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<図1>
  • 特開-情報処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022120894
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20220812BHJP
   G16H 20/17 20180101ALI20220812BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H20/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017933
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】319004663
【氏名又は名称】株式会社Smart119
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】山尾 恭生
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】
ワクチンの予防接種に対する副反応を管理するための情報処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
予防接種に関する情報を管理する情報処理システムであって,情報処理システムは,予防接種を受けた接種者の属性情報および/または予防接種に関する情報を受け付ける登録処理部と,受け付けた情報に基づいて,接種者に対してメッセージを通知する通知処理部と,接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付ける調査情報受付処理部と,を有する情報処理システムである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予防接種に関する情報を管理する情報処理システムであって,
前記情報処理システムは,
予防接種を受けた接種者の属性情報および/または予防接種に関する情報を受け付ける登録処理部と,
前記受け付けた情報に基づいて,前記接種者に対してメッセージを通知する通知処理部と,
前記接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付ける調査情報受付処理部と,
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記予防接種に関する情報として接種日を含んでおり,
前記通知処理部は,
前記接種日と次回以降の接種までの接種間隔とを用いて,次回以降の接種に関するメッセージを通知する,
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記予防接種に関する情報として,さらに,ワクチンまたはワクチンの製造会社の識別情報を含んでおり,
前記通知処理部は,
前記ワクチンまたはワクチンの製造会社の識別情報に基づいて接種間隔を特定し,
前記接種日と前記特定した接種間隔とを用いて,つぎの接種に関するメッセージを通知する,
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理システムは,
前記接種者から受け付けた体調および/または予防接種の副反応に対する回答を集計する調査情報処理部,
を有しており,
前記調査情報処理部は,
前記体調および/または予防接種の副反応に対する回答のうち,体調に関する情報および/または副反応に関する情報について所定の条件を充足する接種者を特定し,
前記特定した接種者を所定の連絡先に通知する,
ことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記調査情報処理部は,
体調不良を示す情報が所定の閾値の日数より多い接種者,および/または副反応があることを示す情報が所定の閾値の日数より多い接種者を特定する,
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記調査情報処理部は,
前記副反応ごとの閾値が定められている,
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記通知処理部は,
前記接種者に対して通知するメッセージに,前記接種者識別情報を用いた情報を含むアクセス先となる情報を送る,
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記通知処理部は,
前記接種者に対してメッセージを通知してから,所定のタイミングを経過するまでに,前記接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付けない場合には,その接種者に対してリマインドのメッセージを通知する,
