(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122131
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】運動器疾患予測装置、方法およびプログラム、学習装置、方法およびプログラム並びに学習済みニューラルネットワーク
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220815BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220815BHJP
G06N 3/02 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61B6/00 333
A61B6/00 360Z
G06T7/00 350C
G06N3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019232
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 隆浩
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA37
4C093FF16
4C093FF23
4C093FF25
4C093FF28
4C093FF34
4C093FF37
4C093FG04
4C093FH06
4C093FH07
4C093FH09
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA01
5L096FA02
5L096GA30
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】運動器疾患予測装置、方法およびプログラム、学習装置、方法およびプログラム並びに予測モデルにおいて、運動器の疾患を高精度で予測できるようにする。
【解決手段】少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、エネルギー分布が異なる放射線により骨部および軟部を含む被写体を撮影することにより取得された第1の放射線画像および第2の放射線画像から、被写体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出する。プロセッサは、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報から、対象骨に関する運動器疾患が発生する確率を導出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
エネルギー分布が異なる放射線により骨部および軟部を含む被写体を撮影することにより取得された第1の放射線画像および第2の放射線画像から、前記被写体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出し、
前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状情報から、前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を導出する運動器疾患予測装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、人体に含まれる骨のうちの前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに前記対象骨に関する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを、教師データとして用いて機械学習された学習済みニューラルネットワークとして機能する請求項1に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記導出された運動器疾患の発生確率をディスプレイに表示する請求項1または2に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、骨塩量および筋肉量の少なくとも一方と運動器疾患の発生確率との関係を表すグラフを表示し、
前記グラフ上において、前記導出された運動器疾患の発生確率を表すプロットと、発生確率または骨塩量および筋肉量の少なくとも一方を変化させたプロットとをさらに表示する請求項3に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項5】
前記変化させた値は、前記骨塩量および前記筋肉量の少なくとも一方の目標値または前記運動器疾患の発生確率の目標値である請求項4に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記骨塩量および前記筋肉量の少なくとも一方を前記目標値に到達させるための医療介入の選択肢、または前記運動器疾患を前記目標値に到達させるための医療介入の選択肢をさらに表示する請求項5に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項7】
前記医療介入は前記対象骨に関連する筋肉を鍛えるための運動方法である請求項6に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項8】
前記対象骨が大腿骨である請求項1から7のいずれか1項に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項9】
前記対象骨が椎骨である請求項1から7のいずれか1項に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項10】
前記運動器疾患が、骨折および脱臼の少なくとも一方である請求項1から9のいずれか1項に記載の運動器疾患予測装置。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを教師データとして用いてニューラルネットワークを機械学習することにより、前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、前記運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワークを構築する学習装置。
【請求項12】
エネルギー分布が異なる放射線により骨部および軟部を含む被写体を撮影することにより取得された第1の放射線画像および第2の放射線画像から、前記被写体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出し、
前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状情報から、前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を導出する運動器疾患予測方法。
【請求項13】
人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを教師データとして用いてニューラルネットワークを機械学習することにより、前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、前記運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワークを構築する学習方法。
【請求項14】
エネルギー分布が異なる放射線により骨部および軟部を含む被写体を撮影することにより取得された第1の放射線画像および第2の放射線画像から、前記被写体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出する手順と、
