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特開2022-12195放熱構造体およびそれを備えるバッテリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012195
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】放熱構造体およびそれを備えるバッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20220107BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20220107BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220107BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220107BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220107BHJP
【FI】
H01M10/6554
H01L23/36 D
H05K7/20 F
H01M10/615
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/6563
H01M10/647
H01M2/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113847
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】安藤 均
(72)【発明者】
【氏名】中田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中藤 登
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5E322AB04
5E322AB08
5E322DA00
5E322EA10
5E322FA04
5E322FA06
5F136BC04
5F136BC06
5F136FA51
5F136FA53
5F136FA54
5F136FA63
5F136FA85
5H031AA09
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC26
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】
熱源の種々の形態に順応可能で、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ周辺部品との電気的短絡を抑制できる放熱構造体及びバッテリーを提供する。
【解決手段】
本発明は、複数の放熱部材20と、複数の放熱部材20を連結する連結部材10と、を備える放熱構造体1であって、放熱部材20は、中空又は中実形状の複数のクッション部材22と、クッション部材22の外側面を覆う熱伝導シート21と、を備え、連結部材10は、熱源と放熱部材20との間に配置される絶縁フィルム14と、絶縁フィルム14の厚さ方向の両面を被覆する一対の粘着テープ16,16と、を備え、絶縁フィルム14は、粘着テープ16に比べ絶縁性が高く、粘着テープ16は、絶縁フィルム14に比べ低硬度であり、一対の粘着テープ16,16は、粘着層を熱源及び放熱部材20にそれぞれ面接触させて固定する放熱構造体1及びバッテリーに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源からの放熱を高める複数の放熱部材と、当該複数の放熱部材を連結する連結部材と、を備える放熱構造体であって、
前記放熱部材は、
中空若しくは中実の形状を有する複数のクッション部材と、
前記熱源からの熱を伝えるためのシートであって、前記クッション部材の外側面を覆う熱伝導シートと、
を備え、
前記連結部材は、
前記複数の放熱部材をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、前記熱源と前記放熱部材との間に配置される絶縁フィルムと、
少なくとも一方の面に粘着層を有する粘着テープであって、前記絶縁フィルムの厚さ方向の両面をそれぞれ被覆する一対の前記粘着テープと、
を備え、
前記絶縁フィルムは、前記粘着テープに比べて絶縁性が高く、
前記粘着テープは、前記絶縁フィルムに比べて低硬度であり、
前記一対の粘着テープは、前記粘着層を前記熱源および前記放熱部材にそれぞれ面接触させて固定することを特徴とする放熱構造体。
【請求項2】
前記粘着テープは、前記絶縁フィルムに比べて高熱伝導性を有するテープであることを特徴とする請求項1に記載の放熱構造体。
【請求項3】
前記粘着テープは、その両面に前記粘着層を有するテープであり、
前記一対の粘着テープは、一方の面の前記粘着層を前記絶縁フィルムと接合させ、他方の面の前記粘着層を前記熱源および前記放熱部材にそれぞれ面接触させることを特徴とする請求項1または2に記載の放熱構造体。
【請求項4】
前記連結部材は、前記放熱部材の長手方向に沿う1枚のシートであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項5】
前記連結部材は、前記放熱部材の長手方向に沿って隙間をあけて配置される2枚以上のシートであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記長手方向に沿う中空部を備える筒状部材であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項7】
冷却部材を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱構造体を備えるバッテリー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造体およびそれを備えるバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
【0003】
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等から構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進行してきている。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
