(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121033
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018161
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】392022938
【氏名又は名称】株式会社神戸車輌製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】神戸 栄治
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050KK19
(57)【要約】
【課題】 スチール台車に比べて軽量であり、従来のアルミ台車に比べて強度に優れる台車を提供する。
【解決手段】 少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材が連結されて四角形に形成された台座の裏面にキャスターを備えた台車であり、台座の少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材がアルミ製であり、前記その台座の四隅のキャスター取付け箇所の裏面と前後フレーム材の双方又はいずれか一方の裏面に補強材があり、前記補強材はアルミ製であって裏面にリブが縦向きに突出しており、補強材の裏面にキャスターを取り付けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材が連結されて四角形に形成された台座の裏面にキャスターを備えた台車であり、
台座の少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材がアルミ製であり、
前記台座の四隅のキャスター取付け箇所の裏面と前後フレーム材の双方又はいずれか一方の裏面に補強材があり、
前記補強材はアルミ製であって裏面にリブが縦向きに突出しており、
前記補強材の裏面にキャスターを取り付けた、
ことを特徴とする台車。
【請求項2】
請求項1記載の台車において、
リブが補強材の周縁から裏面に突出している、
ことを特徴とする台車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の台車において、
リブが補強材の裏面に二以上突出している、
ことを特徴とする台車。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の台車において、
リブが板状であり、補強材の裏面に二以上が平行して突出している、
ことを特徴とする台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築部材やその他の荷物(以下、単に「荷物」という。)の運搬に用いる台車に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場や土木工事現場などでは荷物の運搬に台車が用いられている。例えば、ビルやマンションなどの建築現場では、各種資材の運搬に台車A(
図8(a)(b))が使用されている。
図8(a)(b)の台車Aは汎用の物であり、四角形(長方形)の台座Bの四隅に車輪(キャスター)Cを備えたものである。
【0003】
台車Aに載せる荷物は軽量、小型のものから重厚、長大なものまで各種ある。また、台車Aの使用方法も各種ある。外壁材のように長尺な重量物の場合は、
図6(a)(b)のように、外壁材Dを、前後に並べた二台の台車Aに外壁材Dを跨がせて載せたり、
図7(a)(b)のように横向きに並べた二台の台車Aに跨がせて載せたりしている。この場合、台車Aが坂道(
図8(a))や段差のある通路(
図8(b))に差し掛かると、坂道の低い方或いは段差の低い方の車輪C(
図8(a)(b)では後輪)が浮き上がることがある。この場合、外壁材Dの荷重が通路に接している車輪C(
図8(a)(b)では前輪)や前枠Eに集中して掛かるため、台座Bの前方車輪取付け部や前枠Eには集中荷重に耐え得る強度が要求される。台車Aの向きが逆の場合は、集中荷重が後方の車輪Cや台車Aの後枠Fに掛かるため、台座Bの後方車輪取付け部や後枠Fにも集中荷重に耐え得る強度が要求される。このため台座Bをスチール製(スチール台車)にしてある。
【0004】
建築物がマンションやビルなどの場合は、建築資材を上の階に上げる必要がある。この場合、通常は
図6(a)(b)、
図7(a)(b)のように、建築資材を台車Aに載せて上げ、建築資材を降ろして空になった台車Aを、作業員が手で持って下の資材置き場まで戻っている。しかし、スチール製の台車はサイズにもよるが、一般的な台車で20kg以上の重さがあるため、作業員の負担が大きい。
【0005】
