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特開2022-119876インフレートフィルムでのメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーの使用
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  • 特開-インフレートフィルムでのメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022119876
(43)【公開日】2022-08-17
(54)【発明の名称】インフレートフィルムでのメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーの使用
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/21 20190101AFI20220809BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20220809BHJP
   B29C 55/02 20060101ALI20220809BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220809BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220809BHJP
   B32B 27/32 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
B29C48/21
B29C48/08
B29C55/02
C08J5/18 CES
B65D65/40 D
B32B27/32 E
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084297
(22)【出願日】2022-05-24
(62)【分割の表示】P 2019525754の分割
【原出願日】2017-11-09
(31)【優先権主張番号】15/350,550
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391024559
【氏名又は名称】フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルテス,レオナルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所望する機械的、光学的および/または加工特性を有するフィルムを作製する方法、および同時押出し多層フィルムを提供する。
【解決手段】メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む少なくとも1つのスキン層を含む多層構造を同時押出しすることによるフィルムの作成方法。また、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む少なくとも1つのスキン層を含む同時押出し多層フィルムと、そのような同時押出し多層フィルムを含む柔軟包装材料とが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの作成方法であって、
コア層と、少なくとも1つのスキン層とを含む多層構造を同時押出しすることを含み、
前記少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む、方法。
【請求項2】
前記多層構造は、第1スキン層と第2スキン層との間に配置されたコア層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムはインフレート押出法を使用して製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルムはキャストフィルム押出法を使用して製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルムは延伸フィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスキン層は、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーと、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、ポリブテン、ターポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマーとのブレンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスキン層は、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、表面改質剤、レオロジー改質剤、核剤、透明剤、加工助剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスキン層はフィルムの全厚の少なくとも5%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは約100℃から約160℃までの範囲の融点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは約0重量%から約8重量%までの範囲のエチレン含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは約0.1g/10分から約40g/10分までの範囲の溶融流量(MFR)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルムは約0.1mil(2.5μm)から約30mil(750μm)までの範囲の全厚を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルムは、2400psiより大きい降伏点引張強さ、および50kpsiより大きい割線モジュラスを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フィルムは、10%未満の曇り度、60より大きい光沢度、2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルムは、15%未満の曇り度、50より大きい光沢度、少なくとも300gの機械方向のエルメンドルフ引裂度、少なくとも1000gの横方向のエルメンドルフ引裂度、2400psiより大きい降伏点引張強さ、50kpsiより大きい割線モジュラス、および104℃未満のシール開始温度@0.77N/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
コア層と、
少なくとも1つのスキン層とを含む、同時押出し多層フィルムであって、
前記少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含むを含む、同時押出し多層フィルム。
【請求項17】
請求項16に記載の同時押出し多層フィルムを含む、柔軟包装材料。
【請求項18】
2400psiより大きい降伏点引張強さ、および50kpsiより大きい割線モジュラスを有する、請求項16に記載のフィルム。
【請求項19】
10%未満の曇り度、60より大きい光沢度、2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する、請求項16に記載のフィルム。
【請求項20】
15%未満の曇り度、50より大きい光沢度、少なくとも300gの機械方向のエルメンドルフ引裂度、少なくとも1000gの横方向のエルメンドルフ引裂度、2400psiより大きい降伏点引張強さ、50kpsiより大きい割線モジュラス、および104℃未満のシール開始温度@0.77N/cmを有する、請求項16に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にポリプロピレンを含有するフィルムに関し、より具体的には本開示はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む少なくとも1つのスキン層を含むフィルムに関する。
【0002】
関連出願との関係
本出願は、2016年11月14日に出願された米国特許出願第15/350,550号明細書の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