前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状情報から、前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を導出する手順とをコンピュータに実行させる運動器疾患予測プログラム。
【請求項15】
人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを教師データとして用いてニューラルネットワークを機械学習することにより、前記対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、前記運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワークを構築する手順をコンピュータに実行させる学習プログラム。
【請求項16】
人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、前記対象骨の周囲の筋肉量、前記対象骨の形状を表す形状情報、および前記対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報が入力されると、前記対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動器疾患予測装置、方法およびプログラム、学習装置、方法およびプログラム並びに学習済みニューラルネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
骨、関節および筋肉等の運動器に関する骨折および脱臼等の疾患は、患者が寝たきりとなる状態を引き起こす。とくに、股関節の脱臼、並びに大腿骨および椎骨の骨折は、患者が寝たきりとなる可能性が高い。寝たきりになった場合の5年生存率は、がんの5年生存率よりも低いことが知られている。このため、運動器の疾患、とくに骨折リスクを評価するための各種手法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1においては、放射線画像から骨量と骨構造とを取得し、ニューラルネットワークを用いて将来の骨折リスクを算出する手法が提案されている。また、特許文献2においては、ニューラルネットワークを用いて放射線画像から骨密度を推定し、推定結果と骨折確率を示す演算式とを用いて、骨折予測を行う手法が提案されている。また、特許文献3においては、放射線画像の画素毎に骨塩量および筋肉量を算出し、骨塩量および筋肉量に基づいて被写体に関する統計値を算出し、統計値に基づいて骨折リスクを評価する手法が提案されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平09-508813号公報
【特許文献2】再公表2020-054738号公報
【特許文献3】国際公開第2020/166561号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、さらに高精度で運動器の疾患を予測することが望まれている。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、運動器の疾患を高精度で予測できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による運動器疾患予測装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、エネルギー分布が異なる放射線により骨部および軟部を含む被写体を撮影することにより取得された第1の放射線画像および第2の放射線画像から、被写体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出し、
対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報から、対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を導出する。
【0008】
なお、本開示による運動器疾患予測装置においては、プロセッサは、人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを、教師データとして用いて機械学習された学習済みニューラルネットワークとして機能するものであってもよい。
【0009】
なお、本開示による運動器疾患予測装置においては、プロセッサは、導出された運動器疾患の発生確率をディスプレイに表示するものであってもよい。
【0010】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、プロセッサは、骨塩量および筋肉量の少なくとも一方と運動器疾患の発生確率との関係を表すグラフを表示し、
グラフ上において、導出された運動器疾患の発生確率を表すプロットと、発生確率または骨塩量および筋肉量の少なくとも一方を変化させたプロットとをさらに表示するものであってもよい。
【0011】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、変化させた値は、骨塩量および筋肉量の少なくとも一方の目標値または運動器疾患の発生確率の目標値であってもよい。
【0012】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、プロセッサは、骨塩量および筋肉量の少なくとも一方を目標値に到達させるための医療介入の選択肢、または運動器疾患を目標値に到達させるための医療介入の選択肢をさらに表示するものであってもよい。
【0013】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、医療介入は対象骨に関連する筋肉を鍛えるための運動方法であってもよい。
【0014】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、対象骨が大腿骨であってもよい。
【0015】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、対象骨が椎骨であってもよい。
【0016】
また、本開示による運動器疾患予測装置においては、運動器疾患が、骨折および脱臼の少なくとも一方であってもよい。
【0017】
本開示による学習装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを教師データとして用いてニューラルネットワークを機械学習することにより、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワークを構築する。
【0018】
本開示による運動器疾患予測方法は、エネルギー分布が異なる放射線により骨部および軟部を含む被写体を撮影することにより取得された第1の放射線画像および第2の放射線画像から、被写体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出し、
対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報から、対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を導出する。
【0019】
本開示による学習方法は、人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを教師データとして用いてニューラルネットワークを機械学習することにより、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワークを構築する。
