(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122709
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220816BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020123
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】502327953
【氏名又は名称】三貴ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】日比野 吉高
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD13
4C058DD16
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】汎用性があり、かつ安全性を備えた紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線照射装置1は、殺菌対象物である押しボタン100の周辺の所定範囲に人が存在するか否かを検知する人感センサと、押しボタン100に人が触れたか否かを検知する接触センサと、押しボタン100に紫外線を照射して押しボタン100を殺菌するLEDと、これらを制御する制御回路とを備え、押しボタン100に人が接触したことを契機として、前記所定範囲内に人が存在しない状態が所定時間経過した後に、LEDが押ボタン100に紫外線を所定時間照射する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌対象物に紫外線を照射して当該殺菌対象物を殺菌する紫外線照射装置であって、
所定位置に設置される本体部と、
前記殺菌対象物周辺の所定範囲内に人が存在するか否かを検知する人感検知手段と、
前記殺菌対象物に紫外線を照射する紫外線照射手段と、
前記人感検知手段から得られた情報に基づいて前記紫外線照射手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記所定範囲内に人が存在しない状態が所定時間経過した後に、前記紫外線照射手段を制御して前記殺菌対象物に紫外線を所定時間照射する制御内容を具備する
ことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記所定範囲内にいる人が前記殺菌対象物に接触したか否かを検知する接触検知手段を備え、
前記制御手段は、前記接触検知手段から得られた情報に基づいて前記紫外線照射手段を制御するものであり、前記殺菌対象物に人が接触したことを契機として、前記所定範囲内に人が存在しない状態が所定時間経過した後に、前記紫外線照射手段を制御して前記殺菌対象物に紫外線を所定時間照射する制御内容を具備する
請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記紫外線照射手段が前記殺菌対象物に紫外線を照射している間に前記人感検知手段が人の存在を検知すると、前記紫外線照射手段を制御して当該紫外線の照射を停止する制御内容を具備する
請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌対象物に紫外線を照射して当該殺菌対象物を殺菌する紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、LEDから把持体に向かって照射された紫外線を用いてつり革を殺菌する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに近年は、物品の殺菌や消毒が奨励されており、より汎用性があり、かつ安全性を兼ね備えた装置が求められている。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、汎用性があり、かつ安全性を兼ね備えた紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、殺菌対象物に紫外線を照射して当該殺菌対象物を殺菌する紫外線照射装置であって、所定位置に設置される本体部と、前記殺菌対象物周辺の所定範囲内に人が存在するか否かを検知する人感検知手段と、前記殺菌対象物に紫外線を照射する紫外線照射手段と、前記人感検知手段から得られた情報に基づいて前記紫外線照射手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記所定範囲内に人が存在しない状態が所定時間経過した後に、前記紫外線照射手段を制御して前記殺菌対象物に紫外線を所定時間照射する制御内容を具備することを特徴とする紫外線照射装置である。
【0007】
かかる構成は、所定範囲内に人が存在しない状態で紫外線を殺菌対象物に対して照射することになるため、殺菌対象物を殺菌する過程で人体に悪影響を及ぼすことを回避することができる。その上、前記所定範囲内に人が存在しない状態が十分に確保できてから所定時間経過した後に紫外線の照射が開始されるため、大幅に安全性が向上している。また、本体部を所要位置に設置することで、殺菌設備を備えない箇所にも後から設置することができるため、汎用性に優れている。
【0008】
ここで、前記所定範囲内にいる人が前記殺菌対象物に接触したか否かを検知する接触検知手段を備え、前記制御手段は、前記接触検知手段から得られた情報に基づいて前記紫外線照射手段を制御するものであり、前記殺菌対象物に人が接触したことを契機として、前記所定範囲内に人が存在しない状態が所定時間経過した後に、前記紫外線照射手段を制御して前記殺菌対象物に紫外線を所定時間照射する制御内容を具備する構成が提案される。