【0005】
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、熱の移動経路を高熱伝導性の材料で形成すること、およびバッテリーセルと当該高熱伝導性の材料との熱抵抗を下げることが必要になる。例えば、グラファイト製のシートを熱の移動経路に利用して、当該シートにゴム状弾性体を積層したものを筒状に形成した放熱構造体が考えられる。バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは非平滑な表面状態を含む)をとり得ることから、かかる放熱構造体をバッテリーセルと冷却部材との間、あるいはバッテリーセル同士の間に配置すると、放熱構造体はバッテリーセルの種々の形態に順応しやすく、かつ熱の移動経路も構築しやすくなる。加えて、バッテリーセルを除去したときに元の形状に近い形状に戻りやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-243999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、当該高熱伝導性の材料として、高熱伝導性かつ導電性を有する熱伝導性材料を放熱構造体に使用することが望まれている。しかし、かかる場合、当該熱伝導性材料とバッテリーセルの周辺部品との電気的短絡が生じる虞がある。また、放熱構造体とバッテリーセルとの間にフィルム状の絶縁部材を配置する方法も考えられるが、当該絶縁部材は非伸縮性の部材であることが多いため、当該熱伝導性材料への変形追従性が乏しく、当該熱伝導性材料の変形に応じて伝熱効率が低くなる虞がある。これは、バッテリーセルのみならず、DC/DCコンバータ、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる。このような要望に応えることは、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」という本出願人の持続可能な開発目標の達成にも資する。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の種々の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ周辺部品との電気的短絡を抑制することができる放熱構造体、およびそれを備えるバッテリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、熱源からの放熱を高める複数の放熱部材と、当該複数の放熱部材を連結する連結部材と、を備える放熱構造体であって、前記放熱部材は、中空若しくは中実の形状を有する複数のクッション部材と、前記熱源からの熱を伝えるためのシートであって、前記クッション部材の外側面を覆う熱伝導シートと、を備え、前記連結部材は、前記複数の放熱部材をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、前記熱源と前記放熱部材との間に配置される絶縁フィルムと、少なくとも一方の面に粘着層を有する粘着テープであって、前記絶縁フィルムの厚さ方向の両面をそれぞれ被覆する一対の前記粘着テープと、を備え、前記絶縁フィルムは、前記粘着テープに比べて絶縁性が高く、前記粘着テープは、前記絶縁フィルムに比べて低硬度であり、前記一対の粘着テープは、前記粘着層を前記熱源および前記放熱部材にそれぞれ面接触させて固定する。
(2)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記粘着テープは、前記絶縁フィルムに比べて高熱伝導性を有するテープであっても良い。
(3)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記粘着テープは、その両面に前記粘着層を有するテープであり、前記一対の粘着テープは、一方の面の前記粘着層を前記絶縁フィルムと接合させ、他方の面の前記粘着層を前記熱源および前記放熱部材にそれぞれ面接触させても良い。
(4)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記連結部材は、前記放熱部材の長手方向に沿う1枚のシートであっても良い。
(5)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記連結部材は、前記放熱部材の長手方向に沿って隙間をあけて配置される2枚以上のシートであっても良い。
(6)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記放熱部材は、前記長手方向に沿う中空部を備える筒状部材であっても良い。
(7)一実施形態に係るバッテリーは、冷却部材を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれかの放熱構造体を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱源の種々の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ周辺部品との電気的短絡を抑制することができる放熱構造体、およびそれを備えるバッテリーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図2図2は、図1におけるA-A線断面図およびその一部Bの拡大図をそれぞれ示す。
図3図3は、第2実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図4図4は、放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図を示す。
図5図5は、放熱構造体の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
1.放熱構造体
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。図2は、図1におけるA-A線断面図およびその一部Bの拡大図をそれぞれ示す。なお、この実施形態において、熱源は、図2の紙面上方に配置されるものとする。以後の実施形態においても同様である。また、図1は、放熱構造体1は、14本の放熱部材20を備えているが、放熱部材20の数は特に限定されない。以後の実施形態においても同様である。