【0020】
なお、本開示による運動器疾患予測方法および学習方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【0021】
本開示による学習済みニューラルネットワークは、人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報が入力されると、対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を出力する。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、運動器の疾患を高精度で予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置を適用した放射線画像撮影システムの構成を示す概略ブロック図
【
図2】本開示の実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置の概略構成を示す図
【
図3】本開示の実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置の機能的な構成を示す図
【
図8】大腿骨の関節部分を含む領域および骨盤の関節部分を含む領域の設定を説明するための図
【
図9】対象骨の形状情報および対象骨に隣接する骨の形状情報を示す図
【
図10】被写体の体厚に対する骨部と軟部とのコントラストの関係を示す図
【
図12】筋肉組織を透過後の放射線と脂肪組織を透過後の放射線とのエネルギースペクトルの一例を示す図
【
図13】筋肉画像における大腿骨周辺の領域の設定を説明するための図
【
図14】本実施形態において用いられるニューラルネットワークの概略構成を示す図
【
図16】ニューラルネットワークの学習を説明するための図
【
図19】本実施形態において行われる学習処理のフローチャート
【
図20】本実施形態において行われる運動器疾患予測処理のフローチャート
【
図21】本開示の他の実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置を適用した放射線画像撮影システムの構成を示す概略ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
図1は本開示の実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置を適用した放射線画像撮影システムの構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態による放射線画像撮影システムは、撮影装置1と、本実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置(以下、運動器疾患予測装置で代表させる場合があるものとする)10とを備える。
【0025】
撮影装置1は、第1の放射線検出器5および第2の放射線検出器6に、放射線源3から発せられ、被写体Hを透過したX線等の放射線を、それぞれエネルギーを変えて照射するいわゆる1ショット法によるエネルギーサブトラクションを行うための撮影装置である。撮影時においては、
図1に示すように、放射線源3に近い側から順に、第1の放射線検出器5、銅板等からなる放射線エネルギー変換フィルタ7、および第2の放射線検出器6を配置して、放射線源3を駆動させる。なお、第1および第2の放射線検出器5,6と放射線エネルギー変換フィルタ7とは密着されている。
【0026】
これにより、第1の放射線検出器5においては、いわゆる軟線も含む低エネルギーの放射線による被写体Hの第1の放射線画像G1が取得される。また、第2の放射線検出器6においては、軟線が除かれた高エネルギーの放射線による被写体Hの第2の放射線画像G2が取得される。第1および第2の放射線画像は、運動器疾患予測装置10に入力される。第1の放射線画像G1および第2の放射線画像のいずれも、被写体Hの股間周辺を含む正面像である。
【0027】
第1および第2の放射線検出器5,6は、放射線画像の記録および読み出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する、いわゆる直接型の放射線検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷信号に変換する、いわゆる間接型の放射線検出器を用いるようにしてもよい。また、放射線画像信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチをオン・オフさせることによって放射線画像信号が読み出される、いわゆるTFT読出方式のもの、または読取り光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0028】
なお、運動器疾患予測装置10は、不図示のネットワークを介して画像保存システム9と接続されている。
【0029】
画像保存システム9は、撮影装置1により撮影された放射線画像の画像データを保存するシステムである。画像保存システム9は、保存している放射線画像から、運動器疾患予測装置10からの要求に応じた画像を取り出して、要求元の装置に送信する。画像保存システム9の具体例としては、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)が挙げられる。
【0030】
次いで、本実施形態に係る運動器疾患予測装置について説明する。まず、
図2を参照して、本実施形態に係る運動器疾患予測装置のハードウェア構成を説明する。
図2に示すように、運動器疾患予測装置10は、ワークステーション、サーバコンピュータおよびパーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)11、不揮発性のストレージ13、および一時記憶領域としてのメモリ16を備える。また、運動器疾患予測装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ14、キーボードおよびマウス等の入力デバイス15、並びに不図示のネットワークに接続されるネットワークI/F(InterFace)17を備える。CPU11、ストレージ13、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16およびネットワークI/F17は、バス18に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0031】
ストレージ13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、およびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ13には、運動器疾患予測装置10にインストールされた運動器疾患予測プログラム12Aおよび学習プログラム12Bが記憶される。CPU11は、ストレージ13から運動器疾患予測プログラム12Aおよび学習プログラム12Bを読み出してメモリ16に展開し、展開した運動器疾患予測プログラム12Aおよび学習プログラム12Bを実行する。
【0032】
なお、運動器疾患予測プログラム12Aおよび学習プログラム12Bは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、あるいはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて運動器疾患予測装置10を構成するコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。または、DVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体から運動器疾患予測装置10を構成するコンピュータにインストールされる。