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを,
予防接種を受けた接種者の属性情報および/または予防接種に関する情報を受け付ける登録処理部,
前記受け付けた情報に基づいて,前記接種者に対してメッセージを通知する通知処理部,
前記接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付ける調査情報受付処理部,
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ワクチンの予防接種に対する副反応を管理するための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症や一部の疾病では,その感染,発症,重症化の防止のため,ワクチンの予防接種が有効であることが広く知られている。そのため,インフルエンザや新型コロナウィルス(COVID-19)などの感染症や子宮頸がんなどの一部の疾病の感染,発症,重症化の防止のために,ワクチンの予防接種が推奨されている。ワクチンの代表的なものとして,生ワクチン,不活化ワクチン,トキソイドがある。
【0003】
一方,ワクチンの予防接種では,接種した人の一部に副反応が生じることもある。そのため,ワクチンの予防接種を行う場合には,副反応がどの程度,生じるのか,ワクチンの接種者の体調がどのようなものか,を管理することが重要となる。
【0004】
そこで,従来,ワクチンの予防接種による副反応の調査,管理のために,下記非特許文献1に示すような副反応の調査票の記入による管理が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】鹿児島市,”副反応の報告(基準・様式)”,[online],インターネット<URL:http://www.city.kagoshima.lg.jp/kenkofukushi/hokenjo/hoyobo-kan/kenko/kenko/sesshu/hokoku.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の非特許文献1に示すような調査票の記入による管理を行う場合,ワクチンの接種を受けた人が調査票への記入を求められる,あるいは医師や看護師などの医療従事者が記入を求められる。しかしいずれの場合であっても,その記入負担が発生する。特に医療従事者が記入を行う場合には,多忙な業務の合間を縫って記入する必要があるため,その記入負担は大きい。また,記入した調査票を郵送やFAXなどで送付することも多く,調査票の集計や管理する負担も大きい。
【0007】
ワクチンの接種を受けた人の多くは,副反応が生じないことも多いため,調査票の記入を失念することも多い。また副反応が生じた場合であっても,比較的軽度にすむことがほとんどであるため,わざわざ調査票などへの記入も行わないし,医療機関を受診することもほとんどないため,医療従事者を介した副反応の報告が行われることも多くはない。
【0008】
さらに,いわゆる新型コロナウィルスに対するワクチンの予防接種の場合,ワクチン自体が緊急に製造,承認されるため,ワクチンの安全性確保の観点からは,ワクチンの予防接種を受けた人から広く副反応に関する情報を受け付けることは,医学的に非常に重要である。しかし,非特許文献1と同様の方法では対応することができない。また,上述のように副反応が生じない人,あるいは生じたとしても軽微にとどまる人がほとんどであるため,かかる調査票の記入を失念することが多いことが想定される。そのため,副反応に関する情報を広く収集することができず,医学的に正しく分析することができない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは,上記課題に鑑み,ワクチンの予防接種を受けた人が失念することなく,ワクチンの予防接種を受けた人,医療従事者,集計・管理を行う人などの負担を軽減することができる情報処理システムを発明した。
【0010】
第1の発明は,予防接種に関する情報を管理する情報処理システムであって,前記情報処理システムは,予防接種を受けた接種者の属性情報および/または予防接種に関する情報を受け付ける登録処理部と,前記受け付けた情報に基づいて,前記接種者に対してメッセージを通知する通知処理部と,前記接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付ける調査情報受付処理部と,を有する情報処理システムである。
【0011】
本発明のように構成することで,ワクチンの予防接種を受けた接種者の体調や副反応に関する情報を受け付けて収集することができる。
【0012】
上述の発明において,前記予防接種に関する情報として接種日を含んでおり,前記通知処理部は,前記接種日と次回以降の接種までの接種間隔とを用いて,次回以降の接種に関するメッセージを通知する,情報処理システムのように構成することができる。