フィルムの市場では、様々なフィルム特性を提供できる樹脂が必要とされている。様々な応用から、良好な物理的および機械的特性(例えば高い引裂度、曲げ剛性、引張強さ、落槍衝撃耐性および熱耐性、低いシール開始温度、およびシールスルーコンタミネーション(seal-through-contamination)に対する能力)、および/または良好な光学的特性(例えば高い透明度および光沢度)といったフィルムからの異なるニーズが生じる。ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)半結晶ポリマーの特徴は、それらが広い範囲の特性および有望な応用を網羅する点である。
【0004】
ポリマーをフィルムに転換するための様々な可能な方法の中で、空冷しながらのインフレート法(blown film process)は、経済的で広く使用されている。これは吹き込みにより得られたフィルムが管状の形態を有し、これによりそれらが広い種類の用途の袋(例えば都市ゴミの袋、工業材料用の保存に使用される袋、冷凍食品用の袋、レジ袋など)の生産に特に有利となるからである。管状の構造は、平らなフィルムの使用と比べて、袋の形成に使用される溶接継手の数を減らす場合があり、結果として工程の簡略化を可能にする。キャストフィルムを加工して二軸延伸を行う場合があるが、インフレートフィルムは一般に、良好な機械的特性、すなわち引張強さ、弾性率および衝撃耐性を機械方向および横断方向の両方で達成するために、引き続き少ない加工工程を利用するので好ましい。さらにインフレート技術の多様性は、単に通気パラメータを変動させることにより様々なサイズの管状フィルムを得ることを可能にし、したがってフィルムを平らなヘッドを通して押し出す技術に典型的である適切なサイズに下げる処理をしなければならないことを回避する。インフレートフィルムの応用には、効率的なフィルム形成に樹脂は良好な気泡安定性および適切な溶融流量も提供すべきである。インフレート押出法(blown film extrusion)での気泡不安定性は、例えば変動するフィルムゲイジおよび幅から擦れおよび裂けへと変わる問題を生じる。例えば使用するポリオレフィン(1もしくは複数)を変えることにより、所望する応用に合うようにフィルムの特性を調整すること(tailoring)が常に行われている。
【0005】
今日まで、インフレート技術のためのポリプロピレンの応用は、高度に透明な包装フィルム用の水接触冷却リングを用いたポリプロピレンインフレート法、および多層構造でのシーリングまたは温度耐性層として使用されるポリプロピレンのようなニッチな応用または技術に限られてきた。インフレートフィルムの製造者は、ポリプロピレンを用いた新規構造の開発に益々興味を示しており、それというのもポリエチレンと比べてポリプロピレンは幾つかの利点(例えば熱耐性、穿刺耐性、ダウンゲージ)を提供できるからである。低い溶融流量の耐衝撃コポリマー(impact copolymer)(または異相共重合体)は、単層構造またはコア層でインフレート押出しを可能にする場合がある高い溶融強度および良好な機械的特性を、良好な気泡安定性と共に有する。
【0006】
したがって所望する機械的、光学的および/または加工特性を有するフィルムを提供する方法、およびそのような方法を介して製造されるインフレートフィルムを含むフィルムの必要性が存在している。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に開示するのは、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む少なくとも1つのスキン層を持つ同時押出し多層構造を含むフィルムの作成法である。多層構造は第1および第2スキン層を含む場合がある。フィルムはインフレート押出法、または場合によりキャストフィルム押出法を使用して製造する場合があり、そして場合によりフィルムは延伸フィルムの場合がある。少なくとも1つのスキン層は、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーと、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、ポリブテン、ターポリマーおよびそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つの他のポリマーとのブレンドを含む場合がある。少なくとも1つのスキン層は、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、表面改質剤、レオロジー改質剤、核剤、透明剤、加工助剤およびそれらの組み合わせのような少なくとも1つの添加剤をさらに含む場合がある。1つの複数の態様では、少なくとも1つのスキン層が、フィルムの全厚の少なくとも5%の場合がある。1つの複数の態様では、メタロセン系ポリプロピレンが、約100℃から約160℃までの範囲の融点を有する。1つの複数の態様では、メタロセン系ポリプロピレンが、約0重量%から約8重量%までの範囲のエチレン含量を有する。1つの複数の態様では、メタロセン系ポリプロピレンが、約0.1g/10分から約40g/10分までの範囲の溶融流量(MFR)を有する。1つの複数の態様では、フィルムが約0.1mil(2.5μm)から約30mil(750μm)までの範囲の全厚を有する。1つの複数の態様では、フィルムが10%未満の曇り度、および60より大きい光沢度を有する。1つの複数の態様では、フィルムが15%未満の曇り度、および50より大きい光沢度を有する。1つの複数の態様では、フィルムが2400psiより大きい降伏点引張強さ、および50kpsiより大きい割線モジュラスを有する。1つの複数の態様では、フィルムが2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する。1つの複数の態様では、フィルムが15%未満の曇り度、50より大きい光沢度、少なくとも300gの機械方向のエルメンドルフ引裂度、少なくとも1000gの横方向のエルメンドルフ引裂度、2400psiより大きい降伏点引張強さ、50kpsiより大きい割線モジュラス、および104℃未満のシール開始温度@0.77N/cmを有する。
【0008】
本明細書に開示するのは少なくとも1つのスキン層を有する同時押出し多層フィルムであり、ここで少なくとも1つのスキン層がメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。1つの複数の態様では、柔軟包装材料が同時押出し多層フィルムから作られる。1つの複数の態様では、フィルムが10%未満の曇り度、および60より大きい光沢度を有する。1つの複数の態様では、フィルムが15%未満の曇り度、および50より大きい光沢度を有する。1つの複数の態様では、フィルムが2400psiより大きい降伏点引張強さ、および50kpsiより大きい割線モジュラスを有する。1つの複数の態様では、フィルムが2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する。1つの複数の態様では、フィルムが10%未満の曇り度、60より大きい光沢度、2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する。1つの複数の態様では、フィルムが15%未満の曇り度、50より大きい光沢度、少なくとも300gの機械方向のエルメンドルフ引裂度、少なくとも1000gの横方向のエルメンドルフ引裂度、2400psiより大きい降伏点引張強さ、50kpsiより大きい割線モジュラスおよび104℃未満のシール開始温度@0.77N/cmを有する。
【0009】
以下の図面は、本開示の特定の観点を具体的に説明するために含め、そして排他的複数の態様を提供するものと見なすべきではない。本明細書に開示する主題は、形態および機能において、当該技術分野の通常の技量を有し、そして本開示の利益を有する当業者になされるようなかなりの修飾、改変および等価が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の比較フィルムの特性に対して、本開示のフィルムの様々な特性を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマー(mRCPs)のようなメタロセン系ポリプロピレン(mPP)は、インフレートフィルムのようなフィルムに使用できることが分かっている。(本明細書で使用するとおり、「メタロセン系ポリプロピレン」または‘mPP’という文言は、メタロセン触媒型ポリプロピレンを包含することを意味し、ポリプロピレンホモポリマーおよびポリプロピレンランダムコポリマーを含む。)メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーの配合は、同時押出しした構造にスキン層を形成するために使用される時、特に望ましいことが分かっている。本開示のフィルムにより提供される特徴および利点は、当業者がこの複数の態様の以下の記載を読めば直ちに明らかになるだろう。本開示の多くの利点の中でも、その2、3のみを本明細書では検討または言及するが、本開示によるスキン層(1または複数)中のmRCPsの使用は、PEに基づく構造を含むがこれに限定されないフィルムに重要な利点を提供することができる。有望な利点には、高い曲げ剛性、高い引張強さ、低いシール開始温度(SIT)、高いシール強度、および/または比較的良好な光学的特性(曇り度および/または光沢度)、および/または靭性(引裂度および/または衝撃耐性)を含むが、これらに限定されない。本開示に従い、スキン層(1もしくは複数)のmRCP(1もしくは複数)は、フィルムに望む特性を得るために調整することができる。