【0033】
次いで、本実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置の機能的な構成を説明する。
図3は、本実施形態による運動器疾患予測装置および学習装置の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように、運動器疾患予測装置10は、画像取得部21、情報取得部22、情報導出部23、確率導出部24、学習部25および表示制御部26を備える。そして、CPU11は、運動器疾患予測プログラム12Aを実行することにより、画像取得部21、情報取得部22、情報導出部23、確率導出部24、および表示制御部26として機能し、さらには後述する学習済みニューラルネットワーク24Aとして機能する。また、CPU11は、学習プログラム12Bを実行することにより、学習部25として機能する。
【0034】
画像取得部21は、撮影装置1に被写体Hの撮影を行わせることにより、第1および第2の放射線検出器5,6から、被写体Hの股間付近の正面像である第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2を取得する。第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2の取得に際しては、撮影線量、菅電圧、放射線源3と第1および第2の放射線検出器5,6の表面との距離であるSID(Source Image receptor Distance)、放射線源3と被写体Hの表面との距離であるSOD(Source Object Distance)、並びに散乱線除去グリッドの有無などの撮影条件が設定される。
【0035】
SODおよびSIDについては、後述するように体厚分布の算出に用いられる。SODについては、例えば、TOF(Time Of Flight)カメラで取得することが好ましい。SIDについては、例えば、ポテンショメーター、超音波距離計およびレーザー距離計等で取得することが好ましい。
【0036】
撮影条件は、操作者による入力デバイス15からの入力により設定すればよい。設定された撮影条件は、ストレージ13に保存される。なお、本実施形態においては、運動器疾患予測プログラム12Aとは別個のプログラムにより第1および第2の放射線画像G1,G2を取得してストレージ13に保存するようにしてもよい。この場合、画像取得部21は、ストレージ13に保存された第1および第2の放射線画像G1,G2を処理のためにストレージ13から読み出すことにより取得する。
【0037】
情報取得部22は、画像保存システム9からネットワークI/F17を介して、後述するニューラルネットワークを学習するための教師データを取得する。
【0038】
情報導出部23は、被写体Hに含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報を導出する。本実施形態においては、対象骨を大腿骨とする。
【0039】
図4は情報導出部23の構成を示す概略ブロック図である。
図4に示すように,情報導出部23は、散乱線除去部31、画像導出部32、セグメンテーション部33、骨塩量導出部34および筋肉量導出部35を備える。CPU11は、運動器疾患予測プログラム12Aを実行することにより、散乱線除去部31、画像導出部32、セグメンテーション部33、骨塩量導出部34および筋肉量導出部35として機能する。
【0040】
ここで、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2の各々には、被写体Hを透過した放射線の一次線成分以外に、被写体H内において散乱された放射選に基づく散乱線成分が含まれる。このため、散乱線除去部31は、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2から散乱線成分を除去する。例えば、散乱線除去部31は、特開2015-043959号公報に記載された方法を適用して、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2から散乱線成分を除去してもよい。特開2015-043959号公報に記載された手法等を用いる場合、被写体Hの体厚分布の導出および散乱線成分を除去するための散乱線成分の導出が同時に行われる。
【0041】
以下、第1の放射線画像G1からの散乱線成分の除去について説明するが、第2の放射線画像G2からの散乱線成分の除去も同様に行うことができる。まず、散乱線除去部31は、初期体厚分布T0(x,y)を有する被写体Hの仮想モデルKを取得する。仮想モデルKは、初期体厚分布T0(x,y)に従った体厚が、第1の放射線画像G1の各画素の座標位置に対応付けられた、被写体Hを仮想的に表すデータである。なお、初期体厚分布T0(x,y)を有する被写体Hの仮想モデルKは、ストレージ13に予め記憶されていてもよい。また、撮影条件に含まれるSIDとSODに基づいて、被写体Hの体厚分布T(x、y)を算出してもよい。この場合、体厚分布は、SIDからSODを減算することにより求めることができる。
【0042】
次に、散乱線除去部31は、仮想モデルKに基づいて、仮想モデルKの撮影により得られる一次線画像を推定した推定一次線画像と、仮想モデルKの撮影により得られる散乱線画像を推定した推定散乱線画像とを合成した画像を、被写体Hの撮影により得られた第1の放射線画像G1を推定した推定画像として生成する。
【0043】
次に、散乱線除去部31は、推定画像と第1の放射線画像G1との違いが小さくなるように仮想モデルKの初期体厚分布T0(x,y)を修正する。散乱線除去部31は、推定画像と第1の放射線画像G1との違いが予め定められた終了条件を満たすまで推定画像の生成および体厚分布の修正を繰り返し行う。散乱線除去部31は、終了条件を満たした際の体厚分布を、被写体Hの体厚分布T(x,y)として導出する。また、散乱線除去部31は、終了条件を満たした際の散乱線成分を第1の放射線画像G1から減算することにより、第1の放射線画像G1に含まれる散乱線成分を除去する。
【0044】
画像導出部32は、エネルギーサブトラクション処理を行うことにより、第1および第2の放射線画像G1,G2から、被写体Hの骨部が抽出された骨部画像Gbおよび軟部が抽出された軟部画像Gsを導出する。なお、以降の処理における第1および第2の放射線画像G1,G2は散乱線成分が除去されたものである。骨部画像Gbを導出する場合には、画像導出部32は、第1および第2の放射線画像G1,G2に対して、下記の式(1)に示すように、それぞれ対応する画素間での重み付け減算を行うことにより、
図5に示すように、各放射線画像G1,G2に含まれる被写体Hの骨部が抽出された骨部画像Gbを生成する。式(1)において、β1は重み付け係数である。なお、骨部画像Gbにおける骨部領域内の各画素の画素値が骨部画素値となる。
Gb(x、y)=G1(x、y)-β1×G2(x、y) (1)
【0045】
一方、軟部画像Gsを導出する場合には、画像導出部32は、第1および第2の放射線画像G1,G2に対して、下記の式(2)に示すように、それぞれ対応する画素間での演算、例えば、重み付け減算を行うことにより、
図6に示すように、各放射線画像G1,G2に含まれる被写体Hの軟部のみが抽出された軟部画像Gsを生成する(エネルギーサブトラクション)。式(2)において、β2は重み付け係数である。
Gs(x、y)=G1(x、y)-β2×G2(x、y) (2)
【0046】
なお、軟部画像Gsは、被写体Hの軟部組織による軟部領域を表すものである。本実施形態において被写体Hの「軟部組織」とは、骨部組織以外のことをいい、具体的には、筋肉組織、脂肪組織、血液、および水分を含む。