【0013】
予防接種の種類によっては,2回以上の接種が求められる場合もある。しかし2回目以降については失念しがちである。そこで,本発明のように構成することで,次回以降の接種を接種者にリマインドすることができ,次回以降の接種の失念を防止することができる。
【0014】
上述の発明において,前記予防接種に関する情報として,さらに,ワクチンまたはワクチンの製造会社の識別情報を含んでおり,前記通知処理部は,前記ワクチンまたはワクチンの製造会社の識別情報に基づいて接種間隔を特定し,前記接種日と前記特定した接種間隔とを用いて,つぎの接種に関するメッセージを通知する,情報処理システムのように構成することができる。
【0015】
ワクチンによっては次回以降の接種の間隔が異なる場合がある。また同一の感染症や疾病においても複数種類のワクチンがある場合もある。その場合,ワクチンによっては接種間隔に差があることも考えられる。そこで本発明のように構成することで,接種したワクチンに応じて,次回以降の接種についてのメッセージを通知することができる。
【0016】
上述の発明において,前記情報処理システムは,前記接種者から受け付けた体調および/または予防接種の副反応に対する回答を集計する調査情報処理部,を有しており,前記調査情報処理部は,前記体調および/または予防接種の副反応に対する回答のうち,体調に関する情報および/または副反応に関する情報について所定の条件を充足する接種者を特定し,前記特定した接種者を所定の連絡先に通知する,情報処理システムのように構成することができる。
【0017】
上述の発明において,前記調査情報処理部は,体調不良を示す情報が所定の閾値の日数より多い接種者,および/または副反応があることを示す情報が所定の閾値の日数より多い接種者を特定する,情報処理システムのように構成することができる。
【0018】
ワクチンの予防接種では,一部の接種者の体調の悪化や副反応が生じる場合もある。しかし,体調の悪化や副反応によっては,できるだけ早い対処が求められる場合もある。そこで,これらの発明のように構成することで,体調や副反応に対する回答で所定条件を充足した接種者については,保健所などの公的機関や医療機関などの所定の連絡先に通知できるようにすることで,予防接種による事故の防止につなげることができる。
【0019】
上述の発明において,前記調査情報処理部は,前記副反応ごとの閾値が定められている,情報処理システムのように構成することができる。
【0020】
副反応もさまざまである。そのため,副反応ごとに閾値を定めるとよい。
【0021】
上述の発明において,前記通知処理部は,前記接種者に対して通知するメッセージに,前記接種者識別情報を用いた情報を含むアクセス先となる情報を送る,情報処理システムのように構成することができる。
【0022】
接種者にとっては,体調や副反応に対する回答を行うことは煩わしい。そのため,本発明のように構成することで,接種者はログイン処理などの認証処理を行わずに回答ができるので,煩わしさを少しでも解消することができる。
【0023】
上述の発明において,前記通知処理部は,前記接種者に対してメッセージを通知してから,所定のタイミングを経過するまでに,前記接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付けない場合には,その接種者に対してリマインドのメッセージを通知する,情報処理システムのように構成することができる。
【0024】
接種者にとっては,体調や副反応に対する回答を行うことは煩わしい。そのため,回答すること自体を失念することがある。そのため,本発明のように構成することで,回答を促すことができる。とくに新型コロナウィルスのワクチンのように緊急的に使用されるワクチンの場合,十分な治験等も行われないため,接種者から広く体調や副反応に関する情報を収集することは極めて重要である。そこで,本発明でその実効性を高めることができる。
【0025】
第1の発明は,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現できる。すなわち,コンピュータを,予防接種を受けた接種者の属性情報および/または予防接種に関する情報を受け付ける登録処理部,前記受け付けた情報に基づいて,前記接種者に対してメッセージを通知する通知処理部,前記接種者から体調および/または予防接種の副反応に対する回答を受け付ける調査情報受付処理部,として機能させる情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の情報処理システムを用いることによって,ワクチンの予防接種を受けた人が失念することなく,ワクチンの予防接種を受けた人,医療従事者,集計・管理を行う人などの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の情報処理システムの全体の構成の一例を模式的に示す概念図である。