【0009】
かかる構成とすることにより、人が手指などで殺菌対象物を触れた場合に限り殺菌対象物を殺菌することになるため、人から人へ感染する感染症対策として無駄なく紫外線を照射することが可能となる。
【0010】
また、前記制御手段は、前記紫外線照射手段が前記殺菌対象物に紫外線を照射している間に前記人感検知手段が人の存在を検知すると、前記紫外線照射手段を制御して当該紫外線の照射を停止する制御内容を具備する構成が提案される。
【0011】
かかる構成とすることにより、所定範囲内に入った人に対して紫外線を照射してしまうおそれを抑制することができるため、より安全性に優れた装置とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の紫外線照射装置は、汎用性があり、かつ高い安全性を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1にかかる紫外線照射装置の設置状態を示す説明図である。
【
図2】実施例1にかかる紫外線照射装置の斜視図である。
【
図3】実施例1にかかる紫外線照射装置のブロック回路図である。
【
図4】実施例1にかかる紫外線照射装置の制御回路の制御内容を示すフローチャートである。
【
図5】実施例1にかかる紫外線照射装置の作動態様を示すタイミングチャートである。
【
図6】実施例2にかかる紫外線照射装置の設置状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の紫外線照射装置を具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0015】
〔実施例1〕
図1に示すように、紫外線照射装置1は、例えばエレベーターの押ボタン100を殺菌対象物として使用することができる。
【0016】
紫外線照射装置1は、
図2に示すように、箱型の本体部10を備えている。また、本体部10の背面11には、図示しない取り付け手段が設けられており、取り付け手段によって例えばエレベーターホールの壁部に後付け可能となっている。
【0017】
また、本体部10の正面部には、人感検知手段としての人感センサ20が設けられている。そして、この人感センサ20によって、殺菌対象物である押ボタン100周辺の所定範囲内に人が存在するか否かを検知することが可能となっている。
【0018】
また、本体部10の底面部には、接触検知手段としての測距センサである接触センサ30が設けられている。そして、この接触センサ30によって、殺菌対象物である押ボタン100に人が触れたか否かを検知することが可能となっている。
【0019】
さらに、本体部10の底面部には、紫外線照射手段としてのLED40が設けられている。そして、このLED40によって、殺菌対象物である押ボタン100に紫外線を照射することが可能となっている。
【0020】
加えて、本体部10の底面図には、可視光(例えば青色)を照射する補助LED50がLED40に隣接して別途設けられている。この補助LED50は、上記した紫外線照射用のLED40が紫外線を照射している間に、当該LED40の照射範囲を可視光(例えば青色)で照射して、不可視である紫外線が照射されていること、及びその照射範囲を報知する照射報知手段として機能している。
【0021】
さらに、本体部10内部には制御回路60と、図示しないバッテリーとが備えられている。そして、バッテリーには、本体部10の側面部に設けられた端子70を介して電力を供給することが可能となっている。
【0022】
図3に示すように、制御回路60は、人感センサ20及び接触センサ30が発信する信号を受信可能である。また、当該受信した信号に基づいて、LED40及び補助LED50の点灯及び消灯を制御する機能を有している。
【0023】
さらに詳述すると、制御回路60は、押ボタン100に人が接触したことを接触センサ30が検知すると、人感センサ20が検知する所定範囲内に人が存在しない状態が所定時間経過した後、LED40を点灯させて押ボタン100に紫外線を所定時間照射する制御内容を有している。
【0024】
また、制御回路60は、LED40が押ボタン100に紫外線を照射している間に人感センサ20が人の存在を検知すると紫外線の照射を停止する制御内容を有している。
【0025】
さらに、制御回路60は、LED40が紫外線を照射している期間に、補助LED50を点灯させた状態(第一報知状態)とし、LED40が紫外線を照射していない期間に、補助LED50を消灯させた状態(第二報知状態)とする制御内容を有している。
【0026】
次に、制御回路60に基づく制御処理の内容を、
図4に示すフローチャートに従って詳述する。
【0027】
S10では、人感センサ20が人を検知したか否かを判定する。そして検知した場合には(S10:YES)S90へ移行し、検知していなければ(S10:NO)S20へ移行する。
【0028】
S10のNO判定から移行するS20では、接触センサ30の作動を停止してS30へ移行する。
【0029】
S20から移行するS30では、接触タイマXが0であるか否かを判定する。接触タイマXが0であれば(S30:YES)S40へ移行し、0でなければ(S30:NO)S50へ移行する。
【0030】
S30のYES判定から移行するS40では、LED40を消灯するとともに補助LED50を第二報知状態である消灯状態とする。そして処理を終了する。
【0031】
S30のNO判定から移行するS50では、人感タイマYが0であるか否かを判定する。人感タイマYが0であれば(S50:YES)S60へ移行し、0でなければ(S50:NO)S80へ移行する。