【0047】
セグメンテーション部33は、骨部画像Gbを対象骨である大腿骨の領域、骨盤の領域および椎骨の領域にセグメンテーションする。セグメンテーションは、骨部画像Gbから大腿骨、骨盤および椎骨をそれぞれ抽出するように機械学習がなされた抽出モデルを用いることにより行うようにすればよい。また、大腿骨、骨盤および椎骨のそれぞれを表すテンプレートをストレージ13に記憶しておき、これらのテンプレートと骨部画像Gbとのテンプレートマッチングを行うことにより、セグメンテーションを行うようにしてもよい。
【0048】
図7はセグメンテーション部33によるセグメンテーションの結果を示す図である。
図7に示すように、骨部画像Gbにおける骨部領域が、大腿骨の領域A1、骨盤の領域A2および椎骨の領域A3にセグメンテーションされている。なお、
図7においては、大腿骨の領域A1、骨盤の領域A2および椎骨の領域A3にそれぞれ異なるハッチングを付与することにより、セグメンテーション結果を示している。
【0049】
一方、椎骨に関して、骨部画像Gbには仙椎および腰椎のみが含まれる。腰椎は骨盤側から首に向けて解剖学的にL5,L4,L3,L2,L1と分類されている。このため、セグメンテーション部33は、仙椎および5つの腰椎をそれぞれ異なる領域にセグメンテーションすることが好ましい。
【0050】
また、セグメンテーション部33は、
図8に示すように、大腿骨の関節部分を含む領域R1および骨盤の関節部分を含む領域R2を骨部画像Gbに設定する。なお、
図8においては、被写体Hの左側においてのみ領域R1,R2を設定しているが、右側においても同様に設定する。そして、領域R1内における大腿骨の領域A1とそれ以外の領域とを二値化することにより、
図9に示すように対象骨である大腿骨の形状を表す形状情報S1を導出する。また、領域R2内における骨盤の領域A2とそれ以外の領域とを二値化することにより、
図9に示すように対象骨に隣接する骨部である骨盤の形状を表す形状情報S2を導出する。
【0051】
骨塩量導出部34は、骨部画像Gbの画素毎に骨塩量を導出する。本実施形態において、骨塩量導出部34は、骨部画像Gbの各画素値を、基準撮影条件により取得した場合の骨画像の画素値に変換することにより骨塩量Bを導出する。より具体的には、骨塩量導出部34は、後述するルックアップテーブルから取得される補正係数を用いて、骨部画像Gbの各画素値を補正することにより骨塩量を導出する。
【0052】
ここで、放射線源3における管電圧が高く、放射線源3から放射される放射線が高エネルギーであるほど、放射線画像における軟部と骨部とのコントラストが小さくなる。また、放射線が被写体Hを透過する過程において、放射線の低エネルギー成分が被写体Hに吸収され、放射線が高エネルギー化するビームハードニングが生じる。ビームハードニングによる放射線の高エネルギー化は、被写体Hの体厚が大きいほど大きくなる。
【0053】
図10は被写体Hの体厚に対する骨部と軟部とのコントラストの関係を示す図である。なお、
図10においては、80kV、90kVおよび100kVの3つの管電圧における、被写体Hの体厚に対する骨部と軟部とのコントラストの関係を示している。
図10に示すように、管電圧が高いほどコントラストは低くなる。また、被写体Hの体厚がある値を超えると、体厚が大きいほどコントラストは低くなる。なお、骨部画像Gbにおける骨部領域の画素値が大きいほど、骨部と軟部とのコントラストは大きくなる。このため、
図10に示す関係は、骨部画像Gbにおける骨部領域の画素値が大きいほど、高コントラスト側にシフトすることとなる。
【0054】
本実施形態において、骨部画像Gbにおける、撮影時の管電圧に応じたコントラストの相違、およびビームハードニングの影響によるコントラストの低下を補正するための補正係数を取得するためのルックアップテーブルが、ストレージ13に記憶されている。補正係数は、骨部画像Gbの各画素値を補正するための係数である。
【0055】
図11は、ストレージ13に記憶されるルックアップテーブルの一例を示す図である。
図11において、基準撮影条件を、管電圧90kVに設定したルックアップテーブルLUT1が例示されている。
図11に示すようにルックアップテーブルLUT1において、管電圧が大きいほど、かつ被写体Hの体厚が大きいほど、大きい補正係数が設定されている。
図11に示す例において、基準撮影条件が管電圧90kVであるため、管電圧が90kVで体厚が0の場合に、補正係数が1となっている。なお、
図11において、ルックアップテーブルLUT1を2次元で示しているが、補正係数は骨部領域の画素値に応じて異なる。このため、ルックアップテーブルLUT1は、実際には骨部領域の画素値を表す軸が加わった3次元のテーブルとなる。
【0056】
骨塩量導出部34は、被写体Hの体厚分布T(x,y)およびストレージ13に記憶された管電圧の設定値を含む撮影条件に応じた画素毎の補正係数C0(x,y)を、ルックアップテーブルLUT1から抽出する。そして、骨塩量導出部34は、下記(3)式に示すように、骨部画像Gbにおける骨部領域の各画素(x,y)に対して、補正係数C0(x,y)を乗算することにより、骨部画像Gbの画素毎の骨塩量B(x,y)(g/cm2)を導出する。このようにして導出された骨塩量B(x,y)は、基準撮影条件である90kVの管電圧により被写体Hを撮影することにより取得され、かつビームハードニングの影響が除去された放射線画像に含まれる骨部領域の画素値を表すものとなる。
B(x,y)=C0(x,y)×Gb(x,y) (3)
【0057】
なお、本実施形態においては、対象骨は大腿骨である。このため、骨塩量導出部34は、骨部画像Gbにおける大腿骨の領域A1についてのみ、骨塩量を導出するようにしてもよい。
【0058】
筋肉量導出部35は、軟部画像Gsにおける軟部領域の画素毎に、画素値に基づいて筋肉量を導出する。上述したように、軟部組織は、筋肉組織、脂肪組織、血液、および水分を含む。本実施形態の筋肉量導出部35では、軟部組織における脂肪組織以外の組織を、筋肉組織とみなす。すなわち、本実施形態の筋肉量導出部35では、筋肉組織に、血液および水分も含めた非脂肪組織を筋肉組織として扱うものとする。
【0059】
筋肉量導出部35は、軟部画像Gsから、筋肉組織および脂肪組織のエネルギー特性の差を利用して、筋肉と脂肪とを分離する。
図12に示すように、人体である被写体Hに入射前の放射線に比べて、被写体Hを透過後の放射線の線量は低くなる。また、筋肉組織と脂肪組織とは吸収するエネルギーが異なり、減弱係数が異なるため、被写体Hを透過後の放射線のうち、筋肉組織を透過後の放射線と、脂肪組織を透過後の放射線とではエネルギースペクトルが異なる。
図12に示すように、被写体Hを透過して、第1の放射線検出器5および第2の放射線検出器6の各々に照射される放射線のエネルギースペクトルは、被写体Hの体組成、具体的には、筋肉組織と脂肪組織との割合に依存する。筋肉組織よりも脂肪組織の方が放射線を透過しやすいため、脂肪組織に比べて筋肉組織の割合が多い方が、人体を透過後の放射線の線量が少なくなる。
【0060】
このため、筋肉量導出部35は、軟部画像Gsから、上述した筋肉組織および脂肪組織のエネルギー特性の差を利用して、筋肉と脂肪とを分離する。すなわち、筋肉量導出部35は、軟部画像Gsから筋肉画像と脂肪画像とを生成する。また、筋肉量導出部35は、筋肉画像の画素値に基づいて各画素の筋肉量を導出する。
【0061】