図2】本発明の情報処理システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
図3】本発明の情報処理システムにおける登録処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の情報処理システムにおける利用処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図5】登録画面の一例を示す図である。
図6】認証コードの入力画面の一例を示す図である。
図7】ワクチンの情報の入力を行う画面の一例を示す図である。
図8】確認画面の一例を示す図である。
図9】通知処理部が接種者に送るメッセージの一例を示す図である。
図10】体調に関する情報の入力を行うための画面の一例を示す図である。
図11】副反応に関する情報の入力を行うための画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の情報処理システム1の全体の構成の一例を図1に示す。また,本発明の情報処理システム1で用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を図2に示す。なお,以下の説明では,新型コロナウィルスのワクチンの予防接種を一例として説明するが,ほかの感染症や疾病などであっても同様である。
【0029】
情報処理システム1は,管理コンピュータ2を用いる。管理コンピュータ2は,サーバやパーソナルコンピュータ,可搬型通信端末などのコンピュータによって実現される。コンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやROM,ハードディスク,SSDなどの記憶装置71と,ディスプレイなどの表示装置72と,情報の入力を行う入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報の通信を行う通信装置74とを有している。なお,コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には,入力装置73と表示装置72とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは,タブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが,それに限定するものではない。
【0030】
タッチパネルディスプレイは,そのディスプレイ上で,直接,所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力が行える点で,表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0031】
各コンピュータは一台でその機能が実現されていてもよいし,その機能が複数台によって実現されていてもよい。その場合のコンピュータとして,たとえばクラウドサーバであってもよい。
【0032】
さらに,本発明の情報処理システム1における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。
【0033】
情報処理システム1は,登録処理部20と接種者情報記憶部21と通知処理部22と調査情報受付処理部23と調査情報記憶部24と調査情報処理部25とを有する。
【0034】
登録処理部20は,ワクチンの予防接種を受けた人(接種者)の情報の登録を受け付ける。具体的には,ワクチンの予防接種を受けるとき等に交付される資料(紙媒体のほか,ファイルなどの電子媒体などであってもよい)に,本発明の情報処理システム1へのアクセス方法が記載されており,それに基づいて,所定のウェブサイトにアクセスを受け付ける。登録処理部20は,そのアクセスを受け付け,接種者の氏名,電話番号,性別,年齢などのほか,電子メールアドレスやSNSのアカウントなどの情報の入力を受け付ける。登録処理部20は,受け付けた氏名,電話番号,性別,年齢,電子メールアドレスやSNSのアカウントなどの属性情報を接種者情報記憶部21に記憶させる。また,登録処理部20は,接種したワクチンの予防接種の情報(製薬会社名やワクチン名などのワクチンの識別情報),接種日,接種場所(医療機関名などの医療機関の識別情報のほか,予防接種を受けた建造物,場所,会場名などの情報でもよい)の入力を受け付ける。
【0035】
接種者情報記憶部21は,登録処理部20で入力を受け付けた接種者の属性情報のほか,接種を受けたワクチンの予防接種の情報を記憶する。接種者の属性情報,予防接種の情報は,当該接種者を識別するための識別情報(接種者識別情報)に紐付けて記憶される。接種者識別情報は,登録処理部20が入力を受け付けた情報を接種者情報記憶部21に記憶させる際に割り当てて記憶してもよいし,あらかじめ接種者に対して割り当てておき,それが記憶されてもよい。さらに,予防接種等を受けたときに交付される資料に記載されており,それを用いてもよい。