【0012】
本明細書に開示するのは、フィルムの作成法およびその方法を介して作成されたフィルムであり、この方法は、少なくとも1つのスキン層がメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む、少なくとも1つのスキン層を含む多層構造を同時押出しすることを含む。
【0013】
メタロセン触媒系
本明細書に開示するフィルムおよび方法を形成するmPPを介するメタロセン触媒系は、担持触媒系または非担持触媒系として特徴付けることができるが、時に均一(炭化水素に溶解性)触媒と呼ばれることもある。適切な触媒系の簡単な検討を以下に含むが、本開示の範囲をそのような触媒に限定することは意図していない。
【0014】
メタロセンは、金属原子に結合した2つのシクロペンタジエニル環を含有する有機金属化合物を含む場合がある。メタロセン触媒は、一般に有機環の間に位置する遷移金属を含む。メタロセン触媒は、一般にπ結合を介して遷移金属に配位した1もしくは複数のシクロペンタジエニル(Cp)基(これは置換されてもされなくてもよく、各置換基は同じか、または異なる)を包含する配位化合物として特徴付けることができる。Cp基上の置換基は、直鎖、分岐鎖または環式ヒドロカルビルラジカルの場合がある。環式ヒドロカルビル基はさらに連続する他の環構造を形成する場合があり、それには例えば、インデニル、アズレニルおよびフルオレニル基を含む。このような連続環構造は、C1からC20のヒドロカルビル基のようなヒドロカルビルラジカルによりさらに置換されてもされなくてもよい。
【0015】
メタロセン触媒の具体例は式:
[L]M[A]; (1)
により一般に表される嵩高なリガンドのメタロセン化合物であり、式中、Lは嵩高なリガンドであり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnはリガンドの原子価の総和が遷移金属の原子価に対応する数である。例えばmは1から3の場合があり、そしてnは1から3の場合がある。
【0016】
メタロセン触媒化合物の金属原子“M”は、1つの複数の態様では第3族から第12族の原子およびランタニド族原子から選択され、より特定の複数の態様では第3族から第10族の原子から選択され、さらにより特定の複数の態様ではSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、IrおよびNiから選択され、さらにより一層特定の複数の態様では第4、5および6族の原子から選択され、さらにより一層特定の複数の態様では、Ti、Zr、Hfの原子、そしてさらに尚一層特定の複数の態様ではZrから選択される場合がある。金属原子“M”の酸化状態は、1つの複数の態様では、0から+7の範囲の場合があり、より特定の複数の態様では+1、+2、+3、+4または+5であり、そしてさらに一層特定の複数の態様では+2、+3または+4である。金属原子“M”に結合する基は、別段の定めがない限り、以下に式および構造で記載する化合物が電気的に中性となるような化合物である。
【0017】
嵩高いリガンドは一般にシクロペンタジエニル基(Cp)またはそれらの誘導体を含む。Cpリガンド(1もしくは複数)は、金属原子Mと少なくとも1つの化学結合を形成して「メタロセン触媒化合物」を形成する。Cpリガンドは触媒化合物に結合した脱離基とは異なるので、それらが置換/引抜き反応を高度に受けることはない。
【0018】
Cpは一般に縮合環(1または複数)または環系を含む。環(1もしくは複数)または環系(1もしくは複数)は、一般に第13族から第16族の原子から選択される原子、例えば炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウムおよびそれらの組み合わせを含み、ここで炭素は環員の少なくとも50%を構成する。非限定的例には2-メチル、4フェニルインデニル;シクロペンタジエニル;シクロペンタフェナントレニル;インデニル;ベンズインデニル;フルオレニル;テトラヒドロインデニル;オクタヒドロフルオレニル;シクロオクタテトラエニル;シクロペンタシクロドデセン;フェナントリンデニル;3,4-ベンゾフルオレニル;9-フェニルフルオレニル;8-H-シクロペンタ[a]アセナフチレニル;7-H-ジベンゾフルオレニル;インデノ[1,2-9]アントレン;チオフェノインデニル;チオフェノフルオレニル;それらの水素化変形体(例えば炭素4,5,6,7-テトラヒドロインデニルまたはH4Ind);それらの置換変形体;およびそれらの複素環式変形体を含む。
【0019】
Cp置換基は、水素ラジカル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、アルキル-およびジアルキル-カルバモイル、アシルオキシ、アシルアミノ、アロイルアミノおよびそれらの組み合わせを含む場合がある。アルキル置換基のより詳細な非限定的例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル、およびtert-ブチルフェニル基等を含み、それらのすべての異性体、例えば三級ブチル、イソプロピル等を含む。他の可能なラジカルには、置換アルキルおよびアリール、例えばフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル、およびトリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル等を含むヒドロカルビル置換有機半金属ラジカル、トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル、ブロモメチルジメチルゲルミル等を含むハロカルビル-置換有
機半金属ラジカル、ジメチルボロンを含む二置換ホウ素ラジカル、例えばジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを含む二置換第15族ラジカル、およびメトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィドおよびエチルスルフィドを含む第16族ラジカルを含む。他の置換基Rにはオレフィンを含み、例えば、ビニル-末端リガンド、例えば3-ブテニル、2-プロペニル、5-ヘキセニル等を含むオレフィン不飽和置換基を含むがこれらに限定されない。1つの複数の態様では、少なくとも2つのR基、1つの複数の態様では2つの隣接するR基が連結して、炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素およびそれらの組み合わせから選択される3個から30個の原子を有する環構造を形成する。また1-ブタニルのような置換基R基は、元素Mにつなげる会合(a bonding association)を形成する場合がある。
【0020】
各アニオン性脱離基は独立して選択される場合があり、そして任意の脱離基、例えばハロゲンイオン、水素化物、C1からC12アルキル、C2からC12アルケニル、C6からC12アリール、C7からC20アルキルアリール、C1からC12アルコキシ、C6からC16アリールオキシ、C7からC18アルキルアリールオキシ、C1からC12フルオロアルキル、C6からC12フルオロアリール、C1からC12ヘテロ原子含有炭化水素、およびそれらの置換誘導体、水素化物、ハロゲンイオン、C1からC6アルキルカルボキシレート、C1からC6フッ素化アルキルカルボキシレート、C6からC12アリールカルボキシレート、C7からC18アルキルアルールカルボキシレート、C1からC6フルオロアルキル、C2からC6フルオロアルケニル、およびC7からC18フルオロアルキルアリール、さらにより詳細な複数の態様では、水素化物、塩化物、フッ化物、メチル、フェニル、フェノキシ、ベンゾキシ、トシル、フルオロメチルおよびフルオロフェニル、さらに一層詳細な複数の態様では、C1からC12アルキル、C2からC12アルケニル、C6からC12アリール、C7からC20アルキルアリール、置換C1からC12アルキル、置換C6からC12アリール、置換C7からC20アルキルアリール、C1からC12ヘテロ原子含有アルキル、C1からC12の15ヘテロ原子含有アリールおよびC1からC12のヘテロ原子含有アルキルアリール、さらに一層詳細な複数の態様では、塩化物、フッ化物、C1からC6アルキル、C2からC6アルケニル、C7からC18アルキルアリール、ハロゲン化C1からC6アルキル、ハロゲン化C2からC6アルケニルおよびハロゲン化C7からC18アルキルアリール、さらに一層詳細な複数の態様ではフッ化物、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、フルオロメチル(モノ-、ジ-およびトリフルオロメチル)、および一層詳細な複数の態様ではフルオロフェニル(モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-およびペンタフルオロフェニル)、およびさらに一層詳細な複数の態様ではフッ化物を含む場合がある。