なお、筋肉量導出部35が、軟部画像Gsから筋肉と脂肪とを分離する具体的な方法は限定されないが、一例として、本実施形態の筋肉量導出部35は、下記の式(4)および式(5)式により、軟部画像Gsから筋肉画像を生成する。具体的には、まず、筋肉量導出部35は、式(4)により、軟部画像Gs内の各画素位置(x,y)における筋肉率rm(x,y)を導出する。なお、式(4)におけるμmは筋肉組織の減弱係数に応じた重み付け係数であり、μfは脂肪組織の減弱係数に応じた重み付け係数である。また、Δ(x,y)は、濃度差分布を表す。濃度差分布とは、放射線が被写体Hを透過することなく第1の放射線検出器5および第2の放射線検出器6に到達することにより得られる濃度から見た濃度変化の画像上の分布である。濃度変化の画像上の分布は、軟部画像Gsにおける放射線が直接、第1の放射線検出器5および第2の放射線検出器6に照射することにより得られる素抜け領域における濃度から被写体Hの領域における各画素の濃度を減算することにより算出される。
rm(x,y)={μf-Δ(x,y)/T(x,y)}/(μf-μm) (4)
【0062】
さらに、筋肉量導出部35は、下記式(5)により、軟部画像Gsから筋肉画像Gmを生成する。なお、式(5)における、x、yは筋肉画像Gmの各画素の座標である。
Gm(x,y)=rm(x,y)×Gs(x,y) (5)
【0063】
そして、筋肉量導出部35は、下記(6)式に示すように、筋肉画像Gmの各画素(x,y)に対して、予め定められた画素値と筋肉量との関係を表す係数C1(x,y)を乗算することにより、筋肉画像Gmの画素毎の筋肉量M(x,y)(g/cm2)を導出する。
M(x,y)=C1(x,y)×Gm(x,y) (6)
【0064】
なお、本実施形態においては、対象骨は大腿骨であるため、
図13に示すように、筋肉画像Gmにおける大腿骨周辺の領域R3においてのみ筋肉量Mを導出してもよい。
【0065】
また、筋肉量の導出は上記手法に限定されるものではなく、例えば、特許文献3に記載されているように、体厚分布および軟部画像Gsの画素値に基づいて、筋肉量を求めるようにしてもよい。
【0066】
確率導出部24は、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報から、対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を導出する。このために、確率導出部24は、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を出力する学習済みニューラルネットワーク24Aを用いて、対象骨に関する運動器疾患が発生する確率を導出する。
【0067】
学習部25は、人体に含まれる骨のうちの対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状を表す形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状を表す形状情報、並びに対象骨に関連する運動器疾患が発生する確率を表す正解データを教師データとして用いてニューラルネットワークを機械学習することにより、学習済みニューラルネットワーク24Aを構築する。
【0068】
ニューラルネットワークとしては、単純パーセプトロン、多層パーセプトロン、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、ディープビリーフネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、および確率的ニューラルネットワーク等が挙げられる。本実施形態においては、ニューラルネットワークとして畳み込みニューラルネットワークを用いるものとする。
【0069】
図14は、本実施形態において用いられるニューラルネットワークを示す図である。
図14に示すように、ニューラルネットワーク60は、入力層61、中間層62および出力層63を備える。中間層62は、例えば、複数の畳み込み層65、複数のプーリング層66および全結合層67を備える。ニューラルネットワーク60では、出力層63の前段に全結合層67が存在している。そして、ニューラルネットワーク60では、入力層61と全結合層67との間において、畳み込み層65とプーリング層66とが交互に配置されている。
【0070】
なお、ニューラルネットワーク60の構成は
図14の例に限定されるものではない。例えば、ニューラルネットワーク60は、入力層61と全結合層67との間に、1つの畳み込み層65と1つのプーリング層66とを備えるものであってもよい。
【0071】
図15はニューラルネットワークの学習に使用する教師データの例を示す図である。
図15に示すように、教師データ40は、学習用データ41と正解データ42とからなる。学習用データ41は、対象骨の骨塩量(骨塩量)43、対象骨の周囲の筋肉量(筋肉量)44、対象骨の形状情報45、および対象骨に隣接する骨の形状情報46からなる。正解データ42は、運動器疾患として、骨折の発生確率47および脱臼(股関節脱臼)の発生確率48からなる。
【0072】
教師データは、複数の患者に関して、患者の骨塩量、筋肉量、対象骨の形状情報および対象骨に隣接する骨の形状情報について、骨折および脱臼が発生した場合の統計を記録しておくことにより導出され、画像保存システム9に保存される。教師データ40における正解データ42である骨折および脱臼が発生する確率は、骨塩量、筋肉量、対象骨の形状情報および対象骨に隣接する骨の形状情報が類似する複数の患者について、予め定められた年数(例えば1年、2年または5年等)経過後に骨折および脱臼は発生した症例数を求め、求めた症例数を患者数で除算することにより算出することができる。
【0073】
学習部25は、多数の教師データ40を用いてニューラルネットワークを学習する。
図16は、ニューラルネットワーク60の学習を説明するための図である。ニューラルネットワーク60の学習を行うに際し、学習部25は、ニューラルネットワーク60の入力層61に学習用データ41を入力する。そして、学習部25は、ニューラルネットワーク60の出力層62から、運動器疾患すなわち骨折および脱臼の発生確率を出力データ70として出力させる。そして、学習部25は、出力データ70と正解データ42に含まれる発生確率との相違を損失L0として導出する。
【0074】
学習部25は、損失L0に基づいてニューラルネットワーク60を学習する。具体的には、学習部25は、損失L0を小さくするように、畳み込み層65におけるカーネルの係数、各層間の結合の重み、および全結合層67における結合の重み等(以下パラメータ71とする)を調整する。パラメータ71の調整方法としては、例えば、誤差逆伝播法を用いることができる。学習部25は、損失L0が予め定められたしきい値以下となるまでパラメータ71の調整を繰り返す。これによって、骨塩量、筋肉量、対象骨の形状情報および対象骨に隣接する骨の形状情報が入力された場合に、骨折および脱臼を発生するより正確な確率を出力するようにパラメータ71が調整されて、学習済みニューラルネットワーク24Aが構築される。構築された学習済みニューラルネットワーク24Aはストレージ13に記憶される。
【0075】
このようにして構築された学習済みニューラルネットワーク24Aに、患者の骨塩量、筋肉量、対象骨の形状情報および対象骨に隣接する骨の形状情報が入力されると、学習済みニューラルネットワーク24Aはその患者について、大腿骨の骨折の発生確率および股関節脱臼の発生確率を出力するようになる。
【0076】
なお、学習用データ41に含まれる骨塩量および筋肉量に関して、学習の際にその値がニューラルネットワーク60に入力される。例えば、骨塩量に関しては、