【0036】
通知処理部22は,接種者情報記憶部21に記憶する情報に基づいて,接種者に対して,所定の方法,たとえばSNSや電子メールなどで通知を送る。たとえば,予防接種を受けた日の翌日から所定期間が経過するまで,所定のタイミング(たとえば毎日)で,健康チェックに関する情報の入力を行うメッセージを送る。このメッセージには,健康チェックに関する情報の入力を行うためのウェブサイトへアクセスするためのURLが記載されているとよい。また,ワクチンについて2回目の接種が必要な場合,予防接種を受けた日から2回目の接種の日,あるいはその日から所定だけ前の日に,2回目の予防接種に関する情報(たとえば接種日,予約時刻,接種場所など)を知らせるメッセージを送る。
【0037】
調査情報受付処理部23は,通知処理部22が送ったメッセージに記載されたURLを介して,健康チェックに関する情報などの調査情報の入力を受け付ける。調査情報としては,予防接種を受けた人の体調,副反応に関する情報などがある。
【0038】
調査情報記憶部24は,調査情報受付処理部23で受け付けた調査情報を記憶する。調査情報は,接種者情報記憶部21に記憶する接種者を識別するための識別情報と対応づけて記憶されているとよい。
【0039】
調査情報処理部25は,調査情報記憶部24に記憶した調査情報,たとえば体調に関する情報,副反応に関する情報を集計などの管理処理を行う。たとえば,ワクチンの接種を受けた翌日の体調の悪い人,何らかの副反応がある人,副反応のうち頭痛がある人,など任意の項目で集計を行う。
【実施例0040】
つぎに本発明の情報処理システム1の処理プロセスの一例を図3および図4のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
まず本発明の情報処理システム1を利用するにあたり,ワクチンの予防接種を受けた接種者の情報を登録する処理を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
ワクチンの予防接種を受ける場合,接種したワクチンの情報が表示されたカードと,情報処理システム1へのアクセス方法,たとえば所定のウェブサイトのURLが2次元コードで表示された用紙が,予防接種を受ける人に配布される。なお,カードと用紙は一例であり,ほかの手段で接種したワクチンの情報と,情報処理システム1へのアクセス方法とが伝えられてもよい。
【0043】
予防接種を受けた接種者は,自らのスマートフォンなどの可搬型通信端末などで,所定のウェブサイトにアクセスをする(S100)。たとえば,上記配布された用紙に表示された2次元コードを可搬型通信端末で読み取ることで,所定のウェブサイトにアクセスを行う。なお,接種者が用いるのは可搬型通信端末に限らず,パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0044】
このアクセスを受け付けると,登録処理部20は,接種者の属性情報の入力を行うための画面を,接種者の可搬型通信端末に表示させる。この登録画面の一例を図5に示す。図5では,氏名(姓名),年齢,携帯電話番号,メールアドレス,SNSアカウントなどを属性情報として入力を受け付ける場合の画面の一例を示しているが,それに限定されるものではなく,ほかの属性情報の入力を受け付けてもよいし,また属性情報の一部の入力を受け付けなくてもよい。
【0045】
可搬型通信端末で登録画面が表示されると,接種者は,属性情報の入力を行い,「登録」ボタンを押下することで,可搬型通信端末から登録処理部20に属性情報が送られ,登録処理部20でその入力を受け付ける(S110)。登録処理部20は,接種者に対して接種者識別情報を割り当て,接種者情報記憶部21に,接種者識別情報と属性情報とを対応づけて記憶させる。
【0046】
また登録処理部20は,本人確認のため,接種者情報における携帯電話番号に対して,認証コードをショートメッセージ(SMS)で送る。また,登録処理部20は,可搬型通信端末に図6に示す認証コードの入力画面を表示させる。なお,本人確認の認証処理としては,SMS認証に限るものではなく,可搬型通信端末のアプリケーションソフトウェアを利用したワンタイムパスワード認証など,ほかの認証方法であってもよい。
【0047】
つぎに登録処理部20は,当該接種者が接種したワクチンの情報の入力を行うための画面を可搬型通信端末に表示させ,ワクチンの情報の入力を受け付ける(S120)。ワクチンの情報の入力を行う画面の一例を図7に示す。ここでは,接種したワクチンを製造した製薬会社,接種日などの入力が行われる。図7の画面で「登録」のボタンの押下がされることで,可搬型通信端末から登録処理部20にワクチンの情報が送られ,登録処理部20でその入力を受け付ける。
【0048】