【0021】
脱離基の他の非限定的例には、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン、1個から20個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、フッ素化炭化水素ラジカル(例えば---C(ペンタプルオロフェニル))、フッ素化アルキルカルボキシレート(例えばCFC(O)O-)、水素化物、ハロゲンイオン、およびそれらの組み合わせがある。脱離基の他の例には、アルキル基、例えばシクロブチル、シクロヘキシル、メチル、ヘプチル、トリル、トリフルオロメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N-メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスフィドラジカル等がある。1つの複数の態様では、2以上の脱離基が縮合環または環系の一部を形成する。
【0022】
LおよびAは互いに架橋化される場合がある。架橋化メタロセンは、例えば一般式:
XCpCpMA; (2)
により記載される場合があり、式中、Xは構造的架橋(structural brid
ge)であり、CpおよびCpはそれぞれシクロペンタジエニル基を表し、それぞれが同じか、または異なり、そしてこれは置換または非置換のいずれかであり、Mは遷移金属であり、そしてAはアルキル、ヒドロカルビルまたはハロゲン基であり、そしてnは0から4の間の整数であり、そして特定の複数の態様では1また2のいずれかである。
【0023】
架橋基(X)の非限定的例には、少なくとも1つの第13族から第16族原子、例えば少なくとも1つの炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、スズおよびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない二価の炭化水素基があり、ここでヘテロ原子は中性の原子価を満たすために置換されたC1からC12アルキルまたはアリールの場合がある。また架橋基は、ハロゲンラジカルおよび鉄を含む上記定義の置換基を含む場合がある。架橋基のより特定の非限定的例は、C1からC6アルキレン、置換されたC1からC6アルキレン、酸素、硫黄、RC=、RSi=、-Si(R)Si(R)-およびRG=、RP=(ここで“=”は2つの化学結合を表す)により表され、ここでRは基である水素化物、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル-置換有機半金属、ハロカルビル-置換有機半金属、二置換ホウ素、二置換第15族原子、置換第16族原子およびハロゲンラジカルから独立して選択され、そしてここで2以上のRは連結して環または環系を形成する場合がある。複数の態様では架橋化メタロセン触媒成分は2以上の架橋基(X)を有する。
【0024】
本明細書で使用するとおり、用語「メタロセンアクチベーター」は、単一部位の触媒化合物を活性化する場合がある担持または非担持の任意の化合物または化合物の組み合わせであると定義される(例えばメタロセン、第15族含有触媒等)。一般に、これには触媒成分の金属中心から少なくとも1つの脱離基(例えば上記式/構造中のA基)の引き抜きが関与する。触媒成分はそのようなアクチベーターを使用してオレフィン重合化に向かうように活性化され得る。そのようなアクチベーターの例には、環式またはオリゴマー性ポリヒドロカルビルアルミニウムオキシドのようなルイス酸、および所謂非配位イオン性アクチベーター(“NCA”)、あるいは「イオン化アクチベーター」または「化学量論的アクチベーター」、または中性のメタロセン触媒成分をオレフィン重合に関して活性であるメタロセンカチオンに転換できる任意の他の化合物を含む。
【0025】
より詳細には、ルイス酸、例えばアルモキサン(例えば、“MAO”)、修飾アルモキサン(例えば、“TIBAO”)およびアルキルアルミニウム化合物を、本明細書に記載する所望のメタロセンを活性化するためにアクチベーターとして使用する場合がある。MAOおよび他のアルミニウム系アクチベーターは当該技術分野において周知である。本明細書に記載する触媒のアクチベーターとして使用できるアルミニウムアルキル化合物の非限定的例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム等がある。
【0026】
イオン化アクチベーターは当該技術分野では周知であり、そして例えばEugene Yozi-Xian Chen & Tobin J.Marks,Cocatalysts for Metal-Catalyzed Olefin Polymerization:Activators,Activation Processes;and
Structure-Activity Relationships 100(4)CHEMICAL REVIEWS 1391-1434(2000)に記載されている。中性のイオン化アクチベーターの例には、第13族の三置換化合物、特に三置換ホウ素、テルル、アルミニウム、ガリウムおよびインジウム化合物およびそれらの混合物(例えば、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロンおよび/またはトリスペルフルオロフェニルボロン半金属前駆体)がある。3つの置換基はアルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキ
シおよびハライドからそれぞれ独立して選択される。1つの複数の態様では、3つの基は、ハロゲン、単または多環式(ハロ置換を含む)アリール、アルキル、アルケニル化合物およびそれらの混合物の群から独立して選択される。別の複数の態様では、3つの基は、1個から20個の炭素原子を有するアルケニル基、1個から20個の炭素原子を有するアルキル基、1個から20個の炭素原子を有するアルコキシ基、3個から20個の炭素原子を有するアリール基(置換アリールを含む)およびそれらの組み合わせの群から選択される。さらに別の複数の態様では、3つの基は、1個から4個の炭素基を有するアルキル、フェニル、ナフチル、およびそれらの混合物の群から選択される。さらに別の複数の態様では、3つの基は、1個から4個の炭素基を有する高度にハロゲン化されたアルキル、高度にハロゲン化されたフェニル、高度にハロゲン化されたナフチル、およびそれらの混合物の群から選択される。「高度にハロゲン化された」とは、少なくとも50%の水素が、フッ素、塩素および臭素から選択されるハロゲン基により置換されていることを意味する。さらに別の複数の態様では、中性の化学量論的アクチベーターは、高度にフッ素化されたアリール基を含む三置換第13族化合物であり、この基は高度にフッ素化されたフェニルおよび高度にフッ素化されたナフチル基である。
【0027】
アクチベーターは、Gregory G.Hlatky、Heterogeneous
Single-Site Catalysts for Olefin Polymerization 100(4) CHEMICAL REVIEWS 1347-1374(2000)に記載されているとおり、触媒成分(例えばメタロセン)と会合しているか、または触媒成分とは離れているいずれかで、担体に会合または結合してもしなくてもよい。
【0028】
上記のとおり、メタロセン触媒は担持されてもされなくてもよい。典型的な担体材料は、タルク、無機酸化物、クレーおよびクレー鉱物、イオン交換層状化合物、珪藻土化合物、ゼオライトまたは樹脂状担体材料、例えばポリオレフィンがあるが、これらに限定されない。具体的な無機酸化物は、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアがあるが、これらに限定されない。担体材料として使用される無機酸化物は、30ミクロンから600ミクロンまで、または30ミクロンから100ミクロンまでの平均粒子サイズ、50m/gから1,000m/gまで、または、100m/gから400m/gまでの表面積、および/または0.5cc/gから3.5cc/gまで、または、0.5cc/gから2cc/gまでの細孔容積を有する場合がある。メタロセンイオン触媒を担持する望ましい方法は、米国特許第5,643,847号;同第9,184,358号および同第9,184,389号明細書に記載され、これらは引用により本明細書にとりこまれる。