【0014】
(1)概略構成
第1実施形態に係る放熱構造体1は、熱源からの放熱を高める複数の放熱部材20と、複数の放熱部材20を連結する連結部材10と、を備える部材である。放熱部材20は、中空若しくは中実の形状を有する複数のクッション部材22と熱源からの熱を伝えるためのシートであって、クッション部材22の外側面を覆う熱伝導シート21と、を備える。連結部材10は、複数の放熱部材20をその長手方向と直交する方向(図2の左右方向)に沿って並べた状態で、熱源と放熱部材20との間に配置される絶縁フィルム14と、少なくとも一方の面に粘着層を有する粘着テープ16であって、絶縁フィルム14の厚さ方向(図2の上下方向)の両面をそれぞれ被覆する一対の粘着テープ16,16と、を備える。絶縁フィルム14は、粘着テープ16に比べて絶縁性が高い。粘着テープ16は、絶縁フィルム14に比べて低硬度である。また、一対の粘着テープ16,16は、粘着層を熱源および放熱部材20にそれぞれ面接触させて固定する(図2の一部Bの拡大図を参照)。
【0015】
(2)熱伝導シート
熱伝導シート21は、その構成材料を問わないが、好ましくは炭素を含むシートであり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成されるシートである。例えば、熱伝導シート21に、樹脂を焼成して成るグラファイト製のフィルムを用いることもできる。ただし、熱伝導シート21は、炭素と樹脂とを含むシートであっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート21は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート21は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
【0016】
熱伝導シート21を炭素と樹脂とを備えるシートとする場合には、当該樹脂が熱伝導シート21の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート21は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート21の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート21は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、Al、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート21は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
【0017】
熱伝導シート21は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート21の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート21は、好ましくは、グラファイト製のフィルムであり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート21は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02~3mmが好ましく、0.03~0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート21の熱伝導率は、その厚さが増加するほど厚さ方向で低下するが、熱伝送量は厚い方が多くなるため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。熱伝導シート21は、好ましくは、クッション部材22の外側面を被覆する筒状体である。ただし、熱伝導シート21は、クッション部材22の外側面をスパイラル状に巻く細帯体でも良い。
【0018】
(3)クッション部材
クッション部材22の重要な機能は変形容易性と、回復力である。回復力は、弾性変形性による。変形容易性は、熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めてあるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材22の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
【0019】
クッション部材22は、好ましくは、放熱部材20の長手方向(図2の紙面奥行方向)に沿う中空部23を備える筒状部材である。クッション部材22は、熱伝導シート21に接触する熱源が平坦でない場合でも、熱伝導シート21と熱源との接触を良好にする。さらに、中空部23は、クッション部材22の変形を容易にし、加えて放熱構造体1の軽量化に寄与し、また、熱伝導シート21と熱源との接触を高める機能を有する。クッション部材22は、熱伝導シート21に加わる荷重によって熱伝導シート21が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。この実施形態では、クッション部材22は、熱伝導シート21に比べて低熱伝導性の部材である。なお、この実施形態では、中空部23は、断面円形状に形成されているが、中空部23の断面形状は円に限定されず、例えば、多角形、楕円形、半円形、頂点が丸みを帯びた略多角形等であっても良い。また、中空部23は、例えば、断面円形状が上下または左右に2つに分割された2つの断面半円形状の中空部等、複数の中空部から構成されていても良い。また、クッション部材22は、シートを完全に閉じないようにU字形状に丸めた形態、あるいはシートを、一周超に丸めた形態でも良い。なお、クッション部材22は、中空部23を備えていない中実の形状であっても良い。
【0020】