図8に示す大腿骨の関節部分を含む領域R1における大腿骨の領域内の骨塩量の代表値が入力される。代表値とは、平均値、最大値、最小値および中間値等とすることができる。また、領域R1における大腿骨の領域内の骨塩量の全ての値を入力するようにしてもよく、領域R1における大腿骨の領域内において予め定められた複数の点における骨塩量を入力するようにしてもよい。なお、確率導出部24が運動器疾患の確率を導出する場合には、ニューラルネットワーク60を学習した場合と同様の骨塩量が学習済みニューラルネットワーク24Aに入力される。
【0077】
また、筋肉量に関しては、学習の際には
図13に示す大腿骨の関節部分を含む領域R3における大腿骨の周囲の筋肉量の代表値がニューラルネットワーク60に入力される。代表値とは、平均値、最大値、最小値および中間値等とすることができる。また、大腿骨の周辺の領域R3内の筋肉量の全ての値を入力するようにしてもよく、領域R3において予め定められた複数の点における筋肉量を入力するようにしてもよい。この場合、確率導出部24が運動器疾患の確率を導出する場合には、ニューラルネットワーク60を学習した場合と同様の筋肉量が学習済みニューラルネットワーク24Aに入力される。
【0078】
対象骨の形状情報および対象骨に隣接する骨の形状情報に関しては、形状情報を表す二値の画像が学習済みニューラルネットワーク24Aに入力される。
【0079】
表示制御部26は、確率導出部24が導出した運動器疾患の発生確率をディスプレイ14に表示する。
【0080】
図17は運動器疾患の発生確率の表示画面を示す図である。
図17に示すように、表示画面50には、平均骨塩量と骨折発生確率との関係を表す第1のグラフ51、および平均筋肉量と脱臼発生確率との関係を表す第2のグラフ52が表示される。第1のグラフ51は、横軸が平均骨塩量を表し、縦軸が骨折発生確率を表しており、平均骨塩量が小さいほど骨折発生確率が高いものとなっている。また、第1のグラフ51においては、確率導出部24が導出した現在の骨折発生確率を表す白丸のプロット51Aと、発生確率の目標値を表す星印のプロット51Bとが付与されている。目標値は、確率導出部24が導出した運動器疾患の発生確率を半減させた確率である。
【0081】
また、第1のグラフ51の右側には、骨塩量を目標値に到達させるための医療介入の選択肢53が表示される。
図17においては、「薬剤Aの投与」および「運動Bの実施」が選択肢として表示されている。薬剤Aは骨塩量を目標値に到達させるための薬の名称である。運動Bは対象骨に関連する筋肉を鍛えるための運動である。具体的には股関節周辺の筋肉を鍛えるためのスクワット等である。
【0082】
また、第2のグラフ52は、横軸が平均筋肉量を表し、縦軸が脱臼発生確率を表しており、平均筋肉量が小さいほど脱臼発生確率が高いものとなっている。また、第2のグラフ52においては、現在の脱臼発生確率を表す白丸のプロット52Aと筋肉量を変化させた場合の目標発生確率を表す星印のプロット52Bとが付与されている。目標値は、確率導出部24が導出した運動器疾患の発生確率を半減させた確率である。
【0083】
また、第2のグラフ52の右側には、筋肉量を目標値に到達させるための医療介入の選択肢54が表示される。
図17においては、「薬剤Cの投与」および「運動Dの実施」が選択肢として表示されている。薬剤Cは筋肉量を目標値に到達させるための薬の名称である。運動Dも対象骨に関連する筋肉を鍛えるための運動である。具体的には股関節周辺の筋肉を鍛えるためのスクワット等である。
【0084】
なお、本実施形態においては、被写体Hである患者の年齢、性別、身長、体重および骨折歴等の患者情報に応じて、平均骨塩量および/または平均筋肉量と運動器疾患の発生確率との関係を規定したテーブルがストレージ13に保存されている。表示制御部26はこのテーブルを参照して、第1のグラフ51および第2のグラフ52を表示する
【0085】
また、第1のグラフ51および第2のグラフ52に加えてあるいはこれらに代えて、平均筋肉量に対する骨折発生確率を表すグラフおよび平均骨塩量に対する脱臼発生確率を表すグラフを表示するようにしてもよい。
【0086】
また、表示制御部26は、表示画面50において、選択肢53,54に表示された「運動Bの実施」および「運動Dの実施」をクリックにより選択可能に表示してもよい。この場合、操作者が「運動Cの実施」または「運動Dの実施」を選択すると、表示制御部26は
図18に示すように対象骨に関連する筋肉を鍛えるための運動の動画像を別ウィンドウ56により表示するようにしてもよい。
【0087】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。
図19は本実施形態において行われる学習処理を示すフローチャートである。まず、情報取得部22が画像保存システム9から教師データを取得し(ステップST1)、学習部25が、教師データ40に含まれる学習用データ41をニューラルネットワーク60に入力して運動器疾患の発生確率を出力させ、正解データ42との相違に基づく損失L0を用いてニューラルネットワーク60を学習し(ステップST2)、ステップST1にリターンする。そして、学習部25は、損失L0が予め定められたしきい値となるまで、ステップST1,ST2の処理を繰り返し、学習を終了する。なお、学習部25は、予め定められた回数学習を繰り返すことにより、学習を終了するものであってもよい。これにより、学習部25は、学習済みニューラルネットワーク24Aを構築する。
【0088】
次いで、本実施形態における運動器疾患予測処理について説明する。
図20は本実施形態における運動器疾患予測処理を示すフローチャートである。なお、第1および第2の放射線画像G1,G2は、撮影により取得されてストレージ13に保存されているものとする。処理を開始する指示が入力デバイス15から入力されると、画像取得部21が、第1および第2の放射線画像G1,G2をストレージ13から取得する(放射線画像取得;ステップST11)。次いで、情報導出部23の散乱線除去部31が、第1および第2の放射線画像G1,G2から散乱線成分を除去する(ステップST12)。また、画像導出部32が、第1および第2の放射線画像G1,G2から、被写体Hの骨部が抽出された骨部画像Gbおよび軟部が抽出された軟部画像Gsを導出する(ステップST13)。さらに、セグメンテーション部33が、骨部画像Gbを対象骨である大腿骨の領域、骨盤の領域および椎骨の領域にセグメンテーションする(ステップST14)。
【0089】
続いて、骨塩量導出部34が、骨部画像Gbの画素毎に骨塩量を導出し(ステップST15)、筋肉量導出部35が、軟部画像Gsから筋肉画像Gmを導出し、筋肉画像Gmの画素毎に筋肉量を導出する(ステップST16)。
【0090】
さらに、確率導出部24が、学習済みニューラルネットワーク24Aを用いて、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報から、対象骨に関する運動器疾患が発生する確率を導出する(ステップST17)。そして、表示制御部26が、確率導出部24が導出した運動器疾患の発生確率をディスプレイ14に表示し(ステップST18)、処理を終了する。
【0091】
このように、本実施形態においては、対象骨の骨塩量、対象骨の周囲の筋肉量、対象骨の形状情報、および対象骨に隣接する骨の形状情報から、対象骨に関する運動器疾患が発生する確率を導出するようにした。ここで、大腿骨の骨折および股関節脱臼は、骨塩量の低下および筋肉量の低下により発生しやすくなるが、股関節が正常な状態から変形することによっても発生しやすくなる。本実施形態においては、対象骨である大腿骨の形状情報および対象骨に隣接する骨盤の形状情報をさらに用いて、運動器疾患の発生確率を導出しているため、より高精度に運動器疾患の発生を予測することができる。
【0092】
また、運動器疾患の発生確率を表示することにより、現在の状況における運動器疾患の発生確率を容易に認識することができる。とくに、骨塩量および筋肉量が目標値となった場合の運動器疾患の発生確率をさらに表示することにより、骨塩量および筋肉量をどの程度増加させればよいかを容易に認識することができる。