【0029】
メタロセン系ポリプロピレン
本開示のmPPsは、当該技術分野で知られているような望ましい重合触媒(1もしくは複数)上で行われる適切な重合法(1もしくは複数)を介して製造する場合がある。この重合法(1もしくは複数)に使用できる装置、工程条件、反応物、添加物および他の材料は、形成されているメタロセン系ポリマーの所望する組成および特性に依存して変動する場合がある。当業者には既知であるとおり、重合法は、液相、気相、スラリー相、バルク相,高圧法またはそれらの任意の組み合わせを含む場合がある。
【0030】
複数の態様では、少なくとも1つのスキン層のmRCPが100%のポリプロピレンを含むメタロセン系ホモポリマーを含む。複数の態様では、少なくとも1つのスキン層のmRCPがプロピレンと2個から10個までの炭素原子を有するオレフィンモノマーとのコポリマーを含む。複数の態様では、mRCPはプロピレンとエチレンとのコポリマーである。複数の態様では、mRCPは約0重量%から約8重量%まで、約0重量%から約5重量%まで、または、約0重量%から約3重量%までの範囲のエチレン含量を有する。本開
示によれば、少なくとも1つのスキン層のmRCP(1もしくは複数)は、フィルムに所
望する特性を提供するために調整する場合がある。例えば以下の実施例でさらに詳細に記載するとおり、より高いエチレン含量で(すなわちより低い融点)、mRCPは強化された引裂強さ(MDおよびTD)、および光学的特性および/またはより低いシール開始温度を有するフィルムを提供でき、一方、より低いエチレン含量で(すなわちより高い融点)、mRCPは強化された曲げ剛性(すなわち割線モジュラス)および引張強さを有するフィルムを提供する場合がある。
【0031】
複数の態様では、mRCPはイソタクチックである。複数の態様では、メタロセン系ポリプロピレンは、約100℃から約160℃まで、約120℃から約153℃まで、または、約120℃から約148℃までの範囲の融点を有する。複数の態様では、mRCPは、約115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、158℃または160℃以下の融点を有する。複数の態様では、メタロセン系ポリプロピレンは、約100℃から約160℃まで、約120℃から約153℃まで、または、約120℃から約148℃までの範囲の融点を有するmRCPである。複数の態様では、mRCPは、約115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、158℃、または、160℃以下の融点を有する。
【0032】
複数の態様ではmRCPは、約2.0から約6.5まで、約2.0から約5.5まで、または、約2.0から約4.0までの範囲の多分散性(poly dispersity)を有する。複数の態様ではmRCPは、約2.0から約6.5まで、約2.0から約5.5まで、または、約2.0から約4.0までの多分散性を有する。複数の態様ではmRCPは、6.5、5.0または4.0未満の多分散性を有する。複数の態様ではmRCPは、6.5、5.0または4.0未満の多分散性を有する。
【0033】
複数の態様では、mRCPは、約0.1g/10分から約40g/10分まで、約1g/10分から約24g/10 分まで、または、約2g/10分から約15g/10分までの範囲の溶融流量(MFR)を有する。複数の態様では、mRCPは、約15、14、13、12、11、または10g/10分以下のMFRを有する。複数の態様では、mRCPは、約0.1g/10分から約40g/10分まで、約1g/10分から約24g/10分まで、または、約2g/10分から約15g/10分までの範囲のMFRを有するホモポリマーである。複数の態様では、mRCPは、約15、14、13、12、11、または10g/10分以下のMFRを有するホモポリマーである。複数の態様では、mRCPは約0.1g/10分から約40g/10分まで、約1g/10分から約24g/10分まで、または、約2g/10分から約15g/10分までの範囲のMFRを有する。複数の態様では、mRCPは約15、14、13、12、11、または10g/10分以下のMFRを有する。
【0034】
スキン層
上記のとおり、少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。複数の態様では、少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーと、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、ポリブテンおよび/またはターポリマーを含むが、これらに限定されない、少なくとも1つの他のポリマーとのブレンドを含む。本明細書で使用するところの用語「低密度ポリエチレン」は、高圧法(例えばチューブラーまたはオートクレーブ)で約0.910g/ccから約0.940g/ccまでの一般的密度で製造されたエチレンポリマーを指す。本明細書で使用するところの用語「直鎖低密度ポリエチレン」は、エチレンと3個から10個までの炭素原子を有する他のアルファオレフィンとのコポリマーで、約0.900g/ccから約0.935g/ccまでの一般的密度を有するものを指す。本明細書で使用する用語「高密度ポリエチレン」は、エチレ
ンホモポリマーと、3個から10個までの炭素原子を有する他のアルファオレフィンとエチレンとのコポリマーで、約0.935g/ccから約0.970g/ccの一般的密度を有するものを指す。本明細書で使用するところの用語「エチレンコポリマー」は、エチレンと1もしくは複数の追加モノマーとのコポリマーを指す。本明細書で使用するところの用語「ポリプロピレン耐衝撃コポリマー」は、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーマトリックスおよびアルファオレフィンコポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマーに基づく異相共重合体を指す。本明細書で使用するところの用語「ポリブテン」は、4個の炭素を含むオレフィンのポリマーまたはコポリマーを指す。本明細書で使用するところの用語「ターポリマー」は、少なくとも3個のモノマーを使用して製造されたポリマーを指す。例えばターポリマーという用語は、プロピレン、エチレンおよびブテンのポリマーを指す場合がある。少なくとも1つの他のポリマーは、メタロセン系であってもなくてもよい。例えば複数の態様では、少なくとも1つのスキン層の少なくとも1つの他のポリマーは、メタロセン触媒系よりはむしろチーグラーナッタまたは他の適切な触媒を介して形成される場合がある。複数の態様では、スキン層はmRCPを約1重量%から約100重量%まで、約10重量%から約100重量%まで、または、約25重量%から約100重量まで、および、少なくとも1つの他のポリマーを約0重量%から約99重量%まで、約0重量%から約90重量%まで、または、約0重量%から約75重量%までで含む。
【0035】
複数の態様では、スキン層は、少なくとも1つのmRCPと、少なくとも1つのメタロセン系ポリプロピレンホモポリマーとのブレンドを含む。複数の態様では、スキン層は、少なくとも1つのmRCPを約1重量%から約99重量%まで、約10重量%から約90重量%まで、または、約20重量%から約80重量%まで、そして、少なくとも1つのメタロセン系ポリプロピレンホモポリマーを約1重量%から約99重量%まで、約10重量%から約90重量%まで、または、約20重量%から約80重量%までで含む。複数の態様では、スキン層は、少なくとも1つのmRCの約50重量%と、少なくとも1つのメタロセン系ホモポリマーの約50重量%とを含む。
【0036】
複数の態様では、少なくとも1つのmRCPと、少なくとも1つのメタロセン系ポリプロピレンホモポリマーとのブレンド中の少なくとも1つのメタロセン系ホモポリマーは、約2.0から約6.5まで、約2.0から約5.5まで、または約2.0から約4.0までの範囲;あるいは6.5、5.0、または4.0以下の多分散性を有する。複数の態様では、少なくとも1つのmRCPと、少なくとも1つのメタロセン系ポリプロピレンホモポリマーとのブレンド中の少なくとも1つのメタロセン系ホモポリマーは、約0.1g/10分から約40g/10分まで、約1g/10分から約24g/10分まで、または、約2g/10分から約15g/10分までの範囲;あるいは、約40、24、または15g/10分以下のMFRを有する。
【0037】
複数の態様では、スキン層は、低融点mRCPおよび低MFR透明化メタロセンホモポリマーのブレンドを含む。そのようなスキン層を含む同時押出しインフレートフィルムは、以下の実施例2に特記するとおり、有意に改善された曇り度および光沢度を提供する場合がある。本明細書で使用するとおり、低融点とは約135℃以下の融点を指す。本明細書で使用するとおり、低MFRとは約5g/10分以下のMFRを指す。