クッション部材22は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材22は、熱伝導シート21を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材22は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。クッション部材22は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAl、AlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材22は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。また、「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材22の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。例えば、クッション部材22は、バネ鋼で構成することも可能である。さらに、クッション部材22として、コイルバネを配置することも可能である。また、スパイラル状に巻いた金属をバネ鋼にしてクッション部材として熱伝導シート21の環状裏面に配置しても良い。また、クッション部材22は、樹脂やゴム等から形成されたスポンジあるいはソリッド(スポンジのような多孔質ではない構造のもの)で構成することも可能である。
【0021】
(4)連結部材
連結部材10は、この実施形態では、放熱部材20の長手方向(図1の上下方向)に沿う1枚のシートである。連結部材10は、熱源と放熱部材20との間に配置される部材である。連結部材10は、絶縁フィルム14の厚さ方向の両面が一対の粘着テープ16,16でそれぞれ被覆された部材である。言い換えれば、連結部材10は、絶縁フィルム14が一対の粘着テープ16,16でラミネートされた部材である。絶縁フィルム14は、粘着テープ16に比べて絶縁性が高いシート状部材であり、好ましくは、耐熱性を有するシート状部材である。絶縁フィルム14は、その構成材料を問わないが、例えばポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂系、ガラス繊維含浸エポキシ樹脂、アクリル系の絶縁フィルム等が好ましく、寸法安定性、絶縁性、耐熱性に優れる可塑性のポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等の絶縁フィルムがより好ましい。絶縁フィルム14の厚さは、25μm~200μmが好ましく、75μm~150μmがより好ましい。ただし、絶縁フィルム14は、フィルムの強度、可撓性および絶縁性等を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
【0022】
粘着テープ16は、絶縁フィルム14に比べて低硬度のテープであって、好ましくは、絶縁フィルム14に比べて高熱伝導性を有するテープである。また、粘着テープ16は、好ましくは、その両面に粘着層を有するテープであって、より好ましくは、熱源からの放熱による温度上昇に耐え得るテープである。より具体的には、粘着テープ16は、100℃程度の高温に耐え得るテープであって、シリコーンゴム、アクリル系樹脂からなる熱伝導性両面粘着テープで構成されることが好ましい。連結部材10を構成する一対の粘着テープ16,16は、好ましくは、一方の面の粘着層を絶縁フィルム14と接合させ、他方の面の粘着層を熱源および放熱部材20にそれぞれ面接触させて固定する。なお、一対の粘着テープ16,16は、少なくとも粘着層を熱源および放熱部材20にそれぞれ面接触させて固定可能であれば、互いに異なる材料で構成されていても良いし、互いに異なる形態であっても良い。また、粘着テープ16は、一方の面にのみ粘着層を有する片面粘着テープであっても良い。この場合、粘着テープ16は、粘着層の面を熱源または放熱部材20に面接触させ、他方の面を絶縁フィルム14に接着剤等を介して接合させても良いし、接着剤等を介さずに接合させても良い。
【0023】
粘着テープ16は、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、炭素フィラー、Al、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。粘着テープ16は、また、上述のような樹脂に代えて若しくは樹脂と共に、金属および/またはセラミックスを含むテープとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金等の熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al、AlN、cBN、hBN等の熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、粘着テープ16は、導電性に優れるか否かは問わない。粘着テープ16の熱伝導率は、好ましくは1W/mK以上である。ただし、粘着テープ16は、絶縁フィルム14と同等の熱伝導性或いは絶縁フィルム14に比べて低熱伝導性のテープであっても良い。粘着テープ16は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるテープであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、1μm~20μmが好ましく、3μm~10μmがより好ましい。ただし、粘着テープ16の熱伝導率は、その厚さが増加するほど厚さ方向で低下するが、熱伝送量は厚い方が多くなるため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
【0024】
放熱部材20間の距離L1は、放熱部材20が熱源からの押圧を受けて潰れる際に、狭くなる。放熱部材20がほとんど潰れない場合には、熱伝導シート21と熱源等との密着性が低くなる可能性がある。かかるリスクを低減するのに適切な放熱部材20の上下方向、すなわち熱源から冷却部材を備える冷却部位に向かう方向に圧縮されたときの厚みは、少なくとも、放熱部材20の管径(=円換算直径:D)の80%である。ここで、「円換算直径」とは、放熱部材20をその長手方向と垂直に切断したときの管断面の面積と同じ面積の真円の直径を意味する。放熱部材20が真円の断面をもった円筒の場合には、その直径は円換算直径と同一である。放熱部材20は、上記の圧縮を受けると、連結部材10を介して熱源と接する面および冷却部位と接する面を平面とし、放熱部材20間の距離L1の方向を略円弧断面とするように変形するとみなすことができる(図2の一部Bの拡大図を参照)。距離L1を十分に大きくすれば、放熱部材20は隣接する放熱部材20と接触しない。逆に、隙間L1が小さすぎると、放熱部材20が上下方向に圧縮されても、隣接する放熱部材20に接触して、それ以上に潰れなくなる可能性がある。距離L1を放熱部材20の円換算直径Dの11.4%以上にすれば、放熱部材20が円換算直径Dの80%の厚さに圧縮されて変形する際に、放熱部材20同士が接触して、当該変形の障害となることを防止できる。よって、放熱構造体1は、放熱部材20間の距離L1が放熱部材20の円換算直径Dの11.4%以上となるように、複数の放熱部材20が配置されることが好ましい。ただし、距離L1が小さいほど、連結部材10で連結する際に複数の放熱部材20をより安定して連結することができる。これらの点を考慮して、距離L1が設定されることがより好ましい。なお、この実施形態では、距離L1を0.114Dとしている。