登録処理部20は,可搬型通信端末からワクチンの情報の入力を受け付けると,図8に示す確認画面を可搬型通信端末に表示させ,「提出」のボタンの押下を受け付けると,可搬型通信端末から登録指示の情報が送られ,それを登録処理部20で受け付けると,登録処理部20は,接種者情報記憶部21に,接種者識別情報に対応づけて記憶させる。
【0049】
以上のような処理によって,接種者情報記憶部21に,ワクチンの予防接種を受けた接種者の属性情報とワクチンの情報とが接種者識別情報に対応づけて記憶される。
【0050】
つぎに本発明の情報処理システム1が,ワクチンの予防接種を受けた人に対して,体調などの入力を確認する利用処理を,図4のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
通知処理部22は,接種者情報記憶部21に記憶する接種者のワクチンの接種日の情報に基づいて,所定のタイミングで該当する接種者に対応するメッセージを送る(S200)。たとえばワクチンの予防接種を受けた接種者に対しては,接種日の翌日から所定期間,たとえば10日間,毎日,健康チェックに関する情報の入力を促すメッセージを送る。このメッセージには,健康チェックに関する情報の入力を行うための画面にアクセスするためのURLが付されているとよい。さらに好ましくは,接種者識別情報に基づく情報(接種者識別情報そのものであってもよいし,それをハッシュ化した情報など,接種者を一意に識別できる情報であればよい)が当該URLに含まれているとよい。図9に通知処理部22が接種者に送るメッセージの一例を示す。
【0052】
可搬型通信端末でメッセージを受け付けた接種者は(S210),メッセージに記載されたURLから健康チェックに関する情報の入力を受け付けるための画面にアクセスをする(S220)。可搬型通信端末からのアクセスを受け付けた調査情報受付処理部23は,当該可搬型通信端末に対して,図10および図11に示すような健康チェックに関する情報,たとえば体調に関する情報,副反応に関する情報の入力を行うための画面を表示させる。図10が体調に関する情報の入力を行うための画面であり,図11が副反応に関する情報の入力を行うための画面である。
【0053】
なお,体調に関する情報の入力を行う画面の図10,副反応に関する情報の入力を行う画面の図11は,いずれも一例であり,各画面に記載してある情報として異なる情報の入力を行ってもよいことは当然である。たとえば,新型コロナウィルスの陽性・陰性の情報,入院の有無の情報などが一例としてある。また,危険度の高い副反応,たとえば「運動障害」があることが選択された場合には,医療機関への受診を促すメッセージ,あるいは保健所などの公的機関や医療機関に架電がされる,あるいは運動傷害が発生していることを示すメッセージが自動的に送られてもよい。
【0054】
調査情報受付処理部23は,図10の画面に入力された体調に関する情報,図11の画面に入力された副反応に関する情報の入力を可搬型通信端末から受け付けると,接種者識別情報に対応づけて,調査情報記憶部24に記憶させる(S230)。アクセスを受け付けたURLに接種者識別情報が含まれているので,それに基づいて接種者識別情報を特定し,それに対応づけて体調に関する情報,副反応に関する情報を記憶できる。
【0055】
このように通知処理部22は,所定のタイミングごとに,接種者に対してメッセージを送り,それに対して体調に関する情報,副反応に関する情報が調査情報記憶部24に記憶される。たとえば,毎日,メッセージを送る場合には,調査情報記憶部24には,接種者の毎日の体調に関する情報,副反応に関する情報が記憶されていく。
【0056】
調査情報処理部25は,調査情報記憶部24に記憶した体調に関する情報,副反応に関する情報を参照し,集計処理を行う(S240)。たとえば,接種を受けた日から経過日ごとの体調ごと(体調がよい,普通,悪い)の人数や全体に占める割合,接種を受けた日から経過日ごとの副反応のある接種者の人数や全体に占める割合などを集計する。
【0057】
通知処理部22は,調査情報記憶部24に体調に関する情報,副反応に関する情報が記憶されているか否かをメッセージが送った後に確認をし,記憶されていない場合には,当該接種者に対して入力を行うようリマインドのメッセージを送ってもよい。たとえば,その日における最初のメッセージを送ってから1時間経過しても,調査情報記憶部24に,当該接種者のその日の体調に関する情報,副反応に関する情報がない場合,リマインドのメッセージを送る。
【0058】
以上のような処理を実行することで,ワクチンの予防接種を受けた接種者の体調に関する情報,副反応に関する情報を自動的に集計することが可能となる。
【実施例0059】
通知処理部22は,接種者情報記憶部21に記憶したワクチンの接種日の情報から,2回目以降の接種に関するメッセージを送ってもよい。この場合,接種者情報記憶部21に記憶するワクチンの情報のうち,接種日の情報と,ワクチン若しくは製薬会社の情報とを用いて,2回目以降の接種日に関するメッセージを送る。すなわち,ワクチンごとに接種間隔が相違する場合,ワクチン若しくは製薬会社の情報に基づいて接種間隔を特定し,接種日の情報と接種間隔の情報とを用いて2回目以降の接種に関するメッセージを送る。