【0038】
他の添加剤
スキン層はさらに、物品に特別な特性を与える場合がある適切な量(1もしくは複数)の1もしくは複数の添加剤を含む場合があり、樹脂は当業者に知られているとおり製造されることが意図される。そのような添加剤は、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、表面改質剤、レオロジー改質剤、核剤、透明剤、加工助剤、フィラー、例えば限定するわけではないが、タルク、炭酸カルシウム、安定化剤、腐食防止剤、UV
安定化剤、可塑剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤、抗微生物剤、滑剤、他の樹脂等を含むが、これらに限定されない。
【0039】
同時押出し多層フィルム
また本明細書に開示するのは、上に開示した少なくとも1つのスキン層を含む同時押出し多層フィルムであり、同時押出し多層フィルムの少なくとも1つのスキン層は、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。本明細書に開示するフィルムは本明細書で上に提供した方法(1もしくは複数)を介して製造される場合がある。本開示のmRCP-含有スキン層は、様々な最終用途の応用に有用な場合がある。複数の態様では、mRCPはインフレートフィルムのスキン層を形成するために使用される。すなわち複数の態様では本明細書に開示するスキン層(1もしくは複数)を含むフィルムは、インフレート押出法を使用して製造される。インフレートフィルムは当業者に知られている任意の方法を使用して製造される場合がある。複数の態様ではフィルムはキャストフィルム押出法を使用して製造される。複数の態様ではフィルムは延伸フィルムである。複数の態様ではフィルムは二軸延伸フィルムである。複数の態様ではフィルムは一軸延伸フィルムである。
【0040】
上記のとおり、本明細書のスキン層(1もしくは複数)のmRCPポリマーは、他の樹脂と一緒に同時押出しされて多層フィルムまたはシート材料を形成する場合がある。同時押出しは当該技術分野で周知の方法に従い行う場合がある。例えば同時押出しは、少なくとも1つのスキン層のポリマー(1もしくは複数)およびコア層のポリマー(1もしくは複数)を、スロットダイまたはスパイラルダイシステムを通して同時に押すことにより行い、スキンポリマーの外層とコアポリマーの支持層(substrate layer)から形成されたフィルムを形成する場合がある。さらにフィルムまたはシート材料は、他の材料(すなわち第2シートまたはフィルム材料)に押出し後でも積層でき、すなわち積層体を提供する。ここでもシートおよびフィルムの積層に既知の技術を適用してこれらの積層体を形成する場合がある。
【0041】
複数の態様では、フィルムは第1および第2スキン層を含む。複数の態様では、方法はコア層および少なくとも1つの同時押出しスキン層を含む多層構造を同時押出しすることを含む。すなわち複数の態様では、フィルムはさらにコアを含む。複数の態様では、フィルムは間に1または多数のコア層が挟まれた第1および第2スキン層を含む。しかし層の組成およびフィルムが使用される応用に依存して、層の厚さには大きな変動性が存在する可能性があるが、複数の態様では、第1スキン層、コア層(1もしくは複数)および第2スキン層は約5-30%:30-50%:5-30%の厚さの比で存在する場合がある。複数の態様では、第1スキン層、コア層(1もしくは複数)および第2スキン層は約25:50:25%の厚さの比で存在する。コア層の組成は特に限定されないが、複数の態様では、コア層はC2-C8ポリオレフィンを含む。コア層の樹脂は、メタロセン触媒系、チーグラーナッタ触媒系、および例えばポリオレフィンの製造について当業者に知られている他の触媒系から選択される触媒系を介して製造する場合がある。複数の態様では、コア層はポリエチレンを含む。複数の態様では、コア層はメタロセン系ポリエチレン(mPE)を含む。複数の態様では、コア層がメタロセン系ポリエチレン(mPE)を含み、そして少なくとも1つのスキン層がmRCPを含む。コア層は当業者に知られているようなスキン層について上で挙げたような添加剤を含む場合がある。複数の態様では、フィルムは少なくとも1つのスキン層および2以上の全層を含む。複数の態様では、フィルムは本明細書に開示する2つのスキン層、および3以上の全層を含む。
【0042】
本明細書で上に特記したとおり、フィルム、スキン層(1もしくは複数)およびコア層の厚さは、具体的な応用、目標とする特性、装置などに依存して広く変動する場合がある。しかし限定するわけではないが、複数の態様ではスキン層がフィルム全厚の少なくとも
5%、10%または15%を構成する。複数の態様では、コア層(1もしくは複数)がフィルム全厚の約10%から約95%まで、約25%から約90%まで、または約30%から約85%までを構成し;少なくとも1つのスキン層がフィルム全厚の約5%から約35%まで、約5%から約25%まで、または約5%から約20%までを構成する場合がある。複数の態様では、フィルムは約0.1mil(2.5μm)から約30mil(750μm)まで、約0.2mil(5μm)から約10mil(250μm)まで、または約0.5mil(12.5μm)から約8mil(200μm)までの範囲の全厚を有する。
【0043】
フィルムの特性
複数の態様では、本開示によるフィルムは、約5%から約25%まで、約11%から約25%まで、または、約12%から約24%まで、約25%、20%または15%以下、あるいは約10%-20%以上、またはその間の整数の曇り度;約20から約70まで、約35から約65まで、または、約35から約60までの範囲、約35、40、50、60、65、70または75より大きいか、または低いか、または等しい光沢度;またはそれらの組み合わせにより特徴付けられる(良好な)光学的性質を現わす。複数の態様では、本開示のフィルムは15%未満の曇り度および少なくとも50の光沢度を有する。複数の態様では、本開示のフィルムは10%未満の曇り度および少なくとも60の光沢度を有する。
【0044】
複数の態様では、本開示によるフィルムは1%割線モジュラスにより測定される(高い)曲げ剛性、約45kpsiから約200kpsiまで、約50kpsiから99kpsiまで、約45kpsiから約100kpsiまでの範囲、あるいは200kpsi、250kpsi、100kpsi、90kpsiまたは80kpsi以下のMDを有する。複数の態様では、スキン層は約120℃、135℃または150℃以下の融点を有するmRCPを含み;そしてフィルムは1%の割線モジュラスにより示される少なくとも50kpsi、60kpsi、70kpsiまたは75kpsiの曲げ剛性、少なくとも2400psi、2700psi、2800psi、2900psiまたは3000psiの引張強さ、または両方を現わす。複数の態様では、本開示の同時押出し多層フィルムは、少なくとも50kpsiの1%割線モジュラス、および、少なくとも2400psiの引張強さを有する。複数の態様では本開示の同時押出し多層フィルムは、少なくとも75kpsiの1%割線モジュラス、および、少なくとも2800psiの引張強さを有する。
【0045】
複数の態様では、本開示の同時押出し多層フィルムは低い曇り度/高い光沢度の光学的特性を有すると同時に、高い曲げ剛性および強度も有する。複数の態様では、同時押出し多層フィルムは15%未満の曇り度、少なくとも50の光沢度、少なくとも50kpsiの1%割線モジュラス、および、少なくとも2400psiの引張強さを有する。複数の態様では、同時押出し多層フィルムは10%未満の曇り度、少なくとも60の光沢度、少なくとも75kpsの1%割線モジュラス、および、少なくとも2800psiの引張強さを有する。
【0046】
複数の態様では、本開示の同時押出し多層フィルムは、コア層にmPEを、そしてスキン層にmRCPとmPPとのブレンドを含む構造を有する。スキンは25/75重量パーセントのブレンドから75/25重量パーセントのブレンドまで、場合により、35/65重量パーセントのブレンドから65/35重量パーセントのブレンドまで、場合により、40/60重量パーセントのブレンドから60/40重量パーセントのブレンドまで、場合により、45/55重量パーセントのブレンドから55/45重量パーセントのブレンドまでの範囲の場合があり、場合により、スキンは50/50重量パーセントの範囲のmRCPとmPPとのブレンドの場合がある。複数の態様では、本開示の同時押出し多層フィルムは、コアにmPEを、そしてスキンにmRCPとmPPとのブレンドを含む構造
を有し、そして低い曇り度/高い光沢度の光学的特性を有すると同時に、高い曲げ剛性および強度も有する。複数の態様では、本開示の同時押出し多層フィルムは、コアにmPEを、そしてスキンにmRCPとmPPとのブレンドを含む構造を有し、そして15%未満の曇り度、少なくとも50の光沢度、少なくとも50kpsiの1%割線モジュラス、および、少なくとも2400psiの引張強さを有する。複数の態様では、本開示の同時押出し多層フィルムは、コアにmPEを、そしてスキンにmRCPとmPPとのブレンドを含む構造を有し、そして10%未満の曇り度、少なくとも60の光沢度、少なくとも75kpsiの1%割線モジュラスおよび少なくとも2800psiの引張強さを有する。
