く、EPSフォームは、衝撃を受けると、高度に圧縮されて衝突を受けた後、押しつぶされて変形しやすくなり、大量のエネルギーを吸収し、頭の並進加速度を減らし、局所的な頭蓋骨のひずみと脳の損傷を減らす。従来のヘルメットは頭の並進加速度を低減するのに効果的であるが、頭部の回転加速度を低減する能力には多くの欠点があり、従来のEPS裏地は、衝突エネルギーを吸収する効果が理想的ではなく、手触りが硬く、通気性が低く、快適性が低くなっている。既存のヘルメットシェルは基本的にフルハットヘルメットタイプを採用しているため、ヘルメットの重量が大きくなるというデメリットがある。さらに、緩衝層の多孔質構造の緩衝効果は、比較的大きな動的衝撃力の作用下では理想的ではない。
【0003】
Octagonal Truss(8角トラス)はAltair Inspire最適化設計ソフトウェアにおける8種類の充填グリッド構造のうちの1種であり、OTと略される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術課題を解決するために、本発明は、ヘルメットの重量を減らし、緩衝効果を向上させる軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は次の技術案を提供する。
【0006】
本発明は、主に、
ヘルメットの使用者の一般的な運動姿勢を分析し、空気動力学と組み合わせて衝撃力データを分析し、OT格子構造を設計するステップ1と、
3D印刷技術でシェルと裏地を製造するステップ2とを含む軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法を提供する。
【0007】
裏地は、OT格子構造であり、額領域、右下顎領域、後脳領域、左下顎領域、及び頭頂領域を含んでもよい。
【0008】
ステップ2では、シェルはPC又はABS材料で製造されてもよい。
【0009】
ステップ2では、シェルは、FDM熱溶解積層製造プロセスで製造されてもよい。
【0010】
ステップ2では、裏地は、TPU粉末材料を3D印刷することにより製造されてもよい。
【0011】
ステップ2では、裏地とシェルはSLS選択的レーザー焼結プロセスによって接続されてもよい。
【0012】
ステップ2では、シェルの厚さは0.05mmであってもよい。
【0013】
ステップ2では、先にシェルを印刷し、シェルを印刷した後、TPU粉末を印刷領域に敷設し、SLS選択的レーザー焼結プロセスでTPU粉末を焼結し、裏地を製造してもよい。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明は、以下の技術的効果を達成した。
【0015】
本発明に係る軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法は、FDM熱溶解積層製造プロセス及びSLS選択的レーザー焼結プロセス、付加製造による一体化迅速生産技術、二重材料二重印刷プロセスにより、一体成形される。シェルは、PC又はABS材料で印刷され、FDM熱溶解積層製造プロセスが採用される。裏地は、TPU粉末材料で印刷され、SLS選択的レーザー焼結プロセスが採用される。印刷が完了するまで、同一の成形キャビティ内の成形プラットフォーム上に層ごとに積み重ねられ、印刷が完了した後、底部支持体を取り外して、本発明の特定の構造を有するヘルメットの迅速な製造を実現することができ、後の組立と接着なしで、直接に一体化して印刷成形することを実現することができ、製造プロセスを経て、組立生産が不要になり、人手や資材を大幅に削減し、固定ベルトを取り付けた後、直接着用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用する必要がある図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更にこれら実施例に基づいてその他の図面を得ることができる。
図1は本発明に係る軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの構造模式図である。
図2は本発明に係る軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明し、説明する実施例がすべての実施例ではなく、本発明の実施例の一部に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な作業を行うことなく得るすべての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0018】
図1及び2に示すように、本実施例は、主に、ステップ1とステップ2を含む軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法を提供する。
【0019】
ステップ1では、ヘルメットの使用者の一般的な運動姿勢を分析し、空気動力学と組み合わせて衝撃力データを分析し、OT格子構造を設計する。裏地は、OT格子構造6であり、裏地は、額領域1、右下顎領域2、後脳領域3、左下顎領域4及び頭頂領域5を含み、これらの5つの領域は、アスリートが危険にさらされているときに怪我をする可能性が最も高い領域である。
【0020】
ステップ2では、3D印刷技術でシェルと裏地を製造する。具体的なステップは、先にFDM熱溶解積層製造プロセスでPC又はABS材料のシェルを印刷し、シェルの厚さは0.05mmに設定され、シェルの1層が印刷された後、粉末敷設装置は、印刷区域に入ってTPU粉末を敷設し、次に、SLS選択的レーザー焼結プロセスでTPU粉末を内部緩衝し、OT格子構造6を印刷成形する。
【0021】
本発明における軽量化のOT多孔質構造の耐衝撃性スポーツヘルメットの製造方法は、後の組立と接着なしで、直接に一体化して印刷成形し、製造プロセスを経て、組立生産が不要になり、人手や資材を大幅に削減し、固定ベルトを取り付けた後、直接着用することができる。
【0022】
特定の領域における8角トラスのOT格子構造は、周期的なOT格子構造であり、比強度と比剛性が高く、低密度構造での機械的性能の利点が大きくなっている。OT格子構造の機械的性能の数値シミュレーションと実験的分析を通じて、耐衝撃性におけるOT格子構造の優位性が確認された。従来のヘルメットと比べて、OT格子構造を有するヘルメットは70%以上軽量化できる。また、OT格子構造の超弾性により、ヘルメットは非常に高いエネルギー吸収能力を発揮する。衝撃荷重下で、動的不安定性が発生し、つまり、ヘルメットの着用者が運動中に転倒して衝突すると、特定の領域にOT格子構造を持つヘルメットは衝撃エネルギーの大部分を吸収できるため、優れた保護効果が得られ、ヘルメットの安全性能が大幅に向上する。
【0023】
ただし、当業者にとって、本発明が上記の例示的な実施例の詳細に限定されず、本発明が精神または基本的特徴から逸脱することなく他の具体的な形態で実施され得ることは明らかである。したがって、任意の観点から、実施例は例示的かつ非限定的であると見なされるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって限定され、したがって、特許請求の範囲の同等の要素の意味及び範囲内にあるすべての変更が本発明に含まれることが意図され、特許請求の範囲内の符号は、関連する請求項を限定するものと見なされるべきではない。
【0024】
本明細書では、具体的な例を使用して、本発明の原理と実施形態を説明したが、上記の実施例の説明は、本発明の方法と主旨を理解するのを助けるためのものに過ぎない。同時に、当業者にとって、本発明の思想によれば、具体的な実施形態及び適用範囲に変更が生じるであろう。 要約すると、本明細書の内容は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0025】
1 額領域
2 右下顎領域
3 後脳領域
4 左下顎領域
5 頭頂領域
6 OT格子構造
図1
図2