【0032】
S50のYES判定から移行するS60では、LED40を点灯するとともに補助LED50を第一報知状態である点灯状態とする。そしてS70へ移行する。
【0033】
S60から移行するS70では、接触タイマXを経過時間に応じて減算する。そして処理を終了する。
【0034】
S50のNO判定から移行するS80では、人感タイマYを経過時間に応じて減算する。そして処理を終了する。
【0035】
S10のYES判定から移行するS90では、LED40を消灯するとともに補助LED50を第二報知状態とする。そしてS100へ移行する。
【0036】
S90から移行するS100では、接触センサ30を作動させてS110へ移行する。
【0037】
S100から移行するS110では、人感タイマYを例えば10秒にセットする。そしてS120へ移行する。
【0038】
S110から移行するS120では、接触センサ30が押ボタン100への接触を検知したか否かを判定する。接触していれば(S120:YES)S130へ移行し、接触していなければ(S120:NO)処理を終了する。
【0039】
S120のYES判定から移行するS130では、接触タイマXを例えば15秒にセットして処理を終了する。
【0040】
次に、LED40の点灯タイミングや点灯時間を、
図5のタイミングチャートに従って説明する。
【0041】
人感センサ20が人を検知している状態で、かつ接触センサ30が押ボタン100への接触を検知すると、人感センサ20が人を検知しなくなってからY時間(10秒)後にLED40が紫外線の照射を開始する。また、紫外線の照射はX時間(15秒)だけ継続し、その後消灯する。
【0042】
なお、安全対策として、
図4に示すS90において、LED40が紫外線を照射している間に人感センサ20が人を検知すると、LED40が消灯するようにしている。
【0043】
これまでに述べた紫外線照射装置1は、壁面に取り付けて単独で使用することができるものであり、上記した実施例以外にも、所定位置に後付けして種々の殺菌対象物に紫外線を照射することができる。
【0044】
〔実施例2〕
図6に示すように、紫外線照射装置2は、本体部10が脚部15を備えたスタンド形状となっており、脚部15内に例えば殺菌対象物としてのペン110を収容することで、ペン110に紫外線を照射して殺菌することができる。このように紫外線照射装置2は、例えば不特定多数の者が使用する筆記具に対して好適に適用可能である。
【0045】
これまでに述べた紫外線照射装置1,2は、殺菌対象物として他にも以下に示すものが適用可能である。
【0046】
〔店舗施設向け〕
トイレ等共用の水道蛇口、洗面手洗いボウル本体、手洗い場の物品周辺(ハンドソープやペーパーの取り出し口等)、自動ドアの押し釦や、タッチセンサ部、ATM、券売機、自販機、切符券売機のタッチパネル、玄関設置の靴ベラ、カード決済でのサイン記載ペン、トイレ壁掛けリモコン、スーパーのセルフレジ、ホテルや食堂での箸やスプーンが置いてあるコーナー
【0047】
〔オフィース向け〕
共用物の保管スペース(車のカギ等)、共用電話器、共用パソコン(マウス)、静電気除去シート等、使用頻度の高いキャビネットの取っ手、レジスターの引き出しの中、配送業者と伝票のやり取りをするカウンタ
【0048】
〔住宅・ビル・管理会社向け〕
玄関のテンキー、マンションのインターホン
【0049】
〔福祉・医療機関向け〕
介護施設のテーブル・椅子、保管された歩行器・杖、病院・施設入室時のネームプレート、筆記具、施設等で玄関に置かれている体温計等、病院施設のベットリモコン・ナースコール
【0050】
〔学校・公共施設向け〕
学校などで使用するスポーツ用具、保育園や小学校の施設内、タクシー・バス等の室内
【0051】
〔家庭向け〕
リモコン・スマホ・タブレット等
【0052】
〔商業施設向け〕
エスカレータの手すり等
【0053】
〔その他〕
セルフガソリンスタンドの給油ノズルや静電気除去部材、レンタル自転車のグリップ部分、ゲームセンターのゲームのボタン、パチンコ・スロットのハンドル、図書あるいは雑貨屋・書店等の商品、商品としての衣料品等、コインロッカー、トイレ内、営業所内の居室空間、トイレの便座・便器、車のハンドル等
【0054】
また、上記実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
【0055】
また、殺菌対象物と紫外線照射装置1との離間距離に応じて、人感センサ20が検知する範囲や接触センサ30が検知する距離、あるいはLED40の発光強度や点灯時間等を適宜変更することが可能である。
【0056】
また、取り付け手段としては、例えば粘着テープや接着剤、あるいはボルト・ナット等の固定手段などが採用されてもよい。
【0057】
また、照射報知手段としては、発光手段に限定されず、警告音を発する鳴音手段が採用されてもよい。
【0058】
また、人感センサが人を検知したときに青色のLED光のみを発光させて夜間のドアノブを視認しやすいようにしてもよい。また、人感センサが人を検知したときに防犯カメラの録画機能がON状態となるようにしてもよい。また、害虫よけ機能が追加されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,2 紫外線照射装置
10 本体部
11 背面
15 脚部
20 人感センサ(人感検知手段)
30 接触センサ(接触検知手段)
40 LED(紫外線照射手段)
50 補助LED(照射報知手段)
60 制御回路
70 端子
100 押しボタン(殺菌対象物)
110 ペン(殺菌対象物)