【0093】
また、骨塩量および筋肉量を目標値に到達させるための医療介入の選択肢をさらに表示することにより、患者に対してどのような薬を投与したらよいか、あるいは患者に推奨される運動を容易に知ることができる。
【0094】
なお、上記実施形態においては、運動器疾患の発生確率として、骨折および脱臼の発生確率を導出しているが、骨折および脱臼のいずれか一方の発生確率を導出するようにしてもよい。
【0095】
また、上記実施形態においては、対象骨として大腿骨を用いているが、これに限定されるものではない。椎骨、とくに腰椎を対象骨としてもよい。椎骨に隣接する椎骨とは、対象骨である椎骨の上に隣接する椎骨、下に隣接する椎骨および上下に隣接する椎骨とすることができる。
【0096】
椎骨はとくに骨粗しょう症の発生により骨塩量が少なくなり、骨粗しょう症が悪化すると、椎骨は人体の上下方向に圧縮されて変形し、さらには圧迫骨折してしまう。なお、椎骨を対象骨とした場合、脱臼は考えにくい。このため、対象骨を椎骨とした場合、対象骨となる椎骨の形状情報および対象骨に隣接する椎骨の形状情報を用いることにより、より精度よく骨折の発生確率を予測することが可能となる。また、対象骨を椎骨とした場合に、表示する医療介入として背筋を鍛える運動を表示することが好ましい。
【0097】
また、本実施形態においては、大腿骨および椎骨の他、膝関節周辺の大腿骨および脛骨等、任意の骨を対象骨とすることが可能である。
【0098】
また、上記実施形態においては、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2そのものを用いて骨塩量および筋肉量を導出しているが、これに限定されるものではない。第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2の各画素について、周囲の画素との移動平均を算出し、移動平均を各画素の画素値とする第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2を用いて骨塩量および筋肉量を導出してもよい。ここで、骨塩量の判定に際しては皮質骨が重要な情報になるため、皮質骨が視認できる解像度、例えば被写体の実サイズで2mm以下の解像度を保つように、各画素について周囲の画素との移動平均を算出すればよい。この場合、放射線源3、被写体Hおよび放射線検出器5,6の相互の距離の情報、並びに放射線検出器5,6の画素サイズの情報等から、移動平均に使用する画素を適宜決定すればよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、エネルギーサブトラクション処理を行うに際し、1ショット法により第1および第2の放射線画像G1,G2を取得しているが、これに限定されるものではない。
図21に示すように1つの放射線検出器のみ用いて撮影を2回行う、いわゆる2ショット法により第1および第2の放射線画像G1,G2を取得してもよい。2ショット法の場合、被写体Hの体動により、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2に含まれる被写体Hの位置がずれる可能性がある。このため、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2において、被写体の位置合わせを行った上で、本実施形態の処理を行うことが好ましい。位置合わせの処理としては、例えば特開2011-255060号公報に記載された手法を用いることができる。特開2011-255060号公報に記載された手法は、第1および第2の放射線画像G1,G2のそれぞれについての、周波数帯域が異なる構造物を表す複数の第1の帯域画像および複数の第2の帯域画像を生成し、対応する周波数帯域の第1の帯域画像および第2の帯域画像における、互いに対応する位置の位置ずれ量を取得し、位置ずれ量に基づいて第1の放射線画像G1と第2の放射線画像G2との位置合わせを行うようにしたものである。
【0100】
また、上記実施形態においては、第1および第2の放射線検出器5,6を用いて被写体Hの第1および第2の放射線画像G1,G2を撮影するシステムにおいて取得した放射線画像を用いて、運動器疾患予測処理を行っているが、放射線検出器に代えて、蓄積性蛍光体シートを用いて第1および第2の放射線画像G1,G2を取得する場合にも、本開示の技術を適用できることはもちろんである。この場合、2枚の蓄積性蛍光体シートを重ねて被写体Hを透過した放射線を照射して、被写体Hの放射線画像情報を各蓄積性蛍光体シートに蓄積記録し、各蓄積性蛍光体シートから放射線画像情報を光電的に読み取ることにより第1および第2の放射線画像G1,G2を取得すればよい。なお、蓄積性蛍光体シートを用いて第1および第2の放射線画像G1,G2を取得する場合にも、2ショット法を用いるようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、運動器疾患の発生確率の表示画面に骨塩量および筋肉量の目標値を第1および第2のグラフ51,52にプロットしているが、これに限定されるものではない。これから何も治療をすることなく、骨塩量および筋肉量が低下した場合、例えば骨塩量および筋肉量が1/4に低下した場合の運動器疾患の発生確率を第1および第2のグラフ51,52にプロットするようにしてもよい。これにより、患者に対して治療および運動の動機付けを行うことができる。
【0102】
また、上記実施形態における放射線は、とくに限定されるものではなく、X線の他、α線またはγ線等を用いることができる。
【0103】
また、上記実施形態において、例えば、画像取得部21、情報取得部22、情報導出部23、確率導出部24、学習部25および表示制御部26といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0104】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0105】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0106】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 撮影装置
3 放射線源
5,6 放射線検出器
7 放射線エネルギー変換フィルタ
9 画像保存システム
10 運動器疾患予測装置
11 CPU
12A 運動器疾患予測処理プログラム
12B 学習プログラム
13 ストレージ
14 ディスプレイ
15 入力デバイス
16 メモリ
17 ネットワークI/F
18 バス
21 画像取得部
22 情報取得部
23 情報導出部
24 確率導出部
24A 学習済みニューラルネットワーク
25 学習部
26 表示制御部
31 散乱線除去部
32 画像導出部
33 導出部
40 教師データ
41 学習用データ
42 正解データ
43 対象骨の骨塩量
44 対象骨の周囲の筋肉量
45 対象骨の形状情報
46 対象骨に隣接する骨の形状情報
47 骨折の発生確率
48 脱臼の発生確率
50 表示画面
51 第1のグラフ
51A,51B,52A,52B プロット
52 第2のグラフ
53,54 医療介入の選択肢
56 ウィンドウ
60 ニューラルネットワーク
61 入力層
62 中間層
63 出力層
65 畳み込み層
66 プーリング層
67 全結合層
70 出力データ
71 パラメータ
A1 大腿骨の領域
A2 骨盤の領域
A3 椎骨の領域
G1 第1の放射線画像
G2 第2の放射線画像
Gb 骨部画像
Gs 軟部画像
LUT1 ルックアップテーブル
S1,S2 形状情報