本件出願人は、先に、スチール材に比べて軽量なアルミ材を利用した台車(アルミ台車)を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アルミ台車は軽量で作業員の負担を軽減できるというメリットがある一方、スチール台車に比べて強度に劣る。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、スチール台車に比べて軽量であり、且つ、従来のアルミ台車に比べて強度に優れる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の台車は、少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材が連結されて四角形に形成された台座の裏面にキャスターを備えたものであり、台座の少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材がアルミ製であり、前記台座のキャスター取付け箇所の裏面と前後フレーム材の双方又はいずれか一方の裏面に補強材があり、その補強材はアルミ製であって裏面にリブが縦向きに突出しており、その補強材の裏面にキャスターを取り付けたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の台車は、少なくとも前後フレーム材と左右フレーム材がアルミ製であるため、スチール製に比して軽量である。また、アルミ製の補強材の裏面にリブが縦向きに突出しているため、単なるアルミ製の平板の場合よりも強度がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】(a)は本発明の台車におけるキャスター取付け部分の側面図、(b)は(a)の正面図。
【
図4】(a)は本発明の台車の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の正面図。
【
図6】(a)は二台の台車を前後に並べて建築資材を載せた状態の平面図、(b)は(a)の側面図。
【
図7】(a)は二台の台車を横に並べて建築資材を載せた状態の平面図、(b)は(a)の側面図。
【
図8】(a)は従来の台車を
図6(a)(b)、
図7(a)(b)のように使用して、坂道に差し掛かったときの説明図、(b)は段差に差し掛かったときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
本発明の台車の実施形態を図に基づいて説明する。本発明の台車1は
図1、
図4(a)~(c)のように、前フレーム材2、後フレーム材3、左右フレーム材4、5を長方形の枠状に連結して外枠6とし、外枠6の内側に二本の縦材7を連結し、外枠6の四隅外側に略く字状のコーナー材8(
図1、
図2)を宛がって連結固定して台座9としてある。前フレーム材2、後フレーム材3、左右フレーム材4、5の上面に細長のクッション材10が固定されている。外枠6の四隅裏面に補強材11が取り付けられ、その裏面にキャスター12が取り付けられている。
【0013】
前フレーム材2は
図2のように、二枚の下向きL字状の細長材2a、2bを対向配置してある。細長材2a、2bはアルミ製である。
【0014】
後フレーム材3は
図2のように、二枚の下向きL字状の細長材3a、3bを対向配置してある。細長材3a、3bはアルミ製である。
【0015】
左右フレーム材4、5は
図2のように側面視内向きL字状の細長材であり、アルミ製である。
【0016】
縦材7は
図2のように角材又は下向きコ字状であり、前フレーム材2と後フレーム材3の間に配置固定されている。
【0017】
コーナー材8は汎用の台車に使用されているものと同じものであり、スチール製であり、略く字状である。
【0018】
クッション材10は、ゴム板、樹脂板等の弾性材である。ネジ止め部をその周囲上面よりも一段窪ませてある。
【0019】
補強材11はアルミ製であり、平板の一辺を下向きにL字状に折り曲げて、下方に突出するリブ13を設けてあり、リブ13を下にして外枠6の四隅裏面に固定してある。
【0020】
キャスター12は汎用のものであり、回転式のものでも、固定式のものでもよい。キャスター12は
図3(a)(b)のように補強材11の裏面に固定されている。12aはキャスター12の取付け板である。キャスター12は図示した以外のものであってもよい。
【0021】
前フレーム材2、後フレーム材3、左右フレーム材4、5、縦材7、コーナー材8、クッション材10、補強材11、キャスター12の連結は、ネジ、ボルトとナット等でネジ止めにしてある。
【0022】
(実施形態2)
本発明における補強材11は
図5のように細長板状であってもよく、裏面にリブ13が突設されたものであってもよい。補強材11及びリブ13は共にアルミ製である。
図5では、リブ13が補強材11の長手方向に所定間隔で多数枚、平行に突設されている。この補強材11が前フレーム材2、後フレーム材3の裏面に固定され、その裏面にキャスター12が取り付けられている。
【0023】
(実施形態3)
本発明の台車1は前記実施形態1、2のものに限られない。補強材11の形状、サイズ、構造、台座9への補強材11の取付け箇所、リブ13の枚数、突出間隔、形状、突出の向き等は、前記課題を解決できる範囲で設計変更可能である。例えば、補強材11は平板状ではなく、幅方向両縁又は片縁が下方又は上方に折り曲げられたものとか、側面視箱型のもの等であってもよく、それらの底面にリブが突設されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の台車は、建築資材の運搬に限らず、搭載可能であり、耐荷重の範囲内であればどのような荷物の運搬にも使用可能である。また、一台ずつ個別に使用できるのは勿論のこと、二台以上を組み合わせて使用することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 台車
2 前フレーム材
2a、2b (前フレーム材の)細長材
3 後フレーム材
3a、3b (後フレーム材の)細長材
4、5 左右フレーム材
6 外枠
7 縦材
8 コーナー材
9 台座
10 クッション材
11 補強材
12 キャスター
12a 取付け板
13 リブ
A 台車
B 台座
C 車輪
D 外壁材
E (台車の)前枠
F (台車の)後枠