【0047】
複数の態様では、本開示のフィルムは0.77N/cmで約120℃、117℃、115℃、110℃、105℃以下、または、約104℃以下の(低い)シール開始温度(SIT);1.93N/cmで120℃、117℃、115℃、110℃、105℃以下、または、約104℃以下のシール開始温度(SIT);または、その両方を現わす。
【0048】
複数の態様では、本開示によるフィルムは機械方向での降伏点引張強さにより測定した時に約2100psi、2400psi、2700psi、2800psi、2900psiまたは3000psi以上の(高い)引張強さを現わす。
【0049】
複数の態様では、本開示によるフィルムは、機械方向のエルメンドルフ引裂度(MD 引裂度)に示される少なくとも100g、120g、130g、180g、200g、300または400gの(高い)靭性;少なくとも280g、300g、400g、500g、600g、800g、1000g、1200g、1400gまたは1500gの横断方向のエルメンドルフ引裂度(TD 引裂度);少なくとも80g、100gまたは120gの落槍衝撃耐性;または2milフィルムについてのそれらの組み合わせを現わす。複数の態様では、スキン層は約100℃、110℃または120℃以上の融点を有するmRCPを含み;そしてフィルムは少なくとも200g、300gまたは400gのMD引裂度、少なくとも600g、700gまたは800gのTD引裂度により示される(高い)引裂強さ、またはその組み合わせを現わす。
【0050】
本開示のフィルムは、フィルムを使用する当業者に有用であると知られている様式で使用する場合がある。また本明細書に開示するのは、本開示のフィルムを含む柔軟な包装材料である。そのような柔軟な包装材料は、食品用包装材料、重包装輸送袋、1次および2次包装材料、保護包装材料、スタンドアップポーチ、収縮フィルム、延伸フィルム等があるが、これらに限定されない。本開示のフィルムまたはシートで巻くことができる物品は、冷凍食品、他の食品、都市ゴミ袋、生鮮カット製品、洗剤用袋、タオルオーバーラップ(towel overwrap)等があるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例はその実践および利点を示すために本開示の特定複数の態様として与える。実施例は具体的説明を目的とするためだけに与えるものであり、以下の明細書または請求の範囲をどのようにも限定することを意図していない。
【実施例0052】
種々のmRCPの1種を含むスキンを含む同時押出しフィルム
3層同時押出し構造のフィルムサンプルを作成した。比較フィルム1(CF1)はコアにmPE1と、スキンとを含んだ;発明のフィルム1(IF1)は、コアにmPE1と、スキンにmRCP1とを含んだ;発明のフィルム2(IF2)は、コアにmPE1と、スキンにmRCP2とを含んだ;発明のフィルム3(IF3)は、コアにmPE1と、スキンにmRCP3とを含んだ。比較mPE1は、約0.927g/ccの密度および約0.9g/10分のメルトインデックス(2.16kg、190℃)のメタロセン系中密度ポ
リエチレン((LUMICENE(商標)M2710EPフィルム樹脂、トータルペトロケミカルズ&リファインイングUSA社:Total Petrochemicals & Refining USA、Inc.から販売)であり、mRCP1は約140℃の融点のメタロセン系イソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(トータルペトロケミカルズUSA社により製造されたM7672プロピレンコポリマー)であり、mRCP2は約119℃の融点のメタロセン系イソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(トータルペトロケミカルズ&リファインイングUSA社により販売されたLX5 02-15プロピレンコポリマー)であり、mRCP3は約112℃の融点のメタロセン系イソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(トータルペトロケミカルズ&リファインイングUSA社により製造されたLX5 07-21プロピレンコポリマー)であり、そしてmPP1は透明化メタロセン系ポリプロピレンホモポリマー(トータルペトロケミカルズ&リファインイングUSA社により製造されたM3282MZ)である。
【0053】
実験のフィルムを製造するために使用した種々のポリプロピレン成分の溶融流量および融点を以下の表1に示す。フィルムはデイビス-標準ミニ同時押出しインフレートフィルムライン(Davis-Standard mini co-ex blown film line)にて2.5:1のBUR(膨張比)および2mil(50μm)ゲージ、スタークなし、そして25/50/25の層分布(すなわち各スキンは0.5mil(12.5μm)であり、そしてコアは1mil(25μm)であった)で作成した。
【0054】
【表1】
【0055】
様々なフィルム特性を測定し、そして表2に提供する。曇り度(%)はASTM法ASTM D1003に従い測定した;45o光沢度はASTM D523に従い測定した;
槍衝撃耐性(g)はASTM D1709,Aに従い測定した;機械方向(MD)および横断方向(TD)のメンドルフ引裂度(g)はASTM D1992に従い測定した;機械方向の1%割線モジュラス(kpsi)はASTM D882,Aに従い測定した;機械方向の降伏点引張強さ(psi)はASTM 882,Aに従い測定した;シール開始温度(℃)は、60psiの圧および1.0秒の一時停止時間のシール条件下で測定した。
【0056】
【表2】
【0057】
表2のデータから明らかなとおり、フィルム特性と使用したmRCPとの間には相関がある。引裂強さ(MDおよびTDの両方)および光学特性は、より高いエチレン含量のmRCP(すなわちより低い融点のmRCP)で改善するが、(1%割線モジュラスで示されるような)曲げ剛性および引張強さは、より低いエチレン含量のmRCPs(すなわちより高い融点のmRCPs)でより高い。
【0058】
興味深いことにmRCP3を含むIF3が、mPE1をコアおよびスキンの両方に含んだCF1に対して同等か、または、より優れた引裂き値および同様な光学的特性を現わし
た。さらに表2に示すとおり、IF3に関するシール開始温度(SIT)は大変低い;すなわちこのフィルムが高いシール強さ(seal strength)を現わすことが期待される。IF3に関する槍衝撃強さはCF1よりも低いが、多くの応用での使用には十分である。例えば図1は、IF3の同時押出し構造 対 そのままの(neat)mPE1 CF1フィルムの相対的比較を示す。
【実施例0059】
mPPのブレンドを含むスキンを含む同時押出しフィルム
コアにmPE1を、スキンに50/50重量パーセントのmRCP3とmPP1とのブレンド(表1に示す2.0MFRの透明化メタロセンPPホモポリマー)を含む構造を、上記実施例1に提供したものと同じ加工パラメータを使用して作成した。本発明のフィルムIF4は顕著な光学的特性(すなわち約5%の曇り度および75より大きい光沢度)を現し、そして曲げ剛性および靭性の有用なバランスを提供する。
【0060】
本開示は、本明細書で言及した目的および利点、ならびにそれらに固有の目的および利点を達成するために良く適応している。上記開示の特定の複数の態様は具体的説明のみであるので、本開示は異なって修飾および実施され得るが、本明細書の教示という利益を享受する当業者には均等な様式は明らかである。さらに以下の特許請求の範囲に記載する以外は、本明細書に示す構造および設計の詳細に対して限定を意図していない。したがって以上に開示した特定の具体的説明態様は改変または修飾される場合があり、そして全てのそのような変更は本開示の範囲および趣旨の範囲内にあると考えられる。組成物および方法は、様々な成分または工程を「含む」(“comprising”、“containing”および“including”)という用語で記載されているが、組成物および方法は様々な成分または工程「から本質的になる」または「からなる」場合もある。上記の全ての数および範囲はある量まで変動してよい。下限および上限がある数値範囲が開示されている場合はいつでも、その範囲内の任意の数および含まれる範囲が具体的に開示されている。特に本明細書に開示する(「約(about)aから約(about)b」またはそれと同等に、「約(approximately)aから約(approximately)b」またはそれと同等に、「約(approximately)a-b」の値の各範囲は、値のより広い範囲内を包含するそれぞれの数および範囲を説明するものと理解される。また請求の範囲の中の用語は、特許権者が別に明示的かつ明確に定めない限り、それらの明白で通常の意味を有する。さらに請求の範囲で使用する不定冠詞「a」または「an」は、本明細書では導入する1または1より多い要素を意味するものと定める。本明細書および1もしくは複数の特許その他の文書中の単語および用語の使用法に矛盾があれば、本明細書と一致する定義が適用されるべきである。