【0025】
放熱構造体1は、複数の放熱部材20がその長手方向と直交する方向に沿って並べられた状態で、連結部材10の粘着層が熱源および放熱部材20にそれぞれ面接触して固定される。これにより、複数の熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート21と当該下端部との接触が良好になる。また、連結部材10は、絶縁フィルム14の厚さ方向の両面を粘着テープ16で被覆された状態で、熱源と放熱部材20との間に配置されるため、放熱部材20の変形に応じた伝熱効率の低下を抑制し、かつ周辺部品との電気的短絡を抑制することができる。高い伝熱効率を実現するためには、多数の熱源各々の温度が均一となるように、多数の熱源各々から均一に放熱させることが望ましい。そのためには、各熱源に接触する放熱部材20の数が均一となるように、複数の放熱部材20を配置することが好ましい。放熱構造体1は、放熱部材20が連結部材10により位置決めされているので、熱源からの押圧を受けて潰れた際にも放熱部材20間の距離L1のばらつきが小さくなる。よって、放熱構造体1は、多数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることができる。なお、複数の放熱部材20は、放熱部材20間の距離L1が等間隔となるよう配置されることに限定されない。放熱構造体1は、好ましくは、複数の熱源のうち温度の高い熱源の位置に放熱部材20を密集させるように、距離L1を変化させて配置する。すなわち、放熱構造体1は、温度の高い熱源に接触する放熱部材20の数がその他の熱源に接触する放熱部材20の数より多くなるように、当該温度の高い熱源に接触する放熱部材20間の距離L1を小さくすることが好ましい。このように、放熱構造体1は、熱源の形態等に応じて、複数の熱源各々における放熱性が均一となるように、容易かつ確実に熱源との位置決めを行うことができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る放熱構造体について説明する。先の実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0027】
図3は、第2実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
【0028】
第2実施形態に係る放熱構造体1aは、第1実施形態に係る放熱構造体1と類似の構造を有するが、連結部材10に代えて、連結部材10aを備える点において、第1実施形態に係る放熱構造体1と異なる。なお、放熱構造体1aは、連結部材10a以外の構成は、第1実施形態に係る放熱構造体1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0029】
連結部材10aは、好ましくは、放熱部材20の長手方向(図3の上下方向)に沿って隙間をあけて配置される2枚以上のシートである。この実施形態において、連結部材10aは、放熱部材20の長手方向(図3の上下方向)に沿って隙間をあけて配置される5つのシート部材11から構成されている。各シート部材11の構成は、第1実施形態の連結部材10と同様であるため、詳細な説明を省略する。連結部材10aは、各シート部材11の大きさが大きいほど、熱源および放熱部材20にそれぞれ面接触させてより強固に固定することができる。また、連結部材10aは、シート部材11間の隙間が小さいほど、周辺部品との電気的短絡を抑制することができる。ただし、シート部材11の大きさおよびシート部材11間の隙間は、熱源および放熱部材20の形態に応じて、適宜決定されることが好ましい。なお、シート部材11の数は、2以上であれば特に制約されない。また、複数のシート部材11は、互いに異なる形状および/または大きさであっても良い。また、複数のシート部材11は、シート部材11間の隙間が等間隔となるよう配置されることに限定されない。このように構成された放熱構造体1aもまた、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0030】
2.放熱構造体の製造方法
次に、第1実施形態に係る放熱構造体1の好適な製造方法の一例を説明する。
【0031】
まず、放熱構造体1を構成している放熱部材20の好適な製造方法の一例を説明する。まず、中空部23を有するクッション部材22を成形する。次に、クッション部材22の外側面に接着剤を塗布する。最後に、1枚のシート状の熱伝導シート21をクッション部材22の外側面を覆うように巻く。クッション部材22と熱伝導シート21との間に接着剤を介在させないで固定することも可能である。その場合には、完全硬化する前の状態のクッション部材22を用意して、その外側面を覆うように熱伝導シート21を巻く。その後、クッション部材22を加温して完全硬化させて、クッション部材22の外側面に熱伝導シート21を固定する。
【0032】
放熱構造体1は、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を、放熱部材20の長手方向と直交する方向(図1の左右方向)に並べた状態で、連結部材10の一方の粘着テープ16の粘着層が複数の放熱部材20にそれぞれ面接触するように連結部材10と接合させることにより製造される。
【0033】
第2実施形態に係る放熱構造体1aは、放熱構造体1と同様に、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を、放熱部材20の長手方向と直交する方向(図3の左右方向)に並べた状態で、シート部材11の一方の粘着テープ16の粘着層が複数の放熱部材20にそれぞれ面接触するように複数のシート部材11(連結部材10a)と接合させることにより製造される。この場合、複数のシート部材11は、放熱部材20の長手方向(図3の上下方向)に沿って隙間をあけて配置されることが好ましい。