【0060】
たとえばPF社のワクチンが初回の接種日から3週間目に2回目の接種日と定められていたとする。この場合,通知処理部22は,接種者情報記憶部21に記憶したワクチンの接種日の情報と製薬会社名とに基づいて,初回の接種日から3週間目の日またはそれから所定日(たとえば3週間目の1週間前など)だけ前の日に,2回目の接種に関する情報,たとえば2回目の接種が近づいていること,接種日,予約の時刻,接種場所などの予防接種を受けるのに必要な情報を含むメッセージを送る。
【0061】
これによって,ワクチンを製造する製薬会社によって接種間隔が異なる場合には,接種したワクチンの種類ごとに2回目の接種に関する情報のメッセージを送ることが可能となる。なお,初回に接種した後の2回目の接種に関する情報の通知に限らず,2回目に接種した後の3回目の接種に関する情報の通知,初回に接種した後の2回目の接種に関する情報の通知と3回目の接種に関する情報の通知のように,それぞれのワクチンの種類で必要な接種回数および接種間隔に応じて,2回目以降の接種に関する情報のメッセージを通知すればよい。
【0062】
なお,当該メッセージには,2回目以降のワクチン接種の予約の変更が行えるように,予約変更の画面にアクセス可能なURLを含んでいてもよい。このURLからアクセスすることによって,2回目以降のワクチン接種の予約の変更処理を,所定のコンピュータシステム(ワクチン接種の予約を管理するコンピュータシステム)で行うことが可能となる。
【実施例0063】
登録処理部20における登録処理では,接種者が接種したワクチンの情報,たとえばワクチンの接種日,接種したワクチンを製造した製薬会社の情報などを入力しないようにしてもよい。この場合,予防接種を受けるときに配布を受けた用紙に記載された2次元コードに,接種者が接種したワクチンの情報,ワクチンの接種日および/または接種したワクチンを製造した製薬会社が含まれていてもよい。これによって,接種者がワクチンの情報の入力を省略しても,アクセスしたURLに含まれるワクチンの情報に基づいて,当該接種者が接種したワクチンの情報を接種者情報記憶部21に記憶させることが可能となる。
【0064】
また上記2次元コードには,接種者を一意に識別するための接種者識別情報が含まれていてもよい。
【実施例0065】
調査情報処理部25は,調査情報記憶部24に記憶されている調査情報,たとえば体調に関する情報,副反応に関する情報を接種者ごとに集計し,「体調が悪い」ことを示す情報が所定の閾値の日数より多い接種者,副反応があることを示す情報(副反応のうち一部の副反応に限定してもよい)が,所定の閾値の日数より多い接種者を抽出し,特定する。そして特定した接種者について,保健所などの公的機関や医療機関に情報を通知してもよい。この際に,調査情報記憶部24に記憶する接種者識別情報を抽出し,接種者識別情報を用いて接種者情報記憶部21を参照することで,当該接種者の属性情報,ワクチンの情報などをあわせて通知してもよい。
【0066】
これによって,体調不良や副反応が継続している接種者に対して,保健所などの公的機関や医療機関などから,個別に連絡を行うことができ,副反応による事故を防止できる。
【0067】
なお,副反応の種類は複数あるので,副反応ごとに通知する接種者を特定する条件を変更してもよい。たとえば,「接種した部位の痛み,熱感,腫れ」の副反応については抽出しないとし,「発熱,寒気」の副反応については5日間ある場合に抽出し,「運動傷害」の副反応については2日間ある場合に抽出する,とのように,副反応ごとに条件を変更してもよい。
【0068】
本発明は,本発明の趣旨を逸脱しない範囲において,適宜,設計変更が可能である。また処理は一例であり,その処理を異なる順番で実行することも可能である。さらに,画面の表示についても適宜,変更可能である。また,すべての機能を備えずとも,一部の機能のみを備えるのであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の情報処理システム1を用いることによって,ワクチンの予防接種を受けた人が失念することなく,ワクチンの予防接種を受けた人,医療従事者,集計を行う人などの負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:情報処理システム
2:管理コンピュータ
20:登録処理部
21:接種者情報記憶部
22:通知処理部
23:調査情報受付処理部
24:調査情報記憶部
25:調査情報処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
図1
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