【0061】
本明細書に開示する複数の態様には以下を含む。
A:少なくとも1つのスキン層を含む多層構造を同時押出しすることを含むフィルムの作成法、ここで該少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。
B:少なくとも1つのスキン層を含む同時押出し多層フィルム、ここで該少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。
C:少なくとも1つのスキン層を含む多層構造を含む柔軟包装材料、ここで該少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。
【0062】
各態様A,BおよびCは、1もしくは複数の以下の追加要素を有する場合がある。要素1:ここで前記多層構造は、第1および第2スキン層を含む。要素2:ここで前記フィルムはインフレート押出法を使用して製造される。要素3:ここで前記フィルムはキャストフィルム押出法を使用して製造される。要素4:ここで前記フィルムは延伸フィルムである。要素5:ここで前記少なくとも1つのスキン層は、メタロセン系ポリプロピレンラン
ダムコポリマーと、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、ポリブテン、ターポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマーとのブレンドを含む。要素6:ここで前記少なくとも1つのスキン層は、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、表面改質剤、レオロジー改質剤、核剤、透明剤、加工助剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。要素7:ここで前記少なくとも1つのスキン層はフィルムの全厚の少なくとも5%を構成する。要素8:ここで前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは、約100℃から約160℃までの範囲の融点を有する。要素9:ここで前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは、約0重量%から約8重量%までの範囲のエチレン含量を有する。要素10:ここで前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは、約0.1g/10分から約40g/10分までの範囲の溶融流量(MFR)を有する。要素11:ここで前記フィルムは、約0.1mil(2.5μm)から約30mil(750μm)までの範囲の全厚を有する。要素12:ここで前記フィルムは、10%未満の曇り度、60より大きい光沢度、2800psiより大きい降伏点引張強さ、および、75kpsiより大きい割線モジュラスを有する。要素13:ここで前記フィルムは、15%未満の曇り度、50より大きい光沢度、少なくとも300gの機械方向のエルメンドルフ引裂度、少なくとも1000gの横方向のエルメンドルフ引裂度、2400psiより大きい降伏点引張強さ、50kpsiより大きい割線モジュラス、および、104℃未満のシール開始温度@0.77N/cmを有する。要素14:ここで前記フィルムは、2400psiより大きい降伏点引張強さおよび50kpsiより大きい割線モジュラスを有する。
【0063】
本発明の複数の態様を示し、そして説明してきたが、当業者はそれらの修飾を本開示の教示から逸脱せずに作成することができる。本明細書に記載した複数の態様は単に例示であり、限定を意図するものではない。本明細書に開示した本発明の多くの変更および修飾が可能であり、そして本発明の範囲内にある。請求の範囲の任意の要素に関して用語「場合により」の使用は、主題の要素が要求されるか、または場合により要求されないことを意味するものである。両方の選択が請求の範囲の中にあることを意図している。
【0064】
多くの他の修飾、均等物および代替物は、当業者がいったん上記開示を完全に理解すれば明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、応用可能なそのようなすべての修飾、均等物および代替物を包含するものと解釈される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタロセン系ポリエチレンを含むコア層と、
少なくとも1つのスキン層とを含む、同時押出し多層フィルムであって、
前記少なくとも1つのスキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含み、前記少なくとも1つのスキン層は、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーと、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン耐衝撃コポリマー、ポリブテン、ターポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの他のポリマーとのブレンドを含み、かつ
前記同時押出し多層フィルムは、15%未満の曇り度、50より大きい光沢度、少なくとも300gの機械方向のエルメンドルフ引裂度、少なくとも1000gの横方向のエルメンドルフ引裂度、2400psiより大きい降伏点引張強さ、50kpsiより大きい割線モジュラス、および104℃未満のシール開始温度@0.77N/cmを有する、
同時押出し多層フィルム。
【請求項2】
請求項に記載の同時押出し多層フィルムを含む、柔軟包装材料。
【請求項3】
2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する、請求項に記載のフィルム。
【請求項4】
10%未満の曇り度、60より大きい光沢度、2800psiより大きい降伏点引張強さ、および75kpsiより大きい割線モジュラスを有する、請求項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記フィルムは、前記少なくとも1つのスキン層と第2スキン層との間に配置された前記コア層を含み、前記第2スキン層はメタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記フィルムは延伸フィルムである、請求項1に記載のフィルム
【請求項7】
前記少なくとも1つのスキン層は、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、酸化防止剤、帯電
防止剤、表面改質剤、レオロジー改質剤、核剤、透明剤、加工助剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載のフィルム
【請求項8】
前記少なくとも1つのスキン層はフィルムの全厚の少なくとも5%を構成する、請求項1に記載のフィルム
【請求項9】
前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは100℃から160℃までの範囲の融点を有する、請求項1に記載のフィルム
【請求項10】
前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは0重量%から8重量%までの範囲のエチレン含量を有する、請求項1に記載のフィルム
【請求項11】
前記メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーは0.1g/10分から40g/10分までの範囲の溶融流量(MFR)を有する、請求項1に記載のフィルム
【請求項12】
前記フィルムは0.1mil(2.5μm)から30mil(750μm)までの範囲の全厚を有する、請求項1に記載のフィルム
【請求項13】
前記少なくとも1つのスキン層は、メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーと、メタロセン系ポリプロピレンホモコポリマーとのブレンドを含む、請求項1に記載のフィルム
【請求項14】
メタロセン系ポリプロピレンランダムコポリマーと、メタロセン系ポリプロピレンホモコポリマーとのブレンドを含むさらなるスキン層を含み、前記コア層が、前記少なくとも1つのスキン層と前記さらなるスキン層との間に配置されている、請求項13に記載のフィルム。
【外国語明細書】