【0034】
3.バッテリー
次に、本実施形態に係るバッテリーについて説明する。
【0035】
図4は、放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図を示す。ここで、「縦断面図」は、バッテリーの筐体内部の上方開口面から底部へと垂直に切断する図を意味する。
【0036】
この実施形態において、バッテリー40は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル50を備える。バッテリー40は、一方に開口する有底型の筐体41を備える。筐体41は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル50は、筐体41の内部44に配置される。バッテリーセル50の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル50は、好ましくは、筐体41内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体41の底部42には、冷却部材45の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ43が備えられている。バッテリーセル50は、底部42との間に、放熱構造体1を挟むようにして筐体41内に配置される。
【0037】
バッテリー40は、冷却部材45を流す構造を持つ筐体41内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル50を備える。放熱構造体1は、バッテリーセル50と冷却部材45との間に介在する。連結部材10は、一対の粘着テープ16,16が粘着層をバッテリーセル50および放熱部材20にそれぞれ面接触させて固定する。このような構造のバッテリー40では、バッテリーセル50は、放熱構造体1を通じて筐体41に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却部材45は、「冷却媒体」あるいは「冷却剤」と読み替えても良い。冷却部材45は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材45は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。
【0038】
バッテリーセル50を筐体41内にセットした状態では(図4を参照)、放熱構造体1は、バッテリーセル50と、水冷パイプ43を備える底部42との間において、放熱構造体1の厚さ方向に圧縮される。この結果、バッテリーセル50からの熱は、連結部材10、熱伝導シート21、底部42、水冷パイプ43、冷却部材45へと伝わりやすくなる。
また、連結部材10は、絶縁フィルム14の厚さ方向の両面を粘着テープ16で被覆された状態で、熱源および放熱部材20と面接触するよう配置されるため、放熱部材20の変形に追従しやすく、当該変形に応じた伝熱効率の低下を抑制することができる。また、放熱構造体1は、連結部材10が絶縁フィルム14を備えるため、熱伝導シート21が導電性を有する場合であっても周辺部品との電気的短絡を抑制することができる。なお、バッテリー40は、放熱構造体1に代えて、先述の放熱構造体1aを備えていても良い。
【0039】
4.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0040】
図5は、放熱構造体の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図をそれぞれ示す。
【0041】
先述の各実施形態では、バッテリーセル50を縦にしてその下端に放熱構造体1,1aを接触せしめている状況について説明したが、バッテリーセル50の配置形態は、これに限定されない。図5に示すように、バッテリーセル50の側面を放熱構造体1,1aの各放熱部材20に接触させるように、バッテリーセル50を配置しても良い。バッテリーセル50は、充電および放電の際に温度上昇する。バッテリーセル50の容器自体が柔軟性に富む材料にて形成されていると、バッテリーセル50の特に側面が膨らむ可能性がある。そのような場合でも、図5に示すように、放熱構造体1,1aの構成している各放熱部材20がバッテリーセル50の外面の形状に合わせて変形できるので、充放電時にも放熱性を高く維持できる。
【0042】
また、連結部材10,10aは、その形態に特に制約はなく、少なくとも複数の放熱部材20をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、粘着層を熱源および放熱部材20にそれぞれ面接触させて固定可能な形態であれば、例えば、平面視において、多角形、楕円形、円形、頂点が丸みを帯びた略多角形等の形状であっても良い。
【0043】
また、放熱部材20は、クッション部材22に中空部23が形成されていなくても良い。その場合、放熱部材20は、熱伝導シート21の中空部内にクッション部材22を充填した構成を有する。中空部は、熱伝導シート21およびクッション部材22のうち、少なくとも熱伝導シート21の巻回構造によって形成されていれば、クッション部材22に形成されていなくとも良い。
【0044】
また、熱源は、バッテリーセル50のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、DC/DCコンバータ、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却媒体45は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、放熱構造体1,1aは、バッテリー40以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
【0045】
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、放熱構造体1aは、バッテリー40に備えられていても良い。
【符号の説明】
【0046】
1,1a・・・放熱構造体、10,10a・・・連結部材、14・・・絶縁フィルム、16・・・粘着テープ、20・・・放熱部材、21・・・熱伝導シート、22・・・クッション部材、23・・・中空部、40・・・バッテリー、41・・・筐体、45・・・冷却部材、50・・・バッテリーセル(熱源の一例)。

図1
図2
図3
図4
図5